判例検索β > 昭和41年(オ)第1005号
店舗明渡請求
事件番号昭和41(オ)1005
事件名店舗明渡請求
裁判年月日昭和46年11月25日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁民集 第25巻8号1343頁
原審裁判所名大阪高等裁判所
原審事件番号昭和40(ネ)206
原審裁判年月日昭和41年5月31日
判示事項借家法一条の二に基づく解約を理由とする家屋の明渡訴訟において当事者の明示の申立額をこえる立退料の支払と引換えに明渡請求を認容することを相当と認めた事例
裁判要旨借家法一条の二に基づく解約を理由として家屋の明渡を求める訴訟において、その正当事由として、右家屋が京都市屈指の繁華街にある店舗でありながら老朽化して建替えを要する等原審認定のような諸事情(原判決理由参照)があるほか、家主がその補強条件として三〇〇万円もしくはこれと格段の相違のない範囲内で裁判所の決定する額の立退料を支払う旨の意思を表明し、これと引換えに家屋の明渡を求めている場合には、五〇〇万円の立退料の支払と引換えに右明渡請求を認容することは相当である。
参照法条借家法1条ノ2
裁判日:西暦1971-11-25
情報公開日2017-10-18 06:59:28
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主 文
本件上告を棄却する
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人桂辰夫、同津田雄三郎の上告理由第一について。
原判決は、第一審判決の理由を引用することにより、本件賃貸借契約は、被上告人(原告)が期間満了前適法な更新拒絶の意思表示をしないまま期間が満了したため、右期間満了後は、期間の定めのないものに更新されたと判示しているのであつて、所論の点につき、判断を遺脱した違法はない。しかして、借家法二条によつて更新された賃貸借が、期間の定めのない賃貸借となると解すべきことは、既に当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和二七年一月一八日第二小法廷判決民集六巻一号一頁、同二八年三月六日第二小法廷判決民集七巻四号二六七頁参照)。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。
同第二について。
原審は、被上告人(被控訴人)が、本件賃貸借契約の更新後である本訴において、解約申入を原因とする主張を維持していることから推断して、所論の準備書面をもつて黙示的に解約申入をしているものと判断しているのであつて、右判断は正当である。されば、原判決に所論の違法はなく、所論は原判決を正解せず、これを非難するものであつて、採用できない。
同第三について。
被上告人の本件係争店舗の敷地利用計画に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠によつて肯認されえないではなく、この事実を本件賃貸借契約の解約申入に関する正当事由として考慮した原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。したがつて、論旨は採用できない。 同第四について。
原審の確定した諸般の事情のもとにおいては、被上告人が上告人に対して立退料として三〇〇万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し、かつその支払と引き換えに本件係争店舗の明渡を求めていることをもつて、被上告人の右解約申入につき正当事由を具備したとする原審の判断は相当である。所論は右金額が過少であるというが、右金員の提供は、それのみで正当事由の根拠となるものではなく、他の諸般の事情と綜合考慮され、相互に補充しあつて正当事由の判断の基礎となるものであるから、解約の申入が金員の提供を伴うことによりはじめて正当事由を有することになるものと判断される場合であつても、右金員が、明渡によつて借家人の被るべき損失のすべてを補償するに足りるものでなければならない理由はないし、また、それがいかにして損失を補償しうるかを具体的に説示しなければならないものでもない。原審が、右の趣旨において五〇〇万円と引き換えに本件店舗の明渡請求を認容していることは、原判示に照らして明らかであるから、この点に関する原審の判断は相当であつて、原判決に所論の違法は存しない。したがつて、これと異なる論旨は、採用しえない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 藤 林 益 三 裁判官 岩 田 誠 裁判官 大 隅 健 一 郎 裁判官 下 田 武 三 裁判官 岸 盛 一
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