判例検索β > 平成17年(ワ)第2441号
損害賠償等請求
事件番号平成17(ワ)2441
事件名損害賠償等請求
裁判年月日平成19年5月23日
裁判所名・部名古屋地方裁判所  民事第4部
結果棄却
判示事項の要旨名古屋市議会の会派Y1及びその代表者Y2が,Y1の元代表者Xが市から交付された政務調査費を横領したとして警察に被害届を提出し,同提出を報道機関に公表したことにつき,XがYらに対し名誉毀損に基づく損害賠償及び謝罪文掲載を求めた事案において,Yらの上記被害届提出及びその公表は公益目的を有するものであり,YらがXによる上記横領を真実であると信ずるに足りる相当な理由もあるとして,Xの請求がいずれも棄却された事例
裁判日:西暦2007-05-23
情報公開日2017-10-18 04:05:23
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平成17年(ワ)第2441号

損害賠償等請求事件

主文1
原告の請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。

第1
1実及び理由
請求
被告らは,原告に対し,連帯して,2000万円及びこれに対する平成17年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2
被告Y1は,別紙記載1の謝罪文を同記載2及び3の要領で同記載4の各新聞に掲載せよ。

第2

事案の概要
本件は,平成17年6月当時,被告Y1の団長を務めていた被告Y2が,同団
長として,警察に対し,原告が被告Y1が管理する金員を横領したとして被害届を提出したことなどが,原告の名誉を毀損したとして,原告が被告らに対し,損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,原告が被告Y1に対し,謝罪文の掲載を求めた事案である。
1
争いのない事実等
以下の事実は,当事者間に争いがないか,当該箇所に掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる。
(1)当事者

原告は,平成6年に名古屋市会議員に当選し,以後4期にわたり同議員を務めた。原告は,上記当選以来,被告Y1に所属し,平成15年度に被告Y1の幹事長,
同16年度に同団長を務め,
平成17年5月に離団した。


被告Y1は,名古屋市議会内の会派として活動する団体である。


被告Y2は,名古屋市会議員であり,被告Y1に所属し,平成17年度には同団長を務めていた。なお,現在は離団して,別の会派に所属している。

(2)政務調査費の概要
政務調査費は,
地方公共団体から,
その議会における会派又は議員に対し,
議員の調査研究に資するために必要な経費の一部として,地方自治法100条13項に基づき交付される金員である。
名古屋市(以下,単に市ともいう。
)においては,名古屋市会政務調
査費の交付に関する条例を定め,同条例3条により,月額55万円に当該会派の所属議員の数を乗じた額が会派に対して交付される(乙1号証の1及び2)

(3)原告による金員の引き出し行為
原告は,平成15年度及び平成16年度において,被告Y1の郵便貯金口座(以下被告Y1口座という。
)から,以下の日付に,以下の金員(合
計980万円)を引き出した(以下本件引き出し行為という。。なお,)
上記口座に保管されていた金員の性質などについては後述のとおり争いがあるが,これが政務調査費として市から被告Y1に交付された金員の一部であることには争いがない。

平成15年度
平成16年2月

合計410万円
150万円

3月10日

160万円

3月25日

50万円

4月12日

9日

50万円

平成16年度
平成16年5月

合計570万円
7日

50万円

5月25日

50万円

6月25日

50万円

8月19日

50万円

9月

2日

80万円

9月24日

50万円

11月

1日

10万円

11月

2日(1回目)

10万円

11月

2日(2回目)

30万円

11月

8日

30万円

11月19日

20万円

12月24日

50万円

12月27日

40万円

平成17年1月26日

50万円

(4)被害届提出及びその公表

被告Y2は,平成17年6月27日,被告Y1を代表して,愛知県警察本部に対し,上記(3)の合計980万円につき,原告により横領されたという内容の被害届(以下本件被害届という。
)を提出した。


被告Y2は,同月29日夕方,報道機関に対し,①本件被害届を提出したこと,②被害金額は合計980万円であること,③被害の時期は平成16年度内であること,の3点を認めた。

2
争点
(1)本件被害届を提出した行為の違法性及び,報道機関に対し本件被害届の提出を認めた行為の違法性
(2)被告らが,本件被害届の内容が真実であると信じたことについて相当の理由があったか否か
(3)本件被害届の提出及び公表が専ら公益を図る目的であったか否か(4)原告の損害等

3
争点に関する当事者の主張
(1)争点(1)(本件被害届を提出した行為の違法性及び,報道機関に対し,被害届の提出を認めた事実の違法性)について
(原告の主張)
被告らは,原告に横領行為が存在しないにもかかわらず,本件被害届を提出し,同提出を報道機関に流布して新聞記事等に掲載させた。このような被告らの行為は,原告に対する重大な悪意に基づくものであり,不法行為を構成することは明らかである。
(被告らの主張)
本件被害届の提出は違法ではない。
被告Y1は,本件被害届の提出を極秘扱いとしていたが,平成17年6月29日早朝に上記事実が報道され,以降被告Y2は新聞各社から次々と取材を受けた。被告Y2は当初ノーコメントで対応したが,報道機関各社の取材は厳しく,これ以上事実を黙秘することは選挙により選ばれた議員の集団である被告Y1の立場上許されないとの判断で,やむなく被告Y2は,同日午後6時ころ,本件被害届提出の事実を認めた。すなわち,被告Y2は,本件被害届提出の事実を積極的に発表したのではなく,報道機関による激しい取材攻勢にやむなく事実を認めたものであり,このような消極的行為は違法と評価され得ない。仮に,上記の状況下で報道機関の取材に対し本件被害届提出の事実を認めること自体が違法であるということになれば,それは間接的に犯罪被害者から救済の手だてを奪うことになり,著しく不当である。(2)争点(2)(被告らが,本件被害届の内容が真実であると信じたことについて相当の理由があったか否か)について
(被告らの主張)

被告Y1における政務調査費の取扱い
(ア)被告Y1では,内部の取り決めにより,名古屋市から毎月振り込まれ
る政務調査費をその都度全て引出し,50万円に被告Y1所属の議員数を乗じた金額について,現金50万円ずつ封筒に分けた上で被告Y1の金庫に保管し,残りの5万円に被告Y1所属の議員数を乗じた金額について,これを被告Y1口座に入金して被告Y1が団体として政務調査に要した費用(以下共通経費という。
)として管理している。
(イ)被告Y1に所属する各議員に対する政務調査費の支払については,各議員が行った政務調査活動の領収書による同時精算,又は,各議員が立て替えて出費し,後日領収書の提出により精算するのが通常の取扱いであり,月額50万円,年額600万円を限度に,金庫で保管されていた50万円により弁償される。ただし,50万円を超えて支出した場合の超過分及び50万円より支出が少なかった場合の残余金は翌月以降に繰り越される。
各議員から,年間600万円以上の領収書が提出された場合,600万円を超える部分については,上記取り決めに基づき議員個人には弁償されないが,600万円を超える部分も被告Y1の政務調査費に含まれて収支報告に記載され,市には返還されないため,上記超過分に対応する金員については,被告Y1により管理されることになる。これが被告Y1の制度上発生する余剰金であり,被告Y1の資金であるから,被告Y1の総意により使用されるべき性質の金員である。
(ウ)上記余剰金について,所属議員に支払ったことはあったが,それは議員の任期満了に伴う構成員の変動により,会派の同一性がなくなることから,余剰金を従前の構成員に還元するためである。4年の任期ごとに上記余剰金を分配するなどの特段の取り決めをしたことはない。
まして,
被告Y1の団長が,被告Y1の管理する上記余剰金を年度途中に被告Y1口座から引き出し,自宅に持ち帰るなどということは前例がない。イ
原告の横領行為の疑い

(ア)原告は,被告Y1の取扱いに反し,明確な理由もなく,被告Y1口座から金員を引き出し,自宅に保管するなどしていたものであり,被告Y1の管理する金員を私的に流用したものである。
(イ)平成15年度に引き出された410万円につき,同年度の被告Y1団長であったA議員が,原告に対し,上記金員の引き出しを指示した事実はない。A議員は,当時幹事長であった原告を信頼して,通帳及び印鑑を原告に預けていた。
なお,上記410万円については,平成15年度末には,被告Y1において政務調査費として承認されたが,平成16年度末ころから調査した結果,原告による不明朗な引出しであったことが判明したため,改めて市に返納した。
(ウ)平成16年度に市から被告Y1に交付された政務調査費は1億5345万0037円(ただし,利息を含む)であり,対応する支出は個人分1億3965万9781円及び共通経費分772万4539円で合計1億4738万4320円であった。したがって,上記交付金と上記支出の差額である606万5717円が残余金として市に返還された。原告は当初,上記共通経費分につき,自己が引き出した570万円も併せた1342万4539円を計上しようとしたが,疑義が指摘されてこれを撤回し,返還した。領収書の不備が指摘された250万円は原告が引き出した上記570万円の一部である。
(エ)原告は,上記250万円につき,各議員からの領収書が揃わなかった支出である旨主張するが,各議員は領収書を提出しなければ費用の弁償を受けられないのであり,そのような領収書の揃わない支出が頻繁に生じ,しかもその内容である国会陳情,出張,政経セミナーなどに対する出費が20万円ないし30万円というほぼ定額であること自体不自然であり,領収書の内容と異なる意図ないし計画により原告が預金を引き出
したと見るほかない。
(オ)原告が被告Y1の金庫に入庫したと主張する150万円について,平成16年度末に市へ残余金を返還した後,被告Y1の金庫内に150万円程度の現金が残っていたことは事実であるが,これは上記余剰金165万9781円の一部である。

本件被害届提出に至るまでの被告Y1による調査の経緯
(ア)平成17年2月ころ,被告Y2が被告Y1口座の預金残高を確認したところ,同月21日時点で85万円余りであることが判明した。これを契機として,被告Y1において,政務調査費の出金状況につき調査が開始された。その調査の結果,平成15年度につき,410万円の不自然な領収書による出金,平成16年度につき,個人分450万円及び共通経費分420万円の不明朗な出金並びに共通経費分150万円の不自然な領収書による出金が確認された。
(イ)平成17年3月2日,被告Y1控え室において,原告及び被告Y1所属議員数人が集まり,上記平成16年度の不明朗な出金合計870万円につき,不自然である旨の指摘があった。
同月10日にも,原告と被告Y1所属議員数名が集まった。その際,原告は,
申し訳ない金は返した被告Y1の)役職について,,(は1年間は求めないという返答があり,私的流用を認めたというニュアンスであった。このように原告が非を認めたため,具体的な使途までは追及されなかった。
なお,原告は上記870万円を被告Y1に返還したようであるが,その返還は,原告が自身の判断で被告Y1の金庫に現金を入れるという方法であったため,いつ,いくらの現金を返還したのかは,正確には確認できない。
(ウ)平成17年4月15日,原告が執行部会議を招集し,平成16年度政
務調査費について,総収入1億5345万円(預金利息37円を除く),
支出総額1億4988万4520円,残余金356万5480円(預金利息37円を除く)との決算報告がされ,一旦了承された。
(エ)同月20日及び27日,被告Y1執行部は財務監査を行い,共通経費の出金を再度精査した。これにより,原告が上記決算報告で請求した平成16年度共通経費のうち,同一の旅行社(B)から発行された合計250万0200円につき,①日付もただし書もなく,②いずれも金額が20万円,30万円などという切りのよい数字の,③領収書番号が連番になっている7枚の不自然な領収書が発見された。
(オ)平成17年5月中旬ころ,被告Y1所属議員数人が,名古屋市内の飲食店に集まり,原告を呼び出した。その際,原告は,

遣いました。


という抽象的な表現ではあるが,私的流用を認める発言をした。
(カ)被告Y1は,上記一連の調査から,原告が横領したと考えた。上記諸般の事情は,原告に不法領得の意思があったと考えるにつき相当な理由があったと十分評価できるものである。
(キ)なお,原告は,平成17年3月ころ,①平成15年度及び同16年度の共通経費に係る各郵便貯金通帳,②平成16年度の団費に係る金銭出納帳,③平成15年度及び同16年度の各クラブ費の金銭出納帳を被告Y1の職員から預かり,これらを持ち出すという不可解な行為に及んでいる。これらの通帳及び帳簿については,被告Y1が原告に対し返却を求めているが,現在に至るまで返却されていない。
(原告の主張)

被告Y1における政務調査費の取扱い
(ア)議員に対する政務調査費の支払については,月額50万円,年額600万円を限度として弁償されていたことは,被告ら主張のとおりであるが,各議員において支出しながら,上記限度を超えるために弁償されな
い金銭については,預り金と呼ばれていたものであって,被告らがいうような被告Y1の制度上発生する余剰金などという表現が用いられたことはない。したがって,原告が主張する預り金と,被告らが主張する余剰金とは,同一内容である。被告らは,従前,預り金の存在を否定していた。
(イ)預り金と称する金員は,各議員からの預り金であり,この預り金は毎年度概ね600万円程度発生し,
被告Y1内部で代々引き継がれており,
被告らはそのことを熟知していた。
原告が政務調査費の取扱いをまかせられる以前は,預り金は年度末に数回にわたり引き出され,W氏(平成15年10月に辞職した元市議会議員)により保管されていたのであり,被告Y1団長が被告Y1口座から現金を引き出し,被告Y1金庫以外の場所に保管していたことには前例がある。そして,年度を超えて保管された預り金は,4年の任期ごとに一旦清算し,所属議員に全額配分する取扱いとされていた。
(ウ)議員に対する政務調査費の支払については,全て現金の形で前金で渡し,領収書や使用明細書は後で提出するという取り決めになっている。イ
被告らの主張する原告の横領行為の疑いについて
(ア)平成15年度については,A議員の指示のもと,原告が被告Y1口座から合計410万円を引き出し,原告個人において保管するよう命じられたものである。上記410万円は本来は各議員に支払済みであるはずの金員で,当該年度の被告Y1の政務調査費としての性格を失い,閉鎖すべき当該年度の被告Y1口座に保管することができなかったため,引き出す必要があった。平成16年度に原告が被告Y1団長であった期間も,使用されない金員として保管されていたものであり,私的流用はしていない。原告は,これを平成17年度の被告Y1団長である被告Y2に引き継ごうとしたが,受取りを拒否された。

(イ)平成16年度については,被告Y1口座に,年度末に至るまで,共通経費に充てる金員と預り金が混在することを避けるため,毎月発生する預り金を順次引き出し,自宅において現金で保管していたものである。このような形で保管することとなったのは,政務調査費を未使用のまま次年度以降に繰り越すことは許容されないからであり,被告Y1口座に保管することができなかったからである。ただし,引き出した570万円の中には,預り金150万円のほか,共通経費として使用した金員も含まれている。
預かり金150万円については,被告Y1の金庫に入庫し,被告Y2に引き継いだ。
(ウ)平成16年度に,市から交付を受けた政務調査費のうち,個人に渡す分を除いて被告Y1口座に管理されていた金員は約1380万円であり,原告は,その内約780万円を共通経費として計上し,残りの約600万円を市に返還した。
領収書が問題となった250万円については,
上記780万円に含まれている。
(エ)前記のとおり,各議員に対する政務調査費の支払が前金によることから,国会陳情,出張,政経セミナーなどの支払については領収書が揃わない実態がある。平成16年度については,全議員が使用した共通経費の内,領収書の揃わない支出が250万円あったため,原告は,つじつまを合わせる目的で別の領収書を使用したものである。このような扱いは杜撰ではあるが,歴代の団長や財務委員長が行っていたものであり,被告Y1の全議員が了解していたものである。したがって,上記250万円は原告が個人で使用したのではなく,被告Y1に所属する議員全員で使用したのであり,同議員全員がこれを了解していた。なお,上記250万円については,原告はその弁償を受けることを断念した。

本件被害届提出に至るまでの被告Y1による調査について

(ア)被告Y1において,平成16年度の個人分450万円・共通経費420万円の支出が,平成15年度の410万円及び平成16年度の150万円についての領収書が問題とされたことはない。そもそも,原告は,410万円について,領収書を提出していない。この410万円は,過去1年間に各議員が50万円を超えた領収書を提出した,その超過部分の集積であり,原告が改めて領収書を提出する必要のないものである。(イ)平成17年3月2日に市議団控え室に数名が集まったことは認めるが,ここでの話題は,原告の引き出し行為ではなく,どこに保管しているのかという保管方法の問題とC議員に対する政務調査費の支給の是非である。同月10日の会合においても,870万円の支出が問題とはされていない。
原告において,570万円を,自宅での保管から被告Y1の金庫での保管に変更したことはある。
(ウ)平成16年度の250万円は共通経費に関する問題であり,これに充てるため原告が提出した領収書が問題とされたことは認める。
(エ)平成17年5月中旬の会合において,原告が私的流用を認めた事実は一切ない。
(オ)被告らが共通経費の出金状況を精査したとか,原告にこれを指摘するという調査を2か月行ったとの主張は否認する。共通経費の保管通帳や共通経費の帳簿は,W氏逮捕の後,平成15年度被告Y1団長であったAから廃棄処分するようにと渡されたため,原告がこれを保管中であり,被告の手元には存在しなかったのであり,被告らは原告に帳簿の提出を求めたこともないし,格別の調査を行ってはいない。
(カ)被告らは,帳簿類を調査することもなく,原告から事情を聞くこともないなど,十分な調査をせずに本件被害届の提出に及んでおり,被告Y1には原告に横領の事実があったと信じるに足る相当の理由など到底存
在しない。
(3)争点(3)(本件被害届の提出及び公表が専ら公益を図る目的であったか否か)について
(原告の主張)
本件被害届は,被告Y1内部における派閥間のポスト争奪の結果,すなわち,以下に述べる政治的背景の下に原告を被告Y1から排除する目的で,被告Y1の執行部会での議決を経ないで行われたものであり,専ら公益を図る目的でなされたものではない。

平成16年当時,被告Y1には,原告率いる派閥(以下原告派という。,A議員及び被告Y2が率いる派閥(以下AY2派という。

)及
びD議員が率いる派閥(以下D派という。
)という3つの派閥が存在
した。平成16年度の被告Y1における執行部人事は,幹事長がD派の議員,政調会長が原告派の議員,財務委員長が原告派のE議員等となり,AY2派の議員は排除された。平成16年末当時のそれぞれの派閥に属する議員数は,原告派7名,AY2派8名,D派6名であった。


原告は,A議員から,平成17年度の重要ポストへの就任に協力するよう要請され,原告派の議員に相談しないまま,AY2派のA議員らと協議していた。原告派における原告の腹心であるE議員は,原告のこのような行動を快く思わず,平成17年1月上旬から2月の間に,D派議員に政務調査費に関する通帳と帳簿のコピーを渡した。


原告は,同年2月,D議員から市役所職員控え室に呼び出され,当時長期入院していたC議員への政務調査費450万円の支払を求められた。原告は,長期入院中の議員が調査活動することはできないという理由で支払を拒否したが,D議員から政務調査費の扱いに不手際がある旨を指摘された。


同年2月下旬,原告派の前身である派閥のリーダーであったW氏から,
平成17年度の被告Y1人事について,原告は被告Y1の役員及び議長職などの地位につかず,D派に属するF議員を団長にする案が示されたが,原告は同案に強く反発した。

平成17年4月25日,被告Y1団長選挙が実施され,12票を得た被告Y2が,11票を得たF議員を制し,同年度団長に就任した。上記選挙の際,原告派所属議員4名はD派に協力しなかった。


同月28日,
G新聞社の記者から原告に取材があった。
同取材において,
上記記者は,原告派とD派しか知らないはずの事実である①250万円の名目及び日付のない領収書を原告が出したこと,及び②被告Y1の収支報告が平成16年度に限って初めて執行部で協議された上,承認されなかったこと,を指摘した。まもなく新聞各紙で被告Y1の政務調査費250万円の疑惑が報道されるに至った。

(被告らの主張)
原告の主張する被告Y1内部の派閥間抗争は本件争点と無関係であり,本件被害届の提出及び公表は,専ら公益を図る目的でなされたものである。(4)争点(4)(原告の損害等)について
(原告の主張)

慰謝料
原告は市会議員であり,その社会的信用は比類なきものである。被告らの行為は,原告の社会的信用を完全なまでに破壊するものであり,これによって原告が被る損害は計り知れず,これを金銭的損害に評価すれば,2000万円を下るものではない。


謝罪広告
公人としての地位を有する原告の社会的信用・名誉を回復するには損害賠償のみでは足らず,名古屋市内に頒布されている一般新聞各紙に謝罪の意を表す広告が行われることが不可欠である。

(被告らの主張)
原告の主張は争う。
第3
1
争点に対する判断
争点(1)について
被害届を提出すれば,仮に自ら積極的に同提出の事実を公表せずとも,いずれ同提出の事実が不特定多数人の知るところとなることにつき,被告らは十分に予見可能であるから,本件被害届提出は原告の社会的評価を低下させる行為であると認められる。
また,被告らにおいて,本件被害届を提出した事実を報道機関に認めることは,原告の社会的評価を低下させることは明らかである。それが報道機関の取材攻勢によりやむなく行われたものであったとしたも,違法性を否定する事情とはならない。
したがって,これらの点に関する被告らの主張は採用できない。

2
甲3,4,15ないし17号証,乙4ないし6号証,証人E議員の証言,原告及び被告Y2の各本人尋問結果(ただし,原告本人尋問結果については後記採用しない部分を除く。
)並びに当該箇所に掲記の証拠から,以下の事実が認
められる。
(1)被告Y1における政務調査費の取扱い

被告Y1においては,各議員が一か月の間に政務調査に要した費用のうち,50万円の限度で市から被告Y1に交付された金員を交付し,50万円を超える部分については,翌月に繰り越していた。これを1年間続け,各議員に実際に支払われる額は600万円を上限とし,各議員が600万円を超える政務調査費用を支出した場合,その超過費用については,各議員には支払われない一方で,被告Y1の政務調査費全体には計上されるため,市に返還されることはなく,被告Y1が管理していた。以下,この金員を留保金というが,原告が主張する預り金と,被告らが主張する剰余金
も,基本的には同じものである。被告Y1は市から交付された政務調査費のうち,議員数に60万円(5万円×12か月)を乗じた金額を管理し,ここから,被告Y1の共通経費を支出していた。年度末には,上記議員数に60万円(5万円×12か月)を乗じた金額から共通経費及び留保金を差し引いた金額を市に返還する。
例えば,被告Y1所属の議員が10人であり,各議員がそれぞれ年間で630万円分の政務調査を行い,共通経費が100万円であった場合,市から交付される政務調査費6600万円(55万円×12か月×10人)のうち,各議員には合計6000万円が支払われ,被告Y1が300万円(30万円×10人)を留保金として管理することとなる。そして,残りの300万円から共通経費100万円を差し引いた200万円を市に返還することとなる。

市から被告Y1に振り込まれた政務調査費のうち,各議員に交付される一月あたり50万円分については被告Y1の金庫で保管され,残りの一月あたり5万円分については,被告Y1口座で管理されていた。
各議員に支払われる政務調査費については,各議員が実際に支出した調査費用の領収書を被告Y1に提出するのと引換えに支払われた。上記支出については,財務委員長が管理していた。
共通経費については,基本的に団長の判断で支出し,団長以外の者が支出した場合には,当該議員が提出した領収書を団長がチェックした。財務委員長は必要に応じて年度途中又は年度末に領収書の内容をチェックすることになっていた。

(2)年度を超えて団に留保される留保金の処理

年度を超えて留保された留保金は団長が管理していたが,平成15年以前にどのように管理・保管されていたのかは明らかではない。しかし,E議員及びA議員は,いずれも留保金を団長が自宅において現金で保管する
ということは聞いたことがないこと,被告Y2も留保金がどこで保管されていたか知らないことからすれば,少なくとも団長が留保金を自宅において現金で保管するという取扱いは被告Y1団員間の共通認識ではなかった。

平成15年4月の市議会議員選挙前に,何十万円単位の金員が被告Y1から各団員に配られたことがあったが,この金員交付は,その時点の留保金を清算したものである。

(3)被告Y1による調査の経緯

平成17年2月,原告が当時病気療養中だった議員に高額の見舞金を渡したことをきっかけに,D議員から,原告の経理処理について疑義が出された。また,同年2月下旬,被告Y2が,被告Y1ホームページ作成のため,被告Y1口座の残高を確認したところ,80万円程度であり,残高として少なすぎると思われたことから調査が開始された。


平成16年度の財務委員長であったE議員が,被告Y1口座の通帳を確認したところ,平成16年5月から,平成16年度分の本件引き出し行為が行われていたことが判明した。


そこで,平成17年3月2日,被告Y1控室において,D議員,F議員及びE議員が,原告と会った。原告は,平成16年度分の本件引き出し行為を認め,引き出した金員の返還を約束した。同月10日,上記3議員は再び被告Y1控え室に原告を呼び出した。
その場において,
原告は謝罪し,
改選時期までの平成17年度及び平成18年度について要職に就くことを辞退する旨述べた。


同月15日,原告が被告Y1執行部を招集し,平成16年度決算報告を行った。その内容は,総収入1億5345万円,支出総額1億4988万4520円,残余金356万5480円であり,一旦了承された。同支出総額には,原告が共通経費として250万円を請求する内容も含まれてい
たが,同250万円の支出について,原告は,同支出とは関係のない250万円分の領収書7枚を添付していた。

同月20日,被告Y1の執行部会が開催され,共通経費の出金が精査された。上記執行部会直後,E議員は,原告が提出した7枚の領収書の番号及び金額が,以下のようになっていることを確認した。


AB-No071399

50万円



AB-No071452

30万円



AB-No071453

30万円



AB-No071454

30万円



AE-No020514

36万9000円



AE-No020515

35万9000円



AE-No020517

37万2200円

合カ計
250万0200円

同月27日,執行部会が開かれ,当時被告Y1副団長だったF議員が,原告に対し,上記領収書についての説明を求めた。原告は,政経セミナーの会費などで,
領収書の取れないものに使ったという趣旨の説明を行った。
最終的に,市に対する平成16年度の収支報告は,上記エでは共通経費として支出総額に計上されていた250万0200円を残余金に振り替えた形,すなわち,支出総額1億4738万4320円(個人分1億3965万9781円,共通経費772万4539円)
,残余金606万568
0円となった。そして,被告Y1は,606万5680円に利息37円を加えて市に返還した。なお,上記個人分支出額1億3965万9781円の内,165万9781円が留保金とされた。


そのころ,平成15年度については,H議員が調査し,11枚合計410万円の被告Y1宛の領収書を原告が提出しており,その番号及び金額が以下のとおりであることを確認した。



AB-No071395

50万円



AB-No071396

50万円


AB-No071397

50万円


AB-No071398

50万円


AB-No071455

30万円


AB-No071456

30万円


AB-No071457

30万円


AB-No071458

30万円


AB-No071459

30万円


AB-No071460

30万円


AB-No071461

30万円

上記合計18枚の領収書は,いずれもB発行に係るものであり,日付及び使途などのただし書がない,という共通点があった。

平成17年5月12日,名古屋市内のホテルにおいて,被告Y2,H議員ほか数名が,原告から事情を聴取した。この席において,原告は,引き出した金員を使用したのかという趣旨の質問に対し,
うなずいた。
原告は,
同月,同年度の被告Y1団長に就任した被告Y2に対し,預り金であるとして,現金410万円を渡そうと申し出たが,被告Y2は,上記現金の受取りを拒否した。


警察は,内偵捜査を開始し,被告Y2は,5ないし6回にわたり,原告の本件引き出し行為について,警察に相談した。その中で,警察から,事実を明らかにするには被害届を出したほうがよい旨の示唆を受けた。そこで,被告Y2は,被告Y1総会において,被告Y1団員から,原告の本件引き出し行為について,警察の捜査協力要請に積極的に対応することについて同意を得た。


本件被害届は,平成17年6月27日,警察官が被告Y2の話を聴取す
る形で作成された。被告Y1は,本件被害届提出を極秘扱いとしたが,同月29日早朝にIが本件被害届提出を報道した。同報道を受けて,新聞各社が被告Y2に取材を行い,被告Y2は当初ノーコメントで対応したが,同日午後6時ころ,本件被害届提出を認めた。
(4)認定と異なる原告の供述について

原告は,個人の政務調査費について毎月50万円より少なく請求する議員はいないから,留保金(預り金)は毎月生じると主張,供述しているが,これらの主張は,別件の訴訟で繰り越しが生じる議員がいること及び年度末にならないと正確な留保金の金額は出ないことを認めていること(甲4号証12頁)と矛盾し採用できない。


原告は,留保金を自宅において現金で保管する方法は,代々引き継がれてきたことであり被告Y1の団員は皆承知している旨主張し,これに沿う陳述書も存在するが(甲3号証)
,別件訴訟における証言では,原告自身
も従前の団長らが留保金をどのように保管していたかについて把握していないと述べており(甲4号証16頁)矛盾していることから,上記陳述書は信用できない。


原告は,上記(3)オの①ないし⑦の各領収書について,自分が提出したものかどうかわからないと主張し,上記(3)キの⑧ないし⑱の各領収書について,自分は提出していないと主張している。しかし,原告は,平成16年度の共通経費に関して日付や使途の記載がない旅行会社発行の領収書7枚合計金額250万円の領収書を提出したこと自体は認めているところ,上記①ないし⑦は,原告が認めている領収書とその特徴が全て一致しており,このように特徴の一致する領収書が①ないし⑦のほかに7枚存在するとは考え難いから,①ないし⑦は原告が提出した領収書であると認められる。さらに,⑧ないし⑱についても,上記のとおり原告が提出した①ないし⑦と共通点があり,領収書の番号も⑪と①,④と⑫が連続している
ことから,①ないし⑦を提出した者と同一人物,すなわち原告が提出したものと認められる。
3
上記に認定した事実をもとに,争点(2)(被告らが,本件被害届の内容が真実であると信じたことについて相当の理由があったか否か)
について検討する。
(1)領収書の評価

前記に認定したとおり,原告は,前記2(3)キの⑧ないし⑱の平成15年度の共通経費として410万円分の領収書を提出している。
同領収書は,
前記に認定したとおり,同一の旅行会社発行に係るものであり,日付や使途の記載がなく,金額は30万円又は50万円という切りのよい数字であり,⑧ないし⑪及び⑫ないし⑱は番号が連続している。実際に支出された政務調査費に対応する領収書がこのような特徴を持つことは考え難く,これらの領収書は,
実体の伴わない,
いわば空の領収書であると認められる。
そして,原告は上記⑧ないし⑱の領収書の合計金額410万円と同額の金員を被告Y1口座から平成15年度に引き出したことを認めているのであるから,上記領収書は,410万円の引き出しを説明するために提出されたとみるのが自然である。
上記410万円を,原告の主張するとおりA議員の指示により留保金を預かる趣旨で引き出したのであれば,各団員から対応する領収書が提出されているはずであるから,原告が改めてつじつま合わせのための空の領収書を出す必要はない。A議員も,原告に引き出しの指示はしていないと述べている(乙5号証)
。これらのことから,原告は,留保金を預かる趣旨
とは別の目的で,
被告Y1口座から410万円を引き出したと推認される。


平成16年度の250万円について,原告は,領収書を提出したとすれば,政経セミナーへの出席に要した費用等について領収書が入手できなかったり,領収書を提出してもらうことを失念することもあり,後に支出を説明するために便宜的に提出した旨を供述している。しかし,共通経費の
支出において,およそ領収書が入手できないような支出が多額あるのかどうか疑問である。しかも,原告が提出した領収書の金額が実際の支出金額と一致するとすれば,30万円又は50万円という切りのよい数字になる理由も不明確である。したがって,原告は,共通経費の支払に充てる以外の目的で,被告Y1口座の金員から250万円を支出したと推認される。(2)平成16年度の引き出し方法の評価
本件被害届における平成16年度の被害金額は570万円であるところ,残り320万円については,上記410万円や250万円のような原告が横領したことを疑わせるような領収書は見つかっていない。
しかし,原告は,平成16年度に570万円を9か月間にわたり14回に分けて引き出しており,引出回数も月によって0回から5回までまちまちであり,1回当たりの引出金額も10万円から80万円までばらついており,保管が目的で引き出したとしては不自然である。原告は,年度末まで共通経費と留保金が混在することには問題があるため,毎月発生する留保金相当金額を引き出したと説明する。しかし,留保金部分の金員は,市との関係では支出に見合う政務調査が行われているのであるから,純粋に被告Y1の内部的な問題であり(理屈としては、留保金部分の金員がいったん議員に支払われて,同額を議員が被告Y1のために積み立てるのと同じことになる。,)
その処理は被告Y1内部で合意ができれば自由に行えばよく,年度末にまとめて引き出す従来の管理方法に格別の問題はなかったはずである。また,留保金が毎月発生すると説明しながら,実際の引出は毎月行っておらず,その金額も異なっており,そのようになった理由も不明であるうえ,前記認定のとおり,留保金は年度末に初めてその正確な金額が判明するのであるから,見込額をあらかじめ引き出すという原告主張の方法のほうが実体と乖離する可能性が高い。よって,原告の主張は合理性を欠き採用できない。(3)自宅保管の合理性

さらに,留保金を保管する目的であったなら,引き出した金員を被告Y1の金庫に入庫して,あるいは,別に預金口座を開設して保管することもできたのに,原告はこれをしなかった。原告は,歴代の団長の慣行にならって自宅において現金で保管していたと主張するが,前記に認定したとおり,そのような慣行があったとは認められないので,原告の説明は信用できない。もっとも,歴代の団長の中で,留保金を自宅において現金で保管していた例がある可能性も否定できない。仮に,原告の供述するとおり,自宅において現金で保管していたとしても,他の執行部役員には,原告が当該金員を保管しているのか,費消しているのか確認のしようがないのであり,そのような状況を生み出す保管方法を選択すること自体が,横領を疑わせる事情となるのである。
(4)総合判断
留保金については,これまでの保管方法が不明であり,かつ,留保金に関する帳簿が存在するとも認められず,その扱いには不明な点が多く,原告が平成15年度に410万円,平成16年度に570万円を横領したと認めるに足りる証拠はない。しかし,以上に検討したとおり,原告が提出した領収書の内容,本件引き出し行為の内容,原告が被告Y1の団員から横領したのではないかと質問された際に明確に反論していないこと等に加え,本件被害届の提出が警察から促されて行われたことなどの事情も勘案すると,被告らにおいてそのように信じたことについては相当の理由が認められる。(5)原告の反論について
原告は,被告らが,共通経費の帳簿のうち原告が保管しているものについて調査しないまま本件被害届を提出したことを理由として,調査が不十分である旨主張している。
しかし,
同帳簿を持ち出しその調査を不可能にした上,
本件訴訟に至っても同帳簿を証拠として提出していない原告が,そのことを理由に調査が不十分と主張するのは理由がないというべきである。
また,原告は,
被告らが,
留保金の存在自体を否定していたことを理由に,
本件被害届の提出が違法であると主張する。確かに,被告Y1は,報道機関に対し,留保金自体が存在しない旨の説明をしていた時期があり(甲8及び9号証)
,前記事実認定によれば,これは故意に虚偽の説明を行ったものと認められる。しかし,本件訴訟においては,被告らは留保金の存在を認めており,被告Y1関係者の証言にも不自然な点は格別認められない上,留保金が存在することを前提とした上でなお原告に横領の疑いがあることは既に認定判断したとおりであるから,このことも,上記認定判断を覆す事情とはならない。
4
争点(3)本件被害届の提出及び公表が専ら公益を図る目的であったか否か)(
について検討する。
原告は,本件被害届提出が,被告Y1内部の派閥争いの結果,原告を排除する目的で行われた旨主張する。
無論,本件被害届の提出及び公表が,専ら原告の被告Y1における政治的勢力を削ぐ目的でなされた場合には,当該行為は違法となり得る。しかし,本件においては,前記認定のとおり政務調査費の一部に関して,市会議員であり被告Y1の団長を務めていた原告が横領という犯罪行為を犯したと疑われたのであるから,被告Y1とすれば,
これを調査して,警察権の発動を求めることは,
公共の利益にかなっている。すなわち,仮に,被告Y1において,本件被害届の提出及び公表をしたことについて,原告が主張するような政治的な意図が併存していたとしても,そのことから直ちに公益目的は否定されないというべきである。
以上によれば,本件被害届の提出及び公表は,専ら公益を図る目的であったと認められる。

5
以上より,被告らが本件被害届を提出し,これに引き続いてそれを報道機関に発表したことについて,違法性は認められない。

したがって,その余の点につき判断するまでもなく,原告の損害賠償及び謝罪文掲載の請求はいずれも認められない。
6
結論
以上のとおりであり,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,65条1項本文を適用し,主文のとおり判決する。

名古屋地方裁判所民事第4部

裁判長裁判官

永野圧彦
裁判官

寺本明広
裁判官

大野千尋
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