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法人文書不開示処分取消請求事件(差戻前の控訴審・平成15年(行コ)第34号)
事件番号平成16(行ウ)18
事件名法人文書不開示処分取消請求事件(差戻前の控訴審・平成15年(行コ)第34号)
裁判年月日平成16年12月17日
法廷名名古屋地方裁判所
判示事項核燃料サイクル開発機構の高レベル放射性廃棄物の処分予定地選定のための調査結果文書に記載された情報が,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律5条4号所定の不開示情報(事務事業情報)に該当しないとされた事例
裁判要旨核燃料サイクル開発機構の高レベル放射性廃棄物の処分予定地選定のための調査結果文書に記載された情報が,調査対象地区,対象地域等を具体的に示すことにつながりうる情報であり,かつて本件文書や他の調査報告書を開示した際に,それを巡って誤った報道がなされたのと同様に,調査対象地区等が高レベル放射性廃棄物の処分予定地などに選定されるなどの誤解や疑念を生じさせ,これを開示することが事業の適正な遂行に具体的な支障を及ぼすことになるから,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律5条4号の不開示情報(事務事業情報)に該当するとしてされた一部不開示決定につき,独立行政法人が指摘する事例はいずれも誤報ではなく,同法の目的を定める同法1条が,独立行政法人が国民に対する説明の責務を全うし,国民の批判を仰ぎ,その理解を得るように定めている趣旨に解されることに照らし,国民の理解を得ることが困難であることを理由に保有する情報を非開示とすることは許されず,独立行政法人の業務に対する批判的な報道や運動等が予想されるとしても,それにより事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものに該当しないとされた事例
裁判日:西暦2004-12-17
情報公開日2017-10-18 04:31:02
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主文
1 被告が原告に対してなした,別紙目録1ないし3記載の一部不開示決定のうち,同目録1記載の調査対象地区を具体的に示すことにつながりうる情報,同目録2及び3記載の調査対象地域等を具体的に示すことにつながりうる情報をそれぞれ不開示とする部分を取り消す。
2 訴訟費用は,差戻前の第1,2審及び当審を通じ,被告の負担とする。事実及び理由
第1 請 求
主文同旨
第2 事案の概要
本件は,原告が,被告に対し,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下法という。)に基づき,別紙目録記載①ないし⑥の各法人文書(以下,これらを本件各文書と総称し,個別には文書①の例によって表記する。)の開示を求めたところ,被告が,同目録1ないし3記載の一部不開示決定(以下,これらを本件各処分と総称し,個別には本件1処分の例によって表記する。)をしたため,原告が,本件各処分の一部(本件1処分のうち調査対象地区を具体的に示すことにつながりうる情報を不開示とする部分並びに本件2処分及び本件3処分のうち調査対象地域等を具体的に示すことにつながりうる情報をそれぞれ不開示とする部分。以下本件係争部分という。)の取消しを求めた事案である。1 争いのない事実等
(争いのない事実のほかは,各項に掲記の各証拠によって認める。)(1)被告は,原子力基本法及び核燃料サイクル開発機構法に基づいて設立され,原子力基本法に基づき,平和の目的に限り,高速増殖炉及びこれに必要な核燃料物質の開発並びに核燃料物質の再処理並びに高レベル放射性廃棄物の処理及び処分に関する技術の開発を計画的かつ効率的に行うとともに,これらの成果の普及等を行い,もって原子力の開発及び利用の促進に寄与することを目的とする特殊法人である。
高レベル放射性廃棄物の最終処分は,高レベル放射性廃棄物を安定な形態に固化した後,30年から50年間程度冷却のための貯蔵(中間貯蔵)を行った後に行われるものであり,最終処分施設において最終処分が開始されるまでの間は,中間貯蔵施設において中間貯蔵される(乙12)。被告は,高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設の立地を業務の一つとしている。
(2)原告は,法4条1項に基づいて,被告に対し,以下のとおり,本件各文書の開示を請求した(甲2の1~3)。
ア 請求日 平成14年11月1日
(ア)JNC ZN7450 2001-001 広域調査地表調査シート(昭和61年度及び昭和62年度)(文書①)(イ)PNC ZJ4257 88-001 Vol.1 東海・CA地域リモートセンシング調査(文書②)イ 請求日 平成14年11月12日
(ア)PNC ZJ4363 88-001 Vol.1 CB地域リモートセンシング調査(文書③)(イ)PNC ZJ4363 88-001 Vol.2 CC地域リモートセンシング調査(文書④)(ウ)PNC ZJ4363 88-001 Vol.3 中国東部・CD地域リモートセンシング調査(文書⑤)(エ)PNC ZJ4257 88-001 Vol.2 四国西部地域リモートセンシング調査(文書⑥)(3)被告の東濃地科学センターは,以下のとおり,本件各文書の一部を不開示とする本件各処分を行った(甲1の1~3)。
ア 本件1処分
(ア)処分の日 平成14年12月2日
(イ)対象文書 文書①
(ウ)不開示とした部分
a サイクル機構の一般職員の氏名
b 調査対象地区を具体的に示すことにつながりうる情報
(エ)不開示の理由
a 当該情報は,個人に関する情報であり,特定の個人が識別される。こ
れは,法5条1号の個人に関する情報であって,ただし書のイロハのいずれにも該当しない。
b 当該情報は直接地名の特定につながるものであり,これらの情報を公開することはサイクル機構への信頼を損なうことにつながり,事業の適正な遂行に具体的な支障を及ぼすことになると考えられる。よって法5条4号の不開示情報に該当する。
イ 本件2処分
(ア)処分の日 平成14年12月2日
(イ)対象文書 文書②
(ウ)不開示とした部分
a アの(ウ)aと同じ
b 調査対象地域等を具体的に示すことにつながりうる情報
(エ)不開示の理由
a アの(エ)aと同じ
b 当該情報を公開することは,地権者等の関係者とサイクル機構との信頼を損なうことにつながり,事業の適正な遂行に具体的な支障を及ぼすことになると考えられる。よって法5条4号の不開示情報に該当する。
ウ 本件3処分
(ア)処分の日 平成14年12月11日
(イ)対象文書 文書③ないし⑥
(ウ)不開示とした部分
a アの(ウ)aと同じ
b イの(ウ)bと同じ
(エ)不開示の理由
a アの(エ)aと同じ
b イの(エ)bと同じ
(4)
本件各文書は,いずれも被告(当時は,動力炉・核燃料開発事業団(以下動燃事業団という。))が高レベル放射性廃棄物の処分予定地を選定するために,日本各地の地質を調査した調査結果に関する文書である。 そのうち文書①は,被告が広域調査対象地域検討のための準備作業として,昭和61年度から昭和62年度にかけて,被告の中部事業所(現在は東濃地科学センター)が実施した,露頭の岩種,岩相,露頭の割れ目や風化の状態,岩石物性値などの調査項目について現地調査した結果を記載した調査シートや,既存資料を基に岩石組成の情報を整理したシートを取りまとめたものである(乙4)。
また,文書②ないし⑥は,被告から業務委託された民間調査会社が調査結果をまとめて被告に提出した報告書である。これらは,昭和62年9月から昭和63年1月までを調査期間として,高レベル放射性廃棄物の地層処分のための地質環境等の適性調査として実施している地質環境調査の一環として,航空写真及びランドサット画像を利用したリモートセンシング(電磁波等を利用して遠隔点から対象物を非接触で調べる技術)によって,対象地域の地質・地形特性等の判読,解析を行い,グランドトゥルース(リモートセンシング画像の分類や解釈を行うために,地上の実態に関する情報を集めること)によってその有効性を検証し,全国規模の地質環境データの収集に資することを目的としたものであり,①既往地質調査資料の取りまとめ,②ランドサット画像の判読,③航空写真の判読及び④グランドトゥルースを行い,これらの解析結果を取りまとめるとともに,当該解析結果から地質環境的に良好な地域を複数箇所抽出した結果を取りまとめたものである(乙5~9)。
したがって,本件各文書は,被告の役員又は職員が,その職務上取得した文書であって,被告の役員又は職員が組織的に用いるものとして,被告が保有している法人文書に当たる(法2条2項本文)。
(5)被告が本件各文書を作成した経緯
ア 原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会は,昭和55年,高レベル放射性廃棄物処理処分に関する研究開発の推進についてと題する報告書において,研究開発項目としてガラス固化処理技術開発と地層処分研究開発を挙げ,このうち地層処分にかかわる研究開発については,可能性ある地層の調査(第1段階),有効な地層の調査(第2段階),模擬固化体現地試験(第3段階),実固化
体現地試験(第4段階),試験的処分(第5段階)と段階を設けて行い,第2段階の終了時に試験地(処分予定地)の選定を行うこととした(乙10)。イ 原子力委員会は,昭和57年,原子力開発利用長期計画を決定し,同計画において,

再処理施設から発生する高レベル放射性廃棄物については,安定な形態に固化処理し,一時貯蔵した後処分するものとする。

処分については,長期にわたる隔離が必要であること等から国が責任を負うこととし,必要な経費については,発生者負担の原則によることとする。

処分技術について,2000年以降できる限り早い時期に確立することを目標に地層処分及びこれに関連した研究開発を進めるものとし,当面地層に関する調査・研究,人工バリアに関する研究等を進めるものとする。

(乙11)とし,国の責任の下に,高レベル放射性廃棄物の処分を行うものとした。ウ 原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会は,昭和59年,上記原子力開発利用長期計画を受けて,放射性廃棄物処理処分方策について(中間報告)と題する報告書を取りまとめ,前記地層処分にかかわる研究開発のうち,既に終了した第1段階(可能性のある地層の調査)に続く第2段階の終了時において試験地(処分予定地)の選定を行うこととした。そしてこの第2段階においては,複数地点において,物理探査等の地表踏査を中心とする広域調査を行い,順次候補地点を選定し精密調査を行うとともに,深地層試験場を設け深地層での天然バリア及び人工バリアの試験を行い処分予定地の選定に資する。,

これらの総合評価の結果,処分予定地を選定するとともに,第3段階において必要な開発手法を策定する。

などとする開発手順を示した(乙12)。
また,上記中間報告書は,第2段階における調査・研究開発項目を処分技術開発と安全性評価に分かち,前者の処分技術開発については,①広域調査,②精密調査,③深地層試験及び④環境工学試験を挙げ,上記①の広域調査については,第1段階の終了に伴い有効な地層の選定が行われたが,第2段階はこの有効な地層のうちから複数地点を取り上げ,経済的・社会的要因調査,地表踏査,必要によって試錐等を行う。これにより岩体規模等を調査し,精密調査地点の選定と深地層試験の場所選定を行う。とし,広域調査の結果は,精密調査地点の選定や深地層試験の場所選定に供されるものであるとした(乙12)。
エ 原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会は,昭和60年,更に検討を進め,放射性廃棄物処理処分方策についてと題する報告書を取りまとめ,第2段階の目標とされている処分予定地の選定は,動力炉・核燃料開発事業団が電気事業者など関係者の協力も得て行うとした(乙13)。 そこで,被告は,昭和61年から第2段階に属する広域調査を行ったが,その結果を取りまとめたものが,本件各文書である。
オ なお,この広域調査は,前記のとおり,第2段階に属するものであるが,第2段階の処分予定地の選定は,①広域調査,②広域調査の結果を踏まえて順次候補地点を選定して行われる精密調査,③深地層試験及び④環境工学試験を経て行われるものであるから,広域調査の結果,抽出された地点は,精密調査地点の選定や深地層試験の場所選定に際して,その検討資料として供されることがあるとしても,これが直ちに高レベル放射性廃棄物の処分予定地につながるものではない。
(6)昭和62年,第2段階の最終的な目標である処分予定地の選定については,処分事業の実施主体が行うこととされ(乙14),特定放射性廃棄物の最終処分に係る法律(平成12年法律第117号)に基づき,原子力発電環境整備機構が同処分事業を実施することとなった。そこで,被告は,第2段階の最終的な目標である処分予定地の選定はもとより,精密調査地点の選定や精密調査の実施にも至ることなく,それまで行っていた広域調査に係る業務を終了させた。そして,被告は前記のとおり,核燃料サイクル開発機構法に基づいて,中間貯蔵施設の立地を業務の一つとしているものである。2 争 点
本件係争部分が法5条4号本文の定める公にすることにより,(中略)当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものに該当するか(1)被告の主張
ア 本件各文書の本件係争部分が開示され,具体的に示され得る調査対象
地区又は調査対象地域等が明らかになると,以下に述べるとおり,同所に高レベル放射性廃棄物が持ち込まれるなどの誤解や疑念を生じさせ,ひいては被告の行う事業である中間貯蔵施設予定地の選定に重大な影響を及ぼすおそれがあるから,本件係争部分が法5条4号本文に該当することは明らかである。
イ 被告の事業の性質
(ア)被告は,①全国的見地から,自然環境に関するデータや,社会的環境に関するデータについて,各種既存資料に基づき調査を実施し,中間貯蔵施設を立地する上で,明らかに不適切な立地条件を明確にし,②全国的見地からの調査結果を勘案し,適切であると判断する地点を抽出し,地元の意向(誘致)を十分に踏まえながら,立地環境調査を自治体へ申し入れ,③立地環境調査を実施し,④中間貯蔵施設の立地点を決定するとの立地手順で,被告の東海再処理工場において固化されるガラス固化体の中間貯蔵施設の立地を選定する業務を行うものである。
そして,現在,被告の中間貯蔵施設の立地業務は,上記①の初期段階にあり,立地にかかわり考慮すべき項目について,地域を特定せずに,全国的に,自然条件や社会条件等に関する既存資料や最新のデータを収集し,今後の検討に資するため,立地地点選定の基本的な考え方について初期検討をしている段階にある。
(イ)ところで,前記②の段階である中間貯蔵施設を立地する上で適切であると判断される地点を抽出した後は,関係地方自治体等関係する地元への説明,了承の取得等が幾度となく必要となってくる。これは,中間貯蔵施設を含め原子力関連施設の立地においては,幅広く,関係地方自治体等,関係する地元との信頼関係を保持しつつ,その理解と協力を得て行っていくことが望ましいだけでなく,原子力関連施設の立地上,これが必要不可欠であることによる。そこで,上記関係地方自治体等,関係する地元には,施設を設置する都道府県,都道府県議会,市町村,市町村議会はもとより,その隣接市町村や隣接市町村議会,さらには,当該地区等の土地所有者やいわゆる町内会等も広く含まれることとなるし,また,上記一連の手順の過程において,これらの関係する地元の理解と協力を得るべく,十分に所要の説明を行い,被告への信頼を保持しつつ,誤解や疑念が生じないようにしていくことが必要となる。
そして,仮に,被告において十分に所要の説明を行ったにもかかわらず,誤解や疑念を払拭し得なかった場合には,被告への信頼が損なわれ,関係地方自治体等,関係する地元の理解と協力が得られないという結果を招来し,次の手順には進み得ず,計画の変更・中止等に至ることも十分起こり得ることとなる。
ウ 本件係争部分が開示されることによる誤報等のおそれ
(ア)本件各文書における調査対象地区等が直ちに高レベル放射性廃棄物の処分予定地につながるものではなく,また,被告は,中間貯蔵施設の予定地を選定するものであるが,高レベル放射性廃棄物の処分予定地を選定するものではない。
しかし,本件係争部分が開示されれば,本件各文書における調査対象地区等の土地所有者等において,同地区等とされた場所が高レベル放射性廃棄物の処分予定地ないしその候補地として既に選定されているのではないか,被告が高レベル放射性廃棄物の処分予定地を既に選定し,又は今後選定しようとしているのではないかなどといった誤解や疑念が生じ,およそ事実に反する誤った議論がいたずらに展開されるおそれがある。
(イ)誤報,誤解の実例
a 本件訴訟が提起される前の平成15年2月14日及び同月15日に,本件各文書を含む広域調査に係る報告書について,動燃事業団が全国四十数箇所を高レベル放射性廃棄物の最終処分場の候補地とす
る報告書をまとめていたとの新聞報道が全国各地でされた(乙18の1~9)。また,本件差戻前第一審の口頭弁論終結日である同年5月1日には,被告が高レベル放射性廃棄物の処分場の候補地を絞り込んだこと,その候補地を明らかにしないとして本件訴訟が提起されたこと等を内容とするニュースがテレビで放送された(乙34)。

このような報道は,被告が候補地を絞り込んだ事実がないこと,本件各文書における調査対象地区等が直ちに高レベル放射性廃棄物の
処分予定地につながるものではないことを看過した誤った報道であり,それ自体,本件各文書における調査対象地区等が処分予定地であるとの誤解をしているにとどまらず,広範な読者,視聴者にそのような誤解,疑念を生じさせるものとなっている。
b 原告においても既に誤解が生じている。
被告は,法施行前に自主的に情報公開指針(乙23)を策定し,これに基づいて文書の公開を行っていたところ,平成13年8月及び平成14年9月,原告からの公開請求(乙24,25)に基づいて,本件各文書と同一の文書である広域調査地表調査シート(昭和61年度および昭和62年度)及び東海・CA地域リモートセンシング調査の合計2通について,調査対象地区や調査対象地域等を具体的に示すことにつながり得る情報に該当すると判断した部分を除き公開した(乙26,27)。公開に際し,被告は,調査対象地区等が高レベル放射性廃棄物最終処分場の候補地であるなどの誤解や疑念を与えないよう,被告が実施した範囲を示すとともに,具体的な候補地を選定しないまま広域調査は終了し,精密調査には至っておりません等と記載し,公開資料の位置付けを説明するなどした資料(乙21,28)を付した。 その後,原告は,本件各文書につき,平成14年10月30日付け及び同11月11日付けで法に基づく開示請求を行い,それに対し,被告は,同年12月2日付け及び同月11日付けで本件各処分を行った。 原告は,本件訴訟の提起に当たり,原告が代表を務める放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜(れんげ通信)のホームページ上において,提訴にあたってと題する文書(乙29)を掲載し,公開文書からわかったことのタイトルに続けて処分候補地が実際に選定されていたと記載し,調査対象地区等が高レベル放射性廃棄物処分場の候補地であるとの誤った理解を示している。
また,高レベル放射性廃棄物の処分予定地の選定は被告ではなく原子力発電環境整備機構が行うこととされており,かつ,同機構においては,現在,概要調査地区の候補となる区域の公募をしている段階であって,精密調査地区はもとより概要調査地区それ自体が選定されていないにもかかわらず,原告は,上記ホームページ上において,

研究所を受け入れた地域も,処分場から除外されていない。東濃も処分候補地である。

との誤った理解を示した上で,日本弁護士連合会が平成12年10月6日の人権擁護大会でした決議を引用し処分場に直結しかねない東濃超深地層研究所の建設を直ちに中止するとして被告の事業である地層処分技術の確立を目指した研究開発に係る施設(乙30)についてまで言及している(乙31)。
c 被告は,平成11年8月10日,原告以外の者から開示請求のあった高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)(M-6地区)報告書について,報告書作成会社名,担当者名のみを不開示としたものの,その余について開示した。同報告書は,被告が動燃事業団であった昭和58年度のものであって,高レベル放射性廃棄物の地層処分及びこれに関連した研究開発における第1段階(可能性ある地層の調査)に位置付けられ,我が国に広く分布する地層等のうち,調査できる地層を対象としてその特徴を把握するためのものであった。したがって,高レベル放射性廃棄物の処分地の選定に関するものであっても,調査対象地区が処分地の候補地を意味することはあり得ず,このことは同報告書自体からも明らかであった。また,同報告書の開示請求を受けた被告は,その開示の際,調査対象地区が処分地の候補地であるとか,被告が処分地の選定を行っているというような誤解,疑念が生じないよう,上記報告書の作成経緯及び前述したような高レベル放射性廃棄物の処分地の選定に係る被告の役割の変遷に
ついて説明した資料(乙19)を併せて交付し説明をした。
それにもかかわらず,ある市民団体は,平成12年1月20日,上記報告書を取り上げて,北海道幌延町周辺が高レベル放射性廃棄物の処分候補地として好ましいとした内部資料の存在が明らかになった,
処分場の候補地となる可能性がある旨を表明し,報道機関は,幌延周辺が処分適地 旧動燃の内部資料 反対派,推進を懸念等,誤った報道をした(乙20)。
d また,被告は,平成13年8月31日,M-6地区以外の地区に係る高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)報告書について,委託先会社名及び委託先会社の担当者名並びに調査対象地区を具体的に示す情報のうち,直接地名の特定につながるものは不開示とし,その余について部分開示した。同報告書は,被告が動燃事業団であった昭和58年度のものであって,高レベル放射性廃棄物の地層処分及びこれに関連した研究開発における第1段階(可能性ある地層の調査)に位置付けられ,我が国に広く分布する地層等のうち,調査できる地層を対象としてその特徴を把握するためのものであったから,調査対象地区が処分地の候補地を意味することはあり得ず,このことは同報告書自体からも明らかであった。そして,被告は,その開示の際にも,上記報告書の作成経緯及び前述したような高レベル放射性廃棄物の処分地の選定に係る被告の役割の変遷につい
て説明した資料(乙21)を併せて交付し説明をした。
しかし,それにもかかわらず,ある市民団体は,上記報告書の内容を1年半にわたり分析検討した結果であるとして,平成15年2月12日,被告が北海道幌延町を高レベル放射性廃棄物の処分場として有効と判断していた旨を公表し,報道機関は,翌13日,旧動燃計画の放射性廃棄物処分場-調査27市町村を特定-住民団体発表等と誤って報じた(乙22)。
エ 誤報による被告の事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ
(ア)前記のような誤報がなされると,調査対象地区等とされた場所が高レベル放射性廃棄物の処分予定地ないしその候補地として既に選定されているのではないか,被告が高レベル放射性廃棄物の処分予定地を既に選定し又は今後選定しようとしているのではないかといった誤解や疑念を生じさせ,これが契機となって,被告と関係自治体等の関係する地元との間の信頼関係が損なわれ,今後,被告において,ガラス固化体の中間貯蔵施設の立地のために,抽出した適切であると判断される地点に係る立地環境調査を行うこと,立地地点に係る環境調査を行うことなどについての関係地方自治体のほか,関係する地元の了解を得るという立地手順を進めることができなくなる事態を招来することとなり,中間貯蔵施設の立地業務遂行に重大な支障を及ぼし,最悪の場合には,計画の白紙撤回といった事態をも招来しかねないこととなる。
(イ)いったん誤解や誤報がされると,それによって形成された不特定多数の者の認識を訂正することが極めて困難であることは,経験則上明らかである。この点,被告は,現に自らの業務や事業に関してされた報道機関の誤報のうち主要なものについては,その都度,当該報道機関に対して抗議文を送付したり,事実関係について説明した文書を送付するとともに,当該報道内容を見た者が誤った認識を持つに至らないよう,被告のホームページ上に上記抗議文書,説明文書を掲載したりなどして,説明を尽くしているところであるが(乙32の1~9),当該報道機関において記事の訂正がされたことは皆無である。
(ウ)なお,原告は,本件情報は被告の事業と直接の関連性はなく,これを公開したからといって,被告の業務に支障をきたすおそれはないと主張する。
確かに,本件各文書は,高レベル放射性廃棄物の地層処分のための予定地の選定を指向する広域調査に係るものであり,いまだ中間貯蔵施設の立地手順上,立地地域を特定せずに,全国的に既存資料等を収集し,今後の検討に資するため,立地地点選定の基本的な考え方について初期検討をしている現時点では同文書が使われる予定はないものではある。しかし,被告の中間貯蔵施設の立地業務が進み,中間貯蔵施設の立地上,適切と判断される地点を抽出化していく段階においては,本件各文書の不開示情報は,当該地点の自然的環境条件に関する既存資料として参考に供され得るものである。
したがって,本件係争部分に記載されている情報が,被告の事業に関
する情報であり,前記のとおり,これが公開されると被告の業務に支障をきたすことは明らかである。
(2)原告の主張
ア 被告は,本件係争部分が開示されると,誤った報道がされるなどして,関係する地元との信頼関係が損なわれ,ひいては被告の行う事業である中間貯蔵施設予定地の選定に重大な影響を及ぼすおそれがあるなどと主張する。
しかし,以下に述べるように,①誤報のおそれがあることは不開示の理由にはならないと解すべきであること,②誤報のおそれがあるとはいえないこと,③仮に誤報のおそれがあるとしても,そのことにより被告の業務の遂行に支障を生じるとはいえないことから,被告の主張は失当である。イ 誤報のおそれが不開示の理由にならないこと
そもそも,国の情報公開法,自治体の情報公開条例や本法の対象となる機関は権力又は社会的権力と評価される公的団体であって,民主主義の原理上,各活動について国民による監視と批判を受けることが前提とされている。そして,被告が法の対象機関とされているのは,被告がまさしくかかる権力的な機関として,国民の監視と批判の対象とされることが予定されているからである。そして,法は被告に対し,法1条のその諸活動を国民に説明する責務の内容として,誤報のおそれに対しては情報の公開を拒むのではなく,情報を公開した上で,仮に誤報が生じる危険があると判断された場合には誤報を防ぎ,更に誤報を正す活動をすることを要求しているのである。したがって,かかる作業をしたくないからといって情報を不開示にするという被告の姿勢は,法1条に反する。
翻って考えれば,誤報のおそれがある場合に情報が不開示できるとすれば,表現の自由が保障される民主主義国家においてはすべての情報が不開示の対象となってしまう。むろん,法1条はかかる解釈を排除するとみるべきであって,法上,誤報のおそれは情報の不開示理由とはならない。ウ 誤報のおそれがあるとはいえないこと
(ア)
そもそも誤報とは事実に反する報道がなされることをいうのであるが,被告が誤報として主張するものはいずれも事実に反する報道がなされたものではない。せいぜい,被告と見解を異にする観点からなされた報道を摘示したものにすぎない。そして,かかる評価の相違は単なる見解の相違というものにすぎず,誤報ではない。
(イ)
被告は,本件各文書に関して,新聞やテレビが処分場の候補地や
処分場の候補地を絞り込んだと報道したことを誤報と主張する。
しかし,本件各文書のうち,文書②ないし⑥の各報告書は高レベル放射性廃棄物地層処分のための地質環境的に良好な地域として望ましい候補地高レベル放射性廃棄物地層処分において地質環境的に良好な地域として,報告書ごとに2ないし11箇所を選んでいる内容であり,報道機関はこれらの箇所を処分場の候補地と表現したにすぎないのである。
そして,報告書の目的や調査方法,表現をもとにすれば,報道機関が処分場の候補地を絞り込んだという用語を使用したことは極めて常識的である。
次に被告は,報道機関が,本件各文書における調査対象地区等が処分予定地であるとの誤解をしていると主張しているが,報道機関はそもそも処分予定地との表現を用いていない。この点についての被告の主張は的外れである。
(ウ)また,原告本人や市民団体が被告の意に添わない評価や表現をしたからといって,これを報道機関による誤報と同視するのは明白な誤りである。
被告の論理は結局のところ,原告のような一般国民が情報の公開によって事実を被告の意に添わない形で表現するおそれがあるから情報を公開できないと言っているにすぎない。このような論理は法1条のその諸活動を国民に説明する責務を無視する暴論であるばかりか,情報公開制度そのものを否定し,憲法の保障する表現の自由に対立するものであることは明らかである。
(エ)被告は,高レベル放射性廃棄物地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)(M-6地区)報告書を被告が部分開示したことに関して,処分候補地として好ましいとした内部資料の存在が明らかになった,処分場の候補地となる可能性がある旨を表明し,報道機関は,『幌延周辺が処分適地 旧動燃の内部資料 反対派,推進を懸念』等と報道されたことを誤報と主張している。しかし,これは誤報の評価を受けるものではない。
被告が問題とする高レベル放射性廃棄物地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)(M-6地区)報告書とは,昭和58年度に高レベル放射性廃棄物地層処分技術開発の観点から地層の特徴を把握することを目的に
可能性ある地層の調査として全国25箇所で実施された調査のうち,北海道幌延町周辺に関する報告書であり,平成11年8月に開示請求によって開示された報告書である。その内容は,可能性のある地層の対象として幌延町をはじめ,豊富町,稚内市,猿払村,中頓別町などを含む50km×80kmの範囲から水平的広がりや垂直的厚さを持つ泥岩質(古第三紀以前)の上部蝦夷層群を抽出し,12の項目から調査したもので,幌延町周辺については10項目について

有効な地層の分布域として好ましい環境にあると判断される。

と評価されていたものである。 報道機関は以上の事実をもとに,幌延町周辺が高レベル放射性廃棄物の処分候補地として好ましいとした内部資料の存在が明らかになったとの表現をしただけであって,これのどこが誤報なのか理解に苦しむ。(オ)被告は,M-6地区以外の地区に係る高レベル放射性廃棄物地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)報告書について,

『旧動燃計画の放射性廃棄物処分場-調査27市町村を特定-住民団体発表』等と誤って報じた。

と主張している。 しかし,報道の対象は,市民団体である幌延問題道民懇談会が被告によって不開示とされた対象地域を1年半の分析検討の結果,自治体名を特定したという事実であり,このことは疑いのない事実である。要するに,被告は報道機関が市民団体の活動の報道をしたことを誤報と述べているにすぎないのである。
(カ)以上のとおり,被告が誤報として主張する事実は誤報ですらないから,被告は誤報のおそれがあるという主張を根拠付ける事実の摘示すらできていないことになる。
よって,被告が誤報のおそれを理由とすること自体,合理的根拠がない。
エ 誤報が被告の業務の遂行に支障を及ぼすものであるとはいえないこと(ア)誤解や疑念に対する被告の説明義務
被告は,中間貯蔵施設を含め原子力関連施設の立地においては,関係地方自治体等の協力を得るべく,十分に所要の説明を行い,被告への信頼を保持しつつ,誤解や疑念が生じないようにしていくことが必要不可欠であるとした上,被告において十分に所要の説明を行ったにもかかわらず,誤解や疑念を払拭し得なかった場合には,被告への信頼関係が損なわれ,次の手順には進み得ないと主張している。
すなわち,情報の公開とは関係なく,原子力関連施設の立地手順においては誤解や疑念が生じることは被告の事業では所与の前提であり,これに対して十分に所要の説明を行うことが必要不可欠であることを被告は自認しているのである。
(イ)被告の主張する支障は反対派に対する説明義務を意味するにすぎないこと
また,これまで被告が誤報,誤解として摘示した例が誤報でも誤解でもないこと,誤解と指摘した事実が日弁連の意見や原告らの意見であることから明らかなように,被告の説明義務(又は説明に対する負担)は誤報,誤解に対して発生するものではなく,被告の事業実施に反対する個人や団体,世論に対して発生する。
したがって,被告の主張は,情報の公開によって被告の事業に対する反対意見が発生し,反対派に対する説得の負担によって事業実施が困難となるということに尽きるものである。
しかし,反対派に対する説得や説明の負担を事業の遂行に対する支障と位置付けることはできない。これを情報公開の不開示事由であるとした場合には,賛成,反対をめぐり意見の対立する事業情報のほとんどが公
開されないことになり,その結果,法1条が国民主権の理念にのっとり,独立行政法人等の保有する情報の一層の公開を図り,もって独立行政法人等の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにした趣旨を没却するからである。
(ウ)そもそも,情報を公開したことによって生じる誤解や誤った報道は情報を公開することと法的な因果関係を持つ事柄ではない。したがって,これら誤報等を理由として,法5条4号本文の当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとする被告の立論は法解釈を誤っている。
まず,法5条4号本文の当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれは,当然ながら,情報の公開と法的な因果関係を有することが前提である。しかし,被告が主張するような誤解や誤った報道は,情報公開との因果関係があると評価されるべき事象ではなく,被告が十分な説明をしないことや被告自身が一般市民との信頼関係を持つことができないこと,あるいは被告が情報を公開しないことを原因とするものでしかない。
むろん,情報の公開によって,情報を公開しない場合と比較して被告が広く市民に対して理解を求め,事業の説明をする負担が増すことは予想される。しかし,かかる職務は本来的に被告がなすべき職務のはずであって,市民へ理解を求める作業や場合によっては誤解を解くための作業,事業の実施のために当事者を説得する作業などの負担が生じる可能性を当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれと評価できないことも自明である。
(エ)なお,本件各文書は,高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定業務に関わるものであるところ,被告が設置をめざす高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設とは,最終処分をするまでの期間,高レベル放射性廃棄物を管理する施設であって,そもそも最終処分場とは全く別のものである。
また,本件調査データを中間貯蔵施設の立地業務に使う予定はないことは,被告が提出した乙第18号証の8の新聞報道に記載のあるように,被告自身が公式に明らかにしている。
こうしてみると,本件各文書の情報は被告の事業と直接の関連性はなく,これを公開したからといって,被告の業務に支障をきたすおそれはない。第3 争点に対する判断
1 被告は,上記のとおり,本件係争部分を開示することにより,調査対象地区又は調査対象地域等が明らかになると,かつて本件各文書の本件係争部分を除く部分を開示した際や,他の調査報告書を開示した際に,それを巡って誤った報道がなされたのと同様に,上記の調査対象地区等が高レベル放射性廃棄物の処分予定地ないしその候補地として選定されるなどの誤解や疑念を生じさせ,ひいては被告の行う事業である中間貯蔵施設予定地の選定に重大な影響を及ぼすおそれがあるなどとして,本件係争部分は,法5条4号本文の公にすることにより,(中略)当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものに該当する旨を主張する。2 そこで,被告の主張にかかる誤解や誤報の例について検討する。(1)証拠(乙5~9,18の1~10,19~22,29,31,34)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 本件各文書のうち文書②及び⑥の各報告書には,提言の章に,適正地区の選定として

適正地区として,本地域では次のような地区(直径3kmの範囲)を選定した。

との結論が記載されている(乙5,9)。また,文書③ないし⑤の各報告書の地質環境的に良好な地域の抽出の章には,考察として同区域内は高レベル放射性廃棄物地層処分のための地質環境的に良好な地域として望ましい候補地の一つといえる,

高レベル放射性廃棄物地層処分のための地質環境的に良好な地域としては,図-20に示す(非開示部分)類分布域内のAreaⅠが適当と考えられる。

又は

同区地域内は高レベル放射性廃棄物地層処分のための地質環境的に良好な地域として望ましい候補地といえる。

などの記載がある(乙6~8)。イ 平成15年2月14日又は同月15日に,南日本新聞など少なくとも9紙の新聞で,本件各文書等に関する報道がされた。その記事の内容は,動燃事業団
が実施した高レベル放射性廃棄物の処分地選定調査で計12道県の四十数箇所を候補地とする報告書をまとめていたなどとするものであった。そのうちの7紙では,その直後に処分地選定は,現在,原子力発電環境整備機構が全国から公募する形に変更しと記載されていたり,動燃は1987年6月に処分地選定業務から外れ,核燃機構も処分方法の研究開発だけを行っているなどと記載されている(乙18の1~9)。ウ 平成15年2月17日,名古屋テレビの報道番組において本件各文書に関する報道がされ,その中で核燃料サイクル開発機構の核廃棄処分地の候補地に,岐阜県の市町村が含まれていることが分かりましたとの報道がされた(乙18の10)。
また,同年5月1日,中部日本放送は,本件の訴訟に関して,核燃,旧動燃は86年から2年間,高レベル放射性廃棄物の処分場の候補地として,全国570箇所で調査を行い,岐阜を含む五十箇所余りを候補地に絞り込みましたとの報道をした(乙34)。
エ 原告は,そのホームページ上に,公開文書から分かったこと,処分候補地が実際に選定されていた,調査の結果,『高レベル放射性廃棄物地層処分における地質環境的に良好な地域』,『適正地区』,『地質環境的に良好な地域として望ましい候補地』等の表現で選定されていたなどと記載した(乙29)。
また,同ホームページには,

研究所を受け入れた地域も,処分場から除外されていない。東濃も処分候補地である。

との記載があるが,その直前には

地下調査され尽くした研究所の周辺地域が処分場にされる可能性が高いため,研究所建設そのものに反対しています。

と記載されている。 そして,同ホームページ上に,日本弁護士連合会が平成12年10月6日の人権擁護大会でした決議である処分場に直結しかねない東濃超深地層研究所の建設を直ちに中止するとの記載がされた(乙31)。オ 被告は,平成11年8月10日,高レベル放射性廃棄物地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)(M-6地区)報告書を部分開示した。これに関して,北海道新聞は,平成12年1月21日,幌延周辺が処分適地,旧動燃の内部資料,反対派,推進を懸念との見出しの下に,

協議会側は,動燃事業団の1983年度の調査で,幌延町周辺が高レベル廃棄物の処分候補地として好ましいとした内部資料の存在を明らかにし,計画が廃棄物処分につながる恐れがあると訴えた。

との報道をした(乙20)。カ 被告は,平成13年8月31日,M-6地区以外の地区に係る高レベル放射性廃棄物地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)報告書について,調査対象の地名等を非開示として,部分開示をした。朝日新聞は,平成15年2月13日,旧動燃計画の放射性廃棄物処分場,調査27市町村を特定との報道をしたが,その内容は,市民団体が,非開示とされた地名等を地域や気候等の記述から市町村名の特定をしたというものであった(乙22)。
(2)各報道内容等の検討
ア 被告は,動燃事業団が実施した高レベル放射性廃棄物の処分地選定調査で計12道県の四十数箇所を候補地とする報告書をまとめていたとの新聞報道(前記(1)イ)は,本件各文書における調査対象地区等が直ちに高レベル放射性廃棄物の処分予定地につながるものではないことを看過し,誤った報道をしたものであると主張する。
しかし,前記(1)アのとおり,本件各文書には,

適正地区として,本地域では次のような地区(直径3kmの範囲)を選定した。

,同区域内は高レベル放射性廃棄物地層処分のための地質環境的に良好な地域として望ましい候補地の一つといえる,

高レベル放射性廃棄物地層処分のための地質環境的な良好な地域としては,図-20に示す(本件係争部分)類分布域内のAreaⅠが適当と考えられる。

又は

同区地域内は高レベル放射性廃棄物地層処分のための地質環境的に良好な地域として望ましい候補地といえる。

などの結論が記載されており,これらの結論部分の適正地区や候補地等との記載と照らし合わせてみれば,前記の動燃事業団が実施した高レベル放射性廃棄物の処分選定調査で計12道県の四十数箇所を候補地とする報告書をまとめていたなどの報道は,それと符合するものというべきであるから,それが誤った報道であるとは解されない。
また,前記(1)イのとおり,上記新聞9紙のうちの7紙については,処分地選定は,現在,原子力発電環境整備機構が全国から公募する形に変更しと記載していたり,動燃は1987年6月に処分地選定業務から外れ,核燃機構も処分方法の研究開発だけを行っていると記載しており,本件各文書における調査対象地区が直ちに処分予定地につながるものではないことを明らかにしている。
以上のとおりであるから,上記新聞報道が誤った報道であるということはできない。
イ 被告は,テレビ番組においても誤った報道がされたと主張し,上記の2つの番組を例として挙げている。
しかし,前記(1)ウ前段の平成15年2月17日のテレビ番組中の候補地に,岐阜県の市町村が含まれていることが分かりましたとの部分については,本件各文書の報告書の記載と符合するものであり,これを誤った報道ということはできないのは前記と同様である。
また,前記(1)ウ後段の同年5月1日のテレビ番組の中の核燃,旧動燃は86年から2年間,高レベル放射性廃棄物の処分場の候補地として,全国570箇所で調査を行い,岐阜を含む五十箇所余りを候補地に絞り込みましたとの部分は,絞り込まれた五十箇所余りの候補地のいずれかの場所に,高レベル放射性廃棄物処分場の建設地が限定されたかのような印象を与える余地がないでもない。しかしながら,本件各文書のいずれの報告書も,単に全国規模の地質環境データの収集に止まらず,多くの調査対象地区の中から,具体的にどの地区が高レベル放射性廃棄物地層処分のために良好であるかを指摘しているのであり,このような報告書の記載内容からすれば,上記テレビ番組の報道部分も,被告とは異なった立場ないし視点からの報道とみることはできるが,これが誤った報道であるということはできない。
ウ 被告は,原告のホームページ上の記載について,これが誤解に基づくものであると主張する。
前記(1)エのとおり,原告は,ホームページ上に,公開文書から分かったこと,処分候補地が実際に選定されていたなどと記載したことが認められるが,この部分については,前記の本件各文書の各報告書の記載内容と必ずしも異なるものではない上に,原告は,同ホームページ上に,調査の結果,『高レベル放射性廃棄物地層処分における地質環境的に良好な地域』,『適正地区』,『地質環境的に良好な地域として望ましい候補地』等の表現で選定されていたとも記載し,各報告書の記載そのものを引用して説明しているのであり,これを誤った記載であるということはできない。
また,同ホームページ上には,

研究所を受け入れた地域も,処分場から除外されていない。東濃も処分候補地である。

との記載もあるが,その直前には,

地下調査され尽くした研究所の周辺地域が処分場にされる可能性が高いため,研究所建設そのものに反対しています。

と記載されており,このような原告自身の考えに基づいて,東濃も処分候補地であると記載したものであると容易に理解できるから,原告の上記ホームページ上の記載は,被告が公開した情報を誤解したものということはできない。
なお,日本弁護士連合会が平成12年10月6日の人権擁護大会でした処分場に直結しかねない東濃超深地層研究所の建設を直ちに中止するとの決議をホームページ上に記載することが何らの誤解に基づくものではないことは言うまでもない。
エ 被告は,市民団体が,平成12年1月20日,高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)(M-6地区)報告書を取り上げて,幌延町周辺が高レベル放射性廃棄物の処分候補地として好ましいとした内部資料の存在が明らかになった旨,そして処分場の候補地となる可能性がある旨を表明し,これについて報道機関が,幌延周辺が処分適地-旧動燃の内部資料-反対派,推進を懸念等との誤った報道をしたと主張し,前記(1)オのとおりの報道がされたことが認められる。
しかし,高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)(M-6地区)報告書の記載がどのようなものであったかを確認できる証拠はないから,上記報道が誤解に基づくものであると認めることはできない。オ また,被告は,平成15年2月13日,朝日新聞が旧動燃計画の放射性廃棄物処分場-調査27市町村を特定-住民団体発表と報じたこと(前記(1)カ)を誤報であると主張する。

しかし,前記のとおり,同記事は,被告が高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する調査・研究(Ⅶ)報告書を開示するに際して地名等を非開示としたのに対して,市民団体が地域や気候等の記述から市町村名の特定をしたという内容を報じたものであり,その報道内容が誤っているとはいえない。 なお,被告は,上記新聞報道がなされた日の前日の同月12日に,市民団体が,高レベル放射性廃棄物の処分場として有効と被告が判断していた旨を公表したと主張するが,そのような内容の公表がなされたことを認めるに足りる証拠はない。
(3)以上のとおり,被告が誤解や誤報として指摘する上記の各事例は,いずれも,誤解や誤報であるとは認められない。
3(1)被告は,本件係争部分が開示されると,誤解や誤報がなされ,そのために被告と関係自治体や地元住民らとの間の信頼関係が損なわれ,被告の中間貯蔵施設の立地業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると主張するところ,被告がその具体的な根拠として指摘する前記の事例については,前項に検討したとおり,いずれも誤解や誤報がなされたものとは認められない。
もっとも,本件各文書の各報告書において適正地区や候補地とされた具体的な地区が明らかになると,高レベル放射性廃棄物の処分予定地の選定が原子力発電環境整備機構により全国的な公募によって行われるものとされたことや,被告の業務内容が中間貯蔵施設の立地等とされたことを知らない者や,それらに関する前述の経緯や業務の進行状況等の理解が十分でない者にとっては,なおそれらの地区が上記処分予定地として既に選定されているのではないか,あるいは,被告が処分予定地を選定しようとしているのではないかとの疑念を抱き,そのために被告の業務に対して批判的な姿勢が示される事態が予想されないわけではない。
しかし,仮に,そのような疑念を生じさせる可能性があるとすれば,その疑念を生じさせる直接の原因は,高レベル放射性廃棄物の処分予定地の選定の主体や方法,その進捗段階,被告の業務内容やその経緯,進行状況等,これら各独立行政法人の活動内容や経緯等について,関係者の理解を得ることがいまだ十分でないことによるものというべきであって,本件係争部分が開示されることによるものとは解されない。
すなわち,被告は,動燃事業団であった当時,処分予定地選定のための有効な地層の調査(第2段階)として全国的に地層等の調査を行ったが,更に精密調査,深地層試験等を経て処分予定地を選定するとされていたこと,その後,処分予定地の選定は原子力発電環境整備機構が公募によって行うこととされ,被告は現在では高レベル放射性廃棄物の処分予定地の選定業務を行っておらず,その業務は中間貯蔵施設の立地であることなどについて,関係者の理解を得るための説明その他の努力を尽くすことによって,本件各文書の調査対象地区が高レベル放射性廃棄物の処分予定地等として既に選定されているのではないか,あるいは,被告が高レベル放射性廃棄物の処分予定地を既に選定し,又は今後選定しようとしているのではないかなどという上記の被告主張にかかる疑念に対処すべきものというべきである。
(2)上記のような説明等によっても,関係者らの一致した理解を得ることについては,関係者らの利害の状況いかんによって困難なところがあることも予想されるところである。
しかしながら,法1条は,この法律は,国民主権の理念にのっとり,法人文書の開示を請求する権利及び独立行政法人等の諸活動に関する情報の提供につき定めること等により,独立行政法人等の保有する情報の一層の公開を図り,もって独立行政法人等の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。と定め,独立行政法人が国民に対する説明の責務を全うし,国民の批判を仰ぎ,その理解を得るように定めている趣旨に照らせば,国民の理解を得ることが困難であることを理由として保有する情報を非開示とすることは許されず,それは独立行政法人の説明の責務を放棄するに等しいものというべきである。
(3)原子力に関する業務は,国民生活に与える影響が大きく,また,それを巡る賛否等についても多様な議論があるところであるから,被告の業務内容等について国民の理解と信頼を得るために情報の公開が望まれるのであって,国民への説明や理解を得ることの困難さ,また,それから生じる疑念や誤解等,そして,被告の業務に対する批判的な報道や運動等が予想されるとしても,上述したと
おり,それらは,本件係争部分が開示されることによるものではないというべきであって,その開示によって,法5条4号本文の被告の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものに該当するとは認められない。4 以上のとおりであって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第7部
裁判長裁判官 中 村 直 文
裁判官 武 藤 真 紀 子
裁判官 舟 橋 伸 行

目 録
1 処分日時 平成14年12月2日
開示する法人文書の名称
① JNCZN74502001-001広域調査地表調査シート(昭和61年度及び昭和62年度)
不開示とする箇所
サイクル機構の一般職員の氏名
調査対象地区を具体的に示すことにつながりうる情報
2 処分日時 平成14年12月2日
開示する法人文書の名称
② PNCZJ425788-001Vol.1東海・CA地域リモートセンシング調査 不開示とする箇所
サイクル機構の一般職員の氏名
調査対象地域等を具体的に示すことにつながりうる情報
3 処分日時 平成14年12月11日
開示する法人文書の名称
③ PNCZJ436388-001Vol.1CB地域リモートセンシング調査 ④ PNCZJ436388-001Vol.2CC地域リモートセンシング調査 ⑤ PNCZJ436388-001Vol.3中国東部・CD地域リモートセンシング調査 ⑥ PNCZJ425788-001Vol.2四国西部地域リモートセンシング調査不開示とする箇所
サイクル機構の一般職員の氏名
調査対象地域等を具体的に示すことにつながりうる情報
以上

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