事件番号 | 昭和26(れ)1956 |
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事件名 | 窃盗教唆物価統制令違反同幇助被告事件 |
裁判年月日 | 昭和27年2月29日 |
法廷名 | 最高裁判所第二小法廷 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 棄却 |
判例集等巻・号・頁 | 刑集 第6巻2号321頁 |
原審裁判所名 | 広島高等裁判所 |
判示事項 | 刑訴施行法第三条の二並びに旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則と憲法第一四条 |
裁判要旨 | 刑訴施行法第三条の二並びに旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則は憲法第一四条に違反しない。 |
参照法条 | 旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則,刑訴施行法3条の2,憲法14条 |
裁判日:西暦 | 1952-02-29 |
情報公開日 | 2017-10-17 14:51:24 |
本件各上告を棄却する。 理 由 弁護人鍜冶利一の上告趣意第一点について。 共同審理を受けた共同被告人(共犯者を含む)の自白で被告人の自白を補強することができることは当裁判所の判例とするところである。右判例の趣旨に徴すれば訴訟法に特別の規定がないのであるから具体的の場合に補強するかどうかを裁判官の健全な裁量にまかせたものと解するのが相当である。論旨は採用で費ない。(最高裁判所判例集三巻六号七三四頁参照)。 同第二点について。 被告人Aの窃盗教唆については、原判決挙示の証拠で充分に認めうるから論旨は採用できない。 同第三点及び第四点について。 憲法三八条三項にいわゆる本人の自白には判決裁判所の公廷における被告人の自白を含まないことは当裁判所の判例とするところであるから論旨は何れも採用できない。(最高裁判所判例集二巻九号一〇一二頁参照)。 同第五点について。 現行刑訴法施行前に公訴の提起があつた、いわゆる旧法事件について刑訴施行法三条の二で最高裁判所への上告について。制限が設けられ又最高裁判所規則三〇号で右事件の審判の特例が設けられても前記条項並に同規則の定めるものの外は、改正前の刑訴法及び刑訴応急措置法によるべきこと刑訴施行法二条の定むるところである。従て旧法事件である本件において自白に関する刑訴三一九条の適用がないこと明かであるから論旨は採用できない。 同第六点について。 しかし刑訴施行法三条の二及び旧刑訴事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則(最高裁判所規則三〇号)は何れも、同類型の事件に同様の取扱をなすものであるから憲法一四条平等の原則に反するものではない。このことは、さきに刑訴施行法二条について当裁判所が言渡した判例の趣旨に徴して明かであるから論旨は採用できない。(最高裁判所判例集四巻八号一四二九頁参照)。 同第七点及び同第八点について。 前掲論旨第三点及び同第四点において説示したとおりであるから同じ理由により論旨は何れも採用でをない。 同第九点について。 論旨は事実誤認の主張であつて上告適法の理由ではない。 同第一〇点について。 所論書類は刑訴応急措置法一二条にいわゆる供述にかわるべき書類であつて、所論のような瑕疵があつても、適法に証拠調がされており又被告人において原本乃至その写の作成者の尋問を請求もしなかつたのであるから原審が右書面を罪証に供したからといつて、原判決は採証の法則に違背したということはできない。論旨は理由がない。 よつて刑訴施行法三条の二、刑訴法四〇八条により主文のとおり判決する。 この判決は、論旨第三点、第四点、第七点、第八点に関する裁判官栗山茂の少数意見(最高裁判所判例集二巻九号一〇二七頁以下所載)を除き裁判官全員一致の意見である。 昭和二七年二月二九日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 霜 山 精 一 裁判官 栗 山 茂 裁判官 藤 田 八 郎 |