事件番号 | 昭和37(オ)515 |
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事件名 | 免職取消請求 |
裁判年月日 | 昭和40年4月28日 |
法廷名 | 最高裁判所第三小法廷 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 棄却 |
判例集等巻・号・頁 | 集民 第78号779頁 |
原審裁判所名 | 名古屋高等裁判所 |
原審事件番号 | 昭和35(ネ)365 |
原審裁判年月日 | 昭和37年1月31日 |
判示事項 | 一 行政機関職員定員法附則第五項と憲法第二八条。 二 組合幹部の違法な組合活動を整理基準に該当すると認めることは、いわゆる組合幹部の責任を問うことになるか。 |
裁判要旨 | 一 行政機関職員定員法附則第五項は、憲法第二八条に違反しない。 二 組合幹部の違法な組合活動を整理基準に該当すると認めることは、いわゆる組合幹部の責任を問うことにならない。 |
参照法条 | 行政機関職員定員法附則5項,憲法28条,労働組合法7条1号 |
裁判日:西暦 | 1965-04-28 |
情報公開日 | 2017-10-18 07:19:56 |
本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人赤塚宋一の上告理由第二点について。 論旨は、行政機関職員定員法(以下単に定員法という。)附則五項、八項、九項が憲法二八条に違反して無効であると主張し、そのことを前提として、定員法全体の違憲をいい、また原判決に理由不備の違法がある、という。 しかし、定員法附則八項および九項が憲法二八条に違反するものでないことは、昭和二五年(オ)第三〇九号、同二九年九月一五日大法廷判決(民集八巻九号一六〇六頁)の示すところであり、また、同法附則五項が憲法二八条に違反しないことも、右判決の趣旨に徴して明らかである。 それ故、論旨は、すべて前提を欠くに帰し、理由がない。 同第三点について。 論旨は、上告人A1に整理基準等該当の事実があるとした原審の判断に経験則違背、理由不備、理由齟齬の違法がある、という。 しかし、原判決(およびその引用にかかる第一審判決)の所論判断は、その挙示の証拠に照らして首肯し得られないわけではなく、そこに所論の達法があるものとはなし難い。 それ故、論旨は、理由がない。 同第四点について。 論旨は、原判決が上告人らの行為を整理基準等に該当すると認めたことは、組合幹部の責任に関する法令の解釈適用を誤つたものである、という。 しかし、原判決(およびその引用にかかる第一審判決)は、上告人らが単に組合の機関として組合決議を執行したことが整理基準等に該当するとしたのではなくして、上告人らが違法な組合活動を自ら企画、煽動しまたは達法な組合決議を積極的に支援したことが整理基準等に該当するとしたものであること、判文上明らかである。 されば、論旨は、原判示に副わない事実に基づいてその違法をいうに過ぎないものであつて、採用できない。 同第五点について。 論旨は、原判決が本件各免職処分は国家公務員法九八条三項の不利益取扱いにあたらないとしたことが不利益取扱いに関する立証責任分配の原則の適用を誤り、判断遺脱の違法をおかしたものである、という。 しかし、原判決(およびその引用にかかる第一審判決)は、所論のごとく、単に、上告人らに整理基準等該当の事実があるから本件各免職処分は国家公務員法九八条三項の不利益取扱いにあたらないとしたものでもなければ、本件各免職処分が右の不利益取扱いにあたるかどうかが証拠上不明であるという理由で、上告人らの本訴請求を排斥したものでもなく、かえつて、上告人らの行為がすべて正当な組合活動の範囲を逸脱したものであり、また、本件各免職処分が上告人らが全逓地区組合の幹部であることを理由としてなされたという事実を認めるに足りる証拠がないから、結局、本件各免職処分は国家公務員法九八条三項の不利益取扱いにあたらないと判断したものであること、その判文に徴して明らかである。 それ故、原判決には所論の違法はなく、論旨は、原判決を正解しないか、原判示に副わない事実に立脚して、右の違法をいうものであつて、採用できない。 なお、上告理由第一点は、上告人A2に関するものであるが、同上告人と被上告人名古屋郵政局長間の免職処分取消請求事件は、さきに本件より分離されて大法廷に係属しているので、右の点についての判断はしないこととする。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 田 中 二 郎 裁判官 石 坂 修 一 裁判官 五 鬼 上 堅 磐 裁判官 横 田 正 俊 裁判官 柏 原 語 六 |