判例検索β > 平成19年(む)第650号
事件番号平成19(む)650
裁判年月日平成19年8月16日
裁判所名・部横浜地方裁判所
結果棄却
裁判日:西暦2007-08-16
情報公開日2017-10-13 01:38:22
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19む650
横浜地裁19.8.16棄却
主文
本件請求をいずれも棄却する
理由
第1被告人の覚せい剤取締法違反事件に関するAの供述調書について弁護人は,B拘置所に警察官が4,5回来て,来るたびに似たような調書を作成した旨のAの公判供述(同人の証人尋問調書29丁ないし30丁)を根拠に既に開示がなされている供述調書以外にも開示請求の対象となる供述証拠が存在すると主張するが,Aの公判供述
(同
証人尋問調書30丁)によると暴行器物損壊事件に関連する車の鍵の話と覚せい剤取締法違反事件に関係する覚せい剤の話は並行してなされている上,Aは覚せい剤取締法違反事件に関する供述調書が何通作成されたかについて正確に記憶しているわけではないことに照らすと上記Aの供述は本件証拠の存在を強く窺わせるものではないこと,弁護人の類型証拠開示請求に対して,順次員面調書2通を開示している検察官の対応等にかんがみると,既に開示した供述調書以外には本件供述調書は存在しないとの検察官の意見に何ら疑問が生じない以上,検察官に対して裁判所の指定する範囲に属するものの標目を記載した一覧表(以下一覧表という。)の提示を命ずるまでもなく,未開示の本件証拠は存在しないものと認められるから証拠の開示を命じる余地はない。
第2カローラフィルダー湘南×××ら××××及びトヨタセルシオ横浜△△△ま△△△△に関する本件各犯行時刻の前後3時間のNシステム該当履歴について刑事訴訟法316条の15による開示が予定されている証拠は,
原則として検察官が現に保管
している証拠を意味するものと解されるが,検察官の意見によると本件各証拠は検察官が現に保管している証拠中に存在しないとされている上,証拠書類化及び公判での証拠としての利用が基本的に予定されていないNシステムの該当履歴に関するデータ・資料等の性質上,検察官に対して送致書等とともに送付されるべきものでもないから,検察官に一覧表の提出等を命じるまでもなく,検察官の手元に存在しない本件証拠の開示を命じる余地はない。
なお,弁護人は本件証拠の開示命令を求める請求において,自動車登録番号○○□□□○□□□□(○は空欄とすることを意味する)に関するNシステムの該当履歴についても証拠開示命令を求めているが,同履歴については本件証拠の開示命令を求める請求に先だって検察官に対する証拠開示請求がなされておらず,開示命令を求める請求の前提を欠いており,同履歴の証拠開示命令を求める請求は不適法である。第3

暴行器物損壊被告事件の犯行時刻前後1時間の被告人とC間における電子メールの
送受信状況を写した写真について
弁護人は,
本件証拠が存在することの根拠としてCが警察から見せてもらったメールに,被告人が家に帰ったと思える履歴が存在した旨の公判供述(Cの証人尋問調書19丁ないし
20丁)を挙げるが,同公判供述はそのときの記憶って本当に全くないんですけれども,1年以上前の話ですから,あんまりないんですけれどもと前置きをして供述されているなど記憶が相当あいまいである上,同供述は,そのメールを読んだときにまっすぐ家に帰るんだなとそのとき思った旨,被告人の帰宅前のメールであることを前提に,被告人が家にいると思った趣旨の供述なのであり,同人が警察から見せてもらったメールに後記写真よりも犯行時刻に近接した時刻に送受信されたメールの写真が含まれていたことを強く窺わせるものではない。また,既に弁護人の類型証拠開示請求に対して,被告人とC間における犯行前の近接した時刻に送受信されたメールの写真が添付された写真撮影報告書が検察官により任意に開示されている経緯も加味して考慮すると,検察官の本件証拠は存在しないとの意見に疑問も生じない以上,
検察官に対して一覧表の提示を命ずるまでもなく,
本件証拠は存在しないものと認められるから証拠の開示を命じる余地はない。第4Dの供述調書について
弁護人は平成17年8月14日付けのEの員面調書が存在することから目撃者であるDについてもその当時の供述調書が存在しないことはあり得ないなどと主張するが,Dの公判供述(Dの証人尋問調書25丁)によると平成17年8月14日にEが被害届を提出した後に調書作成で警察から連絡が来たのは平成18年に入ってからとされており,犯行直後にはDの供述調書は作成されていないことが強く推認される(既に平成18年2月5日付け員面調書抄本1通,同年3月3日付け員面調書2通及び同年5月23日付け員面調書抄本1通,同月2日付け検面調書抄本1通が開示されているが,その作成年月日からも上記Dの公判供述は裏付けられている)。
そうすると,検察官の本件証拠は既に開示されたもの以外には存在しないとの意見に何ら疑問の余地がないから証拠の開示を命じる余地はない。
第5Cの供述証拠
弁護人は,本件証拠が存在する根拠として,カローラフィルダーの鍵について検察官のところで話したことをF警察で訂正し,その旨の調書を作成したとのCの公判供述(同人の証人尋問調書34丁ないし35丁)を挙げるが,甲28,29号証の立証趣旨によるとCがカローラフィルダーの合鍵を作成したことを内容とする検面調書が平成18年6月1日に録取されているところ,この検面調書録取後にCを取り調べ得た警察官に対する電話聴取書(検察官の意見書に添付)
によると,
Cが弁護人が主張するような供述の変遷をした記憶も無く,
変遷を録取した調書を作成した事実もないとされていること,
弁護人の開示請求に対して,
平成18年2月14日付け員面調書1通,同年3月7日付け員面調書1通,同日付け員面調書謄本1通,同年6月1日付け員面調書1通の各開示がなされている一連の開示請求に対する検察官の具体的な対応状況等にかんがみると,検察官の既に開示した供述調書以外には本件供述調書は存在しないとの意見に疑問は生じ得ない以上,検察官に対して一覧表の提示を求めるまでもなく,未開示の本件証拠は存在しないものと認められるから証拠の開示を命じる余地はない。
第6平成17年8月13日,同月14日,平成19年1月27日及び同月28日の被告人の携帯電話発着
信に関するエリア別記録表
弁護人は,被告人が取調べ時,東京都○○区,G県○○市などの詳しいエリアの履歴を示された旨述べていることを根拠に本件証拠の存在を主張する。しかしながら,弁護人の証拠開示請求に対して司法警察員作成の平成18年3月16日付け捜査報告書抄本1通(H県,東京都等の発着信エリアの記載があるもの)の開示が任意になされていること,供述調書や報告書等と異なり不存在であることに評価的要素の乏しい本件証拠について検察官が虚偽の回答をするとは考え難いことなどにかんがみると,検察官の本件証拠は存在しないとの意見に疑問は生じ得ない以上,検察官に対して一覧表の提示を命ずるまでもなく,未開示の本件証拠は存在しないものと認められるから証拠の開示を命じる余地はない。第7結論
よって,弁護人らの本件請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官・栗田健一,裁判官・日野浩一郎,裁判官・田中一洋)
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