判例検索β > 昭和23年(れ)第1462号
強盗致死、強盗傷人、強盗、同未遂、、窃盗、加重逃走未遂、銃砲等所持禁止令違反
事件番号昭和23(れ)1462
事件名強盗致死、強盗傷人、強盗、同未遂、、窃盗、加重逃走未遂、銃砲等所持禁止令違反
裁判年月日昭和23年10月5日
法廷名最高裁判所大法廷
裁判種別判決
結果破棄自判
判例集等巻・号・頁集刑 第14号71頁
原審裁判所名東京高等裁判所
原審裁判年月日昭和23年8月16日
判示事項一 憲法第三八條第二項、刑訴應急措置法第一〇條第二項の不當に長い抑留又は拘禁の意義と公判廷における自白
二 住居侵入の所爲を罰する趣旨であること明かな場合でありながらその適用法條を明示しない判決の違法と舊刑訴法第四四八條の二同第四五〇條に該らぬ場合
裁判要旨一 憲法第三八條第二項及刑訴應急措置法第一〇條第二項の不當に長い抑留又は拘禁というのは抑留又は拘禁の期間が不當に長い場合をいうのであつて抑留又は拘禁が不當であることをいうものではない。從つて論旨にいうように勾留が不當であるということだけでは自白を證據能力なきものにするものではなくなお公判廷における自白は右各法條の第三項の「自白」に該當しないことはいずれも當裁判所の判例とするところであつて今なおこれが變更の要を見ない。
二 原審が認定した被告人の各住居侵入の行爲を罰する趣旨であることは判文上明である。しかるにこれに對して其適用條文を示して居ないことは所論の通りであつて、此點において原判決は理由不備の違法があり論旨は理由がある。しかして右違法は舊刑事訴訟法第四四八條の二第四五〇條所定の場合に屬しないから同法第四四七條第四四八條によつて原判決を破毀し、原審の確定した事實に基き當裁判所において被告事件に付いて更に判決を爲すべきものである。
参照法条憲法38條3項,刑訴應急措置法10條3項,舊刑訴法410條19號,舊刑訴法448條の2,舊刑訴法450條,舊刑訴法447條,舊刑訴法448條
裁判日:西暦1948-10-05
情報公開日2017-10-17 15:16:13
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主 文
原判決を破毀する。
被告人を死刑に処する
押収になつている匕首一挺(東京高等検察庁昭和二三年押第四〇七号ノ一)拳銃一挺(同号ノ二八)拳銃実包一八発(同号ノ二九)複生撥条止一個(同号ノ三〇)拳銃薬莢一個(同号一三一)破損せる銃丸一個(同号ノ三二)拳銃実包一発(同号ノ三四)及び唐草模様風呂敷一枚(同号ノ三八)はいずれもこれを没収する。押収になつている薄紫風呂敷一枚(同号ノ二)はこれを被害者Aに還付する。 訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理 由
被告人及弁護人渡辺吉男の各上告趣意は末尾添付別紙記載の通りである。 被告人の上告趣意は原審の事実認定を批難するに過ぎないものでこれは上告適法の理由とならない。
弁護人の上告趣意第一点について。
憲法第三八条第二項及刑訴応急措置法第一〇条第二項の不当に長い抑留又は拘禁というのは抑留又は拘禁の期間が不当に長い場合をいうのであつて抑留又は拘禁が不当であることをいうものではない。従つて論旨にいうように勾留が不当であるということだけでは自白を証拠能力なきものにするものではなくなお公判廷における自白は所論各法条の第三項の自白に該当しないことはいずれも当裁判所の判例とする処であつて今なおこれが変更の要を見ない(右自白の点に付て裁判官真野毅、同斎藤悠輔の補足意見、裁判官塚崎直義、同沢田竹治郎、同井上登、同栗山茂、同小谷勝重、の少数意見があり右齋藤裁判官の補足意見、塚崎、沢田、井上、栗山、小谷各裁判官の少数意見はいずれも右引用昭和二三年(れ)第一六八号事件判決に真野裁判官の補足意見は昭和二三年(れ)第一五四四号事件昭和二四年四月二〇日言渡判決に各記載してある通りである。)其故論旨は採用出来ない。 同第二点について。
原審が其認定した被告人の各住居侵入の行為を罰する趣旨であることは判文上明である。しかるにこれに対して其適用条文を示して居ないことは所論の通りであつて此点において原判決は理由不備の違法があり論旨は理由がある。しかして右違法は旧刑事訴訟法第四四八条の二、第四五〇条所定の場合に属しないから同法第四四七条第四四八条によつて原判決を破毀し、原審の確定した事実に基き当裁判所において被告事件に付いて更に判決を為すべきものである。原判決の確定した事実を法律に照すと被告人の原判示所為中第一の(一)(三)(八)第二の(一)強盗傷人の点は刑法第二四〇条前段(なお第二ノ(一)の所為については第一〇条を適用)に第一の(二)の強盗致死の点は同法第二四〇条後段に第一の(四)(六)(七)(九)の強盗の点は同法第二三六条第一項に第一の(五)の強盗中止未遂の点は同法第二四三条第二三六条第一項第四三条但書に原判示第一の(四)(六)(八)(九)の住居侵入の点は同法第一三〇条に第二ノ(二)の窃盗の点は同法第二三五条第六〇条に、第一の(四)乃至(九)第二ノ(一)の拳銃の不用所持の点は銃砲等所持禁止令第二条第一条に第三の加重逃走未遂の点は刑法第九八条第一〇二条第六〇条に各該当し強盗傷人、強盗強盗致死、強盗未遂、強盗の各所為住居侵入の各所為、拳銃の不法所持の各所為はそれぞれ連続犯であり以上連続犯をなす強盗強盗傷人等と住居侵入とは互に手段結果の関係にあり、また右強盗傷人強盗等と拳銃の不法所持とは一箇の行為が二箇の罪名に触るる場合であるから昭和二二年法律第一二四号附則第四項同法律による改正前の刑法第五五条刑法第五四条第一項前段後段第一〇条を各適用しこれを綜合統括して、その最も重い強盗致死罪の刑に従い一罪として処断することとなるので所定刑中死刑を選択し、これと加重逃走未遂の罪とは同法第四五条前段の併合罪であるが前者について死刑を選択した結果同法第四六条第一項本文により他の刑を科せず被告人を死刑に処すべきものである。押収になつている匕首一挺(東京高等検察庁昭和二三年押第四〇七号ノ一)拳銃一挺(同号ノ二八)複生撥条止(同号ノ三〇)薬莢一箇(同号ノ三一)破損せる銃丸一箇(同号ノ三二)実包一発(同号ノ三四)及唐草模様風呂敷一枚(同号ノ三八)はいずれも被告人が判示強盗強盗致死、強盗傷人等の犯行に供したものであり実包一八発(同号ノ二九)は被告人が本件犯行に供せんとした物でありいずれも被告人以外の者に属しないから刑法第一九条第一項第二号第二項同法第四六条本文但書によりこれを没収すべくまた押収の薄紫風呂敷一枚(同号ノ二)は被告人が判示第二ノ(一)の強盗により得た物で被害者Aに還付すべき理由明白であるから刑事訴訟法第三七三条第一項によつてその旨の言渡をすべきものであり訴訟費用は同法第二三七条第一項に従い全部被告人をして負担せしむものである。
以上の理由により主文のとおり判決する。
以上は前記少数意見の外裁判官全員一致の意見である。
検察官 十蔵寺宗雄関与
昭和二四年一〇月五日
最高裁判所大法廷
裁判長裁判官 塚 崎 直 義 裁判官 長 谷 川 太 一 郎 裁判官 沢 田 竹 治 郎 裁判官 霜 山 精 一 裁判官 井 上 登 裁判官 栗 山 茂 裁判官 真 野 毅 裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 島 保 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 齋 藤 悠 輔 裁判官 岩 松 三 郎
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