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殺人、死体遺棄被告事件
事件番号平成15(わ)1240
事件名殺人,死体遺棄被告事件
裁判年月日平成15年11月19日
裁判所名・部千葉地方裁判所  刑事第一部
裁判日:西暦2003-11-19
情報公開日2017-10-13 01:43:25
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平成15年11月19日宣告
平成15年(わ)第1240号 殺人死体遺棄被告事件
判 決
主 文
被告人を懲役13年に処する
未決勾留日数中20日をその刑に算入する。
千葉地方検察庁で保管中のロープ1本(平成15年千葉検領1871号符号1)を没収する。
理 由
(犯行に至る経緯)
被告人は,平成10年5月ころ,千葉県夷隅郡a町b番地所在の当時の被告人方の隣家(いずれも借家)に引
っ越してきたAと知り合い,その後間もなく同女の内縁の夫も交えて飲酒などする間柄となり,平成11年3月
同女の内縁の夫が交通事故で死亡した後も同女と一緒に買い物や食事をしたり,ときに同女から比較的少額の借
金をするなどし,やがて同女に対して一方的な恋愛感情を抱くこともあった。ところが,平成13年1月初旬こ
ろ,被告人がA方玄関のドアをいきなり開けて中に入ったため外出しようとしていた同女に衝突し転倒させたこ
とを契機に,その後顔を合わせるたびに同女から通院治療費の名目で1回8000円ないし1万円くらいの金員
を要求されるようになり,被告人が一,二回しかこれに応じなかったため,同女からばか野郎,いつ返すんだよなどと度々罵倒された上,やがて10万円あるいは30万円といった高額の請求を受けるようになったこと
から,実際にかかった治療費以上の金員を要求しているものと考え,罵倒されるたびに腹立たしさを感じる一
方,厳しい口調での要求などに苦慮し,次第に同女を避けるようになった。 そのような折,同月29日ころ,被告人がAを避けて外出していた際,同女から電話で金員を要求されたた
め,被告人は,

何とかする。まだ,できていない

などと返事をしたものの,金策の具体的な当てはなかっ
た。被告人は,同日午後10時ころ帰宅し,遊びに来ていた被告人の長男B(当時16歳)及び次男C(当時1
5歳)と一緒にドライブに出掛けるため,A方前の庭先に止めていた普通乗用自動車に乗り込んだが,同女が同
女方を出て近づいて来るのを認めて同車から降りた。
(罪となるべき事実)
被告人は,
第1 平成13年1月29日ころ,千葉県夷隅郡a町b番地A(当時36歳)方前庭先において,同女から,

金はできたのか。ふざけんな。約束したろ。ばか野郎

などと罵られた上,これに憤慨して言い返したの
に対し,自己の長男B及び次男Cの面前で,いきなりふざけんなよと言われて右手けんで左頬付近を1
回殴打されたため,子供らの面前で女性に殴られたとの意識も加わって憤激し,とっさに同女に対する殺意
を抱き,その頸部を両手で絞め付け,同女から腕をつかまれるなどして抵抗されるや,Cに手助けを求め,
同人と共謀の上,同人において同女の手を被告人の手や腕から引き離すなどし,被告人において引き続き両
手で同女の頸部を絞め付けた上,さらに,ロープ(平成15年千葉検領1871号符号1)を同女の頸部に
巻き付け,Cと共に同ロープで同女の頸部を絞め付けるなどし,よって,そのころ,同所において,同女を
窒息死させて殺害し

第2 B及びCと共謀の上,前記のとおり殺害したAの死体を遺棄しようと企て,同日ころ,同女の死体を普通
乗用自動車に乗せて前記場所から同県勝浦市c番d所在の山林まで運搬し,そのころ,同所に同女の死体を
埋め,もって死体を遺棄し
たものである。
(証拠の標目)
省略
(法令の適用)
省略
(量刑の理由)
本件は,被告人が,自己の次男(当時15歳)と共謀して被害者(当時36歳の女性)を絞殺した(判示第
1)上,自己の長男(当時16歳)及び次男と共謀して被害者の死体を山中まで運び土中に埋めて遺棄した(判
示第2),という事案である。
まず,被害者を殺害した動機ないし経緯をみるに,被告人は,隣家の住人として交際していた被害者に対し一
方的に恋愛感情を抱くこともあったが,同女方玄関で同女に衝突し転倒させたことを契機に,同女から治療費の
名目で度々金員を要求され,これを支払わないとして罵倒されたことなどから,その都度腹立たしさを感じる一
方,厳しい口調での要求などに苦慮していたところ,本件当日,一緒にドライブに出掛けようとしていた子供ら
の面前で,被害者から厳しい口調で罵られた上,いきなり手けんで顔面を殴打されたことに憤激し,本件殺人
及んだものであって,被害者の言動にも問題が全くなかったとはいえないものの,それが同女の殺害に結び付く
ほどのものであったとは到底いえず,その短絡的な動機に酌量の余地は乏しい。 その犯行態様は,いきなり被害者の頸部を両手で絞め付け,被害者に抵抗されるや,当時中学校3年の次男に
手助けを求め,次男と共にロープでその頸部を絞め続けるなどして同女を殺害した,という凶暴なものであり,
被害者の尊い一命を奪ったその結果が極めて重大であることはいうまでもない。また,被告人は,被害者を殺害
した後,次男のほか当時16歳の長男にも手伝わせて,同女の死体を普通乗用自動車で山中に運んで土中に埋
め,長期間にわたって放置したもので,この点も死者を冒とくする無慈悲な犯行として厳しく非難されるべきで
ある。さらに,被告人が未成年の子2名をも本件殺人等の重大犯罪に引き込んだことは,親としてあるまじき行
為であり,強い非難を免れない。
加えて,被告人は,本件各犯行後,被害者方前に置かれていた同女の自転車を近隣の駅前の駐輪場まで運んだ
り,被害者方から同女の衣類や携帯電話機等を持ち出すなどして被害者が所在不明になったように装ったほか,
被害者方から家電製品等を勝手に持ち出して使用したり,飲酒酩酊した際本件各犯行を知人らに放言するなどし
ていたもので,そのような被告人の言動からは自らの犯した罪の重大性に対する自覚や自責の念がさほどうかが
われず,犯行後の情状も甚だ芳しくない。
被害者は,いまだ36歳の若さで,隣人の手により突如生命を奪われるに至ったもので,その無念の心情はい
かばかりであったか推察される。また,8か月近く土中に埋められ,白骨化した被害者と対面せざるを得なかっ
た被害者の両親や姉の深い悲嘆と被告人に対する激しい怒りの念も察するに余りあり,被告人に対して極刑を望
むその心情は十分理解できる。しかるに,被告人は何ら慰謝の措置を講じていな
い。
以上の諸点にかんがみると,被告人の刑事責任は誠に重大である。 そうすると,被害者にも本件を誘発した面がないわけではないこと,偶発的犯行であること,反省の情が認め
られること,52歳の今日に至るまで交通関係の罰金前科以外に前科がないことなど被告人のため酌むべき諸情
状を十分考慮しても,被告人に対し主文掲記の刑を科すのはやむを得ない。 よって,主文のとおり判決する。
(求刑 懲役15年,ロープ1本没収)
平成15年11月19日
千葉地方裁判所刑事第1部
裁判長裁判官 金 谷 暁
裁判官 土 屋 靖 之
裁判官 齊 藤 貴 一

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