判例検索β > 昭和61年(行コ)第25号
不作為の違法確認請求控訴事件(原審・東京地方裁判所昭和57年(行ウ)第92号)
事件番号昭和61(行コ)25
事件名不作為の違法確認請求控訴事件(原審・東京地方裁判所昭和57年(行ウ)第92号)
裁判年月日昭和62年4月9日
法廷名東京高等裁判所
判示事項1 都が道路法施行法5条1項により国から無償貸付けを受けている都道敷の使用権は,地方自治法238条1項4号にいう「その他これらに準ずる権利」に当たるか
2 都が道路法施行法5条1項により国から無償貸付けを受けている都道敷の使用権が,地方自治法242条1項所定の「財産」に当たらないとされた事例
3 都道敷の不法占有に対する管理上の措置は専ら道路法に基づく行政処分としてされるべきであるとして,都知事が右都道敷の不法占用を放置していることが,住民訴訟の対象となる財務会計上の怠る事実に当たらないとされた事例
4 都が都道敷の占有者に対して有する東京都道路占用料等徴収条例(昭和27年東京都条例第100号)所定の占用料相当の損害金請求債権の行使を都知事が懈怠していることが,住民訴訟の対象となる財務会計上の怠る事実に当たるとされた事例
5 地方鉄道法(大正8年法律第52号,昭和61年法律第92号により廃止)4条ただし書所定の主務大臣の許可のあった範囲の都道敷部分を地下鉄敷設及びこれに必要な工事の施行のため帝都高速度交通営団が占有,使用することについては,これについて別個に道路法32条に基づく占用許可を要するか否かにかかわらず,都知事が道路管理者の都を代表して右工事の施行方法を承認したことにより,その不法行為性が阻却されるとした事例
裁判要旨1 都が道路法施行法5条1項により国から無償貸付けを受けている都道敷の使用権は,地方自治法238条1項4号にいう「その他これらに準ずる権利」に当たらない。
裁判日:西暦1987-04-09
情報公開日2017-10-19 23:42:51
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主文

本件各控訴を棄却する
控訴費用は控訴人らの負担とする。

第一

事実
当事者の求めた裁判


控訴人ら

1
原判決を取り消す。

2
被控訴人が原判決添付物件目録記載一ないし五の各都道部分に対する帝都高速度交通
営団の占用について金一二〇五万六四二六円の損害金の徴収を怠つていることが違法であることを確認する。
3
被控訴人が原判決添付物件目録記載四及び五の都道部分について帝都高速度交通営団
の各占用を放置していることが違法であることを確認する。
4
訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。


被控訴人

主文同旨
第二

当事者の主張

当事者双方の主張は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する(但し、原判決八枚目表八行目の二四一条を二四二条に、同三〇枚目裏四行目の同法を道路法にそれぞれ訂正する。。


控訴人ら

1
本件都道の使用を巡る東京都の管理行為には、道路法に基づく道路管理者としての管
理行為と共に、財産管理者としての管理行為も存するのであつて、道路管理の側面のみに注目して、財産管理の側面を無視することは、誤りである。従つて、東京都が、第三者の不法占有を放置し、本件都道の最も効率的な運用
、即ち一般交通の用に供することに

障を生ぜしめているときは、道路管理者としての義務を怠るだけでなく、財産管理者としての義務をも怠るものであるから、後者についてその違法の確認を求めることができるというべきである。なお、東京都は、道路法により道路管理者としての監督処分をなす権能を与えられているが、財産管理者の立場からも、本件都道敷の使用権に基づいて不法占有状態の解消措置を講じることが可能である。
2
本件都道の占有権原は、道路法上の占用許可によつてのみ付与されるものである。被
控訴人のなした工事施行方法の承認は、地方鉄道法四条但書に定める許可手続の一部を構成する行政行為であつて、道路法上の占用許可とは根拠法及び行政目的を異にし、これと同一の効力を有することはありえない。従つて、営団は、右占用許可を得ていない以上、本件都道を占有する権原を有せず、不法占有による損害金の支払義務を負うものというべきである。

被控訴人

控訴人らの右一の1及び2の主張はいずれも争う。2の主張については、本件都道の管理者である東京都を代表する被控訴人が営団に対し本件工事方法の承認を行つたことは、営団による本件都道の占有について財産管理上からの了解をも与えたもので
あり、従つて右占有が不法占有となり、損害賠償請求権を発生させる余地はない。第三

証拠(省略)



理由


当裁判所も、控訴人らの本件訴えのうち本件都道の占用の放置の違法確認を求める訴
えは不適法であるからこれを却下すべきであり、損害金の徴収を怠つていることの違法確認を求める訴えは、その請求を失当として棄却すべきであると判断する。その理由については、
次のとおり付加するほか、
原判決の理由説示のとおりであるからこれを引用する但

し、原判決三五枚目裏二、三行目の公用財産をいずれも公有財産に、同三七枚目裏八行目のものとはをものにはにそれぞれ訂正し、同四二枚目表七行目の一一号線の次にに関してを、同八行目の道路にの次に地方鉄道ををそれぞれ加える。。

1
本件都道の使用を巡る東京都の管理行為に、観念上、道路法に基づく道路管理の側面
と財産管理の側面とが存することは、控訴人らの指摘するとおりであるが、前に引用した原判決の理由で説示するように、道路の不法占有に対する管理上の措置はもつぱら道路法に基づく行政処分としてなされることを法は予定しているものと解するのが相当であつて(原判決三七枚目裏一行目以下)
、その懈怠の違法確認を求める控訴人らの訴えは、財務

計上の怠る事実を対象とするものには該当しないというべきである。2
控訴人らは、営団による本件都道の占有につき東京都が民法上の不法行為による損害
金支払請求権を有すると主張するが、前に引用した原判決の理由で説示するように、本件都道の管理者である東京都を代表する被控訴人が、営団の申請によつて営団に対し、本件工事方法の承認を行つた以上、右承認に係る営団の本件都道の占有が民法上の不法行為となる余地はない(原判決四四枚目表末行以下)というべきである。右承認申請は、地方鉄道法による建設大臣の工事施行認可に附された附款に従つてなされたものであり、その承認は形式上道路法による道路占用許可には該当しないけれども、そのことは前示の判断を左右するものではない。

以上によれば、原判決は相当であり、本件各控訴は理由がないからこれを棄却するこ
ととし、
控訴費用の負担について民訴法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官

村岡二郎

佐藤


鈴木敏之)

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