判例検索β > 昭和43年(オ)第683号
家屋明渡請求
事件番号昭和43(オ)683
事件名家屋明渡請求
裁判年月日昭和46年6月17日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁集民 第103号135頁
原審裁判所名大阪高等裁判所
原審事件番号昭和38(ネ)1400
原審裁判年月日昭和43年3月29日
判示事項立退料の提供と借家法一条の二にいう正当事由
裁判要旨家屋の賃貸人が解約申入に際し、賃借人の家屋明渡により被る移転費用その他の損失を補償するため、いわゆる立退料等の名目による金員を提供すべき旨申し出で、右金員の支払と引換に家屋を明渡すことを求めたときは、そのことも、他の諸事情と相互に補完し合つて解約申入の正当事由を構成するものと解すべきである。
参照法条借家法1条ノ2
裁判日:西暦1971-06-17
情報公開日2017-10-18 06:59:55
裁判所の詳細 / 戻る / PDF版
主 文
本件上告を棄却する
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人名倉宗一の上告理由について。
借家法一条の二にいう正当の事由とは、賃貸借当事者双方の利害関係、その他諸般の事情を綜合考慮し、社会通念に照らし妥当と認むべき理由をいうものであつて、賃貸人が解約申入に際し、貸借人の家屋明渡により被る移転費用その他の損失を補償するため、いわゆる立退料等の名目による金員を提供すべき旨申し出で、右金員の支払と引換に家屋を明け渡すことを求めたときは、そのことも、正当事由の有無を判断するにつき、当然斟酌されるべきである。その場合、右金員の提供は、それのみで正当事由の根拠となるものではなく、他の諸般の事情と綜合考慮され、相互に補完し合つて正当事由の判断の基礎となるものであるから、解約の申入が金員の提供を伴うことによりはじめて正当事由を有することになるものと判断されるときでも、右金員が、明渡によつて借家人の被るべき損失の全部を補償するに足りるものでなければならない理由はないし、また、右金員がいかなる使途に供され、いかにして損失を補償しうるかを具体的に説示しえなければならないものでもない。 叙上の見地に立つて原判決を見るに、その措辞はやや簡に失する嫌いを免れないけれども、原審は、結局、当事者双方の本件家屋使用の必要度その他その認定にかかる諸般の事情を綜合斟酌するときは、被告人の解約申入は、その申出にかかる金三〇万円の金員の支払により上告人の不利益がその範囲で補償されるかぎりにおいて正当事由を具備したものとなしうる旨判断した趣旨と解されるのであり、原審認定の事実関係に照らせば、右判断は相当として是認することができ、原判決に所論の違法は存しない。 論旨は、原判旨を正解しないか、または、これと異なる独自の見解に立つて原判決の違法をいうものにほかならず、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 岸 盛 一 裁判官 岩 田 誠 裁判官 大 隅 健 一 郎 裁判官 藤 林 益 三 裁判官 下 田 武 三
トップに戻る

saiban.in