事件番号 | 昭和48(オ)1106 |
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事件名 | 家屋明渡請求 |
裁判年月日 | 昭和49年3月14日 |
法廷名 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 棄却 |
判例集等巻・号・頁 | 集民 第111号303頁 |
原審裁判所名 | 仙台高等裁判所 |
原審事件番号 | 昭和46(ネ)24 |
原審裁判年月日 | 昭和48年8月15日 |
判示事項 | 賃借建物に関して支出する必要費、有益費の償還請求権を予め放棄する旨の特約と借家法六条 |
裁判要旨 | 賃貸人と賃借人との間で、賃借人が賃借建物に関して支出する必要費、有益費の償還請求権を予め放棄する特約は、借家法六条に抵触しない。 |
参照法条 | 民法608条,借家法6条 |
裁判日:西暦 | 1974-03-14 |
情報公開日 | 2017-10-18 06:57:15 |
本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人阿部一雄の上告理由第一について。 民法六〇八条はいわゆる任意規定であつて、賃貸人と貸借人との間で、貸借人が貸借建物に関して支出する必要費、有益費の償還請求権を予め放棄する旨の特約がされたとしても、右特約が借家法六条により無効であると解することはできない。したがつて、原審の判断には所論のような違法はなく、論旨は採用することができない。 同第二について。 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠とその説示に照らして、首肯することができ、その過程に所論のような違法は認められない。論旨は採用することができない。 同第三について。 所論の点に関する原審の認定事実は、原判決の挙示する証拠に照らして、首肯することができ、右事実関係のもとにおいては、賃料の支払をすべて停止するがごとき上告人の行為をもつて、信義則に反するとして同時履行の抗弁を斥けた原審の判断は相当であり、その過程に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原審の認定にそわない事実を前提として、原審の判断の違法をいうにすぎず、採用することができない。 同第四について。 所論の点に関する原審の認定判断は、首肯しえないものではなく、その過程に所論のような違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原審が適法にした証拠の取捨判断及び事実の認定を非難するにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 岸 盛 一 裁判官 大 隅 健 一 郎 裁判官 藤 林 益 三 裁判官 下 田 武 三 裁判官 岸 上 康 夫 |