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管理許可処分の仮の義務付け申立て事件(本案・当庁平成25年(行ウ)第66号 管理許可申請不許可処分取消等請求事件)
事件番号平成25(行ク)26
事件名管理許可処分の仮の義務付け申立て事件(本案・当庁平成25年(行ウ)第66号 管理許可申請不許可処分取消等請求事件)
裁判年月日平成25年3月28日
法廷名大阪地方裁判所
判示事項都市公園法5条1項に基づき都市公園内に設置された公園施設の管理許可を申請し不許可処分を受けた会社が,前記不許可処分の取消し及び前記申請に対する許可処分の義務付けを求める訴えを本案とする同許可処分の仮の義務付けを求める申立てが却下された事例
裁判要旨都市公園法5条1項に基づき都市公園内に設置された公園施設の管理許可を申請し不許可処分を受けた会社が,前記不許可処分の取消し及び前記申請に対する許可処分の義務付けを求める訴えを本案とする同許可処分の仮の義務付けを求める申立てにつき,前記管理許可はいわゆる特許としての性質を有するものであって,ある公園施設の管理を第三者に委ねることが当該都市公園の健全な発達に資するかどうかを判断するに当たっては,政策的・総合的な判断が必要とされるものであることも踏まえると,管理許可を与えるか否かは,都市公園を管理する者の合理的な裁量に委ねられているものと解するのが相当であり,第三者による公園施設の管理許可が新規の許可の場合には,都市公園を管理する者の有する裁量権の範囲は相当程度広範なものと解されるのに比して,更新に係るものである場合には,都市公園を管理する者の有する裁量権の範囲も自ずと制限されるものと解されるところであって,当該公園施設の目的及び用途や,当該公園施設の管理を従前当該第三者に委ねてきた経緯,当該第三者による当該公園施設の管理の期間や状況,今般当該第三者による管理の更新を行わないこととした理由や経緯等の諸般の事情を総合考慮して,当該第三者による当該公園施設の更新に係る管理許可申請に対する不許可処分が,事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,都市公園を管理する者の有する裁量権の範囲の逸脱ないし濫用が認められるか否かを判断すべきものと解されるとした上で,前記会社による前記公園施設の更新に係る管理許可申請に対して都市公園を管理する者が前記不許可処分をしたことについて,事実の基礎を欠いたり,社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,都市公園を管理する者の有する裁量権の範囲の逸脱ないし濫用が存するものとみえるということはできないので,前記不許可処分は違法であるとはみえず,前記不許可処分が取り消されるべきものであるとはいえないから,本案訴訟は不適法なものであって,本案について理由があるとみえるとはいえないとして,前記申立てを却下した事例
裁判日:西暦2013-03-28
情報公開日2017-10-19 12:23:37
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平成25年行ク第26号

管理許可処分の仮の義務付け申立て事件

主1
本件申立てを却下する。

2文
申立費用は申立人の負担とする。

第1


申立て
大阪市長は,申立人の平成25年1月30日付け公園施設管理許可申請に対し,同年4月1日から平成26年3月31日までの間,年間使用料1474万4200円を申立人が相手方に対して支払うことを条件として,仮に許可処分をせよ。

第2
1
事案の概要
本件は,都市公園法(以下法という。)2条1項1号所定の都市公園であるα公園内に設置された公園施設(売店兼食堂であり,同条2項7号,都市公園法施行令(以下法施行令という。)5条6項の便益施設に該当する。以下本件公園施設という。)につき,大阪市長から法5条1項に基づいて,期限付き管理許可を繰り返し受けていた申立人(最終期限は平成25年3月31日)が,大阪市長に対して,同年4月1日から平成26年3月31日までの1年間の管理許可申請(以下本件申請という。)をしたところ,大阪市長から不許可処分(以下本件不許可処分という。)を受けたことから,本件不許可処分の取消し及び本件申請に対する許可処分の義務付けを求める本案訴訟を提起するとともに,行政事件訴訟法37条の5第1項に基づき,本件申請に対する許可処分の仮の義務付けを求めた事案である。

2
本件申立てに係る申立人の主張は別紙仮の義務付け申立書,別紙申立人主張書面及び別紙申立人主張書面のとおりであり,これに対する
相手方の主張は別紙意見書のとおりであって,本件の争点は,以下のとお
りである。
(1)
(2)
第3
1
本案について理由があるとみえるか否か
償うことのできない損害を避けるための緊急の必要の有無

争点に対する判断
法の定め
(1)

法1条は,同法の目的を,都市公園(法2条1項)の設置及び管理に関す
る基準等を定めて,都市公園の健全な発達を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とすると定めている。
(2)

法2条2項柱書は,
公園施設とは,
都市公園の効用を全うするため当該都

市公園に設けられる同項各号に掲げる施設をいうと定め,同項7号には,売店,駐車場,便所その他の便益施設で政令で定めるものが掲げられている。そして,
これを受けて定められた法施行令5条6項は,
上記便益施設として,
売店,飲食店(料理店,カフェー,バー,キャバレーその他これらに類するものを除く。),宿泊施設,駐車場,園内移動用施設及び便所並びに荷物預り所,時計台,水飲場,手洗場その他これらに類するものを定めている。(3)

法2条の3は,
都市公園の管理は,
地方公共団体の設置に係る都市公園に

あっては当該地方公共団体が,国の設置に係る都市公園にあっては国土交通大臣が行うと定めている(以下,同規定により都市公園を管理する者を公園管理者という。)。(4)

法5条1項は,公園管理者以外の者は,都市公園に公園施設を設け,又は
公園施設を管理しようとするときは,条例(国の設置に係る都市公園にあっては,国土交通省令)で定める事項を記載した申請書を公園管理者に提出してその許可を受けなければならないと定めている。
(5)

法5条3項は,
公園管理者以外の者が公園施設を設け,
又は管理する期間

は,10年をこえることができず,これを更新するときの期間についても,同様とすると定めている。

(6)

法8条は,
公園管理者は,
法5条1項の許可に都市公園の管理のため必要

な範囲内で条件を付することができると定めている。
(7)

法27条2項は,
公園管理者は,
都市公園に関する工事のためやむを得な

い必要が生じた場合(同項1号),都市公園の保全又は公衆の都市公園の利用に著しい支障が生じた場合(同項2号),都市公園の管理上の理由以外の理由に基づく公益上やむを得ない必要が生じた場合(同項3号)のいずれかに該当する場合には,法5条1項による許可を受けた者に対し,その許可を取り消すことができると定めている。
(8)

法28条1項は,公園管理者は,法5条1項による許可を受けた者が,法
27条2項の規定により処分をされたことによって損失を受けたときは,その者に対し通常受けるべき損失を補償しなければならないと定めている。2
前提事実
当事者間に争いのない事実のほか,疎明資料等によれば,以下の各事実が一応認められる。
(1)

当事者について
申立人は,α内における軽飲食業及び土産品販売並びにこれらに付帯する
業務一切を目的として,
昭和40年9月14日に設立された合名会社である。
(2)

本件公園施設について


α公園は,相手方が管理する都市公園である。


本件公園施設は,α公園のβ地区に相手方が所有する便益施設(売店兼食堂)であり,公園施設に該当する(甲2ないし8,乙1)。


本件公園施設(鉄骨ラーメン造2階建,延べ面積433.86平方メートル)(甲1ないし8)は,大阪市が建設した売店の管理許可を得ていたA(申立人代表社員Bの親族)が,昭和42年9月30日,同施設を建て替えて同じ場所に建築し,C(申立人代表社員Dの親族)が,昭和48年1月5日,α公園の公園施設として相手方に寄付したものである(甲9の
2,乙8)。

申立人は,平成2年5月頃,自らの費用で,本件公園施設のうち便所の改修工事(工事代金389万3400円)をし,その頃これを相手方に寄付した(甲9の2)。

(3)

申立人の本件公園施設管理状況について
申立人は,大阪市長から,遅くとも平成8年度以降,継続的に,本件公園施設の管理許可を受け,本件公園施設において,売店,食堂を営んでいる。なお,昭和26年4月6日から平成7年度についても,A,C及びD(申立人の代表社員の1人)
が,
前記(2)ウの建替以前に相手方が同所に設
置していた売店及び本件公園施設の管理許可を得て使用していた
(甲12,
乙8)。


平成15年度以降,申立人は,大阪市長から,以下の内容の本件公園施設の管理許可を受けていた。
(ア)

平成15年4月1日付け及び平成18年4月1日付け各管理許可

(甲7,8)

期間

許可日から3年間


目的

売店


年間使用料

1466万9200円

(イ)

平成21年4月1日付け管理許可(甲6)


期間

許可日から1年間


目的

公園利用者の便益施設としての売店の管理


年間使用料

1466万9200円

(ウ)

平成22年4月1日及び平成23年4月1日付け各管理許可
(甲4,

5)

期間

許可日から1年間


目的

公園利用者の便益施設としての売店・食堂の管理


年間使用料

1466万9200円


条件

相手方では,便益施設の公募に取り組んでおり,本件
公園施設については,平成24年3月31日までを許可
更新の最終とするため,申立人は,支障となる設備の変
更などは行わず,その所有する動産の撤去など必要な事
前準備を行うこと

(エ)

平成24年4月1日付け管理許可(甲3)


期間

許可日から1年間


目的

公園利用者の便益施設としての売店・食堂の管理


年間使用料

1474万4200円


条件

相手方では,便益施設の公募に取り組んでおり,本件
公園施設については,平成25年3月31日までを許可
更新の最終とするため,申立人は,支障となる設備の変
更などは行わず,その所有する動産の撤去など必要な事
前準備を行うこと


大阪市長は,前記イ(ウ)の平成22年4月1日付け管理許可に先立つ同年3月29日に,申立人に対し,公園施設の管理業者を広く募ることにより市税外収入の確保を図る必要から,①今年度(平成21年度)より他の公園において便益施設管理業者の公募を行っており,来年度以降についても便益施設の管理業者を順次公募していくこと,②そのため,本件公園施設についても平成23年度の許可をもって最終の更新とすることを通知した(乙6)。


大阪市長は,前記イ(ウ)の平成23年4月1日付け管理許可に先立つ同年3月25日,申立人に対し,前記ウの通知のとおり,本件公園施設についても広く管理業者を公募することとしたが,当面の間の公園利用者の利便性を確保するという観点から申立人に対する本件公園施設の管理許可の
期限を1年間延長し,平成25年3月31日までの許可をすることとした旨通知した(乙7)。
(4)

本件申立てに至る経緯について
申立人は,平成25年1月30日,大阪市長に対し,法5条1項に基づき本件申請をしたところ,大阪市長は,同年3月15日,本件不許可処分をした。本件不許可処分の決定通知には,不許可の理由として,①本件公園施設は平成25年3月31日をもって営業を止め,平成25年度中に解体することとしており,本件公園施設を使用する管理運営事業者を募集する方針がないこと,②本件公園施設は雑排水を濠に放流する構造であるため,
営業を続ければ都市公園を汚損することの2点が記載されていた。(甲
1,2)


申立人は,平成25年3月19日,相手方を被告として,本件不許可処分の取消し及び本件申請に対する管理許可処分の義務付けを求める本案訴訟を提起するとともに,本件申立てをした(顕著な事実)。

3
争点(1)(本案について理由があるとみえるか否か)について
(1)

行政事件訴訟法37条の5第1項は,
本案について理由があるとみえるときという要件を仮の義務付けを命ずるための積極的要件として規定している。そこで,本件において,本案について理由があるとみえるときに当たるか否か,以下検討する。

まず,申立人が申請した法5条1項に基づく公園施設の管理許可の性質についてみるに,都市公園の設置及び管理は,都市公園の健全な発達を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とするものであって(法1条),都市公園に設けられる公園施設について公園管理者(地方公共団体の設置に係る都市公園にあっては当該地方公共団体。法2条の3)以外の者が管理しようとするときは,条例で定める事項を記載した申請書を公園管理者に提出してその許可を受けなければならないものとされ(法5条
1項。なお,同条2項は,公園管理者は,公園管理者以外の者が設ける公園施設が,当該公園管理者が自ら設け又は管理することが不適当又は困難であると認められる場合,あるいは,当該公園管理者以外の者が設け又は管理することが当該都市公園の機能の増進に資すると認められる場合に限って,同条1項の許可をすることができるものとしている。),かかる管理の期間は10年を超えることはできず,更新するときの期間も同様に10年を超えることはできないものとされていること(同条3項),公園管理者は,同条1項の許可に都市公園の管理のため必要な範囲内で条件を付することができるものとされていること(法8条)をも考慮すると,上記管理許可は,都市公園の健全な発達という専ら公益の観点から,本来私人が有していない特権たる公園施設の管理権を私人に付与するといういわゆる特許としての性質を有するものであって,ある公園施設の管理を第三者に委ねることが,当該都市公園の健全な発達に資するかどうかを判断するに当たっては,政策的・総合的な判断が必要とされるものであることも踏まえると,管理許可を与えるか否は,公園管理者の合理的な裁量に委ねられているものと解するのが相当である。そして,上記のような第三者による公園施設の管理許可が新規の許可の場合には,上記諸点に照らして公園管理者の有する裁量権の範囲は相当程度広範なものと解されるのに比して,更新に係るものである場合には,公園管理者の有する裁量権の範囲も自ずと制限されるものと解されるところであって,当該公園施設の目的及び用途や,当該公園施設の管理を従前当該第三者に委ねてきた経緯,当該第三者による当該公園施設の管理の期間や状況,今般当該第三者による管理の更新を行わないこととした理由や経緯等の諸般の事情を総合考慮して,当該第三者による当該公園施設の更新に係る管理許可申請に対する不許可処分が,事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,公園管理者の有する裁量権の範囲の逸脱ないし濫用が認めら
れるか否かを判断すべきものと解される。

そこで,本件不許可処分について大阪市長に裁量権の逸脱ないし濫用があると認められるか否か,以下検討する。
(ア)

まず,本件公園施設の概要及び従前の管理使用状況についてみるに,
本件公園施設は,相手方が管理する都市公園であるα公園のβ地区に存する,相手方が所有する売店兼食堂であって,便益施設に当たる(前記前提事実(2)ア,イ)。α公園は,その大部分が文化財保護法109条2項に基づく特別史跡に指定されており,特にβ地区は歴史的にも学術的にも非常に価値が高いものとされている(乙8ないし10)。
本件公園施設は,従前相手方が建設した売店について,申立人代表社員の親族が昭和42年に建て替え,昭和47年に相手方に寄付したものであり,また,申立人は,平成2年には,本件公園施設のうち便所の改修工事を行い,
これを相手方に寄付している
(前記前提事実(2)ウ,。
エ)
そして,本件公園施設ないしその建替前の売店について,申立人の代表社員ないしその親族が昭和26年ころから継続的に管理許可を受けていたものであり,申立人は,遅くとも平成8年度以降,本件公園施設の管理許可を受け,
本件公園施設において,
売店及び食堂を営んでいる
(前
記前提事実(3)ア)。
(イ)

次に,大阪市長が本件公園施設の管理許可の更新を行わず,本件不
許可処分を行った経緯についてみるに,以下の事実が一応認められる。a
αβ地区には,本件公園施設の他に,現在Eとの屋号で売店・
食堂を営んでいる公園施設(2階建,延べ面積898.79平方メートル。以下別件公園施設という。)が存在する(乙8,11,1
2,15)。


相手方では,公平性,透明性及び市税外収入の確保の観点から,平成18年度以降,全市的に市有財産における売店,自動販売機,駐車
場等の管理運営事業者の公募方式での選定への切り替えを進めており,相手方が設置する公園施設についても,平成20年度末に大阪市公園条例の一部改正を行い,公園施設に係る使用料の上限を撤廃し,入札(価格競争)により公園施設の管理を行う事業者を決定する仕組みを導入した。これを受けて,相手方は,平成22年2月,平成21年度から平成23年度までの間に,全ての公園施設について事業者の選定方法を公募に切り替える旨発表し,平成23年度までにα公園内の売店についてβ地区にある二つの公園施設(本件公園施設及び別件公園施設)を除いて,事業者の選定方法を公募に切り替えた(乙8)。そこで,相手方は,申立人に平成22年4月1日付けで同年度の本件公園施設の管理許可をする際,本件公園施設については平成24年3月31日までを許可更新の最終とする旨の前記前提事実(3)イ(ウ)の条件を付した。

相手方は,平成22年8月以降,文化庁の指導のもと特別史跡α跡保存管理計画(案)の策定を進めているところ,α公園は,歴史上及び学術上の価値が特に高く,わが国の文化の象徴たるものであるため,その中核的地区であるβ地区において,食堂や売店などの施設が存在することは景観上の観点から望ましくなく,将来的には特別史跡の範囲外に設置を検討するよう文化庁から指導を受けたことや,本件公園施設は,雑排水が濠に放流される構造になっていることが確認されたことから,本件公園施設を取り壊し,β地区以外に新たに便益施設を設置することが検討されるようになった。そこで,相手方は新たな便益施設の場所の選定や事業者の決定までに時間を要することが見込まれることから,当面の間のα公園利用者の便益を確保するために,平成24年度については前記前提事実(3)イ(エ)及びエのとおり,本件公園施設をすぐに取り壊すことをせず,本件公園施設の申立人の
管理許可を更新した。(乙8ないし10)

その後,相手方は,平成24年9月頃までに,現在2店舗あるβ地区の売店(本件公園施設及び別件公園施設)を1つにし,平成25年度の早い時期に本件公園施設を解体することを前提として別件公園施設におけるα公園β休憩所,土産物・弁当販売店舗の管理運営事業者を公募するとともに,
β地区外に新たな便益施設が完成するまでの間,
β地区内で移動式自動車販売店舗(いわゆるケータリングカー)事業者がα公園利用者への飲食物等の提供をするとの方針を決定した。相手方は,平成24年9月20日,最低使用料年額2172万円,管理許可期間は平成25年4月1日(予定)から平成26年3月31日までと定めた上で別件公園施設での管理運営事業者を公募(公募期間平成24年10月15日から同月18日まで)し,公募及び価格提案を行った事業者(申立人も含む。)の中から最高価格(年額2904万2213円)を提案した事業者(現在のEを営業している者とは
別の事業者である。)を,平成25年4月1日から1年間の別件公園施設の管理運営事業者として選定した。なお,相手方は,別件公園施設についても,代替となる公園施設がα公園内に建設され次第,平成26年度中に解体する方針を立てている。(乙8,11ないし13,15)
そして,相手方は,平成25年3月15日,上記方針に従って,申立人に対して前記前提事実(4)アのとおり,
本件不許可処分をした
(乙
8)なお,

相手方は,
本件公園施設に代わる新しい公園施設につき,
新たに管理事業者の公募をしたところ,入札がなかったため,未だ新しい公園施設の設置はされていない(争いのない事実)。

(ウ)a

前記(イ)の事実によれば,相手方は,平成18年度以降,相手方
が設置する公園施設の管理方法を公園施設の管理事業者を公募で決定
する方針に変更しており,その一環として,本件公園施設についても申立人による継続的な管理関係を見直す必要性が生じ,さらに,平成22年8月以降,本件公園施設については,文化庁からの文化的観点からの指導や,本件公園施設の構造上の問題から取り壊す必要性が生じたと判断し,最終的に平成25年度に本件公園施設を解体する旨決定し,これに基づき本件不許可処分をしたものと認められる。
そして,前記(ア)のとおり,α公園の大部分が文化財保護法109条2項に基づく特別史跡に指定されており,特にβ地区は歴史的にも学術的にも非常に価値が高いものとされていることをも併せて考慮すると,β地区に存し,雑排水を濠に放流する構造を有するなどの問題点を有する本件公園施設につき,大阪市長が取り壊すとの結論に至ったことについて,特段不合理な点は見当たらない。なお,β地区内には本件公園施設のほかに別件公園施設も存在するものであるが,相手方の担当者は,別件公園施設の方が本件公園施設と比較して面積が広く,設備が充実しているとともに建物の構造もしっかりしており,利用しやすい旨陳述するところであって(乙8),別件公園施設ではなく本件公園施設を先に解体するとの方針を決めた点についても特段の問題があるということはできない。
また,相手方が新しい公園施設の管理事業者を公募したこと(前記(イ)d)も,相手方は,本件公園施設を取り壊してβ地区外に新たな公園施設を設置し,α公園の刷新を図る計画を有していたものであって,申立人を不当に本件公園施設から追い出すために虚偽の計画を策定した等の事情も見受けられない上,新たな公園施設の管理事業者について上記のように公募の方法を採ることも相当性を有するものといえるから,たとい上記公募に対する入札がなかったとしても,そのことをもって,上記α公園の刷新を図る計画に基づく本件不許可処分に
至る相手方の一連の政策判断が合理性を欠くものということはできない。

申立人は,平成22年度ないし平成24年度の許可の際には,相手方は管理事業者を公募で決定する方針としたことを理由に,各許可に前記前提事実(3)イ(ウ)d又は同(エ)dの条件を付していたにもかかわらず,突如本件不許可処分では,本件公園施設の解体を理由として相手方が主張し始めた旨主張する。
確かに,各許可処分の決定通知書(甲3ないし8)と,本件不許可処分の決定通知書(甲2)の記載だけを見ると,本件不許可処分の理由が,突如主張されはじめたようにも読める。
しかしながら,前記(イ)のとおり,本件不許可処分の経緯として,管理事業者の見直しの必要に加え,本件公園施設の存続に問題があったこと,新しい便益施設の設置に時間がかかるため,平成23年度及び平成24年度の許可をしたにすぎないこと,本件公園施設に代わりケータリングカーにより飲食物を提供するとの代替案が決定したため,平成25年度に本件公園施設を解体する旨決定したとの経緯が存在することをも踏まえると,平成22年度及び平成23年度の管理許可処分の際に平成23年度が最終の更新である旨通知した後に,平成24年度にも本件公園施設の管理許可処分がされたことや,本件不許可処分の理由として本件公園施設の解体が挙げられたことが不自然であるとはいえない。
したがって,本件不許可処分の理由は従前の大阪市長の説明と矛盾するものとはいえず,また,大阪市長が虚偽の理由を述べて申立人を本件公園施設から追い出す等の不当な動機を有していたものとも認められない。


前記(ア)のとおり,申立人は,遅くとも平成8年度以降本件公園施
設の管理許可を受け,本件公園施設において売店及び食堂を営んでいたものであり,申立人代表者ないしその親族に係る本件公園施設ないしその建替前の売店の管理許可を含めると,管理許可を受けていた期間は60年余に及ぶこと,この間,申立人等は,本件公園施設の建築(建替)や改修工事を行い,これを相手方に寄付してきたものであることなどからすれば,申立人は本件公園施設の継続的な管理許可(更新)に強い期待を有していたものであって,申立人には本件公園施設を使用するにつき一定の利益が存するものと認められるものの,本件公園施設を申立人に継続的に管理させることに問題が存するものといえる場合や,都市公園としてのα公園のより適切な管理といった観点から相応の根拠をもって本件公園施設を含むα公園内の便益施設の見直しを図るような場合にまで,上記申立人の有する一定の利益が最優先に保護されるべきものということはできない。
また,申立人やその代表者の親族らがこれまで本件公園施設に相当額の投資をしてきたものといえる点についても,本件不許可処分時において,本件公園施設の建築からは45年が,本件公園施設の寄付からは40年が,
本件公園施設の便所の改修工事の寄付からは22年が,
それぞれ経過していることに照らせば,これら投下資本の回収としても十分な年月が経過しているものといえる。

以上検討した諸点に照らせば,申立人による本件公園施設の更新に係る管理許可申請に対して大阪市長が本件不許可処分をしたことについて,事実の基礎を欠いたり,社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,大阪市長の有する裁量権の範囲の逸脱ないし濫用が存するものとみえるということはできない。

ウ(ア)

申立人は,本件公園施設の使用については管理許可処分という行政
処分の形をとっているものの,その実質は借家契約に等しい法律関係で
あるため,借地借家法におけるのと同程度に保護されるべきであり,同法28条にいう正当事由と同様の理由がない限り,明渡しを求めることはできない旨主張する。
しかしながら,
法32条は,
都市公園を構成する土地物件については,
私権を行使することができないと定めている。また,本件公園施設は,申立人代表社員の親族によって建設され,相手方に寄付されたものではあるが,相手方の所有に係る不動産であり,公共の用に供する財産であるため,
行政財産
(地方自治法238条1項1号,
同条4項)
にあたる。
そうであるところ,同法238条の4第1項が,行政財産について貸付けを原則として禁止し,同条6項が,これに違反する行為を無効としていることに照らせば,行政財産である本件公園施設について,法5条1項に基づく許可により発生した使用関係をもって,賃貸借契約又はこれに準ずるものと認めることはできない。そして,同条7項が,行政財産について、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができるとしつつ,同許可により発生した行政財産に係る使用関係については,同条8項において,借地借家法の規定が適用されない旨規定しており,同法の規定の適用が明確に排除されていることからすれば,本件公園施設の使用関係について,同法の適用又は準用を認めることはできない。
したがって,申立人の上記主張はその前提を欠くものであるから,失当である。
(イ)

また,申立人は,申立人が本件公園施設を明け渡すとすれば,法2
8条1項の規定する通常受けるべき損失以上の補償がされるべきであって,大阪市長が申立人に対してかかる補償を何ら行うことなく本件不許可処分をすることは違法である旨主張する。
しかしながら,そもそも,本件不許可処分は,許可期間中の許可取消
処分とは異なり,
新たな許可
(更新)
申請に対する不許可処分であるし,
また,許可期間中の許可取消処分と同視することもできないから,法28条1項に基づく損失補償を請求することはできない。仮にこれらの点を措き,法28条1項の適用ないし類推適用によって,本件不許可処分の際に相手方が申立人に対し損失補償をすべき場合にあたる余地があるとしても,かかる損失補償がなされなければ,申立人に対して本件公園施設の管理許可をすべきであると解すべき法律上の根拠は何ら見当たらない(法28条1項の損失補償は,許可を受けた者が同許可の期間中に特段の帰責事由がなく法27条2項により同許可が取り消された後に生じる請求権であることは,法28条1項の文言上明らかである。)。したがって,損失補償手続を相手方が行っていないことは,本件不許可処分の適法性の判断に影響を与えず,申立人の主張は失当である。
(2)

以上のとおり,
本件不許可処分は違法であるとはみえず,
本件不許可処分

が取り消されるべきものであるとはいえないから,本案訴訟は行政事件訴訟法37条の3第1項2号の要件を満たさない不適法なものであって,本案について理由があるとみえるとはいえない。
4
結論
よって,申立人の本件申立ては,その余の点について判断するまでもなく理由がないから却下することとし,申立費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり決定する。
平成25年3月28日
大阪地方裁判所第7民事部

裁判長裁判官

田中健治
裁判官

尾河吉久
裁判官

木村朱子
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