判例検索β > 昭和23年(れ)第904号
昭和二一年勅令第三一一号違反
事件番号昭和23(れ)904
事件名昭和二一年勅令第三一一号違反
裁判年月日昭和23年12月16日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果破棄自判
判例集等巻・号・頁刑集 第2巻13号1796頁
原審裁判所名広島高等裁判所
原審裁判年月日昭和23年6月11日
判示事項一 昭和二二年六月二七日から同年八月二五日までの間に行われた連合国占領軍の財産不法所持罪に対する適用法条
二 證人申請の採否についての事實審の裁量權と憲法第三七條
裁判要旨一 昭和二二年六月二七日から同年八月二五日までの間において行われた連合国占領軍の財産を不法に所持した行為は、昭和二一年勅令第三一一号第二条第三項、第四条を適用して処断すべきである。
二 證人申請の採否も原審の自由裁量に屬すること言うまでもないから、原審がそれを採用しなかつたからとて、憲法第三七條第一項の公平な裁判所の裁判を受ける權利を害するものといえないこと並びに同條第二項後段に違反するものでないこといずれも當裁判所の判例の趣旨とするところである。(昭和二二年(れ)第二三〇號同二三年七月二九日言渡大法廷判決)
参照法条連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令1条,連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令2条,連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令4条,刑訴法344條,憲法37條
裁判日:西暦1948-12-16
情報公開日2017-10-17 15:15:16
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主 文
原判決を破棄する
被告人を懲役四月及び罰金参万円に処する
右罰金を完納することができないときは、金百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理 由
弁護人渡辺里樹上告趣意について。
執行猶予の言渡は原審が所論その他諸般の情状に照しこれが言渡をすることが刑の一般予防の目的を害せず、却て、その特別予防の目的を達成するに適するか否かを職務上自由に裁量して決定すべき任意事項であるから、原審がこれを言渡さなかつたからとてもとより違法であるといえない。また、証人申請の採否も原審の自由裁量に属すること言うまでもないから、原審がこれを採用しなかつたからとて、憲法第三七条第一項の公平な裁判所の裁判を受ける権利を害するものといえないこと並びに同条第二項後段に違反するものでないこと、いずれも当裁判所の判例の趣旨とするところである(前者につき昭和二二年(れ)第二五三号同二三年七月一四日言渡大法廷判決、後者につき同二二年(れ)第二三〇号同二三年七月二九日言渡大法廷判決各参照)なお、刑訴第四一〇条第一三号にいわゆる法律ニ依リ公判ニ於テ取調フヘキ証拠とは、刑訴第三四二条に規定するがごとき法律上必ず取調を要すべき証拠というものであるから、所論第一点で言うような公判廷で申請した証人若しくは所論第二点で主張するような参考として弁護人から原審に提出した証明書、診断書、歎願書及びレントゲン背髓カリエス写真のようなものは、いずれもこれに当るものとはいえない。それ故原審判決には、所論第一、二点でいうような違法はない。
しかし、職権を以て調査するに、原判決は、その法律適用において、被告人の所為をば、昭和二一年勅令第三一一号第四条第一項、第一条第四号、一九四七年六月二七日連合国最高司令官の刑事裁判権の行使に関する覚書改正の件に該当するものとしたが、右第一条第四号は我が国の刑事裁判権に属する事件に適用のない規定であるのみならず、右覚書改正の件に基く昭和二二年政令第一六六号によつて削除せられたものであるから、かゝる法令を適用したのは法令を不当に適用した違法があるものといわざるを得ない。従つて本件上告は、この点において結局理由あるに帰し原判決は破棄を免れない。
よつて刑訴第四四七条、第四四八条に従い原判決を破棄し被告事件につき更に判決を為すに、原判決の確定した被告人の所為は、昭和二一年勅令第三一一号第二条第三項第四条第一項にいわゆる占領目的に有害な行為に該当するところ、情状により同条第二項をも適用しその所定の懲役刑及び罰金刑の刑期及び金額の範囲内において、被告人を主文の懲役刑及び罰金刑に処し刑法第一八条により罰金不完納の場合は、主文の期間被告人を労役場に留置すべきものとし、主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
検察官 安平政吉関与
昭和二三年一二月一六日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 齋 藤 悠 輔 裁判官 沢 田 竹 治 郎 裁判官 真 野 毅 裁判官 岩 松 三 郎
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