事件番号 | 昭和47(行ツ)65 |
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事件名 | 退去強制令書発付処分取消請求 |
裁判年月日 | 昭和51年1月26日 |
法廷名 | 最高裁判所第二小法廷 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 棄却 |
判例集等巻・号・頁 | 集民 第117号15頁 |
原審裁判所名 | 東京高等裁判所 |
原審事件番号 | 昭和44(行コ)5 |
原審裁判年月日 | 昭和47年4月19日 |
判示事項 | 政治犯罪人不引渡の原則と国際慣習法の成否 |
裁判要旨 | いわゆる政治犯罪人不引渡の原則は、未だ確立した一般的な国際慣習法とは認められない。 |
参照法条 | 憲法98条2項,逃亡犯罪人引渡法2条1号 |
裁判日:西暦 | 1976-01-26 |
情報公開日 | 2017-10-18 06:55:11 |
本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人猪俣浩三、同藤本時義の上告理由第一点の第一について いわゆる政治犯罪人不引渡の原則は未だ確立した一般的な国際慣習法であると認められないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、採用することができない。 同第二について 逃亡犯罪人引渡法(昭和二八年法律第六八号、昭和三九年法律第八六号による改正前)は一般に条約の有無を問わず政治犯罪人の不引渡を規定したものではないとした原審の判断は、正当として是認することができる。所論は、本件行政処分がなされた後に改正された法律の規定を前提として、原判決を非難するものであつて、失当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は、採用することができない。 同第二点について 上告人が韓国に送還された場合、その政治活動につき処罰されることが客観的に確実でないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 岡 原 昌 男 裁判官 大 塚 喜 一 郎 裁判官 吉 田 豊 裁判官 本 林 讓 |