事件番号 | 昭和24新(れ)536 |
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事件名 | 窃盗 |
裁判年月日 | 昭和25年4月25日 |
法廷名 | 最高裁判所第三小法廷 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 棄却 |
判例集等巻・号・頁 | 刑集 第4巻1号693頁 |
原審裁判所名 | 東京高等裁判所 |
原審裁判年月日 | 昭和24年11月12日 |
判示事項 | 一 憲法第三一條同第三七條第三項と必要的辯護事件 二 法令の誤解に基く違憲の主張と刑訴法第四〇五條第一號 三 刑訴施行法第五條の法意 |
裁判要旨 | 一 憲法第三一條、第三七條第三項はすべての被告事件を必要辯護事件としなければならないという趣旨ではなく、如何なる事件を必要辯護事件となすべきものかは專ら刑訴法に依り決すべきことである。(昭和二四年(れ)第六〇四號同二五年二月一日大法廷判決)。 二 法令の誤解に基きこれを基礎として憲法違反を主張することは法律にいう違憲の主張にあたらないこと、當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第九三〇號同二四年六月二九日大法廷判決)の示す通りである。 三 刑訴施行法第五條は、刑訴法施行後犯罪事實が發生した事件にも適用される。 |
参照法条 | 憲法31條,憲法37條3項,刑訴法279條1項,刑訴法405條1號,刑訴法289條,刑訴施行法5條 |
裁判日:西暦 | 1950-04-25 |
情報公開日 | 2017-10-17 15:10:45 |
本件上告を棄却する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理 由 国選弁護人関口保二の上告趣意について。 論旨は、第一審において弁護人の関与なくして行われた訴訟資料に基いて審理された控訴審の判決は憲法第三一条第三七条第二項に違反するというのであるが、原審の訴訟手続自体は弁護人立会の上適法に行はれているのであるから、論旨は、結局弁護人を附せず審理した訴訟手続に基く第一審簡易裁判所の判決を維持した原判決は右憲法の各条項に違背するとの趣旨と解せられる。 ところで、憲法第三一条、第三七条第三項はすべての被告事件を必要弁護事件としなければならないという趣旨ではなく、如何なる事件を必要弁護事件となすべきものかは専ら刑訴法に依り決すべきことである。(昭和二四年(れ)第六〇四号同二五年二月一日大法廷判決)。然るに本件は窃盗被告事件であつて、簡易裁判所においてその第一審がなされたものである。そうして刑訴施行法第五条は刑訴施行後に発生した事件にも適用があるものと解すべきものであるから、被告人が第一審公判前あらかじめ書面を以て弁護人を必要としない旨の申出のあつた本件において、同裁判所が弁護人なくして開廷審理したことに何等の違法なく、従つて、この第一審判決を維持した原判決には違法はないのである。かように法令の誤解に基きこれを基礎として憲法違反を主張することは、法律にいう違憲の主張にあたらないこと、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第九三〇号同二四年六月二九日大法廷判決)の示す通りである。それ故論旨は適法な上告理由とならないものである。 被告人の上告趣意は明らかに刑訴第四〇五条所定の上告理由に該当しないものである。 尚本件記録を調べてみても同第四一一条に該当すべき事由はない。 よつて同第四〇八条第一八一条を適用して主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。 昭和二五年四月二五日 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎 裁判官 井 上 登 裁判官 島 保 裁判官 河 村 又 介 裁判官 穂 積 重 遠 |