判例検索β > 平成12年(わ)第958号
X1、X2に対する職務強要、脅迫、X3に対する職務強要各被告
事件番号平成12(わ)958
事件名X1,X2に対する職務強要,脅迫,X3に対する職務強要各被告
裁判年月日平成14年5月8日
裁判所名・部広島地方裁判所
裁判日:西暦2002-05-08
情報公開日2017-10-13 01:47:25
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主 文
被告人X1を懲役1年6月に,被告人X2を懲役1年に,被告人X3を懲役3年に,それぞれ処する。
この裁判確定の日から,被告人X1,被告人X2に対しいずれも3年間,被告人X3に対し5年間,それぞれその刑の執行を猶予する。
理 由
(罪となるべき事実)
第1 被告人ら3名は共謀の上,広島県賀茂郡A町長Bに対し,同町が発注する公共工事に関し,指名競争入札の相手方となるための町長の資格認定を受けていたC工業有限会社を指名除外させる目的で,別紙一覧表記載のとおり,平成12年8月27日から同年9月24日までの間,前後4回にわたり,広島県賀茂郡A町○○所在の被告人X2方など3か所において,上記B町長に対し,被告人X1及び同X2において,こもごもCを指名から外さんかったら大事が起こるぞ。Dは,Eの子飼いじゃけー指名に入れてやれー。Dを入れんかったら大事が起こるでー。言うことを聞かんと,Eが黒い車を入れて町政をガタガタにして町長を徹底的にやり上げると言ようるで。あんたにも家族なんかおるんじゃけー言うようにせえ。などと申し向け,上記B町長が上記要求に応じなければ,同町長及び同人の親族の生命,身体,名誉等にいかなる危害を加えかねない気勢を示して脅迫し,もって同町長をして上記C工業を指名除外させるために,これに脅迫を加え,
第2 被告人X1及び同X2は,共謀の上,同年9月2日,同町○○所在の前記B方において,同町長の妻Fに対し,こもごも

この口限りじゃ。わしゃー知りゃあせんぞ。言うことを聞かんと大事になるわい。

ビラをまいた後,街宣車が来る方がほんまになるけー効けるんじゃ。

よーよー言うときますけーの。この口限りですけんのー。

などと申し向けて,上記F及び同女の夫B町長並びに同人らの親族の生命,身体,名誉等にいかなる危害を加えかねない気勢を示して上記Fを脅迫した
ものである。
(証拠の標目)
(省略)
(補足説明)
1 被告人X1及び同被告人の弁護人は,職務強要の事実につき,同被告人は,被告人X2及び同X3と共謀したことはなく,C工業有限会社をA町の指名業者から除外させる目的でBA町長及び同人の親族の生命,身体,名誉等にいかなる危害を加えかねない気勢を示して脅迫したことはなく,また,職務強要の故意もなく,さらに,脅迫の事実につき,判示のような脅迫文言を言ってはおらず,その他の脅迫行為もしていないのであるから,被告人X1は無罪である旨主張し,被告人X2及び同被告人の弁護人は,職務強要の事実につき,同被告人には,C工業を指名業者から除外させる目的はなく,また,職務強要及び脅迫の事実につき,脅迫したこともないのであるから,被告人X2は無罪である旨主張し,被告人X3及び同被告人の弁護人は,同被告人が,被告人X1及び同X2に対し,C工業を指名業者から除外しないのは問題であり,黒い車(街宣車)による街宣活動を計画していることを話したこと,黒い車がA町に来れば,B町長が街宣車による町政批判を恐れるであろうと考えたことは認めるが,被告人X3は,被告人X1及び同X2をして,B町長に対し,街宣車をA町に来させることを告げてC工業を指名業者から除外させようとしたものではなく,また,被告人X1及び同X2が,脅迫的言辞を用いて要求を実現するとは考えておらず,したがって,被告人X1及び同X2と職務強要の事実につき共謀したことはないし,被告人X1及び同X2が脅迫行為をしたことも疑わしいから,被告人X3は無罪である旨主張するので,これらの点につき,以下補足して説明する。
2 明らかに認められる事実
関係各証拠によれば,以下の事実が認められる。
すなわち,(1)B町長は,平成10年8月末のA町長選に当選し,同12年8月ないし9月当時,A町長の職にあったこと,(2)A町長には,同町発注の公共工事に関する指名競争入札の指名業者の選定及び指名除外の権限が与えられていること,(3)同12年2月18日の同町発注に係る浄化槽工事入札の際,CA町議会議員が主宰し,その妻が社長を務めるC工業に落札させるように談合がなされたとして議会で問題となり,同年4月14日,臨時町議会で,C議員に対する自粛勧告案が採択されたが,その後もC工業は指名業者として残っていたこと,(4)同年8月20
日ころ,被告人X1及び同X2は,土木建設会社である株式会社E建設を経営する被告人X3から,B町長がC工業を指名業者から除外しないのであれば街宣車を呼ぶ旨聞いたこと,(5)判示
罪となるべき事実に記載の日時,場所において,被告人X1及び同X2が,B町長又は同人の妻Fに会い,C工業を指名業者から除外しないと,黒い車(街宣車)がA町に来るという趣旨の発言をしたこと,(6)被告人X3の依頼を受けたGが,政治結社Hを主宰するIに対してA町での街宣活動を依頼し,同年9月13日,14日,Iは,A町役場前まで黒い塗装を施したいわゆる街宣車2台を走行させ,同月20日には,Iほか2名が,A町定例議会を傍聴し,そして,同年10月4日ないし7日,同月19日及び同月20日,A町において,街宣車によってB町長を批判する内容の街宣活動を行ったこと,以上の事実が認められる。
また,押収してあるマイクロカセットテープ(平成14年押第1号の1,ただし2分10秒後以降の部分)並びに被告人X1及び同X2の各公判供述によれば,同年9月24日ころ,B町長宅において,被告人X1及び同X2が,B町長及びFと会話をし,B町長に対し,別表番号4の脅迫文言欄記載の文言を申し向けている事実が認められる(別表番号4の脅迫文言欄の発言箇所は,(省略)に当たる部分である。)。
3 B町長及びFの検察官に対する各供述について
そして,B及びFは,検察官に対する各供述調書において,上記事実のほか,判示罪となるべき事実に沿う内容の供述をしているところ,両名の供述はいずれも具体的かつ詳細で迫真性に富んでおり,また,被告人X1らの発言内容や,その時の状況等について互いにおおむね一致していること,なお,両名は,9月24日の両被告人の発言の仕方がそれほど強い言い方ではなかったと供述しているところ,その点は,上記マイクロカセットテープの録音内容と一致しており,かつ,同日の被告人X1らの発言の仕方がこれまでと異なり強い言い方ではなかった理由として,同月18日ころ,B町長の方から,被告人X1に対し,法的手段に訴えると伝えたからではないかと思う旨,被告人X1らの態度の変化について合理的説明をしていることなどからすると,両名の供述はいずれも十分信用できるものである。4 被告人ら3名の捜査段階における供述及び第1回公判における罪状認否について
また,被告人ら3名は,捜査段階において,本件各犯行状況について,B町長及びFの上記各供述とおおむね一致する供述をしているほか,本件犯行に至る経緯及び共謀の事実について,同年4月14日のA町議会で,C議員に対する自粛勧告を決議したにもかかわらず,C議員の態度に変化がないため,被告人X1及び同X2は,C議員に対して何らかの制裁が必要であると考えていたこと,その後,被告人X3は,同年7月下旬ないし8月ころから,被告人X1及び同X2に対して,C工業を半年間指名業者から外させないかと言うようになり,被告人X1及び同X2も,同様の考えであったこと,同年8月20日ころ,被告人X3は被告人X1及び同X2に対してそれぞれ電話で,B町長がC工業を指名業者から外さないのであれば,黒い車を来させないといけないということをB町長に伝えるように依頼し,被告人X1と同X2は,相談の上,B町長と話をしようと決めたこと,なお,同年9月1日午前10時前に被告人X1が同X2に対して

もう一度君だけで町長のところに行って話してみてくれ。

と電話で依頼し,被告人X2が町長室に赴いて判示のような文言を言ったこと(被告人X1は,9月1日に被告人X2に対してそのようなことを言ったかどうかはっきりしないという趣旨の供述をしているが,被告人X2は,捜査段階のみならず,否認に転じた以降の公判供述においても,被告人X1から上記のように言われたと供述している。)など,判示罪となるべき事実に沿う内容の供述をしており,第1回公判における罪状認否の際にも,被告人X1及び同X3は各公訴事実をすべて認める旨陳述し,被告人X2は脅迫文言の一部については争うものの,それ以外の各公訴事実についてすべて認める陳述をしている。 もっとも,上記捜査段階における被告人X1及び同X2の各供述について,被告人X1の弁護人は,前記マイクロカセットテープの録音内容からすれば,脅迫的言辞は認められないにもかかわらず,取調警察官は,被告人らの脅迫的言辞はテープに録音してある旨虚偽の情報を与えて被告人X1に心理的圧迫を与え,虚偽の自白を誘発させたものであって,その供述に任意性はなく,違法収集証拠として証拠排除されるべきであると主張し,また,被告人X1及び同X2の弁護人は両被告人の上記各供述の信用性はないと主張するのである。
そこで検討するに,なるほど,前記明らかに認められる事実のとおり,同年9
月24日の会話を録音したマイクロカセットテープが存在することからすると,被告人X1に対し,取調警察官がテープの存在を告げた可能性は存するものの,そのこと自体には何ら問題はなく,そもそも被告人X1は,当公判廷において,警察での取調べ時に,本件各犯行時のB町長らとの会話の内容を覚えていた旨供述していることからすると,むしろ,客観的な証拠を突き付けられて,このまま否認を通すことはできないと認識して自白に転じたと考えるのが自然であることや,上記被告人両名の捜査段階の供述調書には,

最終的にはB町長のためを思って行ったことである。

と,自己に有利な供述も録取されており,かつ,そのような心情についての供述は,両被告人が否認に転じた以降の供述とも一致していること,両被告人とも捜査段階から弁護人を選任し,その接見を受けながら取調べに応じていること等からすると,両被告人の上記供述の任意性に疑いはない。
また,被告人ら3名の捜査段階の各供述は,被告人X1及び同X2が被告人X3に依頼されてB町長らを脅迫するに至った経緯などについて,その内容が具体的かつ詳細であるのみならず,両被告人自身,C議員に対しては,同人の談合疑惑などもあって快く思っていなかったことは公判段階においても自認するところであって,本件犯行の動機として述べるところも自然なものであり,その他の点についても特に不自然不合理な点も認められず,被告人3名の供述がおおむね一致していることなどからすると,その信用性も十分というべきである。
なお,被告人X1及び同X2は,第1回公判では早く保釈を得たいために事実を認めたが,保釈後,B町長らの調書を読んで事実とあまりにも違うため,否認に転じたなどと弁解するが,両被告人とも第1回公判前にも,それぞれ弁護人と接見し,その際,B町長らの調書の内容を知らされているのであって,ことに,被告人X2においては,罪状認否において一部否認している点もあることからすると,事実を認めることによって保釈を得たいという気持ちはあったにしても,B町長らの調書の内容があまりに事実と違うために否認に転じたとの弁解は信用することができないものというほかない。
5 被告人X1及び同X2のその後の公判段階における弁解供述について 以上の供述内容に反し,被告人X1及び同X2は,第2回公判以降は,被告人X3から,B町長がC工業を指名業者から除外しないことは問題であり,これに対して街宣車による街宣活動をすることを計画していることを聞いたが,これに同意したのではなく,むしろ,被告人X3に対して計画を中止するように何度も説得したこと,判示日時場所で,B町長やFと会ったのは,このままでは黒い車(街宣車)が来ることになり,町政が混乱することになるので,B町長のためを思って被告人X3と会って打開策を探るよう働きかけただけであることを,それぞれ供述し,被告人X1は,さらに,黒い車が来ることにより,B町長が何らかの圧力を感じることは分かっていたが,脅しにはならないと思った旨供述している。 そこで,両被告人の上記弁解供述について検討するに,前掲各証拠によれば,そもそも本件各犯行に先立つ平成12年2月15日,被告人X1及び同X2が,前日の2月14日に○○ホテルで行われた被告人X3ら地元土建業者の会合の結果を踏まえて,町長室で被告人X3らとともに,さらに町長の出先である○○ホテルで被告人X1及び同X2が,B町長に対して,○○地区浄化槽工事の指名に関する話をし,その結果,その指名入札が2日間延期されたという経緯があるところ,被告人X1及び同X2は,この点について,捜査段階においては,被告人X3らA町内の大手建設業者の依頼により,B町長に対し,町内の大手建設業者も当該工事の指名に参加させてくれるよう頼んだが,B町長に断られ,代りに入札期間を2日間延期することを了解してもらった旨供述しているのであるが,公判段階においては,B町長に対し,当該工事について,C工業に関する談合疑惑があることを話したために入札が延期になったのであると,供述を変遷させているのである。 しかしながら,当該入札については,その後,延期された2月18日の朝に別途談合情報が入り,同町の談合マニュアルに沿った手続がとられた上で,入札時間を延期する措置がとられているところ,2月16日の入札が2月18日に延期された際には,2月18日になされたような談合マニュアルに沿った手続がとられたことを窺わせる事実はなく,このことからすると,2月16日の入札が2月18日に延期されたのは,談合以外の事情に基づくものと考えざるを得ず,しかも,被告人X1は,公判廷において,談合の情報が入ったと供述しながら,具体的な情報の入手先を答えられないなど,供述内容も不自然であって,信用することができず,被告人X1及び同X2の公判供述は,被告人X3が入札業者の指名に干渉しようとした事実をあえて避ける供述態度を示しているといえる。

また,被告人X1及び同X2は,街宣車が来ないようにするために,B町長のためを思って,同町長に打開策を探るよう働きかけただけであると弁解するのであるが,街宣車が来ないようにするには,むしろ被告人X3に対して毅然とした対処をするのが筋であるにもかかわらず,両被告人ともそのような行動はとっておらず,被告人X3からは,C工業を指名除外すること以外の方策は何ら示されていないのであって,両被告人のいう打開策とは,C工業を指名除外する以外には考えられないところである(同年9月24日には,被告人X1は,B町長に対して被告人X3と会うように求めているが,上記事情からすると,被告人X3に会う目的がC工業を指名除外するためであったといえる。)。
以上の諸点からすると,両被告人の第2回公判以降の上記弁解はいずれも信用することができないというべきである。
6 以上のとおり,B町長及びFの捜査段階における供述,被告人3名の捜査段階における供述及び第1回公判における罪状認否は,いずれも信用することができ,上記供述どおりの事実を認定することができるものである。
7 脅迫及び職務強要の成否について
上記認定した事実をもとに脅迫及び職務強要の成否について検討するに,まず,各弁護人は,街宣車による街宣活動は,それ自体が脅迫名誉毀損に当たらない限り,表現の自由として適法な行為であって,街宣車による街宣活動をする旨を告知したことは,害悪を告知したことにはならないと主張するのであるが,脅迫罪は,告知された害悪が犯罪を構成することを要件とはしてはおらず,また,実質的にも,犯罪とならない程度の害悪をもって人に恐怖心を起こさせることは十分にあり得ることであって,告知された害悪は,それが実現されることによって犯罪となるものである必要はないというべきである(大審院大正2年11月29日判決・大審院刑事判決録19輯1349頁参照)。
そして,いわゆる街宣車による街宣活動により,街宣活動の対象とされた人間が恐怖心を抱くことはもちろん,一般住民が恐怖心を抱くこともまた社会通念上認められるところであり,前掲各証拠によれば,特に,A町では,平成5年ころにも,街宣車による街宣活動により町政が混乱し,町議会議長が辞任するに至ったことがあり,そのことはB町長夫妻や,被告人3名も十分認識していたことが認められるのであって,街宣活動の対象になると告知されたB町長及びFが恐怖心を抱くというのも極く自然なことであり,被告人X1及び同X2の判示言動が脅迫に当たり,被告人らがその故意を有していたことは明らかというべきである。 なお,9月24日の被告人X1及び同X2の発言内容,態度が,それまでのものに比べ,それほど強い言い方ではなかったことは前述のとおりであるが,街宣活動はしていないものの,既に9月13日に街宣車がA町に来るという事実経過がある上に,このままでは黒い車(街宣車)が来るということを告げていること,判示事実のほか9月21日早朝にも被告人X1及び同X2が来訪するなど緊迫した状況もあって,既にB町長及びFは被告人X1及び同X2の度重なる脅迫で畏怖していたことなどを考慮すると,9月24日の被告人X1及び同X2の発言もまた脅迫に当たるというべきである。
また,上記認定事実からすれば,被告人X1及び同X2が,C工業を指名から除外させる目的を有していたことも明らかであり,指名除外をすることは町長の権限であって(A町建設業者指名除外基準要綱),指名除外させるために判示脅迫を加えた行為が職務強要罪を構成することも明らかである。
8 結論
以上のとおり,被告人ら3名が,共謀の上,判示第1のとおり脅迫を加えてB町長に対して職務を強要したこと,被告人X1及び同X2が,共謀の上,判示第2の脅迫を行ったことは,いずれも合理的疑いなく認定できるものである。(法令の適用)
(省略)
(量刑の理由)
本件は,町議会議長であった被告人X1,町議会議員であった被告人X2及びA町の土木建設会社社長であった被告人X3が,共謀の上,町発注工事に関する指名競争入札の資格認定を受けていた業者を指名除外させようと企て,指名除外の権限を有する町長に対し,要求に応じなければ街宣車による街宣活動をする旨脅迫して,業者の指名除外を強要し,また,町長の妻を脅迫したという,職務強要脅迫の事案である。
本件犯行のそもそもの発端は,C工業が談合に応じようとしなかったことにあ
り,被告人らはこれを不満とし,あるいは建設業界の和を乱して町政を混乱させるものと考えて,本件各犯行に及んだものであり,被告人X1及び同X2については,本件各犯行によって何らかの個人的利得を企図したものとはいえないけれども,そのような発想自体,政治の公平性,透明性を害し,民主主義の理念に悖るものであって許されず,またそのような理不尽な要求を通すために,被害者はもとより一般町民の畏怖困惑することを知りながら,いわゆる街宣車による街宣活動を企図し,かつそのことを告知するなどして脅迫強要したものであって,その態様は執拗かつ悪質なものであり,被害者らの被った精神的苦痛は小さくなく,被害者らが被告人らの厳重処罰を望むのもやむを得ないものがある。また,本件は,現職の町議会議長,同町議会議員が,同じく現職の町長を脅迫して圧力をかけたというものであって,町政を著しく混乱させ,かつ政治に対する信頼を著しく失墜させたもので,町民に与えた影響にも大きいものがある。
そして,被告人X3は,脅迫行為を行ってはいないものの,本件犯行を被告人X1及び同X2に持ちかけており,また,その動機は,同人が公判廷で認めているとおり,C工業が談合に応じようとしないためにこれを実力で排除しようとしたという自己中心的なものであって,その犯情は悪質である。
また,被告人X1及び同X2は,町政に与える影響を考慮せず,被告人X3の依頼を安易に引き受けたものであって,その動機は短絡的で酌量の余地はなく,また,上記のように町議会議員の立場にありながら,民主主義の基盤である議会活動によらずに,町長に圧力をかけて町政を歪めようとしたものであって,現実に町政が混乱していることやこのような一連の出来事がA町自体の評価をおとしめるものであることなどを考慮すると,被告人X1及び同X2の責任も軽視し難い。 もっとも,被告人X1及び同X2には,前科前歴がなく,これまで,長年にわたって町議会議員として町政に尽くしてきていること,被告人X3には,多数の前科があるものの,昭和51年以降は懲役前科はなく,また,平成以降は,同11年の銃砲刀剣類所持等取締法違反による罰金前科があるのみであることなど,被告人らに有利に斟酌すべき事情も認められる。
そこで,これらの事情,ことに各被告人の本件犯行に対する関与の程度を考慮して,主文の各刑期を量定し,被告人らに対しては,いずれもその刑責を明確にした上で,今回に限り,刑の執行を猶予するのが相当と判断した。
よって,主文のとおり判決する。(求刑 被告人X3につき懲役3年,同X1につき懲役1年6月,同X2につき懲役1年)
平成14年5月8日
広島地方裁判所刑事第二部
裁判長裁判官 小 西 秀 宣
裁判官 浅 見 健次郎
裁判官鈴木祐治は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 小 西 秀 宣

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