判例検索β > 昭和48年(行ツ)第82号
審決取消請求
事件番号昭和48(行ツ)82
事件名審決取消請求
裁判年月日昭和50年2月28日
法廷名最高裁判所第二小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集民 第114号287頁
原審裁判所名東京高等裁判所
原審事件番号昭和45(行ケ)1
原審裁判年月日昭和48年5月31日
判示事項一、意匠法三条一項三号の類似と同条二項の創作の容易との関係
二、帽子に関する意匠につき出願意匠が公知意匠に類似するとされた事例
裁判要旨一、意匠法三条一項三号の類似と同条二項の創作の容易とは、考え方の基礎を異にするものであつて、右の類似の意味を創作の容易と同義に解することはできない。
二、倒椀状の本体の下部周縁に外方に向つて斜降したひさしを設け、本体を頂点より放射状に八分し、これを黒色と黄色で交互に表わし、本体下部周辺に黒色のリボンを施し、ひさしを黄色で表わした帽子に関する出願意匠は、倒椀状の頂部を山形に形成して本体とし、その下部周縁に外方に向つて斜降した錏庇(しころびさし)を設け、本体を頂点より放射状に六分し、これを濃赤色と密柑色で交互に表わし、本体の下部周辺に密柑色をリボン状に表わし、錏庇を濃赤色で表わした帽子に関する公知意匠に類似する。
参照法条意匠法3条
裁判日:西暦1975-02-28
情報公開日2017-10-18 06:56:09
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主 文
本件上告を棄却する
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人松田喬の上告理由について。
思うに、意匠法(以下法という。)三条一項三号は、同項一、二号に掲げる意匠(公知意匠)と類似の意匠でないことを登録要件としたものであつて、そこでは、同一又は類似の物品の意匠間において、一般需要者の立場からみた美感の類否が問題となるのである。これに対し、同条二項は、物品との関係を離れた抽象的なモチーフとして日本国内において広く知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(周知のモチーフ)を基準として、それから当業者が容易に創作することができる意匠でないことを登録要件としたものであつて、そこでは、物品の同一又は類似という制限をはずし、右の周知のモチーフを基準として、当業者の立場からみた意匠の着想の新しさないし独創性が問題となるのである。それゆえ、同条一項三号の類似と同条二項の創作の容易とは、その考え方の基礎を異にするものであつて、同条一項三号の類似の意味を創作の容易と同義に解し、同条一項三号は、同条一項一、二号に掲げる意匠に基づき容易に創作できた意匠につき登録拒絶を定めたものである旨の原審の判断は誤りであるといわなくてはならない(最高裁昭和四五年(行ツ)第四五号同四九年三月一九日第三小法廷判決・民集二八巻二号三〇八頁参照)。
ところで、原審の判示するところによると、(1)本願意匠の本件の裏面はその機能上無視されるものであり、(2)その全体の形状はありふれたものであり、(3)本願意匠と引用意匠とを対比したときに、本体の表面を八等分したか六等分したか、つば(又は錏庇)の巾が均一か否か、リボン及びその結着部があるかないか、本体の表面に黒色の模様があるかないかは、軽微な差異であつて、以上いずれも全体的観察において、看者の目を惹くものではない、というのであり、右判断は両意匠の構成に徴し是認することができる。そして、原審が両意匠の差異として指摘する色彩の配合(本願意匠においては黒色と黄色、引用意匠においては濃赤色と密柑色)の点は、明度及び色相において原審判示のごとき違いがあることを考慮にいれても、要するにともに二色の配合であるにすぎず、しかも、本願意匠の二色の配合がごくありふれたものであること原審の判示するとおりであるから、両意匠の色彩の配合の点の差異も、必ずしも顕著なものとはいい難い。そうであるとすると、本願意匠と引用意匠とを全体的観察により対比すれば、両意匠は類似するものであるというを妨げず、本願意匠は、公知意匠である引用意匠との関係で法三条一項三号に該当するものと解するのが相当である。
そうすると、本願意匠が同条一項三号に該当し登録することができない旨の本件審決を維持した原審の判断は、その過程において適切を欠くところもあるが、その結論において正当である。
論旨は、結局すべて採用することができない。
よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 吉 田 豊 裁判官 小 川 信 雄 裁判官 大 塚 喜 一 郎
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