判例検索β > 昭和47年(オ)第460号
人身保護請求
事件番号昭和47(オ)460
事件名人身保護請求
裁判年月日昭和47年7月25日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集民 第106号617頁
原審裁判所名福岡地方裁判所  小倉支部
原審事件番号平成47(人)1
原審裁判年月日昭和47年4月18日
判示事項一、年令六年五月余の児童に対する監護と人身保護法および同規則にいう拘束
二、離婚した当事者間の親権を有する一方から他方に対する人身保護法に基づく幼児引渡請求許否の判断基準
裁判要旨一、年令六年五月余の児童に対する監護は、人身保護法および同規則にいう拘束にあたる。
二、離婚した男女の間で、親権を有する一方が、他方に対し、人身保護法により、その親権に服すべき幼児の引渡しを求める場合には、請求者に幼児を引き渡すことが明らかにその幸福に反するものでないかぎり、たとえ、拘束者において自己を監護者とすることを求める審判を申し立てまたは訴を提起している場合であり、しかも、拘束者の監護が平穏に開始され、かつ、現在の監護の方法が一応妥当なものであつても、当該拘束はなお顕著な違法性を失わないものと解するのが相当である。
参照法条人身保護法2条,人身保護規則3条,人身保護規則4条
裁判日:西暦1972-07-25
情報公開日2017-10-18 06:58:38
裁判所の詳細 / 戻る / PDF版
主 文
本件上告を棄却する
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人張有忠の上告理由(一)について。
意思能力のない幼児を監護する行為は、当然に、幼児の身体の自由を制限する行為を伴うものであるから、その監護自体が人身保護法および同規則にいう拘束にあたると解すべきであることは、当裁判所の判例とするところである(昭和三二年(オ)第二二七号同三三年五月二八日大法廷判決・民集一二巻八号一二二四頁、同四二年(オ)第一四五五号同四三年七月四日第一小法廷判決・民集二二巻七号一四四一頁参照)。そして、本件の被拘束者の年令が原審における審問終結当時六年五月余であつたことは被拘束者を意思能力のない幼児と認めることを妨げるものではないから、上告人が被拘束者を監護する行為が右にいう拘束にあたるとした原審の判断は正当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は理由がない。 同(二)について。
離婚した男女の間で、親権を有する一方が、他方に対し、人身保護法により、その親権に服すべき幼児の引渡しを求める場合には、請求者および拘束者双方の監護の当否を比較衡量したうえ、請求者に幼児を引き渡すことが明らかにその幸福に反するものでない限り、たとえ、拘束者において自己を監護者とすることを求める審判を申し立てまたは訴を提起している場合であり、しかも、拘束者の監護が平穏に開始され、かつ、現在の監護の方法が一応妥当なものであつても、当該拘束はなお顕著な違法性を失わないものと解するのが相当である。したがつて、原審が認定した諸般の事情のもとにおいては、親権者である被上告人に対し被拘束者を引き渡すことが明らかに被拘束者の幸福に反するものとは認められないから、被上告人は上告人に対し人身保護法により被拘束者の引渡しを請求することができるとした原審の判断は正当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は理由がない。 よつて、人身保護規則四二条、四六条、民訴法九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 坂 本 吉 勝 裁判官 田 中 二 郎 裁判官 下 村 三 郎 裁判官 関 根 小 郷 裁判官 天 野 武 一
トップに戻る

saiban.in