事件番号 | 昭和23(れ)425 |
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事件名 | 強盗、同未遂、窃盗、銃砲等所持禁止令違反 |
裁判年月日 | 昭和23年7月22日 |
法廷名 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | 棄却 |
判例集等巻・号・頁 | 刑集 第2巻9号995頁 |
原審裁判所名 | 東京高等裁判所 |
原審裁判年月日 | 昭和22年12月6日 |
判示事項 | 一 日本刀を携帯して強盗することを共謀して見張をした者の日本刀不法所持についての責任 二 屋外の見張りと強盜の共同正犯 |
裁判要旨 | 一 日本刀を携帯して強盗することを共謀し、その見張をした者は、その日本刀を嘗て手にしたことがなくても、銃砲等所持禁止令違反の共同正犯である。 二 數人が強盜の實行を共謀し、そのうち一人が屋外の見張りをしただけであつても、他の共犯者の實行行爲を介して自己の犯罪敢行の意思を實現したものと認められる場合には、なお強盜の共同正犯たるの責を兔れない。 |
参照法条 | 銃砲等所持禁止令1条,刑法60条,刑法236條1項 |
裁判日:西暦 | 1948-07-22 |
情報公開日 | 2017-10-17 15:16:36 |
本件上告を棄却する。 理 由 弁護人安藤一二夫の上告趣意について。 犯罪の敢行を謀議した共犯者は、たとい犯罪の現場においては唯見張をなしただけでその実行行為に直接加担しなかつたとしても、他の共犯者の実行行為を介して自己の犯罪敢行の意思を実現したものと認められる場合には、なお共同正犯たるの責を免れ得ないものであることは既に当裁判所の判例とするところである。然るところ原審の確定した事実によれば被告人は第一審相被告人Aに誘われ同人の所持する刃渡り一尺三寸余の日本刀を使つて他人を脅迫して金品を強奪しようと企て、共謀の上前後二回に亘り法定の除外事由がないにも拘わらずAにおいて、右日本刀を携帯して他家に侵入し家人に対しその抜身を突きつけ静にしろ金を出せ騒ぐと斬るぞなどと言つて脅迫し金品を強取し(但し一回は未遂)、被告人はその間屋外にあつて見張をしたというのである。従つて論旨の主張するように被告人は右日本刀を嘗て手にしたことがなかつたとしても、共犯者Aの行為を介して法定の除外事由がないにも拘らず、日本刀を携帯使用して他人を脅迫する意思を実現したものといゝ得るのであるから、原審が被告人を所論銃砲等所持禁止令違反として所断したのはむしろ当然であり、原判決には所論のような違法はない。論旨は理由なきものである。 よつて刑訴第四四六条に従つて主文の通り判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官 下秀雄関与 昭和二三年七月二二日 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 岩 松 三 郎 裁判官 沢 田 竹 治 郎 裁判官 真 野 毅 裁判官 齋 藤 悠 輔 |