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除却命令差止等請求事件
事件番号平成18(行ウ)3
事件名除却命令差止等請求事件
裁判年月日平成21年3月25日
裁判所名・部大阪地方裁判所  第2民事部
判示事項の要旨都市公園内にブルーシート製のテント・小屋掛けその他の工作物を設置し日常生活を営んでいた原告らが,同公園の管理者である被告から,都市公園法27条1項に基づき上記各工作物の除却命令を受け,引き続き,行政代執行法に基づき行政代執行を受けたことについて,上記除却命令及び行政代執行はいずれも違法であるとして,被告に対してした国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が,上記除却命令及び行政代執行は違法とはいえないなどとして棄却された事例
裁判日:西暦2009-03-25
情報公開日2017-10-17 20:37:34
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主文1
原告らの請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由

第1

請求

被告は,原告ら各自に対し,それぞれ,110万円及びこれに対する平成18年1月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2
1
事案の概要
事案の骨子

本件は,原告らが,被告(なお,以下では,被告の公務員を含めて被告ということがある。)が設置管理する都市公園であるa公園又はb公園において,テント・小屋掛けその他の工作物(以下本件テント等という。)を設置してこれらを起居の場所などとして利用していたところ,被告が,各原告に対し,都市公園法27条1項に基づく監督処分として上記各工作物の除却を命じ(以下本件除却命令という。),引き続き,行政代執行法2条に基づく行政代執行を行ったため(以下本件代執行といい,本件除却命令と併せて以下本件各処分という。),原告らが,本件各処分はいずれも違法であるなどと主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,原告ら各自に対する損害金各110万円及びこれに対する本件代執行の日である平成18年1月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
2
(1)

前提事実(争いがない事実には,認定根拠を付記しない。)
本件各公園

a公園及びb公園(併せて以下本件各公園という。)は,いずれも,被告が都市公園法2条の2に基づき設置し,同法2条の3に基づき管理する都市公園(同法2条1項)であり,これらの敷地である土地は被告が所有している。(弁論の全趣旨)
(2)

原告ら
第1事件原告ら及び第3事件原告ら(以下a公園原告らという。)は,
いずれも,本件除却命令及び本件代執行の当時,a公園内にテント・小屋掛けその他の工作物を設置して,これらをその起居の場所などとして利用して日常生活を営んでいた者である。

第2事件原告ら,第4事件原告ら及び第5事件原告ら(以下b公園原告らという。)は,いずれも,本件除却命令及び本件代執行の当時,b公園内にテント・小屋掛けその他の工作物を設置して,これらをその起居の場所などとして利用して日常生活を営んでいた者である。

原告らは,いずれも,本件テント等の設置につき,被告から都市公園法6条
1項に基づく占用許可を受けていない。
(3)

本件各処分に至る経緯
被告は,各原告に対し,それぞれ,平成18年1月5日付けで行政手続法1
3条1項2号に基づく弁明の機会を付与した上で,同月13日,都市公園法27条1項1号に基づき,本件各公園内に設置された,各原告が所有,占有又は管理するブルーシート製テント又は木製工作物その他の不法占用物件を同月17日午後1時までに除却することを命じた(本件除却命令)。

被告は,原告らが上記アの期限までに本件テント等を除却しなかったため,
同月18日付けで,各原告に対し,それぞれ,行政代執行法3条1項に基づき,同月23日を期限とする戒告をした。

被告は,原告らが上記イの期限までに本件テント等を除却しなかったため,
同月24日付けで,各原告に対し,それぞれ,行政代執行法3条2項に基づき代執行令書による通知を行い,同月30日,同法2条に基づき,本件テント等の除却の行政代執行を行った(本件代執行)。
(4)

本件訴訟の経緯
第1事件・第2事件原告らは,平成18年1月11日,当庁に対し,各第1事件・第2事件原告に対する本件除却命令の差止めを求める訴えを提起したが,上記(3)アのとおり,同月13日に本件除却命令が発令されたため,同月17日,同訴えを各第1事件・第2事件原告に対する本件除却命令の取消しを求める訴えに交換的に変更し,さらに,上記(3)ウのとおり,同月30日に本件代執行がされたため,同年7月21日,同訴えを,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求に係る訴えに交換的に変更した。

第3事件原告らは,平成18年1月17日に,第4事件原告らは,同月18
日に,それぞれ,当庁に対し,被告が各第3事件・第4事件原告に対してした本件除却命令の取消しを求める訴えを提起したが,上記(3)ウのとおり,同月30日に本件代執行がされたため,同年7月21日,同訴えを,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求に係る訴えに交換的に変更した。

第5事件原告らは,平成18年6月9日,当庁に対し,国家賠償法1条1項
に基づく損害賠償請求に係る訴えを提起した。
3
争点

本件の主たる争点は,①

本件各処分が国家賠償法上違法か,②

損害発生の有

無及びその額,という2点である。
4
(1)

争点に関する当事者の主張
争点①(本件各処分が国家賠償法上違法か)について
【原告らの主張】
以下の諸事情に照らせば,本件各処分はいずれも国家賠償法上違法である。ア
(ア)

本件代執行の目的が違法不当であること
本件代執行は,被告が主張するような単なる本件テント等の除却(撤去)
ではなく,これらを利用して生活する原告らの本件各公園からの排除・立ち退きそのものを目的とする点において,違法不当である。
すなわち,被告は本件代執行の当日,多数の被告職員及び民間警備会社の警備員を動員するなど大規模な人的体制を準備していたことなど,本件代執行の態様を客観的に見れば,それがそこに生活する原告らを排除する強制立ち退き行為そのものであることは明らかである。この点は,被告職員である証人A,証人B及び証人Dの証言においてもその旨が明らかになっており,被告の本件訴訟における主張においても,原告らが本件各公園内に単に物資を置いていたのではなく,そこが原告らが起居する生活の場であることが当然の前提とされているのである。(イ)

また,被告は,本件代執行の主観的な目的として,原告らの不法占拠
による公園機能の阻害に対して機能回復する必要があった旨主張しているが,実際には,公園機能の阻害といった事実もその機能回復の必要もなかったのであり,被告の本件代執行の本質的目的が,原告らの排除それ自体にあったことは明らかである。
被告が公園機能の阻害として主張するところは,具体的には,①市民が安心できない,②

景観が制約される,③

原告ら以外の

本件各公園の整備工事の支障と

なる,という3点に集約されるのであるが,いずれも理由がない。すなわち,上記①②の点については,実証的な調査,検討により,野宿生活者以外の市民が現実に都市公園としての利用をすることができなくなっている客観的状況が確認されたものではなく,市民の苦情の投書や関係団体からの要望を根拠とする主観的で漠然とした不安やイメージにすぎない。この点は,被告職員である証人A,同B及び同Dの証言からも明らかである。また,上記①の点は,市民の差別意識,偏見から来るものであり,被告はこうした市民の差別意識,偏見を払拭する責務を負っているところ,被告は,これを払拭するどころか,違法な本件代執行を正当化する根拠として主張するが,このように野宿生活者とそれ以外の市民とを峻別して後者の感情を理由として行政代執行による前者の排除を正当化すること自体が被告が野宿生活者という市民を差別的に扱っていることの表れである。そして,上記③の整備工事の支障という点についても,本件テント等の所在地と本件各公園の整備工事対象区画とは重ならず,本件テント等が工事そのものの支障となるとは考え難いこと,あえて本件テント等と重なる区画を工事せずとも整備工事は可能であったこと,本件テント等の一時的移動による対応も可能であったことなどからすれば,本件代執行を正当化する根拠とはなり得ない。なお,証人Dは,本件代執行には本件各公園の整備工事の際の原告らの安全確保という目的もあった旨証言するが,このような理由は同証言に至って初めて出てきたものであることや,原告らの安全を確保するためには危険な工事の場所のみを囲えば足り,公園全体を封鎖する必要はなかったはずであり,そのような理由は後付けの理由にすぎない。そもそも,被告が本件各公園の機能回復として具体的に主張するところは,いずれも,原告ら自身に公園から立ち退いてもらうことを当然の前提とするものである。以上に加えて,本件代執行と同時進行的に,大阪市内の他の都市公園においても被告による野宿生活者の排除行為が行われ,あるいは行われようとしたのであり,これらの動きは,本件代執行が,単に本件各公園の公園機能の回復のために行われたものではなく,本件各公園から原告らを含む野宿生活者を一掃しようとしていたこと,すなわち原告らの排除自体が本件代執行の目的であったことを裏付けている。

本件各処分が,都市公園法及び行政代執行法に違反すること

本件において,原告らの本件テント等を撤去するために都市公園法27条1項1号に基づく除却命令を発することは許されず,したがって,行政代執行法に基づく行政代執行を行うことは許されないから,本件各処分は違法である。すなわち,上記アで述べたとおり,被告の目的は,本件テント等の除去ではなく,公園の明渡しにあったところ,本件代執行は,本件テント等の除却という為す債務を強制的に実現する手段によって,明渡しという与える債務を強制的に実現するものであり,違法である。
(ア)

行政上の強制執行は,民事上の強制執行とは異なり自力執行であって,民
事上の強制執行に比して濫用の危険が大きく,そのため,行政代執行法の制定過程においても行政上の強制執行ができる場合を必要最小限にすべきとの議論がされ,行政上の強制執行は行政代執行と強制徴収のみとされ,直接強制は原則として民事上の手続にゆだねられることになったのである。このように,行政代執行法に基づき強制執行することが許されるのは,為す債務のうち代替可能なものに限られるのであり,先に述べた同法の制定過程等に照らして,代執行と称して実質的には直接強制を行うがごときは同法2条の解釈として許されない。また,都市公園法6条も,占有ではなく占用との文言を用いていることからも明らかなように,同法27条1項は,義務者が都市公園を占用している場合の規定であって,占有している場合の規定ではなく,同法は都市公園を占有している者に対してその明渡しを命じるといった場面は想定していない。しかるに,前記アにおいて述べたとおり,本件各処分の目的は,本件テント等の除去ではなく,本件各公園の明渡し,すなわち与える債務の強制的実現であり,為す債務のそれではない。したがって,被告が同目的を実現するためには民事訴訟に基づく直接強制によらなければならないのであって,このように直接強制が可能である以上,本件テント等の撤去という一部分のみを取り上げ行政代執行という手法によって明渡しという同一の目的を実現することは許されない。(イ)

以上に対し,被告は,本件除却命令に基づく代執行によって,原告らが本
件各公園を出て行かざるを得なくなったとしても,それは,本件テント等の除却に伴う事実上の効果にすぎないと主張する。しかし,都市公園は,元来,地方自治体の占有下におかれているものであり,私人が物の設置なくしてその一区画を占有し得ないのであって,物の設置と占有とは不可分一体の関係にある。つまり,物の設置がなくなった瞬間に当該物の設置に係る区画の占有も失われるのであり,占有の喪失は事実上の効果などではなく,物の設置の中止とイコールなのである。そうであるとすれば,仮に,被告が真に本件テント等の除却のみを目的とし,本件各公園の明渡しを目的として本件各処分を行ったのではないとしても,本件代執行によって必然的に明渡しという結果が生じるのであるから,本件各処分は与える債務につきされたものであるといわざるを得ず,許されないものであることに変わりはない。
(ウ)

また,行政代執行法2条は,行政代執行の要件として,①他の手段によ

ってその履行を確保することが困難であること及び②
その不履行を放置すること

が著しく公益に反すると認められることを定めているところ,本件は上記各要件を満たさない。すなわち,後記のとおり,被告が居宅保護について正確かつ具体的な教示を行い,適正な代替住居を確保すれば,原告らはスムーズに公園からアパート生活に移行できたはずであり,また,本件テント等が工事の支障になるというのであれば,本件テント等の一時的な移動で足りたはずであることからすると,上記①の要件を満たさない。そして,上記②の要件の有無を判断するに当たっては,行政代執行によって得られる利益と,失われる利益とを比較衡量すべきところ,本件代執行によって得られる利益はせいぜい本件各公園の景観や市民の安心感にすぎず,このような市民の安心感も故ないものであるし,工事の進行も本件テント等を少し移動すれば十分可能なものにすぎない。他方で,本件代執行によって原告らが失う利益は,原告らの生活の場であり,命であって,これらを比較衡量すれば上記②の要件を満たすとはおよそ考え難く,本件代執行は行政代執行法2条の要件を欠く。ウ
適切な代替住居の提供がないこと

被告は,本件各処分の適法性の根拠の一つとして,本件各処分に先立ち,原告らに対して自立支援センター及び大阪城仮設一時避難所(以下一時避難所といい,自律支援センターと併せて以下自律支援センター等という。)への入居を勧めたことをあげている。しかし,これら被告が提示した代替措置は以下のようにいずれも不十分なものであって,後記のとおり,憲法,社会権規約及び生活保護法に照らして,本件代執行を正当化する根拠とはなり得ないものである。(ア)

本件各処分に先立ち,被告が原告らに提示した措置は,自律支援センター
又は一時避難所という共同生活施設への入居であるところ,そもそも,このような共同生活施設をもって適切な代替住居と評価することはできない。すなわち,住居は,人が個人としての尊厳を保って生活していくための基盤となる空間であり,このような空間たり得るためには,単に風雨をしのげるのみならず,プライバシーを維持して個人として自由に過ごすことのできる時間,空間を確保する機能や,その保有する財産を物理的に管理することができる機能等が必要であるところ,このような機能は共同生活施設への収容によっては確保され得ない。そして,後述のとおり,生活保護法上も居宅保護を原則としており,施設保護は例外的に行われるにすぎず,生活保護法以外の分野においても,同法の水準を下回ることは許されない。したがって,原告らに代替措置が提示されるのであれば,それは原則として居宅保護への移行であるべきであったのであり,被告が現実に提示した措置は同原則に反する。なお,証人Dは,自立支援センター等のほか,選択肢の一つとして生活保護法に基づく居宅保護という方法を提示,説明したかのような証言をするが,同証言は,他の証人の証言等の証拠に照らして信用することができない。(イ)

自立支援センター等について

被告が原告らに対して提示した自立支援センター等は,入所者1人当たりの床面積が収納設備を除き2.8ないし3.7㎡と狭小で,自立支援センターにおいては1居室当たりの入居者数が8ないし12人とされ,一時避難所においては個室とされるものの,実際にはベッドの設置スペースが簡易な間仕切りで仕切られているにすぎず,遮音性もなく,プライバシーが確保されず,食事も1日1食,それも白米と漬物のみであり,いずれの施設も,生活保護施設の設置基準に比してもその水準を下回るものである。また,自立支援センター等は,私物の管理及び持込みについても重大な制限があるところ,ホームレス状態にある人が保有する世帯道具一式は,これらの者が自立した生活を営むために不可欠の生活財であり,私物の保有,持込について上記のような制限をすることは,ホームレス状態にある人に対し,事実上これらの放棄ないし処分を強要するに等しい。そして,この点は,後述のとおり自立支援センター等に入所期限ないし設置期限が定められていることやその就労支援が十分な成果を上げていないこと等も併せ考えると,多くの入所者は,結局,もともと保有していた重要な財産も住居も失ったまま,文字どおり路上に放り出される結果となるのである。
自立支援センター等は,以上のような設備面において劣悪であるのみならず,処遇面においても,門限や日課が定められることによる外出,外泊制限や,飲酒喫煙の禁止ないし制限など,集団処遇施設であることに由来する種々の制約がある。また,自立支援センターには,原則3か月,最長6か月という入所期限が定められており,一時避難所については設置期限が設定されており,同設置期間経過後の住居の保障はなく,いずれも居住期間の恒久性がない。これは,次に述べるとおり自立支援センター等の退所後の行き先が確保されていないことと相まって,入所者に再び野宿を強いる可能性が極めて大きいものである。
さらに,自立支援センター等の退所後の入所者の行き先を見ると,自立支援センターにおいては,入所期限内に就労自立ができそうな者を選んで入所させているにもかかわらず,その入所者の約5ないし6割は就労できないまま退所しており(就労退所者であっても,相当数の者が野宿生活に戻っている。),しかも生活保護を利用することによって退所した者も極めて少数であって,多くの退所者が再び野宿生活に戻っているのである。一時避難所については,その退所者の過半数が生活保護によって退所しているものの,居宅保護により退所した者は少なく,就労自立により退所した者もその収入に照らして相当数が再野宿の状態となっていることが推認され,結局,自立支援センター等に入所した者のうち,生活保護法によって保障される水準の住居に転居できる割合は5割程度でしかなく,就労退所しても再び野宿に陥る可能性が高く,その場合には,住居,家財道具を失った状態での過酷な生活となるのである。これらからすると,原告らに対し,自立支援センター等への入所を勧めることが理不尽であることは明白であり,原告らがこれらへの入所を拒否することも当然である。

社会権規約11条1項に違反すること

日本政府は,昭和54年に経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和54年条約第6号,以下社会権規約という。)を批准しているところ,日本においては,批准した条約一般について他に何らの措置がなくとも国内法としての効力が認められ(一般的受容体制),条約は少なくとも法律より上位の地位にあると解されている。したがって,条約である社会権規約は,法律である都市公園法や行政代執行法より上位に位置し,これらの法律は同規約の内容に反することはできず,これらの法律は,同規約に適合するように解釈されなければならない。そして,この社会権規約については,経済社会理事会が設置した社会権規約委員会において同規約の解釈に関し一般的意見が作成,採択されているところ,この一般的意見は,その性質上普遍的意義を有し,条約法に関するウィーン条約(昭和56年条約第16号)31条3項(a)の合意若しくは同項(b)の慣行又は同条約32条柱書の補足的な手段に該当し,社会権規約を解釈するに当たっての補足的手段となる。
そして,一般的意見は,社会権規約11条1項が保障する居住の自由についてその重要性を指摘し,土地の占有が非公式の定住である場合も含めて強制立ち退きを原則的に禁止し,強制立ち退きが適法とされるためには,①存在すること,②

高度の正当化事由が

適正手続の保障(具体的には,A

真正な協議の機会の保障,

立ち退き予定日以前の十分かつ合理的な通知,C

立ち退き等に関する情報の

合理的期間内の提供,D

政府官僚又はその代表の立ち退きへの立会,E

きを行う人の身分が明らかにされること,F
間に行われないこと,G

立ち退

立ち退きは特別な悪天候の下又は夜

法的救済を与えること,及びH

可能な場合には,裁判

所から救済を求めるために必要としている人に対して法的扶助が与えられること。),及び③

適切な代替住居の提供,の各要件を満たすことが必要であるとし

ている。これを本件についてみると,前記アにおいて述べたとおり,高度の正当化事由があるとはいえないことに加え,本件代執行に至る手続をみても,被告は,平成17年10月4日ころに工事のお知らせと題する書面を原告らに配付するまでは,b公園内の野宿生活者らで組織された自治会と協議の機会を持っていたが,上記配付以降被告は,自治会との協議を行わず,各原告らに対し個別に自立支援センター等への入所を強要するのみで原告らと協議の機会を持たず,a公園でも同様であり,立ち退き期限も被告が一方的に決定し,原告らに対し退去の必要性について説明せず,代替住居については生活保護法に基づく居宅保護が利用できることも説明せず,厳寒期に小雨の降る中で本件代執行を断行し,しかも代替住居として,前記のとおり不十分な自立支援センター等しか提示しなかったのであり,上記①ないし③のいずれの要件も満たしておらず,本件代執行は社会権規約11条1項が原告らに保障する住居の権利を侵害するものとして違法である。

自由権規約17条に違反すること

市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和54年条約第7号,以下自由権規約という。)17条1項は,住居につき恣意的又は不法に干渉されない旨規定しているところ,自由権規約委員会が採択した一般的意見によれば,ここにいう住居とは,人の住んでいる場所又は日常の職業を行っている場所を示すと解されており,本件テント等はこの住居に該当する。そして,都市公園法27条が監督処分の対象としているのは工作物その他の物件若しくは施設であって,住居に対する干渉や攻撃は,そこに居住する人の保護を考慮した詳細な規定をもった法律によってなされるべきであるから,都市公園法は住居について国家や地方自治体が干渉,攻撃することを予定した法律であるとはいえない。したがって,本件代執行による強制立ち退きは,原告らの住居に対する不法な干渉又は攻撃である。また,本件代執行の理由とされた地元住民等の漠然とした不安感は住居に対する干渉や攻撃を正当化するものではないし,イベントのための整備工事も住居に対する干渉や攻撃を正当化するものではなく,仮にその工事の必要性は認められたとしても,必要最小限度の干渉,攻撃とするためには,工事内容から真に立ち退きを必要をする場所を占有する者についてのみ立ち退きを求めるべきであり,その場合でも工事期間だけ一時的に移動することを求めなければならないから,すべての原告らに対して一律に恒久的な立ち退きを求めた本件代執行は住居に対する恣意的な干渉である。したがって,本件代執行は,住居に対する不法かつ恣意的な干渉又は攻撃であり,自由権規約17条に違反し違法である。カ
憲法13条,22条,25条及び31条に違反すること
(ア)

被告は,本件代執行に当たり,多数の職員や警備員等を投入し,そのうち
b公園においては排除そのものを任務とする要員が125名にも及んだのであり,このようにあからさまな物理力をもって排除を目的とする体制を組むこと自体が,原告ら野宿生活者を人権享有主体である個人として尊重せずに,物同様に扱おうとする被告の根本姿勢が現れており,このような被告の姿勢は,被告職員である各証人の証言からも裏付けられている。これに加えて,本件テント等は原告らにとってその安全と財産とプライバシーとを守り,人間らしい生活を送るための不可欠の基盤であったのであり,これらを撤去する行為は,単なる物件の撤去ではなく,人間の生活基盤そのものを破壊する行為であり,原告らの安全と財産とプライバシーを危殆にさらし,原告らの個人としての尊厳を蹂躙するものである。したがって,本件代執行は,個人の尊重と生命,自由,幸福追求権を保障した憲法13条に違反するものである。
(イ)

本件代執行は,極度の窮乏により他に居住する場所を有しなかった原告ら
が住居として利用する本件テント等を,一方的,強制的に撤去したものであり,憲法22条1項が保障する原告らの居住の自由を侵害するものである。もとより,憲法22条1項の居住の自由については,公共の福祉によりその制限が正当化される余地もあるが,居住の自由が人身の自由の中核を成し,人格的生存の前提となる権利であることからすると,その制約の正当化の可否については厳格に審査されるべきであるところ,本件についてみると,被告の主張する公園機能の阻害という点や,工事の支障といった点は,前記ア(イ)において述べたとおり,原告らの居住の自由を正当化する根拠とはならない。
(ウ)

原告らは,その必死の努力により本件各公園に本件テント等を設置,維持
し,そこで,憲法25条1項の保障する健康で文化的な最低限度の生活の水準に満たないものであったとはいえ,最低限の生活をする基盤を築いてきた。本件代執行は,公権力の行使によってそのような原告らの生活基盤を奪うものであるから,上記のとおり原告らが自ら維持していた生活が健康で文化的な最低限度の生活に満たないものであったとしても,その代替措置として提供される施策が,上記健康で文化的な最低限度の生活の水準を下回ることは許されない。そして,この健康で文化的な最低限度の生活は,生存権の具体化立法である生活保護法により実際に保障され,同法が保障する生活水準が,他の制度,施策においても健康で文化的な最低限度の生活の水準を画する普遍的基準となる。したがって,本件代執行が,生活保護法上の水準を満たさなければ,同法に違反することになるにとどまらず,同時に憲法25条1項の生存権保障にも違反することになるところ,前記ウ(ア)において述べ,また後記キにおいて述べるとおり,本件代執行は生活保護法上違法の評価を免れない以上,同時に憲法25条1項にも違反する。(エ)

憲法31条は,適正な手続を受ける権利を保障しているところ,同権利の
保障は,刑事手続のみならず,行政手続である本件代執行の手続にも及ぶものである。被告は,行政手続と刑事手続との差異を強調するが,本件代執行は,原告らの生活基盤を奪い居住の自由を否定する人の強制排除に他ならないことは先に述べたとおりであって,刑事手続にまさるとも劣らない重大な権利侵害を内容とするものであるから,厳格な適正手続保障に服さなければならない。すなわち,本件代執行に当たっては,ごく形式的な告知,聴聞の機会が与えられるだけでは足りず,権利を奪われる原告らにとっても充分に実効的な交渉,原告らが充分に権利主張できる適切な手続の選択,充分な代替措置の提供等が存在しなければ,適正な手続が保障されたものとはいえず,憲法31条違反の評価を受けることとなる。しかるに,前記アにおいて述べたとおり,被告はもともと原告らの排除を第一義的かつ究極の目的として本件代執行を行ったのであるから,被告が本件代執行を実行することを決めた時点で原告らの運命は定まってしまい,これに対抗する手段は実質的に残されておらず,原告らにとって実効的な交渉がされることはあり得なかった。また,本件においては前記イにおいて述べたとおり,行政代執行の方法によるべきではなく,処分の名あて人である原告らが裁判所における訴訟手続に主体的に参加する形での告知聴聞の機会が与えられる民事訴訟(執行)手続によるべきであったことや,前記ウのとおり代替手段が不十分であったことに照らせば,本件代執行においては,いかなる点においても原告に対する適正な手続が保障されていなかったのであり,本件代執行は憲法31条に違反する。

生活保護法に違反すること

上記ウにおいて述べたとおり,本件では被告は原告らに対して生活保護法に基づく居宅保護の説明を行っていないのであるが,これは,生活保護法にも違反する。すなわち,憲法25条が保障する生存権の具体化立法である生活保護法は,その7条において,本文で申請保護を原則としつつも,ただし書において,要保護者が急迫した状況にある場合における職権保護の余地を認め,同法25条1項において,要保護者が急迫した状況にある場合の職権保護の義務を定め,同法4条3項も補足性の原則は職権保護を妨げない旨定めており,これらの申請保護の原則と職権保護の制度趣旨やホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(以下自立支援法という。)11条及び3条1項3号の規定等からすると,急迫状況にある要保護者を発見した実施機関は,職権でこれを保護すべき義務を負うのであるが,当該要保護者が意思能力を有する場合には,その自主性や人格を尊重する観点から,まずは保護申請権があることなど当該要保護者が利用し得る権利内容を十分に説明し,申請を促すべき義務があると解される(それでも要保護者が申請をしないが,放置すると生命の危険があるような場合には,職権保護の義務が生じる。)。また,急迫状況とはいえないが,要保護性が認められる蓋然性のある者を実施機関が発見した場合であっても,実施機関には,同様に当該要保護者の利用し得る権利内容を十分に説明し,申請を促すべき義務があるものと解される(この場合には,要保護者が申請をしない場合には職権保護の義務は生じない。)。このような実施機関の義務は,対象者の困窮度や,実施機関の認識の程度に応じて高度なものとなり,また,行政機関が要保護状態を自ら作出したり,要保護性を自ら高めたりした場合には極めて高度なものとなる。
以上のように実施機関が説明義務を負う場合には,具体的には,当該要保護者が保護申請権を有し,申請後,調査の結果,要保護状態にあることが確認されれば,生活保護を権利として利用し得ることの説明はもとより,生活保護法30条1項の規定に照らして,利用し得る生活保護(生活扶助)の方法としてアパートにおいて生活保護を利用することができることを説明する義務を負い,さらに,現に野宿生活を余儀なくされており居宅を有しない者についても,通達によって一定の要件を満たすと認められれば,住宅扶助費としての敷金等の支給が認められアパートを確保することができるということも説明すべき義務を負うと解される。これを本件についてみると,生活保護法の定める急迫状態とは,生存が危うくされるとか,その他社会通念上放置し難いと認められる程度に情況が切迫している場合をいうところ,住居を失い公園等における野宿生活を余儀なくされている原告らは,もともと要保護状態にあったのであるが,さらに,本件代執行によって小屋掛けや家財道具を失い,まさしく着の身着のまま路上に放逐されたのであり,このような本件代執行によって原告らが置かれた状況は,まさしく上記社会通念上放置し難いと認められる程度に情況が切迫した急迫状況であった。仮に,急迫状況とまでいえないとしても,それは,急迫状況に準じる程度に高度の要保護性があると判断される蓋然性が高い状況であることは明らかである。そして,原告らは,被告の本件代執行により,かろうじて構築したいのちの砦である本件テント等を奪われ,極寒期に身ぐるみ剥がされた丸裸の状態で路上に放逐され,しかも被告は支援者らがc公園やd公園に本件代執行後の待避場所として準備していた小屋をも同時に撤去したのであって,上記のような急迫状況は,被告が自ら作出し,原告らの要保護性を高めたのである。以上のように,原告らと被告との間には強度の特別な接触があったことに加え,被告は遅くとも本件代執行に向けた行動に着手した平成17年9月末の時点においては自らの代執行手続により原告らを上記のような状態に追い込むことを確定的に認識していたのであり,大阪市長が生活保護実施の責任と権限を有することを併せ考えると,被告が前記説明義務を履行することは極めて容易であった。以上の諸事情や先に述べた自立支援法11条及び3条1項3号の規定等に照らせば,被告には,遅くとも本件代執行手続の準備に本格的に着手した平成17年9月始めころの時点から,原告らに対し,生活保護の申請権があること,調査の結果要保護状態が確認されれば生活保護の利用が可能であること,法律上居宅保護が原則とされており,野宿生活者である原告らであっても一定の要件を満たせば敷金等の支給を受けてアパートでの生活保護を開始することができることなどを,特段の真しさ,誠実さ,熱意をもって積極的に説明し,申請を促すべき義務があったことは明らかである。しかるに,被告は,本件代執行に先立ち原告らに対して提示したのは稼働年齢層に対しては自立支援センター等への入所であり,高齢者・病弱者等の就労困難層に対しては入院や施設入所による生活保護の適用であったのであり,いずれに対しても居宅保護という選択肢を一切提示しなかったのであり,上記説明義務に違反している。取り分け,原告E(以下原告Eといい,他の原告らについても同様に以下その姓でもって表記する。),原告F及び原告Gについては,積極的に居宅保護を希望する意思を表明したにもかかわらず,被告はその希望に応じることさえしなかったというのであり,その義務違反の程度は特に重い。以上のとおりであるから,本件代執行手続は,生活保護法1条,7条,25条及び30条に違反し違法である。

結論

以上アないしキにおいて述べた事情に照らせば,本件各処分は国家賠償法上違法であることは明らかであるから,被告は,本件各処分によって原告らに生じた損害を賠償する責任を負う。
【被告の主張】

(ア)

本件各処分に至る経緯
被告が設置管理している本件各公園のうち,b公園は,昭和30年に完成
して以来都心のオアシスとして多くの人に親しまれてきた総合公園であり,市道(なにわ筋)により西園と東園とに分断されている。このうち,東園には,市内で最も歴史のあるバラ園や四季を彩るケヤキ並木などがあり,西園には国際仕様のテニスコートを有し,国際級の競技大会から一般市民まで幅広くその利用に供されている。また,a公園は,昭和6年から供用を開始した歴史公園であり,大阪の観光拠点としてのみならず,散策やスポーツ・レクリエーション活動ができる都心に位置する貴重な緑の拠点として,市民を始めとした多くの来訪者に広く親しまれている公園である。
(イ)

他方で,昨今の経済情勢の悪化等を背景に,大都市の公園,道路,河川敷
等の公共施設で野宿生活を余儀なくされている者が急増しており,本件各公園においても同様に,原告らを含む野宿生活者がブルーシート製テント及び木製小屋掛けを設置し,車のバッテリーを山積みにして重石とし,その内部に生活物資等を堆積し起居するようになっていた。これにより,公園の適正管理や市民の快適な公園利用に支障が生じる状況となり,地元住民や公園利用者から

子どもが安心して遊べない。

市民の憩いの場所として利用できない。

大阪のイメージダウンにつながる。

などといった苦情が寄せられるようになり,さらに,本件各公園の近隣に所在する団体ないし施設からも,来訪者が安心して利用できるよう野宿生活者対策を強化し環境を整備するよう強く求められるようになった。(ウ)

そこで,被告は,不法占拠により本件各公園の機能が著しく阻害されてお
り,機能回復する必要があるものの,一方で原告らを含む野宿生活者の生活にも配慮して,できるだけ平和裡に当該不法占拠状態を解消すべく,当該公園内の占有状態を慎重に調査するとともに,物件の所有者若しくは占有者が判明した場合には,都市公園法に違反していることを告げた上で,繰り返し自主的に撤去するよう忍耐強く求め,個別面談により自立支援策を示し,就労の意欲のある者,医療保護が必要な者等,各個人の事情に適した機関に引き継ぐなどの指導に当たってきた。その結果,被告の求めに応じて自主的に物件を除却する者も多数存在した。また,被告は,野宿者の自立の支援についての対策も行ってきた。すなわち,被告は,平成10年5月に大阪市野宿生活者問題検討連絡会を設置して国への要望を行ったり実態調査に基づき総合的な施策の検討を行い,平成11年7月には大阪市野宿生活者対策推進本部を設置して全庁的課題として位置付けて取組み,平成12年3月には有識者もまじえた大阪市野宿生活者対策に関する懇談会を設置し,同年4月には西成区の臨時夜間緊急避難所を開設したのを始めとして自立支援センターを順次開設する一方,d公園,e公園及びa公園内にも仮設一時避難所を順次開設し,平成16年3月には大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画を策定した。以上の経緯を経て,被告は,野宿者生活対策として,主として,①

相談員が市内を巡回し,野宿生活者の就労等についての

相談を行い,自立支援センターへの入所を促したり福祉援護が必要な人については関係機関との連携を図るなどの,野宿生活者巡回相談事業,②立支援センターの設置運営,及び③

市内5カ所での自

仮設一時避難所の設置運営(現在はa公園内

のみ)の3つの事業を行っている。
(エ)

他方,被告は,b公園において,世界バラ会議(以下バラ会議とい
う。)が平成18年5月11日から同月17日まで大阪市で開催されることが決定したことから,平成15年から3カ年計画で,同公園の再整備工事に着手していた。また,被告は,a公園においてもその大手前地区と城南地区において大手前広場整備,遊歩道整備等を行っており,当該地区は,平成18年3月25日から同年5月28日まで開催された第23回全国都市緑化おおさかフェア(以下緑化フェアという。)の会場の一部として活用されることになっていた。しかるに,これら工事整備区域に,本件テント等が存在したため,被告は,平成17年10月に工事のお知らせを配付し,同年11月に1回,同年12月に2回,撤去勧告文を配付し,本件テント等の自主撤去について理解を求めてきたが,依然として工事整備区域には本件テント等が存在し,このまま工事に着手できない状況であると,バラ会議及び緑化フェアの開催時期に間に合わないおそれがあったため,本件各処分を行った。

(ア)

本件各処分の適法性
原告らは,本件テント等の設置につき被告から許可を受けておらず,原告らの本件テント等の設置が都市公園法6条1項の規定に違反していることは明らかであるから,被告が,原告らに対し,同法27条1項の規定により本件テント等の除却を命じたことは,同法の規定に基づく適正な措置であり適法である。(イ)

そして,行政代執行法2条の規定によると,上記本件除却命令についての
行政代執行は,原告らが本件除却命令を履行しない場合において,他の手段によってその履行を確保することが困難であり,かつ,その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときにすることができることになる。本件においては,上記ア(エ)のとおり,被告は原告らに対して本件テント等の自主撤去についての理解を求めてきたが,依然として本件テント等が存在したため本件除却命令を行い,本件代執行に至る間にも原告らに対する個別交渉も再三行ってきたが,原告らは本件テント等の除却に応じなかったものであり,行政代執行以外の手段によって本件テント等の除却の履行を確保することが困難であったことは明らかである。また,原告らが本件テント等を起居の場所として日常生活を営むことによって,市民の利用に著しい支障が生じ,公共用物としての本件各公園の機能が著しく損なわれていたこと,さらに,本件各公園においてはバラ会議ないし緑化フェアの開催が予定され,これらに関連する整備工事やこれら公園の老朽化を理由として予定されていた整備工事が原告らの本件テント等の存在によって実施できなくなっていたことを考えると,本件テント等の除却の不履行を放置することが著しく公益に反することは明らかである。したがって,本件代執行は,都市公園法及び行政代執行法が規定する要件を満たしており,適法であることは明らかである。なお,原告らは,従前本件各公園内における工事はいずれも支障なく行われてきたと主張するが,実際には,原告らの本件テント等によって工事の支障が生じたため,やむを得ずその場所を避けて工事を進めてきたにすぎず,原告らの公園内への通行を確保してきたのも,紛争を避けるためのやむを得ずにした措置にすぎない。ウ
(ア)

原告らの主張について
原告らは,都市公園法27条1項の規定による除却命令は,占有を解くことなく除却を行うことができる場合のみ行うことができるところ,本件において原告らは本件テント等の設置により公園敷地を占有しており,本件テント等の撤去は物の除却ではなく公園敷地の明渡しであるとして,本件テント等に対しては同項による除却命令を行うことはできず,同命令の行政代執行を行うことも許されないと主張する。しかし,本件除却命令は,あくまで本件テント等の除却を命じるものにすぎず,それを超えて本件テント等の設置場所に係る占有を解くこと自体を命ずる趣旨を含むものではないから,原告らの主張は失当である。確かに,原告らが本件テント等を起居の場所として使用していたことは事実であるが,都市公園法27条1項は,同項の規定による除却命令の対象となる工作物等の種類,機能等を何ら限定していないのであるから,同項の規定により本件テント等の除却命令が許されないなどと解することはできない。また,本件代執行によって原告らが本件テント等の設置場所に係る占有を失うことになったとしても,それは当該テント等が除却されることに伴って事実上生じる結果にすぎないのであるから,このことをもって本件テント等が除却命令の対象とならないとする原告らの主張は失当である。(イ)

原告らは,社会権規約委員会の一般的意見を根拠として,本件各処分は社
会権規約11条に基づく居住権を侵害し違法であると主張する。しかし,社会権規約は,個人に対して即時に具体的権利を付与すべきことを定めたものではなく,同規約11条1項の規定も,締約国が同項所定の権利の実現に向けて積極的に社会政策を推進すべき政治的責任を負うことを述べるにすぎず,同項から直ちに原告らが主張するような解釈が導き出せるわけではなく,また,社会権規約委員会の一般的意見が法的拘束力を持つものではないことも明らかであるから,これらを根拠として本件各処分が違法であるとする原告らの主張は失当である。
(ウ)

原告らは,本件各処分が自由権規約17条に違反すると主張するが,同条
が締約国に対する一般的,抽象的義務を定めたものにとどまらず,個人に対して即時に具体的権利を付与すべきことを定めたものであるということを明確に示した判例は存せず,まして自由権規約委員会の一般的意見が法的拘束力を持つものではないことは明らかであるから,これらを根拠として本件各処分が違法であるとする原告らの上記主張は失当である。仮に,同条の規定が国内法的効力,裁判規範性を有し,本件テント等が住居に当たると解する余地があるとしても,本件各処分は,ホームレスの自立の支援等に関する施策の一環として自立支援センター等を設置運営し,ホームレスの居住場所の確保や就労支援を十分に行うなど,自立支援法に基づく周到な配慮をした上,都市公園法27条1項という法律の根拠に基づいてされているものであるから,本件各処分が住居に対する不法な干渉を禁じた自由権規約17条に違反しているとはいえないことは明らかである。
(エ)

原告らは,本件代執行により,原告らが人間らしく生活するための基盤の
一切を失い,人間らしく存在することそのものを否定されたとして,本件代執行は,個人の尊重と生命,自由及び幸福追求権を保障した憲法13条に違反すると主張する。しかし,被告においては,ホームレスの自立の支援等に関する施策の一環として自立支援センター等を運営し,ホームレスの居住場所の確保や就労支援等を十分行ってきたものであり,本件代執行により原告らの本件テント等が本件各公園から除却されても,原告らはこれらの施策を利用することによって居住場所を確保することができるのであるから,本件代執行によって直ちに原告らが人間らしく生活するための基盤を失うことにはなり得ず,このような配慮の下行われた本件代執行が憲法13条に違反するものではないことは明らかである。
(オ)

原告らは,本件代執行が,居住の自由を保障した憲法22条1項に違反す
ると主張する。しかし,同条により保障される居住の自由,すなわち自己の住所又は居所を決定する自由とは,他者により土地に強制的に緊縛されることがないということを意味するにすぎず,他者の権利を侵害してまで自己の望むところに居住する自由までもが同条により保障されるわけではない。本件においては,原告らが本件各公園の区域内にテント等を設置してその敷地を占有することが都市公園法違反であり当該行為により公衆の利用に著しい支障を及ぼしていることは明らかであるから,このような違法な占有が同条により保障されることはあり得ない。(カ)

原告らは,憲法25条1項の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利は,生活保護法及び厚生労働大臣が定める生活保護基準により具体的権利として保障されており,これらの法令による基準を下回る施策(本件においては自立支援センター等を受皿としてする本件各処分)を実施することが直ちに違法になると主張する。しかし,生活保護法及び生活保護基準により定められる基準は,あくまでこれらの法令による保護を受けるための基準にすぎず,本件代執行が適法か否かを判断する基準ではない。仮に本件代執行により,これらの法令による基準を下回ることとなるのであれば,その時点で当該保護を受ける権利を主張すれば足り,当該基準を下回ることとなるからといって,本件代執行自体が当然に不適法となるわけではない。原告らの上記主張は,制度ごとの独立性を無視した独自の理論にすぎず失当である。
(キ)

原告らは,本件代執行は適正手続を保障した憲法31条に違反すると主張
する。しかし,同条は直接的には刑事手続に関する規定であることから,行政手続ににこれが適用されるとしても,行政手続が目的に応じて多種多様であることを考慮する必要がある。しかるところ,本件代執行は,都市公園法に違反して公園内に設置されている不法占拠物件を同法の規定に基づいて除却するものにすぎず,また除却された物件は所有者である原告らに返還されるのであり,本件代執行は秩序罰や過料を科したり身体を拘束したりするものではなく,原告らの所有権を制限するものでもない。そして,行政手続における適正手続の保障に関する一般法として行政手続法が制定されているところ,被告は同法にのっとり本件各処分を行ったのであり,被告が本件代執行を行ったことは何ら憲法31条に違反するものではない。(ク)

原告らは,保護の実施機関には要保護性があると判断される蓋然性が高い
者に対しては生活保護法上の権利内容を説明し申請を促す義務があるところ,本件では本件各処分に際してこの義務が果たされておらず違法であると主張する。しかし,生活保護法7条は申請保護の原則をとっており,同条ただし書に規定するように要保護者が急迫した状況にある場合を除いては,実施機関に本人からの申請を待たずして積極的に申請を促すことを義務付けるような規定は存しない。そもそも,一口にホームレス状態にある者といっても,その障害や持病の有無,年齢等の条件により稼働能力には個人差があり,また,その資産の多寡も均一ではないため,調査なくして要保護性を判断することは不可能なのであり,ホームレスであるからといって十把一絡げに判断すべきであるかのような原告らの主張は失当である。(2)

争点②(損害発生の有無及びその額)について

【原告らの主張】

財産的損害

原告らは,本件各処分により,代替住居の提供もないままにその生活の本拠を失った。すなわち,被告が自らの居宅保護による生活保護利用の助言教示義務の履行を懈怠した結果,原告らは,野宿生活を強いられた上,本件代執行によって,生活の本拠たる本件テント等すら失うことになったのである。原告らは,被告の上記助言教示義務が履行されていれば,生活保護基準に基づく生活の本拠を構えるための基準額,具体的には,①

敷金29万4000円,②

助費4万2000円,③

家具什器代2万4600円,④

及び⑤

1人世帯・1月分の住宅扶
布団代1万8000円

被服費1万2800円の合計39万1400円を取得できたはずであると
ころ,上記のとおり,被告が上記助言教示義務を履行しなかったためにこれを取得できなかったのであり,この39万1400円が本件各処分によって各原告が被った財産的損害となる。

包括的慰謝料

争点①に関して既に述べたとおり,原告らは悲惨ともいうべき野宿生活を余儀なくされていたところ,被告は,このような原告らの実態に追い打ちをかけるようにして,憲法31条に反する違法な本件代執行に及び,原告らの生活必需品を撤去し,生活の本拠である原告らのテントや小屋掛けを奪ったのであり,これにより原告らは,受忍限度を超えて,社会権規約や憲法が保障するところの権利を侵害された。したがって,原告らには,上記アの財産的損害を超えた,包括的慰謝料が講じられなければならない。そして,同慰謝料の算定に当たっては,①
本件代執行は,行

き場のない原告らの実情を無視し,1月下旬という極寒期に,強制力を行使して行うなど,その行為態様が悪質であること,②

被告は,本件代執行に先立ち,原告

らに対して選択肢としてシェルターや自立支援センターしか提示せずにその選択を強いて原告らの自己決定権を踏みにじり,適切な代替住居を提示しなかったこと,及び,③

本件代執行によって原告らが失ったテントや小屋掛けは,原告らの生活
の本拠ないし命の砦たる家そのものであって,原告らにとってはかけがえのないものであるところ,このようなテントや小屋掛けが奪われることによる権利侵害は重大であること,以上の諸点がしんしゃくされるべきである。そして,これらの事情に照らせば,本件代執行により原告らが被った精神的苦痛は筆舌に尽くし難く,その被った損害は,生活保護基準額である前記アの39万1400円に止まらず,上記のような精神的損害を包括的に慰謝するものとして,各100万円を下ることはない。

弁護士費用

弁護士費用として,原告1人当たり10万円が本件各処分と相当因果関係のある損害である。

小括

以上の次第であるから,被告は,原告ら各自に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害金各110万円及びこれに対する不法行為(本件代執行)の日である平成18年1月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。
【被告の主張】
争う。
第3
1
当裁判所の判断
認定事実

前記前提事実に加えて,掲記各証拠(特記しない限り,証拠番号は枝番号を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。(1)

本件各処分前のb公園の状況等
b公園は,大阪市西区に所在する昭和30年に完成した総合公園であり,被
告においては,ゆとりとみどり振興局が所管し,同公園における実際の建設,整備に係る工事の施工及びこれらの管理運営等は,西部方面公園事務所(以下西部公園事務所といい,文脈から後記東部公園事務所と区別できる場合には単に公園事務所ということがある。)が担当している。同公園は,市道(なにわ筋)により,東園と西園とに分断されており,東園には,バラ園やケヤキ並木などが存在し,西園には,国際大会にも使用することが可能な16面のテニスコートなどがある。また,同公園の西園には,前記西部公園事務所が所在している。(乙17,証人A,弁論の全趣旨)

被告においては,平成18年5月11日から同月17日まで,世界バラ会議
(バラ会議)が開催されることが決定していたこともあり,被告は,平成15年度から3年の計画で,同公園のバラ園の改修・整備,各エントランスの改修,テニスコートの整理,耐震性貯水槽の整備及び遊具広場の改修等の工事を行うこととした。このうち,平成17年度については,東園のうちバラ園,テニスコート及び同公園の南側に位置する児童遊園を除く部分の大部分がその工事対象区域とされ,各種土木工事や剪定整枝,枯木撤去等を行うことが予定されていた。(乙9,18,弁論の全趣旨)

b公園における野宿生活者等について

被告においては,社会経済情勢の悪化等を背景に,公園,道路及び河川敷等の公共施設で野宿生活を余儀なくされる者が増加していたところ,b公園においても,都市公園法6条1項に規定する許可を受けることなくブルーシート製テントや木製工作物(以下テント等という。)を設置しこれを起居の場所として利用する野宿生活者が増加し,これらテント等の数は,ピーク時の平成15年8月には63件となり,平成17年4月時点では38件であった。(乙17,18,弁論の全趣旨)
(2)

本件各処分前のa公園の状況等
a公園は,大阪市都心部に所在し昭和6年に供用開始された歴史公園であり,
天守閣や石垣を有し,緑に恵まれた都市公園であって,大阪市民に限らず,多数の観光客も来園している。被告においては,ゆとりとみどり振興局が所管し,同公園における実際の公園建設の工事の施工,管理運営及び収入金の徴収などの業務は,東部方面公園事務所(以下東部公園事務所といい,文脈から前記西部公園事務所と区別できる場合には単に公園事務所ということがある。また,西部公園事務所と併せて以下各公園事務所という。)が担当しており,東部公園事務所は,a公園内に所在している。(乙17,証人B,弁論の全趣旨)

被告においては,平成18年3月25日から同年5月28日まで,第23回
全国都市緑化おおさかフェア(緑化フェア)が開催されることとなっており,a公園がその主会場とされた。そして,a公園のうち,大手前地区と城南地区についても,緑化フェアの会場区域となっていたこともあり,被告は,平成16年度から平成19年度にかけて,同地区の整備工事を行うこととした。そのうち,平成17年度については,a公園の城南地区において,バス・一般駐車場整備,遊歩道整備,散策路整備及び植栽のための,各種土木工事,樹木移植・枯木撤去工事等を行うことが予定されていた。(乙9,17,19,弁論の全趣旨)

a公園においても,b公園と同様,社会経済情勢の悪化等を背景に,都市公
園法6条1項に規定する占用許可を受けることなくブルーシート製テントや木製工作物(テント等)を設置して,これを起居の場所として利用する野宿生活者が増加し,これらテント等の数は,ピーク時の平成14年2月には681件にまで増大し,平成16年1月末時点でも201件ものテント等が存在した。(乙17,19,証人B,弁論の全趣旨)
(3)

本件各処分に至る経緯等
前記のとおり,本件各公園においては,多数の野宿者がブルーシート製テントや木製工作物(テント等)を設置してこれを起居の場所として利用するようになっていたところ,本件各公園の利用者や地元住民から,被告に対し,被告の広聴相談制度である市民の声の投書や電話を通じて,

子どもが安心して遊べない。

市民の憩いの場所として利用することができない。

大阪のイメージダウンにつながる。

野宿生活者が飼っている犬にかまれそうになった。

,などといった苦情が寄せられていた。また,被告は,b公園については,同公園内のスポーツ施設を利用して国際大会を主管するなどしている関西テニス協会及び同公園において花と彫刻展を開催している大阪彫刻者会議から,a公園については,同公園内又はその隣接地に位置する修道館,大阪城ホール及び大阪国際平和センターの各施設管理者から,それぞれ,来訪者が安心して利用することができるよう,野宿生活者対策を強化し環境を整備するよう,強く求められていた。さらに,本件各公園の来園者が,直接同各公園内の各公園事務所を訪れ,テント等によって景観が阻害されている等の苦情を申し立てることもあった。(弁論の全趣旨)イ
上記のように,本件各公園内のテント等については,その利用者等からの苦
情が寄せられており,また,そもそも同テント等が都市公園法6条の許可を受けることなく設置されたものであり,本件各公園においては,同テント等のためにその周囲の樹木の剪定等をすることができない状況にあったことに加えて,前記(1)イ及び(2)イの各工事が予定されており,同テント等がその支障となっていたことから,各公園事務所の職員は,本件各公園内を巡回し,本件各公園内にテント等を設置して起居の場所として利用していた野宿生活者に対し,本件各公園で工事を行うことを告げてテント等の自主的な撤去を要求するとともに,そのような野宿生活者等に係る自立支援策として,就労意欲のある者に対しては,自立支援センターへの入所を勧め,あるいは一時避難所への入所を勧めるなどしていた。また,高齢であったり病弱であるなどといった事情があり就労が困難な者については,本人の希望に応じて,後記の巡回相談員や各区役所の生活保護担当窓口(支援運営課)への取り次ぎを行うなどしていた。もっとも,生活保護については,公園事務所職員においては,直ちに敷金を支給して居宅保護を開始するという方法について説明したことはなく,これは各区役所の窓口においても同様であった。
また,被告においては,後記(5)アの大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画に基づき,野宿生活者等の自立支援策の一環として,野宿生活者巡回相談事業を実施しており,被告健康福祉局において巡回相談を委託している巡回相談員が,本件各公園内にテント等を設置して起居の場所として利用している者を始めとする野宿生活者に対し,主として自立支援センターへの入所を勧め,あるいは一時避難所への入所を勧めるなど被告の自立支援策を提示し,高齢や病弱のため就労が困難な者については生活保護に関して各区役所への取り次ぎをするなどしていた。(乙17ないし19,証人A,証人B,弁論の全趣旨)ウ
以上のほか,b公園については,以下のような事情があった。

前記のとおり,従前から公園事務所職員は,b公園にテント等を設置する野宿生活者を個別に訪問し,その設置するテント等の撤去を求めていたが,平成15年7月4日ころ,これらの野宿生活者に対し,同公園のバラ園の改修工事を理由として,同人らが設置するテント等を除却することを求める文書を配付してその除却を要求したことがあった。これに対し,同公園内にテント等を設置している野宿生活者らは,その支援者らとともに公園事務所に対して抗議し,説明と話し合いを求めたところ,当時の公園事務所長は,同人らに対し,あくまで話し合いの上で除去するという意味であり,強制排除は今のところ予定していないなどと伝えた。さらに,上記野宿生活者らは,同年8月2日には,公園事務所に対し,工事については話し合いをしながら進めること及び強制排除は行わないことを確認し,説明会を開催するよう要求したところ,同公園事務所は,同年9月19日及び同年10月1日に,同公園内の野宿生活者等を対象とした説明会を開催し,当初は同公園内バラ園周辺の十数件のテント等につき,その撤去を求めたが,その後,上記テント等を移動しない方法で工事を行うことを表明した。また,このころ,同公園内にテント等を設置して起居の場所としていた野宿生活者らは,その支援者らとともに,原告Hを会長として,b公園自治会と称する団体(以下自治会という。)を組織して公園事務所との交渉に当たるようになり,その後の約2年間にわたり,公園事務所が同公園内において工事を行う際には,工事を円滑に進め無用な混乱を避けるため,同公園事務所があらかじめ自治会に対して工事の図面を示して話し合い,通路を確保するなどして,同公園内の野宿生活者らが設置するテント等及びその生活に支障がないよう配慮していた。また,同公園内の野宿生活者らは同公園内のトイレの水道を用いていたため,同トイレの整備のため同水道を閉鎖する際には,公園事務所において,同公園内の散水栓を改造して別に水道を確保するといったこともあった。また,以上のとおり,b公園においては自治会が組織され,公園事務所は,同自治会から,工事を始めとしたすべての事項についてまず自治会に話を通し,各野宿生活者に対する個別訪問を行わないよう要求されていたことから,工事を円滑に進めるため,野宿生活者らに対する個別訪問は行わず,連絡や交渉等はすべて自治会を通すようにしていた。さらに,自治会は,巡回相談員のb公園内の各野宿生活者への訪問を拒絶するなどしていたため,巡回相談員においてもその巡回に苦慮する状況であった。もっとも,同公園内にテント等を設置する野宿生活者の中には自治会と距離を置いている者もおり,このような者については巡回相談員が相談に訪れることもあった。
なお,a公園においては,支援者等を含めた集団での話し合いや説明等が行われることはなかった。(甲60,76,乙18,証人I,証人A,弁論の全趣旨)エ
前記のとおり,本件各公園においては,バラ会議ないし緑化フェアを前提と
した整備工事が予定され,その一部については既に実施されていたが,依然として本件テント等が設置されていたことから,本件各公園の管理運営を所管する被告のゆとりとみどり振興局内部において,同年9月上旬ころ,平成18年1月末ころを目処として行政代執行を含めた法的措置をとるという方針が決定され,同方針は,平成17年10月初旬に大阪市長に対して伝えられた。なお,同局内の会議において,上記法的措置として,民事訴訟が議題とされたり具体的に検討されることはなかった。また,被告内部において,同年9月末ころには,ゆとりとみどり振興局総務部管理課の職員や各公園事務所の職員等が参加する野宿生活対策会議が設置され,生活保護を担当する健康福祉局との間で協議されることもあった。(乙17,証人D,弁論の全趣旨)

上記エの方針を受け,西部公園事務所は,平成17年10月4日,b公園原
告らを含むb公園内にテント等を設置している野宿生活者ら各自に対し,それぞれ,工事のお知らせと題する書面(甲40)を交付した。同書面には,

近くb公園において工事を施工いたします。つきましては,この物件は工事の支障となりますので,来る11月30日(水)までに撤去していただきますようお願いいたします。

との記載があるほか,同工事に関し,予定工事期間は平成17年12月上旬から平成18年2月末までであること,工事内容は自然観察園路整備,景石据付,植栽,剪定・剪除であること,及び,その工事区域はb公園東園全体であることなどが記載されていた。また,前記ウのとおり,b公園においては従前公園事務所と同公園内の野宿生活者との交渉は自治会を通じて行われており,公園事務所職員が野宿生活者を個別に訪問することはなかったが,上記エの方針決定を受け,このころから,公園事務所職員は,同公園内にテント等を設置している野宿生活者を個別に訪問し,同テント等の撤去を直接要請するようになった。この個別訪問は,公園事務所副所長外3名の合計4人で行い,このテント等の撤去要請の際には,就労意欲のある者に対しては,自立支援センター等への入所,取り分け,b公園においては自立支援センターへの入所を,a公園においては大阪城仮設一時避難所への入所をそれぞれ主として促し,面談の結果高齢であったり病弱であって就労が困難であると判明した者については,生活保護制度があることを伝えて区役所の窓口を紹介するなどしていた。
また,東部公園事務所も,平成17年10月5日,a公園原告らを含むa公園内にテント等を設置している野宿生活者ら各自に対し,それぞれ,工事のお知らせと題する書面を交付した。同書面には,

近くa公園において工事を施工いたします。つきましては,この物件は工事の支障となりますので,来る11月30日(水)までに撤去していただきますようお願いいたします。

との記載があるほか,同工事に関し,予定工事期間は平成17年12月上旬から平成18年2月末までであること及び工事区域はa公園城南地区の一部であることなどが記載されていた。なお,本件各公園内の平成17年10月当時のテント等の件数は,b公園が34件,a公園が107件となっていた。(甲40,乙8,17ないし19,証人A,証人B,弁論の全趣旨)

b公園においては,上記のような公園事務所職員による工事のお知らせ
と題する書面の個別配付や野宿生活者に対する個別訪問に対し,自治会が,公園事務所に対して抗議をするとともに,自治会との協議の機会を持つことを求め,また,原告O及び原告Fを除くb公園原告らにおいても,公園事務所副所長にあてて,野宿しながら生活の安定のため活用することができるものを含めて新たな自立支援策を用意することや事態の解決のために自治会と話し合うこと等を要求し,同要求に対する明確かつ真しな回答のない限り,公園からの立ち退き及び個別訪問を拒否するなどといった内容の要求書と題する書面を原告Hを介するなどして公園事務所に対して提出したが,公園事務所は,自治会に対し,団体交渉は行わず,個別訪問を行い自立支援センター等への入所の措置をとるなどといった方針を伝えた。なお,上記の抗議行動は,自治会を中心として,支援者らを含む20人ないし30人規模の集団が罵声を挙げて威圧するなどといった態様で行われたほか,公園事務所職員らの個別訪問による説得活動を脅迫的言辞をもって妨害することもあった。また,a公園においても,公園事務所職員が個別訪問や個別説明を行わないよう求めて,支援者らを含む20人ないし30人くらいの集団が公園事務所に詰めかけ罵声を挙げて威圧するなどの抗議行為が繰り返されたが,公園事務所職員による野宿生活者らに対する個別訪問は引き続き行われた。(乙11,18,19,証人A,証人B,弁論の全趣旨)

西部公園事務所は,平成17年11月8日に,東部公園事務所は,同月7日に,それぞれ,原告らを含む本件各公園内にテント等を依然として設置している野宿生活者ら各自に対し,告と題する書面を,テント等に所在する者には直接手交し,同日テント等に不在であった者については,当該テント等に差し置くなどして交付した。上記告には,公園内にテント・小屋掛け等を設置することは,公園を利用される皆様の支障となるばかりでなく,関係法令により禁止されていますので,所有者は11月30日までに撤去してください。なお,期日までに撤去しない場合は,本市において処分しますので,念のため申し添えます。また,自立に向けた生活相談や自立支援センター入所,福祉措置の支援を希望される方は,ご連絡ください。などと記載されていた。また,各公園事務所は,同年12月6日にも,原告らを含む本件各公園内にテント等を設置している野宿生活者ら各自に対し,既に通知のとおり,工事施工のため11月30日までにこの物件を撤去されるよう,お知らせしましたが,期限までに撤去されていません。今後の工事の施工に支障となるため早急に撤去してください。なお,撤去されない場合は,本市において処分しますので,念のため申し添えます。などと記載された告と題する書面を,前記告を交付したとき同様の方法により交付し,さらに,同月20日にも,原告らを含む本件各公園内にテント等を設置している野宿生活者ら各自に対し,これと同様の内容の告と題する書面を前同様の方法により交付した。
なお,b公園においては,後記のとおり,従前,一時避難所についてはa公園の野宿生活者以外の者の入所が制限されていたため,西部公園事務所職員は,b公園内の野宿生活者らに対し主として自立支援センターへの入所を勧奨していたが,同年12月ころ,b公園内の野宿生活者らについても一時避難所への入所が可能となったことから,同公園事務所職員は,同年12月6日の上記文書交付以後,同公園内の野宿生活者らに対し,自立支援センターのほか一時避難所も積極的に紹介するなどして,テント等の撤去についての説得を強めた。
以上のような各公園事務所職員によるテント等の撤去の勧告や説得により,自主的にテント等を撤去する野宿生活者も存在し,a公園においては,工事対象区域内に10名の野宿生活者がテント等を設置していたが,平成17年度中にはそのうち5名分5件のテント等が自主的に撤去された。(乙8,16,18,19,証人A)

以上のような各公園事務所職員による説得にもかかわらず,本件各公園内に
は本件テント等を含めて依然として撤去されないテント等が存したことから,被告のゆとりとみどり振興局は,平成17年12月下旬,都市公園法に基づく監督処分として本件テント等を含む本件各公園内に設置されたテント等につき除却命令をすることを決定し,大阪市長は,平成18年1月5日,各原告に対し,それぞれ,予定される不利益処分を都市公園法27条1項に基づく本件テント等の除却命令とし,弁明書の提出期限を同月11日までと定めて,行政手続法13条1項に基づく弁明の機会を付与する旨通知をした。
さらに,被告は,同月11日に開催された執行会議において,本件各公園内に設置されたテント等について,除却命令に従い撤去されない場合には,行政代執行を行うことが決定された。(前提事実,甲32,乙17,証人D,弁論の全趣旨)ケ
大阪市長は,平成18年1月13日,b公園原告ら各自に対し,それぞれ,
都市公園法27条1項1号に基づき,b公園内の別紙図で示す範囲内に設置された,別紙写真のブルーシート製テント及びあなたが所有,占有又は管理するその他の不法占用物件につき,同月17日午後1時までに除却することを命令する旨の除却命令書を交付して本件除却命令をした。なお,同除却命令書には,上記別紙図で示す範囲としてb公園東園全面が記載された図面及びb公園原告らが各自設置した本件テント等の写真がそれぞれ添付されていた。また,同市長は,同日,a公園原告らに対しても,それぞれ,都市公園法27条1項に基づき,a公園の別紙図で示す範囲内に設置された,別紙写真のブルーシート製テント及びあなたが所有,占有又は管理するその他の不法占用物件につき,同月17日午後1時までに除却することを命令する旨の除却命令書を交付して本件除却命令をした。なお,同除却命令書には,別紙図面で示す範囲として,a公園原告らが設置する本件テント等の所在地を含むa公園城南地区南東部及び北東部が記載された図面,及び,a公園原告らが各自設置する本件テント等の写真が,それぞれ添付されていた。(前提事実,甲1ないし8,10ないし17)

大阪市長は,原告らが,本件除却命令に定められた期限までに本件テント等
を除却しなかったため,同月18日,各原告に対し,行政代執行法3条1項に基づき,履行期限を同月23日と定めて戒告をし,同月24日には,各原告に対し,行政代執行法3条2項に基づき,代執行令書をもって,代執行の時期,代執行のために派遣する執行責任者及び代執行費用の概算見積額をそれぞれ通知した。(前提事実,甲1ないし8,10ないし17)

大阪市長は,同月30日,本件代執行を行った。なお,前記のとおり,本件
各公園内の平成17年10月当時のテント等の件数は,b公園が34件,a公園が107件であったが,その後各公園事務所職員の説得や,前記除却命令や戒告等を受けてテント等を撤去する者もいたため,本件代執行時には,b公園については,東園にb公園原告らを含む17名分16件のテント等が存在し,a公園については,a公園原告らを含む5名分7件のテント等が存在する状況となっていた。なお,各公園事務所職員の説得等を受けてテント等を撤去した者は,自立支援センター又は一時避難所に入所するなどしたほか,居宅保護を受けることとなった者もいた。被告は,従前から本件各公園内の野宿生活者らや支援者等からテント等の撤去要求につき抗議を受けており,また,本件代執行には野宿生活者らの支援者が訪れるとの情報が入っていたことなどから,行政代執行の実施に当たってはこれらの者の抵抗等も予想されたため,本件代執行に先立ち,当日のタイムスケジュール等を作成するなどその体制を整備し,本件代執行当日には多数の職員及び警備員を動員した。b公園においては,職員195人,警備員250人及び運搬作業員60人の合計505人が動員され,そのうち職員40人,警備員80人が,自主移動に応じず本件テント等に籠城する者を作業区域外まで強制移動させるための排除斑とされていた。
被告は,b公園東園のうち,南側の児童遊園部分を除く全面の供用を休止し,当日未明からその出入り口にフェンスを設置する作業を開始したところ,作業に当たっていた被告職員がb公園原告らの一人から鎖で殴打されて負傷する事件が起きた。b公園における行政代執行は,午前8時ころ開始されたが,そのころにはb公園原告らのほかに100名を超える支援者等が園内に入り込み,本件テント等に居座るなどの抵抗をし,あるいは周囲から本件代執行に対する抗議をするなどしたほか,一部の報道関係者がテント等に入り込んで取材を行うなどしていた。被告職員らは,テント内に居座る者をフェンス外に移動させるなどしてフェンスに近いものから順次テント等を除却していったが,移動させられた者が再度園内に入り込むなどしたほか,b公園原告らの一部を含む支援者らは中心となっていたテントに集結しスクラムを組むなどして抵抗を続けたため,作業は一時膠着状態となった。被告は,a公園の代執行を終えた職員らを応援に加え,外部に移動させた者の再流入を防ぐためフェンス出入り口付近の配置を強化するなどの対応をした上,被告職員や警備員においてテント等に居座る者らをフェンス外に移動させるなどその抵抗を排除して作業を進めた結果,午後2時40分ころ代執行手続を終えた。
a公園における行政代執行は,午前8時ころ開始され,a公園原告らのほか約30名ないし40名の支援者らが行く手を阻んで阻止したりテント等を囲んで座り込んだりするなどの妨害行為を行ったが,午前10時17分ころ代執行手続を終えた。(甲71,76,乙17ないし19,証人I,証人D,証人A,証人B,原告J,弁論の全趣旨)

被告は,本件代執行により除却されたテント,小屋掛け及びこれらの内外に
存した生活物資等の物件を,大阪市生野区fg丁目に所在する露天の保管所に,ビニールシートで覆うなどして保管した。同物件については,その所有者等が引き取りに来ることもあり,所有者等に返還されなかったものについては,公告の上処分された。(乙12,13,証人D)

また,被告は,b公園について,平成17年度に行うことが予定されていた
工事を実施するため,本件代執行後も,同公園東園のうち,南側の児童遊園を除く全面につき供用を引き続き休止し,a公園においても,その一部につき供用を休止した上で,整備工事を行った。(証人A,証人B)
(4)

上記(3)のほか,個別の原告らに関する事実関係及び交渉の経緯は次のとお
りである。

(ア)

b公園原告ら
原告Hは,昭和25年11月23日生まれの男性であり,平成10年ころ
からb公園内にテントを設置して起居の場所として利用するようになり,前記のとおり,平成15年夏ころ,同公園内において野宿者による自治会を組織し,同会の会長として公園事務所との交渉等に当たるなどしていた。また,同人は,本件各処分の当時,b公園内に,自分が起居するためのブルーシート製テントのほか,自治会本部として用いるためのブルーシート製テント及び自治会の掲示板も設置しており,これらの工作物はいずれも本件各処分の対象とされた。
原告Hは,平成17年10月4日以降も複数回にわたり公園事務所に来所し,前記(3)カの同野宿生活者らの要求書と題する書面を取りまとめて提出したり,新たな支援策を要求し,個別訪問への抗議をするなどしていた。また,同人は,同年11月2日に公園事務所を来所した際には,同事務所職員に対し,自立支援センターを信用していないが,もし自立支援センターに入所して,同センターの失態で就職等できない場合に,公園事務所副所長が責任をもって生活の保障をするのであれば皆入所することができる,そのような責任をもてないのであれば,自立支援センターのことを口にするなと伝えるなどしていた。
なお,同人は,本件代執行後は,野宿者として自由労働者連合と称する団体を組織して同団体の書記長として稼働しており,他の公園での炊出しや野宿生活者らの相談に応じるなどしている。(甲60,乙16)
(イ)

原告Vは,昭和19年11月26日生まれの男性であり,54,5歳のころから野宿生活をするようになり,平成14年ころからは原告Eとともにb公園に移り,同公園内にEと共同で木の間にロープを張りブルーシートを掛けるなどしてテントを設置し,同所で起居するようになり,木材を拾い集めるなどして少しずつ同テントを改良するなどしていた。また,平成17年12月22日には,公園事務所に対する抗議行動にも参加した。
同人は,本件代執行後,しばらく他の公園の野宿生活者のテントで生活したものの,平成18年2月7日には弁護士を代理人として東住吉福祉事務所に対して生活保護を申請して保護開始決定を受け,現在はアパートに居住している。また,同人は現在慢性腎不全を患っており,平成19年2月22日には,大阪市からじん臓機能障害(透析)の障害名で第1種身体障害者手帳の交付を受けている。(甲54,乙16)
(ウ)

原告Eは,本件各処分当時67歳であった男性であり,平成14年ころか
ら,原告Vとともに,b公園においてブルーシート製テントを設置して起居するようになった。同人は,平成17年2月14日,原告Hとともに,西区保健福祉センターを訪れ,その際,原告Hにおいて原告Eには入院が必要であると主張したが,原告E自身は入院を希望せず,同課の職員において原告Eに対し生活保護の申請意思を確認したところ,同人は,生活保護を受けず年金で生活していきたいとのことだったので,同職員は,同人に対し,自立支援センターについて説明するとともに,生活保護の適用に関しては,一定期間一時保護施設に入所して居宅生活が可能かどうか判定され,その結果によって,敷金,布団類や食生活に最低限必要な家具什器を支給されて居宅保護を受けたり施設入所で保護を受けたりする可能性があることを伝えたところ,原告Eは同事務所を辞し,その後生活保護の申請をすることはなかった。その後,同人は前記(3)カのとおり,個別訪問を拒否する旨の要求書を提出していたものの,公園事務所職員の個別訪問には気軽に応じ,平成17年10月26日にも公園事務所職員と面談しているが,その際,原告Eは,自治会は嫌だが義理があるので参加している,年金は年数が足りない,生活保護を受給することはできるが一時施設への入所が嫌であり,地べた保護(野宿生活から直ちに居宅保護の受給を開始することの意)ならいい,などと申し述べ,その後,同年11月8日及び同年12月6日にも公園事務所職員と面談し,その際にも,好んで生活保護を受けたくない,生活保護を受けても原告Vがおり,受けようと思っていないなどと申し述べていた。また,同人は,同年12月18日の午後6時ころ,体調を崩して救急車で病院に救急搬送された。(乙16,弁論の全趣旨)
(エ)

原告Jは,昭和23年6月8日生まれの男性であり,原告Kは,昭和20
年12月4日生まれの男性であるが,同人らは,平成16年ころa公園において野宿生活をしている際に知り合い,同年9月ころ,原告Hから誘われてともにb公園に移り,同公園内の空いていたテントにおいて2人で起居するようになった。また,平成17年1月ないし2月ころ,建築現場から余った木材をもらったり,ベニヤ板を購入するなどして,これらで枠組みと壁を作り,その上にブルーシートを被せるなどして新しいテントを作り,同テントにもらったり拾うなどした食器棚,ガスコンロ,ベッド,テレビやストーブなどを持ち込み,ガソリンスタンドでカーバッテリーをもらってきてこれを電源としてテレビや照明を利用していた。公園事務所職員は,平成17年10月に5回同人らの上記テントを訪問した際には同人らは不在であったが,その後,同年11月にから平成18年1月にかけて毎月同人らのテントを訪問した際には原告Jと面談することができ,これらの際に,同職員は,原告Jに対し,同人らの上記テントの撤去を要求するとともに,自立支援センターへの入所を勧めたが,原告Jは,同テントの撤去の点については,テントに支障のないように工事してもらいたい旨要請するとともに,自治会の判断に従う旨申し述べ,自立支援センターへの入所の点については,自立支援センターに入所しても就職は困難だと考えていたこともあり,頭から無視するといった対応をしていた。原告J及び原告Kは,本件代執行の後,一時は他の公園に設置されたテントに移ったものの,その後,病院への入院や施設への入所を経て,いずれも居宅において生活保護を受給するようになった。(甲55,56,乙16,原告J)
(オ)

原告Lは,本件各処分当時60歳であった女性であり,本件各処分の当時,
b公園内にブルーシート製テントを設置して起居の場所としており,同テントのそばには,ブルーシート等を用いるなどして作った倉庫を設置していた。同人は,公園事務所職員が平成17年10月4日に前記工事のお知らせと題する書面を交付した際には素直に受領したが,同年11月8日に公園事務職員が同人と面談し,前記告と題する書面を手交するとともに生活保護について説明したところ,同人は,現在アルバイトをしており食べるだけはあるので福祉の世話にはなりたくない,同公園にいる,などと申し述べ,その後も,テント等の撤去についての勧告文の受領や面談を拒否したり,抗議行動にへ参加するなど,公園事務所に対して否定的な態度であった。(甲8,乙9,16,弁論の全趣旨)
(カ)

原告Mは,昭和33年8月15日生まれの男性であり,本件各処分の当時,
b公園内にブルーシートやすだれなどを利用して作ったテントを設置して起居の場所としていた。公園事務所職員は,平成17年11月14日に同人を訪問して面談したところ,同人は,同公園事務所職員に対し,以前に勤めていた会社で働こうと考えているが,住居がない,あと3か月おいてほしいなどと申し立てた。この面談の際,同公園事務所職員は,原告Mに対し,自立支援センターに入所しお金を貯めてアパートへ移ることも可能であるため検討するよう伝えたが,同人は自立支援センターへ入所したくないといった様子であり,同年12月12日に公園事務所職員が同人と面談した際にも,b公園からは出ない旨申し述べていた。(甲11,乙16)
(キ)

原告Nは,昭和26年8月10日生まれの男性であり,b公園内で犬を3
匹飼育しながらブルーシート製のテントを設置して起居の場所としていた。同人は,平成17年10月11日の公園事務所に対する抗議行動に参加していたが,公園事務所職員が,同月31日及び同年11月8日に同人と面談したところ,同人は,犬がいるので,犬と一緒に生活できるところがあれば考えてもいい,抗議行動には本当は参加したくなかったが,自治会の手前仕方なく参加したなどと申し述べたため,同公園事務所職員は,以上のような同人が犬を飼育しているという事情を踏まえ,同月24日に再度同人と面談し,仮設一時避難所への入所を提案したが,同人は自治会と関係もあるとのことで,同提案を拒否した。(乙16,弁論の全趣旨)(ク)

原告Oは,本件各処分の当時64歳であった女性であり,本件各処分の3,
4年前から野宿生活をするようになり,平成17年秋ころ,支援者の紹介でb公園内に設置されていたブルーシート製の空きテントにおいて起居するようになった。公園事務所職員は,平成17年10月及び11月に各数回上記テントを訪れたもののいずれも不在であったが,同年12月5日に同テントを訪れたところ,原告Oが所在し,同人は,同公園事務所職員に対し,c公園の炊出しで出会った者から連れてこられて前日から同テントに住んでいる旨申し述べたため,同公園事務所職員において,原告Oに対し,工事について告知するとともに,同テントが不法占有であるとして撤去を求めた。また,公園事務所職員は,翌6日にも原告Oと面談し,生活保護を検討するよう教示し,平成18年1月5日の面談の際には,原告Oは,公園事務所職員に対し,荷物は自分のものであるが,テントについては自治会の原告Hに話してほしい旨申し述べた。なお,原告Oは,本件代執行後は,生活保護を受給している。(甲61,乙16)
(ケ)

原告Pは,昭和20年2月25日生まれの男性であるが,平成9年ころか
ら野宿生活をするようになり,平成16年の7月ころからは,b公園内にブルーシート製テントを設置して起居するようになり,2台のリアカーを用いて段ボール及びアルミ缶の回収をして生計を立てていた。公園事務所職員は,平成17年10月4日,同人と面談して前記工事のお知らせと題する書面を手交した際,以前話をしていた福祉措置について巡回相談員と話さないかと確認したところ,原告Pは今はいらないとの回答であり,その後同人は同月11日の公園事務所に対する抗議行動へ参加するなどし,同年11月8日に公園事務所職員が面談した際には,希望はなく上記テントを出るときはその付近で生活する旨申し述べていた。さらに,公園事務所職員が同月24日に同人と面談した際には,行くところがないなどと申し立てたため,同職員において仮設一時避難所への入所を提案したところ,同人は,同月28日には仮設一時避難所に見学に行くとのことであり,実際にも,同月28日には仮設一時避難所を見学するなどしたため,公園事務所職員は同人に対し1週間くらいで返事をするよう指示した。しかし,原告Pは,同年12月12日の公園事務所職員との面談の際,仮設一時避難所への入所は断る旨告げ,上記テントを出て行かなければいけないのであれば,その付近で野宿する旨述べていた。なお,原告Pは,本件代執行後,b公園北側にある別の公園において,リアカーにシートを敷いて起居するなど野宿生活を継続している。(甲62,乙16)(コ)

原告Qは,本件各処分当時51歳であった男性であるが,平成16年5月
ころから大阪市内で野宿生活をするようになり,同年11月ころにはb公園に設置されていた空いているブルーシート製テントにおいて起居するようになった。同人は,平成17年10月11日には公園事務所に対する抗議行動に参加するなどし,同年11月から平成18年1月にかけて数回公園事務所職員と面談した際には,自治会にすべて一任しており,自治会に従う,自治会が出るといえば出る,自治会・原告Hと話をしてほしいなどと申し述べていた。なお,同人は,本件代執行後は,c公園に設置されたテントにおいて野宿生活をしている。(甲59,乙16)(サ)

原告Fは,昭和18年8月24日生まれの男性であり,11年前ころから
路上で野宿生活をするようになり,その後大阪市阿倍野区に所在する公園において小屋掛けを設置して起居するようになったが,平成15年ころにb公園に移り,廃材をもらってきてブルーシートを掛けるなどしてテントを作って起居の場所とするようになった。公園事務所職員は,同人に対して自立支援センターへ入所することを求め,また,同人が西区保健福祉センター支援運営課を訪れた際にも,同課職員において,同人の稼働能力に問題がなかったことから,自立支援センターへの入所を指導したが,同人はこれを拒否した。また,公園事務所職員が平成17年10月21日に同人と面談した際に,同人が生活保護を希望したため,同職員において上記支援運営課に問い合わせたところ,原告Fは既に同課を訪れたことがあり,その際の面談によれば同人が飲酒することもあり家賃に充てるべき金銭が飲酒に費消される例が多いことから生活保護の受給は難しいと判断して原告Fにその旨伝えた,それでもよければ再度区役所に来てもらってもよい,との回答であった。そこで,公園事務所職員においてその旨原告Fに伝えたが,その後同人が同課を訪れることはなかった。その後,同年12月20日ころ,原告Fは,公園事務所職員から大阪城仮設一時避難所の見学を勧められ,同原告が見学の意向を示したことから,翌日に見学が行われることとなったが,同月21日,公園事務所職員との面談において,同所に入所しても何の解決にもならないなどと述べて,その見学を取りやめ,同職員の説得にも応じなかった。なお,原告Fは,本件代執行後は大阪市内の他の公園において野宿生活をしている。(甲58,乙16,証人A,弁論の全趣旨)イ
(ア)

a公園原告ら
原告Rは,昭和23年5月15日生まれの男性であり,約10年間にわた
りa公園内にブルーシート製テントを設置して起居の場所としていた。公園事務所職員は,多数回にわたり同人と面談し,上記テントの撤去を求めたが,同人は飲酒していることが多く,十分な話ができないことも多かった。公園事務所職員は,平成17年1月ころに数度にわたり同人と面談し,上記テントの所在地が工事予定区画であってフェンスを設置する予定であるから同年2月中旬までに同テントを除去するよう伝え,一時的に一時避難所に入所することも提案したが,同人は,一時避難所には入る気はないとのことで,上記テントが撤去されなかったため,公園事務所職員は,同年2月24日に,原告Rに説明の上,上記テントを周囲と通路を残してフェンスで囲み,同年3月3日には,上記フェンスのうち,原告Gの設置するテントとの間のみ連絡通路として開けた。また,原告Rは,このころ,国境なき医師団の診察を受け薬をもらうなどしていたが,同年5月31日には,天王寺で殴られたとして公園事務所に助けを求め,出血もあったため同事務所職員において救急車を呼び救急搬送したところ,同人は,病院において入院を勧められたものの翌日にはa公園に戻ってきた。その後,公園事務所職員において,複数回にわたり,同人に対し,行き先については自立支援センターや一時避難所等について相談に乗ることができるし,体調が悪いのであれば入院を考えてもよいのではないかと伝えるなどして上記テントの撤去を求めたが,結局,自主的に同テントが撤去されることはなかった。(甲53,乙16,証人B,弁論の全趣旨)
(イ)

原告Gは,昭和24年6月4日生まれの男性であり,平成12年6月ころ
からa公園内にブルーシート製テントを設置して起居の場所としており,公園事務所職員は,同人に対し,仮設一時避難所への入所及び同公園からの退去等,同公園の工事への協力を求め,同人が胃の調子がよくないなどと申し立てていたことから,仮設一時避難所へ入所して治療することを勧めるなどしていた。公園事務所職員は,上記テントが設置された区画が園路整備工事や樹木の移植の対象区域に含まれていたこともあり,平成17年1月にも同人に対し退去を勧告したところ,同人はテントの移動を認めるよう要求したが,同公園事務所職員は,同人に対し,テントの移動を認めることはできない,身の振り方については一時避難所への入所もあるし,自立支援センターや生活保護等についても関係機関を通じて相談にのる旨伝えた。公園事務所職員は,同年1月27日,原告Gに対し,同年2月15日までにテント等を撤去するよう求め,上記テントの所在地にフェンス設置工事を行うこと及び同フェンスには同テントに出入りするための通路部分は確保するが,それは急には退去できないための臨時的措置にすぎないことなどを伝えたところ,同人は,同年2月15日にはいったん一時避難所への入所手続を行ったものの,翌16日には前言を翻して仮設一時避難所へは入所しない旨申し述べたため,公園事務所職員は,同月24日,同人に事前に説明の上,上記テントをその周囲と通路部分を除きフェンスで囲むなどした。原告Gは,その後も上記テントの移動を認めるよう要求するなどして,公園事務所職員の説得には応じないでいたところ,同年6月10日には嘔吐して気分が悪いなどとして公園事務所を通じて救急車を呼び緊急入院保護業務センターに救急搬送され,そのまま同病院に入院した。公園事務所職員が同月16日に同人と面談したところ,同人は同公園事務所職員に対し,病院からは居宅保護の話もされたが退院後一時避難所を経由して居宅保護を受けることができるかどうか尋ねたため,同公園事務所職員において,居宅保護希望であれば,病院で相談して保護手続を進める方が早い,病院からであろうと一時避難所からであろうと,どちらが有利ということはない,居宅保護希望なら,病院にも話をして治療を続けてはどうかなどと回答した。原告Gは,入院中であった同年7月16日にはa公園仮設一時避難所長と面談し,家を持って生活保護を受けたいとの希望を伝えるとともに就労意欲を見せ,自主退院後の同年9月にも,公園事務所職員に対し,アパートを見つけてくれたら働く,家を探してくれたら出る,などと述べていた。公園事務所職員は,その後も本件代執行に至るまで多数回にわたり原告Gに対して上記テントを撤去するよう説得し,同人は平成18年1月29日にはいったん一時避難所への入所を希望するなどしたものの,結局入所はしなかった。なお,前記の整備予定の園路については,本件各処分時には,原告Gのテントが設置された区画を除いて既に完成しており,上記テントに係る区画の工事を残すのみとなっていた。(甲53,乙9,16,19,証人B,弁論の全趣旨)
(ウ)

原告Sは,昭和27年8月26日生まれの男性であり,平成4年ころから
a公園にブルーシート製テントを設置して起居するようになり,本件代執行当時には,キャンプ用テントの骨組みにブルーシートを掛けたりブルーシートをひもで立木に縛るなどして複数のテント等を設置していた。同テント設置に係る区画は,同公園の平成17年度の整備工事において,遊歩道が整備される予定であったこともあり,公園事務所職員は,同人に対し,上記テントを撤去するよう継続して要求していたものの,同人は,一時避難所に入るつもりはない,自立支援センターも入ってすぐ出なければならず,仕事がないなら一緒であるなどと申し立ててこれを拒絶し,前記工事のお知らせと題する書面の交付後も,同人は,同事務所職員に対し,一時避難所に入っても福祉の世話になるだけで自立した例がないではないか,一時避難所は入所しても時期が来ると出て行かなければならず荷物も多いので入所する気はない,一時避難所や福祉の話はいらない,期限まで放っておいてほしい,自立するには金が必要なので金を借りられるようにしてほしいなどと申し述べ,結局上記テントを撤去しなかった。(甲51,乙16,証人B)
(エ)

原告Cは,昭和25年8月11日生まれの男性であり,平成12年ころか
らa公園内の斜面部にブルーシート製テントを設置して起居の場所とするようになった。同人は,昼間は空き缶収集をしているため不在であることが多く,公園事務所職員は,平成16年6月9日に同人に対し上記テントの撤去等工事への協力要請をしたものの,個別対応は拒絶され,その後も公園事務所職員が声をかけても,動く気はない,工事だろうがなんだろうとここにいる,工事をすればいいが,テントは撤去しないし,福祉の世話になるつもりもない,などととりつく島もないといった対応であったが,平成18年1月13日に同公園事務所職員と面談した際には,同人から一時避難所についての質問があり,同職員においてその概要を説明したものの,結局上記テントが撤去されることはなかった。(甲51,乙16,19)(5)

被告における自立支援策について(甲74,乙4,5,10,証人T,弁論
の全趣旨)

被告においては,大阪市における野宿生活者の増加等の状況を踏まえ,平成
10年5月に大阪市野宿生活者問題検討連絡会が設置され,国の取組みが必要な問題であるとして国に対して要望をするとともに,同年から平成11年にかけて大阪市における野宿生活者らの実態調査を行い,総合的な施策を検討するなどし,平成11年7月には,大阪市長を本部長とする大阪市野宿生活者対策推進本部が設置され,平成12年3月には有識者も交えた大阪市野宿生活者対策に関する懇談会も設置された。そして,被告は,同年4月には西成区の臨時夜間緊急避難所を開設するとともに,後記のとおり自立支援センターを順次開設する一方,d公園,e公園及びa公園に,それぞれ仮設一時避難所を順次開設した。
また,平成14年8月7日にはホームレスの自立の支援に関する特別措置法(自立支援法)が制定され,厚生労働大臣及び国土交通大臣は,平成15年7月31日,同法8条1項の規定に基づき,ホームレスの自立の支援に関する基本方針(平成15年厚生労働省・国土交通省告示第1号。以下基本方針という。)を策定しており,被告においても,これらを受けて,平成16年3月に大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画を策定している。以上の経緯を経て,被告においては,本件各処分当時,野宿生活者対策として,①

自立支援センターの設置運営及び②

(3)イで認定した③

仮設一時避難所の設置運営のほか,前記

野宿生活者巡回相談事業の3つの事業を行っていた。

自立支援センターについて

自立支援センターは,失業等により住居を失い公園や路上等で起居する者のうち,就労意欲のある者及び稼働能力のある者に対し,宿所及び食事を提供するととともに,生活相談,健康相談及び職業相談を行うことにより,これらの者の就労による自立及び社会復帰を支援することを目的とする施設であり,被告は,大阪市内に,平成12年10月に自立支援センター大淀を,同年11月に自立支援センター西成を,同年12月に自立支援センター淀川を,平成18年1月に自立支援センター舞洲1及び自立支援センター舞洲2を,それぞれ開設している。被告は,これらの自立支援センターの管理運営については社会福祉法人に委託している。これらの自立支援センターのうち,本件各処分時に既に開設していた自立支援センター大淀,自立支援センター西成及び自立支援センター淀川の概要は次のとおりである。(ア)

施設等について

上記各自立支援センターの定員は,80ないし110名である。これらには,いずれもシャワーが設置されており,入所者1人当たりの収納設備を除いた床面積は,2.6ないし3.7㎡である。また,これらの居室は,8ないし12人部屋となっており,2段ベッドが並べられ,それぞれカーテンで目隠しがされている。なお,自立支援センター大淀については,後記のとおりサテライト事業が行われており,1人で生活できるスペースもある。また,家財道具等については,身の回り品ないしロッカー又は収納ボックスに収まる程度のものについては持込みが認められており,自立支援センター西成では就労者の通勤用自転車については持込みも認めている。
入所期間は,原則として3か月とされているが,自立支援センター長が有益と判断した場合には,1か月ごとに期限を延長し,最大6か月まで入所期間を延長することも認められている。もっとも,施設によっては入所期限について柔軟に対応しているところもあり,入所期間が6か月を超える例も少なからずあった。なお,自立支援センター大淀については,平成18年1月から再入所を認めており,他の2つの自立支援センターにおいても再入所を認めている。また,これらの自立支援センターでは飲酒等が禁止されており,入所者らの預貯金についても自立支援センターにおいて管理しており,午後8時ないし10時の門限も設定されているが,仕事で遅くなる等の正当な理由がある場合には例外も認められている。(イ)

事業内容等

これらの自立支援センターでは,入所者に対し,健康診断等の健康相談,1日3度の食事の提供,日用品の支給,求職活動のために必要な衣料・交通費や,必要経費の貸付け,公共職業安定所の職業相談員による職業相談や履歴書の作成指導等の就業支援事業,大阪弁護士会と協力しての法律相談事業,福祉相談事業などの自立支援事業が行われている。なお,これらに加えて,自立支援センター大淀においては,入所者に,就労自立直前の2か月の間,同センターのそばに位置するアパートの個室に入所してもらうというサテライト事業も行っている。
(ウ)

退所後の状況等

これらの自立支援センターにおける就労自立率は,40ないし47パーセント程度であり,これら就労自立した者の平均月収は15ないし16万円程度であったが,無断退所や自主退所する者も多く,退所後生活保護を受給するに至った者も多いものの施設保護が多く,居宅保護を受ける者の数は,各センターにおいて,それぞれ,数人ないし十数人であった。
また,これらの自立支援センターにおいては,就労による自立に結びつかず退所する者の希望に応じて生活保護申請手続を援助するなどしているほか,退所した者についても,はがきを送付したり,訪問したりして相談にのるなどのアフターフォローも行っている。
(エ)

本件代執行当時の入所人員

これらの自立支援センターの平成18年1月30日の本件代執行当時の入所人員は,45名ないし72名で,いずれの施設も入所定員を相当程度下回っていた。ウ
仮設一時避難所について

前記のとおり,被告は当初a公園を始め市内の3つの公園に仮設一時避難所を設置していたが,本件各処分の当時にも設置されていたのは,a公園のみであった。なお,この仮設一時避難所は,被告の公園条例(昭和52年大阪市条例第29号)8条の2の規定に基づき,都市公園法施行令12条10号に規定する条例で定める仮設の物件又は施設として設置されているものである。a公園における仮設一時避難所(一時避難所)の概要は次のとおりである。
(ア)

施設等

同仮設一時避難所は,社会福祉法2条3項8号に規定する施設として平成14年11月に開設され,平成20年3月31日がその設置期限とされている。同仮設一時避難所の敷地面積は約5800㎡であり,その入所定員は176人となっている。居室は個室となっており,各居室の入り口はアコーディオンカーテンで廊下と仕切られ,ベッドが備え付けられ,同ベッドの下には収納ケースが2つ貸与されており,上記各個室の面積は3.18㎡である。また,同施設には夫婦の入居者のための個室もあるほか,シャワーが備え付けられ自由に利用できるようになっており,建物外部には,犬舎設置エリアやアルミ缶かご設置エリアも設けられている。同施設への荷物の持込については,寝具を除き,数量制限はあるものの禁止されておらず,家財道具等の大型荷物や日常的に使用しない物は,同施設内で保管する扱いとされている。また,入所期限は特に設けられていない。門限は一応午前8時から午後8時までとされているものの,門限外の出入りも認められている。
同仮設一時避難所は,当初その入所資格が実態聞き取り調査で確認されていたa公園内に起居する野宿生活者に限定されていたが,平成16年2月からは,緊急対応を要する場合に限り,a公園以外の公園において起居する野宿生活者も一部その入所対象とするようになり,平成17年12月ころには,b公園において起居する野宿生活者についても入所することが可能となった。なお,同仮設一時避難所については,いったん入所した利用者の再利用は予定されていない。
(イ)

事業内容等

同仮設一時避難所においては,毎週,公共職業安定所の雇用指導官による求職活動支援が行われるほか,清掃作業,巡回警備及びアルミ缶買収作業等の所内作業等の希望者へのあっせん,看護士や心理相談員による相談や健康診断援助,入退院援助等の医療援助,住民登録設定手続援助,年金加入期間調査及び裁定請求手続援助等の年金関係援助,物件情報の収集,物件下見や賃貸借契約への付添い等の住宅関係援助,福祉サービスについての指導,助言,及び,大阪弁護士会に委託しての弁護士による法律相談等の事業を行っている。また,入所者に対しては,1日1食米飯を支給している。
(ウ)

退所後の状況等

同仮設一時避難所においては,その退所者の2割余が就労自立により退所しており,その就職先における平均月収は10万円弱である。また,退所者の過半数の者が生活保護を受けて退所しているが,施設保護及び居宅保護がそれぞれその約4分の1であり,その約2分の1が入院により生活保護を受けている。また,自主退所する者も退所者の2割余りを占めている。
(エ)

本件代執行当時の入所人員

同仮設一時避難所の平成18年1月30日の本件代執行当時の入所人員は40名で,入所定員を大きく下回っていた。
2
(1)

争点①(本件各処分が国家賠償法上違法か)について本件除却命令の都市公園法上の適法要件該当性
都市公園法6条1項は,都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは,公園管理者の許可を受けなければならない旨規定しているところ,前記前提事実によれば,原告らは,都市公園である本件各公園内に,これらの管理者である被告から同項に規定する許可を受けることなく本件テント等を設置しているというのであり,本件テント等が同法2条2項各号に定める公園施設のいずれにも該当しないことは明らかであるから,上記のような原告らによる本件テント等の設置は,都市公園法に違反するものであるというほかない。しかるところ,同法27条1項は,公園管理者は,同法に違反している者に対して,都市公園に存する工作物その他の物件又は施設の除却を命ずることができる旨規定しているのであるから,本件各公園の管理者である被告(大阪市長)は,原告らに対し,本件テント等の除却を命じることができるものというべきである。

これに対し,原告らは,都市公園法27条1項は,義務者が都市公園を占有
している場合の規定ではなく,義務者が都市公園を占有している場合には,同項に基づく除却命令を発することは許されないところ,原告らは本件テント等を本件各公園内に設置し起居の場所とするなどして本件各公園の敷地のうち本件テント等設置に係る区画を占有していたのであるから,本件除却命令は都市公園法に違反し違法である旨主張する。
しかしながら,都市公園法27条1項に基づく除却命令は,土地の明渡しを命じるものではなく,物件又は施設の除却を命じるものにすぎないし,同項は,除却命令の対象となる物件及び施設について何ら限定をしていないのであるから,当該物件又は施設の設置により当該都市公園の敷地である土地が事実上特定の者の排他的支配下に置かれているか否かによって,除却命令の可否が左右されるものではないと解される。すなわち,都市公園法は,2条2項各号に掲げる公園施設のほか,公園管理者の許可を得ずに工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用することを禁止し,7条各号に規定する仮設工作物等の一定の工作物その他の物件又は施設に限って,所定の要件の下に,占用の許可を与えることができるものとしているところ,同法がこのように都市公園における工作物その他の物件又は施設の設置を規制している趣旨は,工作物その他の物件又は施設の設置によって当該物件又は施設の設置場所ないしその周辺の場所がその設置者等の排他的利用に供されることとなるなど,一般公衆の利用に支障が生じ,公共用物としての都市公園の機能が阻害されることにあるものと解され,都市公園に存する工作物その他の物件又は施設の除却命令に関する同法27条1項の規定は,当該工作物その他の物件又は施設を除却することによって公共用物としての都市公園の機能を回復することを目的とした規定であると解される。以上のような同法の趣旨及び目的にかんがみると,同法27条1項は,都市公園に存する工作物その他の物件又は施設が仮設のものであるか否か,当該物件又は施設の設置によってその設置者等が当該設定場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置いているか否かなど,当該物件又は施設の種類,構造,設置の目的,態様,利用形態等のいかんを問わず,管理者において都市公園の機能を回復するためにその除却を命じる権限を付与した規定と解するのが相当である。したがって,本件各公園の管理者である被告においても,都市公園法に違反して設置された本件テント等について,原告らが本件テント等を設置することにより本件各公園の敷地である土地の一部を事実上その排他的支配下に置いているか否かを問うことなく同項に基づく除却命令を発することができるというべきであり,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)

本件代執行の行政代執行法上の適法要件該当性
行政代執行法2条は,法律により直接に命ぜられ,又は法律に基づき行政庁
により命ぜられた行為(他人が代わってなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合,他の手段によってその履行を確保することが困難であり,かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは,当該行政庁は,自ら義務者のなすべき行為をなし,又は第三者をしてこれをなさしめ,その費用を義務者から徴収することができる旨規定しており,これによれば,法律により直接又は法律に基づき行政庁により課せられた行政上の義務について,当該義務が任意に履行されない場合に行政代執行によってその履行を確保するためには,①

当該義務が,他人が代わってなすことができるものであること(代替的
作為義務であること),②

行政代執行以外の手段によってその履行を確保するこ

とが困難であること,及び,③

その不履行を放置することが著しく公益に反する

と認められること,以上の3要件を具備する必要があることになる。イ
原告らは,上記①に関し,本件テント等の除却と本件各公園の明渡しとは等
価であって,原告らの占有の喪失は本件代執行の事実上の効果にすぎないなどということはできないから,本件代執行は,本件各公園の明渡しという本来明渡訴訟により実現すべき与える債務を強制的に実現するものであり,上記①の要件を満たさず,行政代執行法に違反し違法であると主張する。
しかしながら,前記のとおり,本件除却命令は,各原告に対し,同人らが本件各公園内に設置する物件(本件テント等)を除却する義務を賦課することをその法的効果とする処分にすぎず,それを超えて,本件各公園の敷地である土地の明渡しを命じる趣旨までもを含むものではないと解され,本件除却命令に係る除却命令書の記載からも,このような趣旨を読み取ることはできない。そして,本件除却命令によって賦課される上記義務(本件テント等を除却する義務)自体は,他人が代わってなすことができるものであること(代替的作為義務であること)は明らかである。この点,原告らは,本件テント等の設置と原告らによる本件テント等設置に係る区画の敷地である土地の占有とは不可分一体であるから,本件テント等の除却には本件テント等設置に係る区画の敷地である土地の占有の解除が必然的に伴い,これらを分離することはできず,本件代執行は非代替的作為義務につきされたものであると主張し,証人Uも同様の証言をしている。
確かに,前記認定事実等によれば,原告らが本件各公園内に設置した本件テント等は,人の居住空間を提供するに足りる設備及び構造を有するものと推認され,原告らは,本件テント等を単にその起居の場所として利用するにとどまらずその生活の拠点として利用していた事実が認められるのであって,本件テント等の構造,設置の目的,態様及び利用形態等からすれば,原告らは,本件テント等の設置場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置いていたということができる。しかしながら,前記のとおり,本件除却命令は,あくまでも工作物その他の物件又は施設としての本件テント等の除却義務をその原告らに課すものにすぎず,本件テント等の除却によって本件テント等の設置場所ないしその周辺場所に対する原告らの事実上の排他的支配状態が失われることとなるとしても,それは,本件テント等の除却によって生じる事実上の効果にすぎないのであって,これをもって本件テント等の除却命令の法的効果の実現であるということはできない。のみならず,工作物その他の物件又は施設の設置によって当該物件又は施設の設置場所ないしその周辺場所が事実上その設置者等の排他的支配下に置かれることも少なくないと考えられるところ,そのような場合に当該物件又は施設の除却によって当該場所に対する設置者等の事実上の排他的支配状態の消滅という当該施設等の引渡しないし明渡しと同等の事実上の効果が生じてしまうことを理由に当該除却命令の代執行が許されないとすると,行政代執行法の適用場面が相当程度限定されたものとなって,行政上の義務の履行確保を原則として行政代執行法による代執行に限定した(1条)同法の趣旨が没却されるものというべきであり,原告らの援用する同法の沿革にかんがみても,そのような限定解釈をすべき特段の理由は見いだせない。したがって,原告らの上記主張は採用することはできない。
また,原告らは,被告が本件代執行に際して多数の被告職員及び民間警備会社の警備員を動員するなど大規模な人的体制を準備していたことなど,本件代執行の態様を客観的に見れば,原告らを排除する強制立ち退きにほかならないなどと主張する。
前記認定事実によると,被告は,本件代執行に先立ち当日のタイムスケジュール等を作成するなどその体制を整備し,本件代執行当日には多数の職員及び警備員を動員し,その中には自主的に移動せずに本件テント等に籠城する者を作業区域外まで強制移動させるための排除斑も用意されていたほか,被告は,本件代執行の当日,b公園を供用休止とした上,本件代執行の開始に先立って出入り口にフェンスを設置し,本件代執行の実施においてはb公園原告らの一部をも含む支援者らで本件テント等の内部などに居座るなどして抵抗を続ける者を被告職員や警備員らにより実力でもってフェンス外(すなわち公園外)に移動させ,その者らが公園内へ再度入り込むことを阻止するなどしてその抵抗を排除した事実が認められる。上記認定事実によれば,少なくともb公園については,本件代執行において,その設置等に係る本件テント等を除却されたにとどまらず,被告職員や警備員らにより実力でもってその身体を公園外に移動させられるなど,本件テント等の設置場所ないしその周辺場所を越えて都市公園であるb公園の外に強制的に排除された者が存在する事実が認められる(これに対し,a公園については,本件代執行においてa公園原告らの中に上記のような態様でそのテント等の設置場所ないしその周辺場所を越えて同公園の外に強制的に排除された者が存在する事実を認めるに足りる的確な証拠はない。)。
確かに,前記のとおり,都市公園法27条1項に基づく工作物その他の物件又は施設の除却命令の行政代執行法による代執行は,あくまでも,当該物件又は施設の除却を目的とする手続であって,当該物件又は施設の設置者等を当該都市公園から強制的に排除することを目的とした手続でないことはいうまでもない。しかしながら,行政代執行は,他の手段によっては履行を確保することが困難な行政上の義務について,その履行を確保するために,法律によって特別に行政庁に認められた手段なのであり,このような行政代執行法の趣旨からすると,行政代執行に際してその義務者等がこれに抵抗するような場合には,行政庁は,行政代執行の目的を円滑かつ確実に実現するために必要最小限度の範囲において実力を行使することも,行政代執行に付随する措置として許容されるものと解される。すなわち,行政代執行は,行政庁が自ら強制的に行政上の義務の履行を確保するための手段として実定法(行政代執行法)が規定する手続であり,このような手続の性格に加えて,実定法上行政代執行が行政上の義務履行確保のための原則的な手段とされた上,他の手段によっては履行を確保することが困難な場合であることがその要件として規定されていることをも併せ考えると,その根拠法令である行政代執行法は,民事執行法6条のような明文の規定を待つまでもなく,代執行に際し抵抗を受けるときは,代執行の目的を円滑かつ確実に実現するために必要最小限度の範囲内で,自ら威力を用い,又は警察官の援助を求めるなどして,実力行使に及ぶことを許容する趣旨のものと解される。そうであるところ,前記認定事実によると,b公園については,本件代執行が行われる前年(平成17年)10月ころ以降,公園事務所職員において同公園内にテント等を設置して野宿生活をしている者らに対して同テント等の撤去に向けた説得等の働きかけを強める過程で,自治会を中心として,支援者らを含む20人ないし30人規模の集団が罵声を挙げて威圧するなどといった態様の抗議行動が複数回にわたり行われるなどしていた上,本件代執行の開始のころにはb公園原告らのほかに100名を超える支援者らが園内に入り込んでいたというのであるから,本件代執行の開始に先立ってこれらの支援者らによる激しい抵抗が相応の根拠をもって予想される具体的状況が存したということができる。そして,前記認定事実によれば,実際にも,本件代執行の開始に先立って,公園の出入り口にフェンスを設置する作業に当たっていた被告職員がb公園原告らの一人から鎖で殴打されて負傷するという事件が発生したほか,本件代執行の過程にあっては,上記のとおり公園内に入り込んだ多数の支援者らが,本件テント等に居座り,あるいは,周囲から本件代執行に対する抗議を行い,被告職員らによってフェンス外に移動させられても再度園内に入り込み,中心となっていたテントに集結しスクラムを組むなどして激しく抵抗を続け,そのため,作業が一時膠着状態となり,被告において,当初の配置(職員195人,警備員250人,運搬作業員60人。そのうち,排除班として職員40人,警備員80人)に加えて,a公園の本件代執行を終えた職員らを応援に加え,外部に移動させた者の再流入を防ぐためフェンス出入り口付近の配置を強化するなどの対応をした上,被告職員や警備員においてテント等に居座る者らをフェンス外に移動させるなどその抵抗を排除して作業を進めた結果,作業開始から約6時間40分後にようやく本件代執行手続を終えることができたというのである。
上記認定の本件代執行に至る経過並びに本件代執行に対する妨害行為の内容,程度及び態様にかんがみると,被告において,本件代執行に先立って,b公園を供用休止とした上,上記のような多数の人員を動員,配置し,本件代執行の過程において,b公園原告らの一部を含む,本件テント等の内部などに居座るなどして抵抗を続ける者を被告職員や警備員らにより実力でもって公園外に移動させ,その者らが公園内へ再度入り込むことを阻止するなどして,その抵抗を排除したことは,具体的状況の下において本件代執行の目的を円滑かつ確実に実現するために必要な実力行使として,その限りにおいて行政代執行法の許容するところというべきであり,その結果として,b公園原告らのうちの一部の者が被告により本件テント等の設置場所ないしその周辺場所を越えて公園外に強制的に排除されることとなったとしても,これをもって直ちに本件代執行が原告らを本件テント等の設置された公園から排除することを目的として行われたものと評価することはできない。そして,前記認定事実及び証拠(甲71)によると,被告においては,本件代執行に先立ち当日のタイムスケジュールが作成されてあらかじめ職員等の業務内容が定められており,同タイムスケジュール等においては,本件代執行に際して本件テント等に居座るなどして抵抗する者がいる場合には任意の移動を複数回にわたって促し,それでも居座る場合には被告職員が主体となって抵抗する者を実力で安全な区域に強制移動させること,暴力をふるわれた場合であっても決して報復行為をしないこと,抵抗する者が女性である場合には女性の職員と警備員が対応すること等が定められていた事実が認められるのであって,本件代執行に当たってこれとは異なる態様で原告らの抵抗の排除等が行われたことを認めるに足りる証拠もないから,本件代執行は,上記タイムスケジュール等において定められた方法に従って実施されたものと推認される。以上のような本件代執行における被告の実力行使の態様及び程度等に照らせば,本件代執行に際して被告が用いた実力は,本件除却命令に基づく義務の履行として本件テント等を除却するという行政代執行の目的を円滑かつ確実に実現するために必要最小限度の範囲内のものであったということができる。なお,前記のとおり,a公園における本件代執行については,そもそもa公園原告らの中にb公園におけると同様の態様でそのテント等の設置場所ないしその周辺場所を越えて同公園の外に強制的に排除された者が存在する事実を認めるに足りる的確な証拠はなく,前記認定の妨害行為の態様,程度及び代執行に要した時間等にかんがみても,相応の実力行使を必要とするような特段の状況はうかがわれず,その代執行の過程において被告職員らにより本件代執行の目的を円滑かつ確実に実現するために必要最小限度の範囲を超えた実力行使が行われた事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
以上のとおりであるから,本件各公園における本件代執行は,前記①の要件を満たすものというべきであり,原告の前記主張を採用することはできない。ウ
原告らは,前記②の要件に関し,被告が居宅保護について正確かつ具体的な
教示を行い適切な代替住居を確保すれば原告らはスムーズに本件各公園からアパート生活に移行できたはずであり,また,本件テント等が工事の支障になるのであれば,本件テント等の一時的な移動で足りたことからすると,他の手段によってその履行を確保することが困難であるとはいえないと主張する。
しかしながら,前記認定事実によると,被告は,原告らに対し,自立支援センター等への入所を促し,あるいは高齢又は病弱な者に対しては生活保護に関して区役所の窓口等への取り次ぎをするなどしながら,本件テント等の任意の撤去を求め続け,平成17年10月以降も工事のお知らせ等の文書を複数回にわたり交付して撤去を求めたが,原告らはこれに応じることはなかったのみならず,支援者らを含む20人ないし30人程度の集団で公園事務所に押しかけて罵声を挙げて威圧するなどの抗議行動を行ったり,公園事務所職員らの個別訪問による説得活動を脅迫的言辞をもって妨害するなどの行為に及んだというのであるから,本件除却命令によって各原告が賦課された本件テント等の除却義務については,その任意の履行を期し難い状況にあったということができ,行政代執行を除いては,他に本件除却命令によって原告らに賦課した義務の履行を確保する方途はなかったというべきである。したがって,本件は,他の手段によってその履行を確保することが困難である場合に該当するというべきである。なお,前記認定事実によると,被告においては,原告らが本件テント等から直ちにアパート等に入居するなどして直ちに居宅保護に移行することができるといった説明はしていなかったものと認められるものの,後に説示するとおり,被告において,原告らを含む野宿生活者に対し,高齢や病弱のため就労が困難な者を除いて,自立支援センター又は一時避難所への入所を勧め,直ちに敷金を支給して居宅保護を開始するという方法についての指導,助言等をしていなかったとしても,自立支援法及び生活保護法の趣旨に反するものということはできないから,これをもって前記②の要件を欠くということはできない。また,前記のとおり,原告らが本件各公園内に設置等した本件テント等は,人の居住空間を提供するに足りる設備及び構造を有するものと推認され,原告らは,本件テント等を単にその起居の場所として利用するにとどまらずその生活の拠点として利用していた事実が認められるところ,そのような工作物等は,都市公園法2条2項各号に掲げる施設に該当しないことはもとより,同法7条各号又は都市公園法施行令12条各号に掲げる物件又は施設にも大阪市公園条例(昭和52年大阪市条例第29号)8条の2の物件又は施設のいずれにも該当しないことが明らかであるから,およそ都市公園内に設置することが法令上許されないものというべきである。そうであるとすれば,本件テント等を一時的に移動することにより予定された工事を施行することが可能であったとしても,そのことが,行政代執行法2条にいう他の手段に該当する余地はないというべきである。
以上のとおりであるから,原告らの上記主張は採用することができない。エ
原告らは,前記③の要件に関し,同要件の有無を判断するためには,行政代
執行により得られる利益と失われる利益とを比較衡量すべきところ,本件においては前者は本件各公園の景観や市民の安心といったいずれも故ないものである一方,後者は原告らの生活の場であり命であって,後者の方がはるかに大きいから,本件代執行は上記要件を満たさない旨主張する。
行政代執行法2条にいう不履行を放置することが著しく公益に反するという要件の認定については,事柄の性質上,当該行政庁の裁量にゆだねられていると解される。
そこで,本件除却命令に基づく義務の不履行を放置することが著しく公益に反するとした被告(大阪市長)の認定判断がその裁量権を逸脱し又はこれを濫用したものといえるか否かについて検討するに,都市公園法は,1条において,都市公園の設置及び管理に関する基準等を定めて,都市公園の健全な発達を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とする旨規定し,2条1項において,都市公園とは,同項1号又は2号に掲げる公園又は緑地で,その設置者である地方公共団体又は国が当該公園又は緑地に設ける公園施設を含むものとする旨規定し,同条2項において,都市公園の効用を全うするため当該公園内に設けられる公園施設として,園路及び広場,修景施設,休養施設,遊戯施設,運動施設,教養施設,便益施設並びに管理施設等を規定し,これらの公園施設を政令で定める基準に従って設置するものとしている(4条2項)。他方で,前記のとおり,同法は,2条2項各号に掲げる公園施設のほか,公園管理者の許可を得ずに工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用することを禁止し,7条各号に規定する仮設工作物等の一定の工作物その他の物件又は施設を設けて占用する場合に限って,当該占用が公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼさず,かつ,必要やむを得ないと認められるものであって,政令で定める技術的基準に適合するという要件の下に,占用の許可を与えることができるものとしている。このような都市公園法の規定内容等に照らすと,同法は,都市公園を,一般公衆の散策,休養,遊戯,運動及び教養等の場として位置付け,その効用を全うするための公園施設を政令で定める基準に従って設け,これを一般公衆の用に供するとともに,都市公園の効用を全うするための公園施設に該当しない工作物その他の物件又は施設の設置を原則として禁止することにより,その公共用物としての機能の確保を図っているということができる。しかるに,前記のとおり,原告らが本件各公園内に設置等した本件テント等は,人の居住空間を提供するに足りる設備及び構造を有するものと推認され,原告らは,本件テント等を単にその起居の場所として利用するにとどまらずその生活の拠点として利用していた事実が認められるところ,そのような工作物等は,都市公園法2条2項各号に掲げる施設に該当しないことはもとより,同法7条各号又は都市公園法施行令12条各号に掲げる物件又は施設にも大阪市公園条例(昭和52年大阪市条例第29号)8条の2の物件又は施設のいずれにも該当しないことが明らかであるから,およそ都市公園内に設置することが法令上許されないものというべきである。そして,前記認定事実によれば,原告らは,本件除却命令が出される相当以前から本件各公園内に上記のような態様で本件テント等を設置等することにより,長期間にわたり,本件テント等の設置場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置いていたというのであって,原告らによる上記のような本件各公園の利用態様は,公共用物としての公園の一般利用と本質的に相容れないものというほかなく,およそ都市公園法その他の法令の想定するところではないというべきである。そうであるところ,都市公園内に本件テント等のような物件又は施設を設置した上その設置場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置くことは,その設置場所の当該公園内における位置関係,設置区画の広狭等のいかんにかかわらず,上記のような機能を有する都市公園の効用を著しく損なうものというべきである。すなわち,そもそも,都市公園法は,都市公園について,一定の区域内に公園施設が適切に配置されることにより,その全体が統一のとれた秩序ある空間を形成し,もって一般公衆の散策,休養,遊技,運動,教養等の用に供される施設として想定しているということができるところ,そのような都市公園内に占用許可を受けることなく工作物その他の物件又は施設が設置された場合には,当該物件又は施設が設置された場所ないしその周辺場所を一般公衆が利用することができなくなるにとどまらず,そのこと自体によって都市公園としての一体性が損なわれ,その機能が阻害されるのであって,このことは,当該物件又は施設の設置の目的,設置に至る経緯,設置場所,設置範囲,当該物件又は施設の利用形態等のいかんを問わないというべきである。また,当該物件又は施設の種類,構造及び設置態様等によっては,その倒壊等により当該都市公園を利用する一般公衆の生命又は身体に危害が及ぶおそれがあるほか(同法7条はこのような観点から占用許可の申請に係る工作物その他の物件又は施設が政令で定める基準に適合することを要求しているものと解される。),当該物件又は施設の利用形態のいかんによっては,公衆衛生を損なうおそれもあるのであって,このことも,当該物件又は施設の設置の目的,設置に至る経緯,設置場所,設置範囲等のいかんを問わないというべきである。さらに,管理者においてそのような物件又は施設を除却せずに放置した場合には,同様の行為に及ぶ者が続出することも十分予想されるところである。前記のとおり,都市公園である本件各公園内に本件テント等が設置されていること自体により,客観的にみて本件各公園の統一のとれた秩序ある空間としての一体性が損なわれているのみならず,原告らは,長期間にわたり,本件テント等の設置場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置くことによって,少なくとも当該部分についての一般公衆の利用を現実に妨げていたことは明らかである。のみならず,前記認定の本件テント等の構造及び設置態様等にかんがみると,本件テント等の倒壊等によって本件各公園を利用する一般公衆の生命又は身体に危害が及ぶ具体的危険性も存したということができる。これらに加えて,前記認定のとおり,b公園にはピーク時の平成15年8月当時には63件の,また,a公園にはピーク時の平成14年2月当時には681件ものテント等が設置されていたことをも併せ考えると,本件テント等の存在によって本件各公園の都市公園としての機能が著しく阻害されていることは明らかというべきであるから,後に検討する本件代執行によって原告らが被る不利益の内容,程度等をしんしゃくしてもなお,本件除却命令の不履行を放置することが著しく公益に反するとした被告(大阪市長)の認定判断が,その裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用したものということはできない。
原告らは,被告が本件代執行の理由としてあげる本件各公園の利用者や近隣施設からの苦情という点について,これらは実証的な調査,検討によって野宿生活者以外の市民が現実に都市公園として利用することができなくなっているという客観的状況が確認されたものではなく,主観的な漠然としたイメージにすぎないと主張する。
確かに,都市公園は,その設置目的に従った利用がされる限り,原告らのような定まった住居を有しないいわゆる野宿生活者らに対しても開かれた施設であることはいうまでもないが,前記のとおり,都市公園内に本件テント等のような物件又は施設を設置してこれを生活の拠点とするなどその設置場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置くことは,何人であれ法令上許されないのであって,このことは,当該物件又は施設を設置した経緯や設置目的,利用形態等のいかんを問わないのである。そして,本件各公園の利用者や近隣施設からの苦情の有無やその内容のいかんにかかわず,前記のとおり,本件テント等の存在によって本件各公園の都市公園としての機能が著しく阻害されていることは客観的に明らかというべきであるから,上記のような苦情の存在が本件各処分の一因となっていたとしても,そのことをもって本件除却命令の不履行を放置することが著しく公益に反するとした被告(大阪市長)の認定判断がその裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものということはできない。したがって,原告らの上記主張を採用することはできない。
また,原告らは,被告が本件代執行の理由としてあげる本件各公園の整備工事についても,その必要性に疑問があり,しかも,本件テント等が設置されていた場所でも本件代執行後に工事が行われた形跡がない場所もあり,本件代執行の理由とはならない旨主張する。
しかしながら,そもそも,都市公園内に本件テント等のような物件又は施設を設置した上その設置場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置くことは,その設置場所の当該公園内における位置関係,設置区画の広狭等のいかんにかかわらず,都市公園の機能を著しく阻害するというべきであるところ,以上認定説示したところによれば,本件テント等の存在そのものによって本件各公園の機能が著しく阻害されていることは客観的に明らかであるから,被告の主張する本件各公園の整備工事に係る工事区域と本件テント等の設置場所との位置関係や,本件テント等が当該工事の施工に与える具体的な支障の程度,態様等は,本件除却命令の不履行を放置することが著しく公益に反するか否かについての上記認定判断の適否を左右するに足りるものではないというべきである。のみならず,前記認定事実等によると,a公園は,平成18年3月から同年5月まで開催される緑化フェアの主会場として予定されており,また,b公園も,同年5月に開催されるバラ会議の会場として予定されており,これらのために,平成17年度において,b公園については,東園のうちバラ園,テニスコート及び児童遊園を除く部分の大部分を工事対象区域とする各種土木工事,剪定整枝,枯れ木撤去等を行うことが予定されており,a公園については,城南地区を工事対象区域とするバス・一般駐車場整備,遊歩道整備,散策路整備及び植栽のための各種土木工事,樹木移植・枯れ木撤去工事等を行うことが予定されていたこと,本件テント等はいずれも上記各工事対象区域内ないしその近くに存在していたこと,以上の事実が認められる。上記認定の予定された工事の目的及びその具体的内容並びに工事対象区域と本件テント等の設置場所との位置関係にかんがみると,本件テント等の設置場所自体が上記工事による土地の区画形質の変更ないし工作物その他の物件又は施設の設置の対象範囲に含まれていなかったとしても,本件テント等の存在が上記工事の迅速かつ円滑な遂行に支障を与えるものであることは明らかというべきである。
以上のとおりであるから,前記③の要件に関する原告らの主張を採用することはできない。

以上によれば,本件代執行は,前記アの①ないし③のすべての要件を満たし
ていたものと認められる。
(3)

本件代執行の憲法22条1項違反の有無
原告らは,本件代執行は,極度の窮乏により他に居住する場所を有しなかった原告らが住居として利用する本件テント等を,一方的,強制的に撤去したものであり,憲法22条1項が保障する原告らの居住の自由を侵害するものであり違法である旨主張する。
憲法22条1項は,何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する旨規定し,いわゆる居住移転の自由を保障しているが,憲法は,他方で,29条1項において所有権を始めとする財産権を保障しているのであって,以上のような憲法の規定内容等に照らせば,憲法22条1項は,私有地であると公有地であるとを問わず,他人の所有等する土地に権原なく居住する自由までをも保障するものであると解することはできない。
以上のとおりであるから,原告らの上記主張を採用することはできない。(4)

本件代執行の憲法25条1項違反の有無
原告らは,憲法25条1項は健康で文化的な最低限度の生活を保障しており,
同生活の水準は生活保護法によって具体化されているところ,本件代執行に先立ち原告らに提示された自立支援センター等の代替措置はいずれも生活保護法の基準を下回るものであったから,本件代執行は憲法25条1項に違反する旨主張する。イ
前記認定事実によれば,本件代執行において除却の対象とされた本件テント
等は,原告らがこれを起居の場所として利用していたにとどまらず,これを生活の拠点としていたものであるから,本件代執行は,そのような原告らの起居の場所を含めた生活の拠点を奪うものであるということができ,本件代執行が1月という冬季に行われたことや,前記認定の原告らの年齢,生活状況等に加えて原告らが置かれている社会的,経済的環境にもかんがみると,本件代執行によって原告らが生活保護法及び生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)が前提とする最低限度の生活に満たない程度にまで生活に困窮する事態も容易に推認されるところである。

しかしながら,憲法25条1項は,いわゆる福祉国家の理念に基づき,すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るよう国政を運営すべきをことを国の責務として宣言したものであって,国が個々の国民に対して具体的,現実的に上記のような義務を負うことを規定したものではなく,また,同条2項も,同条1項と同じく,福祉国家の理念に基づき,社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべきことを国の責務として宣言したものであって,憲法上,個々の国民の具体的,現実的生活権は,このように国の責務とされる社会的立法及び社会的施設の創造拡充により設定充実されていくものとされているのである。このような憲法25条の規定の性質に加えて,同条1項にいう健康で文化的な最低限度の生活なるものは,きわめて抽象的,相対的な概念であって,その具体的内容は,その時々における文化の発達の程度,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに,同条の規定の趣旨を現実の立法や社会的施設の創造拡充として具体化するに当たっては,国の財政事情を無視することはできず,また,多方面にわたる複雑多様な,しかも高度に専門技術的な考察とそれに基づいた政策判断を必要とするものであることからすれば,同条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は,立法府の広い裁量にゆだねられており,それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱,濫用とみざるをえないような場合を除き,裁判所が審理判断するのに適さない事柄であるということができる。
以上のような憲法25条の規定内容及びその法規範としての性格等にかんがみると,憲法は,生活に困窮する個々の国民に対しては,その困窮に至ったゆえんのいかんを問わず,社会的立法及び社会的施設の創造拡充により,健康で文化的な最低限度の生活を保障することを予定しているものと解される。そうであるとすれば,行政代執行法において行政代執行の結果その義務者等が生活に困窮する事態に対する憲法25条の規定の趣旨を具体化した制度的手当(立法措置)がされていないとしても,同法に基づく行政代執行が直ちに憲法25条1項に違反することになるものではないというべきである。
そうであるところ,我が国においては,憲法25条に規定する理念に基づき,国が生活に困窮するすべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,必要な保護を行い,その最低限度の生活を保障するとともに,その自立を助長することを目的とした,生活保護法が制定されているほか,前記のとおり,平成14年8月7日,自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者が多数存在し,健康で文化的な生活を送ることができないでいるとともに,地域社会とのあつれきが生じつつある現状にかんがみ,ホームレスの自立の支援,ホームレスとなることを防止するための生活上の支援等に関し,国等の果たすべき責務を明らかにするとともに,ホームレスの人権に配慮し,かつ,地域社会の理解と協力を得つつ,必要な施策を講ずることにより,ホームレスに関する問題の解決に資することを目的として,ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(自立支援法)が制定され,同日から施行されているところ,同法は,2条において,都市公園,河川,道路,駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし,日常生活を営んでいる者をホームレスと定義した上で,3条1項において,ホームレスの自立の支援等に関する施策の目標として,自立の意思があるホームレスに対し,安定した雇用の場の確保,職業能力の開発等による就業の機会の確保,住宅への入居の支援等による安定した居住の場所の確保等に関する施策並びに生活に関する相談及び指導を実施することにより,これらの者を自立させること(1号),宿泊場所の一時的な提供,日常生活の需要を満たすために必要な物品の支給その他の緊急に行うべき援助,生活保護法による保護の実施,国民への啓発活動等によるホームレスの人権の擁護,地域における生活環境の改善及び安全の確保等により,ホームレスに関する問題の解決を図ること(3号)等を掲げ,8条1項において,厚生労働大臣及び国土交通大臣は,同法14条の規定による全国調査を踏まえ,ホームレスの自立の支援等に関する基本方針を策定しなければならない旨規定し,9条において,都道府県及び市町村の実施計画の策定について規定し,11条において,都市公園その他の公共の用に供する施設を管理する者は,当該施設をホームレスが起居の場所とすることによりその適正な利用が妨げられているときは,ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ,法令の規定に基づき,当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとるものとする旨規定し,同法14条は,国は,ホームレスの自立の支援等に関する施策の策定及び実施に資するため,地方公共団体の協力を得て,ホームレスの実態に関する全国調査を行わなければならない旨規定している。そして,前記認定のとおり,厚生労働省及び国土交通省は,平成15年7月31日,同法8条1項の規定に基づき,ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(基本方針)を策定し,基本方針第3ホームレス対策の推進方策において,基本的な考え方として,ホームレスとなるに至った要因としては,主として就労する意欲はあるが仕事がなく失業状態にあること,医療や福祉等の援護が必要なこと,社会生活を拒否していることの3つがあり,これらが複雑に重なり合ってホームレス問題が発生してると考えられ,こうした中,最近の経済情勢の悪化,家族や地域の住民相互のつながりの希薄化,ホームレスに対する社会的な排除等が背景となって,ホームレス問題が顕在化してきたと指摘されており,こうした要因や背景を踏まえた総合的かつきめ細かなホームレス対策を講ずる必要があり,特に,ホームレス対策は,ホームレスが自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本であって,このためには,就業の機会が確保されることが最も重要であり,併せて,安定した居住の場所が確保されることが必要であり,その他,保健及び医療の確保,生活に関する相談及び指導等の総合的な自立支援施策を講ずる必要があるなどとした上で,ホームレスの就業の機会の確保,安定した居住の場所の確保,保健及び医療の確保,生活に関する相談及び指導に関する事項,ホームレス自立支援事業及びホームレスの個々の事情に対応した自立を総合的に支援する事業,ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項及び生活保護法による保護の実施に関する事項等の,各課題に対する取組方針を定めている。これらのうち,ホームレスに対し緊急に行うべき援助については,病気等により窮迫した状態にある者及び要保護者が医療機関に緊急搬送された場合については,医療機関等との連絡体制を整えるなど連携を図ることにより,早急に実態を把握した上で,生活保護による適切な保護に努め,福祉事務所は,治療後,再び野宿生活に戻ることのないよう,関係機関と連携して,自立を総合的に支援するものとし,居所が緊急に必要なホームレスに対しては,シェルターの整備を行うとともに,適切な処遇を確保することに留意しつつ無料低額宿泊事業を行う施設を活用し,これらの施設への入居を図ることとするものとし,また,生活保護法による保護の実施に関する事項については,ホームレスに対する生活保護の適用については,一般の者と同様であり,単にホームレスであることをもって当然に保護の対象となるものではなく,また,居住の場所がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるということはない点を踏まえ,資産,稼働能力や他の諸施策等あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が維持できない者について,最低限度の生活を保障するとともに,自立に向けて必要な保護を実施するものとした上で,ホームレスの抱える問題・状況(精神的・身体的状況,日常生活管理能力,金銭管理能力,稼働能力等)を十分に把握した上で,自立に向けての指導援助の必要性を考慮し,適切な保護を実施するものとし,就労の意欲と能力はあるが失業状態にあり,各種就労対策を実施しても就労が困難であると判断される者については,当該地域に自立支援センターがある場合には,自立支援センターへの入所を検討し,自立支援センターにおいて,結果的に就労による自立に結びつかず退所した者については,改めて保護の要否を判断し,必要な保護を行うものとし,ホームレスの状況(日常生活管理能力,金銭管理能力等)からみて,直ちに居宅生活を送ることが困難な者については,保護施設や無料低額宿泊事業を行う施設等において保護を行い,この場合,関係機関と連携を図り,居宅生活へ円滑に移行するための支援体制を十分に確保し,就業の機会の確保,療養指導,金銭管理等の必要な支援を行うものとし,居宅生活を送ることが可能であると認められる者については,当該者の状況に応じ必要な保護を行い,この場合,関係機関と連携して,再びホームレスとなることを防止し居宅生活を継続するための支援や,居宅における自立した日常生活の実現に向けて就業の機会の確保等の必要な支援を行うものと定めている。そして,後記のとおり,上記基本方針の定めを受けたホームレスに対する生活保護の適用に関する具体的な取扱いについて,ホームレスに対する生活保護の適用について(平成15年7月31日社援保発第0731001号各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて国政労働省社会・援護局保護課長通知)が定められている。
また,厚生労働省社会・援護局長は,平成17年3月31日付けで,各都道府県知事,各指定都市市長及び各中核市市長にあてて,セーフティネット支援対策等事業の実施についてと題する通知を発出しているが(平成17年3月31日社援発第0331021号各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局長通知),同通知においては,ホームレス対策事業として,ホームレス総合相談推進事業,ホームレス自立支援事業及びホームレス緊急一時宿泊事業等が定められ,このうち,ホームレス総合相談推進事業については,その事業内容として,ホームレス等の起居する場所を巡回し,これらの者と直に面接を行い,日常生活に関する相談等を行うほか,相談の結果によっては,各種施策の活用に係る助言等を行うとともに,関係各機関との連携の下,必要な支援を行うことなどを定めており,ホームレス自立支援事業については,その事業内容として,利用者に対し宿所や食事の提供とともに,日常生活上必要なサービスを提供し,自立支援プログラムに基づく就労意欲を向上させるための相談,指導等を行い,職業相談等を行うとともに,求人開拓,就職時の保証人の確保及び継続的な就労の確保のための援助を行うこと等を定め,この事業を実施するため,その実施主体である都道府県又は市区町村はホームレス自立支援センターを設置するものとし,同事業の実施に当たっては,福祉事務所,公共職業安定所及び地域社会等との連携を図るものとされており,ホームレス緊急一時宿泊事業については,その事業内容として,ホームレスの健康状態の悪化を防止する等のため,緊急一時的な宿泊場所を提供するとともに,併せて必要な便宜を提供することを定め,同事業の実施主体は,ホームレス緊急一時宿泊施設(シェルター)を設置するものとしている。
他方で,前記認定事実によると,被告においては,前記自立支援法の制定に先立つ平成10年5月に大阪市野宿生活者問題検討連絡会を設置し,野宿生活者の増加等は国の取組みが必要な問題であるとして国に対して要望するとともに,同年から平成11年にかけて大阪市における野宿生活者らの実態調査を行い総合的施策を検討するなどし,平成11年7月には,大阪市長を本部長とする大阪市野宿生活者対策推進本部を,平成12年3月には,有識者も交えた大阪市野宿生活者対策に関する懇談会を,それぞれ設置し,同年4月には大阪市西成区の臨時夜間緊急避難所を開設するとともに,平成12年には3つの自立支援センターを開設し,また,複数の公園に仮設一時避難所を設置するなどし,さらに,前記基本方針の策定を受けて,被告においても,平成16年3月,大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画を策定し,本件各処分時にも,同実施計画に基づき,野宿生活者の自立支援政策として,上記自立支援センター及び仮設一時避難所の設置運営のほか,野宿生活者巡回相談事業等の自立支援策を行っていたというのである。
以上認定したところによれば,本件代執行に先立って,既に平成14年8月に都市公園,河川,道路,駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者(ホームレス)に関する問題の解決に資することを目的とした自立支援法が制定され,同法において,ホームレスの自立の支援等に関する施策の目標として,自立の意思があるホームレスに対する安定した雇用の場の確保,就業の機会の確保,住宅への入居の支援等による安定した居住の場所の確保等に関する施策等の実施,宿泊場所の一時的な提供等の緊急に行うべき援助,生活保護法による保護の実施等が規定されるとともに,ホームレスの自立の支援等に関し国等の果たすべき責務が明らかにされ,他方で,都市公園その他の公共の用に供する施設の管理者はホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ法令の規定に基づき当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとるものとされた上,同法の施行を受けて,平成15年7月に基本方針が策定されて,ホームレスの就業の機会の確保,安定した居住の場所の確保,ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項及び生活保護法による保護の実施に関する事項等の各課題に対する取組方針が定められ,これを受けたセーフティネット支援対策等事業の実施についてが定められているほか,生活保護法による保護の実施については,居住の場所がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるということはない点を踏まえ,資産,稼働能力や他の諸施策等あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が維持できない者について,最低限度の生活を保障するとともに,自立に向けて必要な保護を実施するものとされ,これを受けたホームレスに対する生活保護の適用に関する具体的な取扱いについて,ホームレスに対する生活保護の適用についてが定められるなどしていたというのである。これらの自立支援法に規定されたホームレスの自立の支援等に関する施策目標及びこれを受けて策定された基本計画における取組方針等の内容は,いずれも,同法にいうホームレスの実態並びにホームレス問題が発生した要因及び背景を正確に把握した上,生活保護法の適正な運用や各種の社会的施設(自立支援センター,シェルター等)の設置,活用等を通じて,その実情に即してホームレスの具体的,現実的な生活権の確保を図るものということができるのであって,少なくともこれらの社会的施設が整備され,生活保護法の適正な運用を含む自立支援法の趣旨にのっとった各種支援策等が適切に実施されている状況下においては,都市公園その他の公共の用に供する施設の管理者において,ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ,法令の規定に基づく当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置として,これらの公共施設に本件テント等のような物件又は施設を設置して生活の拠点としているホームレスに対し,当該物件又は施設の除却を命じ,行政代執行によってその履行確保を図ることが,憲法25条1項に違反するということはできないというべきである。そうであるところ,前記のとおり,被告は,国におけるホームレスの自立の支援等に関する法整備に先立って,ホームレス問題に対する取組みを開始し,実態調査を行うとともに仮設一時避難所や自立支援センターを設置していた上,国における基本方針の策定を受けて大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画を策定し,上記各施設の運営のほか野宿生活者巡回相談事業等の自立支援策を行っていたというのであり,その施策の具体的な内容も,国における上記ホームレスの自立支援に係る取組みないし方針に沿うものであるということができる。
そして,被告において実施している上記各自立支援策についてみると,前記認定事実によれば,被告は,本件各処分時において,3つの自立支援センターを開設していたが,これらの定員は,それぞれ80ないし110名であり,いずれの施設にもシャワーが設置され,居室は2段ベッドが並べられた8ないし12人部屋となっており,それぞれカーテンで仕切られ,入所者1人当たりの収納設備を除いた床面積は,2.6ないし3.7㎡であり,身の回り品ないしロッカー又は収納ボックスに収まる程度のものについては持込みが認められていたというのであり,これらの自立支援センターにおいては,入所者に対して,健康診断等の健康相談や,1日3度の食事の提供,日用品の支給,求職活動のために必要な衣料・交通費や,必要経費の貸付け,公共職業安定所の職業相談員による職業相談や,履歴書の作成指導等の就業支援事業のほか,弁護士による法律相談事業も行われており,その入所期限は,原則3か月,最長6か月とはされていたものの,施設によっては柔軟に対応し,入所期間が6か月を超える例も少なくなかったというのである。また,これらの自立支援センターの入所者の40ないし47パーセントの者が就労自立し,これら就労自立した者の平均月収は,15ないし16万円程度であり,退所後生活保護を受給するに至った者も多いというのである。
また,a公園内に設置された仮設一時避難所については,その入所定員は176人とされ,シャワーも備え付けられており,居室は個室であって,各居室にはベッドが備え付けられており,その入り口はアコーディオンカーテンで廊下と仕切られ,収納ケースが貸与されるほか,建物外部には犬舎設置エリアやアルミ缶かご設置エリアも設けられており,同施設への荷物の持込みについても寝具を除き禁止されておらず,門限は設けられてはいるものの特に門限外の出入りは禁止されていないというのである。そして,この仮設一時避難所においては,公共職業安定所の雇用指導官による毎週の求職活動支援のほか,清掃作業,巡回警備及びアルミ缶買収作業等の所内作業等の希望者へのあっせん,看護士や心理相談員による相談や健康診断援助,入退院援助等の医療援助,住民登録設定手続援助,年金加入期間調査及び裁定請求手続援助等の年金関係援助,物件情報の収集,物件下見や賃貸借契約への付添い等の住宅関係援助,弁護士による法律相談,及び,入所者に対する1日1食の米飯の支給等の事業を行っており,施設自体の設置期限は定められているものの,入所期間自体は制限されていない。そして,仮設一時避難所の退所者の2割余が就労自立により退所しており,その就職先における平均月収は10万円弱であって,退所者の過半数の者が居宅保護を含む生活保護を受けて退所しているというのである。
さらに,野宿生活者巡回相談事業として,被告健康福祉局において巡回相談を委託している巡回相談員が,大阪市内の都市公園内にテント等を設置して起居の場所として利用している者を始めとする野宿生活者(ホームレス)に対し,主として自立支援センターへの入所を勧め,あるいは,一時避難所への入所を勧めるなど,被告の自立支援策を提示し,高齢や病弱のため就労が困難な者については生活保護に関して各区役所への取り次ぎをするなどしていたというのである。以上認定説示したところによると,被告においても,国の基本方針及びセーフティネット支援対策等事業の実施についてに示されたホームレスの自立の支援等のための社会的施設(仮設一時避難所,自立支援センター)が整備された上(これらの施設が上記通知に示された基準を満たすものである。),自立支援法及びこれを受けた国の基本方針に沿って大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画が策定され,これに基づく自立支援等のための諸施策が実施されており,しかも,これらの施設の入所者の相当数が就労自立又は生活保護の受給により退所するなど,これらの施策は,一定の成果を上げているということができる。また,被告におけるホームレスに対する支援のための施策としての生活保護法の運用が前記基本方針及びホームレスに対する生活保護の適用についてに照らして不適切であったということもできないことは,後に説示するとおりである。
のみならず,前記認定事実によると,本件代執行に先立ち,巡回相談員において原告らに対し上記のとおり自立支援センターないし一時避難所への入所を勧めるなど被告の自立支援策を提示し,高齢や病弱のため就労が困難な者については生活保護に関して各区役所への取り次ぎをするなどし,また,各公園事務所職員においても,原告らに対し,自立支援センターないし一時避難所への入所を勧め,あるいは,本人の希望に応じ生活保護について説明するなどしたほか,本件各公園に設置されたテント等について,行政代執行をも含めた法的措置をとるという方針が決定された後も,各公園事務所職員において,各公園内にテント等を設置している原告らを含む野宿生活者を個別訪問して,自立支援センター又は一時避難所への入所を促し,高齢,病弱のため就労が困難であると判明した者には生活保護制度があることを伝えて区役所の窓口を紹介するなどしており,しかも,本件代執行が行われた平成18年1月30日当時,被告が当時開設していた自立支援センター3か所及び一時避難所はいずれも入所人員が入所定員を下回っており原告らを受け入れることが可能な状態にあったというのである。
以上によれば,本件各処分当時,被告においては自立支援法及びこれを受けた基本方針及びセーフティネット支援対策等事業の実施についての趣旨にのっとって,ホームレスの自立の支援等に関する社会的施設(自立支援センター,一時避難所等)が整備されていた上,大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画が策定され,これに基づき上記施設を中核として生活保護の適用をも含めた自立支援等のための諸施策が実施されて一定の成果を上げており,原告らに対してもこれらの諸施策が周知されて支援等を受ける機会が現実に与えられていたということができるから,このような状況の下において行われた本件代執行は,憲法25条1項に違反するということはできないというべきである。エ
原告らは,本件代執行に先立ち原告らに提示された自立支援センター等の代
替措置はいずれも生活保護法の基準を下回るものであったから違法であると主張する。しかしながら,自立支援センターは,基本方針及びセーフティネット支援対策等事業の実施についてにより設置するものとされているホームレス自立支援事業のための拠点施設であり,一時避難所は,基本方針及び上記通知により設置するものとされているホームレス緊急一時宿泊事業のための施設であって,いずれも,生活保護法にいう保護施設(宿所提供施設)とは異なるものであり,当該施設におけるサービスの提供も同法による保護とは異なるものである。もっとも,自立支援センターに入所した場合には入所中の生活は自立支援センターで保障されており医療扶助を除き基本的には生活保護の適用の必要がないとの取扱いがされているものの(ホームレスに対する生活保護の適用について参照),そもそも,住宅扶助を含めて生活保護は,生活に困窮する者が,その利用し得る資産,能力その他あらゆるものを,その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるものであるところ,前記認定の自立支援センターの設備及び提供されるサービスの内容等に加えて,自立支援法及び基本方針上,ホームレスの自立の支援等に関する施策については,ホームレスの自立のためには就業の機会が確保されることが最も重要であるとされていることにもかんがみると,上記取扱いは生活保護法の趣旨に反するものということはできない。のみならず,上記ホームレスに対する生活保護の適用については,自立支援センターに入所し就労努力は行ったが,結果的に就労による自立に結びつかず退所した者から保護の申請が行われたときには,保護の要件を確認した上で,必要な保護を行うことと規定しているのであり,前記認定のとおり,被告の設置する自立支援センター及び一時避難所の入所者について退所後生活保護を受給するに至った者も相当数みられるのである。また,生活保護法所定の保護の要件を満たす限りにおいて,これらの施設への入所を経ることなく直ちに生活保護を受けることももとより可能であり,ホームレスについてこれらの施設への入所が生活保護法の適用の前提となるような制度的運用が行われている事実を認めるに足りる的確な証拠もない。
以上のとおりであるから,自立支援センター等が,その設備等において,一部,生活保護法39条に基づき厚生労働大臣が定める基準を満たしていないところがあるとしても,そのことゆえに本件代執行が憲法25条に違反することになるものではない。
また,原告らは,自立支援センター等は,入所期限ないし設置期限が定められていて,居住の安定が保障されない上,退所後野宿生活に戻る者も多く,生活保護法によって保障される水準の住居に転居することができる割合は低いから,本件代執行の代替措置として不十分であるなどと主張する。しかしながら,前記認定のとおり,そもそも,自立支援センター及び一時避難所は,ホームレス自立支援事業のための拠点施設及びホームレス緊急一時宿泊事業のための施設であって,いずれも,生活保護法にいう保護施設(宿所提供施設)とは異なるものであって,生活保護法所定の保護の要件を満たす限りにおいて,これらの施設への入所を経ることなく生活保護を受けることはもとより,これらの施設への入所後に生活保護法による保護に移行することも可能とされていることに加えて,前記認定のとおり,これらの施設を経て就労自立する者も少なくないことをも併せ考えると,原告らの上記主張を採用することはできない。
(5)

本件代執行の憲法13条違反の有無

原告らは,被告は本件代執行に当たり多数の職員や警備員等を投入するなどし,あからさまな物理力をもって原告らを排除することを目的とする体制を組むなど,原告らを人権享有主体である個人として尊重しておらず,しかも,本件代執行は,原告らの生活基盤そのものを破壊する行為であり,原告らの安全と財産を危殆にさらし,原告らの個人としての尊厳を破壊するものであって,本件代執行は憲法13条が保障する個人の尊重と生命,自由,幸福追求権を侵害するものとして違法であると主張する。
しかしながら,前記のとおり,b公園については,本件代執行が行われる前年(平成17年)10月ころ以降,公園事務所職員において同公園内にテント等を設置して野宿生活をしている者らに対して同テント等の撤去に向けた説得等の働きかけを強める過程で,自治会を中心として,支援者らを含む20人ないし30人規模の集団が罵声を挙げて威圧するなどといった態様の抗議行動が複数回にわたり行われるなどしていた上,本件代執行の開始のころにはb公園原告らのほかに100名を超える支援者らが園内に入り込んでいたのであって,本件代執行の開始に先立ってこれらの支援者らによる激しい抵抗が相応の根拠をもって予想される具体的状況が存した上,本件代執行の開始に先立って被告職員がb公園原告らの一人から暴行を受けて負傷する事件が発生し,本件代執行の過程にあっては,公園内に入り込んだ多数の支援者らが,本件テント等に居座り,被告職員らによってフェンス外に移動させられても再度園内に入り込み,中心となっていたテントに集結しスクラムを組むなどして激しく抵抗を続けた事実が認められるのであって,このような状況にかんがみると,被告において多数の職員及び警備員等を動員した上,b公園原告らの一部を含む,本件テント等の内部などに居座るなどして抵抗を続ける者を被告職員や警備員らにより実力でもって公園外に移動させ,その者らが公園内へ再度入り込むことを阻止するなどして,その抵抗を排除したことは,具体的状況の下において本件代執行の目的を円滑かつ確実に実現するために必要な実力行使として,その限りにおいて行政代執行法の許容するところというべきである(なお,前記のとおり,a公園における本件代執行については,そもそもa公園原告らの中にb公園におけると同様の態様でそのテント等の設置場所ないしその周辺場所を越えて同公園の外に強制的に排除された者が存在する事実を認めるに足りる的確な証拠はなく,その代執行の過程において被告職員らにより代執行の目的を円滑かつ確実に実現するために必要最小限度の範囲を超えた実力行使が行われた事実を認めるに足りる的確な証拠もない。)。また,原告らが本件各公園内に設置等した本件テント等は,およそ都市公園内に設置することが法令上許されないものである上,原告らは,本件除却命令が出される相当以前から本件各公園内に上記のような態様で本件テント等を設置等することにより,長期間にわたり,本件テント等の設置場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置いていたというのであって,本件テント等の存在によって本件各公園の都市公園としての機能が著しく阻害されていたことは客観的に明らかであるから,行政代執行法所定の要件を満たすことはもとより,自立支援法11条の規定の趣旨にかんがみても,都市公園としての本件各公園の適正な利用を確保するために必要な措置として本件テント等を除却すべき必要性が存したことは明らかである。これらに加えて,前記認定のとおり,本件代執行が,被告により自立支援法及び基本方針等の趣旨にのっとってホームレスの自立の支援等に関する社会的施設(自立支援センター,一時避難所等)が整備された上,上記施設を中核として生活保護の適用をも含めた自立支援等のための諸施策が実施されて一定の成果を上げている状況の下において,原告らに対してもこれらの諸施策による支援等を受ける機会が現実に与えられた上で行われたものであることをも併せ考えると,少なくともb公園については本件代執行が結果的に実力行使によって原告らの生活の拠点を奪った上その身体を公園外に移動させて公園から排除したかのような外観を呈し,また,本件各公園の利用者等からの苦情の存在が本件代執行の一因となっていたとしても,本件代執行をもって原告ら自身を本件テント等の設置された公園から排除することそのものを目的とし,これを実力行使でもって実現したものと評価することはできないというべきである。なお,前記認定事実によると,被告は,本件代執行によって除却された本件テント等についても,大阪市生野区所在の保管所に保管の上,その所有者等が引き取りにくればこれを引き渡し,所有者等に返還されなかったものについては,公告の上処分したというのであるから(都市公園法27条4ないし10項参照),本件代執行は,原告らの本件テント等に係る財産上の権利にも配慮して行われたということができる。以上によれば,本件代執行が憲法13条に違反する旨の原告らの上記主張は,その前提を欠くものとして,採用することができない。
(6)

本件代執行の自由権規約17条1項違反の有無

原告らは,本件代執行は,自由権規約17条1項が禁ずる恣意的又は不法な干渉に該当し,違法であると主張する。
しかしながら,前記のとおり,本件代執行は,都市公園法に違反する本件テント等につき,同法に基づく除却命令によって原告らに賦課された除却義務について,行政代執行法の定める要件を満たした上でされたものであり,しかも,後記(9)のとおりその手続にも特段違法な点は認められないというのであるから,これに上記(4)及び(5)において認定説示したところも併せ考えれば,本件代執行が自由権規約17条1項にいう住居に対する恣意的又は不法な干渉に該当しないことは明らかであり,原告らの上記主張を採用することはできない。
(7)

本件各処分の社会権規約11条1項違反の有無

原告らは,都市公園法や行政代執行法は,条約である社会権規約の内容に反することはできないところ,社会権規約11条1項は,居住の自由を保障しており,同条に関する社会権規約委員会の一般的意見によれば,同条の下において強制立ち退きが適法とされるためには,①

高度の正当化事由,②

適正手続の保障及び③

適切な代替住居の提供,のすべての要件が満たされることが必要であるが,本件においては,上記のいずれの要件も満たしておらず,本件代執行は社会権規約11条1項に違反し,原告らの居住の自由を侵害するものとして違法であると主張する。社会権規約は,11条1項において,社会権規約の締約国は,自己及びその家族のための相当な食糧,衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める,締約国は,この権利の実現を確保するために適当な措置をとり,このためには,自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める旨規定しているが,他方で,2条1項において,社会権規約の各締約国は,立法措置その他のすべての適当な方法により同規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため,自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより,個々に又は国際的な援助及び協力,特に,経済上及び技術上の援助及び協力を通じて,行動をとることを約束する旨規定している。以上のような社会権規約2条1項の規定内容等に照らせば,同規約11条1項は,自己及びその家族のための相当な食糧,衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についての権利が,国の社会政策により保護されるに値するものであることを確認し,その実現に向けて積極的に社会政策を推進すべき政治的責任を負うことを宣明したものであって,個人に対し即時に具体的権利を付与すべきことを定めたものではないというべきである。そして,以上のような社会権規約11条1項の性質に照らせば,原告らが援用する社会権規約委員会の一般的意見が法的拘束力を持つものではないこともまた明らかである。
以上のとおりであるから,本件各処分が社会権規約11条1項に違反し違法であるとの原告らの上記主張は,その前提を欠き,採用することができない。(8)

本件代執行手続の生活保護法違反の有無
原告らは,被告は遅くとも本件代執行に向けた行動に着手した平成17年9
月末の時点においては,自らの行政代執行手続により原告らを急迫状況に追い込むことになることを確定的に認識していたのであり,被告には,このころから,原告らに対し,生活保護の申請権があること,調査の結果要保護状態が確保されれば,生活保護の利用が可能であること,法律上居宅保護が原則とされ,原告らについても一定の要件を満たせば敷金等の支給を受けてアパートでの生活保護を開始することができることを積極的に説明し,申請を促す義務があったにもかかわらず,本件ではこの説明義務を果たすことなく本件代執行を行っているから,本件代執行手続は生活保護法1条,7条,25条及び30条に違反し違法であると主張する。イ
生活保護法4条は,1項において,保護は,生活に困窮する者が,その利用
し得る資産,能力その他あらゆるものを,その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる旨規定し,2項において,民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする旨規定し,これらにより,いわゆる保護の補足性の原則を明らかにした上で,3項において,同条1項,2項の規定は,急迫した事由がある場合に,必要な保護を行うことを妨げるものではないことを規定している。そして,同法は,7条本文において,保護は,要保護者,その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基づいて開始するものとする旨規定していわゆる申請保護の原則を明らかにし,同法24条1項において,保護の実施機関は,保護の開始の申請があったときは,保護の要否,種類,程度及び方法を決定し,申請者に対して書面をもって,これを通知しなければならない旨規定し,上記原則を保護の実施機関の義務の面から規定している。他方で,同法7条ただし書は,要保護者が急迫した状況にあるときは,保護の申請がなくても,必要な保護を行うことができる旨規定し,上記申請保護の原則が例外を許さないものではないことを明らかにするとともに,同法25条1項において,保護の実施機関は,要保護者が急迫した状況にあるときは,すみやかに,職権をもって保護の種類,程度及び方法を決定し,保護を開始しなければならない旨規定し,保護の実施機関が職権で保護を開始しなければならない場合があることを明らかにしている。以上のとおり,同法は,その補足性を前提として,要保護者の申請があって初めて保護を開始することを原則とし,同原則を貫き,要保護者からの申請がない限り常に保護を開始しないとすると,保護が欠けることにより要保護者の生命・健康が脅かされるなど,憲法25条に規定する理念に基づき生活に困窮するすべての国民に対してその困窮の程度に応じた必要な保護を行いその最低限度の生活を保障するという,同法の目的(同法1条参照)に反することになる場合も生じ得ることから,このような場合には保護の実施機関が職権で保護する義務を負うものとしているのであり,このような同法の規定に照らせば,一般に,保護の実施機関は,同法上,要保護者が,その申請を待っていたのではその生命・健康が脅かされるおそれがあるなど,保護が欠けることにより急迫の状況にあると認められる場合はともかく,特段の事情がない限り,生活保護についての個別の教示を行い,あるいは保護の申請を促す法的義務を負うものではないと解される。ウ
もっとも,自立支援法にもいうように,ホームレスは,都市公園,河川,道
路,駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営むことを余儀なくされ,健康で文化的な生活を送ることができないでいる者であって,類型的にみて生活に困窮する者ということができる。そして,前記のとおり,自立支援法は,生活保護法による保護の実施等によりホームレスに関する問題の解決を図ることをホームレスの自立の支援等に関する施策の目標の一つとして掲げた上,基本方針において生活保護法による保護の実施に関する事項を策定するものとし,基本方針において,生活保護法による保護の実施に関する事項について定められるなど,生活保護法による保護の実施がホームレスの自立の支援等のための施策の一つに組み入れられているのであって,その趣旨からすれば,同法は,地方公共団体において同法及び基本方針等に基づいてホームレスの自立の支援等に関する施策を実施するに当たり,ホームレスが生活保護法による保護の実施をも含めた自立の支援等に関する施策による支援等を現実に受ける機会が確保されることを要請しているものということができる。
そうであるところ,前記のとおり,本件代執行に先立ち,被告健康福祉局において巡回相談を委託している巡回相談員において原告らに対し自立支援センターないし一時避難所への入所を勧めるなど被告の自立支援策を提示し,高齢や病弱のため就労が困難な者については生活保護に関して各区役所への取り次ぎをするなどし,また,各公園事務所職員においても,原告らに対し,自立支援センターないし一時避難所への入所を勧め,あるいは,本人の希望に応じ生活保護について説明するなどしたほか,本件各公園に設置されたテント等について,行政代執行をも含めた法的措置をとるという方針が決定された後も,各公園事務所職員において,各公園内にテント等を設置している原告らを含む野宿生活者を個別訪問して,自立支援センター又は一時避難所への入所を促し,高齢,病弱のため就労が困難であると判明した者には生活保護制度があることを伝えて区役所の窓口を紹介するなどしていたというのであるから,原告らについては生活保護法による保護の実施をも含めた自立の支援等に関する施策による支援等を現実に受ける機会が確保されていたというべきである。そうであるとすれば,上記自立支援法の趣旨等に照らしても,被告に原告らの主張するような説明義務違反を認めることはできないというべきである。エ
この点,原告らは,被告ないし保護の実施機関である大阪市長においては,
本件各処分当時本件各公園内で野宿生活を営んでいた原告らに対しては,敷金の支給を受けるなどして,直ちに居宅保護を受ける途があることを教示し,その申請を促すべきであったと主張する。
確かに,生活保護法30条1項は,生活扶助は,被保護者の居宅において行うものとする,ただし,これによることができないとき,これによっては保護の目的を達しがたいとき,又は被保護者が希望したときは,被保護者を救護施設,更生施設,若しくはその他の適当な施設に入所させ,若しくはこれらの施設に入所を委託し,又は私人の家庭に養護を委託して行うことができる旨規定し,生活扶助については居宅保護が本則であることを明らかにしている。そして,生活保護法による保護の実施要領について(昭和38年4月1日社発第246号各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)第6の4(1)のキは,保護開始時において,安定した住居のない要保護者(保護の実施機関において居宅生活ができると認められる者に限る。)が住宅の確保に際し,敷金等を必要とする場合で,限度額又は同オに定める額以内の家賃又は間代を必要とする住居を確保するときは,限度額又は同オに定める額に3を乗じて得た額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認めて差し支えないことと規定している。そうであるところ,前記認定事実によれば,巡回相談員又は各公園事務所職員において,本件各公園内にテント等を設置して起居の場所とし生活を営んでいる原告らを含む野宿生活者(ホームレス)に対し,高齢や病弱のため就労が困難な者については生活保護に関する説明や取り次ぎ等を行っていたものの,そうでない限り,自立支援センター又は一時避難所への入所を勧め,直ちに敷金を支給して居宅保護を開始するという方法については説明していなかった事実が認められる。
前記のとおり,そもそも,住宅扶助を含めて生活保護は,生活に困窮する者が,その利用し得る資産,能力その他あらゆるものを,その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるものであって,基本方針等においても,ホームレスに対する生活保護の適用については,単にホームレスであることをもって当然に保護の対象となるものではなく,また,居住の場所がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるということもなく,こうした点を踏まえ,資産,稼働能力や他の諸施策等あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が維持できない者について,最低限度の生活を保障するとともに,自立に向けて必要な保護を実施すべきものとされている。また,生活保護法30条1項は,生活扶助について居宅保護を本則とするものの,要保護者が,その精神的・身体的状況,日常生活管理能力,金銭管理能力等に照らして居宅生活をすることができるものであることを当然の前提とする趣旨のものであることは,同項ただし書の規定からも明らかというべきであって,上記生活保護法による保護の実施要領についてにおける取扱いもその趣旨に沿うものということができる。
そうであるところ,基本方針においては,①

ホームレスの抱える問題・状

況(精神的・身体的状況,日常生活管理能力,金銭管理能力,稼働能力等)を十分に把握した上で,自立に向けての指導援助の必要性を考慮し,適切な保護を実施する,②

就労の意欲と能力はあるが失業状態にあり,各種就労対策を実施しても就
労が困難であると判断される者については,当該地域に自立支援センターがある場合には,自立支援センターへの入所を検討するものとし,自立支援センターにおいて,結果的に就労による自立に結びつかず退所した者については,改めて保護の要否を判断し,必要な保護を行う,③

ホームレスの状況(日常生活管理能力,金銭

管理能力等)からみて,直ちに居宅生活を送ることが困難な者については,保護施設等において保護を行うものとし,この場合,関係機関と連携を図り,居宅生活へ円滑に移行するための支援体制を十分に確保し,就業の機会の確保,療養指導,金銭管理等の必要な支援を行う,④

居宅生活を送ることが可能であると認められる
者については,当該者の状況に応じ必要な保護を行うものとし,この場合,関係機関と連携して,再びホームレスとなることを防止し居宅生活を継続するための支援や,居宅における自立した日常生活の実現に向けて就業の機会の確保等の必要な支援を行う,旨定めている。さらに,基本方針を受けて制定された前記ホームレスに対する生活保護の適用についてと題する通知においても,基本方針の留意点として,①

ホームレスの抱える問題・状況の把握に当たっては,面接相談

時の細かなヒアリングによって得られる要保護者の生活歴,職歴,病歴,居住歴及び現在の生活状況等の総合的な情報の収集や居宅生活を営む上で必要となる基本的な項目(生活費の金銭管理,服薬等の健康管理,炊事・洗濯,人とのコミュニケーション等)の確認により,居宅生活を営むことができるか否かの点について,特に留意すること,②

直ちに居宅保生活を送ることが困難な者については,保護施設

等において保護を行うこと,③

施設入所中においては,ホームレスの状況に応じ

て訪問調査活動を行い,必要な指導援助が行われるよう,生活実態を的確に把握し,また,居宅生活への円滑な移行に向けて,施設職員や民生委員等関係機関と連携を図り,日常生活訓練,就業の機会の確保等の必要な支援に努めること,④
保護開

始時において居宅生活が可能と認められた者並びに居宅生活を送ることが可能であるとして,保護施設等を退所した者及び必要な治療を終え医療機関から退院した者については,公営住宅等を活用することにより居宅において保護を行うが,保護開始時において居宅生活が可能と認められた者であって,公営住宅への入居ができず,住宅を確保するため敷金等を必要とする場合は,前記生活保護法による保護の実施要領について第6の4の(1)のキにより取り扱うこと,⑤
居宅生活に移行した

者については,関係機関と連携して再びホームレスとなることを防止し,居宅生活を継続するため,及び居宅において日常生活を営むことの実現のため,基本方針に掲げられている就業の機会の確保等の施策を有効に活用する等,必要な支援を行うこと,等を規定している。
他方で,自立支援法3条2項は,ホームレスの自立の支援等に関する施策については,ホームレスの自立のためには就業の機会が確保されることが最も重要であることに留意しつつ,同条1項の目標に従って総合的に推進されなければならない旨規定し,同法4条は,ホームレスは,その自立を支援するための国及び地方公共団体の施策を活用すること等により,自らの自立に努めるものとする旨規定しており,前記のとおり,基本方針においても,ホームレス対策は,ホームレスが自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本であり,このためには,就業の機会が確保されることが最も重要であり,併せて,安定した居住の場所が確保されることが必要であると定めている。
以上のような自立支援法及び基本方針におけるホームレスの自立の支援等に関する基本的な考え方は,ホームレスの実態調査を踏まえたホームレスに関する現状認識を反映したものであることは,基本方針の規定内容から明らかである。以上のとおり,居宅保護は要保護者がその精神的・身体的状況,日常生活管理能力,金銭管理能力等に照らして居宅生活をすることができるものであることが前提となるものであり,他方で,自立支援法及び基本方針上,ホームレスの自立の支援等に関する施策については,ホームレスの自立のためには就業の機会が確保されることが最も重要であるとされている。そして,基本方針における生活保護法による保護の実施に関する取組方針についての定め及びこれを受けた前記ホームレスに対する生活保護の適用についての定めは,上記のような居宅保護の性格並びに自立支援法及び基本方針の基本的な考え方に基づき,かつ,ホームレスの現状認識を踏まえた上で,ホームレスに対する生活保護の適用に関する具体的な取扱いを定めたものであって,基本方針においては,就労の意欲と能力はあるが失業状態にあり,各種就労対策を実施しても就労が困難であると判断される者については,当該地域に自立支援センターがある場合には,自立支援センターへの入所を検討するものとし,自立支援センターにおいて,結果的に就労による自立に結びつかず退所した者については,改めて保護の要否を判断し,必要な保護を行うものと定め,前記ホームレスに対する生活保護の適用についてにおいては,ホームレスに対する生活保護の適用に当たっては,居宅生活を営むことができるか否かの点についての確認に特に留意するものとしているのである。これらに加えて,前記のとおり,被告の設置,運営する自立支援センターにおいては,自立支援事業として福祉相談等を行っているほか,就労による自立に結びつかず退所する者の希望に応じて生活保護申請手続を援助するなどしており,退所後生活保護を受給するに至った者も多く,その中には居宅保護を受ける者も含まれていること,一時避難所においても,生活保護の適用を含む福祉サービスについての指導,助言を行っており,退所者の過半数が生活保護を受けて退所し,その中には居宅保護も相当数含まれていること,以上の事実をも併せ考えると,被告健康福祉局において巡回相談を委託している巡回相談員又は各公園事務所職員において,本件各公園内にテント等を設置して起居の場所とし生活を営んでいる原告らを含む野宿生活者(ホームレス)に対し,高齢や病弱のため就労が困難な者を除いて,自立支援センター又は一時避難所への入所を勧め,直ちに敷金を支給して居宅保護を開始するという方法についての指導,助言等をしていなかったとしても,自立支援法及び生活保護法の趣旨に反するものということはできず,これをもって本件代執行手続の違法事由とすることはできないというべきである。

原告E,原告F及び原告Gは,同人らは積極的に居宅保護を希望する意思を
表明したにもかかわらず,被告はその希望に応じることさえしなかったのであり,その説明義務違反の程度は大きいなどと主張する。
確かに,前記認定事実によると,原告Eは,平成17年10月26日に公園事務所職員と面談した際,生活保護を受給することはできるが,一時施設への入所が嫌であり,野宿生活から直ちに居宅保護を開始するならよいといった趣旨の発言をしていたことが認められる。しかしながら,前記認定事実によれば,原告Eは,他方で,同年11月8日及び同年12月6日にも公園事務所職員と面談し,好んで生活保護を受けたくない,生活保護を受けようと思っていないなどと申し述べていたというのであるから,公園事務所職員において,同人が生活保護を受給するつもりはないと考えることにも無理からぬところがあるということができ,しかも,同人は,これに先立つ同年2月14日に西区保健福祉センターを訪れ生活保護についての説明を受けていたというのであるから,同公園事務所職員においてそれ以上に居宅保護の申請に向けた指導,助言等をしなかったとしても,生活保護法及び自立支援法の趣旨に反し違法であるということはできない(なお,前記認定事実によれば,原告Eが平成17年2月14日に西区保健福祉センターを訪れた際,応対した職員は,原告Eに対し,生活保護の適用に関しては,一定期間一時保護施設に入所して居宅生活が可能かどうか判定され,その結果によって,敷金,布団類や食生活に最低限必要な家具什器を支給されて居宅保護を受けたり施設入所で保護を受けたりする可能性がある旨伝えているが,このような指導は,前記ホームレスに対する生活保護の適用についての定めるホームレスに対する生活保護の適用に関する取扱いに沿うものであって,自立支援法及び生活保護法の趣旨に反するものということはできない。)。
また,前記認定事実によると,原告Fは,公園事務所職員が平成17年10月21日に面談した際に,生活保護を希望したため,同職員において,西区保健福祉センター支援運営課に問い合わせたところ,同課においては,原告Fは既に同区役所の窓口に相談に訪れたことがあり,その際の面談によれば同人が飲酒することもあり家賃に充てるべき金銭が飲酒に費消される例が多いことから生活保護の受給は難しいと判断して原告Fにその旨伝えた,それでもよければ再度区役所に来てもらってもよい,との回答であったため,その旨原告Fに対して伝えたというのである。原告らが指摘するとおり,飲酒癖があるからといって直ちに生活保護の適用が否定されるものではないが,前記認定事実によれば,原告Fはこれに先立ち上記支援運営課を訪れた際には,稼働能力に問題がないことを理由として,自立支援センターへの入所を指導されたというのであるから,同課における上記対応は,居宅保護についてのものであったと推認される。そして,原告Fが当時その年齢,健康状態等からみて就労が困難な状態にあった様子は証拠上うかがわれないことからすれば,公園事務所職員又は上記支援運営課職員において,原告Fに対し,居宅保護の申請に向けた指導,助言等を行うことなく,自立支援センターへの入所又は一時避難所への入所を勧めたことをもって,自立支援法及び生活保護法の趣旨に反するものということはできない。
さらに,前記認定事実によると,原告Gは,居宅保護を望んでおり,その旨公園事務所職員に対して伝えていたことが認められるが,他方で,同人は,平成17年2月15日,いったん一時避難所への入所手続を行ったものの,その翌日にこれを撤回していたほか,平成17年6月10日,体調を崩したため,公園事務所を通じて救急車を呼び,病院に救急搬送されてそのまま入院し,公園事務所職員は,同月16日に入院中の原告Gと面談したところ,同人が,同職員に対し,病院からは居宅保護の話もされたが退院後一時避難所を経由して居宅保護を受けることができるかどうか尋ねたため,同職員は,居宅保護希望であれば,病院で相談して保護手続を進める方が早い,病院からであろうと一時避難所からであろうと,どちらが有利ということはない,居宅保護希望なら,病院にも話をして治療を続けてはどうかなどと回答したところ,同人は,その後一時避難所長と面談するなどし,その後も,一時避難所への入所を希望することがあったというのである。以上の経過事実に加えて,公園事務所職員等において原告Gの入所を拒否するような言動をした事実を認めるに足りる証拠はないこと,前記のとおり,一時避難所においても,生活保護の適用を含む福祉サービスについての指導,助言を行っており,退所者の過半数が生活保護を受けて退所し,その中には居宅保護も相当数含まれていることをも併せ考えると,公園事務所職員において原告Gが居宅保護を受けるための手続についてそれ以上の指導,助言等をしなかったとしても,自立支援法及び生活保護法の趣旨に反するものということはできない。

以上検討したところによれば,本件代執行手続は生活保護法及び自立支援法
の趣旨に反するものであるということはできないから,本件代執行手続が生活保護法に違反する旨の原告らの主張は採用することができない。
(9)

本件各処分の憲法31条違反の有無

原告らは,憲法31条が規定する適正な手続を受ける権利の保障は,行政手続である本件代執行の手続にも及ぶところ,本件代執行が原告らの生活基盤を奪い居住の自由を奪うなど刑事手続にまさるとも劣らない重大な権利侵害を内容とするものであることから,厳格な手続保障に服すべきであり,本件代執行に当たっては,形式的な告知,聴聞の機会が与えられるだけでは足りず,原告らにとっても十分に実効的な交渉,原告らが十分に権利主張することができる適切な手続の選択(本件においては,処分の名あて人である原告らが裁判所における訴訟手続に主体的に参加する形での告知聴聞の機会が与えられる民事訴訟手続によるべきであった。),十分な代替措置の提供等が必要であるが,本件ではこれらのいずれも満たされておらず,本件代執行は憲法31条に違反し違法であると主張する。
行政手続に憲法31条による保障が及ぶと解すべき場合であっても,保障されるべき手続の内容は,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合考慮して決定されるべきものである。そうであるところ,都市公園法27条1項に基づく工作物等の除却命令については行政手続法第3章(不利益処分)の規定が適用され,前記前提事実及び前記認定事実によれば,本件除却命令は,行政手続法13条1項2号に規定する不利益処分として,同法29条,30条に規定する弁明の機会を付与した上でされたものであると認められ,その手続に同法の規定に違反する違法は認められない。そして,前記のとおり,都市公園法27条1項の規定の定める工作物等の除却命令は名あて人に当該工作物等の除却を義務付ける義務賦課行為にすぎないことからすれば,行政手続法13条1項2号により同法第3章第3節(弁明の機会の付与)の定める手続の下に除却命令を行うことが名あて人の保護に欠けると解することはできず,これらの規定及びこれに基づいて被告がした本件除却命令が憲法31条の法意に反するということはできない。
また,行政代執行は,他人が代わってなすことのできる行為に限ってこれを行うことができるものとされているものの,前記のとおり,代執行に際し抵抗を受けるときは,代執行の目的を円滑かつ確実に実現するために必要最小限度の範囲内で,自ら威力を用い,又は警察官の援助を求めるなどして,実力行使に及ぶことが許容されているところ,行政代執行については,行政手続法上の不利益処分には該当しないから(同法2条4号イ),同法第3章の手続は要求されないが,他方で,行政代執行法3条は,行政代執行に先立ち,相当の履行期限を定めた文書による戒告並びに代執行をなすべき時期,代執行のために派遣する執行責任者の氏名及び代執行に要する費用の概算による見積額についての代執行令書での通知を要求し,これらによってその相手方に対して任意の履行の機会を与えるとともに,その処分の内容をあらかじめ告知し,もってその代執行の相手方に防御の機会を与えてその権利利益の保護を図っている。そして,行政代執行は,法律により直接に命ぜられ,又は法律に基づき行政庁により命ぜられた行為を義務者が履行しない場合においてその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときに行うことができるものとされていることにかんがみると,行政代執行により制限を受ける上記のような権利利益の内容,性質,制限の程度等に照らしても,行政代執行法の定める手続の下に行政代執行を行うことがその義務者の権利保護に欠けると解することはできず,これらの規定が憲法31条の法意に反するということはできない。そうであるところ,前記前提事実及び前記認定事実によれば,被告は,本件代執行に先立ち,各原告に対し,行政代執行法に定める戒告及び代執行令書による通知をそれぞれしていることが認められ,これら手続に同法の規定に違反する違法は認められないから,本件代執行が憲法31条の法意に反するということもできない。以上のとおりであるから,原告らの主張を採用することはできない。(10)

本件代執行と裁量権の濫用,逸脱の有無
行政代執行法2条の定める代執行の要件を満たす場合においても,行政庁が
代執行を行うか否かは,当該行政庁の裁量にゆだねられている(効果裁量)のであって,具体的状況の下において代執行を行うことが当該行政庁の上記裁量権の逸脱又は濫用に該当する場合には,当該代執行は違法の評価を受けるものというべきである。そこで,原告らの本件代執行の違法事由に関する主張の趣旨にかんがみ,本件代執行が裁量権の濫用,逸脱に該当し違法か否かについて検討する。イ
前記のとおり,本件代執行において除却の対象とされた本件テント等は,原
告らがこれを起居の場所として利用していたにとどまらず,これを生活の拠点としていたものであるから,本件代執行は,そのような原告らの起居の場所を含めた生活の拠点を奪うものであるということができ,本件代執行が1月という冬季に行われたことや,前記認定の原告らの年齢,生活状況等に加えて原告らが置かれている社会的,経済的環境にもかんがみると,本件代執行によって原告らが生活保護法及び生活保護法による保護の基準が前提とする最低限度の生活に満たない程度にまで生活に困窮する事態も容易に推認されるところであって,原告らが被る不利益は重大ということができる。また,原告らが上記のような態様の生活を営むに至った経緯についても,様々な要因や背景が複合的に存在している様子がうかがわれるのであり,これを原告らの意思にのみ帰することが適当でないことはいうまでもない。もとより,社会権規約11条1項の規定を援用するまでもなく,憲法13条及び25条の規定の趣旨に照らし,個人の尊厳を確保し,健康で文化的な最低限度の生活を営むための相当な住居についての権利も,憲法上尊重に値するものと解されるのであり,このことは原告らにも当然に等しくあてはまるものである。しかしながら,個人の尊厳を確保し,健康で文化的な最低限度の生活を営むための相当な住居についての権利は,その性質上,社会的立法及び社会的施設の創造拡充により実現され充実されていくものであって,国や地方公共団体は,このような社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべき責務を負うものと解されるものの,その趣旨を具体的に実現するためにどのような立法措置等を講ずるかの選択決定は,それが個人の尊厳を損ない,又は憲法25条1項において健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障した趣旨に反するなど,著しく合理性を欠き,明らかに裁量の濫用,逸脱とみざるを得ないような場合を除き,立法府等の広い裁量にゆだねられていると解されるのである。そうであるところ,前記のとおり,本件各処分当時においては,自立支援法及びこれを受けた基本方針の下に,ホームレスの実態に即した支援のための様々な施策を実施するものとされ,被告においても,ホームレスの自立の支援等に関する社会的施設としての自立支援センター及び一時避難所が整備され,大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画に基づき,これらの施設を中核として生活保護の適用をも含めた自立支援等のための諸施策が実施されて一定の成果を上げていた上,原告らに対してもこれらの諸施策が周知されて支援等を受ける機会が現実に与えられていたのである。もっとも,自立支援法及びこれを受けた基本指針は,ホームレスの就労による自立を支援の基本とするものではあるが,最低限度の生活保障としての生活保護制度の存在を当然の前提とした上で,ホームレスの実態に即した生活保護法の適正な運用と相まって,ホームレスに対する安定した居住の場所の確保を含めたホームレスの自立によるホームレス問題の解決に資することを目的としているのであって,基本方針等が定める支援のための具体的な諸施策は,自立支援法の趣旨及び目的に照らして十分合理的なものということができる。
もとより,原告らの主張するとおり,私有財産制の保障された社会においては,経済的に困窮するなどして安定した起居の場所を失った者がやむなく都市公園その他の公共の用に供する施設(一般公衆の自由利用に供されている施設)に身を置きこれを起居の場所とする事態が不可避的に生ずるものであり,自立支援法もそのような現状認識の下に立法されていることはその規定内容に照らしても明らかである。しかし,他方で,これらの公共施設を起居の場所として日常生活を営むことは,種々の公益的見地から一般公衆の自由利用に供することをその本来的目的として設けられたこれらの公共施設の当該設置目的と本質的に相いれないものである。ましてや,これらの公共施設に本件テント等のような工作物等を設置してこれを生活の拠点とするなどその設置場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置くことは,これらの公共施設の適正な管理を妨げ,その機能を著しく阻害するのみならず,周辺住民等の生命,身体,健康に具体的な危険を及ぼすおそれのある行為でもあり,公共の福祉を著しく損なうとの評価を受けてもやむを得ないものであって,このことは,その行為の主体が自立支援法にいうホームレスであると否とを問わないのであり,自立支援法も,このような認識の下に,都市公園その他の公共の用に供する施設を管理する者は,当該施設をホームレスが起居の場所とすることによりその適正な利用が妨げられているときは,ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ,法令の規定に基づき,当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとるものとする旨規定しているのである。そして,自立支援法及びこれを受けた基本方針等に具現された,ホームレスが起居の場所とする公共施設について法令の規定に基づき当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとることによりその適正な利用を確保し,他方で,ホームレスに対しては,自立支援センターや一時避難所(シェルター)のような社会的施設の整備を含め,就労による自立を基本とした種々の支援施策を実施し,ホームレスの実態に即した生活保護法の適正な運用と相まって,その生存権及び住居についての権利の実現を図る旨の政策が,憲法の規定する福祉国家の理念に反するといえないことはいうまでもない。そうであるところ,前記認定事実によれば,原告らは,本件除却命令が出される相当以前から本件各公園内に本件テント等を設置等することにより,長期間にわたり,本件テント等の設置場所ないしその周辺場所を事実上その排他的支配下に置いていた上,本件テント等の倒壊等によって本件各公園を利用する一般公衆の生命又は身体に危害が及ぶ具体的危険性も存したなどというのであるから,本件テント等の存在によって本件各公園の都市公園としての機能が著しく阻害されていたことは客観的に明らかであった上,被告(公園事務所職員ないし巡回相談員)において,本件代執行に先立って,原告らを含む本件各公園を起居の場所とするホームレスに対し,本件テント等の撤去を求めるにとどまらず,ホームレスに対する自立支援のための施策の一環として,自立支援センターへの入所を勧め,あるいは,一時避難所への入所を勧めるなど,被告の自立支援策を提示し,高齢や病弱のため就労が困難な者については生活保護に関して各区役所への取り次ぎをするなど,ねばり強く説得を重ねていたのであり,本件代執行の時点において原告らが自立支援センターないし少なくとも一時避難所に入所した上生活保護の適用を含めた種々の支援施策を現実に受けることが客観的に可能な状況にあったにもかかわらず,原告らは被告による説得に応じようとしなかったのみならず,b公園においては,自治会を中心として,支援者らを含む集団が罵声を挙げて威圧するなどなどといった態様の抗議行動が繰り返され,a公園においても,同様の抗議行動が行われるなどしていたというのである。
以上のような事実関係の下においては,本件代執行により原告らが被った不利益の内容,程度に加えて,本件代執行が1月という冬季に行われたこと,本件各公園の利用者等からの苦情の存在が本件代執行の一因となっていたことなどをしんしゃくしてもなお,被告において本件代執行を行ったことがその裁量権の濫用又は逸脱に当たるということはできない。
(11)

小括

以上認定説示したところによれば,本件各処分は,都市公園法及び行政代執行法が定める要件を満たしている上,裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用するものであるとも認められず,その手続においても違法な点は認められないから,これら本件各処分が国家賠償法上違法であるとは認められない。
3
結論

以上によれば,本件各処分はいずれも国家賠償法上違法であるとは認められないから,原告らの本訴請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がない。
よって,主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第2民事部
裁判長裁判官

西川
裁判官

徳地
裁判官

釜村知一郎淳健太
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