判例検索β > 平成20年(あ)第808号

大牟田の4名殺害等事件

被告人Aに対する強盗殺人,死体遺棄,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反,被告人Bに対する強盗殺人,死体遺棄,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反,逃走各被告事件
事件番号平成20(あ)808
事件名被告人Aに対する強盗殺人,死体遺棄,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反,被告人Bに対する強盗殺人,死体遺棄,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反,逃走各被告事件
裁判年月日平成23年10月17日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集刑 第304号347頁
原審裁判所名福岡高等裁判所
原審裁判年月日平成20年3月27日
判示事項死刑の量刑が維持された事例(大牟田の4名殺害等事件)
裁判日:西暦2011-10-17
情報公開日2017-10-17 13:53:46
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主文
本件各上告を棄却する
理由
被告人Aの弁護人中井淳の上告趣意のうち,死刑に関して憲法前文,13条,31条,36条,98条2項違反をいう点は,その執行方法を含む死刑制度が憲法の上記各規定等に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)及びその趣旨に照らして明らかであるから,理由がなく,その余は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
被告人Bの弁護人小松初男,同今村憲の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であり,同被告人本人の上告趣意は,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,各所論に鑑み記録を調査しても,いずれも刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
付言すると,本件は,被告人A及びその妻Cが,金融業を営むDについてかねてから抱いていた憤まんの情を晴らすとともに,同女方にあると目した多額の現金を奪うために同女を殺害することを企て,平成16年9月16日,Cが,Dを自宅から誘い出し,自車に乗せて殺害の機会をうかがうなどしていたところ,(1)これ
より先Cからその計画を打ち明けられていた長男の被告人Bが,Cらを出し抜き,D方に一人でいる同女の二男E(当時15歳)を殺害して同女の現金を手に入れようと企て,同日深夜,弟である旧姓FことGと共謀の上,Gが,Eに対し,背後からその頸部をタオルで強く絞め付けるなどして失神させ,両名でD所有の指輪等在中の金庫1個(時価合計約398万円相当)を強取した後,意識を取り戻したEに対し,二人掛かりでその頸部をロープで強く絞め付け,その身体にコンクリートブロック3個を結び付けて川に投げ込んで,同人を殺害し(強盗殺人),(2)18日早朝,被告人両名が,C及びGと共謀の上,①
同月

D(当時58歳)を殺害し

てその現金を奪うため,睡眠薬入りの弁当を食べさせて意識がもうろうとしていた同女の背後からGがその頸部をワイヤー錠で強く絞め続けて殺害し,同女の手提げバッグの中から現金約26万円を強取し(強盗殺人),②
さらに,DがCと行動

を共にしていることを知っていたDの長男H(当時18歳)及びたまたま同人と一緒にいたその友人I(当時17歳)を,口封じのために殺害することを企て,Gが,H及びIに対し,その頭部及び胸部に向けて至近距離から自動装填式けん銃で銃弾を3発ずつ発射し,更にIに対してはアイスピックで1回胸を突き刺して,両名を殺害し,その際,自動装填式けん銃1丁を適合実包6発と共に携帯して所持し(殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反),③

その後,D,H及びIの各死体を載

せた車両を川に水没させて3名の死体を遺棄し(死体遺棄),(3)
被告人Aが,

同月22日,警察署の取調室において,自殺をするためにけん銃1丁を適合実包8発と共に携帯して所持し(銃砲刀剣類所持等取締法違反),(4)
被告人Bが,勾

留中である同年11月13日,看守者の隙をついて逃走した(逃走)という事案である。量刑上重視すべき,被告人Bが関与した(1)の強盗殺人及び被告人両名が関与した(2)の強盗殺人殺人等の情状についてみると,いずれも現金奪取や犯跡隠蔽などのために敢行されたものであり,動機に酌量の余地はない。殺害の態様も,二人掛かりでロープで頸を絞め付けた上,身体にコンクリートブロックを結び付けて川に投げ込んだり,ワイヤー錠で頸を強く絞め続けたり,頭部や胸部に向けてけん銃を発射したりしたもので,いずれも強固な殺意に基づく冷酷,非情で残忍なものである。被告人Aは3名の殺害に関与し,被告人Bは4名の殺害に関与したもので,犯行結果も誠に重大である。遺族らの被害感情は極めて厳しく,地域社会に与えた影響も大きい。被告人Aは,自らは直接殺害行為を担当していないものの,Dの殺害計画に当初から関与し,Cに指示して被告人B及びGを引き込んだ上,Gに殺害の実行を指示するなどし,Hらの殺害についても,実行役であるGにけん銃を渡し,殺害方法について指示を出すなど,暴力団J組及びJ一家の中心として(2)の犯行を主導している。被告人Bは,Gを引き込んで主導的に(1)の犯行を敢行し,(2)の犯行に際しても,D殺害に関し,睡眠薬で眠らせることをCに提案し,睡眠薬入りの弁当を準備したり,Dの頸部を絞めている最中のGにタバコを手渡したりし,H及びIの殺害に関し,Hらを欺いて人気のない場所へと連れ出した上,殺害の実行役を弟であるGに押し付けつつ,自らはGに対して殺害の合図を送ったり,被告人Aの指示をGに伝達したりするなど,積極的に関与している。以上の事情に照らすと,被告人Aが被害者らに対して謝罪の言葉を述べるなどしていることや,被告人Bが捜査段階では(1)(2)の犯行についておおむね認め,逃走罪については一貫して罪を認めて反省の態度を示していることなど,被告人両名のために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人両名の刑責はいずれも極めて重大であり,被告人両名を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官城祐一郎
(裁判長裁判官
金築誠志

公判出席
白木

裁判官


裁判官

宮川光治

横田尤孝)
裁判官

櫻井龍子

裁判官

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