事件番号 | 平成19(許)3 |
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事件名 | 賃借権譲渡許可並びに建物及び土地賃借権譲受許可申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 |
裁判年月日 | 平成19年12月4日 |
法廷名 | 最高裁判所第三小法廷 |
裁判種別 | 決定 |
結果 | 棄却 |
判例集等巻・号・頁 | 集民 第226号387頁 |
原審裁判所名 | 東京高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成18(ラ)1494 |
原審裁判年月日 | 平成18年12月15日 |
判示事項 | 賃借権の目的である土地と他の土地とにまたがって建築されている建物について,借地権設定者が,借地借家法19条3項に基づき,自ら当該建物及び賃借権の譲渡を受ける旨の申立てをすることの許否 |
裁判要旨 | 借地権者が,賃借権の目的である土地と他の土地とにまたがって建築されている建物を第三者に譲渡するために,借地借家法19条1項に基づき,賃借権の譲渡の承諾に代わる許可を求める旨の申立てをした場合において,借地権設定者が,同条3項に基づき,自ら当該建物及び賃借権の譲渡を受ける旨の申立てをすることは許されない。 |
参照法条 | 借地借家法19条1項,借地借家法19条3項 |
裁判日:西暦 | 2007-12-04 |
情報公開日 | 2017-10-18 06:35:34 |
本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理由 抗告代理人宮原守男,同倉科直文,同中野剛の抗告理由について 借地権者が,賃借権の目的である土地と他の土地とにまたがって建築されている建物を第三者に譲渡するために,借地借家法19条1項に基づき,賃借権の譲渡の承諾に代わる許可を求める旨の申立てをした場合において,借地権設定者が,同条3項に基づき,自ら当該建物及び賃借権の譲渡を受ける旨の申立てをすることは許されないものと解するのが相当である。なぜなら,裁判所は,法律上,賃借権及びその目的である土地上の建物を借地権設定者へ譲渡することを命ずる権限を付与されているが(同項),賃借権の目的外の土地上の建物部分やその敷地の利用権を譲渡することを命ずる権限など,それ以外の権限は付与されていないので,借地権設定者の上記申立ては,裁判所に権限のない事項を命ずることを求めるものといわざるを得ないからである。 抗告人は,抗告人の設定した賃借権の目的である土地と相手方の所有する土地とにまたがって建築されている建物及び上記賃借権の譲渡を受ける旨の申立てをするものであるから,その申立てが不適法であることは明らかであり,これを却下すべきものとした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 那須弘平 裁判官 藤田宙靖裁判官 堀籠幸男 裁判官 田原睦夫 裁判官 近藤崇晴) |