判例検索β > 平成15年(あ)第2181号

栃木・妻、知人連続殺人事件

傷害,殺人被告事件
事件番号平成15(あ)2181
事件名傷害,殺人被告事件
裁判年月日平成18年10月12日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集刑 第290号499頁
原審裁判所名東京高等裁判所
原審裁判年月日平成15年9月10日
判示事項死刑の量刑が維持された事例(栃木・妻,知人連続殺人事件)
裁判日:西暦2006-10-12
情報公開日2017-10-17 13:55:35
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主文
本件上告を棄却する
理由
弁護人山本健一,同角田雄彦の上告趣意のうち,死刑制度に関して憲法36条,13条,98条2項違反をいう点は,死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁)及びその趣旨に照らして明らかであるから,理由がない。また,刑訴法321条1項1号後段,同項2号後段の規定が憲法37条2項に違反すると主張する点は,上記各規定が憲法に反しないことは,当裁判所の判例(最高裁昭和23年(れ)第833号同24年5月18日大法廷判決・刑集3巻6号789頁,最高裁昭和25年(し)第16号同年10月4日大法廷決定・刑集4巻10号1866頁。なお,最高裁昭和29年(あ)第154号同30年11月29日第三小法廷判決・刑集9巻12号2524頁参照。)とするところであるから理由がない。その余は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
付言すると,本件は,被告人が,(1)

被告人と別れようと実家に帰っていた当

時18歳の妻を呼び出して頸部を圧迫して窒息死させて殺害し,(2)
その約1年

後,自己の絶対的な服従下に置いてそのし虐癖の対象としていた当時26歳の男性が度重なる虐待のため著しく衰弱していることを認識しながら,その死を認容しつつあえて同人の頭部を手拳で殴打するなどの暴行を加えて殺害した,という殺人2件のほか,(3)

自己の営む風俗業の男性従業員2名に対し,絶対の服従を強いる

中で,身体各所にたばこの火を押し付けたり熱湯を浴びせ掛けるなどして熱傷を負わせた傷害7件の事案である。
(1)の殺人は,確定的な殺意に基づく残忍な犯行であり,動機及び犯行に至る経緯に酌むべき点は見当たらない。また,(2)の殺人は,被害者が従順で抵抗しないのをよいことに,長期間にわたり常軌を逸した陰惨な虐待を重ね,その結果極度に衰弱した被害者に対し,更に暴行を加えてついに殺害したものであり,その殺害態様はなぶり殺しにほかならず,非人間的で冷酷,非情というほかない。2名の尊い生命を奪った結果も,極めて重大であり,各遺族の被害感情も厳しい。被告人は,犯跡を隠すため,実父をして各被害者の死体をその都度土中に埋めさせた上,しばらく後にこれを掘り返して焼却させるなどしており,犯行後の情状も非常に悪い。さらに,被告人は,(2)の被害者に対して加えていた加虐行為と同質性のある(3)の各傷害の犯行を重ねており,本件前にも同態様の傷害罪を犯していることなどに照らすと,被告人のし虐的で生命,身体に対する尊重を欠く傾向には,非常に根深いものがあるといわざるを得ない。
以上によれば,被告人の刑事責任は,極めて重大である。そうしてみると,各殺害の犯行当時被告人がまだ若年であったことなど被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。検察官吉田博視
(裁判長裁判官

徳治

公判出席
才口千晴

裁判官

裁判官

横尾和子

島田仁郎)
裁判官

甲斐中辰夫

裁判官

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