判例検索β > 昭和41年(オ)第285号
家屋明渡請求
事件番号昭和41(オ)285
事件名家屋明渡請求
裁判年月日昭和41年11月22日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集民 第85号243頁
原審裁判所名福岡高等裁判所
原審事件番号昭和40(ネ)400
原審裁判年月日昭和40年12月6日
判示事項借家法第七条賃料増額請求権の行使と賃料改訂約定との関係の一場合
裁判要旨「賃料につき将来の事情の変動に応じ当事者双方協議の上改訂を為すことができる」旨の約定があるからといつて借家法第七条に基づく形成権としての賃料増額請求権が行使できなくなるものではない。
参照法条借家法7条
裁判日:西暦1966-11-22
情報公開日2017-10-18 07:16:54
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主 文
本件上告を棄却する
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人山中伊佐男の上告理由について。
上告人主張の賃料につき将来の事情の変動に応じ当事者双方協議の上改訂を為すことができる旨の約定があるからといつて、借家法七条に基づく形成権としての賃料増額請求権が行使できなくなるものではない旨の原判決(その引用する一審判決。以下同じ。)の判断は正当として肯認することができる。また、被上告人が、予め上告人との協議を経ることなくなした本件賃料増額請求権の行使は適法有効であり、被上告人の増額請求賃料額は相当であるから、その請求の通りの増額の効力を生じたものであるとする原判決の判断説示は、その挙示する証拠関係、事実関係並びに本件記録に徴し、正当として肯認することができる。
賃料増額の請求がなされた場合には、従前の賃料額と適正増額賃料額との差が僅少であるなど、信義則上従前の賃料額の提供をもつて債務の本旨に従つた履行の提供とみられるような特別の事情があるときのほか、債務者が従前の賃料額をもつて相当であると考えたとしても、従前の賃料額を提供しただけでは、履行遅滞の責を免かれるものではない(昭和三二年九月三日第三小法廷判決、民集一一巻九号一四六七頁。昭和四〇年一二月一〇日第二小法廷判決、民集一九巻九号二一一七頁参照)。 本件記録を検討すると、上告人は本件賃料債務につき債務の本旨に従つた弁済の提供をなさず、本件賃貸借契約は上告人の本件賃料債務不履行により適法に解除されたもので、被上告人の解除権の行使に信義則違反、権利の濫用など上告人主張の違法は認められないとする原判決の判断説示は、その挙示する証拠関係、事実関係から正当として肯認することができる。 以上、原判決に所論の違法はなく、論旨は、原審の認定にそわない事実を主張し、独自の見解に立つて原判決を非難するに帰し、採るを得ない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 田 中 二 郎 裁判官 五 鬼 上 堅 磐 裁判官 柏 原 語 六 裁判官 下 村 三 郎
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