判例検索β > 昭和49年(オ)第1172号
仲裁裁定実行
事件番号昭和49(オ)1172
事件名仲裁裁定実行
裁判年月日昭和53年7月18日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集民 第124号413頁
原審裁判所名東京高等裁判所
原審事件番号昭和46(ネ)2334
原審裁判年月日昭和49年9月25日
判示事項一 公共企業体労働関係法(昭和二七年法律第二八八号による改正前の昭和二三年法律第二五七号)三五条但書と憲法二八条、三一条
二 大蔵大臣の承認のない既定予算の給与の目に計上された金額を超える支出と公共企業体労働関係法(昭和二七年法律第二八八号による改正前の昭和二三年法律第二五七号):八条にいう「公共企業体の予算上…不可能な資金の支出」
裁判要旨一 公共企業体労働関係法(昭和二七年法律第二八八号による改正前の昭和二三年法律第二五七号)三五条但書は、憲法二八条、三一条に違反しない。
二 大蔵大臣の承認のない既定予算の給与の目に計上された金額を超える支出は、公共企業体労働関係法(昭和二七年法律第二八八号による改正前の昭和二三年法律第二五七号)一六条にいう「公共企業体の予算上…不可能な資金の支出」にあたる。
参照法条公共企業体労働関係法(昭和27年法律第288号による改正前の昭和23年法律第257号)16条,公共企業体労働関係法(昭和27年法律第288号による改正前の昭和23年法律第257号)35条但書,憲法28条,憲法31条,財政法33条
裁判日:西暦1978-07-18
情報公開日2017-10-18 06:53:02
裁判所の詳細 / 戻る / PDF版
主 文
本件上告を棄却する
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人小林直人、同伊達秋雄、同大野正男、同宮原守男、同西田公一の上告理由第一点について
所論の公共企業体労働関係法(昭和二七年法律第二八八号による改正前の昭和二三年法律第二五七号、以下同じ。)三五条但書の規定が憲法二八条及び三一条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和四四年(あ)第二五七一号同五二年五月四日大法廷判決・刑集三一巻三号一八二頁)の趣旨に徴して明らかである。論旨は、採用することができない。
同第二点について
財政法三三条に規定する予算の移流用に関する大蔵大臣の承認は国家財政全般の見地からされるべき高度に政治的な裁量行為であるから、右の承認がない以上、公共企業体の経理を客観的にみるときは目の流用によりその支出が可能であるとの理由により、公共企業体の職員の給与の改善を内容とする支出であつて既定予算の給与の目に計上された金額を超えるものを、公共企業体労働関係法三五条但書がよるべきところとしている同法一六条にいう公共企業体の予算上……不可能な資金の支出にあたらないものとすることは、できない。これと同趣旨の原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。 同第三点ついて
所論は、要するに、損失補償的ないし損害賠償的な性格をもつ仲裁裁定に公共企業体労働関係法三五条但書を適用することは、公共企業体の職員のもつ損失補償請求権ないし損害賠償請求権を侵害するものであるから、本件仲裁裁定につき同条但書の適用があるとした原判決は、憲法二九条、三一条、二八条に違反する、というのである。しかしながら、本件仲裁裁定による権利は、被上告人の経理上の都合によりその職員が被つた待遇の切下げを是正する意味合いをもつものであるとしても、それが仲裁裁定によつて認められたものである以上、債務不履行、不法行為等によつて当然に発生する特定の具体的な損失補償請求権ないし損害賠償請求権とは法律上その性質を全く異にするものといわなければならない。これと異なる見解に基づき原判決の違憲をいう所論は、その前提を欠き、失当である。論旨は、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 天 野 武 一 裁判官 江 里 口 清 雄 裁判官 高 辻 正 己 裁判官 服 部 高 顯
トップに戻る

saiban.in