判例検索β > 平成22年(ワ)第2655号
街頭宣伝差止め等請求事件
事件番号平成22(ワ)2655
事件名街頭宣伝差止め等請求事件
裁判年月日平成25年10月7日
裁判所名・部京都地方裁判所  第2民事部
結果その他
判示事項の要旨原告が設置運営する朝鮮学校に対し,隣接する公園を違法に校庭として占拠していたことへの抗議という名目で3回にわたり威圧的な態様で侮蔑的な発言を多く伴う示威活動を行い,その映像をインターネットを通じて公開した被告らの行為は,判示の事実関係の下では,原告の教育事業を妨害し,原告の名誉を毀損する不法行為に該当し,かつ,人種差別撤廃条約上の「人種差別」に該当するとして被告らに対する損害賠償請求を一部認容し,また,一部の被告が上記学校の移転先周辺において今後同様の示威活動を行うことの差止め請求を認容した事例
裁判日:西暦2013-10-07
情報公開日2017-10-17 20:20:38
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平成25年10月7日判決言渡し
平成22年(ワ)第2655号
口頭弁論終結の日

同日原本領収

裁判所書記官

街頭宣伝差止め等請求事件

平成25年6月13日
判主1決文
被告在日特権を許さない市民の会(以下被告在特会という。),被告A,被告B,被告C,被告D,被告E及び被告Fは,原告に対し,連帯して,554万7710円及びこれに対する平成21年12月4日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。

2
被告在特会,被告A,被告B,被告G,被告C,被告D,被告E,被告H及び被告Fは,原告に対し,連帯して,341万5430円及びこれに対する平成22年1月14日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。
3
被告在特会,被告A,被告B,被告G,被告C,被告D,被告E,被告H及び被告Fは,原告に対し,連帯して,330万円及びこれに対する平成22年3月28日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。

4
被告在特会,被告A,被告G,被告D,被告E,被告H及び被告Fは,自ら下記の行為をしてはならず,かつ,所属会員や支援者等の第三者をして下記の行為をさせてはならない。

(1)京都市伏見区○○a番地b所在の甲学校に赴いて,原告の代表者,原告が雇用する教職員及び同校に通学する児童並びにその他原告の関係者への面談を強要する行為
(2)上記甲学校の北門門扉の中心地点を基点として,半径200メートルの範囲内における次の行為


拡声器を使用し,又は大声を上げるなどして,原告を非難,誹謗中傷するなどの演説をしたり,複数人で一斉に主義主張を大声で唱えること(いわゆるシュプレヒコール)②

原告を非難,誹謗中傷する内容のビラの配布



原告を非難,誹謗中傷する内容の文言を記載した旗や幟を上げての佇立又は徘徊

5
原告のその余の請求をいずれも棄却する。

6
訴訟費用はこれを10分し,その4を被告らの負担とし,その余を原告の負担とする。

7
この判決は,主文1項ないし3項に限り,仮に執行することができる。事
第1
1実
請求等
請求の趣旨
(1)被告在特会,被告A,被告B,被告C,被告D,被告E及び被告Fは,原告に対し,連帯して,1000万円及びこれに対する平成21年12月4日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被告在特会,被告A,被告B,被告G,被告C,被告D,被告E,被告H及び被告Fは,原告に対し,連帯して,1000万円及びこれに対する平成22年1月14日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。(3)被告在特会,被告A,被告B,被告G,被告C,被告D,被告E,被告H及び被告Fは,原告に対し,連帯して,1000万円及びこれに対する平成22年3月28日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。(4)被告在特会,被告A,被告B,被告G,被告C,被告D,被告E,被告H及び被告Fは,自ら主文4項掲記の行為をしてはならず,かつ,所属会員や支援者等の第三者をして主文4項掲記の行為をさせてはならない。(5)被告Iは,下記の自動車(以下本件街宣車という。)を,主文4項掲記の行為のため,自ら使用してはなならず,かつ,第三者に使用させてはならない。記
自動車登録番号
車台番号

○○-○○○○

所有者・使用者の氏名


所有者・使用者の住所

京都市右京区○○町c-d

初度登録年月

平成15年2月

車名

ニッサン

型式

○○-○○○○

自動車の種別
2
京都○○○○○

小型

請求の内容
原告は,在日朝鮮人の学校を設置・運営する法人であるところ,平成21年12月4日,平成22年1月14日及び同年3月28日の三日にわたって被告らが行った街頭での示威活動及びその映像をインターネットを通じて公開したことが不法行為に該当し,これにより原告が損害(一日分1000万円)を被ったと主張し,被告らに対し,その損害の賠償金の連帯支払を求めるとともに,被告らに対し,法人の人格権に基づき,同様の活動の差止めを求めた(以下において本件当時とは平成21年11月から平成22年3月までの時期をいう。)。
損害賠償請求の附帯請求は,各不法行為の日を起算日とする民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求である。
差止請求の対象となっている学校(京都市伏見区○○a番地b所在の甲学校)は,三日にわたる示威行為で糾弾の対象となった学校そのものではなく,これを統合して新設された学校である。

第2

前提事実(いのない事実
事実)
前提事実(争いのない事実)
次の事実は,証拠番号を掲記した事実を含め,当事者間に争いがないか,争うことが明らかにされない事実である。1

当事者等
(1)原告は,昭和28年6月2日に認可された学校法人であり,朝鮮人教育一般文化啓蒙事業を行うことを目的として,京都市右京区に主たる事務所を置き,京都市南区○○e番地において乙学校(以下本件学校という。)を設置・運営していた。
原告は,本件学校のほか,京都市内に丙学校,丁学校及び戊学校を,京都府内に己学校(休校中)をそれぞれ設置・運営していた。
本件学校は,日本の小学校に相当する施設(1年生から6年生までの学年ごとに1クラスずつ)と日本の幼稚園に相当する施設を有する教育施設である。
本件学校には,朝鮮半島にある大韓民国(以下韓国という。)と朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮という。)という二つの国のうち,後者を祖国とする人々がその子弟を通わせている(以下,本判決においては在日朝鮮人という場合,韓国を祖国とする人々と北朝鮮を祖国とする人々の両方を含む言葉として使用する。)。
本件学校では,朝鮮語を用いた指導が行われ(日本語学習授業以外で日本語が使用されることはない。),朝鮮半島・朝鮮民族の歴史及び文化を学習させるほか,国語(朝鮮語),日本語,算数,理科,社会等の授業が行われている。
本件学校は,戸建住宅,マンション,事業所などが建ち並ぶ市街地にあり,敷地は広くはなく,校庭を有しない。本件学校の敷地には北門と南門があり,南門前の公道を隔てた向かい側にはX公園(以下本件公園という。)がある。
(2)被告在特会は,平成18年12月2日に創設された在日問題を広く一般に提起し,在日を特権的に扱う,いわゆる在日特権を無くすことを目的とする団体である(甲1)。Jはその会長である。(3)被告Gは,被告在特会の副会長の地位にある。被告Dは,本件当時,被告在特会の大阪支部長の地位にあり,平成22年4月9日以降,被告在特会の副会長でもある。
被告Aは,被告在特会の会員であった。
(4)被告Bは,主権回復を目指す会と名乗る団体(以下主権会という。)の代表であり,街頭演説,インターネットでの情報発信を通じて,中国,朝鮮,韓国等の外国勢力及び日本人自身による反日的活動を糾弾する活動を実践している者である。
被告在特会と主権会は別の組織であるが,いずれも保守的な思想信条を標榜しているので,被告在特会の会員の中には,主権会の会員である者も少なからず存在した。
(5)被告Cは,主権会の関西支部の支部長の地位にあり,被告Eは,主権会の関西支部の事務局長の地位にあった。被告Aは,被告在特会の会員であると当時に,主権会の会員でもあった。
被告Eと被告Aは,平成22年5月,被告Bにより,主権会を除名された。(6)被告H,被告F及び被告Iは,いずれも,被告在特会の会員でも主権会の会員でもない。
しかし,被告Hは,被告在特会の街頭での示威活動に参加していた。また,被告Fは,被告在特会の街頭での示威活動の様子をビデオ撮影し,これらの映像(動画である。以下においても映像という場合,すべて動画を意味する。)を,「○○○」のハンドルネームにおいて,インターネットのYouTube(以下ユーチューブという。)及びニコニコ動画といった動画サイトに投稿し,映像データを配信可能な状態を置き(いわゆるアップロードという作業である。),不特定多数人に対し映像を公開した(以下,インターネットを通じて不特定多数人に映像データを配信可能な状態に置くことを映像を公開する映像公開などという。)。(7)被告Iは,被告Aの父であり,本件街宣車を所有している。本件街宣車には拡声器が装着されており,被告らの街頭での示威活動に使用されていた。2
原告に向けた最初の示威活動の予告(乙31)
被告Aは,遅くとも平成21年11月19日,ユーチューブに,京都朝鮮学校が児童公園を不法占拠【主権関西/在特会関西】と題する映像を公開した。
この映像は,本件学校及び本件公園を撮影したものであり,本件学校の児童の後ろ姿も収録されていた。また,この映像の中には,被告Aが

これは叩き出しましょうね近いうちに。12月初旬に叩き出して

と発言する様子も収録されていた。

3
原告に向けた最初の示威活動(甲4,8,乙20)
(1)被告A,被告C,被告D,被告Eは,平成21年12月4日(金曜日)午後1時頃から約50分にわたり,本件学校の南門前の公道及び本件公園に集結し,拡声器を用いながら本件学校関係者らに怒号を浴びせるなどの示威活動を行った(以下示威活動①という。)。
(2)被告Aは,示威活動①で中心的役割を果たした人物であり,最も長時間,拡声器を用いて発言した。また,被告Cは作業着を着用しており,拡声器を用いて発言をすることもあった。被告Dは,サングラス及びヘルメットを,被告Eは,白色の外套をそれぞれ着用していた。
被告Fは,示威活動①の様子を,間近で,ビデオカメラにより撮影した。(3)本件学校の教職員は,示威活動①の発生を受け,京都府南警察署に通報を行った。そのため,同署の警察官が本件学校付近に出動した。
(4)被告A,被告C,被告D,被告Eを始めとする参加者(参加者とは街頭での示威活動に賛同してこれに参加者した者たちを指す。以下も同じ。)は,本件公園に置いてあった本件学校のサッカーゴール及び朝礼台を南門まで運んだ。また,被告Dは,本件公園に設置されていた本件学校のスピーカーの電源コードを切断し,スピーカーを取り外してこれを南門まで運んだ。参加者は,サッカーゴールを中に入れてやるから南門を開けるよう要求したが,学校関係者は,門を開けなかった。
(5)被告Aを中心とする参加者は,南門を挟んで対峙していた学校関係者に対し,拡声器を使用したり,あるいは肉声で我々はX公園を京都市民に取り戻す市民の会でございます主権回復を目指す会及び在特会関西の有志でございます(本件学校は)公園を50年も不法占拠している日本国民が公園を使えないこの学校の土地も不法占拠だ

我々の先祖の土地を奪った。戦争中,男手がいないとこから,女の人をレイプして奪ったのがこの土地

戦後焼け野原になった日本人につけこんで,民族学校,民族教育闘争,こういった形で,至るところ,至る日本中,至るところで土地の収奪が行われている日本の先祖からの土地を返せこれはね,侵略行為なんですよ,北朝鮮によるここは北朝鮮のスパイ養成機関犯罪者に教育された子どもここは横田めぐみさんを始め,日本人を拉致した朝鮮総連朝鮮やくざこいつら密入国の子孫朝鮮学校を日本からたたき出せ出て行け朝鮮学校,こんなものはぶっ壊せ

約束というのはね,人間同士がするもんなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません

日本に住ましてやってんねや。な。法律守れ

端のほう歩いとったらええんや,初めから我々は今までみたいな団体みたいに甘うないぞこの門を開けろ,こらぁ等の怒声を次々と間断なく浴びせかけ,合間に,一斉に大声で主義主張を叫ぶなどの示威活動を行った。
(6)被告Fは,示威活動①から間もなくして,示威活動①の様子を撮影した映像を公開した(以下映像公開①という。)。
4
原告に向けた2度目の示威活動の予告
被告在特会は,平成22年1月7日,被告在特会のウェブサイトに,下記の文章を掲載し,会員その他不特定多数の者に対し,同月14日の示威活動への参加を呼びかけた。記
(1)1・14朝鮮学校による侵略を許さないぞ!京都デモ罪行為を正当化する不逞鮮人を許さないぞ!子供を盾に犯朝鮮人犯罪を助長する犯罪左翼・メディアを日本から叩きだせ!(2)平成21年12月4日,主権回復を目指す会・関西支部との合作である,『X公園奪還作戦』はその後,メディアも取り上げる事件として問題提起することが出来た。しかし,メディアの取り上げ方は案の定,『社会の不満分子が少数民族の子供たちが通う学校へ集団暴行,民族差別』である。これでは三国人の宣伝省ではないか。差別者として放映された一民間人の人権と言うものは全く置き去りである。このような連中に人権を語らせては断じていけない。そして自分達の悪業を棚に上げ,ひたすら涙,涙の被害者面で事実を捻じ曲げようとするあたりは,不逞鮮人の伝統芸能である。我々は受身になるつもりは一切無い。道理を楯に徹底的に邁進します。約50年にわたり児童公園から日本の子供たちの笑い声を奪った,卑劣,凶悪民族から公園を取り戻す為に行動を起こします(3)【最新情報】1月6日/生中継URL,開始時間追加【日時】平成22年1月14日(木)14:20集合14:40デモの趣旨と注意事項を説明開始時刻15:00出発【集合場所】京都市南区○○X公園集合【最寄駅】地下鉄△△駅徒歩3分京阪××駅(4)【主催】在日特権を許さない市民の会京都支部主権回復を目指す会関西支部【共催】在日特権を許さない市民の会大阪支部/和歌山支部/滋賀支部/兵庫支部【連絡先】在日特権を許さない市民の会京都支部」5
原告に向けた2度目の示威活動(甲5,9,乙21)
(1)被告A,被告B,被告G,被告C,被告D,被告E及び被告Hを始めとする合計約30名は,平成22年1月14日(木曜日)午後2時20分ころから午後5時ころまでの間,本件公園に集結した上,幟,拡声器や本件街宣車を用い,本件学校周辺を行進する示威活動を行った(以下示威活動②という。)。
被告Aは迷彩色の帽子を,被告Dは黄色のヘルメット及び黒色の長い上着を,被告Cは作業着の上に白色の外套を,被告Eは灰色の長い防寒着を,被告Gは七生報国と書かれた鉢巻きを,それぞれ着用していた。なお,被告B及び被告Hは,拡声器を装着した本件街宣車に乗車していた。被告Fは,示威活動②の様子を,間近で,ビデオカメラにより撮影した。(2)被告G及び被告Cは,示威活動②の冒頭で演説を行い,示威活動②の参加者は,その後,本件学校の周辺道路を,本件街宣車に先導される形で,気勢を上げながら行進し,不逞な朝鮮人を日本から叩き出せ日本の子どもたちの笑い顔を奪った卑劣,凶悪な朝鮮学校を我々日本人は決して許さないぞ北朝鮮の工作員養成機関,朝鮮学校を日本から叩き出せ朝鮮学校,朝鮮学校と言いますがこれはただ自分たちが学校という名前をつけただけであって,何ら我が国の認可を受けた学校でも何でもない

ここに働く括弧付き教師についても単なる北朝鮮のもっとも優れた工作員である。教師とは縁もゆかりもない学校の名に値しない。教師の名に値しない

戦後この朝鮮人は治安が整っていない時期に,なめたことに,旧日本軍の,陸海軍の飛行服を身につけ,土地の不法侵奪,金品略奪,強姦,銀行襲撃,殺戮,警察襲撃など,暴れまくったんです朝鮮人として,その自分の土地として勝手に登記し,現在に至っている朝鮮人を保健所で処分しろ犬の方が賢い等の発言を繰り返した。また,拡声器を用いて発言しない参加者たちも,上記のような発言を煽ったり,賛意を表するための怒号をあげるなどしていた。
(3)被告Fは,示威活動②から間もなくして,示威活動②の様子を撮影した映像を公開した(以下映像公開②という。)。6

原告に向けた3度目の示威活動の予告(甲25)
被告在特会は,平成22年3月16日,被告在特会のウェブサイトに,下記の文章を掲載し,会員その他不特定多数の者に対し,同月28日の示威活動への参加を呼びかけた。

在日無年金・朝鮮学校不法占拠を許さないデモ行進年金無加入なのに年金を寄こせという『在日無年金問題の解決をめざす会・京都』の不逞朝鮮人と公園を不法占拠している朝鮮学校に対して,それを正す行動に出た在特会・関西,主権回復を目指す会・関西を道理も無く排外差別主義者だと宣伝する筋の通らない全ての反日分子を許さない!【日時】平成22年3月28日(日)12:30集合13:00出発【集合場所】京都市南区f町Y公園(g保育園東隣)解散場所X公園※デモコースの距離は1.5キロ【3.28行動第二弾!】民族差別・外国人排斥に反対し朝鮮学校への攻撃を許さない!3.28デモ(反日左翼主催)に抗議します。15時30分頃から四条河原町高島屋前で街宣,その後デモゴール地点の市役所前でもデモ隊に抗議。【主催】主権回復を目指す会・関西【協賛】在日特権を許さない市民の会京都支部【問い合わせ】在特会京都支部7
裁判所の仮処分
原告は,平成22年3月19日,京都地方裁判所に対し,被告在特会,被告A及び被告Bを債務者とする示威活動禁止等仮処分を申し立てた(京都地方裁判所平成22年(ヨ)第134号)。
京都地方裁判所は,同月24日,原告の申立てを認容し,本件学校の北門中心点から半径200メートルの範囲での示威活動等を禁止する仮処分決定をした(以下本件仮処分決定という。)。

8
原告に向けた3度目の示威活動(甲6,10,乙22)
(1)被告A,被告B,被告G,被告C,被告E及び被告Hを始めとする多数の参加者は,平成22年3月28日(日曜日)午後3時30分頃から午後5時ころまでの間,京都市南区のY公園を出発し,幟,拡声器や本件街宣車を用い,本件学校の近くまで行進する示威活動を行った(以下Y公園発の示威活動という。)。さらに,被告D及びその同行者らは,同日,これと並行して,京都市中京区の四条河原町近辺において,被告在特会の活動に批判的な集団に街頭で対抗する示威活動(いわゆるカウンターデモ)を行った(甲11。以下四条での示威活動という。同日の二つの示威活動を示威活動③という。)。被告Aは上下ともカーキ色の洋服を,被告Cは和服を,被告Gは七生報国と書かれた鉢巻き及び白衣を,被告Eは白い外套をそれぞれ着用していた。なお,被告B及び被告Hは,拡声器を装着した本件街宣車に乗車していた。
(2)被告Gを含め,被告在特会の幹部の地位にあった者の一部及び被告Cは,示威活動③の開始前の時点で,新聞報道に接したことにより,本件仮処分決定が発せられた事実を知っていたが,本件学校に近付くことを止めようとする者はいなかった。
(3)参加者は,午後3時30分頃,Y公園を出発し,行進を開始した。被告Bや被告Hは,本件街宣車の車内から拡声器を使って大音量で演説を行い,本件仮処分決定により示威活動が禁止されている区域においても,本件街宣車に装着された拡声器を用い,大音量ではーい,京都府民のみなさん,我々はこれまで50年間,朝鮮人に不当に奪い取られたX公園をやっと日本の子どもたちに取り返すことができたのです朝鮮学校は,学校ではありませんみなさん,日本の文部省の認可を受けていない,ただの任意団体,この任意団体に,なぜ我々が税金を払って,教科書無償,をする必要があるかゴキブリ,ウジ虫,朝鮮半島へ帰れーくやしいくやしい朝鮮人は,金正日のもとに,帰れー京都をキムチの匂いに,まみれさせてはいけないゴキブリ朝鮮人,とっとと失せろー日本に差別され,くやしい,くやしい朝鮮人は,一人残らず,朝鮮半島に帰れー

朝鮮学校は,自分たちの悪行を棚に上げ,ひたすら差別だ,涙の被害者面で事実をねじ曲げようと(した。こうしたやり方は)不逞朝鮮人の伝統芸能である

日本の子どもたちの笑い声を奪った,卑劣,凶悪な朝鮮学校…。子どもを盾に犯罪行為を正当化する不逞鮮人を許さないぞ

等の発言を繰り返した。参加者も,各々,被告Bや被告Hの発言を煽ったり,賛意を表するための怒号をあげるなどしていた。
(4)参加者は,本件学校の北側門扉中心部から約100メートル離れたローソンh店の駐車場付近において,デモ行進の終了を宣言し,それ以上は本件学校へは接近しなかった。
(5)示威活動③の映像は不特定多数人に公開された(以下映像公開③という。)。そのうち四条での示威活動の様子を撮影し,その映像を公開したのは被告Fであり,Y公園発の示威活動の様子を撮影し公開したのは他のカメラマンであった(以下,示威活動①,示威活動②及び示威活動③の二つを取り上げる場合は示威活動①②などといい,三つ全部をあわせて本件示威活動という。映像公開①,映像公開②及び映像公開③についても同様に映像公開①②本件映像公開という。また,本件示威活動及び本件映像公開すべてを一括して本件活動という。)。
9
被告らに関する刑事事件
(1)京都府警察は,示威活動①における言動が犯罪に該当すると判断し,平成22年8月10日,被告A,被告C及び被告Eを威力業務妨害罪及び名誉毀損罪の疑いで,被告Dを威力業務妨害罪,名誉毀損罪及び器物損壊罪の疑いで,それぞれ逮捕した。
(2)京都地方検察庁検察官は,平成22年8月31日,被告A,被告C及び被告Eを威力業務妨害及び侮辱罪の公訴事実で,被告Dを威力業務妨害及び侮辱罪並びに器物損壊罪の各公訴事実で,それぞれ起訴した。(3)本件示威活動とは別に,徳島県警察は,平成22年9月8日,被告A,被告D,被告E及び被告Fを,同年4月14日に徳島県教育会館に立ち入って徳島県教職員組合の業務妨害を行ったとの疑いで逮捕し,徳島地方検察庁検察官は,同年9月29日,被告A,被告D及び被告Eを建造物侵入及び威力業務妨害罪の公訴事実で起訴した。
(4)京都地方裁判所は,同裁判所へ移送された上記(3)の事件を上記(2)の事件に併合して審理した(以下,これらを併せて本件刑事事件という。)。(5)京都地方裁判所は,平成23年4月21日,本件刑事事件につき,被告Aを懲役2年,被告E及び被告Dを懲役1年6月,被告Cを懲役1年にそれぞれ処し,いずれについても判決確定の日から4年間その刑の執行を猶予するとの判決を宣告し,被告A,被告E及び被告Dについては同判決が確定した(乙4)。
(6)被告Cは,上記判決を不服として大阪高等裁判所に控訴を申し立てたが,同裁判所は,平成23年10月28日,被告Cの控訴を棄却するとの判決を宣告した(乙119の1)。
被告Cは,同判決を不服として最高裁判所に上告を申し立てたが,同裁判所は,平成24年2月23日,被告Cの上告を棄却するとの決定をした。そのため,被告Cについても,京都地方裁判所の上記判決が確定した(乙119の2)。
10

原告関係者についての刑事事件
京都区検察庁検察官は,平成22年8月31日,本件学校の校長であったKを都市公園法違反罪の公訴事実で京都簡易裁判所に略式起訴し,同裁判所は,同年9月9日,K校長に対し罰金10万円の略式命令を発し,同命令はその後確定した。

11

本件学校の統合移転本件学校は,原告の学校組織の再編により,平成24年4月6日をもって休校し,同日から,丁学校に統合された。丁学校は,甲学校という名称に改められ,平成25年4月から京都市伏見区○○a番地bに建設された新校舎に移転した。
第3
1
争点の
争点の摘示
本案前の争点(争点1)
被告在特会に対する訴えの関係では,被告在特会が,民事訴訟の当事者となりうるか(当事者能力があるか)どうかが争われている。

2
本案のうち損害賠償請求に関する争点
原告の損害賠償請求については,以下の(1)ないし(5)が争点である。(1)本件示威活動が不法行為に当たるかどうか(争点2)
本件示威活動に関する違法性ないし責任の阻却事由の有無も争われている。(2)本件映像公開が不法行為に当たるかどうか(争点3)
(3)共同不法行為性(争点4)
本件示威活動に参加した被告らが,本件示威活動及び本件映像公開について,共同不法行為(民法719条,709条)に基づく連帯責任を負うかどうかにつき,被告F,被告H及び被告Gは明示的にこれを争っている。(4)被告在特会及び被告Bの使用者責任(争点5)
(5)原告の損害(争点6)

3
本案のうち差止請求に関する争点(争点7)
差止請求については,差止めの可否及び必要性が争われている。

第4

争点にする原告主張の
原告の
争点に関する原告の主張の要旨

争点1被告在特会の当事者能力)について】
【争点1(被告在特会の当事者能力)について】
1
組織の運営に関する規約が存在し,構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,組織の意思決定の方法,組織の代表の方法,組織の財産の管理方法が決められている団体は,民事訴訟法29条の法人でない社団に該当し,民事訴訟における当事者能力を付与される。2
被告在特会は,その規約(会則)によれば,団体としての目的が存在し,会員の総会における議決権についての定めを有し,役員等の機関が設置されており,寄付金による運営及び会計年度についての定めも有する。
また,被告在特会は,自己名義の預金口座を管理しており,さらに,被告在特会のウェブサイトには,500円から10万円の寄付金をクレジットカードにより決済することが可能な仕組が設置され,被告在特会はこの仕組を利用して,ウェブサイトの閲覧者に対して広く寄付を呼びかけている。これらの事実に照らせば,被告在特会が民事訴訟法29条の法人でない社団に該当することは明らかである。
争点2本件示威活動の不法行為該当性)について】
【争点2(本件示威活動の不法行為該当性)について】
1
原告の人格権(民族教育実施権)を侵害していること
(1)原告は,民族教育事業を実施することを目的とする学校法人であり,以下に述べるとおり,児童らの民族教育を受ける権利(自らの属する民族の言葉によってその文化及び歴史を学ぶことにより,一個の人間として成長及び発達し,自己の人格を完成及び実現する教育を受ける権利)を実質的に保障するために極めて重要な意義を持つ民族教育を実施する権利(以下民族教育実施権という。)を有している。(2)憲法上の保障
憲法第三章による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国人に対しても等しく及び,内国法人の権利についても,性質上可能な限り,憲法上の保障が及び得るところ,教育を実施する自由は,後記のとおりの民族教育権に対する国際人権法上の保障とあいまって,人格的生存に不可欠な権利として憲法13条により保障される。その中でも社会の中の民族的な少数集団(以下,単に少数集団という。)の民族教育に関しては,後記のとおり,民族的自我の確立に不可欠であることから,厚い保護が与えられなければならない。また,この権利は,教育を受ける権利の自由的側面として,憲法26条によっても同様に保障される。
(3)国際人権法上の保障
教育に対する権利(righttoeducation)は,世界人権宣言26条1項,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(いわゆるB規約である。以下社会権規約という。)13条1項,児童の権利に関する条約(以下子どもの権利条約という。)28条1項で明文規定されている普遍的人権の一つである。
この権利は,人権行使の前提条件であると同時に,他の人権を強化し,実質化する機能を備えており,その意味で,種々の人権の中でも最も基礎的かつ重要な権利の一つと位置づけられている。教育は人格の全面的発達及び人間の尊厳の確立に不可欠であり,教育に対する権利の承認と保障なしには自らの人権を認識することも十分に行使することもできないからである。また,社会権規約13条3項及び4項,子どもの権利条約29条2項の各規定をも踏まえれば,少数集団が私立学校を設立及び維持して,母語教育及び民族教育を行う権利を有することは明らかである。
したがって,外国人学校及び民族学校の民族教育実施権は,普遍的人権としての教育に対する権利の一部として,国際人権法上も保障されているというべきである。
(4)少数集団の権利としての民族教育
外国人学校及び民族学校が実施する母語教育及び民族教育は,普遍的人権としての教育に対する権利の一部であると同時に,民族的,宗教的,言語的少数集団に属する人々の持つ権利であるといえる。つまり,全ての人に平等に保障されるべき人権としてだけではなく,少数集団に特有な権利として二重に保護されるべき権利なのである。市民的及び政治的権利に関する国際規約(いわゆるA規約である。以下自由権規約という。)27条は,種族的,宗教的又は言語的少数民族が存在する国において,当該少数民族に属する者は,その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し,自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されないと規定しており,ここから少数集団に属する者の持つ権利としての民族教育権が導き出される。
少数集団に付与される諸権利の中心は,少数集団に属する個人が,自由に,しかもいかなる形態の差別もなしに,私的かつ公的に,集団の他の構成員とともに,自己の言語を使用し,文化を享有し,宗教を信仰及び実践する権利であり,この権利は個人に帰属するが,集団の存続と社会的及び経済的地位の向上,集団的特性の保持に関わる権利である以上,当然,集団的に行使することが認められる。
そして,子どもにとって,差別も制約も受けずに自由に母語が使用できること,学習によって母語の能力を伸張できる環境と条件を提供されることは,自分の帰属集団への自信と誇りを持って生きることに直結しており,母語教育及び民族教育は,少数集団が自我を維持して存続するために不可欠な営みであり,母語教育及び民族教育を行う権利は,少数集団の権利の重要な構成要素である。このことは,子どもの権利条約29条1項c及び30条の規律に照らしても明らかである。
(5)日本国内における在日朝鮮人に対する民族教育の重要性
民族教育は,全ての民族にとって必須のものであり,現に,我が国においても,海外に在留する日本人の子どものために,学校教育法に規定する学校における教育に準じた教育を実施することを主たる目的として,在外教育施設(日本人学校,補習授業校,私立在外教育施設)が設置されており,日本の主権の及ばない外国においても,日本人の子どもたちが,日本国民にふさわしい教育を受けやすくするための教育事業が広く行われている。我が国における歴史的経緯を踏まえれば,日本国内における在日朝鮮人に対する民族教育は,特別な意義を有する。
(6)上記のとおり,原告の民族教育実施権は,個々の在日朝鮮人の人格形成にとって必要不可欠なものであり,人格権としての法的保護が与えられる。被告らは,本件示威活動によって,原告の民族教育実施権を侵害したのである。しかも,被告らは,示威活動①②では,平日の学校教育の実施の時間帯において,多数人により本件学校付近に赴き,拡声器を用いるなどして示威活動を行うことにより,原告の授業を妨害し,また,当初予定していた授業内容を変更せざるを得なくしたのである。
2
人種差別を煽動する言動であったこと
(1)被告らの本件示威活動での発言は,在日朝鮮人という少数集団を対象とし,当該少数集団に対する憎悪や敵対意識を強調し,当該少数民族に対する差別的意識を周囲に表明するというもの-いわゆるヘイトスピーチ-である。(2)ヘイトスピーチは,平等の理念を否定し,少数集団に対する憎悪を煽り立て,少数集団に属する人々の自尊心や民族的自我を傷付け,少数集団に対する深刻な被害をもたらすものであって,日本も批准しているあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(以下人種差別撤廃条約という。)が禁止している人種差別に該当する。
(3)被告らのヘイトスピーチは,原告が民族教育事業の目的の中核とし,原告の存在意義というべき自尊感情,自己肯定感に対して直接の攻撃を行ったものであり,これらの発言内容は,その攻撃的な表現態様ともあいまって,長年にわたる民族教育の効果の蓄積を,一瞬にして消失させかねない悪質な侵害行為であり,原告の民族教育実施権に対する違法な侵害と評価すべきである。

3
名誉及び信用を毀損していること
被告らは,本件示威活動において,別表甲の番号1ないし28のとおり,公然と虚偽の事実を摘示したり,在日朝鮮人を侮辱する発言(番号12及び19については文字表現)を繰り返した上,本件示威活動の映像を公開した(以下,別表甲に記載の発言又は文字表現については,同表の番号により番号1の発言などという。番号1から28までの発言及び文字表現を総称して本件発言という。)。本件発言により,原告の関係者,児童,保護者らが耐え難い屈辱や苦痛を味わったのはもちろんであるが,本件発言は,法人としての名誉や信用といった原告の社会的評価を著しく低下させるものであった。
4
名誉毀損としての違法性又は責任が阻却されないこと
(1)名誉毀損は,公共の利害に関する事実に関し,専ら公益を図る目的で行われた場合,摘示事実が真実であることが証明されたときは違法性がないとされ,あるいは,摘示事実を真実と信じるにつき相当な理由があるときは過失がないとされ,いずれの場合も不法行為が成立しない。しかし,本件発言は,以下のとおり,公益目的に出たものとはいえないし,摘示事実も真実ではなく,またそう信じるにつき相当な理由もない。
(2)表現行為が専ら公益を図る目的に出たものかどうかは,その表現方法や事実調査の程度なども判断資料とされ,表現方法が不相当なことは,公益目的を欠くことを推認される事情となる。また,意見・論評による名誉毀損行為についても,それが人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものである場合は不法行為責任を免れない。
本件発言は,憎悪,反感,敵意,在日朝鮮人に対する差別意識が露骨であり,本件映像公開を通じて,不特定多数人の感情的な反応を引き出し,差別に対する共感や支持を得る目的で企図されたものである。本件学校が本件公園を不法占拠しているとの事実の指摘は,上記目的を達成するための道具として使われたにすぎない。本件示威活動における発言は,公益目的に出たものとは到底いえない。(3)番号1,12,13,19,24及び28の発言は,本件学校が本件公園を50年間にわたり不法占拠してきた事実を摘示するが,その摘示事実は真実ではない。
本件学校は,昭和38年の京都市及び○○町自治連合会との協議を踏まえて本件公園を体育の授業や部活動で使用するほか,運動会及び本件学校の創立記念式典の会場として使用していた。ところが,京都市の担当者が,平成21年6月頃,本件学校を訪れ,サッカーゴール及び朝礼台の撤去を求めたため,本件学校は,同年7月10日,京都市に対し,平成22年1月31日にサッカーゴール及び朝礼台を撤去するとの提案を行い,京都市もこれを承諾していたのである。本件学校は,京都市からの撤去申入れを無視して本件学校にサッカーゴール等を設置し続けていたわけではない。
そして,被告らが上記摘示事実に関連して行った調査は,近隣住民及び近隣工事現場の警備員からの聴き取り,市役所職員との面談,本件公園の下見といった程度であり,摘示事実を真実と認めるに足りる相当な理由があるとは到底いえない。
(4)番号2及び14の発言は,本件学校の土地を原告が侵奪した旨の事実を摘示している。また,番号3ないし5,16,25及び26の発言は,本件学校が北朝鮮によるスパイや日本人拉致事件の犯人を養成する機関であるとの事実,あるいは,本件学校が在日本朝鮮人総聯合会(以下朝鮮総連という。)と一体であるとの事実を摘示している。しかし,これら摘示事実は何ら真実ではなく,またそう信じる相当な理由もない。
争点3本件映像公開の不法行為該当性)について】
【争点3(本件映像公開の不法行為該当性)について】
1
本件映像公開は,不特定多数人に対し,臨場感をもって,原告が攻撃される様子を見せるという行為である。本件学校の関係者や児童を汚い言葉で攻撃する行為は,すなわち原告に対する攻撃であり,攻撃の標的とされた本件学校の関係者や児童の名誉や自尊心を傷つけることは,すなわち原告に対する権利侵害である。本件映像公開は,本件示威活動がいかなるものであったかを認識しながら,敢えてその様子を不特定多数人に見せようとするもので,それ自体が重大な違法性を有するのである。
また,被告Fが,一旦,ある映像をインターネット上で配信可能な状態に置いてしまうと,たとえ被告Fが当該映像の配信を止めたとしても,映像データを保存した閲覧者が,独自に当該映像をインターネット上で配信可能な状態にすることが可能となる。
そのため,本件映像公開により,原告は,半永久的に,汚い言葉で被告らから攻撃されている様子を公開され続ける危険に曝されたのでる。このような特殊な効果にも思いを致すなら,本件映像公開の違法性は一層顕著なものとなる。2
被告Fは,映像を動画サイトに投稿する際,映像の題名及び説明文を自ら編集している。これらの題名及び説明文は,映像を検索され易くし,より多くの閲覧者を呼び込む効果を持つ。すなわち,被告Fは,単に映像を投稿して配信可能な状態に置いたというだけでなく,題名及び説明文の編集を付加することで,原告が被告らから攻撃される様子がより広範囲で公開されるよう仕向けたのであって,被告Fの編集行為は,それ自体でも重大なその違法性を有する。
争点4本件示威活動共同不法行為性)について】
【争点4(本件示威活動の共同不法行為性)について】
1
本件示威活動は,それぞれに参加した被告らによって行われた一体の不法行為であり,被告らは,民法719条に基づき,共同不法行為責任を負う。以下,これを明示的に争う被告F,被告H及び被告Gについて述べる。
2
被告Fについて
(1)被告Fは,本件示威活動の人種差別的な示威活動の様子を撮影した上,インターネットを通じて,その映像を不特定多数人に見せているのであり,被告Fと被告在特会らは客観的に関連共同して原告に損害を与えている。被告Fが映像を公開する行為は,被告在特会が支持者を増やし,資金を獲得するという活動方法の重要な一部を構成しているのであって,それ自体が,被告Fとその他の被告らが共謀して活動していることをはっきりと示すものであり,相互の主観的な関連共同性を認めることができる。
(2)他方,被告らも被告Fに対し,被告らの仲間として対応している。被告Eは,示威活動①において,被告Fに対し

F’さん。F’さん

こいつ,こいつ,F’さんこいつと呼びかけ,本件学校関係者の撮影を指示し,被告Fは,指示に応じて,上記関係者の面貌を撮影しているほか,示威活動①の終了後,被告Fは,他の参加者と共に参加者の車に乗りこみ,八幡文化センターへと同道し,移動の状況も撮影している。これらの事実は,被告らが,被告Fを仲間として扱っていることにほかならない。
(3)また,被告Cは,示威活動②において,拡声器を用いてあの,12月の4日,あの動画が公開されてからというものは,この活動の流れというものは,一段と加速したと思うんですよ。やっぱり,この勢いを消してはだめです。さらにさらに加速して,一気に持っていけるように,寄りきれるように,私たち力を合わせて頑張っていこうじゃないですかと演説している。(4)これらの事実によれば,被告在特会や主権会の名で示威活動を行う者たちが,映像の公開が示威活動を行う上で重要なことであり,撮影及び公開を行う被告Fが,示威活動においての重要な役割を担う人物であると認識していることが明らかである。したがって,被告Fとその他の被告らは,互いに意思を通じ,示威活動における役割分担を行っていたということができるのである。
(5)被告Fは,平成22年12月30日付朝日新聞朝刊の取材に対し,被告在特会の示威活動の撮影を行っている理由として行く度に喜ばれ,必要とされたからと述べており,被告F自身,示威活動に参加する被告らとの主観面での結びつきを認めている。
(6)したがって,被告Fと他の被告らは,客観的にも主観的にも関連共同しているものであり,被告Fは,他の被告らと共同不法行為責任を負う。3
被告Hについて
被告Hは,示威活動②③に参加したが,これ以前にも被告在特会の示威活動に参加しており,示威活動②の時点で他の被告とは既に知り合いであった。被告在特会や主権会の会員でないにせよ,被告Hは,他の被告らと人的つながりがあった。また,被告Hは,被告在特会の主義主張を支持し,これに同調する考え方を持っていた。
被告Hは,示威活動②③において,ただ単に示威活動の列に加わって歩き,主導者に従って気勢を上げていた参加者ではなく,拡声器を通じて様々な発言をし,参加者に気勢を上げることを主導していたのであって,他の被告らと共謀し,積極的・主導的に示威活動に加わっていたというべきである。したがって,被告Hは,示威活動②③につき,他の被告らと共同不法行為責任を負う。
4
被告Gについて
被告Gは,示威活動②③に参加したが,被告在特会の執行役員の一人であり,また,副会長として被告在特会の地方支部運営者の任命や解任を行っており,関西支部に送られてくるメールをチェックし得る立場にもあった。被告Gは,示威活動②では,拡声器を使用して気勢を上げるよう主導し,示威活動②③において,被告在特会の幹部としての役割を果たしていたものであり,その責任は,他の被告らと比べて何ら軽いものではない。したがって,被告Gは,示威活動②③につき,他の被告らと共同不法行為責任を負う。
争点5被告在特会及び被告B使用者責任)について】
【争点5(被告在特会及び被告Bの使用者責任)について】
1
被告在特会の使用者責任
被告在特会は,在日韓国人・朝鮮人問題を広く一般に提起し,在日を特権的に扱う,いわゆる在日特権を無くすための活動を行う社団であり,設立から今日に至るまで,在日朝鮮人その他の外国人を敵視攻撃する示威活動を繰り返している。本件示威活動においては,いずれも被告在特会の名称を記した幟が掲げられ,拡声器を通じて在日特権を許さない市民の会と名乗った上で,在日朝鮮人に対する激しい攻撃が行われているから,本件示威活動が被告在特会の業務として行われたことが明らかである。
示威活動①においては当時被告在特会の京都支部長であった被告A及び大阪支部長であった被告Dが,示威活動②においては被告A,被告D及び副会長であった被告Gが,Y公園発の示威活動においては被告A及び被告Gが,四条での示威活動においては被告Dが,それぞれ原告に対する不法行為を行っているが,これらの者は,いずれも,被告在特会の会則に基づき,被告在特会の指揮監督を受ける立場にあった者であった。
したがって,被告在特会の会員であった被告らが共同不法行為責任を負う行動に関し,被告在特会も民法715条に基づき同じ賠償責任を負う。2
被告Bの使用者責任
被告Bは,自ら参加した示威活動②③について原告に対する直接の不法行為責任を負うとともに,本件示威活動について,使用者責任をも負う。被告Bは,現在の日本は,シナ・中共,朝鮮などの内政干渉に屈服し続け今に至り,その惨憺たる現状は述べるまでもないという独自の問題意識を掲げ,中共朝鮮反日虐日勢力と戦い,保守運動の行儀の良さと訣別し,行動で以って自らの理念と言論を証明する方針の下で,定例街宣,時局に応じたデモ行進等具体的な実践を重視する活動を主権会の名義で行う者である。
示威活動①では,主権会の名称を記した幟が掲げられた上,被告Cが拡声器を通じて私たちは,主権回復を目指す会…今日はこの公園を我々日本人の手に取り戻すための行動を起こしているんですこれは侵略行為なんです,北朝鮮によると発言しており,示威活動①は主権会の事業として行われている。また,四条での示威活動は,被告在特会のホームページ上で主権会の関西支部の主催で行われる旨が告知されたにもかかわらず,被告Bはこれに異議を述べず,示威活動③につき,他の被告らとの共謀に基づき,人員の配置を決めたものである。
主権会の関西支部幹事であった被告A,同支部事務局長であった被告E及び同支部長であった被告Cは,本件示威活動において,それぞれ原告に対する不法行為を行っているが,これらの者は,被告Bの指揮監督を受ける立場にあった。このことは,被告Bが,平成22年5月3日付けで,被告A及び被告Eを含む主権会の会員4名の除名処分を行っていることからも明らかである。したがって,主権会の会員であった被告らが共同不法行為責任を負う行動に関し,主権会(すなわち被告B)も民法715条に基づき同じ賠償責任を負う。争点6原告の損害)
する当事者主張】
当事者の
【争点6(原告の損害)に関する当事者の主張】
1
示威活動①で壊されたスピーカーの損害

4万7040円

被告らは,平成21年12月4日,本件公園に設置された原告所有のスピーカー及びコントロールパネルの配線コードをニッパーで切断して損壊した。この損壊行為による損害(修補費用)は4万7040円である。
2
示威活動①の直後のビラ配布費用

670円

朝鮮学校を支える会・京滋は,平成21年12月22日,京都会館において朝鮮学校への攻撃を許さない!12・22緊急集会を開催し,原告は,緊急集会の案内ビラを児童らの保護者134名に配布したが,その作成配布に670円(保護者1名当たり5円)を要した。
3
示威活動②の際の課外授業・課外保育の費用

11万5430円

本件学校は,示威活動②による児童への被害を未然に防止するため,平成22年1月14日の授業の予定を変更し,校外での課外授業及び課外保育を行うこととした。
低学年については琵琶湖博物館(入場無料)において,高学年については国立民族学博物館(1名当たり入場料90円)において課外授業を行うことになり,原告は,2台の観光バスのチャーター費用10万5000円,高速道路通行料4900円(高学年のみ),国立民族学博物館の入場料(54名が参加)の入場料4860円,保護者134名への連絡文書の作成配布費用670円(保護者1名当たり5円)の支出を余儀なくされた(支出の合計は11万5430円)。
4
無形損害のうち民族教育実施権の侵害に関する被害内容
(1)本件は,民族性の象徴ともいえる本件学校に対して民族的憎悪がぶつけられ,これによって民族教育業務が妨害されたという事件である。民族教育業務への妨害は,経済的損失が問題となる場面ではなく,人格的な価値が評価対象となるのであり,これは金銭損害の立証を観念し得ないものであるから,無形損害として把握されなければならない。
(2)無形損害の評価にあたっては,憲法的価値を重視すべきところ,前記主張のとおり,原告の民族教育実施権は憲法上・条約上の保護を受ける権利である。また,前記のとおり,被告らによる本件示威活動における発言はヘイトスピーチに該当するところ,人種差別撤廃条約が,締約国は立法を含むあらゆる方法により人種差別を禁止し終了させるべきであると規定し(2条1項d),その重要な実現手段として,人種差別の扇動等に対する法律による処罰(4条a,b)に加え,裁判所における効果的な保護と救済を定めている(6条)ことからすれば,本件において原告の被った無形損害についての賠償額の算定にあたっては,本件活動が人種差別撤廃条約で禁止された人種差別であることを考慮して高額の賠償額を算定すべきである。
(3)さらに,本件示威活動は,人種的憎悪を動機として組織的かつ集団的に行われ,被告らの生活圏とは無関係の本件学校及び本件公園までわざわざ出向くという能動性を有し,計画的かつ反復継続的に行われたものであり,しかも,過激さの演出のためにあえて違法性の高い行為に及んだという点で,人種差別行為の中でも,人種差別撤廃条約4条において犯罪として取り締まるべきとされている極めて悪質な類型に該当する。(4)これに加えて,被告らは,不特定多数の公衆に対する大規模なヘイトスピーチを行っており,これにより差別意識の広範な伝播が生じており,被害者が受けた恐怖及び不安は飛躍的に大きなものとなっている。
実際にも,本件学校の教職員らは,本件示威活動によって様々な対応を余儀なくされた。示威活動①の予告を認知した平成21年11月19日から平成23年3月24日までの延べ対応時間数だけでも,別表乙のとおり,765.5時間を下ることはなく,莫大な負担を強いられたものである。5
無形損害のうち名誉毀損による被害内容
(1)原告は,終戦直後の時期以来,日本社会の根強い差別意識の中で,日本政府からの直接の排斥,弾圧,敵視すらも受けながらも,確固たる信念と熱意のもと,在日朝鮮人の子どもたちのために惜しみない努力を結集し,これに応えて数多くの児童たちが校内外で活躍し,卒業生が日本社会と世界に貢献した結果,何十年もの長期間をかけて,高い社会的評価を培ってきた。高い社会的評価を維持し続けることは,入学児童の募集のため極めて重要なことであるし,本件学校に通う児童らが健全な民族意識を培う上でも大切である。
(2)残念ながら日本社会においては,今日においてもなお,在日朝鮮人に対する差別意識が広く存しているところ,被告らによる本件活動は,日本社会の差別意識を喚起し扇動するものであったし,原告の名誉及び信用を大きく損なうものであった。インターネットを通じた映像の公開により,本件示威活動における差別的発言が日本社会に広く撒き散らされたため,損なわれた名誉及び信用を原状に回復するには,想像を絶する困難を伴う。
(3)被告らは,在日朝鮮人等を卑下する差別意識の扇動を目的として活動してきた団体等であり,社会的評価が損なわれた場合の損害の大きさを熟知した上で本件活動に及んでいるから,高額の賠償を課しても酷とはいえないし,むしろ被害の深刻さに照らし,ある程度の高額の賠償が課せられるのでなければ,正義及び公平の理念が没却されることになる。
6
法人構成員の精神的苦痛の評価
通常,法人の損害とその法人に関与する個人の損害とは別のものとして整理されるが,本件学校が関係する在日朝鮮人の自己実現に極めて重要な役割を果たしていることからすれば,本件学校の教員や児童,その父母らの精神的苦痛の総量が積極的に評価されるべきである。

7
弁護士費用
本件は,原告側の関係者が多数で聴き取りに膨大な労力を要すること,被告らが不特定多数で匿名性が高く,その特定が極めて困難で調査に膨大な労力を要したこと,数次にわたる示威活動について警備態勢の助言を求められ,証拠を保全するために代理人も示威活動の現場に出向いていること,告訴,2回の仮処分,2回の間接強制及び本訴の対応など数次にわたる法的対応を迫られたこと,裁判書を受け取らない相手方への付郵便送達のために居住地調査を余儀なくされたこと,弁護士への業務妨害の危険も高く,複数人の対応を常時要していたこと,法的論点が多岐にわたること,並びにマスメディアの関心が高い事件で代理人による対応に労力を要したこと等の特殊事情がある。本件における弁護士費用は,事案の特殊性・困難性及び被告らの応訴態度等諸般の事情を十分斟酌し,損害額の25パーセントとするのが相当である。
8
損害額
上記1ないし6の損害合計は,示威活動①及び映像公開①によるものが1000万円を,示威活動②及び映像公開②によるものが1000万円を,示威活動③及び映像公開③によるものが1000万円を,それぞれ下回るものではない。

争点7差止めの可否)について】
めの可否
【争点7(差止めの可否)について】
1
最高裁判所昭和61年6月11日大法廷判決・民集40巻4号872頁(以下北方ジャーナル判決という。)は,表現行為に対する事前抑制は,原則として許されないものと判示した。しかし,ここにいう事前抑制とは,ある表現主体が発する情報が流通過程に乗ること自体を妨げる検閲や出版の差止め(狭義の事前抑制)を意味している。
これに対し,請求の趣旨4項及び5項は,いずれも,原告の民族教育実施権の保障に最低限必要な範囲(半径200メートル)における迷惑行為及びこれに対する本件街宣車の提供の禁止を求めるものに過ぎず,その範囲外の場所における行為については何の制約も求めていない。現に,被告らは,本件仮処分決定のあった後も,禁止の及ばない場所で,ヘイトスピーチを含む街頭での示威活動を繰り返し,その映像を公開している。
したがって,本件請求の趣旨4項及び5項は,被告らが発する情報の流通を実質的に妨げるようなものではなく,北方ジャーナル判決が許さないとする表現の事前抑制ではない。
2
差止めの必要性について
被告らは,これまで3回にわたって本件学校に対する攻撃的行動を仕掛けており,とりわけ,示威活動③は,本件仮処分決定を無視して行われたものである。
また,被告在特会代表者のJは,本件仮処分決定を受けても,なお反日教育を推進する犯罪者の巣窟,子どもの未来を奪う児童虐待を継続して行っている朝鮮学校を一日も早く消滅させるため,在特会はこれからもまい進して参りますと公に宣言している(甲7)。さらに,被告A,被告E及び被告Fは,本件学校の休校後も甲学校の校舎を建築中であった移転先に現れ,敷地内に無断侵入してその様子を撮影し,映像を公開しており(甲61),本件学校が移転した先でも原告の学校運営に文句を付ける態度を維持している。
被告らは,上記以外にも,在日朝鮮人社会に対して,執拗な攻撃行動をとり続けており,このような状況に鑑みれば,請求の趣旨4項及び5項の差止めの必要性は肯定される。
第5

争点にする被告らの主張
被告らの主張の
争点に関する被告らの主張の要旨

争点1被告在特会の当事者能力)について】
【争点1(被告在特会の当事者能力)について】
1
被告在特会は,在日問題を広く一般に提起し,在日を特権的に扱う,いわゆる在日特権を無くすことを目的とし,様々な報道媒体が在日朝鮮人に関する問題を提起することに協力している集団であり,市民の集合体であって,社団ではない。被告在特会に入会することも離脱することも市民の自由であり,会員には会費納入等の義務も活動に参加する負担もない。被告在特会の活動は,ウェブサイト,インターネットの掲示板又は映像を見て,被告在特会の活動に共鳴した不特定多数の市民が参加することによって成り立っているのであって,社団としての活動ではない。
被告在特会には,運営に関する意思決定機関として,会長,副会長,事務局長らからなる執行役員会が設置されているが,最終決定権は,代表である会長に留保されている。執行役員は自発的に就任しているだけで,執行役員と被告在特会との間に雇用関係や委任関係は存在しない。
現在,全国に37の被告在特会の地方支部が存在し,それぞれの支部に支部長の肩書を有する者がいるが,それら役職者も自発的に就任しているだけで,被告在特会との間に雇用関係や委任関係は存在しない。また,被告在特会の本部と地方支部との間に,組織的行動を行わせたり,統制を図ったりするための指揮命令系統といったものも存在しない。
被告在特会の会則には,総会等の規定が存在し,定期総会又は臨時総会を開くこととなっているが,これらの総会への参加のための会員登録は特に制限されておらず,誰でも,被告在特会の総会に参加し,執行役員の承認等に関する議決に加わることが可能である。

2
民事訴訟法29条により当事者能力が肯定されるためには,①取引上一個の主体として独立した存在であること,②団体としての組織が整っていること,③構成員個人から切り離された存在であること及び④構成員の財産から独立した団体の財産が存在することという4要件の充足が必要であると解される。しかし,上記のとおり,被告在特会は,不特定多数の市民が自由に加入及び離脱できる開かれた集団であり,経済的取引主体としての独立性がなく,役職名を有する会員の相互の権限配分も明確ではなく,会員に対する統制力(内部的指揮命令系統)も存在せず,固定資産も基本財産も持たないのであるから,民事訴訟法29条の法人でない社団に該当しない。
争点2本件示威活動の不法行為該当性)について】
【争点2(本件示威活動の不法行為該当性)について】
1
被侵害利益について
原告が民族教育事業を行う利益を有しており,その名誉ないし信用にかかる保護法益を有していることは争わないが,これを人格権と呼んで特段の保護を与える必要性はなく,また,その理由もない。
原告に対しても,他の法人と同様,第三者からの業務妨害や名誉ないし信用毀損については刑事上及び民事上の保護があるのであって,これについて人格権としての民族教育実施権などという新奇な概念を立てる必要はない。
2
発言の内容による原告の社会的評価の低下について
原告は,ヘイトスピーチなる概念を持ち込むことにより,在日朝鮮人という少数集団を嫌悪する言動が,原告の社会的評価を低下させ,原告に対する不法行為を構成するという主張をしているようである。しかし,ある少数集団に対する差別的言動は,直ちには,当該集団の個々の構成員に対する不法行為を構成するとはいえない。したがって,在日朝鮮人という少数集団に対する差別的言動が原告に対する不法行為に当たるとの主張は誤っている。なお,番号11の発言は,別表甲のとおり,警察官に対して向けられた発言にすぎず,原告に対する不法行為となるものではない。

3
原告の業務への支障について示威活動③のあった平成22年3月28日は日曜日であり,示威活動③が実施された場所は本件学校の前ではなかったから,示威活動③により原告の業務に支障は生じていない。
4
違法性又は責任の阻却
番号1ないし6,8,9,12ないし14,16ないし20,22ないし28の発言や文字表現によって摘示された事実は,別表甲の被告らの主張のとおり,公共の利害に関する事実であり,かつ,真実であるため,それら摘示事実の表現行為は違法性が阻却される。仮に,真実であるとの証明がない場合であっても,真実であると信じたことにつき相当な理由があるから,当該事実を摘示した被告らには過失がなく,被告らの責任が阻却される(別表甲の被告らの主張欄に,摘示事実について真実であるという部分は表現の違法性が阻却されるとの主張であることを意味し,真実と信じるにつき相当の理由があったとは,表現者に過失がなく責任が阻却されるとの主張であることを意味する。)。
上記発言は,上記のような事実を基礎として論評(意見表明)を行ったものであるから,たとえ論評がいかに愚劣であっても,たとえその用語や表現がいかに激越・辛辣,時には揶揄的から侮辱的に近いものにわたることがあっても,違法性又は責任が阻却される。いずれも真実であるか,真実と信じるにつき相当の理由があった。
番号7,8,10,15及び21の各発言は,別表甲の被告らの主張のとおり,いずれも本件学校関係者の態度や発言に対する応酬的な悪態に過ぎず,違法性が阻却される。

争点3本件映像公開の不法行為該当性)について】
【争点3(本件映像公開の不法行為該当性)について】
1
被告Fは,被告らとともに本件示威活動の計画に加わったことはなく,常に野次馬的に参加し,目の前で起こったことを撮影し,できる限り主観を排して投稿したに過ぎない。すなわち,被告Fは,映像公開①では12月4日京都児童公園を無断で校庭として使う朝鮮学校から奪還のタイトルは付加しているものの,意図的な編集を加えず,場所の特定もせず,説明文やコメント,テロップの類を付加することなく公開している。
このように,被告Fの行為は,実際の出来事を撮影した映像を,平板な題名や説明文を付して投稿したというものであり,これは真実に基づく意見表明であるから,不法行為は成立しない。
2
原告の関係者も朝鮮学校をレイシストが襲撃というタイトルで街宣場面の映像を公開している。そこではX公園という単語も含まれており,場所が特定されている。他にも原告側の立場から映像の投稿がなされており,本件示威活動の映像をインターネット上で半永久的に閲覧可能な状態に置いているのは原告も同様なのである。実際に,原告が,被告F又は動画サイトに対し,本件示威活動の映像の削除を要請していないことからも明らかなように,原告は,動画サイトにおける映像の流布や不特定多数による閲覧によって深刻な被害を受けているわけではない。
この点でも,本件映像公開が不法行為に当たる余地はないというべきである。
争点4本件示威活動の共同不法行為性)について】
【争点4(本件示威活動の共同不法行為性)について】
1
被告Fの立場
被告Fは,被告在特会や主権会の会員ではなく,示威活動には参加せず,常に見物人の立場を頑なに守ってきた。ブルーリボン,国旗,幟などに触れたことも,被告在特会や主権会の主義主張を大声で唱和するということも,ビラ配りを手伝ったこともない。示威活動①の撮影の際にも,被告Eの指示に従ったことはなく,撮影対象を自ら選択して撮影を行った。
被告Fは,在特会や主権会の主義主張に賛同しているわけではなく,知らないことは悪という自己の信条に従って撮影や映像公開を行ったに過ぎず,被告在特会や被告Bの指示を受けて撮影や映像公開を行ったのではない。撮影の対象とする活動の情報を被告Eなどから電話で教えてもらうこともあったが,撮影に出向くときも,現場で立ち会うまで一体何の活動か判らないことも少なくなかった。
本件映像公開は,被告在特会や主権会の示威活動に勢いをつける効果をもたらしたかもしれないが,同時に,世間のひんしゅくを買ったり,刑事事件の決定的証拠となって示威活動を阻害する結果をもたらした。したがって,本件映像公開が果たした効果からは,被告Fとその余の被告らとの主観的又は客観的共同関連性を論じることはできない。
したがって,被告Fの行動とその他の被告らの行動との間には,共同不法行為責任の根拠となる関連共同性などないというべきである。
2
被告Hの立場
被告Hは,被告在特会や主権会の会員ではなく,示威活動の詳細を事前に知り得る立場にはなく,他の被告らと共謀したこともない。被告Hは,保守系の国民運動をしている人達がいれば,駆けつけて応援してあげたいという気持ちから,示威活動②③の予定をインターネットの掲示板で知り,自発的にこれに参加しただけである。
被告Hは,示威活動②において,行進の最後尾を歩いていたところ,顔見知りの被告Eから他の参加者の女性と2人で本件街宣車に乗車するよう求められ,これに応じて乗車すると原稿とマイクを渡されたため,この原稿の内容を数分間読み上げたが,被告在特会や主権会の主義主張に同調しているわけではない。また,被告Hは,示威活動③に参加した時点では本件仮処分決定の存在は知らなかったし,示威活動③において怒号を上げるような行為はしていない。したがって,被告Hの示威活動②③における行動は,他の被告らと共同不法行為責任を発生させるものではない。

3
被告Gの立場
被告Gは,被告在特会の副会長ではあったが,示威活動①はそれが行われることすら事前には知らされていなかった。示威活動②③には参加したものの,示威活動②においては冒頭に挨拶を行ったほかは,警察に対し示威活動を妨害する者の排除を求めたり,読売放送の取材に応じて活動の趣旨を話したに過ぎず(乙21),示威活動③においては行進に悪態をついていた男らの排除を警察に求めたという程度である(乙22)。したがって,被告Gは,示威活動②③について主導的な立場にあったわけではなく,他の被告らと共同不法行為責任を負わない。
争点5被告在特会及び被告B使用者責任)について】
【争点5(被告在特会及び被告Bの使用者責任)について】
1
被告在特会の執行役員や地方支部の支部長は,全員が自発的に無償で行う者であり,被告在特会との間に雇用関係又は委任関係は存在しない。被告在特会と地方支部との間には,組織的行動を行ったり,統制を図ったりするための指揮命令系統も存在しない。

2
主権会の使用者責任に関する原告の主張は何らの根拠もない主張である。
争点6原告の損害)について】
【争点6(原告の損害)について】
1
被告Dは,原告所有のスピーカー及びコントロールパネルの配線コードをニッパで切断しているが,スピーカー及びコントロールパネルを損傷させたわけではなく,修理費用が4万7040円というのは過大な請求である。本件刑事事件の一審判決は,被告Dに係る器物損壊罪につき損害額約1540円相当と事実認定している(乙4)。また,スピーカーに係る損害について賠償責任を負うとしても,損壊は共謀に基づいて行われたものではないから,その責任は被告Dだけが負うのであり,他の被告に対する賠償請求は認められない。

2
平成21年12月22日の京都会館における緊急集会での広告ビラの配布は,原告自身の政治活動に要した費用であって,示威活動①による損害ではない。
3
原告主張の課外授業に要した費用は,児童の保護者が負担したものと思われ,これに要した費用をもって損害とすることはできない。もし,原告が示威活動②による児童らへの悪影響を懸念したのであれば,課外授業を行うのではなく,街宣予告日までに不法占拠を解消すべきであった。
また,教職員らの休み時間が短縮され,勤務時間が延長されたとしても,原告の教職員らに超過勤務手当てはなく,超過勤務をもって原告の損害とすることはできない。そもそも,原告が本件公園からサッカーゴール等を撤去して違法状態を解消していれば,原告の教職員らの勤務時間が延長等されることもなかった。
示威活動③のあった平成22年3月28日は日曜日であり,示威活動③が実施された場所は本件学校の前ではなかったから,示威活動③により原告の業務に支障は生じていない。
本件学校の教職員が警察への対応等を余儀なくされたのは,原告が,あくまでも本件公園の不法占拠を継続しようと考えたからであり,原告が早々に設置物を本件公園から撤去していれば,教職員に負担をかけることはなかったのである。
4
被告らの本件示威活動における発言は,①朝鮮民族又は在日朝鮮人全体に向けられた発言であって原告に対する誹謗又は中傷とならないもの,②原告以外の者に向けられたもの,③原告又は本件学校の関係者の挑発に対する応酬としてされたもの,④公共の利益を図る目的で公共の利害に関するもので真実の内容を述べたもの又は原告関係者の挑発的な発言に対する応酬としてされたもののいずれかに該当するから,これらによって原告の社会的信用が低下することはない。

5
原告は,本件学校に関与する個人の精神的苦痛の総量を無形損害の算定に当たって考慮すべきと主張するが,このような法理を認めた裁判例はない。
6
本件学校による本件公園の不法占拠の事実(乙23)は,過失相殺の基礎事情としても斟酌されるべきである。

争点7差止めの可否)について】
めの可否
【争点7(差止めの可否)について】1

請求の趣旨4項及び5項の差止請求は,表現行為の事前抑制を求めるものである。本件示威活動における演説等の表現行為は,いずれも本件学校による都市公園法に違反した本件公園の不法占拠という,公共の利益に関する批判を内容とするものであるから,北方ジャーナル判決を踏まえれば,原告の主張は主張自体失当である。
また,原告が差止めを求めているビラ等の表現内容は原告を非難,誹謗中傷する内容の文言という極めて曖昧かつ包括的なものであり,X公園の不法占拠を糾弾する内容のものも高校無償化制度適用反対の趣旨のものも全て対象になり,原告の目的は被告らの一切の批判的活動を封じるところにあるから,これらが事前抑制に該当しないということはできない。

2
差止めの必要性について
原告が差止めを求めているのは,移転先の学校の門を起点として半径200メートル以内の範囲における迷惑行為であるが,仮にそのような範囲で迷惑行為に及べば,刑法の業務妨害罪や侮辱罪による処罰の対象となるから,民事判決によって差止めを命じる必要はない。
また,人格権侵害による差止請求が認められるためには,一般に,その侵害の危険が切迫しており,かつ,その侵害により回復し難い重大な損害が生じることが明らかであって,その損害が相手方の被る不利益よりはるかに大きい場合で,しかも,他に代替手段がなく,差止めが唯一最終の手段であることを要すると解すべきである。
しかし,本件学校の統合移転先の甲学校では,本件学校のような公園の不法占拠といった問題がないから示威活動を行う理由がないこと,そもそも被告らは,本件学校の教職員,児童その他の関係者に面談を強要したことなど一度もないこと,被告A,被告E,被告D,被告Cの4名は,本件刑事事件の訴追を受けたときに二度と同様の行為を繰り返さないと誓約していること,被告C及び被告Bは,本件の本人尋問において,法廷で謝罪の意思を明確にしていること,被告Hは,本件についてはけじめがついたと考えているため今後示威活動等に及ぶ意思はないことに照らせば,請求の趣旨4項の迷惑行為等の差止めの必要性は認められないというべきである。
3
被告Iに対する差止めの必要性について
被告Iは,マンションの管理人として住所地で妻と二人で暮らしているが,これまで政治活動に関わった経験はない。被告Iは,被告在特会及び主権会のいずれとも無関係であり,これらの団体が主催してきた示威活動等に関与したことはないし,息子(被告A)以外の被告らとの面識もない。また,被告Iは,平成18年頃以降,本件街宣車を全く使用しておらず,その後は被告Aが専ら本件街宣車を使用及び管理していた。このため,被告Iは,京都府警察が被告Aを逮捕するまで,本件街宣車にスピーカーが取り付けられていることも,本件街宣車が示威活動に使用されていることも知らなかった。したがって,請求の趣旨5項の本件街宣車の提供の差止めの必要性も認められない。理
第1


認定事実
前記の前提事実並びに証拠(甲1ないし11,25,29,30,32ないし46,48ないし55,57ないし83,89,95,99,106ないし113,115,117ないし145,151ないし153,158ないし166,168,169,174,177ないし179,181,187,乙1,4ないし10,20ないし23,28ないし31,34,39,40,42ないし48,53ないし56,100,118,119,129,132ないし151,158,159,166,189,被告H,被告I,被告F,被告C,被告B,被告G,被告在特会会長J,被告A,証人L,証人M及び証人N)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。

1
朝鮮学校について
(1)全国の朝鮮学校は,各都道府県知事により認可された学校法人である朝鮮学園が設置・運営している。在日朝鮮人の民族教育を行うための学校としては,在日本大韓民国民団が関与する韓国系の学校もあるが,朝鮮学校は,朝鮮総連が関与する北朝鮮系の学校である。
(2)朝鮮学校は,学校教育法134条にいう各種学校として位置づけられており,現在,その数は全国に約120校,生徒数は約1万2000人である。
朝鮮学校の教育体系は,幼稚班(1年ないし3年制),初級部(6年制),中級部(3年制),高級部(3年制),朝鮮大学(2年ないし4年制)及び朝鮮大学研究員(大学院課程)であり,朝鮮大学の卒業生がまた朝鮮学校の教師になるという仕組を形成している。朝鮮学校の入学の基本的条件は,北朝鮮籍の在日朝鮮人であるか,父母のうちいずれかが韓国人又は朝鮮人であることであり,入学者の中には,朝鮮籍,韓国籍のほか,日本国籍を有している者もいる。
朝鮮学校では,民族衣装を制服にし,学校内の日常用語として朝鮮語だけを使用するようにするなど,徹底した民族教育が行われている。
(3)朝鮮学校は,上記のように,学校教育法上の各種学校であり,国庫補助はなく,地方自治体から教育補助金の交付を受けている場合があるに過ぎないため,多くの朝鮮学校では,生徒の母親たちによって組織されるオモニ会や,父親たちによって組織されるアボジ会といったボランティア組織によって学校運営の補助が行われている。
(4)原告は,昭和28年に学校法人として認可された。本件学校は,戦後間もなく,日本の公立学校とは教育体系を異にする自主学校として設置された庚学校を前身とするものであり,昭和35年,同小学校が京都市南区○○の鉄筋コンクリートの校舎に移転した上,その名称を改めたものである。2
被告在特会について
(1)被告在特会は,Jによって平成18年12月2日に設立された団体であり,在日問題を広く一般に提起し,在日を特権的に扱う,いわゆる在日特権を無くすことを目的としている。被告在特会が是正すべきとして問題視する在日朝鮮人の特権とは,主に,在日朝鮮人に対する特別永住資格や通名制度等を指している。
被告在特会は,七つの約束と称する綱領を有しており,その内容は下記のとおりである。



在日による差別を振りかざしての特権要求を在特会は断じて許しませ
ん。


公式サイトの拡充,各地での講演会開催などを様々な媒体を通じて在日問題の周知を積極的に行っていきます。



各所からの講演要請があれば在特会は可能な限り応じ,集会の規模を問わず講師の派遣を行います。



在日特権に断固反対在日問題を次の世代に引き継がせない意
思表示として在特会への会員登録を広く勧めていきます。



当面の目標を登録会員数一万人に定め,目標に達し次第,警察当局や法務当局,各地方自治体,各政治家への在日問題解決の請願を開始します。



在日側からの希望があれば,放送・出版など様々なメディアにおいて公開討論に応じます。



不逞在日の犯罪行為に苦しむ各地の実態を知らしめ,その救済を在特会は目指していきます。

(2)被告在特会の会則(以下会則という。)には,要旨,下記のような規定がある(甲1)。



被告在特会の会員は,会員,メール会員,協賛会員及び協賛サイトの4種類により構成されており,会員及びメール会員が総会議決権を有し,会員が執行役員の被選挙権を有する(会則6条)。


被告在特会は,機関として,執行役員(会長,副会長,事務局長等),執行役員会,総会及び幹事を備えており,執行役員は総会での承認により選出される(会則7ないし10条)。



被告在特会の総会(定期総会及び臨時総会)は,会長が招集し,各議案(役員の承認,事業報告及び計画,予算及び決算,規約の改廃並びにその他の事項)については,議決権を保有する出席者の2分の1以上の賛成をもって決する(会則11条)。



被告在特会の運営は寄付金を基礎として行い,被告在特会が事業収入を得た場合には,これも運営資金に含めることとする。また,会計年度は4月1日から翌年3月31日までとする(会則16ないし20条)。


会長は,会計報告を総会に対して提出し,総会の承認を求める(会則22条)。



会員について,会員としての品性を欠く言動など,被告在特会の運営に著しい支障をきたし又は被告在特会の会員としてふさわしくないと認められるものがある場合には,この会員を,除名その他の処分に付することができる。この処分は,会長が職権によってなし得るほか,会員及びメール会員の2分の1以上から処分の要請があった場合には執行役員会の議決,総会で議案として提案された場合は出席者の2分の1以上の賛成によって行うことができる(会則25条)。

(3)被告在特会の会員になるためには,被告在特会のウェブサイトから,登録用書式に従って登録するだけでよく,入会費又は会費は不要である。被告在特会の会員数は,設立当初は約500名程度であったが,平成24年頃には,1万2000人を超えた。
被告在特会は,平成24年時点で,全国に37の支部を有しており,会の活動は,基本的に支部に任されているが,会長であるJが直接指示を出すこともある。
被告Gは,被告在特会の副会長であるが,同時に執行役員として地方支部運営の任命や解任を行う権限を有していた。
会則11条の総会は実際に開催されており,そこで会のおおまかな方針が決せられる。定期総会には,200名程度の会員が出席し,その決議は拍手によって行われる。
また,会則25条の除名処分は,これまでに3回行われたことがある。(4)被告在特会は,会員からの寄付を財源としており,被告在特会名義で管理している預金口座への振込の方法のほか,500円から10万円までのクレジット決済の方法による寄付を募っている。平成22年下半期には,被告在特会への寄付は,振込によるものが651件,クレジット決済によるものが429件あり,これまでの寄付金の中には1回の寄付が1000万円を超える多額のものもあった。
(5)被告在特会は,設立当初から,単独で,あるいは他の保守系市民団体と共同して,全国各地で頻繁に反日的とみなした団体等を対象として,抗議活動や示威活動を行っており,その活動の様子を撮影した映像を公開し,流布することで会員数を増加させてきた。
とりわけ,本件映像公開により,本件示威活動の様子が映像の形で多くの人の目にとまったことで,劇的に会員数が増加した。
3
主権会について
(1)主権会は,被告Bによって平成19年5月に設立された団体であり,その設立趣旨文には,行動の方針として,下記のような記載がある。これは被告Bが書いたものである。

支那・中共,朝鮮に阿る…売国経済人をはじめ,我が国の国家利益を貶める…反日・虐日勢力など靖國の英霊を貶める支那・中共の代理人勢力と戦う(2)主権会の会員になるためには,二人以上の紹介を受けた上,被告Bの決裁を経なければならない。主権会の活動資金は,基本的に被告Bのポケットマネーや寄付金によって賄われている。
(3)主権会は,設立以来支部をもたなかったが,平成21年10月16日,唯一の支部である関西支部が発足した。被告Bは,関西支部の支部長に被告Cを,事務局長に被告Eを,幹事に被告Aを,それぞれ任命した。被告Bは,これらの者と拉致問題等に関する抗議活動で知り合い,主権会関西支部としての活動を持ちかけたものであった。
被告Bは,関西支部に対しては,被告Bの指示を了解しているという前提で,具体的な活動内容を任せることとしていた。
4
チーム関西について
(1)被告Aは,平成19年頃からJや被告Bと面識があり,関西地域における保守系の市民運動に積極的に関わってきた。平成21年4月頃には,Jから被告在特会の関西支部長にならないかとの打診を受けたが,支部長には被告Dを推して,自らは,同年7月1日付けで,被告在特会関西支部の会計に任命された。
被告Dは,平成20年9月頃,被告在特会のメール会員となったが,同年12月頃,京都で行われた抗議活動を通じて被告Aと知り合い,被告Aの推薦もあって,平成21年7月1日付けで,被告在特会の関西支部長に任命された。
被告Cは,平成18年頃,被告在特会のメール会員となったが,その頃,被告Bと知り合い,主に主権会の運動に携わってきた。
被告Eは,平成20年夏頃,被告在特会のメール会員となった。
(2)被告A,被告E,被告C及び被告Dは,平成20年頃には,抗議活動や示威活動を通じて知り合いとなり,共同して,同人らが反日的とみなした団体等を対象として抗議活動を行うようになった(この4人を中心とするグループは,示威活動①を契機に,自然発生的にチーム関西などと呼ばれるようになった。)。
被告Fは,被告在特会の会員でも主権会の会員でもなかったが,平成21年5月頃から,被告Aらが抗議活動を行っている場所に赴き,その様子を自発的にビデオカメラで撮影し,その映像を公開していた。被告Eは,被告Fの撮影技術が優れていたことから,自分たちの活動を撮影するよう被告Fに依頼するようになった。被告Fも,被告Eの依頼を承諾し,同年夏頃以降,被告Aらの抗議活動に毎回同行し,その様子を撮影するようになった。被告Fが撮影した映像は手ぶれがなく,見やすかったことから,被告Fは,被告AらからF’という愛称で呼ばれるようになった。
(3)被告Hは,被告在特会の会員でも主権会の会員でもなかったが,保守系の市民運動を通じて,平成20年頃に被告Aと,平成21年頃に被告Eとそれぞれ知り合った。また,遅くとも示威活動②までには,被告Bとも面識があった。
被告Hは,ミクシィ内における被告Aを応援するコミュニティ(Aファンクラブ)の管理人でもあった。
5
本件学校による本件公園の使用
(1)本件学校は,昭和35年に京都市南区○○に移転したが,自前の校庭がなかったため,体育の授業や部活動,運動会,式典の際には,隣接する本件公園を校庭代わりに使用してきた。
本件公園の管理者である京都市は,平成21年5月頃までは,本件学校による本件公園の使用態様について改善を申し入れたことはなかったし,本件学校も,本件公園の使用に際して届出や許可申請をしたことはなかった。(2)阪神高速道路株式会社は,平成21年2月,本件公園の一部を施工区域とする阪神高速道路の延伸工事に着手した。京都市緑地管理課職員であるOは,上記着工のころ,阪神高速道路株式会社の関係者や本件学校長のK校長とともに本件公園を見分したが,その際,サッカーゴール2台,朝礼台及びスピーカーが設置されていることを確認し,K校長から,これらの物件は本件学校の所有物であるとの説明を受けた。(3)本件公園は,都市公園法の規制が適用される公の施設であり,サッカーゴール等の物件を常時設置してこれを占用することは,京都市長の許可がない限り違法であり(都市公園法6条1項),違反者には6月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられ得るところ(同法38条1号),Oは,これらの物件の設置が厳密には都市公園法違反であると認識したことから,平成21年2月ころ,本件公園から上記各物件を移動するよう原告を指導した。(4)平成21年5月頃から,京都市に対しては,複数の近隣住民から,本件学校の本件公園の使用に関する苦情が寄せられ始めた。その内容は,本件学校が本件公園を校庭として使用していることや,住民が使用しようとした際に本件学校関係者と言い争いになったこと等を訴えるものであった。これを受けて,Oは,本件学校に対し,上記物件を撤去するよう指導した。K校長はこれまでの経緯から,これまで通りの本件学校による公園使用を黙認することを求め,すぐには撤去に応じなかったが,その後もOから同様の指導がされたので,本件学校は,同年7月中に,平成22年1月末までに上記物件を撤去することを約束した。
(5)本件学校は,その後,平成21年8月8日に京都市から許可を得ることなく本件公園で祭りを行い,その際の喧騒や違法駐車,火気を使用したことについて近隣住民から京都市に苦情が寄せられた。Oは,これを受けて,K校長に対し,今後はこのような催しについては,本件公園の使用許可を得るよう伝え,また,火気を使わないよう指導した。
しかし,本件学校は,同年10月4日にも京都市から許可を得ることなく本件公園で運動会を行い,これに対しても,違法駐車や放送の音量,また酒類の販売や飲酒がされていたことについて近隣住民から苦情が寄せられた。Oは,その後,同年11月にも本件公園で本件学校のための即売会(資金を集めるための持ち寄り物品の即売会-バザー)を予定していることを知り,本件学校側に対し,近隣住民の理解が得られるような本件公園の使用にとどめるよう指導した。
そこで,上記即売会では,オモニ会の会員など父兄により,交通整理が行われ,また,公園内での飲酒,喫煙,火気使用をしないよう呼びかけも行われた。
6
示威活動①の経緯
(1)平成21年11月13日,被告在特会の関西支部宛てに,本件学校の近隣住民と称する者から,本件学校が本件公園を校庭として使用し,無許可で即売会も行っており,近隣住民が迷惑しているとのメールが寄せられた。被告Aは,被告D,被告E及び被告Cと協議し,同月18日,上記メールに対しこれから色々確認した上で,12月初めに攻撃しようと考えておりますと返信した。(2)被告A及び被告Eは,平成21年11月19日,本件公園に下見に赴き,サッカーゴール2台,スピーカー及び朝礼台が設置されていることを確認した。また,被告Aは,阪神高速道路の工事現場の警備員から,サッカーゴールは本件学校の児童が使っていること,本件学校が本件公園を校庭として使用していることを聞き

これは叩き出しましょうね,近いうちに。12月初旬に叩き出して

などと発言した。両名は,その後,伏見区役所に赴き,本件公園について尋ねると,Oが担当者であること,Oは同月24日まで出勤しないこと,本件公園の使用については本件学校との話合いが継続中であることを知らされた。被告Aは,両名の伏見区役所訪問の様子をビデオカメラで撮影し,その映像を,京都朝鮮学校が児童公園を不法占拠【主権回復/在特会関西】というタイトルを付して公開した。
被告Aは,上記のような下調べを終え,朝鮮人を糾弾する格好のネタを見つけたと考え,本件学校を糾弾してその様子を動画サイトに流すことで,自分たちの活動の輪を広げることができると考えた。
被告Aと被告Eは,伏見区役所からの帰り道,同年12月4日午後1時から本件学校に対する抗議活動を行うことを決めた。平日を抗議活動の日と決めたのは,授業中の平日を見計らって抗議活動を行わなければ,本件学校に職員がいないために意味がないと考えたからであった。
被告Aは,その後,京都市緑地担当課に電話し,同日に本件公園で集会をするので,畳2畳分くらいの場所を使用したいし,その際は小さなマイクも一つ使いたいと申し入れたところ,京都市緑地担当課の職員は,その程度の使用であれば許可は必要ないと述べた。被告Aは,このやり取りの際,集会の目的に関連することは一切述べなかった。
(3)被告Aは,翌日の平成21年11月20日,被告D及び被告Cにも下見の結果を話し,同年12月4日を決行日とすることを伝えた。
被告Aは,同年11月21日には,朝鮮総連京都本部前での示威活動を行い,その演説時に,本件公園のサッカーゴールを本件学校に放り込むと予告した。
被告Aは,同月24日,いち京都市民のAとだけ名乗ってOに電話をして,本件学校による本件公園の使用について事情を聞いたところ,Oから,本件学校は,京都市からの指導を受けて,平成22年の1月か2月にはサッカーゴール等を本件公園から撤去する約束をしているとの回答を受けたが,被告Dと相談し,これにかかわらず抗議活動を決行することに決めた。(4)当日の段取りは,主に被告Aと被告Eとの間で決められた。被告Aは,本件学校による抵抗を予想していたため,不慣れな者は参加させず,普段から頻繁に被告在特会や主権会の活動に参加する者だけを参加させることとした。その中には,被告E,被告D及び被告Cら以外にも,普段の活動に同行している被告Fも含まれていた。
被告Aと被告Eその他の参加予定者の一部(ここには,被告C及び被告Fは含まれていない。)は,ミクシィの掲示板を用い,参加者の待ち合わせや当日の手順などを話し合ったが,被告Aは,平成21年12月3日,明日の段取りという題名で,下記の書き込みを行った。なお,計画前の段階では,スピーカーの撤去については明示的に打ち合わせがされることはなかった。



珍しく紳士的に朝鮮学校を訪問し,公園に設置されている学校の私物を撤去してあげるので門を開けて下さいと下手に出る


★開けてくれた場合→ボランティア精神で陰徳を積む為に学校内に私物を傷がつかないようにやさしく運び込んであげる。
★拒否された場合→多重人格者(←これ大事)のごとく変貌し,狂いだしマイク街宣を始める。



まずは重量が軽い朝礼台を学校の前まで持って行き,門を開けろ!と大合唱する。


門を開けない場合,朝礼台を学校内に放り込む

後は,明日の自分の機嫌等,通報等で駆けつけて来ると思われる警察の対応により決めることとする」
(5)K校長は,遅くとも平成21年11月24日には,被告Aが伏見区役所を訪問した際の映像を確認し,被告在特会の会員が本件学校に押しかけて抗議行動を行うであろうことを察知した。
K校長及び当時の本件学校の教務主任であったM並びにその他の教職員数名は,同月25日,対策会議を開催し,被告在特会が実際にやって来た場合の役割分担等の取り決めを行い,また,被告在特会の挑発には絶対に乗らないこと,学校の門を閉めて中に入れないこと,対応は警察に任せること,父母には知らせないでおくこと等の方針も決められた。
K校長及びM主任は,同年12月4日には,町内会長や京都市南区副区長に対しても協力を要請した。
(6)平成21年12月4日に行われた示威活動①の様子は,以下のようなものであった。

被告A,被告E,被告C,被告D,被告F及びその他6人の参加者は,午後1時頃に本件公園に集合すると,本件学校の南門前に向かった。被告Dは,同日の午前中に電気工事の仕事を行っていたが,本件公園のスピーカーの配線を切断し,撤去するつもりであったので,仕事着を着たままであり,仕事道具も持参していた。
参加者らは,主権回復を目指す会と記された幟を掲げていたが,この幟は,被告Bが作成した幟の一つで,被告Bが,被告Cに対し,あらかじめ主権会の関西支部として活動する際に使用することを許諾していたものであった。
被告Fは,この集合のときから示威活動①が終了するまで,その一部始終をビデオカメラで撮影した。


被告Aは,まず,門の中にいた本件学校の校長や職員に対し,

サッカーゴールとか朝礼台。ね,どけて。どけて。近所から苦情でとんねん…門開けて,運んだるわ

と切り出した。被告Aがこのように切り出したのは,被告Fが撮影している手前,最初に交渉しようとした形をとる必要があると思っていたからであった。
本件学校側がこれに応じないでいると,被告A,被告C及び被告D並びに他の参加者の一部は,拡声器を用い,又は大声で,順次,前記前提事実3(5)のとおりの発言を行い,これに続き,他の参加者らもおー出ていけー叩き出せー門をあけろーなどと一斉に大声を合わせて気勢を上げた。参加者の中には,本件学校の関係者に対し,お前らウンコでも食っとけ!半島帰ってなどと発言する者もあった。被告Aは,被告Fが撮影する映像の視聴者を意識して,本件学校に対する敵意を見せ,口汚く罵り,威嚇しようという意図を有していた。ウ
被告Aは,示威活動の開始から約5分が経過した頃,朝礼台おくりこみましょか,そろそろ…さあみなさん軍手をはめて撤去しましょうと参加者らに指示を出し,これを受けて,参加者らは,本件公園内のサッカーゴールを倒し,また,朝礼台を本件学校の南門前まで運んで門に立てかけた。また,被告Dは,本件公園のバックネットに自ら持参した梯子を設置し,スピーカーの電源コードを切断した上取り外し,南門前まで運んだ。

被告Eは,本件学校の関係者を指して,F’さん!F’さん!こいつ『それがどないしてん』ぬかしたよ

こいつ,こいつ。F’さん

などと,被告Fに撮影を促した。


被告Aは,被告Fが公開した映像を批判的な立場の者も閲覧することから,被告Aらが勝利した形で示威活動を終わりたいと考えていたところ,本件学校内から弁護士が出てきたため,同弁護士に対し私達の会長と…公開討論会受けてもらえますかあなたの身分で…我々のあのトップとしゃべれるんですかなどとJとの公開討論会に応じるよう迫り,示威活動を終えた。示威活動の開始から終了までに経過した時間は,約50分であった。

(7)平成21年12月4日の本件学校の様子は,以下のようなものであった。ア
午後1時頃,本件学校では,幼稚班を除いたほぼ全ての児童が本件学校内におり,低学年(1年生から3年生)は昼休み中であり,高学年(4年生から6年生)は3階の講堂において丙学校,丁学校及び辛学校の高学年の児童たちと共に交流会を行っていた。イ

示威活動①が始まると,低学年の教室においては,教職員が教室の窓とカーテンを閉め,児童に教室から出ないように指示をしたが,示威活動①の拡声器による怒号を防ぐことはできず,3学年の教室では,児童のほとんどが恐怖を感じて一斉に泣き出した。
高学年の教室では,教職員が,交流会で流されていた音楽の音量を上げて,児童に示威活動①の怒号を聞かせないように努めた。

本件学校は,示威活動①が終了した後も混乱状態にあり,この日は,児童たちの安全確保等のため,下校時刻を1時間ほど遅らせた。


下校時刻後,本件学校では,今後の対応について協議するために全教職員による会議が行われ,その結果,示威活動①が行われたことについて保護者に説明を行うこと,児童たちの心理面に気を遣うこと,まずは児童の安全を最優先することが確認された。

(8)示威活動①を終えて,被告Dは,被告在特会のウェブサイトにその報告文を掲載した。
また,被告Fは,示威活動①の一部始終を撮影した映像に,12月4日京都児童公園を無断で校庭として使う朝鮮学校から奪還というタイトルと軽快なBGMを付して,動画サイトに投稿し,映像を公開した(映像公開①)。この映像には1週間で10万件を超えるアクセス数があった。(9)示威活動①については,新聞等のメディアの中にもこれを報道したものがあったが,それらの報道は,被告Aらの行為を人種差別として非難するものであった。
7
示威活動①後の本件学校の対応
本件学校では,示威活動①の後,保護者説明会を開き,経緯を説明するとともに,何かあった場合にすぐに保護者に連絡が取れるよう,保護者への連絡網を整備した。
本件学校は,学校周辺での見守りも強化することにした。従前も児童の登校時刻においては南門に1名の教職員が配置されていたが,示威活動①の後は,北門にも教職員を配置して子どもたちを見守ることにした。とりわけ,示威活動①から2学期が終了する平成21年12月24日までは,南門及び北門にそれぞれ複数の教職員を配置することとされた。年末年始の冬休み中も,保護者らの協力を得て,1日に2時間程度本件学校の周囲の見回りを行い,平成22年1月8日に新学期が始まると,児童の登校時刻における見守りに加え,下校時刻にも3名の教職員が児童に付き添って下校させるようになった。同月14日からは,アボジ会やオモニ会の会員も,当番表を作成し,交替で,児童の登校時の見守りと下校時の付添いに協力するようになった。このような保護者による協力は,同年7月まで続けられた。
8
示威活動②の経緯
(1)被告Bは,被告Fがアップロードした示威活動①の映像を見て,すぐに被告Aと連絡を取り,Aくん,すぐにデモをやろうX公園でこの問題についてのデモをやろうと持ちかけた。また,被告Bは,被告Cに対しては,目的は正しいが手段については問題があると指摘し,今後は事前に相談をするように指示した。
その後,被告Bは,被告Aらと相談した上で,デモの決行日を平成22年1月14日とした。このデモについては,前提事実4のとおり,同月7日に被告在特会のウェブサイトにおいて予告がされたほか,主権会のウェブサイトにおいてもこれと同内容の予告がされ,参加の呼びかけが行われた。上記予告の文章は,被告Cが作成し,被告Bが監修したものであった。(2)被告Hは,上記の予告を2ちゃんねるやミクシィ内の掲示板を通じて知り,示威活動②に参加することにした。
(3)上記の予告を受けて,K校長及びM主任は協議を行い,示威活動の様子を児童の目に触れさせないため,当日の午後は課外授業を行わざるを得ないと結論し,1月14日の課外授業についてと題する保護者向けの連絡文書を作成し,平成22年1月8日に開催された保護者会でその旨の説明を行った。
本件学校の教職員らは,手分けして課外授業先の決定や観光バスの傭車手続を行い,最終的に,高学年は大阪府吹田市の国立民俗学博物館で,低学年は滋賀県草津市の琵琶湖博物館でそれぞれ課外授業を行うことになり,幼稚班は丙学校で課外保育をすることになった。また,同月14日の午後に本来予定されていた授業は,後日の予定に組み入れて行うこととされた。(4)平成22年1月14日に行われた示威活動②の様子は,以下のようなものであった。

被告Aは,示威活動②に先立ち,京都府南警察署に対し,本件学校前の道路の使用につき,時間,進路,参加人数,趣旨(本件学校による本件公園の不法占拠を許さないというもの。)及び責任者を明らかにして申請を行い,同警察署から使用許可を得ていた。
同警察署は,当日,約10台の警察車両,約100名の警官を出動させ,本件学校の周囲を警備していた。


被告A,被告B,被告G,被告C,被告D,被告E及び被告H並びに参加者ら合計約30名は,午後2時20分頃,本件公園に集合し,まず,被告G,被告Bらによる演説が行われた。
被告Fは,集合時から示威活動終了までの一部始終をビデオカメラで撮影した。


参加者は,その後,デモ隊を組んで本件公園を出発し,事前の申請のとおり,まず,本件学校の校舎のすぐ横にある南北に通る狭い道路を北進し,i通りを東進し,国道j号線を北進し,k通りを西進し,l通りを南進し,京都市道m号線を東進し,n通りを北進し,50メートルほど進んだところで流れ解散した。
この間,被告B,被告A及び被告D並びに参加者の一部は,拡声器を用いて,前記前提事実5(2)のとおりの発言を行い,これに続いて,他の参加者も,たたき出せー出て行けーぶち殺せーと一斉に大声を
合わせて気勢を上げた。
被告Hは,本件街宣車に乗り込み,拡声器を用いて,被告Aが書いたメモに基づき我々は在日特権を許さない市民の会,主権回復を目指す会関西の,朝鮮学校による侵略を許さないぞ京都デモの一行であります。生意気に不法占拠した○○…にふんぞり返っている朝鮮学校は,約50年わたりX公園を不法占拠していました。ここで平成21年12月4日,在日特権を許さない市民の会,主権回復を目指す会関西支部と合同でX公園奪還作戦を敢行いたしましたと読み上げた上で,(在日朝鮮人を)必ず日本からたたき出してやるとの発言や,北朝鮮と関連づけてパチンコ屋を糾弾する内容の発言を行った。
また,デモの先頭に立っていた3名の参加者は,朝鮮学校の公園占拠を許すな!不法占拠を『学校襲撃』にすり替える朝鮮人の下劣差別迫害されている朝鮮人は本国へ帰れ!と記載された横断幕を掲げていた。エ
被告Gは,デモ隊の解散後,本件公園に移動して,テレビ局のインタビューに応えた。その中で,被告Gは,示威活動①について,本件学校が50年間にわたって本件公園を不法占拠しており,京都市も何ら対処しなかったため,朝礼台とスピーカーを撤去したと説明した。
また,デモ隊の解散後も,被告A,被告B,被告Hら参加者のうち一部は,解散地点付近において示威活動を続けたため,最終的に示威活動が全て終了したのは午後4時半頃になった。

(5)平成22年1月14日の本件学校の様子は,以下のようなものであった。ア
当日は,保護者ら支援者らと被告在特会らとの衝突を避けるために,2限目以降,限られた関係者以外が校内に立ち入ることを禁止しており,示威活動の開始時に校内に残っていたのは,K校長とM主任だけであった。イ
集団での示威活動は終了予定時刻の午後4時を過ぎても一部の者が示威活動を続けたため,K校長とM主任は,児童達の帰校時刻を予定より延長することとし,引率の教職員に連絡を取り,指示があるまでバス内で待機するよう伝えた。


この日,K校長とM主任が安全と判断して引率の教職員に帰校の指示を出したのは,午後5時頃であった。

(6)被告Fは,示威活動②の様子を撮影した映像に1月14日朝鮮学校による侵略を許さないぞ!京都デモというタイトルを付して,動画サイトに投稿し,これを公開した。
また,被告Fは,動画サイトニコニコ動画に投稿した映像の説明文として,下記の宣伝を記載した。

昨年5月23日から撮影を始め現在までの記録DVDが40枚程度となりました。そこで2009年度,関西保守活動記録DVDコンプリートBOX(18000円)バラの場合,1枚1000円で販売します,希望される方は…まで,「デモDVD希望でメール下さい。リストと購入方法の詳細を返信します。売り上げは活動資金になります。」
(7)被告Bは,示威活動②の後,主権会のウェブサイトに,デモ隊の写真や本件学校関係者の写真とあわせて,1月14日,その『X公園』を出発点にしたデモ行進を敢行!約50年にわたり児童公園から日本の子供たちの笑い声を奪った卑劣な朝鮮人へ今一度,『日本人を嘗めるな!』の警告を発した…『差別・迫害されている朝鮮人は日本から出て行け!』のシュプレヒコールが不逞朝鮮人の頭上に絨毯爆撃を繰り返したとの活動報告文を掲載し,被告Fが投稿した上記映像を画面に埋め込み,閲覧できる状態にした。9
示威活動③の経緯
(1)平成22年2月中旬,示威活動①②に反対する人々から,民族差別・外国人排斥に反対し,多民族共生社会をつくりだそう!朝鮮学校への攻撃を許さない!3.28集会なる集会(以下他民族共生派集会という。)の呼びかけがされた。他民族共生派集会の開催場所は,京都市東山区の丙公園音楽堂であった。
被告Aは,他民族共生派集会が同年3月28日に催されることを知り,これに敵対する示威活動を四条河原町付近で行うことを企画し,京都府警察署に対し,それに関する道路の使用許可を申請した。
このような動きを知った被告Bは,被告Aに連絡を取り,同日のデモは,本件学校付近で行うよう要請し,これを受けて,被告Cは,京都府南警察署に,始点を京都市南区所在のY公園,終点を本件公園とする道路の使用許可を申請した。また,被告Aは,前記前提事実6のとおり,同月16日,同月28日のデモについて被告在特会のウェブサイトで告知した。
(2)K校長とM主任は,再び本件学校の付近で示威活動が行われようとしていることを知り,弁護士の協力を得て,平成22年3月19日,京都地方裁判所に対し,原告を債権者,被告在特会,被告A及び被告Bを債務者として,本件学校の半径200メートル以内での示威活動等を禁止する仮処分を申し立てた。京都地方裁判所は,同月24日,申立てのとおりの仮処分決定を行った(本件仮処分決定)。
本件仮処分決定は,新聞等により全国的に報道がされた。原告は,京都府南警察署に本件仮処分決定の決定書の写しを持参し,警察官に対し,予定されているデモ行進の参加者らに対して本件仮処分決定の内容を知らせるとともに,十分な警備を実施するように要請した。
なお,本件仮処分決定は,被告Aには同月25日(示威活動③の3日前)に送達されたが,被告B及び被告在特会に送達されたのは,示威活動③の後であった。
(3)被告Cは,平成22年3月24日,京都府南警察署にデモに係る道路使用許可証を受領しに行った際,同警察署において,京都地方裁判所が本件仮処分決定をしたことを知らされた。
被告C以外にも,少なくとも被告G及び被告Bは,その後,新聞報道やインターネットを通じて,本件仮処分決定がされたことを知った。被告在特会のウェブサイト上の掲示板でも,同月25日には,本件仮処分決定がされたことに触れる投稿がみられた。
しかし,被告Bや被告Cは,協議の上,決行日は日曜であり,本件学校の授業は行われないから本件学校に与える影響は少ないものと考え,本件仮処分決定を無視することにした。
(4)平成22年3月28日に行われたY公園発の示威活動の様子は,以下のようなものであった。

始点であるY公園では,当日,示威活動②のときと同様,京都南警察署の警察車両や警察官が同公園を警備していた。


被告B,被告G,被告A,被告E,被告C及び被告H並びに参加者ら数十名は,午後3時30分頃に同公園に集合し,まず,被告B及び被告Cによる演説が行われた。


参加者らは,その後,デモ隊を組んで,事前の申請のとおり,Y公園を出発し,o通りを南進し,k通りを西進し,n通りを南進した。デモ隊は,当初は,そのまま解散地点である本件公園に向かうはずであったが,デモ隊に反発する者らの妨害に遭い,i通りに差し掛かる地点(本件学校の北側門扉中心部から約100メートル離れたローソンh店の駐車場付近)において解散を余儀なくされた。
その間,被告B及び被告H並びに参加者の一部は,拡声器を用いて,前記前提事実8(3)のとおりの発言を行い,これに続いて,他の参加者らも出て行けー帰れーと一斉に声を出して気勢を上げた。
被告Hは,本件街宣車に乗り,拡声器を用いて私たちはユーチューブでおなじみの主権回復を目指す会のデモ隊でございますと発言し,被告Aが書いたメモを読み上げる形で番号23及び24の発言を行った。エ
示威活動②のときと同様,デモ隊の先頭に立っていた数名の参加者は,朝鮮学校の公園占拠を許すな!不法占拠を『学校襲撃』にすり替える朝鮮人の下劣差別迫害されている朝鮮人は本国へ帰れ!と記載された横
断幕を掲げていた。
(5)被告Dは,示威活動③に先立ち,被告A,被告C及び被告Eと協議をして,平成22年3月28日は,被告Aが申請していた四条河原町の道路使用許可を利用する形で,四条河原町において他民族共生派集会に街頭で対抗するための示威活動(四条での示威活動)を別働隊として行うこととした。また,Y公園発の示威活動には主権会のカメラマンが同行することとされていたため,被告Fは,協議の上,四条での示威活動に同行して撮影を行うことになった。四条での示威活動への参加者は,事前に希望した者が割り振られたが,四条での示威活動が行われることは,街頭で反対勢力に対抗する示威活動を行うことに反対していた被告Bには伝えられなかった。
当日,被告D及びその同行者約十数名は,Y公園には集合せず,打ち合わせどおり,四条での示威活動を行った。被告Dは,十数名の参加者に対し示威活動の趣旨及び注意事項を伝達し,先頭に立って発言するなど,終始,四条での示威活動の指揮者として行動した。参加者によって拡声器を用いて行われた主たる発言は番号25ないし28のとおりである。また,参加者は生きることは犯罪じゃない罪だが犯罪は許されない不法入国,滞在は犯不法滞在在日犯罪者は即刻,祖国へ帰還せよ生きることは犯罪じゃない公園はみんなのもの不法占拠は許されない朝鮮学校はお金をたかる前に子供たちに日本の社会の正しいルールを教えよ等と記載されたプラカード等を掲げていた。
その後,参加者は,他民族共生派集会の行進経路を塞いで進路を妨害し,機動隊に対しても,盾をつかんで揺さぶったり,体当たりを行うなどした。また,被告Fは,四条での示威活動の一部始終をビデオカメラで撮影した。(6)平成22年3月28日当日,本件学校は日曜のため授業を行ってはいなかったが,本件学校内には,K校長とM主任のほか,3名の女性職員が教室の整理のために休日出勤していた。K校長とM主任は,示威活動③の開始時刻が近づくと,上記3名の女性職員を帰宅させ,校内には自分たちだけが残ることとした。
当日は,他校でサッカーの試合を行っていた児童が学校に戻って解散する予定であったが,示威活動③が行われたため,児童たちは本件学校から離れた地点で解散せざるを得なかった。
(7)示威活動③の終了後,主権会のカメラマンにより撮影されたY公園発の示威活動の映像が公開された。
被告Fも,四条での示威活動の映像に,3月23日京都『差別に反対!多民族共生!左翼デモ』に抗議というタイトルを付して公開し,その映像の説明文として,下記のような宣伝を掲載した。

支援を宜しくお願いします→http://≪中略≫HPから記録DVDが購入できるようになりました。売り上げは活動資金になります。

(8)被告在特会は,そのウェブサイトに反日教育を推進する犯罪者の巣窟,子どもの未来を奪う児童虐待を継続して行っている朝鮮学校を一日も早く消滅させるため,在特会はこれからもまい進して参りますとの文章を掲載した。
被告Bは,主権会のウェブサイトに,示威活動③の写真や本件学校関係者の写真とあわせて,

総連は3月28日,京都市内において市民の返還運動を執拗にねじ曲げる『差別された』とするデモ行進を予定。当会はこれに対峙して,同日同時刻にX公園を終着地にしたデモを実施した

との活動報告文を掲載し,主権会のカメラマンがアップロードした上記映像を画面に埋め込み,閲覧できる状態にした。
他方で,被告Bは,後日,四条での示威活動が行われたことやその様子を知り,他民族共生派集会の進路を妨害したり,機動隊に有形力を行使した手法を問題視して,その責任を問うために被告Cを主権会関西支部の支部長から解任した。これにより,主権会の関西支部は事実上解散状態となった(正式に解散したのは,平成23年3月26日である。)。
10

徳島県教職員組合への抗議活動
(1)被告A,被告D及び被告Eは,平成22年4月14日,徳島県教職員組合が事務所を構える徳島県教育会館前において,同組合が受けた募金の一部を朝鮮学校に寄付したことに抗議する活動を行い,その後,同組合の事務所に侵入して拡声器で罵声を浴びせ,電話機を取り上げて職員の通話を妨害し,書類等をまき散らすといった事件が起きた。
被告Fはこれに同行し,上記の者らとともに徳島県教職員組合の事務所に侵入し,その一部始終をビデオカメラで撮影した。
(2)被告Bは,上記事件の発生を知り,平成22年4月20日,主権会のウェブサイトで,四条での示威活動と上記事件について主権会は一切関知していませんという声明文を公表し,同年5月3日には,ウェブサイトで,被告A及び被告Eを主権会から除名するとの処分を公表した。

11

右京区役所前での示威活動
被告A,被告G,被告D及び被告Eは,平成22年6月3日,京都市右京区役所前に集結し,右京区役所がこれに先立ち本件訴訟及び関連事件に関して,原告代理人に対し被告Aの戸籍謄本を交付したことを受け,拡声器を用いて,大音量で

ほんまにな,これ以上やったらな,俺もな…する仕事16年やっとったからな,徹底的に個人の家調べてチョメチョメするかもしれんど,ほんまに。覚えとけよ

バカタレが,コラ,アホ

また来るぞ,右京区役所。きっちりけじめつけたるからな。覚えとけよ

等の口汚い暴言を繰り返した。12

本件刑事事件に関する訴訟費用の負担等
前提事実9(1)ないし(3)のとおり,被告A,被告C,被告E及び被告Fは,示威活動①や徳島県教職員組合に対する事件に関する被疑事実でそれぞれ逮捕され,被告Fを除いて起訴された(本件刑事事件)。
被告Cは,被告在特会の会員ではなく,主権会の関西支部の支部長であったため,被告Bは,被告Cの保釈金を用意した。
被告在特会は,それ以外の者の裁判費用(保釈金や弁護士費用等)を負担した。ある人物が,裁判費用に充てる資金として一度に1000万円もの多額の寄付をしたため,被告在特会は,その寄付金によって本件刑事事件の裁判費用を賄った。

13

K校長に対する刑事処分
前提事実10のとおり,K校長は,平成22年8月31日,都市公園法違反罪の公訴事実で略式起訴され,同年9月9日,罰金10万円の略式命令を発されたが,その公訴事実は,K校長が,平成21年6月5日から同年12月4日までの間,京都市の許可を得ないでサッカーゴール2台,朝礼台1台,スピーカー1台及びコントロールパネル1台を本件公園に設置し,占用したというものであり,都市公園法38条2号,6条1項を罰条とするものであった。
14

本件学校の統合移転等
(1)前提事実11のとおり,本件学校は平成24年4月6日をもって休校とされ,丁学校に統合された。
(2)本件学校の休校にあたり,原告理事長が公表した乙学校を休校する件についてと題する文書では,休校の理由として,校舎の老化が進んで耐震能力が危ぶまれていること,校庭がないため十分な授業を実施できないこと,児童数の減少から学校経営に支障が生じ始めていることのほか,本件示威活動により正常な教育環境が損なわれたことが挙げられていた。(3)被告A及び被告Eは,平成24年4月20日,新校舎を建設中であった本件学校の移転先に赴き,許可なく立ち入って現地を見分した後,現場事務所の職員に対し,請負工事代金の資金源を問い質すなどした。その際,被告Aは,やっぱりな,ウンコ学校はウンコやなここアジトやなどと発言した。
被告Fはこれに同行し,その一部始終をビデオカメラで撮影して,その映像を公開した。
第2
1
被告在特会の当事者能力について争点1にする判断
について(
1に対
判断)
被告在特会の当事者能力について(争点1に対する判断)
民事訴訟法29条により当事者能力が付与される社団とは,団体としての組織を備え,多数決の原理が行われ,構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものをいう(最高裁判所昭和39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁)。固定資産などの基本的財産を有していることは社団というために不可欠なことではなく,団体の内部的運営や対外的活動に必要な収入を得る体制が備わっているかどうかを考慮して社団かどうかを判断すべきとされる(最高裁判所平成14年6月7日第二小法廷判決・民集56巻5号899頁)。

2
前記認定のとおり,被告在特会は,活動方針を定めた七つの約束と称する綱領を有するだけではなく,会則により,構成員の資格が定められ,執行役員(会長,副会長,事務局長等),執行役員会,総会及び幹事といった機関が置かれた団体である。その会則は,執行役員の選任には総会の承認が必要であることを定めるほか,総会の招集方法や決議方法,除名処分の方法について定めている。そして,会則が定める総会や除名処分は,実際にも行われている。また,被告在特会の会員数は,平成24年頃には1万2000人を超えており,また,全国に37の支部を有しているところ,Jは,必要な場合には,支部に指示を出し,支部の活動を統制しているのである。3
財産的側面についてみれば,被告在特会が固定資産を有しているかどうかは判然としないが,被告在特会は,寄付金を主要な活動資金としており,預金口座を公表して振込による方法で寄付を呼びかけ,クレジット決済による寄付も受け付けており,会長であるJは,総会で会計報告を行って承認を得るものとされている。したがって,被告在特会が,団体の運営や対外的活動に必要な収入を得る体制を有していることも明らかである。

4
以上のとおり,被告在特会は,団体としての組織を備え,多数決原理で運営される総会によって意思決定をし,構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,団体の活動や運営に関する基本的事項を会則で定め,必要な収入を得る体制も有する人的団体であるから,民事訴訟法29条にいう社団として民事訴訟における当事者能力を有する。

第3
1
人種差別撤廃条約下での裁判所判断について
人種差別撤廃条約下での裁判所の判断について
での裁判所の
わが国は,人種差別撤廃条約を批准した条約締結国であるから,私人間における人種差別が問題となる民事訴訟において,人種差別撤廃条約がどのように影響するのかを予め検討する。

2
憲法98条2項は,わが国が締結した条約を誠実に遵守することを定めており,このことから,批准・公布した条約は,それを具体化する立法を必要とする場合でない限り,国法の一形式として法律に優位する国内的効力を有するものと解される。

3
人種差別撤廃条約は,人種差別について人種,皮膚の色,世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別,排除,制限又は優先であって,政治的,経済的,社会的,文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものと定義し(1条1項),締結国に人種差別を非難し…あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策…をすべての適当な方法により遅滞なくとることを求め,すべての適当な方法(状況により必要とされるときは,立法を含む。)により,いかなる個人,集団又は団体による人種差別も禁止し,終了させることを求めている(2条1項柱書き及びd)。さらに,人種差別撤廃条約の締結国は,その管轄の下にあるすべての者に対し,裁判所…を通じて…あらゆる人種差別の行為に対する効果的な保護及び救済措置を確保し,並びにその差別の結果として被ったあらゆる損害に対し,公正かつ適正な賠償又は救済を…求める権利を確保することをも求められる(6条)。
4
このように,人種差別撤廃条約2条1項は,締結国に対し,人種差別を禁止し終了させる措置を求めているし,人種差別撤廃条約6条は,締結国に対し,裁判所を通じて,人種差別に対する効果的な救済措置を確保するよう求めている。これらは,締結国に対し,国家として国際法上の義務を負わせるというにとどまらず,締結国の裁判所に対し,その名宛人として直接に義務を負わせる規定であると解される。
このことから,わが国の裁判所は,人種差別撤廃条約上,法律を同条約の定めに適合するように解釈する責務を負うものというべきである。

5
もっとも,例えば,一定の集団に属する者の全体に対する人種差別発言が行われた場合に,個人に具体的な損害が生じていないにもかかわらず,人種差別行為がされたというだけで,裁判所が,当該行為を民法709条の不法行為に該当するものと解釈し,行為者に対し,一定の集団に属する者への賠償金の支払を命じるようなことは,不法行為に関する民法の解釈を逸脱しているといわざるを得ず,新たな立法なしに行うことはできないものと解される。条約は憲法に優位するものではないところ,上記のような裁判を行うことは,憲法が定める三権分立原則に照らしても許されないものといわざるを得ない。
6
したがって,わが国の裁判所は,人種差別撤廃条約2条1項及び6条の規定を根拠として,法律を同条約の定めに適合するように解釈する責務を負うが,これを損害賠償という観点からみた場合,わが国の裁判所は,単に人種差別行為がされたというだけでなく,これにより具体的な損害が発生している場合に初めて,民法709条に基づき,加害者に対し,被害者への損害賠償を命ずることができるというにとどまる。
しかし,人種差別となる行為が無形損害(無形損害も具体的な損害である。)を発生させており,法709条に基づき,行為者に対し,被害者への損害賠償を命ずることができる場合には,わが国の裁判所は,人種差別撤廃条約上の責務に基づき,同条約の定めに適合するよう無形損害に対する賠償額の認定を行うべきものと解される。
やや敷衍して説明すると,無形損害に対する賠償額は,行為の違法性の程度や被害の深刻さを考慮して,裁判所がその裁量によって定めるべきものであるが,人種差別行為による無形損害が発生した場合,人種差別撤廃条約2条1項及び6条により,加害者に対し支払を命ずる賠償額は,人種差別行為に対する効果的な保護及び救済措置となるような額を定めなければならないと解されるのである。
第4
1
本件活動の不法行為性について争点2
について(
争点3にする判断
3に対
判断)
本件活動の不法行為性について(争点2及び争点3に対する判断)被告らの言動
前提事実及び前記認定事実に基づき,本件示威活動における被告ら及び参加者の言動,本件示威活動への被告らの参加状況を整理すると下表のとおりとなる(<在>とは被告在特会所属を,<権>とは主権会所属を表す。なお,前記認定事実4(1)のとおり,被告C及び被告Eは,本件当時,被告在特会のメール会員でもあったが,下表では,幹部を務めていた主権会に所属していたものと整理した。)。
示威活動①

示威活動②

示威活動③

示威活動③

(~Y公園発)

言前提事実3(5)

前提事実5(2)
(~四条河原町)

前提事実8(3)

認定事実9(5)

動別表甲番号1~11

別表甲番号12~18

別表甲番号19~24

別表甲番号25~28

被告A<在><権>

被告A<在><権>





被告B<権>

被告B<権>





被告G<在>

被告G<在>



被告C<権>

被告C<権>

被告C<権>



被告D<在>

被告D<在>

被告E<権>

被告E<権>

被告E<権>





被告H<->

被告H<->



被告F<->

被告F<->

被告A<在><権>
参加した被告2




被告D<在>

被告F<->

示威活動①及び映像公開①について(1)業務妨害となること
示威活動①は,校庭もなく敷地の狭い本件学校の南門において,授業中に,11人という大人数が拡声器を用いたり大声で怒号をあげるという形で行われ,しかも,本件公園のスピーカーを切断し,朝礼台を南門まで運ぶという有形力の行使を伴うものであって,児童や教職員を始めとする本件学校関係者を強く畏怖させるものであった。
実際にも,校舎内では,低学年の教室では教職員が教室の窓とカーテンを閉め,教室から出ないように児童に指示し,高学年の教室では交流会で流していた音楽の音量を上げるといった努力を行ったにもかかわらず,示威活動①の怒号を防ぎきれず,低学年の児童の多くが恐怖のあまり泣き出したり,児童の安全確保のために下校時刻が1時間程度遅れることになるなど,本件学校が極度の混乱状態に陥れられたのである。
示威活動①が,原告の本件学校における教育業務を妨害する不法行為に当たることは明らかといわなければならない。
(2)名誉毀損となること示威活動①の映像は,多数のけんか腰の大人が学校の門の前で大声で怒鳴り散らすという刺激的な映像であり,必然的に,本件学校を世間の好奇の目に曝すという効果を持つ。したがって,示威活動①及び映像公開①は,本件学校を世間の好奇の目に曝しながら,本件学校を経営する原告が,昭和35年(本件学校が本件公園北側に移転した時期)から平成21年まで50年間もの長きにわたり,本件公園を不法占拠したこと,原告が本件学校の敷地も暴力で奪い取ったこと,本件学校が北朝鮮のスパイを養成していること,本件学校の児童の保護者は密入国者であることを,不特定多数人に告げるという行為あり,原告の学校法人としての社会的評価たる名誉・名声(以下,単に名誉という。)を著しく損なう不法行為である(原告は信用も毀損されたと主張するが,原告のいう信用とは,経済的信用ではなく,学校法人としての信頼性ということであろうと思われる。そうだとすれば,原告のいう信用とは社会的評価としての名声・名誉と同義であろうと解される。)。
3
示威活動②及び映像公開②について(1)業務妨害となること
示威活動②は,本件学校の授業が行われる平日に行うものと予告され,その出発地点は本件学校に隣接する本件公園とされていた。示威活動①が前記認定のとおりの非常に過激で非常識なものであった以上,被告らが本件学校周辺で示威活動を行うという日に,本件学校の校舎で平穏に授業を行うことは困難であったということができる。すなわち,示威活動②の日に,校舎での通常の教育活動を取り止め,課外授業・課外保育に切り替えた原告の措置は,やむを得ないものといわなければならない。
実際にも,当日は約30名の大人数が,街宣車及び拡声器を用いて怒号をあげる示威活動を行ったのであり,また,参加者らの一部が解散の予定時刻を過ぎても示威活動を継続したため,課外授業に出ていた児童たちはバス内で待機させられ,午後5時頃まで帰校できなかったのである。示威活動②が,示威活動①と同様,原告の本件学校における教育業務を妨害する不法行為に当たることは,明らかである。
(2)名誉毀損となること
示威活動②及び映像公開②は,本件学校が本件公園を占拠したことで日本の子どもたちの笑い顔を奪ったこと,本件学校が北朝鮮のスパイを養成していること,本件学校が無認可で設置されたこと,本件学校は学校ではないこと,本件学校で働く教師が北朝鮮の工作員であることを,不特定多数人に告げるという行為であり,原告の学校法人としての社会的評価たる名誉を著しく損なう不法行為である。
4
示威活動③及び映像公開③について(1)業務妨害となること
示威活動③は,示威活動①②とは異なり,日曜日に行われたものであり,目に見える形で本件学校における教育業務に及ぼした悪影響としては,本件学校に休日出勤していた女性職員が帰宅せざるを得ず,また,他校でサッカーの試合を行っていた児童たちも本件学校に帰校できなかったというものにとどまる。
しかし,日曜日に行われたとはいえ3度目の示威活動が行われた事実,しかも,それが本件仮処分決定が示威活動を禁止した範囲にまで及んだ事実は,本件学校の児童,その保護者及び教職員に対し,被告らがいつまた本件学校周辺で,大声で本件学校を侮蔑する集団での示威活動に及ぶか分からないとの恐怖心を与えるものである。これにより,児童が本件学校に行くことをためらい,また,保護者も自分の子を本件学校に通学あるいは入学させることを躊躇することも考えられるし,本件学校の教職員は,警戒態勢を取るための心身の負担に曝され続けるのであって,目に見えない形で本件学校における教育業務に与えた悪影響は非常に大きいものといわなければならない。したがって,示威活動③は,日曜日に行われたものの,やはり,示威活動①②と同様,原告の本件学校における教育業務を妨害する不法行為に該当する。
(2)名誉毀損となること
示威活動③及び映像公開③は,本件学校が本件公園を50年間奪い取っていたこと,このことにより日本の子どもたちの笑い声を奪ったこと,本件学校が北朝鮮のスパイを養成していること,本件学校が無認可で設置されたこと,本件学校は学校ではないことを,不特定多数人に告げるという行為であり,原告の学校法人としての名誉を著しく損なう不法行為である。5
本件活動による業務妨害及び名誉毀損が人種差別撤廃条約上の人種差別に該当すること
(1)活動の意図

本件活動における被告らの発言を含め,前記認定の本件の事実経過全体を総合すれば,被告A,被告C,被告D,被告Eは,かねてから,在日朝鮮人が過去に日本社会に害悪をもたらし,現在も日本社会に害悪をもたらす存在であるとの認識を持ち,在日朝鮮人を嫌悪し,在日朝鮮人を日本人より劣位に置くべきである,あるいは,在日朝鮮人など日本社会からいなくなればよいと考えていたこと,つまり,在日朝鮮人に対する差別意識を有していたものと認められる。


また,前記認定の事実経過に照らせば,上記被告らは,自分たちの考えを表明するための示威活動を行うとともに,自分たちの考えを多数の日本人に訴えかけ,共感を得るため,自分たちの言動を撮影した映像を公開するという活動もしていたが,本件学校が校庭代わりに本件公園を違法に占拠している事実を把握するや,その不法占拠を口実にして本件学校に攻撃的言動を加え,その刺激的な映像を公開すれば,自分たちの活動が広く世に知れ渡ることになり,多くの人々の共感を得られるはずだと考え,示威活動①に及んだものと認められる。
上記被告らは,示威活動①において,本件公園の違法な占用状態を(行政を通じてではなく,いわば私人による自力救済として)解消する意図で活動したかのように装っている。しかし,それが表面的な装いにすぎないことは,その映像自体から容易にうかがい知れるし,被告Aが,京都市の担当者から平成22年1月か2月にはサッカーゴール等の物件が自発的に撤去される予定であると聞いていたのに,朝鮮人を糾弾する格好のネタを見つけたと考え,自分たちの活動を世間に訴える目的で示威活動①を敢行したことからも明らかである。

示威活動①を発端としてなされた本件活動が,全体として在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図の下に行われたことは,前記認定の事実経過に照らして,明らかである。


なお,被告在特会と主権会とでは異なる行動指針を有しているが(認定事実2と3),本件活動での被告らの言動に関する限り,両者の思想や意図の違いをうかがい知ることはできない。

(2)差別的発言

被告らは,示威活動①において,朝鮮総連関係者を朝鮮ヤクザと罵り,朝鮮学校について日本からたたき出せぶっ壊せと言い,在
日朝鮮人全般について端のほう歩いとったらええんやキムチ臭いでとあざけり,さらに,

約束というのはね,人間同士がするもんなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません

などと在日朝鮮人が人間ではないかのように説明している(番号5,6,8,10,11)。番号11の発言は,警察官に対して発せられたものであるが,示威活動①における被告らの言動は,すべて映像で公開することを予定してされたものであり,実際に映像が公開されてもいるから,被告Dが不特定多数の映像視聴者向けに流布した発言というべきである。イ
被告らは,示威活動②においては,朝鮮学校を日本から叩き出せ解体しろと言い,在日朝鮮人全般について,戦後の混乱期にわが国で凶悪犯罪を犯して暴れまくったと言い,不逞な朝鮮人を日本から叩き出せとして日本社会で在日朝鮮人が日本人その他の外国人と共存することを否定し,さらには保健所で処分しろ,犬の方が賢いなどとあざけり,在日朝鮮人が犬以下であるとするのである(番号13ないし16,)。


被告らは,示威活動③においては,朝鮮学校を卑劣,凶悪と言い,在日朝鮮人についてゴキブリ,ウジ虫,朝鮮半島へ帰れと言い放っている(番号21,24)。


さらに,甲第8ないし10号証によれば,上記アないしウの発言以外にも,被告A,被告Bを始めとする様々な参加者によって朝鮮部落,出ろチョメチョメするぞ(示威活動①),ゴミはゴミ箱に,朝鮮人は朝鮮半島にとっとと帰れー朝鮮人を保健所で処分しろー糞を落としたらね,朝鮮人のえさになるからね,糞を落とさないでくださいね(示威活動②),朝鮮メス豚朝鮮うじ虫日本の疫病神,蛾,うじ虫,ゴキブリは,朝鮮半島に帰れー(示威活動③)等の在日朝鮮人一般に対する差別的な発言や,ぶち殺せーといった過激な大声での唱和が行われた事実が認められる。


上記アないしエの発言は,いずれも下品かつ侮蔑的であるが,それだけでなく在日朝鮮人が日本社会において日本人や他の外国人と平等の立場で生活することを妨害しようとする発言であり,在日朝鮮人に対する差別的発言といって差し支えない。

(3)以上でみたように,本件活動に伴う業務妨害と名誉毀損は,いずれも,在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図の下,在日朝鮮人に対する差別的発言を織り交ぜてされたものであり,在日朝鮮人という民族的出身に基づく排除であって,在日朝鮮人の平等の立場での人権及び基本的自由の享有を妨げる目的を有するものといえるから,全体として人種差別撤廃条約1条1項所定の人種差別に該当するものというほかない。
したがって,本件活動に伴う業務妨害と名誉毀損は,民法709条所定の不法行為に該当すると同時に,人種差別に該当する違法性を帯びているということになる。
6
名誉毀損としての違法性又は責任の阻却事由について
(1)事実を摘示する表現行為の場合
わが国の判例理論によれば,他人の名誉を損なう表現行為であっても,摘示事実が公共の利害に関する事実であり,専ら公益を図る目的で表現行為がされ,かつ,摘示事実が真実であることが証明されたときは,当該表現で名誉を低下させたことは違法でないとされる(違法性の阻却)。また,仮に,摘示事実が真実であることが証明されない場合でも,これを真実と信じるについて相当の理由があるときには,名誉を毀損したことについて過失がなく,やはり不法行為は成立しないものと解される(最高裁判所昭和41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁)。
(2)論評表現の場合
わが国の判例理論によれば,ある事実を摘示した上での論評表現が他人の名誉を損なう表現行為に当たる場合,摘示された前提事実(直接的な事実の摘示がない場合は黙示的に摘示されたとみられる事実)が公共の利害に関する事実であり,専ら公益を図る目的で表現行為がされ,前提事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,論評表現としての域を逸脱したものでない限り,当該論評表現で名誉を低下させたことは違法でないとされる(違法性の阻却)。
また,仮に,前提事実が真実であることが証明されない場合でも,これを真実と信じるについて相当の理由があるときには名誉を毀損したことについて過失がなく,やはり不法行為は成立しないものと解される(最高裁判所平成9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804頁)。
(3)本件へのあてはめ
上記判例法理によって免責されるのは,名誉毀損表現が事実摘示であろうが論評であろうが,専ら公益を図る目的で表現行為がされた場合だけである。では,本件活動における上記2ないし4の名誉毀損表現が専ら公益を図る目的でされたのかといえば,そう認定することは非常に困難である。なぜなら,本件示威活動は,本件学校の付近で拡声器を用い又は大声で行われたものであり,示威活動①では,本件学校が本件公園に設置していたサッカーゴールを倒し,スピーカーの配線を切断し,朝礼台を移動させるという実力行使を伴うものであり,示威活動②③では街宣車を伴うという威圧的な態様によって行われたものである。公益を図る表現行為が実力行使を伴う威圧的なものであることは通常はあり得ない。
加えて,前記のとおり,本件活動は,全体として,在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図の下,在日朝鮮人が日本社会で日本人や他の外国人と平等の立場で生活することを妨害しようとする差別的発言を織り交ぜてされた人種差別に該当する行為であって,これが専ら公益を図る目的でされたものとは到底認めることはできない。
したがって,本件活動における名誉毀損が判例法理により免責される余地はないものといわなければならない。
なお,上記2ないし4で名誉毀損であると認定したものは,事実の摘示を伴うものに限定している。それ以外の被告らや本件示威活動参加者の発言や表現について,被告らは意見の表明であるというが,意見や論評というよりは,侮蔑的な発言(いわゆる悪口)としか考えられず,意見や論評の類として法的な免責事由を検討するようなものとは認められない。7
応酬的言論の法理による免責の有無
被告らは,番号7,8,10,15及び21の各発言については,別表甲の被告らの主張欄のとおり,本件学校関係者の態度や発言に対する応酬的な悪態にすぎないと主張する。
確かに,自己の正当な利益を擁護するため,やむをえず他人の名誉を損なう言動を行った場合は,それが当該他人による攻撃的な言動との対比で,方法及び内容において適当と認められる限度を超えない限り,違法性が阻却されるものと解される(最高裁判所昭和38年4月16日第三小法廷判決・民集17巻3号476頁)。
しかし,被告らは,招かれてもいないのに本件学校に近づき,原告の業務を妨害し,原告の名誉を貶める違法行為を行ったものである。被告らの違法行為に反発した本件学校関係者が被告らに敵対的な態度や発言をしたことは否定できないが,被告らは,自らの違法行為によってそのような反発を招いたにすぎないから,上記法理によって免責される余地はない。

第5
1
被告らの共同不法行為責任について(争点4にする判断
4に対
判断)
被告らの共同不法行為責任について(争点4に対する判断)
らの共同不法行為責任について
民法719条1項前段の意味内容
民法719条1項前段(以下前段という。)は,数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは,各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うと規定する。複数の行為者の違法な行為によって損害が発生した場合,民法の根本原則である私的自治の原則から導かれる自己責任の原則からすれば,行為者はそれぞれ自己の行為によって生じた損害についてのみ責任を負えばよく,他の行為者の行為によって生じた損害についてまで責任を負うべき義務は生じない。しかし,複数の行為者の行為によって損害が発生する場合,その行為者相互の関係,各人の関与の態様,各人の行為の内容,被害の態様,因果関係の系列などは千差万別であり,被害者側がそれらの詳細を把握して立証することは困難を伴うことが多い。前段の規定は,そのような被害者側の証明の困難性を考慮し,被害者保護の観点から,複数の行為者の行為が互いに関連する共同の行為であると評価できる場合,被害者は,その共同の行為と結果との間の因果関係を立証すれば,共同行為者の一人一人に対し,共同行為によって発生した結果の全部について賠償を求めることができ,共同行為者は各人の行為と結果との間の個別的因果関係の不存在を理由とする減免責を主張することができない旨を定めたものと解するのが相当である。
このように,前段の規定は,被害者保護の観点から,複数の行為の関連共同性を要件とすることによって,自己責任の原則を修正し,共同行為者の各人に対して共同行為による結果の全部責任を負わせるとしたものである。そうすると,ここでいう関連共同性については,行為者間の主観的な共謀関係があることまで必要ではなく,結果の発生につき各行為が客観的に関連し共同していることで足りるが,その各人の行為が,結果との関係で社会観念上一体をなすものと認められる程度の緊密な関連があることを必要とするものと解すべきである。
2
本件示威活動と本件映像公開の行為の関連共同性
本件示威活動と本件映像公開とは,加害行為としては態様が異なる行為である。例えば,示威活動①は喧噪によって授業を妨害する行為であるが,映像公開①自体は,現場で授業を妨害する行為ではない。しかし,名誉毀損行為としてみたときは,本件示威活動と本件映像公開とは密接不可分の加害行為であって,示威活動①による名誉毀損損害と映像公開①による名誉毀損損害を峻別して認定することは困難である。
また,学校を攻撃対象とする加害行為がされた場合,名誉毀損による無形損害と同時に,業務妨害によっても大きな無形損害が発生する。業務妨害によって生じる無形損害は,示威活動の日に生ずる授業の混乱のみではない。後日にも,財産的損害として金銭に見積もることが容易でない学校運営上の様々な支障が継続的に発生するのである。そして,本件映像公開は,インターネットを通じ,不特定多数人に継続的に本件示威活動の様子を開示し続けるというものであり,名誉毀損と業務妨害による無形損害を日々増幅させるという形で,本件示威活動と密接に関係しているのである。
したがって,示威活動①と映像公開①,示威活動②と示威活動②,示威活動③と映像公開③は,それぞれが関連共同性のある共同の行為というべきであり,例えば,示威活動①の不法行為者は,映像公開①に関与していないとしても,示威活動①及び映像公開①によって生じた損害全体について賠償責任を負うことになる。
3
被告A,被告E,被告C,被告Dの責任について
被告A,被告E,被告C,被告Dの4名(以下被告Aら4名という。)は,前記認定のとおり,3日にわたって行われた本件示威活動のいずれにも参加し,かつ,主導的に活動に関与したことは明らかである。
したがって,被告Aら4名は,示威活動①及び映像公開①によって生じた損害,示威活動②及び示威活動②によって生じた損害,示威活動③及び映像公開③によって生じた損害のいずれについても,損害全部の賠償責任を負う。なお,それぞれの示威活動の中の被告ら各人の行動は,関連共同性のある行為の一部を構成している。この場合,自分が実際に行った行為による損害しか賠償しないという主張は許されないから,関連共同性として一括りにすべき示威活動の一部に関与した者は,範囲内の行為から生じた損害全部の賠償責任を負うことになる。
例えば,事前の打合せがなかった示威活動①における被告Dによるスピーカーの損壊行為について,示威活動①に参加した他の被告らは,被告Dがそういう行動をとることを聞いてもなかったし知りもしなかったと抗弁して,被告Dの損壊行為によって生じた損害の賠償責任を免れることはない。さらに,被告Dは,示威活動③では,別働隊として四条での示威活動を指揮したものであるが,示威活動③は,Y公園発の示威活動も四条での示威活動も,朝鮮学校を糾弾する姿を世間に訴える意図の下に,同じ日に,一体の示威活動として行われたのであり,それぞれによって生じた原告の損害というものを別々に認定判断することも困難であるから,それら示威活動相互間には関連共同性が認められる。したがって,Y公園発の示威活動に参加した者は,民法719条1項の適用上,四条での示威活動(及び映像公開③)による損害の賠償責任を免れることができない。
4
被告Fの責任について
前記認定の事実経過及び被告Aら4名の捜査機関に対する供述調書(甲49ないし54,80,121,125及び130)によれば,被告Fと被告Aら4名は,主義主張を同じくする仲間であり,被告Fが被告Aら4名の広報担当としての役割を果たしていた事実が明らかである。すなわち,被告Fは,被告在特会や主権会の主義主張に共感し,その活動を世間に知らしめるため,本件示威活動の様子を撮影し,その映像を公開していたものと認められる。したがって,被告Fは,本件活動の全部に加わったことになるから,被告Aら4名と同様の賠償責任を負う。被告Fは,Y公園発の示威活動の撮影と映像公開には関与していないが,そうだとしても,示威活動③及び映像公開③によって生じた損害全部の賠償責任を負うことは,上記3のとおりである。なお,被告らは,撮影した映像をありのままに公開する被告Fの行為は,不法行為を構成しないかのような主張をしているが,それは全くの独自の見解であって失当である。

5
被告Bの責任について
被告Bは,示威活動②及びY公園発の示威活動を自ら企画し,かつ参加もし,街宣車に乗って現場を指揮し,拡声器を用いて多くの発言をし,示威活動の中心的役割を果たしたものである。また,被告Bは,示威活動②では被告Fが公開した映像を,Y公園発の示威活動では同行させた主権会のカメラマンが公開した映像を,それぞれ主権会のウェブサイトでも閲覧できる状態にしているのである。前記認定に照らせば,被告Bは,四条での示威活動が行われることを認識していなかったものと認められるが,上記のとおり,Y公園発の示威活動と四条での示威活動との間には関連共同性が認められる結果,四条での示威活動及び映像公開③による損害の賠償責任を免れることはできない。したがって,被告Bは,示威活動②及び映像公開②によって生じた損害,示威活動③及び映像公開③によって生じた損害のいずれについても,損害全部の賠償責任を負う(さらに,後記のとおり,被告Bは,結局,民法715条1項に基づき,直接には関与していない示威活動①及び映像公開①による損害の賠償責任を負う。)。
6
被告Hの責任について
前記認定のとおり,被告Hは,示威活動②及びY公園発の示威活動に参加し,街宣車に乗り込み,被告Aが書いたメモをマイクを使って読み上げるなどの行動をとっており,これらの示威活動に主体的に関与し,他の参加者を扇動するという役割を担っていたのであり,示威活動②及び映像公開②によって生じた損害,示威活動③及び映像公開③によって生じた損害のいずれについても,損害全部の賠償責任を負うものである(被告Hが四条での示威活動やその映像公開がされることを予め知っていたのかどうかは証拠上明らかではないが,上記のとおり,四条での示威活動とY公園発の示威活動との間には関連共同性が認められるから,被告Hは,四条での示威活動によって生じた損害を含め,示威活動③及び映像公開③によって生じた損害全部の賠償責任を負う。)。
7
被告Gについて
被告Gは,示威活動②及びY公園発の示威活動に参加したものである。被告Gは,被告在特会の副会長であり,また執行役員として地方支部運営の任命や解任を行う権限を有していたから,これらの示威活動に参加するについては,当然,事前に被告Bらと打合せを行っていたものと考えられ,また,四条での示威活動やその映像公開が行われることも予め知っていたものと考えられる。したがって,被告Gが,示威活動②及び映像公開②によって生じた損害,示威活動③及び映像公開③によって生じた損害のいずれについても,損害全部の賠償責任を負うことは明らかである。
第6
1
使用者責任について(争点5にする判断
5に対
判断)
使用者責任について(争点5に対する判断)
について
民法715条1項に基づく使用者責任が認められるには,不法行為がある事業のために他人を使用する者の事業の執行について行われる必要がある。ここでいうある事業のために他人を使用する関係とは,指揮監督できる状態で当該事業に他人を従事させるという関係で足り,その他人と使用者との間に雇用・委任等の契約関係までは必要がないと解されるし,ここでいう事業とは継続的な事業であるか一時的な事業であるのか,営利事業であるのか非営利事業であるのかも問わないものと解される。
他人を使用することで事業活動の範囲を拡大した使用者は,事業拡大に伴って生じた危険拡大に対しても責任を負うべきだという理念を前提として,民法715条が立法されているからである。

2
被告在特会の使用者責任
(1)前記認定のとおり,被告在特会は,在日朝鮮人を特権的に扱うことを否定することを標榜する社団であり,設立当初から,街頭での抗議活動や示威活動を行い,その様子を撮影した映像を公開して会員数を増加させてきたものである。本件活動のような街頭での示威活動やその映像の公開は,被告在特会の本来的な事業である。実際にも本件映像公開によって,被告在特会の会員数は飛躍的に増加したのである。
(2)示威活動①についてみると,公開された予告映像の題名に在特会関西と記載され,平成21年12月4日の当日も,被告Aを始めとする被告らは,自らを在特会関西と名乗ったものである。また,被告Dは,示威活動①の報告文を被告在特会のウェブサイトに掲載したものである。さらに,甲第59,60号証によれば,Jは,その自らのブログやその後の示威活動においても,示威活動①が被告在特会の活動であることを前提とする発言を行っていることが認められる。
したがって,本件活動は,被告在特会の事業そのものであったというべきである。
(3)被告らのうち,本件当時,被告在特会の幹部であったのは,関西支部長であった被告D,関西支部会計であった被告A,副会長の被告Gである。前記認定のとおり,被告在特会においては,支部の活動は基本的にその自主性に任されているが,会長であるJが直接指示を出すこともあり,また,被告在特会の会員としてふさわしくないと認められる会員に対しては,Jの職権によっても除名その他の処分を行うことができるのである。被告Aの過激な言動も在特会という看板が必要だったはずで,被告Aが,被告在特会代表者であるJの意向に反してまで(Jから除名されることを厭わないで)示威活動を自由自在に行うことができたとは考えにくい。被告D及び被告Gについても同様である。
したがって,被告在特会と被告D,被告A及び被告Gとの間には,本件活動に関し,指揮監督ができる状態にあったということができる。(4)したがって,被告在特会は,民法715条1項に基づき,被告A,被告D及び被告Gの使用者として,同被告らと同様の賠償責任を負う。
3
被告Bの使用者責任
(1)前記認定のとおり,被告Bが代表を務める主権会は,支那・中共,朝鮮に阿る…売国経済人をはじめ,我が国の国家利益を貶める…反日・虐日勢力など靖國の英霊を貶める支那・中共の代理人勢力と戦うことを行動指針とする団体であり,被告在特会と主権会の両方に入会する者も多かったことや,被告Bが被告在特会と共同で行った示威活動②③の中心的役割を果たしたことに照らせば,主権会の事業もまた,被告在特会と同様,反日的な対象に対する抗議活動やその映像の公開にあったということができる。(2)被告らのうち,本件当時,主権会の幹部であったのは,主権会関西支部の支部長であった被告C,同支部の事務局長であった被告E,同支部の幹事であった被告Aである。
被告Bは,主権会関西支部に対しては,被告Bの指示を了解し納得している前提で行う活動であれば,具体的な活動内容の決定は関西支部の幹部に任せていたものである。
示威活動①の予告映像のタイトルには,在特会関西という表記に並んで主権回復を目指す会という表記がされ,平成21年12月4日の当日も,被告らは,自らを在特会関西だけでなく主権回復を目指す会とも名乗っており,主権回復を目指す会と記された幟を掲げていた。この幟は,被告Bが,主権会の関西支部として活動する際に使用することを許して被告Cに預けていたものであった。
これらの事情に鑑みれば,被告Bは,自身による一定の統制のもとで,被告C,被告A及び被告Eに対して,主権会の名称を使用して抗議活動や示威活動を行うことを容認していたことが明らかであって,被告Bは,その直接間接の指揮監督のもと,被告C,被告A及び被告Eを主権会の事業に従事させていたということができる。
(3)したがって,被告Bは,民法715条1項に基づき,被告C,被告E及び被告Aの使用者として,同被告らと同様の賠償責任を負う。
第7
1
原告の損害について争点6にする判断
について(
6に対
判断)
原告の損害について(争点6に対する判断)について
積極的な財産損害(合計16万3140円)
前記認定の事実経過並びに証拠(甲148ないし151,170)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,争点6に関する原告の主張のとおり,示威活動①により,スピーカーの修補費用4万7040円,朝鮮学校への攻撃を許さない!12・22緊急集会と題するビラの配布費用670円,示威活動②により課外授業のための国立民俗学博物館入場料4860円,観光バス代及び通行料10万9900円,1月14日の課外授業についてと題する文書の配布費用として670円の支出を余儀なくされた有形損害(合計16万3140円)をそれぞれ被ったものと認められる。
2
無形損害について
(1)民法710条にいう財産以外の損害とは,精神上の苦痛だけに限られるものではなく,社会通念に照らして金銭賠償を相当とする無形の損害全般を指すものと解される。例えば,法人の名誉が侵害された場合,これによる損害については,金銭に見積もることが可能であるとして金銭賠償を認めることが社会通念に照らして相当であるから,民法710条に基づく損害賠償が命ぜられることになる(最高裁判所昭和39年1月28日第一小法廷判決・民集18巻1号136頁)。
本件活動による原告の名誉毀損についても,無形損害という形で金銭評価すべきことになる。
(2)学校法人の教育業務に対し集団での示威活動による妨害がされた場合,上記1のような積極的な支出という形で目に見える(有形の)損害が発生すると同時に,財産損害として容易に認識することができない大きな無形の損害が生じる。
前記第1の6に認定のとおり,示威活動①では,当日,喧噪により本件学校の校舎内に著しい混乱が生じ,これによって予定通りの行事や授業ができなくなっている。これによって苦痛を受けたのは,本件学校の児童や教員であるが,学校法人たる原告には損害が生じていないとはいえない。法人は,生身の人間ではなく,精神的・肉体的な苦痛を感じないため,苦痛に対する慰藉料の必要性は想定し難いが,学校法人としての教育業務を妨害されれば,そこには組織の混乱,平常業務の滞留,組織の平穏を保つため,あるいは混乱を鎮めるための時間と労力の発生といった形で,必ずや悪影響が生じる(前記第1の7に認定の事実は,学校法人に悪影響が発生した事実を認定したものである。)。混乱の対応のため費やすことになった時間と労力は,積極的な財産支出や逸失利益という形での損害認定こそ困難であるものの,被告らによる業務妨害さえなければ何ら必要がなかった(あるいは他の有用な活動に振り向けることができた)時間と労力なのであって,原告の学校法人としての業務について生じた悪影響であることは疑いがない。このような悪影響をも損害として観念しなければ,民法709条以下の不法行為法の理念(損害の公平な分担)を損なうことが明らかである。このような悪影響は,無形損害という形で金銭に見積もるべき損害というべきである。すなわち,本件活動による業務妨害により,本件学校における教育業務に及ぼされた悪影響全般は,無形損害として,金銭賠償の対象となる。(3)無形損害を金銭評価するに際しては,被害の深刻さや侵害行為の違法性の大きさが考慮される。
ところで,甲第155号証によれば,日本政府は,昭和63年,人種差別撤廃条約に基づき設立された国連の人種差別撤廃委員会において,日本の刑事法廷が人種的動機(racialmotivation)を考慮しないのかとの質問に対し,レイシズムの事件においては,裁判官がしばしばその悪意の観点から参照し,それが量刑の重さに反映されると答弁したこと,これを受けて人種差別撤廃委員会は,日本政府に対し憎悪的及びレイシズム的表明に対処する追加的な措置,とりわけ…関連する憲法,民法,刑法の規定を効果的に実施することを確保することを求めた事実が認められる。すなわち,刑事事件の量刑の場面では,犯罪の動機が人種差別にあったことは量刑を加重させる要因となるのであって,人種差別撤廃条約が法の解釈適用に直接的に影響することは当然のこととして承認されている。同様に,名誉毀損等の不法行為が同時に人種差別にも該当する場合,あるいは不法行為が人種差別を動機としている場合も,人種差別撤廃条約が民事法の解釈適用に直接的に影響し,無形損害の認定を加重させる要因となることを否定することはできない。
また,前記のとおり,原告に対する業務妨害や名誉毀損が人種差別として行われた本件の場合,わが国の裁判所に対し,人種差別撤廃条約2条1項及び6条から,同条約の定めに適合する法の解釈適用が義務付けられる結果,裁判所が行う無形損害の金銭評価についても高額なものとならざるを得ない。
3
示威活動①及び映像公開①に関する無形損害について示威活動①は,スピーカーや朝礼台の撤去という有形力の行使を伴っており,しかも,それらの物件を撤去が間近に行われる予定であったのに,あえて授業が行われている平日の昼間を選んで行われたものである。その他の一切の事情を考慮すれば,示威活動①及び映像公開①によって生じた無形損害を賠償するための額としては,500万円が相当である。

4
示威活動②及び映像公開②に関する無形損害について示威活動②は,主権会及び被告在特会の共催という形で数十名という大人数で組織的に行われたこと,本件学校の授業が行われる平日の昼間を選んで行われたこと,これによって本件学校では課外授業を行うなどのカリキュラム変更を余儀なくさせたことその他の一切の事情を考慮すれば,示威活動②及び映像公開②によって生じた無形損害を賠償するための額としては,300万円が相当である。

5
示威活動③及び映像公開③に関する無形損害について示威活動③のうちY公園発の示威活動は,主権会及び被告在特会の共催という形で,数十名という大人数で組織的に行われたこと,日曜日に行われたとはいえ本件学校の付近で行われたこと,本件仮処分決定の存在を知りながら,これを無視して行われたことその他の一切の事情を考慮すれば,示威活動③及び映像公開③によって生じた無形損害を賠償するための額としては,300万円が相当である。
6
弁護士費用
本件に現れた一切の事情を考慮すれば,弁護士費用としては,上記3ないし5の無形損害のそれぞれ1割を相当因果関係ある損害として認めるのが相当である。

7
損害額のまとめ
(1)示威活動①及び映像公開①に関する損害有形損害
無形損害
弁護士費用

4万7710円
500万円
50万円
(合計554万7710円)

賠償義務者

被告在特会,被告A,被告B,被告C,
被告D,被告E,被告F

(2)示威活動②及び映像公開②に関する損害有形損害
無形損害
弁護士費用

11万5430円
300万円
30万円
(合計341万5430円)

賠償義務者

被告在特会,被告A,被告B,被告G,
被告C,被告D,被告E,被告H,被告F

(3)示威活動③及び映像公開③に関する損害無形損害
弁護士費用

300万円
30万円
(合計330万円)

賠償義務者

被告在特会,被告A,被告B,被告G,被告C,被告D,被告E,被告H,被告F第8
1
差止めの可否について(争点7にする判断
7に対
判断)
差止めの可否について(争点7に対する判断)
めの可否について
差止めの法的根拠について
(1)差止めの訴えとは,不作為義務の履行を求める給付の訴えである。わが国の民法は,不法行為の法的効果を,名誉毀損の場合の名誉回復措置を除き,金銭賠償に限定しているが,これはあくまで不法行為の法的効果として当然に差止請求権が発生するとはしない立法態度にすぎない。もし,不法行為以外の根拠により,ある人が他人に対し不作為義務を負う場合,その人は当該他人に対し,その不作為義務の履行を求める請求権(差止請求権)を有することは当然である。
(2)不作為義務は,契約によっても生じるが,契約がなくとも生じる。例えば,所有権や通行地役権などの物権の侵害行為がされ,それが繰り返されるおそれがある場合に,物権侵害を差し控える不作為義務の履行請求権が物権的請求権として発生する。
不作為義務を発生させるのは物権だけではない。生命,身体,名誉,平穏な日常生活を送る利益などの人格的利益の侵害行為がされ,それが繰り返されるおそれがある場合にも不作為義務は発生するものと解される。(3)自然人について,名誉や平穏な日常生活を送る利益が人格的利益として法的保護に値するのと同様,法人についても,名誉や平穏に日常業務を営む利益が法人の人格的利益として法的な保護に値する。法人は,自然人と同様,社会の中で,平穏に様々な日常業務を行い,財を移転し,富を蓄え,社会的評価を形成する存在である。法人の業務や社会的評価も,自然人の人格的利益と同様の法的保護を受けるとしなければ,健全な社会を維持することが不可能となる。
(4)したがって,学校法人である原告は,本件活動によって既に起きた権利侵害(業務妨害や名誉毀損)に対しては金銭賠償を求めることができるし,本件活動と同様の業務妨害や名誉毀損がさらに起こり得る具体的なおそれがある場合,法人の人格的利益に基づき,被告らに対し,さらなる権利侵害を差し控える不作為義務の履行請求権を取得するのである。
2
被告A等に対する差止請求の当否について
上記1で述べたところを本件についてみると,被告らが本件仮処分決定の後もこれを無視して示威活動③を行った事実,被告在特会が,示威活動③の直後にそのウェブサイトで反日教育を推進する犯罪者の巣窟,子どもの未来を奪う児童虐待を継続して行っている朝鮮学校を一日も早く消滅させるため,在特会はこれからもまい進して参りますという文章を掲載した事実,本件活動後も,被告らの一部が,徳島県教職員組合に対する示威活動(被告A,被告D及び被告E)や右京区役所に対する示威活動(被告A,被告G,被告D及び被告E)を,いずれも威圧的・暴力的な態様で行った事実,被告Fが前者に同行してその様子を撮影していた事実,被告A及び被告Eが本件学校の移転先(新校舎建設中の場所)にも許可なく立ち入った事実,その際,被告Aが朝鮮学校を侮辱する言動を行った事実,その様子を被告Fが撮影していた事実に照らせば,本件学校が移転統合された今でもなお,被告A,被告E,被告D,被告F及び被告G並びにこれらの者の活動母体である被告在特会によって,本件学校の移転先において,本件示威活動と同様の業務妨害及び名誉毀損がされる具体的なおそれが認められるから,同被告らには,少なくとも,主文4項に記載の程度の限度で,原告に対する権利侵害を差し控える不作為義務を負うものといわなければならない。被告Hについても,上記の被告らとの繋がりがなくなったものとは思われず,上記の被告らに同行して業務妨害及び名誉毀損に及ぶ具体的なおそれが認められるから,同様の不作為義務を負う。

3
被告B等に対する差止請求の当否について
被告B及び被告Cについては,本人尋問において原告に謝罪し,あるいは謝罪したいとの意思を明確にしている。また,被告Bは,平成22年5月,徳島県教職員組合への示威活動を行った被告A及び被告Eを主権会から除名処分にしているが,弁論の全趣旨によれば,そのころ以降,主権会と被告在特会とが共同して示威活動をすることがなくなった事実及び被告Cは被告在特会とのつながりが薄くなった事実が認められる。したがって,被告B及び被告Cの両名によって本件示威活動と同様の業務妨害及び名誉毀損がされる具体的なおそれまでは認められないから,この両名に対する原告の差止請求は理由がない。4
被告Iに対する差止請求の当否について
被告Iの本人尋問及び弁論の全趣旨によれば,被告Iは本件街宣車の名義人であるものの,その管理及び使用は専ら被告Aが行っており,本件示威活動に本件街宣車が供されたことは本件訴訟に至るまで知らなかったことが認められる。
そうだとすれば,被告Iが本件示威活動のために本件街宣車を提供したとは言い難いのであって,被告Iの行為により,今後,原告に対する権利侵害がされる具体的なおそれを認めることができないから,被告Iに対する差止請求は理由がない。

5
北方ジャーナル判決について
被告らは,請求の趣旨4項の差止めは表現行為の事前抑制に当たり,北方ジャーナル判決が説示する非常に厳格な要件を満たさない限り許されないと主張するが,原告の差止請求は,被告らによる表現行為そのものを差し止めるものではなく,本件学校の移転先の門扉を起点にした半径200メートルの範囲だけに場所を限定し,かつ,業務妨害あるいは名誉毀損となり得る表現行為のみを制限するにすぎない。北方ジャーナル判決は,この程度の不作為義務の給付をも違法とするような法理を述べるものではなく,被告らの主張は失当である。
第9

結論
以上の次第で,原告の損害賠償請求は前記第7の限度で理由があるものとして認容し,その余を失当として棄却し,原告の差止請求は,前記第8の限度で理由があるものとして認容し,その余を失当として棄却することとし,主文のとおり判決する。
京都地方裁判所第2民事部

裁判長裁判官

橋詰
裁判官

川淵健司
裁判官

合田顕宏均
本件示威活動での表現行為
番号1~示威活動①
被告Aの発言

(別表甲-1枚目)
被告らの主張
被告らの主張
らの
①原告が京都市の公有財産であるX公園を約50年にわたってサッカーゴール等を設置するなどして占有してきた事実,②同占
公園を50年も不法占拠有が京都市の許可を得ないでされたものであり,都市公園法に違反するしている
不法占拠であること(乙23・略式命令),③その結果,日本国
日本国民が公園を使えな民である周辺住民が同公園を自由に使用できない不健全な状態にあっい
たことは,いずれも真実である。原告による都市公園法違反の事実は,公共の利害に関するものであり,被告らが専ら公益を図る目的で行っていることも明らかであり,名誉毀損による不法行為は成立しない。
番号2
番号2~示威活動①

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告A,被告Cの発言

①学校敷地がもともと日本人の土地だった事実
,②戦後の混乱期,在日朝鮮人の一部が戦勝国民

この学校の土地も不法占拠だ我々のを名乗り,土地の収奪等の無法を働いたという事実,先祖の土地を奪った。戦争中,男手がいな③隣接するX公園を不法占拠しているという事実,④いとこから,女の人をレイプして虐殺して本件学校が朝鮮総連によって支配されているという事奪ったのがこの土地ここも(学校敷地実及び⑤朝鮮総連は北朝鮮の指揮命令で動く組織であ内をさして)もともと日本人の土地や。おるという事実に基づく意見表明であり,①ないし⑤の前らが戦後奪ったんちゃうんかいこら!
事実はいずれも真実である。

これはね,侵略行為なんですよ,北朝鮮なお,左の発言のうち,「これはね,侵略行為なんによる戦後焼け野原になった日本人にですよ,北朝鮮によるは,本件学校による勧進橋児
つけこんで,民族学校,民族教育闘争,こ

童公園の不法占拠という犯罪事実(乙23)について

ういった形で,至る所,至る日本中,至る

,上記④及び⑤の事実を前提としてされた意見表明で
とこで土地の収奪が行われている」

ある。

番号3
番号3~示威活動①
被告Aの発言

被告らの主張
被告らの主張
らの
①朝鮮学校(朝鮮大学)において秘密裏に工作員養成が行われていたという事実,②本件学校を支配している朝鮮総連が北朝鮮労働
ここは北朝鮮のスパイ党の指揮下,北朝鮮政権に忠誠を誓って特殊な訓練を受けた工作員の養養成機関
成と違法な工作活動に関与してきたという事実及び③朝鮮学校の教育が,北朝鮮の独裁者である金日成・金正日父子に関する事実に基づかない神話及び英雄譚による個人崇拝イデオロギー等の北朝鮮政権に対する忠誠を強いるものとなっているという事実を前提としてされた意見表明である。①ないし③については,いずれも真実であるか,真実と信じるにつき相当の理由があった。
本件示威活動での表現行為

(別表甲-2枚目)

番号4
番号4~示威活動①

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告A,被告D等の発言

①本件学校を支配する朝鮮総連が北朝鮮の工作員の養成とその違法な活動に関与してきたという事実,②多くの在日朝鮮人が戦
スパイの子ども

後,日本に密入国の形で渡航してきたという事実,③本件学校を
こいつら密入国の子孫

支配する朝鮮総連が日本人拉致事件及び朝銀信組による不正送金

犯罪者に教育された子ど等の犯罪に関与してきたという事実並びに④本件学校が都市公園法にも
違反する不法占拠の犯罪を行っていた事実を前提とする意見表明である。①ないし④については,いずれも真実である。
番号5
被告らの
らの主張
番号5~示威活動①被告らの主張
被告Aの発言

この発言は,朝鮮総連の大阪の商工会の会長,そして朝鮮学校の大阪,そしてP,生野区で,この三人がQさんを拉致したことが認定「ここは横田めぐみされているんですよ,これ。そして,山口の朝鮮学校の校長,覚せい剤の密さん始め,日本人を輸で国際指名手配されているんですよと続くものであり(乙20),この
拉致した朝鮮総聯」

うち朝鮮学校の大阪とは,大阪の朝鮮学校の校長はQさんを拉致した「朝鮮ヤクザ
」ことを指す(乙20)。すなわち,この発言は,①本件学校は朝鮮総連の傘下にあり,朝鮮総連によって支配されているという事実,②朝鮮総連が北朝鮮の工作員による日本人拉致事件に関与しているという事実,③朝鮮総連の商工会の会長や大阪の朝鮮学校の校長がQさんの拉致事件に関与していた事実を摘示するものである。①ないし③については,いずれも真実である。
番号6~示威活動①被告らの主張
番号6
被告らの主張
らの
被告A等の発言

①朝鮮学校が朝鮮総連の傘下にあって支配されているという事実,②朝鮮総連が拉致事件等の犯罪に関与していること,③朝鮮学校の校
朝鮮学校を日本か長,商工会の会長が,拉致事件や覚醒剤密輸の犯罪(北朝鮮の工作活動)にらたたき出せ
関与していたという事実,④本件学校が都市公園法違反の犯罪を行った
出て行け

という事実に基づく政治的意見表明である。

朝鮮学校,こんなものはぶっ壊せ

たたき出せとの表現は,いかにも挑発的かつ攻撃的ではあるが,⑤犯罪を行った外国人に対する退去強制という政策は,入管法にも規定されており,⑥原告が被告らの正当な政治要求(公園の不法占拠の解消)に対して挑戦的な対応をとってきたという事情を加味すれば,必ずしも不適切な発言だと決めつけることはできない。
本件示威活動での表現行為

(別表甲-3枚目)

番号7
番号7~示威活動①

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告Aの発言

原告又は本件学校の関係者によるおう,おんどれ,静かにせいや,われ,ぼ「現行犯逮捕せえ!現行犯逮捕!日本から出て行け,け何ゆうとんならコラ

ふざけんな,ほれー。何が子どもじゃこんなもん。お前ら,スパイお前,ぶっ殺すぞ。勝手にきたんやろが

の子どもやないか,スパイの,ね。拉致した被害者を酒臭いぞ,ぼけ!頭おかしいんじゃないか,返せ,そしたら。大阪の朝鮮学校の校長はQさんを拉ぼけ!?

誰が犯罪者じゃ。子どもらおる致した。これは確定しておるぞ。やかましいわ,お前やろが,考えてせえや

との発言に対する応。喧嘩か。喧嘩やらやったるぞ。現行犯逮捕せえ!朝酬としてされたものであり,人種差別的な意鮮ヤクザ!なめとったらあかんぞ」
番号8
番号8~示威活動①
被告Aの発言

図に基づく侮辱ではない。

被告らの主張
被告らの主張
らの
直前のルールを守れとの発言を受けたものであり,えらそうにお前こんな占拠せんとに続くものである(乙20)

端のほう歩いとったらええ。本件学校の不法占拠の事実に基づき,その解消を主張する意見表んや,初めから


明であるとともに,学校関係者らの暴力と挑発的な暴言を受けた応酬言論である。

番号9
番号9~示威活動①
被告Aの発言

被告らの主張
被告らの主張
らの
本件学校を含む朝鮮学校が,教育基本法6条1項に
いう法律に定める学校ではなく,学校教育法1条

朝鮮学校,こんなものは,学校じゃなにいう「学校でも,同法124条にいう専修学校でい」

もないという規範的事実に基づく意見表明である。

番号10
番号10~示威活動①

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告Eの発言

原告又は本件学校の関係者による

きしょい,きしょい,お前らきしょいわ。くさ。ああ,くさ,くさ


キムチ臭いで

との発言に対する応酬的な悪態であり,人種差別的な意図
に基づく侮辱ではない。

番号11
番号11~示威活動①
被告Dの発言

被告らの主張
被告らの主張
らの
被告らをなだめようとして間に入ってきた京都府警
察の警察官に対するものであり,原告に対して向けら

約束というのはね,人間同士がするもれたものではない。んなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません

本件示威活動での表現行為

(別表甲-4枚目)

番号12
番号12~示威活動②

被告らの主張
被告らの主張
らの

横断幕を掲げての文字表現

①本件学校による不法占拠の事実,②被告らによる糾弾活動に対し,原告が『学校襲撃』との非難を

朝鮮学校の公園占拠を許すな!不法占拠浴びせている事実,③自らの不法占拠が指弾を受けていを『学校襲撃』にすり替える朝鮮人の下劣ることに頬被りしている事実及び④原告が被告らの糾弾差別迫害されている朝鮮人は本国へ帰れに対して「差別だと非難している事実という,いずれ!」
番号13
番号13~示威活動②
被告A等の発言

も真実の摘示及びこれに基づく意見表明である。
被告らの主張
被告らの主張
らの
①本件学校による公園の不法占拠の事実,②朝鮮学校が朝鮮総連
不逞な朝鮮人を日本かの傘下にあり,その支配を受けている事実,③朝鮮総連や朝鮮学校の校ら叩き出せ
長らが,拉致事件等の犯罪に関与していたという事実及び④公園の

日本の子どもたちの笑不法占拠によって地域住民の子供たちが自由に公園で遊べない事実といい顔を奪った卑劣,凶悪う,いずれも真実に基づく意見表明である。「叩き出せ

との表現は攻撃
な朝鮮学校を我々日本人

的であるが,犯罪を行った外国人を強制退去させるという入管法の基本政
は決して許さないぞ」

策に照らして,必ずしも侮辱的だと決めつけることはできない。

番号14
番号14~示威活動②

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告Aの発言

戦後の混乱期において,
在日朝鮮人の一部が犯罪行

戦後この朝鮮人は治安が整っていない時期に,なめたことに,旧為,無法行為を行ったという日本軍の,陸海軍の飛行服を身につけ,土地の不法侵奪,金品略奪歴史的事実に基づく事実の摘,強姦,銀行襲撃,殺戮,警察襲撃など,暴れまくったんです

示及び意見の表明であり,不朝鮮人として,その自分の土地として勝手に登記し,現在に至って法行為は成立しない。いる

番号15
番号15~示威活動②

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告Dの発言

いずれも応酬的な悪態であり,人種差別的

朝鮮人を保健所で処分しろ犬の方が賢い
番号16
番号16~示威活動②
被告Bの発言

な意図に基づく侮辱ではない。

被告らの主張
被告らの主張
らの
①朝鮮学校(朝鮮大学)において工作員養成がな
されていた事実,②朝鮮学校が朝鮮総連の傘下にあ
北朝鮮の工作員養成機関,朝鮮学校を日り,その支配を受けているという事実,③朝鮮総連が金本から叩き出せ
正日に忠誠を誓い,北朝鮮労働党の指示を受けて活

スパイの養成機関,日本人拉致の養成機動しているという事実,④朝鮮総連及び朝鮮学校の校関,朝鮮学校を解体しろ
長らが拉致事件に関与しているという,いずれも真実で
ある事実又は真実であると信じることについて相当な理
由がある事実に基づく意見表明である。
本件示威活動での表現行為

(別表甲-5枚目)

番号17
番号17~示威活動②

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告Bの発言

本件学校を含む朝鮮学校が,教育基本法6
条1項にいう法律に定める学校ではなく

朝鮮学校,朝鮮学校と言いますがこれはただ自,学校教育法1条にいう「学校でも,同法1
分たちが学校という名前をつけただけであって,

24条にいう専修学校でもないという規範的

何ら我が国の認可を受けた学校でも何でもない」

事実に基づく正当な意見表明である。

朝鮮学校は,学校ではない
番号18
番号18~示威活動②

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告Bの発言

この発言は,①朝鮮学校では教員免許も必要なく,教師の資格を欠く者が教壇に立っている可能性がある事実

ここに働く括弧付き教師について,②下関朝鮮学校の元校長が覚せい剤の密輸に関わったとしても単なる北朝鮮のもっとも優れた工国際指名手配されている事実及び③朝鮮学校の教職員や初級部作員である。教師とは縁もゆかりも4年生以上の児童は,それぞれ朝鮮総連の傘下団体である在日ない学校の名に値しない。教師の名本朝鮮人教職員同盟(教職同)や在日本朝鮮青年同盟(朝青)に値しない
に所属し,折に触れて金正日の偉大性を紹介する課外活動
を受けさせられている事実に基づく意見表明である。①ないし③については,いずれも真実である。

番号19
被告らの
らの主張
番号19~示威活動③~Y公園発の示威活動被告らの主張横断幕を掲げての文字表現

①本件学校による不法占拠の事実,②被告らによる糾弾がされた事実,③自らの不法占拠が

朝鮮学校の公園占拠を許すな!不法占拠を指弾を受けていることに頬被りしている事実及び④『学校襲撃』にすり替える朝鮮人の下劣差原告が被告らの糾弾に対して「差別だと非難して
別迫害されている朝鮮人は本国へ帰れ!」

いる事実という,いずれも真実の摘示及びこれに基
づく意見表明である。

番号20
番号20~示威活動③~Y公園発の示威活動

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告Bの発言

本件学校を含む朝鮮学校が,教育基本法
6条1項にいう法律に定める学校では

朝鮮学校は,学校ではありません

なく,学校教育法1条にいう学校でも

みなさん,日本の文部省の認可を受けていない,,同法124条にいう「専修学校でもない
ただの任意団体,この任意団体に,なぜ我々が税金

任意団体であるという規範的事実に基づく正

を払って,教科書無償,をする必要があるか」

当な政治的意見である(乙26)。
本件示威活動での表現行為

(別表甲-6枚目)

番号21
番号21~示威活動③~Y公園発の示威活動

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告Bの発言

いずれも,本件学校の関係者が,
女性参加者にまわしたろか,こら「ゴキブリ,ウジ虫,朝鮮半島へ帰れーくやしいくやなどと脅迫し,暴行を振るうなどの
しい朝鮮人は,金正日のもとに,帰れー」ゴキブリ朝鮮違法行為を交えてデモ隊を執拗に挑発し人,とっとと失せろー日本に差別され,くやしい,く,出発当初からデモを執拗に妨害してきやしい朝鮮人は,一人残らず,朝鮮半島に帰れー京都たことに対する応酬として行われたものをキムチの匂いに,まみれさせてはいけない
である。

番号22
番号22~示威活動③~Y公園発の示威活動

被告ら
被告らの主張

被告Bの発言

本件学校による本件公
園の不法占拠という事実

はーい,京都府民のみなさん,我々はこれまで50年間,朝鮮人にに基づく正当な意見表明で不当に奪い取られたX公園をやっと日本の子どもたちに取り返すことある。ができたのです

番号23
番号23~示威活動③~Y公園発の示威活動

被告らの主張
被告らの主張
らの

被告Hの発言

①本件学校による公園の不法占拠
という事実及び②原告が糾弾されて

朝鮮学校は,自分たちの悪行を棚に上げ,ひたすら差別も不法占拠を認めず,被告らを無実無だ,涙の被害者面で事実をねじ曲げようと(した。こうし根の差別排外主義者だと非難したというたやり方は)不逞朝鮮人の伝統芸能である
事実に基づく意見表明である。

番号24
番号24~示威活動③~Y公園発の
示威活動

被告らの主張
被告らの主張
らの
①本件学校による本件公園の不法占拠という事

被告Hの発言

実,②原告が被告らの糾弾活動を無実無根の人種

日本の子どもたちの笑い声を奪った,卑差別だと烙印を押し,児童に対する襲撃だと非難した劣,凶悪な朝鮮学校…。子どもを盾に犯罪事実及び③不法占拠の責任に頬被りしていた事実とい行為を正当化する不逞鮮人を許さないぞ
う,いずれも真実に基づく意見表明である。

番号25
番号25~示威活動③~四条での示威活動

被告らの主張
被告らの主張
らの

参加者の発言

朝鮮総連に対する
正当な批判であり,

ここを朝鮮総連の連中がデモ行進を行います……日本人を拉致した拉致犯意見論評であって原人なんですよ朝鮮人,北朝鮮ですね,その朝鮮総連,どういう団体かわ告や朝鮮学校,在日かるでしょ,みなさん。北朝鮮のね,スパイ,もしくはね,いつテロリスト朝鮮人一般に対してに変貌するかどうかわからんような,そういった連中がね,日本のね,あち向けられたものではこちに潜伏して,あちこちでふんぞり返っとるんですよ

拉致被害者を返ない。してから高校授業料無償化を唱えろー

本件示威活動での表現行為

(別表甲-7枚目)

番号26
番号26~示威活動③~四条での示威活動

被告らの主張
被告らの主張
らの

参加者の発言

朝鮮学校における民族教育の実
態が,金日成・金正日父子に忠誠

そんな北朝鮮の仲間が今日ここを通ってくる,朝鮮総連のを誓う思想教育であり,北朝鮮を擁護,朝鮮学校無償化までを訴えている連中です。朝鮮学校といする国民教育であるという事実に基づうのは,朝鮮総連が実は拉致犯人のようなスパイを仕立て上いて,かかる本来の民族教育からかけげる学校です洗脳されてスパイにされて日本で居にくく離れた教育の実態を批判する意見論評なるような朝鮮学校の子ども,その子どもさんも救おうと思であり,公正な論評の範疇にあるといっているですよ朝鮮学校の子どもたちはきちんとした教うべきである。左の発言は,いずれも育を受けてないんですよ。キムジョンイル賛美の教育を洗脳子どもを朝鮮学校教育の被害者として位置づけており,決して彼らを誹謗すされるんです。かわいそうな子どもです
るものではないことは明らかである。
番号27
番号27~示威活動③~四条での示威活動

被告らの主張
被告らの主張
らの

参加者の発言

戦後の混乱期に生
じた歴史的事実をい

朝鮮進駐軍,この言葉をぜひ検索してください。戦後のおそろしい,朝鮮うものであり,それ人がいかに日本人に,日本の男の人たちが戦争に行って死んでいないあいだが原告や在日朝鮮人に,女・子どもにひどいことをしたか,それをしっかりよく知ってください一般の社会的評価を。朝鮮進駐軍です。覚えておいてください。朝鮮進駐軍。高校生のみなさん低下させる不法行為,大学生のみなさん,朝鮮進駐軍,携帯でも検索できます。してみてくださではない。い。三国人,三国人を検索してみてください。おそろしいことがわかります番号28
番号28~示威活動③~四条での示威活動

被告らの主張
被告らの主張
らの

参加者の発言

事実に基づき,被
告らの事件に対する

公園の不法占拠,子どもを使ってごまかすな朝鮮学校に対する攻撃を見方を意見表明した許さない,というのはですね,私たちの仲間がですね,X公園という公園をものである。50年にわたってですね,無断でサッカーゴールとか朝礼台であるとか,あとですね電気の設備ですね,いつ漏電してもおかしくないような,電気の設備をですね,みんなが使う,子どもが使うような公園に置きっぱなしにしていました。それを撤去しに行っただけなんですよ。我々は。それに対して,朝鮮学校に対する攻撃とは,明らかに筋違いです。公共の施設にですね,危険物を置いてるんで,それをどかしに行っただけなんです。それをですね,彼らはですね,朝鮮学校の子どもたちをダシにしてですね,我々が攻撃したなどと主張しています本件示威活動対応のため本件学校の教職員が費やした延べ時間数の集計表(別表乙)は省略する。
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