事件番号 | 昭和35(オ)1324 |
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事件名 | 土地建物明渡請求 |
裁判年月日 | 昭和38年7月30日 |
法廷名 | 最高裁判所第三小法廷 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 破棄差戻 |
判例集等巻・号・頁 | 集民 第67号141頁 |
原審裁判所名 | 大阪高等裁判所 |
原審裁判年月日 | 昭和35年7月22日 |
判示事項 | 賃貸借契約の合意解約の存在を否定した判断が経験法則に反するとされた事例。 |
裁判日:西暦 | 1963-07-30 |
情報公開日 | 2017-10-18 07:24:16 |
原判決を破棄する。 本件を原審大阪高等裁判所に差戻す。 理 由 上告代理人三宅岩之助の上告理由書記載の上告理由および上告代理人北山六郎の上告理由第四点について。 原判決認定の昭和三二年一月一日付賃貸借契約延長証書(甲二号証)の記載内容は、比較的簡単なものである。そしてこれに署名捺印した被上告人は、映画館を経営している者であること原判決の判示するところであるから、たとい原判決の認定するように汽車の時間に迫られて急いでいたという事情があつたとしても、被上告人がこれを一読してその記載内容全部を了解できなかつたとは到底考えられない。原判決が被上告人において右書面の但書記載部分を十分了解しないでこれに署名捺印したものと判示したが、右判断は経験法則に違背するものといわなければならない。そして、原判決の本件賃貸借契約合意解約がなされたとは認められない旨の判断は、前記事実判断を基礎とするものであること判文上明らかであるから、前記の違法は判決に影響を及ぼすこと明らかなものとして原判決は破棄を免れない。なお、前記賃貸借契約延長証書の但書記載部分が果して上告人主張のように本件貸借契約合意解約の趣旨で記載されたものであるか否かは、なお審理判断を要するから、本件を原審に差し戻すべきである。 よつて、右上告代理人らのその余の上告理由についての判断を省略し、民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 石 坂 修 一 裁判官 河 村 又 介 裁判官 五 鬼 上堅 磐 裁判官 横 田 正 俊 |