判例検索β > 昭和26年(オ)第40号
麦類供出通知取消請求
事件番号昭和26(オ)40
事件名麦類供出通知取消請求
裁判年月日昭和27年6月27日
法廷名最高裁判所第二小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁民集 第6巻6号619頁
原審裁判所名東京高等裁判所
原審裁判年月日昭和25年12月11日
判示事項食糧確保臨時措置法第七条による農業計画の指示と主要食糧農産物の供出義務
裁判要旨食糧確保臨時措置法第七条により農業計画を生産者に提示しなければ、生産者の農産物供出義務は生じない。
参照法条食糧確保臨時措置法(昭和23年法律182号)7条
裁判日:西暦1952-06-27
情報公開日2017-10-18 09:36:14
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主 文
本件上告を棄却する
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士海野普吉の上告理由及び同伊沢庚子郎の上告理由第一、二点について
上告人が昭和二三年九月中食糧確保臨時措置法(以下かりに食確法という)第五条の規定によりa村の区域内に住所を有する生産者別の昭和二四年産麦類農業計画を定め被上告人に係る農業計画として、作付反別六反二畝反収三俵収獲高一八俵生産者保有量〇、八一石種子〇、三一石供出割当量一五俵と定めたこと、その直後同月二五日か二六日にa村役場の掲示板に右農業計画を記載した書面を掲示して公表したこと、右農業計画にたいして被上告人が異議申立をしなかつたこと及び上告人は食確法第七条に従つて被上告人に対して右農業計画を指示すべきであつたに拘らず昭和二四年八月八日の甲第一号証の一、二の書面の交付までの間に前記農業計画に定めた作付反別、反収収獲量、生産者保有量、種子、供出割当量を被上告人に通知しなかつたことは原判決の確定判示しているところである、上告人は甲第一号証の一、二の交付による通知をもつて食確法第七条の指示と解すべきものであると主張するのであるが食確法にいわゆる農業計画は主要食糧農産物の生産及び供出を確保するため生産数量及び供出数量の割当等を定めるものであるからその性質上その農業計画の目的とする特定年度の特定主要食糧の生産のための作業の開始前に定めかつ生産者に指示することを要するものといわなければならない。そして食確法第七条第二項には指示を受けた者はその指示に係る農業計画において定められた生産数量の確保に努めなければならない旨を規定し同第三項には指示があつたときはその指示に係る農業計画において定められた主要食糧農産物の供出数量(第八条第一項の規定による変更があつた場合においてはその変更後における供出数量)をもつてその指示を受けた者が食糧管理法第三条第一項の規定により政府に売り渡すべき数量とする旨を規定しているのであるから市町村長の生産者に対する農業計画の指示は生産者に生産確保の義務を課しまた具体的な供出義務を生ずる重要な手続であつて、もしこの手続が履践されない以上生産者の供出義務は生じないものといわなければならない、本件において指示のなかつたことは前段説明の如く原判決の確定しているところであるから被上告人は供出義務はないのである従つて昭和二四年八月八日の甲第一号証の一、二の書面によつて被上告人に対して小麦一四俵一〇貫九五〇匁を同月二〇日限り政府に売り渡すべき旨命じてもそれは違法であるといわなけれはならない、また右書面による通知は昭和二四年度の麦類の収獲期を過ぎた後になされたものであるから右通知をもつて食確法第七条の指示と解することはできない、然らは原判決には何等所論のような違法なく論旨はいずれも理由がない。 上告代理人伊沢庚子郎の上告理由第三点について
論旨は本件行政処分の取消は公共の福祉に重大な影響を及ぼすものであるから行政事件訴訟特例法第一一条により本件請求を棄却すべきであるというのであるが、本件行政処分を取消すことが公共の福祉に適合しないと認めることはできないから論旨は採用できない。
よつて民訴四〇一条九五条八九条により主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員一致の意見である。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一 裁判官 栗 山 茂 裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 谷 村 唯 一 郎
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