判例検索β > 昭和32年(あ)第612号
単純収賄、印紙犯罪処罰法違反
事件番号昭和32(あ)612
事件名単純収賄、印紙犯罪処罰法違反
裁判年月日昭和35年3月18日
法廷名最高裁判所第二小法廷
裁判種別判決
結果棄却
判例集等巻・号・頁刑集 第14巻4号357頁
原審裁判所名名古屋高等裁判所
原審裁判年月日昭和32年1月30日
判示事項一 取引高税印紙は印紙犯罪処罰法にいう印紙か
二 収賄罪の成立する事例
裁判要旨一 印紙犯罪処罰法制定後その施行中に政府が新に発行した取引高税印紙は印紙犯罪処罰法にいう印紙にあたる。
二 地方法務局登記課商業法人登記係長で、登記官吏として主に商業法人登記に関する事務を担当し、補助的には法人関係の不動産登記に関する事務をも職務としていた者が、商業法人の土地建物の価格設定、家屋台帳訂正申告、所有権移転登記申請等に関し便宜な取計を受けたい趣旨の下に供与されるものであることの情を知りながら金員の供与を受けたときは、収賄罪が成立する。
参照法条印紙犯罪処罰法2条,取引高税法11条,刑法197条,不動産登記法11ノ2,非訴事件手続法139ノ2
裁判日:西暦1960-03-18
情報公開日2017-10-17 14:22:07
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主 文
本件各上告を棄却する
理 由
被告人Aおよび同Bの弁護人岡崎源一および同立崎亮吉の上告趣意第五点について。
所論は憲法違反をいうけれども、その実質は法令違反の主張に帰するのであつて、適法な上告理由とならない。そして、印紙犯罪処罰法制定後その施行中に政府が新に発行した取引高税印紙が同法にいう印紙に該当することは当裁判所の判例とするところであるから(昭和二九年(あ)第一五二三号、同三〇年二月三日第一小法廷決定、集九巻二号一七七頁、昭和三〇年(あ)第二八五八号、同三三年三月二五日第三小法廷判決、集一二巻四号六四二頁)、これと同趣旨に出でた原判断は正当であつて何ら所論のような違法はない。
同第六点について。所論は原判決の高等裁判所判例違反を主張する。しかし、被告人Bに対する昭和二七年四月二日附起訴状記載の印紙犯罪処罰法二条一項前段の印紙交付の公訴事実と第一審判決判示第三の(二)の同規定の印紙使用の認定事実との間には公訴事実の同一性を認めることができ、また前記のような起訴に対し、訴因変更の手続を経ることなく、右のような認定をしたからといつて、被告人の防禦に実質的な不利益を来たさしめているとみるべき節はない。従つて、原判決には所論のような違法はなく、論旨引用の諸判例の事案は本件とは場合を異にし、適切でない。
同第七点および第八点について。
所論は単なる法令違反または量刑不当の主張であつて、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
同第九点について。 所論は判例違反、憲法違反をいう点もあるが、原判決は被告人Aにおいて第一審判決判示第一の(一)の饗応および毛糸がその職務に関する賄賂であることを認識しながらこれを収受したものと認定した趣旨であることが極めて明白であるから所論判例違反の主張は既にその前提において失当であり、所論違憲の主張が採用できないことは論旨第五点につき説示したとおりである。その余の論旨は法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
同第一〇点について。
所論は量刑不当の主張であつて、上告適法の理由とならない。
被告人Cの弁護人斎藤俊平、同吉江知養、同清田一郎および同川崎友夫の上告趣意第一点について。
所論は原判決の大審院判例違反をいうけれども、原判決が所論饗応と毛糸を一般社交的儀礼とみなかつたからといつて、論旨引用の判例と相反する判断をしたことにはならず、所論の実質は原判決が右饗応、毛糸を賄賂と判断したことを非難するに帰し、上告適法の理由とならない。
同第二点について。
所論は原判決の最高裁判所および大審院の各判例違反を主張する。しかし、原判示によれば、被告人Cは第一審判決判示第一の(一)、(二)の犯行当時、津地方法務局の商業法人登記係長で、登記官吏として主に法人登記に関する事務を担当していたが、補助的には同判示のような法人関係の不動産登記に関する事務をも職務として担当していたというのであるから、原判決が同被告人の前示第一審判決判示第一の各所為につき収賄罪の成立を肯定したのは相当であつて、これをもつて論旨引用の各判例と相反する判断をしたものということはできない。
同第三点について。
所論は原判決の最高裁判所判例違反をいうけれども、その実質は事実誤認、訴訟法違反の主張に帰するのであつて、上告適法の理由とならない。 被告人C、同Aおよび同Bの弁護人野呂正達の上告趣意第一点について。 所論は憲法違反をいうが、原判決は判示第三の(二)の事実を認定する証拠として数多くの証拠を挙示しており、本人の自白だけで被告人Bを有罪としているわけではなく、右の諸証拠を総合すれば右事実は所論の点をも含めて総べてこれを肯認するに足りるから、所論違憲の主張は前提を欠き、採用できない。 同第二点について。
所論は憲法違反をいうが、記録を調べても所論各供述調書につき取調官の強制、脅迫等の事実を認むべき証跡はないから、論旨は前提において失当であつて、採用し難い。
同第三点および第四点について。
所論は事実誤認または量刑不当の主張であつて、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
被告人Dの弁護人浦野三好の上告趣意第一点について。
所論は違憲をいうけれども、その実質は量刑不当の主張に帰し、上告適法の理由とならない。
同第二点について。
所論は判例違反をいう点もあるが、その判例を具体的に示していないし、その余の論旨は単なる法令違反、事実誤認の主張を出でないものであつて、すべて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
また、記録を調べても、本件につき同四一一条を適用すべき事由ありとは認められない。
よつて、刑訴四〇八条に則り、裁判官全員一致の意見で、主文のように判決する。 昭和三五年三月一八日 最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 池 田 克 裁判官 河 村 大 助 裁判官 奥 野 健 一
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