判例検索β > 昭和26年(あ)第4469号
詐欺、贈賄、収賄
事件番号昭和26(あ)4469
事件名詐欺、贈賄、収賄
裁判年月日昭和28年12月15日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別判決
結果その他
判例集等巻・号・頁集刑 第89号217頁
原審裁判所名札幌高等裁判所
原審裁判年月日昭和26年9月4日
裁判日:西暦1953-12-15
情報公開日2017-10-17 14:38:38
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主 文
原判決及び第一審判決中被告人A、同Bに関する部分(無罪部分を除く)を破棄し、本件を釧路地方裁判所に差戻す。
被告人Cの上告を棄却する。
理 由
被告人A弁護人矢吹幸太郎上告趣意(後記)第一点、被告人A、同B、同C弁護人矢吹幸太郎、同海老名利一上告趣意(後記)第一点(一)、被告人A弁護人沢田喜道上告趣意(後記)第一点、被告人B弁護人黒田彌太郎上告趣意(後記)について。
所論は第一審において特定の証人を喚問し同証人が期日に出頭していたのにかかわらず、その取り調べをせず、又その証拠調の決定を取消すこともなく、審理を終結したことは最高裁判所昭和二三年一二月二四日第三小法廷言渡の判例に違反するという趣旨である。しかしながら本件において原判決の判示するところによれば、第一審において検察官請求にかかる証人D、同Eの喚問を決定し、第五回公判期日に同証人等が出廷したが、検察官は第一回公判において請求してあつた右両名の検察官の面前における供述調書の証拠調に弁護人が同意したので、右両名の証人を尋問することに代えて右供述調書の証拠調を求め第七回公判期日にその証拠調が行われ、そのうちDの供述調書が第一審判決の証拠として採用されたことが認められる。従つて訴訟手続の違背はあるが、この違背は判決に影響を及ぼさないという趣旨である。しかるに所論引用の最高裁判所の判例は、旧刑訴四一〇条一三号に関する判断であつて、旧刑訴におけるいわゆる絶対的上告理由に当る事案であるのに、本件は新刑訴の適用ある控訴審の問題であるから、すでに絶対的上告理由に相当するもののある筈なく、この点において引用判例は本件に適切ではない。そして新刑訴三七九条、三八〇条によれば、法令違反があつても判決に影響を及ぼさないときは控訴を棄却すべきものであるから、原審が判示のように第一審の訴訟手続違背は判決に影響を及ぼさないと判断して控訴論旨を採用しなかつたのはなんら違法のかどなく論旨は理由がない。また沢田弁護人の論旨中憲法三七条二項違反の主張を含むけれど、かかる主張は原審で主張も判断もされなかつた事項であるから、適法な上告理由と認められない。
被告人A外二名弁護人矢吹幸太郎、同海老名利一の上告趣意第三点、被告人A、同B、同C弁護人林頼三郎、同吉田久の上告趣意(後記)第二点について。 所論は単なる法令違反、事実誤認の主張に外ならないものであつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。しかし所論の述べるところに基いてさらに職権により調査するに原判決の維持する第一審判決判示の事実中被告人A、同Bにかかる判示第二の事実につき審究してみると同判決の判示によれば、被告人A及びその生産名義人である被告人Bは、昭和二四年度の馬鈴薯の作付面積とその反収平均数量から推算される総収穫量四五〇〇俵から見て、同被告人等が超過供出してその代金を受領した数量の内一一六五俵分は、現実に供出し得ない筈であるから、この部分については供出したもののように政府を欺罔してその超過供出代金を受領、騙取したものであるというのである。そして同判決は右作付面積を合計七町五反歩と判示しているのであるが、しかも一方証拠として検証調書又は鑑定人F作成の鑑定書(面積実測)等昭和二四年度の実際の作付面積は判示作付面積より遥かに広かつたものであることが認められる資料を掲げている。若し、右各証拠を措信するとすれば、判示のように反収平均六〇俵を基準として計算しても、その総収量をもつて、判示が虚構の供出数量とする部分をほとんど供出し得ることが認められる。すなわち第一審判決は、もつぱら作付面積認定の証拠資料たる検証調書、鑑定書等を証拠として援用しながら、これらの証拠の趣旨と異なる面積を認定していることとなり、特別な事情のない限りその認定に誤りがあることに帰着し、この違法は前述のように本件詐欺罪の成否に影響を及ぼすものといわなければならない。 以上説明のとおり被告人A、同Bに関する原判決には判決に影響を及ぼすべき法令違反があり原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められるから、各弁護人のその他の論旨を判断するまでもなく、刑訴四一一条により破棄を免れない。
被告人C弁護人矢吹幸太郎、同海老名利一上告趣意第三の三、同被告人弁護人林頼三郎、同吉田久上告趣意第五点中同被告人に関する理由について。 所論はいずれも事実誤認の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべき事由は認められない。
よつて刑訴四一三条、四一四条、三九六条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
検察官 市島成一出席
昭和二八年一二月一五日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登 裁判官 島 保 裁判官 河 村 又 介 裁判官 小 林 俊 三 裁判官 本 村 善 太 郎
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