判例検索β > 昭和24新年(れ)第322号
食糧管理法違反
事件番号昭和24新(れ)322
事件名食糧管理法違反
裁判年月日昭和25年7月13日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁刑集 第4巻7号1335頁
原審裁判所名名古屋高等裁判所
原審裁判年月日昭和24年9月24日
判示事項一 自家消費のためのみの主要食糧の移動の制限は憲法第一三條及び第二五條違反か
二 刑訴施行法第五條にいわゆる「前條の事件」の趣旨と新刑訴法施行後における右施行法の適用の有無
裁判要旨一 食糧管理法が自家消費の爲のみにする主要食糧の移動であつても法定の除外事由がない限りこれを處罰すべきものと定めているからといつて同法をとらえて憲法第二五條の規定に違反するものといえないことは當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第二〇五號同年九月二九日大法廷判決、判例集第二卷第一〇號第一二三五頁以下)の趣旨とするところである。又食糧管理法の規定は公共福祉の爲に人の自由を制限するものであることは同法第一條の規定に照して明らかなところである。そして憲法第一三條は生命自由幸福追求の權利は公共の福祉に反しない限度において國政の上で尊重されなければならない旨を規定しているのであるから食糧管理法が公共の福祉の爲に必要であるとして所論のような主要食糧の移動までも制限しその制限に反する所爲を處罰する趣旨の規定を設けているからといつて同法を目して憲法第一三條に違反するといえないこともまた當裁判所の判例の趣旨とするところである。
二 刑訴法施行法第五條の規定にいわゆる前條の事件とは犯罪の行われた時が新刑訴法施行の前であると後であるとを問わずいやしくも新刑訴施行の際にまだ公訴の提起されていないすべての事件を指す義と解すべきことは文詞からも條理からも明らかなところであつて、同條の規定が新刑訴法を施行することに關して定められたものであるからといつて、所論のように犯罪が新刑訴法の施行後に行われた場合の事件の審判にはその適用がないと解すべき理由はない。
参照法条憲法25條,憲法13條,食糧管理法9條,食糧管理法31條,刑訴施行法5條
裁判日:西暦1950-07-13
情報公開日2017-10-17 15:10:10
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主 文
本件上告を棄却する
当審における訴訟費用は上告人の負担とする。
理 由
弁護人黒田代吉の上告趣意第一点について。
しかし、所論食糧管理法が自家消費の為のみにする主要食糧の移動であつても法定の除外事由がない限りこれを処罰すべきものと定めているからといつて同法をとらえて憲法二五条の規定に違反するものといえないことは当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第二〇五号同年九月二九日大法廷判決。判例集二巻一〇号一二三五頁以下)の趣旨とするところである。又食糧管理法の規定は公共の福祉の為に人の自由を制限するものであることは同法一条の規定に照して明らかなところである。そして憲法一三条は生命自由幸福追求の権利は公共の福祉に反しない限度において国政の上で尊重されなければならない旨を規定しているのであるから食糧管理法が公共の福祉の為に必要であるとして所論のような主要食糧の移動までも制限しその制限に反する所為を処罰する趣旨の規定を設けているからといつて同法を目して憲法一三条に違反するといえないこともまた当裁判所の判例の趣旨とするところである。論旨はそれ故理由がない。そして本件では刑訴四一一条を適用すべきものとも認められない。
同第二点について。
しかし、所論の施行法の規定にいわゆる前条の事件とは犯罪の行われた時が新刑訴法施行の前であると後であると問わずいやしくも新刑訴法施行の際にまだ公訴の提起されていないすべての事件を指す義と解すべきことは文詞からも条理からも明らかなところであつて、同条の規定が新刑訴法を施行することに関して定められたものであるからといつて、所論のように犯罪が新刑訴法の施行後に行われた場合の事件の審判にはその適用がないと、解すべき理由はない。されば第一審裁判所が被告人から弁護人の選任を辞退したので所論施行法の規定に従つて弁護人なくして開廷し本件を審判したからといつて違法であるとはいえない。それ故論旨はその前提において明らかに刑訴四〇五条に定める事由にあたらないし、また、同四一一条を適用すべきものとも認められない。
被告人の上告趣意は期間後の提出にかかるものであるから説明を与えない。 よつて刑訴四〇八条同一八一条一項に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和二五年七月一三日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 沢 田 竹 治 郎 裁判官 斎 藤 悠 輔 裁判官 穂 積 重 遠
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