判例検索β > 平成23年(行コ)第25号
各建築不許可処分取消請求控訴事件(原審・千葉地方裁判所平成21年(行ウ)第4号、第11号)
事件番号平成23(行コ)25
事件名各建築不許可処分取消請求控訴事件(原審・千葉地方裁判所平成21年(行ウ)第4号,第11号)
裁判年月日平成23年10月19日
法廷名東京高等裁判所
判示事項都市計画法(平成23年法律第105号による改正前)65条1項に基づく居住用建築物に係る建築許可申請に対し県知事がした建築不許可処分の取消請求が,棄却された事例
裁判要旨都市計画法(平成23年法律第105号による改正前)65条1項に基づく居住用建築物に係る建築許可申請に対し県知事がした建築不許可処分の取消請求につき,都市計画事業認可と後行の建築許可処分は都市計画事業の完了に向けて関連する処分ではあるが,建築不許可処分は事業の施行と当該事業地内の土地利用との調整を図る処分であって,両処分の関係は,目的と手段との関係にみられるような,連続した一連の手続を構成し,一定の法律効果の発生を目指す関係には当たらず,また,実質的にみても,事業認可により事業施行期間も定められ,当該事業地内に土地を所有している者にとっては,その権利への影響が既に具体的かつ現実的なものとなっている上,事業認可については遅滞なく告示されることに照らせば,事業認可の違法性を事業認可の取消訴訟で争わせることが不合理とはいえないから,都市計画変更決定を含む都市計画事業認可の違法性は建築不許可処分に承継されないとした上で,前記建築不許可処分について県知事の裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとはうかがわれないとして,前記請求を棄却した事例
裁判日:西暦2011-10-19
情報公開日2017-10-19 13:22:07
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主文1
本件控訴をいずれも棄却する

2
控訴費用は控訴人らの負担とする。

第1

実及び理由
控訴の趣旨

1
原判決を取り消す。

2
千葉県知事が控訴人Aに対し平成20年12月15日付け千葉県道整指令第
○号でした建築不許可処分を取り消す。
3
千葉県知事が控訴人Bに対し平成20年12月15日付け千葉県道整指令第
○号でした建築不許可処分を取り消す。
4
千葉県知事が控訴人Cに対し平成21年2月17日付け千葉県道整指令第○
号でした建築不許可処分を取り消す。
5
千葉県知事が控訴人Dに対し平成21年2月17日付け千葉県道整指令第○
号でした建築不許可処分を取り消す。
6
千葉県知事が控訴人Eに対し平成21年2月17日付け千葉県道整指令第○
号でした建築不許可処分を取り消す。
第2
1
事案の概要
控訴人らが千葉県知事に対し現行の都市計画法65条1項に基づき居住用建築物に係る各建築許可を申請したところ,同知事は,いずれの申請についても市川都市計画道路×号線のうち市川市が施行している都市計画道路事業の工事の施行の障害となることを理由として不許可決定(以下,控訴人らに対する各不許可決定を併せて本件不許可処分という。)をした(控訴人A及び同Bについては平成20年12月15日,控訴人C,同D及び同Eについては平成21年2月17日)。
本件は,控訴人らが,被控訴人に対し,都市計画法(平成8年法律第48号による改正前のもの。以下,特段の断りない限り同じ。)21条1項に基づき
平成7年2月28日付けでされた前記都市計画道路に係る都市計画変更決定が違法であって取り消されるべきものであるから,その違法を承継した本件不許可処分も違法である等と主張して,本件不許可処分の取消しを求めた事案である。
原審は,
上記都市計画変更決定に違法事由があるとは認められない等として,控訴人らの請求を棄却したため,控訴人らが控訴した。
2
事案の概要の詳細は,当審における当事者の主張を3ないし7のとおり加えるほかは,原判決事実及び理由欄の第2事案の概要に記載のとおり
であるから,これを引用する(ただし,原判決10頁19・20行目の平成7年法律第13号による改正前の都市計画法(以下,「旧都計法という。)」を

都市計画法(平成8年法律第48号による改正前のもの。以下,特段の断りなき限り同じ。)

と,同行目以降の各旧都計法をいずれも都市計画法と,同18頁18行目の都市計画法を現行の都市計画法と,それぞれ改める。)。
3
本件変更決定の程度について(争点1なしい3について)
(控訴人らの主張)
車線数及び交差点に係る本件変更決定の内容は,軽微な変更にとどまるものではない。
(1)

本件変更決定は従前の4車線道路から2車線道路に変更するものであり,
軽微な変更にとどまるものではない。
2車線道路であれば,必要な幅員はせいぜい6メートルであるにもかかわらず,本件道路部分のF線の跨線橋部分で12メートルもの幅員が予定されていたということは,昭和42年当時に本件道路部分について2車線を予定していたと考えることは不合理である。むしろ,跨線橋の立体交差部分の全幅を車道とし,副道に歩道を設置するならば,幅員12メートルで4車線を設置することが可能である。

また,平成7年に行われた地元自治会の住民に対する説明では,複数の計画案を示して説明がされているが,その説明の中には20メートルの幅員で4車線を設置する構造図も含まれており,当時,4車線が計画されていたことをうかがわせる事情である。
仮に都市計画として車線数について断定的な計画がなかったとすると,本件変更決定及びこれと一体となる本件事業認可により2車線とすることが確定したものであるから,この時点で重要な変更決定が行われたというべきである。
(2)

本件変更決定は,
交差点に右折車線を設けるものであり,
右折を容易にし,

かつ直進車が右折車に妨げられないため,交通が集中する。本件道路部分に市川都市計画道路××号G線(国道○号)及び市川都市計画道路×××H線を接続する役割を期待しているものである。すなわち,F線と踏切交差による交通渋滞が恒常化し,何ら改善策が取られない中,本件変更決定により立体交差が実現すると,周辺の交通事情からみて,同立体交差を通行しようとする自動車の本件道路部分への交通の集中を招く。
交差点における交通の確保は道路にとって重要な要素であり,交差点の構造が変わることにより交通量も大きく変化するのであるから,本件変更決定における交差点の変更は軽微な変更とはいえない。
(3)

本件変更決定前の大臣認可の申請手続きで交通量推計資料
(甲3。本以下件交通量推計資料という。)が添付資料として添付されていたことからすると,本件変更決定に交通量調査が必要であったことが明らかであり,この点からも本件変更決定が,軽微な手続ではなく,交通量調査資料が必要なものであったことが明らかである。
(被控訴人及び参加行政庁の主張)
本件変更決定の内容及び程度は軽微なものにとどまる。
(1)

本件変更決定前においても本件道路部分は2車線で計画されていた。
従前の都市計画において,本件道路部分のF線と交差部分である跨線橋部分は,橋梁部分の本線車道に並行して副道を設ける必要があることから広い幅員で計画されたものである。
旧道路構造令においては,第4種道路の2車線道路の最小車道幅員は6.5メートルと規定され,また,第4種道路には各側に歩道を設けるものと規定されているから,
跨線橋部分では,
路肩を設けずに歩道の幅員を最小の1.
5メートルとしても,12メートルの幅員のうち車道部分の幅員は9メートルにしかならず,4車線にはなり得ない。
また,第4種道路にはその各側に歩道を設けるものとされているが,本件道路分の跨線橋部分は,平坦な市街地に設置されるものであり,歩道を設置しないことが許される地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない箇所(旧道路構造令9条1項ただし書)に設置されるものではない。(2)

本件変更決定における交差点の部分改良に係る変更は,
本件変更決定時の

道路構造令が定める基準に合わせて区域を変更したもので軽易なものである。

本件変更決定によって,右折車線を設けることを目的として,市川都市計画道路××号G線(国道○号)及び市川都市計画道路×××H線を拡幅するという変更をしたことは明らかであるが,都市計画では,右折車線の設置等の道路の詳細な構造について定めるものではなく,両都市計画道路及び本件道路部分に右折車線を設けることが法律上決定されたのは,本件変更決定から5か月後の平成7年7月の本件事業認可においてである。したがって,法律上は,本件変更決定において右折車線の設置という点で何らかの変化が生じたものではない。


右折車線は道路における一般的な構造とされ,交差点における交通容量を回復させる機能を持つにすぎず,上記各交差点での右折車線は,同交差点での交通容量(道路上のある地点において車両を通過させる能力)を回
復させる機能(渋滞緩和機能)を持つにすぎないのであって,そもそも本件事業認可に係る道路部分の総体的な交通量に影響を与えるような性質のものではない。
また,右折車線の性質が上記のようなものであるため,一般的に右折車線の有無を区別して交通量予測をすることはなく,ましてや右折車線があることにより特定の道路に交通が集中することを前提に交通量予測をすることはない。このことは本件交通量推計資料(甲3)の元となった市川市都市計画道路網交通量推計業務報告書(甲10。以下本件交通量推計報告書という。)においても同様である。4
公聴会の要否について(争点1について)
(控訴人らの主張)
(1)

都市計画法21条は同法16条を準用しているものではないが,
都市構造

に大きな影響を及ぼす根幹的施設を定める場合等には変更決定においても同条が直接適用されるべきである。
そして,本件都市計画道路は,I道路,J道路,K道路,L線といった大動脈道路との接続が予定された根幹的な都市施設であり,市道ではあるが,その都市計画決定は千葉県知事が行わなければならないものであるところ(都市計画法15条1項3号),本件変更決定においては,道路の性格,構造,骨格等が変更されるのであるから,上記の場合に当たり,公聴会の開催が必要である。
(2)

本件都市計画道路は,
昭和39年に基本線が決定され,
本件変更決定は平

成7年にされたものであるから,30年以上が経過している。その間には,騒音等による環境悪化を恐れた多数の地域住民からの請願を受け,市川市議会が道路事業の凍結を決議した経緯もある。このような事情があるのであるから,都市計画の変更決定を行うに当たっては,地域住民の意見を聞き,変更決定に反映させるべきであった。

(3)

控訴人らを含む住民は,
説明会において市川市の担当者が約束した交通量

調査や環境調査結果が知らされることを待っていたものであり,その間に都市計画変更決定や事業認可がされたことも,取消訴訟の出訴期間が徒過したことも全く知らなかった。このように,変更決定や事業認可の違法性を争う機会を控訴人らを含む地元住民に保証するためにも,利害関係を有する住民らの意見を聴く公聴会の開催が必要であり,それを行わず,変更決定や事業認可が当分行われないと誤信させた市川市又は被控訴人の行為は,都市計画手続に住民が参加する機会を奪ったものであり,都市計画法16条1項,17条2項,18条1項,2項,21条1項,2項の規定に反して違法である。(被控訴人及び参加行政庁の主張)
都市計画法16条1項の規定からも明らかなように,公聴会等を開催するか否かは都市計画決定権者である都道府県知事又は市町村の裁量にゆだねられており,また,公聴会,説明会等の方法のうち,いかなる方法を選択するかも同様に都市計画決定権者の裁量にゆだねられている。
本件変更決定は,α川・β川河川改修事業に伴う,F線との立体交差部分の構造変更及び都市計画道路の線形及び幅員を変更するものであり,起点終点の変更及び車線数の増減を行わないものであるから,道路網の全体的な再整備等の広範囲の多数の住民に直接影響を及ぼすような都市計画の変更とは異なり,被控訴人が公聴会を開催しないと判断したことは,裁量の範囲内であって違法となるものではない。
5
基礎調査の要否及び基礎調査の適否について(争点3について)
(控訴人らの主張)
(1)

都市計画の変更決定においても基礎調査が必要である。
都市計画法21条の条文からみて,都市計画の変更決定においては,必然
的に都市計画法13条1項による基礎調査(道路においては交通量調査)が予定されている。実際問題として都市計画決定の際には基礎調査が必要と定
められているのに,変更決定の際に不要というのは不合理である。平成14年法律第85号により新設された都市計画法21条の2においては,一定の範囲の住民らが都市計画決定・変更決定の提案をする際には,その提案が正式な提案として認められるためには,同法13条所定の要件を充たすものでなければならないとされており,この理は,都市計画法21条による変更決定の場合にも異なることはない。
(2)

都市計画の変更決定について常には基礎調査が必要ではないとしても,本
件変更決定の内容は前記3の控訴人らの主張のとおり,
重大な変更に当たり,
基礎調査に基づいて行われるべきである。
また,実質的にみても,本件変更決定前には20年以上の長期にわたり都市計画の実質的な変更は行われていない。この間の社会経済状況の著しい変化,都市計画道路に対する請願や市川市市議会の議論の状況を踏まえれば,本件変更決定は,実質的には新計画の決定と評価されるものであり,当然交通量調査が行われるべきである。
(3)

また,
本件変更決定において基礎調査として利用された本件交通量推計資
料(甲3)は,不適切である。
すなわち,同資料は,都市計画道路網の交通量を推計する本件交通量推計報告書(甲10)を転記したものであるが,都市計画道路網の調査は,地域全体における道路の配置等を検討するためのものであって,将来の都市計画全てが完成したものとして数字を算出するものであり,目標年次も定められていない推計であるから,特定道路の交通量を推計し得るものではなく,これに基づき道路構造を設計することはできない。本来,特定道路の交通量調査は,他の道路の交通容量を現況実態調査や交通センサスのデータ等を基に新設道路の交通量を推計するものであり,本件交通量推計資料や本件交通量推計報告書の転用が全く意味をなさない。かかる資料に基づく本件変更決定は,基礎調査に基づいたものとはいえず,都市計画法13条1項14号の基
準に合致しない。
また,本件交通量推計報告書における調査は,上記のとおり全ての都市計画道路が完成したものとして数値を算出するものであるが,全ての道路が完成することは現実的ではなく,当該都市計画道路が完成された時点では存在しないはずの道路にも交通量が分散され,同時点における推計値としては過小なものとなる。
さらに,本件交通量推計資料及び本件交通量推計報告書は,平成2年の交通センサスが存在するにもかかわらず,昭和58年当時の交通センサスに基づいており,交通量を少なく見積もった疑いがある。
(被控訴人及び参加行政庁の主張)
(1)

都市計画変更の理由は基礎調査の結果その必要が生じた場合に限らない
ことは都市計画法21条1項の規定から明らかであり,本件変更決定は,同項のその他都市計画を変更する必要が生じたときに該当することから行われたものである。
都市計画法21条2項においても,変更後の都市計画の内容が都市計画法13条1項各号の定める基準に従う必要があると解されるものではあるが,同項6号及び14号の趣旨は,都市施設が適切な規模で必要な位置に配置されることを確保するため,都市計画(変更)決定において,客観的,実証的な基礎調査の結果に基づく土地利用,交通等の現状の正しい認識及び将来の的確な見通しを踏まえて合理的な判断がされることを求めるものであると解され,都市計画変更決定に際し,改めて基礎調査を行うことを求めるものではない。
そして,本件変更決定による変更は,前記3における被控訴人及び参加行政庁の主張のとおり交通量に関する基礎調査やその結果いかんはその内容と関係がなく,基礎調査の結果に基づく必要もない。
(2)

なお,
本件変更決定以前にも市川市における都市計画道路網に係る調査検
討は随時行われていたものであり,同調査検討によっても本件都市計画道路に係る都市計画変更の必要性は生じていなかった。
また,本件交通量推計資料(甲3)は,単に参考資料として添付されたものであり,都市計画法6条1項の基礎調査として位置づけられているものではない。本件都市計画道路に係る都市計画の変更案を策定している当時,本件交通量推計報告書(甲10)がまとまっており,市川市は,これを基に本件交通量推計資料を作成し,参考資料として千葉県知事に提出しているにすぎない。
本件交通量推計報告書は,市川市の都市計画道路網を変更するための資料として作成されたものであり,その予測の手法も現行の道路構造令2条21号に規定する計画交通量の予測の基本的な手順に則ったものとなっている。また,道路は一度建設すれば恒久的に使用されるものであり,現況や短期の予測に基づいて計画すると不相当な規模の道路となる可能性が高いことから,できる限り長期にわたる予測をするべきであるとされており,全ての都市計画道路が完成することを前提としている本件交通量推計報告書を用いることが不適切ではない。
6
環境対策の不備について(争点4について)

(控訴人らの主張)
都市計画法は,その趣旨からみて良好な都市環境を実現し,国土の有効な活用を目指しているものであるから,環境基準を満たさない道路は良好な都市計画を実現するものとはいえず,受忍限度を超えるものであり,都市計画法の趣旨に反し,当該道路に係る都市計画(変更)決定は違法である。
行政側の対応措置は,限定的なその場しのぎの対策であり,これから建設する道路に対する対応としては不十分である。
(被控訴人及び参加行政庁の主張)
環境対策を講ずれば,環境保全目標(環境基準と同値)をおおむね達成でき
る見込みである。
平成16年9月1日付けで市川市長が市川市環境審議会に環境結果に係る環境保全の見地からの意見を諮問したところ,騒音については適切な環境対策を実施することにより環境保全目標を達成可能であり,大気質,振動については環境保全目標を達成できる旨の答申を得ている。
したがって,市川市が受忍限度を超えて損害賠償責任を負うような道路を建設することはあり得ない。
また,市川市が環境対策として設置することとしている遮音壁については,一部基礎工事が着手されている。
7
事情の変更
(控訴人らの主張)
平成17年に行われた基礎調査による交通量によれば,現行の都市計画法2
1条により本件道路部分の都市計画を変更しなければならない。しかし,本件においては,
いまだ上記基礎調査による都市計画の変更決定は行われておらず,かかる状態においてされた本件不許可処分は違法である。
(被控訴人及び参加行政庁の主張)
市川市が平成16年3月に公表した環境影響予測結果における推計交通量1日当たり3万0600台は,本件事業認可に係る道路部分の沿道住民等の要望による環境対策検討のため,M道路等を考慮しない,現在供用されている道路網だけの道路網を前提とし,環境対策の検討のため,環境への影響が最大となる交通量を見込んだ当面の交通量予測であり,本件交通量推計資料(甲3)における1日当たり9800台との推計は,市川市全体の都市計画道路が全て完成することを前提とするものである。上記2つの推計交通量は,前提条件が異なるのであるから,推計結果が異なるのは当然である。
また,前者の環境影響予測結果における交通量の推計は,都市計画法6条1項の規定による調査でないことはもちろん,厳密な意味での将来の交通量予測(交通量推計調査)といえるものでもない。
したがって,上記のような経緯により推定された交通量に基づいて本件都市計画道路に係る都市計画を変更しなければならない理由はない。
第3
1
当裁判所の判断
当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。

2
控訴人らの主張する違法事由(前記第2の7を除く。)について(争点6)(1)

都市計画法は,
都市計画事業認可の基準の一つとして,
事業の内容が都市

計画に適合することを規定しているのであるから(同法61条),都市計画事業認可が適法であるためには,その前提とされた都市計画が適法であることが必要である。そして,本件事業認可は,本件変更決定による変更の結果新たに定められた都市計画を前提とするものであるから,本件変更決定の適法性は本件事業認可の適法要件になると解すべきである。
控訴人らは,本件不許可処分の違法事由として,前記第2の7を除き,本件変更決定の違法性を主張する。
しかし,都市計画事業の認可,告示がされると,当該事業地内における建築等が制限される(都市計画法65条1項)とともに,土地収用法上の諸効果が発生する(同法70条1項)のであるから,本件事業認可は行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(行政事件訴訟法3条1項,2項)に当たり,それ自体が抗告訴訟の対象となるのであって,本件変更決定の違法性を含む本件事業認可の違法性は,原則として,後行行為に承継されず,本件事業認可と後行の行政処分が連続した一連の手続を構成し,一定の法律効果の発生を目指しているような場合に限り,後行の行政処分の違法事由として本件事業認可の違法性を主張することができるというべきである。以下,本件変更決定の違法性を含む本件事業認可の違法性が本件不許可処分に承継されるか否か検討する。
(2)

都市計画法(ただし,(2)の中では,都市計画法及び現行の都市計画法を
意味する。)59条の認可がされると,事業地内の土地の所有者は施行者に対し当該土地を時価で買い取るべきことを請求できる(同法68条1項)とともに,都市計画事業の認可をもって土地収用法20条の事業の認定に代えるものとされ,都市計画事業の認可の告示は同法26条1項の規定による事業の認定の告示とみなされ(都市計画法70条1項),これにより土地収用法上の諸効果が発生する。したがって,都市計画事業の認可は,最終的には事業地内に存する土地の収用等を通じて事業を完了させることを目的とした処分とみることができる。
一方,都市計画法65条に基づく建築許可処分は,事業認可の告示による効果として,当該事業地内において,都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設を行い,又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行うことを,都道府県知事の許可にかからせたものである。これは,都市計画事業の段階においては,事業の施行期間が明らかにされ,いずれ正当な補償のもとに土地が収用等されるのであるから,それまでの間都市計画事業の施行の障害となる建築行為等がされることは,いずれ極めて近い時期にその建築を壊さなければならず,施行者にとっても事業の促進に当たって障害が大きいこと等から,これらの不経済な損失を防止するため,上記の都市計画事業の施行の障害となるおそれのある建築等を一般に禁止しつつ,施行者の意見を聞きながら,申請に係る行為が現在の土地利用の維持管理的なものであってやむを得ないと認められるとき等にはこれを許可することができることとし,事業の施行と当該事業地内の土地利用との調整を図る処分であるとみることができる。
このように事業認可と後行の建築許可処分は,都市計画事業の完了に向けて関連する処分ではあるが,建築不許可処分は事業の施行と当該事業地内の土地利用との調整を図る処分であって,両処分の関係は,目的と手段との関係にみられるような,連続した一連の手続を構成し,一定の法律効果の発生を目指す関係には当たらない。
また,実質的にみても,事業認可により事業施行期間も定められ,当該事業地内に土地を所有している者にとっては,その権利への影響がすでに具体的かつ現実的なものとなっている上,事業認可については遅滞なく告示されることとなるのであるから(都市計画法62条),事業認可の違法性を事業認可の取消訴訟で争わせることが不合理なものとはいえないことは明らかである。その上,事業認可の違法性を,事業認可の取消訴訟で争い得るばかりでなく,事業認可と連続した一連の手続を構成し,一定の法律効果の発生を目指しているとみることのできる収用裁決等の取消訴訟においても争い得るとする以上,これに加えて建築不許可処分の取消訴訟においてもまた争い得るとしなければならない合理的な必要性も認められない。
したがって,本件変更決定の違法性を含む本件事業認可の違法性は本件不許可処分に承継されず,本件変更決定の違法性を含む本件事業認可の違法性をもって本件不許可処分が違法であるということはできない。
控訴人らの主張は採用することができない。
3
現行の都市計画法65条1項の申請に対する不許可処分は,都道府県知事の
裁量処分としてなされるところ,都市計画事業の段階においては,事業の施行期間が明らかにされ,いずれ正当な補償のもとに土地が収用等されることが予定されている上,それまでの間都市計画事業の施行の障害となる建築行為等がされることは,いずれ極めて近い時期にその建築を壊さなければならず,施行者にとっても事業の促進に当たって障害が大きいことは前判示のとおりであるから,申請に係る行為が現在の土地利用の維持管理的なものであってやむを得ないと認められるとき等以外は原則として許可することを予定していないというべきである。そして,前判示のとおり,控訴人らの申請内容は,いずれも建物の新築に係るものであって,現在の土地の維持管理的な行為にとどまるものとはいえないのであり,これらの申請に対してされた本件不許可処分について千葉県知事がその裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものとはうかがわれず,その他これを認めるに足りる証拠はない。
また,控訴人らは,平成17年の基礎調査に基づく変更をしないことが違法であると主張するが,仮に,千葉県知事が現行の都市計画法21条1項に基づき都市計画を変更する法的義務があるとしても,本件変更決定及び本件事業認可に基づく本件不許可処分が直ちに違法になるものではない。また,控訴人らの主張する平成17年の基礎調査の結果とは,市川市が平成16年3月に公表した環境影響予測結果における推計交通量1日当たり3万0600台を指すものと認められるところ,同推計は,本件事業認可に係る道路部分の沿道住民等の要望による環境対策検討のため,M道路等を考慮しない,現実に供用されている道路だけの道路網を前提とした交通量予測であると認められ
(甲6,
30,
丙66),これをもって交通の将来の見通しをたてることは合理的なものとはいえず,千葉県知事が同推計値に基づき本件道路部分につき都市計画変更決定をすべきであることが現行の都市計画法21条1項の規定から明らかであるとは認められないのであるから,千葉県知事がいまだ変更決定をしないことが違法であるということもできない。控訴人らの主張を採用することはできない。以上によれば,本件不許可処分はいずれも適法であって,その余の点を判断するまでもなく,控訴人らの本件不許可処分の取消しを求める請求はいずれも理由がない。
5
また,仮に,本件変更決定の違法性を含む本件事業認可の違法性が本件不許
可処分に承継されると解する余地があるとしても,当裁判所も,控訴人らの主張する本件変更決定の違法性は認められず,本件変更決定は適法であると判断する。その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決事実及び理由欄の第3当裁判所の判断1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決の上記部分のうち,各旧都計法をいずれも都市計画法と改める。)。(1)

原判決19頁16行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。
1本件変更決定における変更の程度(1)控訴人らは,千葉県知事又は市川市は,本件道路部分の車線数を昭和42年の都市計画決定当時は4車線であったものを,本件変更決定時に2車線に変更したと主張する。しかし,本件都市計画道路は旧道路構造令上第4種道路に該当するものと認められるところ(弁論の全趣旨),旧道路構造令9条1項によれば,第4種道路には,その各側に歩道を設けるものとされており,昭和42年の都市計画決定時において幅員12メートルで計画されていた本件道路部分の跨線橋については(甲5),同条3項のトンネル,橋又は高架の道路においては歩道の幅員を最低1.5メートルまで縮小することができる旨の規定を適用するとしても,車道部分の幅員の最大値は9メートルとなるものと認められる。そして,旧道路構造令7条1項によれば,第4種道路においては道路の最小の車道の幅員は6.5メートルとされ,同幅員は2車線道路を前提としていたものと解されるのであるから,前記のように最大でも9メートルにすぎない本件道路の車道部分を4車線で計画することは,旧道路構造令上許されないものであったことが認められる。これに本件都市計画道路のうちγから北側部分で昭和43年3月20日に供用開始されている部分については2車線であること(丙2)を併せ考慮するならば,千葉県知事又は市川市が内部的に本件道路部分を4車線とするよう計画していたとは認められない。この点に関し,控訴人らは,歩道を設けなければ4車線を設置することが可能であると主張するが,旧道路構造令9条1項ただし書は,地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない箇所については歩道を設ける必要がない旨規定しており,本件道路部分が上記の箇所に該当するものとは認められない。その上,前記のとおり,第4種道路では,2車線道路の車道の幅員が最小でも6.5メートルを要すること,交通量が1日当たり2万4000台以上である場合には,交通量の増加に応じ6.5メートルの整数倍の数値を幅員と規定していること(旧道路構造令7条)からすると,旧道路構造令は4車線の場合には最小でも車道の幅員13メートルを要することを前提としているものと解され,前記跨線橋部分の幅員12メートルではこれに不足することが明らかである。控訴人らの主張は採用することができない。また,控訴人らは,F線との立体交差部分について20ないし36メートルの幅員が確保されている点について,4車線を計画していたことの証左である旨主張するが,跨線橋の建設手法として土盛りの必要から長い法面が必要になり,その分広い敷地が必要になる上,跨線橋の設置により車両の沿道への出入りに支障を来すため,本線車道に平行して副道を設ける必要があること(弁論の全趣旨)からすると,千葉県知事又は市川市はこの部分においても2車線の計画をしていたものと認められ,控訴人らの主張は採用することができない。さらに,地元のδ自治会会長からの平成7年3月27日付け16項目の質問状に対し,市川市は,同年4月17日,他の項目に対する回答と併せて,現計画案を含めて6案の検討を行った結果,現計画案が最善であると判明した旨回答した上,同年7月7日には,同自治会に対し,6案の内容を回答し,そのうち第1案ないし第3案は,F線との交差部分を含む部分を4車線とするものであるが,上記各案は,車道部分を13メートル又は17メートルとするものであり,いずれも昭和42年12月14日に変更決定された都市計画における跨線橋部分の幅員12メートルを超えるものであって,従前の跨線橋部分の幅員を変更することを前提としたものと認められ(甲26,丙62,63),これによると,市川市は,4車線化を含めて検討対象としたことは認められるとしても,当初から4車線を計画していたとは認められない。控訴人らの主張は採用することができない。したがって,本件変更決定によって当初4車線の計画が2車線に変更されたものであるとは認められず,車線数について変更があったものとは認められない。なお,控訴人らは,4車線ではなく3車線であった可能性も主張するが,現行の道路構造令(昭和45年政令第320号)においては,第4種道路の2車線以上の車線数は4以上の偶数とするとされ,特別な場合を除き奇数車線としない旨が規定されているところ(同令5条3項),これは3車線道路の事故率が一定の交通量を超えると2車線道路の事故率を大幅に上回ることを考慮して規定されたものであって(乙11),このような事情は旧道路構造令下の道路交通状況でも異なるものではないと認められること,前記のとおり旧道路構造令下でも一定の交通量を超えた場合第4種道路の車線の幅員が2車線の道路の最小幅員の整数倍と規定されていること及び前判示の各点を総合考慮するならば,控訴人らの主張を考慮しても前記認定を左右するには足りない。(2)交差点について本件変更決定において本件都市計画道路と市川都市計画道路××号G線(国道○号)及び市川都市計画道路×××H線との交差点において右折車線が設けられ,本件都市計画道路と交差する都市計画道路の幅員が拡張されたことは前判示のとおりである。しかし,現行の道路構造令27条2項は,道路が同一平面で交差する場合には,必要に応じて屈折車線を設けるものと規定し,平面交差点においては,①右折を認めない場合,②第3種第4級,第3種第5級,第4種第3級,第4種第4級の道路において,当該道路および交差道路のピーク時の処理能力に十分余裕がある場合,③設計速度時速40㎞/h以下の2車線道路において,設計交通量が極めて少ない場合を除き原則として右折車線を設けるものとする道路構造令の運用の解説が存在すること(丙73)に照らすならば,一定の交通量を有する道路の交差点において右折車線を設置することが道路の一般的な構造であると認められる。また,本件都市計画道路の西側には県道N線が,東側には県道O線が,それぞれ市川都市計画道路××号G線(国道○号)及び市川都市計画道路×××H線と交差する形で存在しており,また,平成27年の全線開通を目標とするM道路も市川都市計画道路××号G線(国道○号)と交差するものと認められ(丙1,2),このような道路網の状況に照らすならば,本件道路部分に右折車線を設けることによって,本件都市計画道路に交通が過度に集中するものとは認められない。以上によれば,本件変更決定の交差点に係る部分が,交通量の増減をもたらす重大な変更に当たるものとは認められない。(2)

同19頁17行目冒頭の1を2と改める。

(3)

同20頁1行目のこの「必要があると認めるときとは」から同頁19
行目末尾までを本件変更決定における変更の内容及び程度については前判示のとおりであり,都市計画案の縦覧及び意見書の提出に加え,更に住民の意見を反映させることが不可欠な場合であるとか,道路網の全体的な再検討や用途地域を全般的に再検討したり,都市構造に大きな影響を及ぼす根幹的な施設を定めるような場合に当たるとは認められず,また,後記3(1)の本件変更決定に係る市川市の広報誌の内容及び説明会の開催状況をも併せ考慮すると,事業の進行が長期間中断していたことを考慮しても,千葉県知事が公聴会を開催しなかったことが不合理なものとはいえないのであるから,その裁量権の逸脱,濫用に当たるとは認められない。と改める。(4)

同20頁20行目冒頭の2を3と改める。

(5)

同21頁10・11行目の平成13年9月9月16日を平成13年9月16日と改め,同頁20行目の事実は認められないの次に(甲14,15,丙37,38)を加える。(6)

同22頁3行目冒頭から同23頁12行目末尾までを次のとおり改める。
(2)また,千葉県知事又は市川市において,本件道路分を当初4車線とする計画があったと認められないことは前判示のとおりであるから,同計画を特に住民らに秘匿していたとの控訴人らの主張は採用することができない。(7)

同23頁13行目冒頭から同24頁15行目末尾までを以下のとおり改
める。
4争点3及び5について(1)都市計画法21条1項により都市計画が変更される場合においても変更の結果新たな都市計画が定められることになるのであるから,当該都市計画についても,その内容は,同法13条1項各号の定める基準に従って定められなければならないというべきであって,都道府県知事又は市町村が,従前の都市計画を変更して新たに都市計画施設を都市計画に定めるに当たっては,同項6号,14号の定める基準に従うことを要するというべきである。控訴人らの争点3及び5に関する主張は,本件変更決定に際し,改めて都市計画法所定の基礎調査を実施することなく,これを行ったことが,同法13条1項6号及び14号の定める基準に従ったものではなく違法である旨主張するものと解される。都市計画法は,都市計画について,健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと等の基本理念の下で(2条),都市施設の整備に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを一体的かつ総合的に定めなければならず,当該都市について公害防止計画が定められているときは当該公害防止計画に適合したものでなければならないとし(13条1項柱書き),都市施設について,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めることとしているところ(同項6号),このような基準に従って都市施設の規模,配置等に関する事項を定めるに当たっては,当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。そうすると,このような判断は,これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられているというべきであって,裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては,当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くことなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となると解するのが相当であり,前記都市計画法13条1項6号,14号の基準に従っているか否かも,同基準に従わなかった結果,都道府県知事又は市町村の都市計画変更決定に至る判断が上記の裁量権の逸脱,濫用に当たるものとなっているといえるか否かという観点から判断するのが相当である。そして,前記のとおり,都市計画の変更の理由は多様なものであり,変更の内容及び程度も様々であるから,都道府県知事又は市町村が従前の都市計画を変更して新たに都市計画施設を都市計画に定めるに当たり都市計画法13条1項6号,14号の定める基準に従ったものか否かを判断するに際しても,変更の理由,内容及び程度を考慮するのが相当である。(2)そして,本件変更決定は,F線との立体交差部分の構造変更及びα川・β川改修工事による河川区域の変更に伴う線形・幅員の変更を理由とするものであって,推計される交通量の増減等を理由とするものではなく,また,本件変更決定の内容及び程度も交通量の増減をもたらすものであったとは認められないことは前判示のとおりである。また,本件変更決定に係る本件道路部分は,総延長1万1780メートルにわたる本件都市計画道路のうち事業が完了していない1680メートル部分であることは前判示のとおりであり,同部分に係る都市計画事業の内容と完了部分の内容との整合性が求められるものであったと解される。上記のような事情に照らすならば,本件変更決定は従前の都市計画を大幅に変更するものではなく,従前の都市計画における所期の目的を達成するための調整的な変更にとどまるといえる。そして,証拠(甲3,34)及び弁論の全趣旨によれば,本件変更決定に際し,千葉県知事は,都市計画法6条1項の規定によりおおむね5年ごとに行うこととされている既存の都市計画に関する基礎調査以外に,改めて同項所定の基礎調査を実施することなく,本件都市計画道路の1日当たりの交通量を9800台と推計する本件交通量推計資料(甲3)を参照した上で本件変更決定を行ったものと認められる。そして,同資料は,本件交通量推計報告書に基づいて作成されたものであると認められるところ,本件件交通量推計報告書は,西暦2010年を目標年次とした将来交通需要予測を行い,都市計画道路網の計画変更のための基礎資料として作成されたものであり,具体的には,東京都市圏交通計画委員会作成の平成22年将来自動車OD表を基本として,「市川市道路網計画調査(平成2年3月)におけるゾーニングでの自動車OD表を作成し,これを将来道路網を対象に配分して交通量を推計したものであり,前記OD表作成に当たっては将来の交通量の増加も考慮されているものと認められる(甲10)。そして,道路はひとたび建設されれば恒久的に使用されるものであり,現況や短期の予測に基づいて計画すると不相当な規模,構造の道路となる可能性が高いことから,できる限り長期にわたる予測に基づいてその規模,構造を検討するのが合理的であることに照らすならば,千葉県知事が本件交通量推計報告書に基づく本件交通量推計資料を参照したことは合理的なものと認められ,また,同資料を参照した上で行われた本件変更決定が上記の既存の都市計画に関する基礎調査の結果に基づかないものであるとも認められない。
(3)

これに対し,控訴人らは,都市計画法21条1項から,都市計画の
変更決定をするについて,
必然的に同法13条1項による基礎調査
(道
路においては交通量調査)を実施することが予定されていると主張する。
しかし,同法21条1項は,①同法6条1項の規定による都市計画に関する基礎調査又は同法13条1項14号に規定する政府が行う調査の結果都市計画を変更する必要が明らかとなったときに加えて,②都市計画区域が変更されたとき,③遊休土地転換利用促進地区に関する都市計画についてその目的が達成されたと認めるとき,④その他都市計画を変更する必要が生じたときについても,遅滞なく,当該都市計画を変更すべきことを定めているものであって,都市計画変更の理由は基礎調査の結果その必要が生じた場合に限られないことはその文理上明らかであり,また,都市計画を変更する場合には同法6条1項の規定による都市計画に関する基礎調査又は同法13条1項14号に規定する政府が行う調査を要する旨を規定するものではないことも明らかであって,控訴人らの主張は採用することができない。
次に,控訴人らは,本件推計資料及び本件交通量推計報告書は,地域全体における道路の配置等を検討するためのものであって,将来の都市計画全てが完成したものとして交通量を算出するものであり,目標年次も定められていない推計であるから,特定道路の交通量を推計し得るものではなく,これに基づき道路構造を設計することはできない,また,交通量の推計値としては過小なものとなる等と主張するが,前判示に照らして採用することができない。
また,控訴人らは,本件推計資料及び本件交通量推計報告書が当時最新の平成2年の交通センサスのデータを用いていないこと等から交通量を少なく見積もった疑いがある旨主張するが,本件交通量推計報告書において交通量の将来の増加が考慮されていることは前判示のとおりであり,前記判断を左右するには足りず,控訴人らの主張は採用することができない。
(4)

以上によれば,
千葉県知事の判断が,
都市計画法13条1項6号及

び14号の定める基準に従わず,その結果その判断に裁量権の逸脱,濫用があったと認めるには足りず,その他,千葉県知事に裁量権の逸脱,濫用があったことを認めるに足りる証拠はない。
以上によれば,本件変更決定は,都市計画法13条1項6号及び14号の定める基準に従ったものであると認められる。」
(8)

同24頁16行目冒頭の4を5と改め,同24頁17行目冒頭か
ら同頁19行目の環境保全措置をとる必要はなくまでを以下のと
おり改める。
(1)控訴人らは,都市計画法は,その趣旨からみて良好な都市環境を実現し,国土の有効な活用を目指しているものであるから,環境基準を満たさない道路は良好な都市計画を実現するものとはいえず,受忍限度を超えるものであり,都市計画法の趣旨に反し,当該道路に係る都市計画(変更)決定は違法であると主張する。(2)しかし,本件変更決定時に千葉県知事が参照した本件交通量推計資料が不合理不適切であったと認められず,市川市が平成16年3月に公表した環境影響予測結果における推計交通量1日当たり3万0600台をもって交通の将来の見通しをたてることは合理的なものとはいえないことも前判示のとおりであるから,市川市又は被控訴人が1日当たり3万台を超えるような交通量を想定して環境保全措置をとる必要があるとは認められず(10)

同25頁3行目冒頭の

(2)(11)同25頁15行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。「66なお

を(3)次にと改める。
以上によれば,本件変更決定は適法であると認められる。」

以上によれば,控訴人らの本件不許可処分の取消しを求める請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり,これと同旨の原判決は相当であって,本件控訴はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第5民事部

裁判長裁判官

大竹たかし
裁判官


裁判官

﨑林ま俊さよ之
(原裁判等の表示)

主文1
原告らの請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由

第1
1
請求
第1事件
(1)

千葉県知事が原告Aに対し平成20年12月15日付け千葉県道整
指令第○号でした建築不許可処分を取り消す。
(2)

千葉県知事が原告Bに対し同日付け千葉県道整指令第○号でした建
築不許可処分を取り消す。
2
第2事件
(1)

千葉県知事が原告Cに対し平成21年2月17日付け千葉県道整指
令第○号でした建築不許可処分を取り消す。
(2)

千葉県知事が原告Dに対し同日付け千葉県道整指令第○号でした建
築不許可処分を取り消す。
(3)

千葉県知事が原告Eに対し同日付け千葉県道整指令第○号でした建
築不許可処分を取り消す。
第2

事案の概要
本件は,原告らが,被告に対し,原告らが都市計画法65条1項に基づいて千葉県知事に対してした居住用建築物に係る各建築許可申請について,同知事がいずれの申請についても市川都市計画道路×号線のうち市川市が施行している都市計画道路事業の工事の施行の障害となることを理由として不許可決定(原告らに対する各不許可決定を併せて本件不許可処分という。)をしたところ(第1事件については平成20年12月15日,第2事件については平成21年2月17日),平成7年2月28日付けでされた同道路に係る都市計画変更決定は,その内容及び手続が都市計画法の定めに反して違法で取り消されるべきものであるから,その違法を承継した本件不許可処分も違法であるなどと主張して,本件不許可処分の取消しを求めた事案である。
なお,第1事件,第2事件ともに,上記都市計画道路の施行者である市川市の代表者である市川市長が行政事件訴訟法23条に基づいて訴訟参加をしている。
1
争いのない事実及び容易に認定できる事実
(引用証拠等のない事実は争い
がない。)
(1)

市川都市計画道路×号線P線に係る都市計画決定の経緯
上記道路に係る都市計画決定,都市計画変更決定及び都市計画事業認
可の経緯については別紙1記載のとおりであるが,その概要については以下のとおりである。

都市計画決定
建設大臣は,昭和33年9月20日,市川都市計画道路××××号Q線(当初の名称。現在の名称は,市川都市計画道路×号P線で
ある。)(都市計画決定時の起点ε×,終点ε××)について都市計画決定をした(昭和33年建設省告示第○号)(以下本件都市計画決定という。)。上記計画に係る道路は,複数回の変更を経て,現在のところ,市川市の中心部を南北に縦断する総延長1万1780メートルの道路(昭和44年5月20日付け都市計画変更決定により距離が延長された。)であり,市川都市計画道路×号P線の名称で,市川市ζからR株
式会社S線η駅,Θ駅付近を通過し,ι橋でλ川を渡り,M道路(平成27年度に開通目標),K道路と接続し,T株式会社U本線μ駅付近で国道○号線と交差し,α川,β川に沿って市川市の北東部を経由し,鎌ヶ谷市ξの市川市πへと至る道路である(以下本件都市計画道路という。)。なお,市川市議会は,昭和48年6月29日に,市川市σ居住のVほか2万5342名がした,本件都市計画道路が教育環境・生活環境を破壊する,風致の喪失のおそれがある,成田空港,φ等とK道路を結ぶ産業道路となって多くの車が殺到するといった理由で,本件都市計画道路の凍結及び再検討の請願を採択し(丙69),同都市計画事業は凍結されたが,昭和61年3月24日には,公共下水道の早期実現と併せて,幹線ルートである本件都市計画道路につき,地域住民の合意を得て事業を開始することとする請願を採択し,同都市計画事業は再開された。
(乙1,丙1,69,弁論の全趣旨)

都市計画変更決定
上記都市計画は,昭和39年9月から昭和61年9月まで5回にわたって変更されている(詳細は別紙1記載のとおりである。)。
千葉県知事は,以下の事由を理由として,平成7年2月21日付けで建設大臣の認可を得た上で,同月28日第6回変更決定(平成7年千葉県告示第○号)(以下本件変更決定という。)をし,これを
告示した。


W線との立体交差部分の構造を跨線橋(幅員12メートル)から
地下道(幅員15メートル)へ変更したこと


本件都市計画道路のうちβ川に並行する部分は,その両岸に各1
車線を建設する計画となっていたが,α川・β川の河川改修によりβ川の川幅が拡幅されたことにより河川区域内に入ってしまうことになったため,道路の計画線をβ川と反対側に9メートル移動したこと



本件都市計画道路との交差点を改良するために必要な隅切り及び
右折レーンの設置を行うため,市川都市計画道路××号G線(国道○号線)について約200メートルの区間の幅員を16メートルから17メートルに変更したこと



本件都市計画道路との交差点を改良するために必要な隅切り及び
右折レーンの設置を行うため,市川都市計画道路×××号H線について,約200メートルの区間の幅員を11メートルから14メートルに変更したこと
(乙1,丙9,10,31の1・2,弁論の全趣旨)


都市計画事業の認可
千葉県知事は,平成7年7月14日,市川市Ψ××番1から同市γ×番10までの区間について,市川市を施行者とする事業認可(以下本件事業認可という。)をし,これを告示した。
なお,本件都市計画道路は,本件事業認可区間以外の整備は完了している(本件都市計画道路のうち,本件事業認可区間に係る道路については本件道路部分という。)。
(乙1,丙13,14,弁論の全趣旨)

(2)

建築許可申請(都市計画法65条1項)
原告らは,以下に記載のとおりの建築許可申請をした。なお,原告ら
の建築許可申請に係る建物と本件道路部分との位置関係は別紙2記載のとおりである。

原告Aは,平成20年11月7日,千葉県知事に対し,下記の内容で都市計画法65条1項の許可を申請した。
記目的
建築物の所在

居住用
市川市σ×××番1

建築物の概要
用途
専用住宅

構造
会合用和室

木造平屋建

工事種別

新築

敷地面積

1631.22㎡

建築面積及び延べ床面積
申請建築物建築面積及び延べ床面積16.56㎡
既存建築物建築面積及び延べ床面積398.55㎡
建築面積総合計415.11㎡
着手予定日

平成20年12月15日

完了予定日

平成21年1月10日
(甲1の1)


原告Bは,平成20年11月7日,千葉県知事に対し,下記の内容で都市計画法65条1項の許可を申請した。
記目的
建築物の所在

居住用
市川市σ××××番16

建築物の概要
用途
書庫兼音響室

構造
鉄筋コンクリート造地下一階

工事種別

新築
敷地面積

254.93㎡

建築面積及び延べ床面積
申請建築物建築面積及び延べ床面積10.92㎡
既存建築物建築面積及び延べ床面積85.82㎡
建築面積総合計96.74㎡
着手予定日

平成20年12月20日

完了予定日

平成21年1月15日
(甲1の2)


原告Cは,平成21年1月9日,千葉県知事に対し,下記の内容で都市計画法65条1項の許可を申請した。
記目的
建築物の所在

居住用及び事務室用
市川市σ○番5他

建築物の概要
用途
居宅兼事務室

構造
木造平屋建

工事種別

新築

敷地面積

269.40㎡

建築面積及び延べ床面積
申請建築物建築面積及び延べ床面積12.96㎡
既存建築物建築面積及び延べ床面積70.38㎡
建築面積総合計83.35㎡
着手予定日

平成21年1月20日

完了予定日

同年2月15日
(甲1の3)


原告Dは,平成21年1月9日,千葉県知事に対し,下記の内容で都市計画法65条1項の許可を申請した。
記目的
建築物の所在

居住用
市川市σ○○番6

建築物の概要
用途
居住用

構造
木造平屋建

工事種別

新築

敷地面積

129.88㎡

建築面積及び延べ床面積
申請建築物建築面積及び延べ床面積51.84㎡
着手予定日

平成21年1月20日

完了予定日

同年2月20日
(甲1の4)


原告Eは,平成21年1月14日,千葉県知事に対し,下記の内容で都市計画法65条1項の許可を申請した。
記目的
建築物の所在

居住用
市川市σ○○○番5

建築物の概要
用途
専用住宅

構造
木造平屋建

工事種別

新築

敷地面積

227.65㎡

建築面積及び延べ床面積
申請建築物建築面積及び延べ床面積12.42㎡
既存建築物建築面積77.68㎡
既存建築物延べ床面積103.66㎡
建築面積総合計90.10㎡
着手予定日

平成21年2月15日

完了予定日

同年3月20日
(甲1の5)

(3)

本件不許可処分
千葉県知事は,平成20年12月15日,原告A(千葉県道整指令第
○号)及び原告B(千葉県道整指令第○号)に対し,平成21年2月1
7日,原告C(千葉県道整指令第○号),原告D(千葉県道整指令第○号)及び原告E(千葉県道整指令第○号)に対し,市川都市計画道路×号(本件都市計画道路)のうち,市川市が施行している都市計画道路事業においては,同市Ψ××番1から同市γ×番10までの区間(本件道路部分)で既に96パーセントの用地を得て,一部工事が進められており,上記各申請箇所においても事業の工事の施行が差し迫っていることから,本申請の建築物の建築は,都市計画道路事業の工事の施行の障害となるとの理由で,原告らによる各建築許可申請についていずれも不許可とする決定をした。
(甲2の1ないし2の5)
(4)

訴訟提起
原告らは,第1事件について平成21年2月2日,第2事件について
同年3月19日,訴えを提起した(当裁判所に顕著)。
2
主な争点
本件不許可処分の違法性。具体的には,以下の点が問題となる。

(1)

本件変更決定において以下の違法事由が認められるか
手続上の違法
(ア)

市川市は公聴会を開催しなければならなかったか(争点1)

(イ)

市川市は本件道路の位置付け及び4車線道路の建設を予定して

いたことを地元住民に隠していたか(争点2)

実体法上の違法

(ア)(従前の市川市の交通量予測に基づいている点について)本件変更決定の際,
改めて市川市は交通量調査をすべきであったか
(争点3)
(イ)

防音等の環境対策が不適切で,市川市が損害賠償義務を負うよう

な道路を建設することになるか(争点4)
(2)

原告ら主張の上記各違法事由が本件変更決定の違法事由といえるか
(争点5)
(3)

本件変更決定の違法が本件不許可処分の違法事由となるか(争点6)

本件変更決定と本件不許可処分の間にある本件事業認可に処分性が
あるか

本件変更決定の違法が本件不許可処分に承継されるか


原告らには,本件事業認可の取消しを求めることができなかった正当
な理由があるとして,本件変更決定の違法性を主張できるか
3
争点に関する当事者の主張
(1)

争点1

(被告及び参加行政庁の主張)

平成7年法律第13号による改正前の都市計画法(以下,旧都計法という。)21条2項では,同法16条を準用しておらず,都市計画の変更をする際に公聴会の開催が義務付けられているものでもない。


また,同法16条1項に基づく公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置については,都市計画決定権者がその裁量により必要と認めるときに講ずればよいものとされており,本件変更決定は,道路網の全体的な再整備等の広範囲の多数の住民に直接影響を及ぼすような都市計画の変更ではないため,同決定の決定権者である千葉県知事が公聴会を開催する必要がないと判断して開催しなかったとしても違法となるものではない。
(原告らの主張)

本件変更決定に当たっては,本来なすべき公聴会の手続がとられていない。


仮に,旧都計法16条は都市計画決定権者の裁量により必要があると認めるときに公聴会の手続を講ずるもので,変更決定の際は公聴会等が不要であるとしても,本件変更決定は地域住民の生活に多大な影響を及ぼすものであって住民の利害に重大なものであるから,地域住民に対して適切な判断・意見表明ができるように,十分な説明と正確な情報の提供を行うべきであった。しかるに,本件では,十分な説明がなされていないばかりか,むしろ都市計画の真実を隠した不正確な説明がなされており,住民が反対の意見を表明する機会を実質的に奪っており,その手続的違法は重大である。

(2)

争点2

(被告及び参加行政庁の主張)

市川市は,本件都市計画道路について,道路構造令に準じて幹線道路に分類したことはあるが,原告らが主張するような広域幹線道路,根幹道路,重要幹線道路等と位置付けたことはない。
また,市川市は,本件都市計画道路や本件事業認可に係る道路部分について同市の南北を担う幹線道路,市民の生活に密接に関係する道路,下水道幹線等のライフラインのために必要な道路等と説明し,広報紙や地元住民を対象とした説明会等でその説明を何度も行っている。

そもそも平成10年より前の都市計画法では車線数を定める必要はなく,昭和46年廃止の道路構造令(昭和33年政令244号。以下旧道路構造令という。)では車線主義が採用されていなかったの
で,旧道路構造令が適用されていた昭和42年当時は本件事業認可に係る道路部分についても車線数を定める必要はなかったのであり,原告らの本件事業認可に係る道路部分の車線数についての主張は単なる推測でしかない。
なお,旧道路構造令では,上記のとおり車線数についての定めは明文化されていなかったが2車線の道路を基本としており,本件事業認可に係る部分についても全て2車線で整備することが予定されていた。本件道路部分の跨線橋の幅員が12メートルであるため,旧道路構造令によれば4車線道路にすることはできないことからも明らかである。(原告らの主張)

本件変更決定の段階で,本件道路部分について被告や市川市はこれを重要な広域幹線道路として位置付けておきながら,市川市は,原告らに対してそれを隠し,同市の南北の交通を結ぶための道路であるとか,混みいった住宅地の狭隘な道路を整備するためといった説明をし,住民らに本件道路部分が生活道路であるとの印象を持たせるような説明をしてきた。本件道路部分が北側はJ道路,南側はK道路やL線とも接続するようになること,その意味で千葉県における重要な広域幹線道路となる旨の説明を受けていれば,本件道路部分の建設について全く違った見方になる可能性が大きいものであり,市川市がこのことを隠してきた点には重大な違法性がある。


昭和42年の計画決定の際の決定内容を見ると,F線との立体交差の跨線橋の予定幅員は12メートルとなっているが,道路全体の幅員としては20メートルから36メートルの幅員を維持する敷地を確保している。つまり,12メートル幅員としているのは同区間の跨線橋だけの特別規定であり,他の部分でこれだけの敷地を確保するということは事業にとって大きな負担となるのだから,どうしてもそれだけの敷地が必要であったと考えざるを得ず,道路全体の幅員を必要とする4車線道路を想定していたと考える方が自然である。すなわち,F線との立体交差部分について20ないし36メートルの幅員が確保されている点は,4車線を計画していたことの証左である。
(3)

争点3

(被告及び参加行政庁の主張)

都道府県知事は,都市計画区域について概ね5年ごとに都市計画に関する基礎調査として交通量等の調査を行うこととされているが(旧都計法6条1項),都市計画変更決定をする際に必ず将来交通量の予測をしなければならないというものではなく,このことは本件変更決定時も現在も同じである。
本件変更決定はβ川の河川改修に伴う計画線の移動とXとの交差方法の構造上の変更等に伴うものであり,交通量に変更を及ぼすようなものではないので,将来交通量の予測を行う必要もなかった。


本件変更決定に際しては,当時,本件道路に係る都市計画の変更案を策定している段階(平成6年)であったため市川市都市計画道路網交通量推計業務報告書がまとまっており,市川市は,これを元に交通量推計資料を作成し,参考資料として千葉県知事に提出して
いる。

(原告らの主張)
旧都計法6条1項によれば,都道府県知事は,都市計画区域について,概ね5年ごとに交通量その他建設省令で定める事項に関する・・・調査を行うことが求められていた。また,都道府県知事又は市町村は,都市計画区域が変更されたとき,第6条第1項の規定による都市計画に関する基礎調査・・・の結果都市計画を変更する必要が明らかとなったとき,その他都市計画を変更する必要が生じたときは,遅滞なく,当該都市計画を変更しなければならない。とする同法21条1項の趣旨,本件変更決定が周辺道路の交通体系に重大な変化をもたらす重大な内容を持っていること及び交通量の増大に対する懸念から計画が一旦凍結されその12年後に凍結が解除された経緯を踏まえれば,本件変更決定の前に交通量の調査を行うべきである。
市川市は,平成6年10月に開かれた地権者向けの説明会において,1日当たりの交通量を1万台弱と述べ,平成8年7月25日に開かれた住民説明会の場では1日当たり9800台と回答している。しかし,原告らは,本件道路によってK道路のΩからの通過交通が進入するおそれが高くなること及びXの踏切による渋滞が解消されることから本件道路には9800台ではきかない大量の交通量が推測されると考え,市川市に対して,地元自治会と住民団体を通じて交通量予測調査と環境調査を実施させ,平成16年3月には1日3万0600台の交通量が予測されることが明らかになった。このように,平成7年の本件変更決定当時説明されていた9800台の3倍を超える交通量予測がなされたことを見れば,本件変更決定当時には,適切な交通量予測がなされていなかったことは明らかであるから,改めて交通量の調査をすべきであった。
(4)

争点4

(被告及び参加行政庁の主張)
環境影響評価法及び千葉県環境影響評価条例の規制の対象となる事業について都市計画決定を行う際には,環境影響評価を行うこととされているが,本件都市計画道路事業はいずれの規制の対象にもなっていない。しかし,市川市では,原告らを含む地域住民らからの要望を受けて,平成14年7月に環境影響評価法の環境影響評価に準ずる手法による環境調査に着手した。そして,市川市長が,平成16年9月1日,市川市環境審議会条例に基づき,同市環境審議会に対し環境影響予測結果に係る環境の保全について諮問したところ,同審議会は,同年10月21日,付帯意見を付した上,大気質及び振動については環境保全目標が達成され,騒音については適切な環境対策を実施することにより,環境保全目標が達成されると評価する旨答申している。そこで,市川市は,同答申を踏まえて,景観阻害等を考慮した上で高さ3.5メートルの遮音壁を設置し,二層式低騒音舗装を敷設する措置を講じ,いくつかなお環境保全目標を超えるおそれがある予測地点で追加の対策を講じ,環境保全目標を達成させる見込みであるから,損害賠償義務を負うような道路を建設することはあり得ない。
(原告らの主張)
1日当たり交通量が3万台を超えるような道路を第一種住居専用地域に建設するのであるから,本件変更決定時点,少なくとも事業認可を受けようとする時点で,適切な環境保全措置が検討されていなければならない。それが何らなされていないのであるから違法である。
なお,現状の環境予測調査によれば,本件道路は,沿線の騒音について,環境基準を満たさないばかりか,受忍限度を超えて恒常的に損害賠償義務を発生させかねない道路である。なお,第一種低層住居専用地域2車線の市道の環境基準においては,防音サッシの設置(追加の対策)で環境基準をクリアーすることは認められておらず,これらの設置を想定すること自体が環境基準違反である。
(5)

争点5

(被告の主張)
旧都計法13条1項6号及び14号は,都市計画変更決定において,客観的,実証的な基礎調査の結果に基づく土地利用,交通等の現状の正しい認識及び将来の的確な見通しを踏まえて合理的な判断がされることにより,都市施設が適切な規模で必要な位置に配置されることを確保しようとしていると解されるが,本件変更決定時における変更点は,前記第2,1,(1),イ記載のとおり河川改修事業に伴う一部構造上の変更等であり,法令が規定する基礎調査の項目には該当がない。
(参加行政庁の主張)
争点2については,本件都市計画決定そのものに関するものといえても,本件変更決定とは何ら関係のない主張であり,争点3については,本件変更決定の際に参加人は交通量推計資料を添付してはいるが,これは単に参考資料として添付したものでしかなく,その性質上本件変更決定の内容とは無関係なものであり,争点4については,本件変更決定による地下化,半地下化によってむしろ減少しているといえるため,いずれも本件変更決定についての瑕疵の主張ではない。
(原告らの主張)
上記のとおり,本件変更決定には,実体法上も手続上も違法事由が存在する。これらの事由はいずれも重大であって,こうした違法事由がある本件変更決定は取り消されるべきである。
また,手続上の違法の問題として,公聴会が行われなかったことや住民に適切な情報が提供されなかったこと,さらには,市川市によって広域幹線道路としての位置付けを隠して住民らへの説明が行われたことは,それらが全体として,手続上の重大な瑕疵というべきであり,取消事由になる。
(6)

争点6

(原告らの主張)

本件事業認可に処分性を認めることはできない。少なくとも,平成7年7月当時,本件事業認可に処分性があったということはできない。処分性が認められないのであれば,本件不許可処分が本件変更決定の有効性を前提としてなされている以上,本件変更決定の違法性を問題とするのは当然である。

仮に,本件事業認可に処分性が認められる場合には,違法性の承継の問題として考えるべきである。すなわち,本件事業認可と本件不許可処分とは,その主体はいずれも同一であり,その対象は本件道路建設事業の対象地域の地権者という点では重なり合っている。本件事業認可によって,対象地域の地権者は土地収用等に至るような権利制限を受けることになるという意味で両者は密接に関連している。両者は道路建設という同一目的に向け,対象地域の地権者の所有権者等の権利を制限する効果を持っている。このように,本件事業認可と本件不許可処分は一連のものと認めることができるのであり,違法性の承継が認められるべきである。


本件事業認可に処分性が認められるとした場合,本訴提起時には,出訴期間が経過している。しかし,市川市は,長く原告ら地元住民に対して道路事業開始に向けた説明会をせず,説明会においても本件変更決定については一言も説明をしない等の不適切な態度であった。このような同市の態度に鑑みるに,平成7年7月直後の時点で,原告らに本件事業認可に対する取消訴訟の提起を求めることは不可能であった。原告らが出訴期間内に本件事業認可の取消しを求められなかったことには正当な理由があったとして,本訴において,本件不許可
処分の違法性を主張することは許される。

(被告及び参加行政庁の主張)

旧都計法59条の事業認可に処分性があることは,最高裁判決等によって確立した考え方であり,後行の本件不許可処分によって初めて事業認可に関する権利義務関係が具体的に形成されるような関係にあるものではない。

都市計画法65条1項の都道府県知事の許可は,都市計画事業の施行を容易ならしめるため,同法59条1項の事業認可に伴う付随的効果として,同法53条1項,54条の都道府県知事の許可と区別して規定されているものであり,相互に結合して1つの法律効果の発生を目指す一連の行為といえるものではない。同法65条1項の処分の前提となる都市計画事業の認可等の適否は当該認可等に係る手続の中で排他的に処理されるべきものであり,これを同法65条1項の処分取消訴訟に持ち込むことはそれが違法無効といえる場合を除き許されない上,上記のように,本件変更決定には本件事業認可を違法無効ならしめる事由は存しない。


本件事業認可に対する取消訴訟の提起は現在に至るまでなく,そのためその出訴期間を緩和する正当な理由の存否を議論しても無意
味である。また,原告らは,正当な理由により出訴期間内に出訴
できなかったときは,当該処分について訴えを提起しなくても後続の処分にその違法性が承継されるとも主張しているようであるが失当である。
なお,原告らは,平成7年7月14日の本件事業認可に対する取消訴訟の提起をするのであれば,本件事業認可に係る告示があった平成7年7月14日から3か月の不変期間内に訴訟を提起しなければならなかったのであり,同年当時の行政事件訴訟法(平成16年法律84号による改正前の行政事件訴訟法)にない正当な理由を考慮する
余地はない。

第3
1
当裁判所の判断
争点1及び5について
本件変更決定時に公聴会をしていないことについては当事者間に争いがないところ,旧都計法21条2項は,同法16条を準用しておらず,そもそも公聴会を開催すべき法的根拠はなかった。
また,仮に,原告らが指摘するように,本件変更決定が事業中断以来20数年ぶりになされたことから,同条の趣旨をこれに及ぼす契機があると解したとしても,同条においてすら都市計画決定権者たる都道府県知事等が必要があると認めるときに公聴会を開催すれば足りると規定しているところ,この必要があると認めるときとは,都市計画案の縦覧及び意見書の提出の手続にとどまらず住民の意見を反映させることが望ましい場合を指し,用途地域を全般的に再検討するといった都市の将来をある程度決定するような地域地区の再編成をする場合や,道路網の全体的な再検討をする場合であると解すべきである。そして,本件変更決定の内容は,前記第2,1,(1),イ記載のとおり主としてW線との立体交差部分の構造の変更及び河川改修事業による線形,幅員の変更といった構造の一部変更にすぎず,都市計画を全体的に変更するような大規模なものではなく,千葉県知事が公聴会を開催しなかったことが裁量権の逸脱,濫用に当たるとは認められない。そして,事業の進行が長期間中断していたことはこの判断を左右するものではない。
この点,原告らは,本件変更決定は住民らに影響を及ぼす重要な変更であるから上記機会を付与する必要があったにもかかわらず,同機会を奪われた旨主張するが,上記のとおり,本件変更決定の内容は本件都市計画道路のごく一部を変更するものにすぎないため採用できない。また,原告らがその内容に不服はあったとしても,市川市は原告らをはじめとする住民らに対し度々説明会を開いており(争いがない),実質的には住民らの意見を反映させる手続はなされているため,公聴会を開くべきという原告らの主張は採用できない。
2
争点2及び5について

(1)

原告らは,市川市が本件計画道路を広域幹線道路と位置付けたがそれ
を隠していた旨主張する。原告のいう広域幹線道路が何を指すのかは必ずしも明らかではないが,高速道路を結合する幹線道路であり,当該地域を通過する目的で,
大型トラック等の車両が多数通行する道路を指すも
のと解される(なお,甲3には広域幹線計画道路(高速道路)との記載があるが,
これは将来道路ネットワークにおける配分交通量の算定の際
に想定した周辺の高速道路を記載したものであり,本件道路を広域幹線道路ないしその一部としたものではない。)。この点について,
市川市は,
本件都市計画道路を道路構造令に定める4
種2級の道路
(設計区間自動車交通量が1日当たり2000台以上の都道
府県道又は市町村道)
であり市の南北を担う幹線道路と位置付けているが
(甲3),これらについては概ね同趣旨が広報誌(平成6年6月15日発行のYには
本市の中心を南北に縦断する極めて重要なもの
と位置付け
られ(丙39),平成10年11月14日及び平成13年9月9月16日発行のYには南北の幹線道路として(丙19,20),平成16年11月27日発行のY及び平成19年11月発行の都市計画道路×号ニュースには本市の重要な南北道路として説明がなされている(丙22,24)。)や説明会等でも説明されており,このうち,平成6年10月23日開催の地権者説明会,
平成7年1月15日開催の地元説明会において,
市川市は,
本件都市計画道路が市川市の南北を縦断する重要な幹線道路で
あるとの位置付けや道路構造の具体的説明を行い,
原告らはその一方又は
両方に出席した者であり,
住民らないし原告らに対して特に虚偽の説明を
したといった事実は認められない。また,市川市は,平成6年12月6日から同月20日までの間,
本件変更決定に係る案を縦覧に供しており
(丙
6)その内容に誤りがあったなどという事情はうかがわれない。

その上,
本件変更決定の内容からして,
市川市の本件道路の位置付けが,
本件変更
決定ないし本件不許可決定の適法性と関係するとは到底考えられない。よって,原告らの主張は採用することができない。
(2)

また,原告らは,被告ないし市川市は,本件道路の車線数を昭和42
年の都市計画決定当時は4車線であったのに,本件変更決定時に2車線に変更したなどと主張する。この点,旧道路構造令7条1項,9条1項,3項によれば,
第4種道路においては2車線の道路の最小の車道の幅員は6.
5メートルとされるので4車線道路では最低13メートルの幅員が必要となり,さらに跨線橋では各側に最低1.5メートルの歩道を設置するとされていたところ,本件道路の跨線橋については昭和42年の都市計画決定時において同跨線橋の幅員は12メートルで計画されていたのであるから(甲5)この部分を4車線で計画することは不可能であったこと,本件都市計画道路は,γから北側部分で昭和43年3月20日に供用開始されている部分については2車線であること(丙2)に鑑みれば,本件道路を4車線とするよう市川市が計画していたことがあった事実は認められない。なお,原告らはF線との立体交差部分について20ないし36メートルの幅員が確保されている点について,
4車線を計画していたことの証
左である旨主張するが,跨線橋の建設手法として土盛りの必要から長い法面が必要になり,その分広い敷地が必要になる上(弁論の全趣旨),跨線橋の設置により車両の沿道への出入りに支障を来すため,本線車道に平行して側道を設ける必要があり,このことを前提とした計画が建設大臣の認可を経ていること(甲34)からすると,市川市ないし被告はこの部分においても2車線の計画をしていたものと解され,原告らの同主張は採用できない。さらに,地元のδ自治会会長からの平成7年3月27日付け16項目の質問状に対し,市川市は,同年4月17日,他の項目に対する回答と併せて,現計画案を含めて6案の検討を行った結果,現計画案が最善であると判明した旨回答した上,同年7月7日には,同自治会に対し,6案の内容を回答し,そのうち第4案は,全区間を河川西側に4車線とする案であるが,同案は大幅な計画変更となりかつ河川東側の既決定部分を廃止する必要があるといった難点があったことを明らかにしている(甲26,丙62,63)。これによると,市川市は,4車線化を含めて検討対象としたことはあるもののこれを採用する予定としたものとは認めるに足りず,他方,このような質問を住民に対し特に秘匿してはいない。
以上のとおり,被告や市川市において,当初4車線にする計画があったとは認められず,またこのことを特に住民らに秘匿していたとも認められない。
3
争点3及び5について
原告らは旧都計法6条1項及び21条1項を根拠にして,本件変更決定の前に交通量の調査を行うべきであったと主張する。都市計画変更決定は,基礎調査により変更の必要が明らかになったとき等に行われるが(旧都計法21条1項参照),都市計画変更決定時に行われることが法律上求められているわけではなく,そもそも本件変更決定前に最新の交通量調査がなされていなかったとしても,本件変更決定の直接の違法事由となるとは解されない。また,本件変更決定の内容(前記第2,1,(1),イ)や市川市が本件変更決定の前年である平成6年3月には交通量推計資料を作成し参考資料として千葉県知事に提出していること(甲3,10,弁論の全趣旨)からして,交通量調査を行う必要があったともいい難い。
これに対し,原告らは,計画が12年間中断されていたことから,本件変更決定前に交通量調査を行う必要があった旨主張するが,前記変更内容やこの間も概ね5年間に行うべき基礎調査を行っていたはずであること(旧都計法6条1項)に照らして採用できない。また,原告らは,平成16年3月時点での交通量予測調査と比較すると,平成6年時には適切な交通量予測がなされていなかったことは明らかである旨主張するが,平成16年3月の交通量予測(甲30)は,平成11年及び平成14年実測交通量との比較を基にした現況道路ネットワーク(本件道路部分が完成した場合でかつ現在事業が進められているM道路等を考慮しない現在供用されている道路網のみの当面の交通量予測)として算定されているところ,これらのデータは平成6年時には入手は不可能であるから,平成16年交通量予測を根拠に平成6年交通量予測が不適切であったということはできない上,平成6年交通量予測(甲3,10)について,現況道路ネットワークではなく,市川市全体の都市計画道路が全て完成することを前提とした将来道路ネットワークとして交通量を推定していた等の手法であったとしても特に不適切とはいえないから原告らの主張は採用できない。
4
争点4及び5について

(1)

上記3で認定したように,本件変更決定時の交通量調査に問題があっ
たとはいえないから,
市川市ないし被告は1日当たり交通量が3万台を超
えることを予想して環境保全措置をとる必要はなく,
本件変更決定時の環
境保全策が不十分であったことを理由として本件変更決定ないし本件事業認可の違法事由とすることはできない(なお,環境影響評価法(平成12年4月1日施行)においては,高速自動車国道等の道路の新設及び改築については同法の定める環境影響評価が必要とされているが,
本件変更決
定ないし本件事業認可で必要とは解されないため違法事由たり得ず,その他に一定の環境保全策をとっていなかったことが都市計画変更決定の違法事由たり得ると認められる根拠もない。)。
(2)

なお,原告らは,現状の環境予測調査によれば,本件道路は,沿線の
騒音について,環境基準を満たさないと主張するが,仮に本件変更決定時に何らかの環境保全策が必要であったとしても,平成14年から同15年にかけて行われた環境影響予測結果によれば騒音に関する環境対策を講ずれば概ね環境保全目標は達成されること(丙23の1,66),平成16年9月1日付けで市川市長が同市環境審議会に同結果に係る環境保全の見地からの意見を諮問したところ,騒音については遮音壁の設置等の適切な環境対策を実施することにより環境保全目標を達成可能であり,大気質,振動については環境保全目標を達成できる旨の答申を得ていること(丙21の1,21の2),同市が上記騒音対策を実施すべく準備をしていること(丙23の2,67)といった事情を検討する限り,同市が恒常的に損害賠償義務を発生させかねない道路を建設しようとしているとは認められず,原告らの主張は採用できない。
5
小括
上記のとおり,
原告らが主張する本件変更決定の違法事由があるとは認め

られず,手続上の瑕疵もないから,違法性の承継等のその余の点について判断するまでもなく原告らの主張は採用できない。
そして,都市計画法65条1項の申請に対する不許可処分は,都市計画施行者の裁量でなされるところ,
事業認可の告示以降は事業の施行が具体的に
確定しており,事業施行に障害となる行為を認めるべきではないことから,現在の土地の維持管理的な申請以外は原則として許可することを予定していないというべきであり,
本件においても少なくとも千葉県知事がその裁量
を逸脱,
濫用して不許可決定をしたと認められるべき事情は見当たらないから,本件不許可処分はいずれも適法である。
6
結論
以上の次第で,原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
千葉地方裁判所民事第3部

裁判長裁判官

多見谷寿郎
裁判官

小川
裁判官

松下暁絵美
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