判例検索β > 昭和36年(あ)第3052号
建築基準法違反、公衆浴場法違反
事件番号昭和36(あ)3052
事件名建築基準法違反、公衆浴場法違反
裁判年月日昭和39年7月21日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別判決
結果破棄差戻
判例集等巻・号・頁刑集 第18巻6号412頁
原審裁判所名仙台高等裁判所
原審裁判年月日昭和36年11月14日
判示事項公衆浴場法第二条第一項の「公衆浴場」にあたるとされた事例。
裁判要旨本件組合浴場のように、利用者は組合員たる資格を有するものに限定されていても、当該地域の住民であるかぎり組合への加入脱退は各人の自由であるなど、組合の組織、構成の実態に照らし利用者の性格が一般公衆性、社会性を具有するものと認められるもの(判文参照)は、公衆浴場法第二条第一項の「公衆浴場」にあたるものと解すべきである。
参照法条公衆浴場法1条,公衆浴場法2条1項,公衆浴場法8条1号
裁判日:西暦1964-07-21
情報公開日2017-10-17 14:17:28
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主 文
原判決を破棄する
本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
理 由
検祭官の上告趣意第一点について。
所論の指摘する原判決の判示中、公衆浴場法二条一項適用の対象となる公衆浴場に関する解釈が、引用にかかる大阪高等裁判所判例(昭和三四年(う)第四三二号同年一〇月一四日判決、高裁刑集一二巻九号八八一頁)の趣旨と相反することは所論のとおりである。
よつて考察するに、原審の認定するところによれば、本件組合浴場は、被告人がその所有の浴場施設を提供し、A衛生浴場協同組合なる名称の下に、浴場経営を目的として設立された組合組織によるもので、被告人自らその組合長となり、組合員より入浴の都度、維持費の名目で一定の料金(一一才以上一〇円、一一才未満五円)を徴収して経営せられ、その組合員は右浴場の利用を希望する同町住民をもつて構成され、当初三十数世帯が加入し、その後新規加入者を含めて組合員の数は漸次拡大されたというのであり、しかも原判示組合規約によれば、同町住民である限り組合への加入脱退は各人の自由であることが明らかであるから、本件浴場の利用者は、たとえ、右組合員たる資格を有する者に限定されていたとしても、その実体は、時とともに浮動する当該地域の一般住民多数であつて、組合員という形式的な枠を除けば、いわば市井の公衆浴場の利用者と実質的になんら異なるところはなく、この点で右利用者の性格が一般公衆性、社会性を具有することは否定できない。そして所属組合員の多数なるこの種組合浴場が叙上の意味で社会性を有することは、原判決自体これを認めるところである。そうだとすれば、本件組合浴場は、公衆浴場の経営につき、その公共的性格に鑑み、公衆に対する保健衛生と風紀上特別の取締、指導の必要から許可制を採用した同法の法意に照らし、同法一条一項にいわゆる公衆浴場の一形態として、当然同法による営業規制の対象に含まれるものと解するのが相当である。論旨引用の判例は、会員組織による浴場経営の場合に関し、右と同じ見解に立ち、入浴者の性格が公衆性を帯びる場合には、たとえ会員証を所持するものに限り入浴が許される立前をとつているとしても、当該浴場の経営は、同法にいう公衆浴場の経営に当るものと認めたもので、この判示は正当として是認さるべきである。従つて、原判決が右判例の趣旨と異なる見解の下に、本件組合浴場は同法の適用外にあるものと解し、本件公訴事実第二の(ロ)の同法違反の点につき無罪の言渡をしたのは、失当といわねばならない。それゆえ、所論は理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。 ところで、原判決中有罪部分(原判示第一の建築基準法違反および同第二の公衆浴場法違反の点)に対し、原審弁護人から上告の申立があつたが、被告人および弁護人は上告趣意書を提出しない。しかし、前示無罪部分と右有罪部分とはともに併合罪の関係があるとして起訴されたものにかかるから、前者につき原判決を破棄すべき理由が存する以上、いまだ確定をみない後者とともに原判決は全部破棄を免れない(昭和三〇年(あ)第一九九六号同三三年一一月四日第三小法廷判決、刑集一二巻一五号三四三九頁参照)。
よつて、刑訴四一〇条一項本文、四〇五条三号、四一三条本文により主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
検察官 高木一公判出席
昭和三九年七月二一日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 柏 原 語 六 裁判官 石 坂 修 一 裁判官 五 鬼 上 堅 磐 裁判官 横 田 正 俊 裁判官 田 中 二 郎
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