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爆発物取締罰則違反等
事件番号平成21(わ)599
事件名爆発物取締罰則違反等
裁判年月日平成22年6月29日
裁判所名・部福岡地方裁判所  第4刑事部
裁判日:西暦2010-06-29
情報公開日2017-10-13 01:36:02
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平成22年6月29日宣告
平成21年第599号

爆発物取締罰則違反,火薬類取締法違反被告事件
主文
被告人を懲役2年に処する
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
福岡県A警察署で保管中の黒色火薬1袋(福岡地方検察庁平成2
1年領第1493号の符号50-3)を没収する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,経済産業大臣の許可を受けず,かつ,法定の除外事由がないのに,平成21年3月5日ころ,福岡市a区bc丁目d番e号の被告人方において,硝酸カリウム,硫黄及び竹炭粉末を混合して火薬類である黒色火薬約20.5グラム(福岡地方検察庁平成21年領第1493号の符号50-3はその火薬含有の有無等の鑑定後のもの)を製造した。
(証拠の標目)省略
(事実認定の補足説明)
1
本件公訴事実及び争点


本件公訴事実は,被告人は,人の身体財産を害する目的をもって,平成21年3月5日ころ,福岡市a区bc丁目d番e号の被告人方において,経済産業大臣の許可を受けず,かつ,法定の除外事由がないのに,硝酸カリウム,硫黄及び竹炭粉末を混合して火薬類である黒色火薬約20.5グラムを製造するとともに,同月6日ころ,同所において,容量約17ミリリットルのガラス瓶に,上記黒色火薬,長さ約2センチメートルの釘52本,長さ約1.9センチメートルのねじ19本及び爆竹3本を充てんして金属製のふたで密閉し,これにニクロム線,アルカリ乾電池,リード線,磁石2個及び「PULLと表示した紙片を貼付した透明シート等からなる起爆装置を装置した爆発物1個を製造したものである。」というものであ
る。


爆発物取締罰則3条にいう爆発物とは,理化学上の爆発現象を惹起する
ような不安定な平衡状態において,薬品その他の資料が結合した物体であり,その爆発作用自体によって公共の安全をみだし,または人の身体財産を害するに足りる破壊力を有するものをいうところ,検察官は,被告人が製造した物(以下本件製造物という。)は,十分に爆発能力を備えた物であるとともに,その威力は爆発の瞬間に封筒の開封口側に人体があれば,蓋,火炎,火薬の未燃焼粒等によって人体に損傷を与えるものであるから爆発物に該当すると主張し,弁護人は,本件製造物は理化学上の爆発現象すら生じないし,仮に爆発現象を生じるとしても爆発物に該当する程の威力を有するものではないと主張する。したがって,本件の争点は,本件製造物が爆発物取締罰則3条にいう爆発物に該当するかどうかであるが,具体的には,①理化学上の爆発現象を生じうる物体かどうか,②爆発作用自体による破壊力が,人の身体財産を害するに足りる威力を有するものかどうかが問題となる。
2
当裁判所の判断
当裁判所は,本件製造物は,①理化学上の爆発現象を生じうる物体であるといえ
るものの,②爆発作用自体による破壊力は,人の身体財産を害するに足りる威力を有するものとはいえない,したがって爆発物取締罰則3条にいう爆発物に該当するとはいえないと判断した。
その理由は,以下のとおりである。


本件製造物の概要

本件製造物は,硝酸カリウム,硫黄及び竹炭粉末を混合して製造した黒色火薬約20.5グラムを,容量約17ミリリットルのガラス瓶に,長さ約2センチメートルの釘52本,長さ約1.9センチメートルのねじ19本及び爆竹3本と共に充てんし,ガラス瓶の金属製のねじ蓋にキリで穴を開けて,その穴から爆竹の導火線を外に出して蓋を閉め,これにニクロム線,アルカリ乾電池,リード線,磁石2個及
びPULLと表示した紙片を貼付した透明シート等からなる起爆装置を装置したものである。
そして,本件製造物は,B5サイズの封筒内部に,粘着テープで貼り付け固定され,いわば郵便物爆弾とでもいう形態にされたものである。


鑑定(再現製造物の機能実験)結果

鑑定では,本件製造物と同メーカーの同種商品である硝酸カリウム,硫黄,竹炭粉末,釘,ねじ,ガラス瓶及び封筒を準備し,瓶内に充てんする爆竹も準備した上,本件製造物のガラス瓶の蓋の穴開けに使用されたドライバーセットのキリを用いるなどして,本件製造物を再現製造し,さらに本件製造物を封筒内に固定した粘着テープと同種と考えられる粘着テープを用いて,粘着テープの大きさや貼り方に至るまで,本件製造物とそれが封筒内に固定された状態を可能なかぎり再現した2個の再現製造物を使用して,2回の爆発実験が行われた。
その実験では,1辺約30センチメートルの正方形のベニヤ板の上に再現製造物を置き,その四方を幅約45センチメートル,高さ約90センチメートル,厚さ約5.5ミリメートルのベニヤ板で囲んだ中で着火させた。2回の実験いずれでも,着火後,しばらくして封筒の開封口側からガラス瓶の蓋の穴から導火線または黒色火薬の燃焼が吹き出したと判断される火花ないし火炎が飛び出し,その直後,爆発音とともに開封口側から火炎が吹き出し,封筒が一気に開封口側と逆方向に移動した。その後激しい火炎が上がりガラス瓶内に残留していた黒色火薬が燃焼した。実験後の状況は,ガラス瓶の頭部部分が割れ,蓋,ガラス片,釘が飛散し(2回目の実験では,動画で蓋が飛翔する様子が確認された。),蓋に変形がみられた。また,実験後のベニヤ板の状況は,封筒の開封口側に立てられたベニヤ板には,火炎の痕跡と黒色火薬の未燃焼粒の付着や食い込みがみられ,その痕跡付近には蓋の衝突によると考えられる湾曲状の損傷もみられた。他方で,再現製造物の四方を囲んだベニヤ板には,釘やガラス片の飛散によると考えられる損傷はいずれもみられなかった。

実験を踏まえた結果として,
①爆発作用については,
いずれも爆発が認められた,
②その威力は,爆発瞬間に封筒の開封口側に人体があれば,蓋,火炎,火薬の未燃焼粒等によって,人体に損傷を与えるものと判断された,と鑑定されている。

理化学上の爆発現象を生じうるかどうかについて

鑑定は,2回の実験とも同様の形態で爆発したと判断し,その根拠として,著しい燃焼の後,爆発音とともに,封筒の開封口側から火炎が吹き出し,封筒が開封口側と逆方向に一気に移動したこと,ガラス瓶の頭部が割れて蓋が飛散していることから,急激な燃焼によりガラス瓶内の圧力が上昇し,割れた頭部側から一気に圧力を放出し,それにより封筒が移動したものと判断されるとしている。鑑定経過に照らして実験の条件や鑑定人の能力に特段の問題は見当たらないところ,鑑定書の内容や実験を撮影した動画の内容に照らしても,急激な火薬の燃焼によりガラス瓶内の圧力が上昇し,爆発したとの鑑定人の判断は,専門家の判断として十分合理性を有するものといえる。
弁護人は,鑑定の実験について,2回の実験のいずれでも最初の破裂音とともに封筒が移動しているが,破裂により封筒が大きく破損するなどといった状況は生じておらず,最初の爆竹破裂によりガラス瓶が破損したにすぎず,爆発現象は生じていない旨主張する。しかし,仮に爆竹の爆発作用しか有しないとしても,本件製造物の爆発現象ということができる上,蓋の飛散や封筒の移動は,使用された爆竹の火薬量などからして,爆竹破裂のみによるものとは考え難いし,実験でも封筒から火炎が吹き出すと共に封筒が一気に移動している状況が観察されているから,黒色火薬の急激な燃焼によりガラス瓶の蓋の飛散,ガラス瓶の破損,封筒の移動が起きた,したがって爆発が認められた,とする鑑定結果は,弁護人の指摘を踏まえても,説得的で合理性を有するものである。
したがって,爆発現象を生じた再現製造物と組成構造等を同じくする本件製造物も,同様に理化学上の爆発現象を生じうるものと認められる。


爆発作用自体による破壊力の程度について


鑑定内容の詳細

鑑定結果では,爆発瞬間に封筒の開封口側に人体があれば,蓋,火炎,火薬の未燃焼粒等によって,人体に損傷を与えるものと判断された,とされている。その理由として,鑑定書中の爆発の威力の考察で,2回の実験共に,蓋,釘,ガラス片(頭部)の飛散が認められた。周囲に設置したベニヤ板に釘,ガラス片によると考えられる損傷は認められなかった。蓋によると考えられる損傷は,封筒の開封口側のベニヤ板・・に認められた。封筒の開封口側であるベニヤ板・・に火炎の吹きつけ及び火薬の未燃焼粒の付着及び食い込みが認められた。従って,爆発瞬間に封筒の開封口側から手を入れたり,顔をのぞき込んだりしていれば,蓋,火炎,火薬の未燃焼粒等によって人体に損傷を与える威力を有するものと判断されたとされている。鑑定の指摘する蓋による損傷は,幅約45センチメートルで四方を囲んだベニヤ板のうち,封筒開封口側のベニヤ板についた,いずれも鑑定書添付写真上の目測約1センチメートル長の蓋の衝突痕で,2回目の実験の方が写真上やや凹損しているように見え,また,実験後の蓋は1回目2回目いずれも横に押しつぶしたように楕円形に変形していることが認められる。火炎による損傷として,ベニヤ板表面に黒く焦げたような痕が,未燃焼粒による損傷として,細かな泥はねのような黒色火薬の未燃焼粒のベニヤ板への付着及び食い込みがみられる。これら蓋,火炎,未燃焼粒による損傷は,いずれもベニヤ板の下部,1回目が鑑定写真上の目測で30センチメートルまでの高さの範囲内,2回目が同目測で10センチメートルまでの高さの範囲内とみられる。
また,鑑定の実験結果によれば,1回目の実験では,着火7秒+9/30秒から7秒+11/30秒の爆発瞬間の後,8秒+6/30秒から8秒+26/30秒にガラス瓶内に残留していた火薬が燃焼し,11秒+5/30秒から14秒+15/30秒にさらにガラス瓶内に残留していた火薬の再燃焼がみられており,また,2回目の実験でも,着火29秒+21/30秒から29秒+23/30秒の爆発瞬間の後,30秒+7/30秒から31秒+26/30秒にガラス瓶内に残留していた
火薬燃焼がみられている。

鑑定結果による爆発の威力

本件製造物は,容量約17ミリリットルのガラス瓶に,黒色火薬約20.5グラムを釘,ねじ,爆竹3本と共に充てんし,導火線を通す約2ミリメートルの穴を開けた金属製のねじ蓋を閉めて密閉したものであり,爆竹自体の爆発力と,黒色火薬がガラス瓶の中で爆発的に燃焼することで生じる気体の圧力によってガラス瓶を破壊し,ガラス片や釘等を飛散させるものである。したがって,密閉度や容器の強度が高いほどガラス瓶内の圧力が高くなり,破壊力が増すと考えられるところ,鑑定の実験結果を踏まえて検討すると,2回とも導火線着火後にガラス瓶の蓋の穴から火炎や火花の吹き出しがみられており密閉性が完全ではない上,充てんされた火薬量は約20.5グラムとさほど多くはないのに,爆発の後にガラス瓶内に残留していた黒色火薬の燃焼がみられており,爆発までに燃焼した黒色火薬量はその一部にすぎない。爆発の結果,ガラス瓶自体は蓋の部分に接するガラス瓶の頭部部分以外は割れておらず,ガラス片,釘及びねじは,爆発に伴って四方のベニヤ板の囲いの中に飛散しているものの,ベニヤ板に損傷を残していない。結局,爆発による飛散は,ガラス瓶の蓋が,ベニヤ板で囲まれた約45センチメートル四方の中央部分付近から飛翔してベニヤ板に衝突し,厚さ約5.5ミリメートルのベニヤ板にわずかな痕跡を残す程度にとどまっている。ガラス瓶の蓋の威力についても,その大きさや重量,ベニヤ板の痕跡からすると,至近距離にいて当たり所が悪いなどの事情がなければ,人の身体に衝突しても負傷させる可能性が高いとは考え難い。また,爆発の瞬間こそは勢いよく火炎が吹き出しているものの,爆発自体に伴う火炎や未燃焼粒の吹き出しは一瞬のものである上,その後の激しい火炎等は残留火薬の燃焼に伴うものであり,爆発作用自体の威力ではない。加えて,火炎の吹きつけは,封筒の開封口側方向のベニヤ板の下方のごく一部分(とりわけ2回目の実験では,約10センチメートル四方に収まる程度の範囲である。を損傷するにとどまっている。)
鑑定人も指摘するとおり,再現製造物は,爆発瞬間に封筒の開封口側から手を入れたり,顔をのぞき込んだりしていれば人体に損傷を与える威力を有するにとどまるものである。
このような再現製造物の爆発作用の威力は,ガラス瓶の蓋と火炎,未燃焼粒によるものにとどまる上に,至近距離で,しかも一方向に人の身体が位置しなければ人の身体を害する可能性は認め難いものであるから,爆発作用自体による破壊力は大きくなく,人の身体財産を害するに足りるものと認めることはできない。ウ
本件製造物の爆発による威力

以上の再現製造物についての検討結果は,基本的に再現製造物と同様の組成構造を有する本件製造物についてもあてはまるといえる。
本件については,
鑑定の外に捜査段階においても爆発実験が実施されているので,
これらの実験結果からも検討を加える。
そのうち平成21年5月15日に実施された実験においては,写真撮影報告書の写し及びその動画DVDによれば,被告人が本件製造物を再現し封筒に入れた物のうち,火薬等を詰めたガラス瓶部分のみを別途再現作成した物に入れ替え,鑑定と同様のベニヤ板で三方を囲み,封筒の開封口側にマネキンを置いて着火させた。実験の結果,実験後のベニヤ板,マネキンに蓋,ガラス片,釘及びねじによると認められる損傷は認められなかった。したがって,この実験結果からも,本件製造物が人の身体財産を害するに足りる威力を有するとは認められない。
次に,同月17日に実施された実験においては,実況見分調書及びその動画CDによれば,本件製造物と同様に再現した火薬等を詰めたガラス瓶を封筒に入れて,鑑定と同様にベニヤ板で四方を囲んで着火させたところ,爆発作用が認められ,ベニヤ板に釘等の飛散による損傷が認められ,ガラス瓶の蓋がベニヤ板の外に飛び出し,鑑定による結果よりも激しい威力が認められた。しかし,この実験では,火薬等を詰めたガラス瓶の蓋を瓶に固定するように粘着テープが貼られており,爆発後の蓋が内側から圧力を受けたように凸型に変形しているところ,本件製造物と同様に粘着テープを貼った鑑定では2回の実験いずれでもガラス瓶の頭部が割れて蓋が
飛散しており,その蓋に凸型の変形がみられないことをも参照して考察すると,5月17日の実験では,ガラス瓶の蓋に貼られた粘着テープがガラス瓶と蓋とが外れる抵抗力となり,ガラス瓶の密閉度を高めた可能性を否定できず,その結果,爆発の威力が増したものと推察される。そうすると,この実験で製造された物は,本件製造物とは密閉度の点で前提が異なるというべきである。なお,この実験結果によっても,ベニヤ板の損傷は釘等が衝突した擦過痕で,釘等がベニヤ板に突き刺さったような状況はなく,損傷の範囲も,約45センチメートル四方で囲んだベニヤ板の高さ約50,約49,約40センチメートルの位置に各1か所あるものの,多くは約35センチメートルの範囲内であり,火炎による損傷も封筒の開封口側のベニヤ板の下部に横約27センチメートル,高さ約7センチメートルの1か所にとどまることから,ある程度の至近距離でなければ人の身体を害する程度は高くないと考えられる。結局,この実験結果をもって,本件製造物の爆発作用の威力が爆発物に該当するものであるということはできない。
さらに,被告人の供述調書によれば,被告人が本件製造物と同様のガラス瓶に火薬と爆竹を詰めて爆発実験したところ,ガラス瓶が割れて数十センチメートルくらい離れたところに飛散したというが,本件製造物とは釘とねじを詰めていない点で異なり,
かつ,
釘等を混入すれば火薬の分量や密度がその分異なることになるから,この供述から,本件製造物の威力が人の身体財産を害するに足りるものということはできない。
3
結論
以上のとおり,本件製造物は,爆発物取締罰則3条にいう爆発物に該当するとは
いえない。
(法令の適用)
条罰刑種の選
火薬類取締法58条2号,4条


懲役刑を選択

刑の執行猶予

刑法25条1項

没収
刑法19条1項1号,2項本文(火薬類無許可製造の犯罪
行為を組成した物で,被告人以外の者に属しないもの)

訴訟費用の不負担

刑事訴訟法181条1項ただし書

(量刑の理由)
1
本件は,被告人が,かつての同僚に対する恨みを晴らそうと考えて,いわば郵
便物爆弾を作った際の火薬製造の事案である。
被告人は,他人に危害を加える目的で火薬を製造したものであり,その点で極めて反社会的な犯行である。
そして,製造した火薬を爆竹などと共にガラス瓶に詰め,電池などの起爆装置とともに封筒に入れて路上ポストに投函したのであって,何らかの事情によって発火する可能性も皆無であったとはいえず,爆発物取締罰則にいう爆発物に該当しないとはいえ,本件火薬によって現実に公共の安全を害する危険性が認められる。被告人は,仕事上のストレスなどからうつ病やアルコール依存症に陥り,平成13年ころ以降,何度も入退院を繰り返していたものであるが,被告人は,これらの症状を悪化させた原因が,当時の同僚からたびたび強く叱責されるなどしたことで精神的に不安定になったことにあるなどと考え,転職のための大学受験の失敗をきっかけに,当時の同僚に送りつけようと本件犯行に及んだというのであるが,もとより相手方にこのような犯行の標的にされるような責められるべき点はない。被告人自身も述べているように,自己の不遇を他人に転嫁しようとした身勝手な逆恨みによる犯行というほかなく,動機に酌むべき事情は見出せない。
2
もっとも,
起訴にかかる火薬の分量は約20.
5グラムと大量なものではない。

被告人は,前科を有しない。保釈請求を差し控え1年余の身柄拘束を受けており,そのような中で,徐々に犯行当時の行動を客観視して自己の問題点と向き合うことができるようになり,反省を深めつつあることがうかがわれる。また,元同僚に対しては,被害弁償として50万円を支払い謝罪していること,30万円を贖罪寄付していること,本件が広く報道されたことや大学退学など一定の社会的制裁を受け
ているといえること,被告人の更生を援助助力する妻や親族がいることなどの事情も認められる。
3
以上の諸事情を考慮すると,本件は身勝手な動機により行われた危険な犯行で
あり,その刑事責任は軽くないが,本件認定罪名の法定刑や火薬の分量に加えて,被告人に前科はなく,1年余身柄拘束のまま謹慎しているなど前記の諸事情を考慮すると,ただちに実刑に処するのではなく社会内での更生の機会を付与するのが相当と考え,主文のとおりの懲役刑に処した上,刑の執行を猶予することとした。よって,主文のとおり判決する。
(求刑

懲役5年,爆竹及び黒色火薬の没収)

平成22年6月29日
福岡地方裁判所第4刑事部

裁判長裁判官

田口直樹
裁判官

杉本正則
裁判官

池田幸

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