判例検索β > 昭和47年(オ)第968号
家屋明渡請求
事件番号昭和47(オ)968
事件名家屋明渡請求
裁判年月日昭和48年7月19日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果破棄差戻
判例集等巻・号・頁民集 第27巻7号845頁
原審裁判所名大阪高等裁判所
原審事件番号昭和46(ネ)401
原審裁判年月日昭和47年6月6日
判示事項無断転貸を理由とする解除の意思表示と借家法一条の二の解約申入
裁判要旨無断転貸を理由とする賃貸借契約解除の意思表示は、それ以外の理由によつては解除をしないことが明らかにされているなど特段の事情のないかぎり、同時に借家法一条の二の解約申入としての効力をも有する。
参照法条民法612条,借家法1条ノ2
裁判日:西暦1973-07-19
情報公開日2017-10-18 06:57:44
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主 文
原判決を破棄し、本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
理 由
上告人の上告理由第三、四点について。
賃借人が占有補助者によつて賃借物を占有使用しているときは、賃借人は、その占有補助者が賃借物に関してした行為につき、特段の事情のないかぎり、賃貸人に対して責任を負うものと解すべきである。しかるに、原判決に徴すると、原審は、賃借人D、同Eがその占有補助者として本件家屋に居住させている被上告人において本件家屋をF、Gらに転貸したことを認めながら、特段の事情を認定することもなく、賃借人らみずからがしたものではないというだけの理由で、右転貸につき賃借人らになんらの責任はない旨判断したものであることが明らかであるから、原審の右判断は前述の法理に違背するものといわなければならない。論旨は理由がある。 同第五点について。
原判決によると、原審は、上告人の借家法一条の二の解約申入れによる本件賃貸借終了の主張について、解約申入れのあつたことの主張、立証がないとしてこれを斥けたことが明らかである。
ところで、原判決および記録によると、上告人は、昭和四六年五月八日賃借人らに対して無断転貸を理由として賃貸借解除の意思表示をしたが、本訴においては、解除理由として無断転貸を主張するとともに、右解除の意思表示をした当時借家法一条の二の正当事由が存在したから、右解除の意思表示には同時に、同法同条の解約申入れとしての効力もある旨主張しているのである。思うに、賃貸借の解除・解約の申入れは、以後賃貸借をやめるというだけの意思表示であり、その意思表示にあたりいかなる理由によつてやめるかを明らかにする必要はないのであるから、賃貸人がたまたまある理由を掲げて右意思表示をしても、特にそれ以外の理由によつては解除や解約の申入れをしない旨明らかにしているなど特段の事情のないかぎり、その意思表示は、掲げられている理由のみによつて賃貸借をやめる旨の意思表示ではなく、およそ賃貸借は以後一切やめるという意思表示であると解するを相当とする。そうすると、その意思表示の当時、そこに掲げられた理由が存在しなくても他の理由が存在しているかぎり、右意思表示は存在している理由によつて解除・解約の効力を生ずるものと解すべきである。それゆえ、たとえ、無断転貸により解除する旨の意思表示がなされても、その当時、借家法一条の二の正当事由が存在しているときには、右意思表示は同時に同法同条による解約申入れとしての効力をも生じているというべきである。
してみると、前述のように解除の意思表示があつたことを認めながら、解約申入れのあつたことの主張、立証がないとして正当事由の存否についてなんらの判断をすることなく上告人の前記主張を斥けた原審の判断には、右法理の適用を誤つた違法があるといわなければならない。論旨は理由がある。
叙上のとおり、論旨第三ないし第五点に関し、原判決には違法があり、右違法は判決の結論に影響することが明らかであるから、その余の論旨につき判断をするまでもなく、原判決は破棄を免れない。
よつて、本件について更に無断転貸による解除権発生の有無、正当事由の有無等について審理させるため、民訴法四〇七条一項により原判決を破棄し、本件を原審に差し戻すこととし、裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 藤 林 益 三 裁判官 大 隅 健 一 郎 裁判官 下 田 武 三 裁判官 岸 盛 一 裁判官 岸 上 康 夫
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