判例検索β > 平成10年(オ)第512号
商品代金請求事件
事件番号平成10(オ)512
事件名商品代金請求事件
裁判年月日平成14年1月22日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別判決
結果破棄差戻
判例集等巻・号・頁集民 第205号93頁
原審裁判所名大阪高等裁判所
原審事件番号平成9(ネ)589
原審裁判年月日平成9年10月30日
判示事項旧民訴法70条所定の効力の客観的範囲
裁判要旨旧民訴法70条所定の効力が及ぶ判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断とは,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいう。
参照法条民訴法46条
裁判日:西暦2002-01-22
情報公開日2017-10-18 06:39:40
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主 文
原判決を破棄する
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
理 由
上告代理人洪性模,同許功,同安由美の上告理由について
1 本件訴訟は,被上告人が,上告人に対し,家具等の商品(以下本件商品という。)の売買代金の支払を求めるものである。原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 上告人は,カラオケボックス(以下本件店舗という。)建築のため,平成6年10月,Dとの間で店舗新築工事請負契約を締結した。 (2) 被上告人は,Dに対し,本件商品を含む家具等の商品を販売したとして,平成7年9月18日,和歌山地方裁判所にその残代金の支払を求める訴えを提起した(同裁判所平成7年(ワ)第466号。以下,同訴訟を前訴という。)。 前訴において,Dは,被上告人が本件店舗に納入した本件商品を含む商品について,施主である上告人が被上告人から買い受けたものであると主張したことから,被上告人は,上告人に対し,平成8年1月27日送達の訴訟告知書により訴訟告知をした。しかし,上告人は,前訴に補助参加しなかった。
(3) 前訴につき,本件商品に係る代金請求部分について,被上告人の請求を棄却する旨の判決が言い渡され確定したが,その理由中に,本件商品は上告人が買い受けたことが認められる旨の記載がある。
2 以上の事実関係の下において,原審は,旧民訴法78条,70条所定の訴訟告知による判決の効力が被告知人である上告人に及ぶことになり,上告人は,本訴において,被上告人に対し,前訴の判決の理由中の判断と異なり,本件商品を買い受けていないと主張することは許されないとして,被上告人の請求を認容した。 3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 旧民訴法78条,70条の規定により裁判が訴訟告知を受けたが参加しなかった者に対しても効力を有するのは,訴訟告知を受けた者が同法64条にいう訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合に限られるところ,ここにいう法律上の利害関係を有する場合とは,当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいうものと解される(最高裁平成12年(許)第17号同13年1月30日第一小法廷決定・民集55巻1号30頁参照)。
また,旧民訴法70条所定の効力は,判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけではなく,その前提として判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断などにも及ぶものであるが(最高裁昭和45年(オ)第166号同年10月22日第一小法廷判決・民集24巻11号1583頁参照),【要旨】この判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断とは,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいうものであって,これに当たらない事実又は論点について示された認定や法律判断を含むものではないと解される。けだし,ここでいう判決の理由とは,判決の主文に掲げる結論を導き出した判断過程を明らかにする部分をいい,これは主要事実に係る認定と法律判断などをもって必要にして十分なものと解されるからである。そして,その他,旧民訴法70条所定の効力が,判決の結論に影響のない傍論において示された事実の認定や法律判断に及ぶものと解すべき理由はない。
(2) これを本件についてみるに,前訴における被上告人のDに対する本件商品売買代金請求訴訟の結果によって,上告人の被上告人に対する本件商品の売買代金支払義務の有無が決せられる関係にあるものではなく,前訴の判決は上告人の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすものではないから,上告人は,前訴の訴訟の結果につき法律上の利害関係を有していたとはいえない。したがって,上告人が前訴の訴訟告知を受けたからといって上告人に前訴の判決の効力が及ぶものではない。しかも,前訴の判決理由中,Dが本件商品を買い受けたものとは認められない旨の記載は主要事実に係る認定に当たるが,上告人が本件商品を買い受けたことが認められる旨の記載は,前訴判決の主文を導き出すために必要な判断ではない傍論において示された事実の認定にすぎないものであるから,同記載をもって,本訴において,上告人は,被上告人に対し,本件商品の買主が上告人ではないと主張することが許されないと解すべき理由もない。
4 以上によれば,前訴の判決の理由中に本件商品は上告人が被上告人から買い受けたことが認められる旨の記載があるからといって,前訴の判決の効力が上告人に及び,上告人が本件商品の買主であるとして売買代金の支払を認めるべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,上告人の本件商品の売買代金支払債務の有無について更に審理を遂げさせる必要があるから,本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
(裁判長裁判官 濱田邦夫 裁判官 千種秀夫 裁判官 金谷利廣 裁判官 奥田昌道)
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