判例検索β > 昭和35年(あ)第1671号
児童福祉法違反
事件番号昭和35(あ)1671
事件名児童福祉法違反
裁判年月日昭和37年4月26日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果その他
判例集等巻・号・頁刑集 第16巻4号449頁
原審裁判所名大阪高等裁判所
原審裁判年月日昭和35年6月2日
判示事項児童福祉法第六〇条第一項の罪と売春防止法第一二条の罪とが想像的競合となる事例
裁判要旨児童をして多数の婦女とともに自己の占有もしくは管理する場所に居住させ、売春させることを業としたときは、一個の行為にして児童福祉法第六〇条第一項の罪と売春防止法第一二条の罪との二個の罪名に触れる場合にあたる。
参照法条児童福祉法34条1項6号,児童福祉法60条1項,売春防止法12条,刑法54条1項
裁判日:西暦1962-04-26
情報公開日2017-10-17 14:19:49
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主 文
原判決並びに第一審判決を破棄する
被告人を免訴する。
理 由
弁護人井関安治の上告趣意第一は、単なる法令違反の主張であり、同第二は、事実誤認の主張であり、同第三は、量刑不当の主張であつて、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
しかし、職権をもつて調査すると、原判決の維持した第一審神戸家庭裁判所尼崎支部が昭和三五年一月一八日本件につき言渡した判決の罪となるべき事実(本件公訴事実と同趣旨)は、被告人は、尼崎市ab番地のcの被告人住居及び同市d字ef番地のgの料理店AことB方において児童であるC(昭和二〇年二月三日生)をして昭和三四年七月九日頃より同年一〇月一日頃までの間D等不特定多数の男性と淫行をなすことを慫慂し因て多数回に亘る淫行をなさしめて児童に淫行をさせる行為をなしたものであるというのであつて、これに対し同判決は、児童福祉法六〇条一項の包括一罪として被告人を懲役四月に処したものであり、また、これより先昭和三四年一二月二五日神戸地方裁判所尼崎支部が別件につき言渡した判決の罪となるべき事実は、被告人は、前同番地の被告人方に、EことFを昭和三四年二月一九日頃より、GことHを同年二月中頃より、IことJを同年六月三〇日頃より、KことLを同年九月一〇日頃より、MことNを同年六月初頃より、OことPを同年一〇月二日より、いずれも同年一一月九日に至る間居住させ、同女らをして前記各期間同所及び前記料理店AことB方において、Q外多数の遊客を相手に売春させ、もつて売春をさせることを業としたものであるというのであつて、これに対し同判決は、これを包括一罪として売春防止法一二条を適用し被告人を懲役一〇月及び罰金五万円に処し、ただし一年間右懲役刑の執行を猶予する旨言い渡し、該判決は昭和三五年一月九日確定したものであることが明白である。そして、前の判決の罪となるべき事実(本件公訴事実と同趣旨)と、後の判決の罪となるべき事実とを比較して考えて見ると、その犯罪事実は、婦女の年齢を異にするだけであつて、その実質は、すべて、被告人が、婦女をして対価を得て不特定の男性と性交せしめる行為をなしたことを内容とし、その犯行の期間は重複しており、犯行の場所も同一であるから、児童福祉法六〇条一項の罪と売春防止法一二条の罪との法益の差異から見て、被告人の所為は、一個の行為にして数個の罪名に触れるものと解するを相当とする。果たして然らば、後の犯罪につき確定判決があるのに、さらに前の犯罪につき本件判決をすることは、いわゆる確定判決を経たときに当る場合であつて、原判決並びにその維持した第一審判決には刑訴四一一条一号の事由があつて、これを破棄しなければ著しく正義に反するものといわなければならない。
よつて、同法条により主文第一項のとおり原判決並びに第一審判決を破棄し、刑訴四一三条但書に従い、刑訴四一四条、四〇四条、三三七条一号により主文第二項のとおり判決すべきものとする。
この判決は、裁判官の全員一致の意見によるものである。
最高検察庁検事 片岡平太公判出席。
昭和三七年四月二六日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔 裁判官 入 江 俊 郎 裁判官 下 飯 坂 潤 夫 裁判官 高 木 常 七
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