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執行停止申立て事件(本案・当庁平成18年(行ウ)第4号除却命令差止請求事件)
事件番号平成18(行ク)8
事件名執行停止申立て事件(本案・当庁平成18年(行ウ)第4号除却命令差止請求事件)
裁判年月日平成18年1月25日
法廷名大阪地方裁判所
判示事項都市公園内にブルーシート製テント又は木製工作物を設置するなどして,これらを起居の場所とし,日常生活を営んでいる者らに対して前記公園の公園管理者がした都市公園法27条1項に基づく前記テント等の除却命令の取消訴訟を本案とする当該除却命令の執行停止の申立てが却下された事例
裁判要旨都市公園内にブルーシート製テント又は木製工作物を設置するなどして,これらを起居の場所とし,日常生活を営んでいる者らに対して前記公園の公園管理者がした都市公園法27条1項に基づく前記テント等の除却命令の取消訴訟を本案とする当該除却命令の執行停止の申立てにつき,前記テント等を設置することについて,公園管理者から黙示の許可を受けているということはできず,前記テント等の設置による公園の占有は同法6条1項に違反すること,前記テント等が住居としての機能を果たしているとしても,同法27条1項は,除却命令の対象となる工作物等の種類,機能等を限定しておらず,かつ,前記除却命令及びこれに基づく代執行手続は,その対象物である前記テント等の除却のみを目的とするものであってその設置場所に係る占有を解くこと自体を目的とするものではなく,これに伴う占有の喪失は事実上生じる結果にすぎないことから,前記テント等の除却は行政代執行法2条所定の「他人が代わってなすことのできる行為」に該当すること,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和54年条約第6号)11条1項は個人に対して具体的な権利を付与すべきことを定めたものではなく,前記除却命令が同項によって保障された権利を侵害するとはいえないこと,前記除却命令に基づく行政代執行が行われることにより前記相手方らが被る不利益の内容,性質及び程度に加えて仮設一時待避所及び自立支援センターについてのプライバシーの保護,入所期限等の問題などをしんしゃくしても,前記除却命令が,憲法13条及び25条の趣旨に照らして裁量権の範囲を超え,又はその濫用があったとして違法とすることはできないことなどから,「本案について理由がないとみえるとき」に当たるとして却下した事例
裁判日:西暦2006-01-25
情報公開日2017-10-19 19:52:41
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主文1
本件申立てを却下する。

2
申立費用は申立人らの負担とする。

第1


申立ての趣旨

大阪市長が都市公園法27条1項に基づき申立人らに対して平成18年1月13日付けで下記①ないし④のテント,木製工作物等(以下本件各物件という。)についてした各除却命令を停止せよ。



申立人Aにつき,大阪市α-×-×所在のβ公園内の本決定添付別紙図面で
示す範囲内に設置された別紙写真(写)1のブルーシート製テント及び同申立人が所有,占有又は管理するその他の物件並びに同公園内の同図面で示す範囲内に設置された別紙写真(写)2の木製工作物及び同申立人が所有,占有又は管理するその他の物件


申立人Bにつき,β公園内の別紙図面で示す範囲内に設置された別紙写真
(写)3の木製工作物及び同申立人が所有,占有又は管理するその他の物件③

申立人Cにつき,β公園内の別紙図面で示す範囲内に設置された別紙写真
(写)4の木製工作物及び同申立人が所有,占有又は管理するその他の物件④

申立人Dにつき,β公園内の別紙図面で示す範囲内に設置された別紙写真
(写)5の木製工作物及び同申立人が所有,占有又は管理するその他の物件第2
1
事案の概要
本案事件は,大阪市長が,β公園内にブルーシート製テント又は木製工作物
を設置等して,これらを起居の場所とし,日常生活を営んでいる申立人らに対し,都市公園法27条1項に基づく監督処分として,平成18年1月13日付けで,本件各物件を同月17日午後1時までに除却するよう命令した(以下本件各除却命令という。)ところ,申立人らが,本件各除却命令はいずれも違法であるなどと主張して,その各取消しを求めた取消訴訟である。なお,申立人らは,本件各除却命令の差止めを求めて本案事件を提起したが,その係属中に本件各除却命令がされたことから,上記取消訴訟に訴えを変更したものである。
本件は,申立人らが,行政事件訴訟法25条2項に基づき,本件各除却命令により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるなどとして,本件各除却命令についての執行停止を求めた事案であり,申立ての趣旨からして,本件申立ては,手続の続行の停止を求める趣旨のものと解される。
2
都市公園法の定め

都市公園法2条の2は,都市公園は,同法2条の3の規定によりその管理をすることとなる者が,当該都市公園の供用を開始するに当たり都市公園の区域その他政令で定める事項を公告することにより設置されるものとする旨規定し,同法2条の3は,都市公園の管理は,地方公共団体の設置に係る都市公園にあっては当該地方公共団体が行う旨規定する。
同法6条1項は,都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは,公園管理者の許可を受けなければならない旨規定し,同条2項は,同条1項の許可を受けようとする者は,占用の目的,占用の期間,占用の場所,工作物その他の物件又は施設の構造その他条例で定める事項を記載した申請書を公園管理者に提出しなければならない旨規定している。そして,同法7条は,公園管理者は,同法6条1項の許可の申請に係る工作物その他の物件又は施設が同法7条各号に掲げるものに該当し,都市公園の占用が公衆のその利用に著しい支障を及ぼさず,かつ,必要やむを得ないと認められるものであって,政令で定める技術的基準に適合する場合に限り,同法6条1項の許可を与えることができる旨規定している。
同法27条1項1号は,公園管理者は,同法(同法26条を除く。この段落において,以下同じ。)若しくは同法に基づく政令の規定又は同法の規定に基づく処分に違反している者に対して,同法の規定によってした許可を取り消し,その効力を停止し,若しくはその条件を変更し,又は行為若しくは工事の中止,都市公園に存する工作物その他の物件若しくは施設(工作物等)の改築,移転若しくは除却,当該工作物等により生ずべき損害を予防するため必要な施設をすること,若しくは都市公園を原状に回復することを命ずることができる旨規定し,同条3項は,同条1項の規定により必要な措置を命じようとする場合において,過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないときは,公園管理者は,その措置を自ら行い,又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができ,この場合においては,相当の期限を定めて,その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは,公園管理者又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない旨規定している。3
当事者の主張

本件申立ての理由は,別紙執行停止申立書(写)に記載のとおりであり,これに対する相手方の意見は,別紙意見書(写)に記載のとおりである。第3
1
(1)

当裁判所の判断
記録によれば,以下の各事実が一応認められる。
大阪市は,都市公園法2条の2及び同法2条の3に基づき,β公園を都市
公園として設置し,これを管理している。
(2)

申立人Aは,約8年前から,β公園内で起居するようになり,都市公園法
6条に基づく明示の占用の許可を受けないで,β公園内の別紙図面で示す範囲内に別紙写真(写)1のブルーシート製テントを設置等し,また,同図面で示す範囲内に別紙写真(写)2の木製工作物を設置等して,これらを起居の場所とし,日常生活を営んでいる。
申立人Bは,都市公園法6条に基づく明示の占用の許可を受けないで,同図面で示す範囲内に別紙写真(写)3の木製工作物を設置等して,これを起居の場所とし,日常生活を営んでいる。
申立人Cは,同図面で示す範囲内に別紙写真(写)4の木製工作物を設置等して,これを起居の場所とし,日常生活を営んでいる。
申立人Dは,都市公園法6条に基づく明示の占用の許可を受けないで,同図面で示す範囲内に別紙写真(写)5の木製工作物を設置等して,これを起居の場所とし,日常生活を営んでいる。
平成17年10月31日の時点で,β公園内には,申立人らの所有又は管理に係る本件各物件を含め,都市公園法6条に基づく明示の占用の許可を受けないで,ブルーシート製テント,木製工作物等が設置された場所が34か所あった。(3)

別紙図面で示す範囲が含まれるβ公園のγにはバラ園が設置されていると
ころ,大阪市は,同市において平成18年5月11日から同月17日の予定で開催される世界バラ会議大阪大会に向けて,β公園の主としてγについて,平成15年度から平成17年度にかけての3か年計画で,バラ園の全面改修,γ全体の再整備等を内容とするβ公園再整備工事を施工してきた。
(4)

平成17年10月4日,大阪市西部方面公園事務所は,申立人らに対し,
工事のお知らせと題する書面を配布した。同書面には,工事名称をβ公園整備工事,工事期間を平成17年12月上旬から平成18年2月末までの予定,工事内容を自然観察園路整備,景石据付,植栽,剪定・剪除,工事区域を別紙図面で示す範囲として,

近くβ公園において工事を施工いたします。つきましては,この物件は工事の支障となりますので,来る11月30日(水)までに撤去していただきますようお願いいたします。

旨記載されていた。(5)

平成17年10月11日,申立人らを含むβ公園内で生活する者らによっ
て構成されたE自治会は,大阪市西部方面公園事務所にF所長宛ての要求書を提出した。同要求書には,全体工事によらず部分工事を行い,公園居住者の生活への影響を最小限にとどめること,強制排除を行わないこと,事態の解決のため同自治会と話し合うことなどが要求事項として記載された上,これに対する明確かつ真摯な回答のない限り,公園からの立退き及び同自治会を通さない戸別訪問を拒否するなどと記載されていた。
(6)

平成17年11月8日,大阪市西部方面公園事務所は,申立人らに対し,
告と題する書面を配布した。同書面には,公園内にテント・小屋掛け等を設置することは,公園を利用される皆様の支障となるばかりでなく,関係法令により禁止されていますので,所有者は,11月30日までに撤去してください。なお,期日までに撤去しない場合は,本市において処分しますので,念のために申し添えます。また,自立に向けた生活相談や自立支援センター入所,福祉措置の支援を希望される方は,ご連絡ください。と記載されていた。(7)

大阪市長は,平成18年1月5日,申立人らに対し,予定される不利益処
分を都市公園法27条1項に基づく本件各物件の除却命令とし,弁明書の提出期限を同月11日までと定めて,行政手続法13条1項に基づく弁明の機会を付与する旨の通知をした。
(8)

申立人らは,平成18年1月11日,当裁判所に対し,相手方(大阪市)
を被告として,大阪市長は申立人らに対し都市公園法27条1項に基づく本件各除却命令をしてはならない旨求める差止めの訴え(当裁判所平成18年(行ウ)第4号除却命令差止請求事件)を提起するとともに,仮の差止め(当裁判所平成18年(行ク)第4号仮の差止め申立て事件)の申立てを行ったが,当裁判所は,同月13日,同申立てを却下する旨の決定をした。
(9)

大阪市長は,同日付けで本件各除却命令をしたが,申立人らは,本件各除
却命令において定められた期限である同月17日午後1時までに,本件各物件を除却せず,それ以降も除却していない。
(10)

申立人らは,同月17日,本案事件について,前記第2の1に記載のとお
り,訴えの変更をするとともに,本件執行停止の申立てを行った。(11)

大阪市長は,同月18日,申立人らに対し,行政代執行法3条1項に基づ
き,同月23日までに本件各物件が除却されないときは同法2条に基づき代執行を行う旨を文書で戒告した。
2
本案について理由がないとみえるときに当たるか否かについて
(1)

申立人らは,β公園の区域内にテント又は木製工作物(以下テント等
という。)を設置等してこれを占用することについて少なくとも公園管理者である相手方の黙示の許可を受けているというべきであるから,申立人らによるβ公園の占用は都市公園法6条1項に違反する不法占用には当たらない旨主張する。しかしながら,前記のとおり,都市公園法6条1項は,都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは,公園管理者の許可を受けなければならない旨規定し,同条2項は,同条1項の許可を受けようとする者は,占用の目的,占用の期間,占用の場所,工作物その他の物件又は施設の構造その他条例で定める事項を記載した申請書を公園管理者に提出しなければならない旨規定している。そして,同法7条は,公園管理者は,同法6条1項の許可の申請に係る工作物その他の物件又は施設が同法7条各号に掲げるものに該当し,都市公園の占用が公衆のその利用に著しい支障を及ぼさず,かつ,必要やむを得ないと認められるものであって,政令で定める技術的基準に適合する場合に限り,同法6条1項の許可を与えることができる旨規定するとともに,同法6条1項の許可を与えることができる工作物その他の物件又は施設として,電柱,電線,変圧塔その他これらに類するもの(同法7条1号),水道管,下水道管,ガス管その他これらに類するもの(同2号),通路,鉄道,軌道,公共駐車場その他これらに類する施設で地下に設けられるもの(同3号),郵便差出箱,信書便差出箱又は公衆電話所(同4号),非常災害に際し災害にかかった者を収容するため設けられる仮設工作物(同5号),競技会,集会,展示会,博覧会その他これらに類する催しのため設けられる仮設工作物(同6号)及びこれらのもののほか、政令で定める工作物その他の物件又は施設(同7号)を規定しており,都市公園法施行令12条は,法7条7号の政令で定める工作物その他の物件又は施設として,標識(都市公園法施行令12条1号),防火用貯水槽で地下に設けられるもの(同2号),国土交通省令で定める水道施設,下水道施設,河川管理施設及び変電所で地下に設けられるもの(同2号の2),橋並びに道路,鉄道及び軌道で高架のもの(同3号),索道及び鋼索鉄道(同4号),警察署の派出所及びこれに附属する物件(同5号),天体,気象又は土地観測施設(同6号),工事用板囲い,足場,詰所その他の工事用施設(同7号),土石,竹木,瓦その他の工事用材料の置場(同8号),都市再開発法(昭和44年法律第38号)による市街地再開発事業に関する都市計画において定められた施行区域内の建築物に居住する者で同法2条6号に規定する施設建築物に入居することとなるものを一時収容するため必要な施設(国土交通省令で定めるものを除く。)又は密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成9年法律第49号)による防災街区整備事業に関する都市計画において定められた施行区域内の建築物(当該防災街区整備事業の施行に伴い移転し,又は除却するものに限る。)に居住する者で当該防災街区整備事業の施行後に当該施行区域内に居住することとなるものを一時収容するため必要な施設(国土交通省令で定めるものを除く。)(同9号)及びこれらのもののほか,都市公園ごとに,地方公共団体の設置に係る都市公園にあっては当該地方公共団体が条例で定める仮設の物件又は施設,国の設置に係る都市公園にあっては国土交通大臣が定める仮設の物件又は施設(同10号)を掲げている。さらに,大阪市公園条例(昭和52年大阪市条例第29号)8条の2は,都市公園法施行令12条10号の条例で定める仮設の物件又は施設は,市長が定める都市公園に設けられる仮設の施設で,都市公園を故なく起居の場所とし日常生活を営んでいる者に起居の場所として一時的に利用させるためのものとする旨規定している。しかるところ,前記認定のとおり,本件各物件は,申立人らが同所において起居し日常生活を営むための用に供する目的で設置されたブルーシート製テント等であって,都市公園法7条各号,同法施行令12条各号及び上記大阪市公園条例に掲げる工作物その他の物件又は施設のいずれにも該当しないことが明らかであり,都市公園にこれを設置することが法令上認められないものである。このことに加えて,前記認定のとおり,申立人らは,都市公園であるβ公園の区域内に法令上その設置が認められていないテント等を設置等し,これを起居の場所として日常生活を営むことによりその敷地を占用しているのであって,その態様等からして,公衆の利用に著しい支障を及ぼしているものということができるから,本件各除却命令がされるまでの間に西部方面公園事務所職員らとの間で申立人らが執行停止申立書において主張するような経過があったとしても,申立人らがβ公園内にテント等を設置等してこれを占用することについて公園管理者である相手方の黙示の許可を受けているということも,相手方の許可を受けているのと同視することができるということもできないものというべきであり,相手方は,都市公園法27条1項1号に基づき,申立人らに対し,当該テント等(本件各物件)の除却を命ずることができるものというべきである。
以上のとおりであるから,申立人らによるβ公園の占用は都市公園法6条1項に違反する不法占用には当たらない旨の申立人らの上記主張は,採用することができない。
(2)

申立人らは,都市公園法27条1項所定の工作物等に対する除却命令は,
占有を解くことなくして工作物等を除却することができる場合,すなわち,代替的作為義務を命ずる場合に限定されているのであり,このことは,同条3項がいわゆる簡易代執行を規定しているところからも明らかであるところ,申立人らが起居の場所として日常生活を営んでいるテント等は申立人らの住居(家屋)であり,申立人らは当該テント等を家屋として占有使用しているのであるから,当該テント等を同条1項所定の除却命令の対象とすることは許されず,本件各除却命令は同項に違反し違法であるなどと主張する。
しかしながら,公園管理者が同法27条1項に基づき同項1号に該当する者に対して命ずる措置(監督処分)のうち都市公園に存する工作物その他の物件若しくは施設(工作物等)の除却を命ずる除却命令は,その性質上,当該命令を受ける者に対して当該工作物等を除却すべき行政上の義務を賦課することを法的効果とする処分にすぎず,それを超えてその者に対して当該工作物等の設置場所に係る占有を解くこと自体をも命ずる趣旨を含むものではないと解されるのであり,本件各除却命令に係る除却命令書の記載からも本件各除却命令が申立人らに対して本件各物件の除却に加えて申立人らがテント等の設置場所に係る占有を解くこと自体を命ずる趣旨をも含むものとは読み取れない。しかるところ,工作物等を除却すべき行政上の義務が行政代執行法2条にいう他人が代わってなすことのできる行為に該当することは明らかである。もっとも,前記認定事実によれば,申立人らは,本件各除却命令の対象とされたテント等を起居の場所として日常生活を営んでいるものであるが,都市公園法27条1項は,同項に基づく除却命令の対象となる工作物等の種類,機能等を何ら限定してはいないから,申立人らの主張するように本件各物件が申立人らにとって住居としての機能を果たしているものであるとしても,本件各物件の除却は他人が代わってなすことのできる行為に該当するものというべきであり,同法3項の規定からそのような物件に対する除却命令が許されないと解することもできない。そして,本件各除却命令の執行によって申立人らが当該テント等及びその敷地の占有を失う結果になるとしても,除却命令及びこれに基づく行政代執行手続は,上記のとおり,当該除却命令の対象とされた工作物等の除却のみを目的とし,当該工作物の設置場所に係る占有を解くこと自体を目的とするものではないから,これに伴う占有の喪失は,当該工作物等が除却されることに伴って事実上生じる結果にすぎないというべきであり,このことをもって,当該テント等を含む本件各物件が都市公園法27条1項に基づく除却命令の対象にならないと解することはできないというべきである。なお,仮に本件各除却命令が申立人らに対して本件各物件の除却に加えて申立人らがテント等の設置場所に係る占有を解くこと自体を命ずる趣旨をも含むものと解する余地があるとしても,本件各除却命令に基づいて行政代執行法による代執行を行うことができるのは,本件各除却命令のうち本件各物件の除却を命ずる部分に限られるのであって,本件各除却命令のうちの申立人らがテント等の設置場所に係る占有を解くことを命ずる部分そのものが執行されるものではないから,そのことのゆえに本件各除却命令が都市公園法27条1項に違反するということもできないというべきである。
以上のとおりであるから,申立人らの上記主張を採用することはできない。(3)

申立人らは,申立人らが他に場所がなくテント等に居住している状態は,
裁判規範性を有する経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和54年条約第6号。以下社会権規約という。)11条により保護されなければならないのであり,同条に関するいわゆる社会権規約委員会の一般的意見によれば,強制立退きが認められるためには,高度の正当化事由,真正な協議の機会等の適正手続,適切な代替住居の提供等が必要とされるところ,本件各除却命令の目的は不要不急の工事であって高度の正当化事由は存在せず,相手方は平成17年12月1日以降申立人らE自治会との協議を拒否しており,相手方の提供するシェルターや自立支援センター等は,プライバシーの保護等に欠けるのみならず,平穏性,尊厳性の要件に欠けるものであるから,本件各除却命令は,強制立退きのために必要とされる上記の要件を満たさず,同条によって保障された申立人らの居住権を侵害するもので違法であり,また,都市公園法(6条,27条)及び行政代執行法は社会権規約に適合するように解釈しなければならず,本件各除却命令に基づく代執行は,そのように解釈された行政代執行法2条にいう他の手段によってその履行を確保することが困難であり,その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるの各要件を満たさないから,違法であるなどといった趣旨の主張をする。社会権規約11条1項は,この規約の締約国は,自己及びその家族のための相当な食糧,衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。締約国は,この権利の実現を確保するために適当な措置をとり,このためには,自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める。旨規定しているが,社会権規約は,2条1項においてこの規約の各締約国は,立法措置その他のすべての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため,自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより,個々に又は国際的な援助及び協力,特に,経済上及び技術上の援助及び協力を通じて,行動をとることを約束する。旨規定しているところからも明らかなとおり,締約国において,11条1項にいう自己及びその家族のための相当な食糧,衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についての権利が国の社会政策により保護されるに値するものであることを確認し,この権利の実現に向けて積極的に社会政策を推進すべき政治的責任を負うことを宣明したものであって,個人に対し即時に具体的権利を付与すべきことを定めたものではない。また,申立人らが援用するいわゆる社会権規約委員会の一般的意見(4及び7)並びに同委員会の最終見解及びこれに対する日本国政府の意見書は,いずれも,法的拘束力を有するものとは解されない。
したがって,社会権規約11条を根拠に本件各除却命令が申立人らの相当な生活水準についての権利ないし居住権を侵害する旨の申立人らの主張は,その前提を欠くものとして,採用することができない。また,都市公園法(6条,27条)及び行政代執行法は社会権規約に適合的に解釈されなければならず,本件各除却命令に基づく行政代執行は,そのように解釈された行政代執行の要件を満たさず,違法である旨の申立人らの主張も,同様に,その前提を欠くものといわなければならい。のみならず,前記第2の1のとおり,本件申立ては,本件各除却命令の取消訴訟を本案訴訟として手続の続行の停止を求める趣旨のものであるところ,公園管理者が都市公園法27条1項に基づき同項1号に該当する者に対して工作物等の除却を命ずる除却命令は,当該命令を受ける者に対して当該工作物等を除却すべき行政上の義務を賦課することを法的効果とする処分にすぎないから,申立人らは,本件申立てにおいて,当該処分とは別個独立の後続処分である代執行(戒告,代執行令書による通知)の要件の欠缺を主張することはできないものというべきである。仮にこの点を措くとしても,記録により認められる本件各除却命令に至る経過に照らすと,行政代執行法2条にいう他の手段によってその履行を確保することが困難でありの要件を具備するものと一応認められるところであり,また,前記認定事実及び記録に照らすと,申立人らは,都市公園であるβ公園の区域内に都市公園法6条に基づく占用許可を受けずに同法7条及び同法施行令12条によってその設置が認められていないテント等の工作物を設置等してその敷地を占有し,同所を起居の場所として日常生活を営むことにより,公衆の利用に著しい支障を及ぼし,公共用物としての都市公園の機能を著しく損なっているものというべきであるから,後記(4)において説示するところにかんがみても,行政代執行法2条にいうその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるの要件をも具備するものと一応認められるというべきである。
(4)

申立人らは,本件各除却命令は比例原則に違反し違法であると主張する。
前記のとおり,社会権規約11条が個人に対し自己及びその家族のための相当な住居等を内容とする相当な生活水準についての権利を即時に具体的権利として付与すべきことを定めたものではないと解されるとしても,憲法は,13条において,

すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

旨規定し,また,25条1項において,

すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

旨規定し,さらに,同条2項において,

国は,すべての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

旨規定している。これらの規定の趣旨に照らすと,個人の尊厳を確保し,健康で文化的な最低限度の生活を営むための相当な住居についての権利も,憲法上尊重に値するものと解される。もっとも,憲法25条は,いわゆる福祉国家の理念に基づき,すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るよう国政を運営すべきこと(1項)並びに社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべきこと(2項)を国の責務として宣言したもであって,同条1項は,国が個々の国民に対して具体的・現実的に上記のような義務を有することを規定したものではなく,同条2項によって国の責務であるとされている社会的立法及び社会的施設の創造拡充により個々の国民の具体的・現実的な生活権が設定充実されていくものであると解される。また,同条の規定が,国権の作用に対し,一定の目的を設定しその実現のための積極的な発動を期待するという性質のものであり,しかも,同規定にいう健康で文化的な最低限度の生活なるものは,極めて抽象的・相対的な概念であって,その具体的内容は,その時々における文化の発達の程度,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに,同条の規定の趣旨を現実の立法として具体化するに当たっては,国の財政事情を無視することができず,また,多方面にわたる複雑多様な,しかも,高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである(最高裁昭和51年(行ツ)第30号同57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁,最高裁昭和60年(行ツ)第92号平成元年3月2日第一小法廷判決・裁判集民事156号271頁参照)。このような観点からすれば,個人の尊厳を確保し,健康で文化的な最低限度の生活を営むための相当な住居についての権利が憲法上尊重に値するものとして,国が当該権利の設定充実のための社会的立法及び社会施設等の創造拡充に努力すべき責務を負うものと解されるとしても,その趣旨を実現するために具体的にどのような立法措置等を講ずるかの選択決定は,それが個人の尊厳を損ない,又は25条1項において健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障した趣旨に反するなど,著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用とみざるを得ないような場合を除き,立法府等の広い裁量にゆだねられていると解すべきである。
前記認定事実によれば,申立人らは,都市公園の敷地に設置されたテント等を起居の場所として日常生活を営んでいる者であるところ,このような態様での都市公園の占用が法令上許されないことはもとより,公衆の利用に著しい支障を及ぼし,公共用物としての都市公園の機能を著しく損なうものであるとしても,本件各除却命令に基づく行政代執行が行われることにより,申立人らは,起居の場所を含めたいわゆる生活の拠点を失うこととなり,申立人らの年齢,申立人らの置かれている社会的,経済的環境に加えて代執行当時の気候等にもかんがみると,申立人らの被る不利益は決して小さくはないということができる。
もっとも,我が国においては,平成14年,ホームレスの自立の支援,ホームレスとなることを防止するための生活上の支援等に関し,国等の果たすべき責務を明らかにするとともに,ホームレスの人権に配慮し,かつ,地域社会の理解と協力を得つつ,必要な施策を講ずることにより,ホームレスに関する問題の解決に資することを目的として,ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成14年法律第105号)が制定され,同法により,都市公園,河川,道路,駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし,日常生活を営んでいる者をホームレスと定義した上,国は,自立の意思があるホームレスに対し,安定した雇用の場の確保,職業能力の開発等による就業の機会の確保,住宅への入居の支援等による安定した居住の場所の確保並びに健康診断,医療の提供等による保健及び医療の確保に関する施策並びに生活に関する相談及び指導を実施することにより,これらの者を自立させること,宿泊場所の一時的な提供,日常生活の需要を満たすために必要な物品の支給その他の緊急に行うべき援助,生活保護法による保護の実施,国民への啓発活動等によるホームレスの人権の擁護,地域における生活環境の改善及び安全の確保等により,ホームレスに関する問題の解決を図ること,等の事項につき,総合的な施策を策定し,及びこれを実施するものとされ(同法3条,5条),また,地方公共団体は,これらの事項につき,当該地方公共団体におけるホームレスに関する問題の実情に応じた施策を策定し,及びこれを実施するものとされ(同法3条,6条),さらに,都市公園その他の公共の用に供する施設を管理する者は,当該施設をホームレスが起居の場所とすることによりその適正な利用が妨げられているときは,ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ,法令の規定に基づき,当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとるものとされている(同法11条)。そして,同法8条の規定を受けて策定されたホームレスの自立の支援等に関する基本方針(平成15年厚生労働省国土交通省告示第1号)においては,各課題に対する取組方針として,ホームレスの就業の機会の確保,安定した居住の場所の確保,保健及び医療の確保,生活に関する相談及び指導に関する事項,ホームレス自立支援事業及びホームレスの個々の事情に対応した自立を総合的に支援する事業,ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域を中心として行われるこれらの者に対する生活上の支援,ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項及び生活保護法による保護の実施に関する事項,ホームレスの人権の擁護に関する事項並びに地域における生活環境の改善に関する事項が挙げられている。このうち,安定した居住の場所の確保については,ホームレス対策は,ホームレスが自らの意思で自立して生活できるように支援することが基本であり,ホームレス自立支援事業等を通じて就労の機会が確保される等により,地域社会の中で自立した日常生活を営むことが可能となったホームレスに対して,住居への入居の支援等により,安定した居住の場所を確保することが必要であり,このためには,国,地方公共団体等が連携した上で,地域の実情を踏まえつつ,公営住宅及び民間賃貸住宅を通じた施策の展開を図ることが重要であるとされている。また,ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項については,病気等により窮迫した状態にある者及び要保護者が医療機関に緊急搬送された場合については,医療機関等との連絡体制を整えるなど連携を図ることにより,早急に実態を把握した上で,生活保護による適切な保護に努め,福祉事務所は,治療後,再び野宿生活に戻ることのないよう,関係機関と連携して,自立を総合的に支援するものとされ,居所が緊急に必要なホームレスに対しては,シェルターの整備を行うとともに,適切な処遇を確保することに留意しつつ無料低額宿泊事業を行う施設を活用し,これらの施設への入居を図ることとされ,生活保護法による保護の実施に関する事項については,ホームレスに対する生活保護の適用については,一般の者と同様であり,単にホームレスであることをもって当然に保護の対象となるものではなく,また,居住の場所がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるということはない点を踏まえ,資産,稼働能力や他の諸施策等あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が維持できない者について,最低限度の生活を保障するとともに,自立に向けて必要な保護を実施するものとされている。さらに,地域における生活環境の改善に関する事項については,都市公園その他の公共の用に供する施設を管理する者は,当該施設をホームレスが起居の場所とすることによりその適正な利用が妨げられているときは,当該施設の適正な利用を確保するために,福祉部局等と連絡調整し,ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ,施設内の巡視,物件の撤去指導等を適宜行うほか,必要と認める場合には,法令の規定に基づき,監督処分等の措置をとることにより,地域における生活環境の改善を図ることが重要であるとされている。そして,市町村は,この基本方針や都道府県の策定した実施計画に即して,必要に応じてホームレス対策に関する実施計画を策定し,それに基づき,地域の実情に応じて計画的に施策を実施するものとされている。なお,前記ホームレスの自立の支援等に関する基本方針を受けて定められたホームレスに対する生活保護の適用について(平成15年7月31日社援保発第0731001号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)において,ホームレスに対する生活保護の適用に関する具体的な取扱いについて,直ちに居宅保護を送ることが困難な者については,保護施設や無料低額宿泊所等において保護を行い,ホームレスの状況によっては養護老人ホームや各種障害者福祉施設等への入所を検討すること,保護開始時において居宅生活が可能と認められた者並びに居宅生活を送ることが可能であるとして保護施設等を退所した者及び必要な治療を終え医療機関から退院した者については,公営住宅等を活用することにより居宅において保護を行うこと,保護開始時において居宅生活が可能と認められた者であって,公営住宅への入居ができず,住宅を確保するため敷金等を必要とする場合は,生活保護法による保護の実施要領について(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知)第6の4の(1)のキにより取り扱うこと(敷金等を支給することができる),などとされている(疎乙22)。
記録によれば,大阪市においては,ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が制定される前の平成11年7月から市長を本部長とする推進本部を設置して野宿生活者の自立支援に向けた取組みを行ってきたが,同法及び前記ホームレスの自立の支援等に関する基本方針を受けて,平成15年3月,大阪市野宿生活者(ホームレス)の自立の支援等に関する実施計画を策定し,同実施計画に基づき野宿生活者の自立の支援に向けた各種施策,具体的には,野宿生活者巡回相談事業,自立支援センターの設置,運営,仮設一時避難所の設置,運営,日雇労働者等技能講習会及び保健医療対策等を行っていること,このうち,自立支援センターの設置,運営については,失業等により住居を失い,大阪市内の公園,路上等で起居している者のうち就労意欲のある者,稼働能力のある者に対し,宿所及び食事を提供するとともに,生活相談,健康診断,職業相談を行うことによりこれらの者の就労による自立と社会復帰を支援することを目的として,大阪市内に自立支援センター5施設が設置,運営されており(うち2施設は平成18年1月開所),これらの施設において,宿所,入浴,シャワー及び食事の提供,日用品の支給,生活,心身の健康等の相談指導,公共職業安定所との連携の下で就労に必要な職業相談,職業紹介,医師及び看護師等による健康診断や必要な医療の提供,面接のための被服の貸与,必要な交通費の貸与,自立阻害要因の除去のための法律相談等の支援が行われていること,これらの施設の入所期限は,就労による自立と社会復帰を支援することを目的とするものであることにかんがみ,原則として3か月,最大6か月とされているが,現実には状況に応じて6か月を超えて入所を認める弾力的な運用が行われており(平成17年12月末現在の退所者総数のうち約29.7パーセントが入所期間6か月を超えている。),また,居室は複数人の共用とされていること,仮設一時避難所の設置,運営については,現在,δ公園内に都市公園法7条7号,同法施行令12条10号に基づく仮設の物件又は施設として,前記大阪市公園条例8条の2に基づき,δ仮設一時避難所が設置,運営されていること,同避難所は,当初はδ公園内の野宿生活者を支援するための施設として設置されたが,平成16年2月からは緊急対応を要する場合に限りδ公園以外の公園において起居する野宿生活者をも一部対象とし,平成17年12月ころ,その規模を縮小し,その開設期限を延長した上,β公園内の野宿生活者も受け入れる運用を行っていること,同避難所においては,門限や起床,就寝等の日課の定めはなく,犬舎や空き缶,銅線の加工に必要な作業場所が確保されているほか,入浴,シャワー設備が備えられ,1日1食夕飯用として米飯とふりかけ等が提供され,年1度健康診断が行われ,また,看護師による医療相談,弁護士による法律相談を受けることができるものとされ,公共職業安定所との連携による職業相談,職業紹介が行われ,また,所内作業として,清掃作業,巡回警備,アルミ缶買収作業の希望者へのあっせんが行われていること,平成17年12月31日当時,上記5か所の自立支援センターの入所可能者数は合計295人,δ仮設一時避難所の入所可能者数は140人となっていること,同日現在の自立支援センター(3施設)における退所者総数2817人のうち1219人(約43.3パーセント)が就労し,246人が生活保護を受けていること,同日現在のδ仮設一時避難所における退所者総数256人のうち自立支援センター入所が4人,就労が56人(約21.9パーセント),入院が70人,施設入所が32人,居宅確保が35人(約13.7パーセント)となっていること,自立支援センターにおいては,同センターを就労退所した者に対し,退所後約1年間,現在の生活状況の確認,生活や職場に関する相談,助言,指導,職場定着指導,やむを得ず失業した者に対する就職相談等が行われていること,就労退所者の就労継続率は約77.2パーセントとなっていること,以上の事実が一応認められる(疎乙14,15,16,20)。以上認定説示したところによれば,我が国においては,都市公園,河川,道路,駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし,日常生活を営んでいるいわゆるホームレスについて,宿泊場所の一時的な提供,日常生活の需要を満たすために必要な物品の支給その他の緊急に行うべき援助,生活保護法による保護の実施,自立の意思があるホームレスに対する安定した雇用の場の確保,住宅への入居の支援等による安定した居住の場所の確保等のホームレスの自立の支援及びホームレスに関する問題の解決のための法制度が整備され,大阪市においては,ホームレスの自立の支援等に関する施策の一環として,自立支援センター及び仮設一時避難所が設置,運営され,ホームレスの就労及び居住の場所の確保等について一定の成果を上げているものと一応認められるのであり,上記認定事実等からは,申立人らについても,本件各除却命令当時において,これらの自立支援センターや仮設一時避難所に入所することにより,大阪市の提供するホームレスの自立等に関する施策に基づく前記のような措置を受けることが可能であったと一応認められるところである。そうであるとすれば,本件各除却命令に基づく行政代執行が行われることにより申立人らが被る不利益の内容,性質,程度に加えて,仮設一時避難所及び自立支援センターについて申立人らが指摘するようなプライバシーの保護,入所期限等の問題等をしんしゃくしてもなお,本件各除却命令が,前記のような憲法13条,25条の趣旨に照らして,相手方の裁量権の範囲を超え,又はその濫用があったものとして違法であるということはできないというべきであり,また,ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法11条に違反するということもできない。以上のとおりであるから,本件各除却命令が比例原則に違反し違法である旨の申立人らの前記主張は,採用することができない。(5)以上によれば,本件各除却命令が違法であるとは認め難いから,本件申立てについては,行政事件訴訟法25条4項にいう「本案について理由がないとみえるときに当たるものというべきである。3
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,本件執行停止申立
ては理由がないから,これを却下すべきである。
よって,主文のとおり決定する。

平成18年1月25日
大阪地方裁判所第2民事部

裁判長裁判官

西川知一郎
裁判官

田中
裁判官

森田健治亮
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