判例検索β > 昭和30年(う)第2291号
軽犯罪法違反被告事件
事件番号昭和30(う)2291
事件名軽犯罪法違反被告事件
裁判年月日昭和31年3月1日
法廷名東京高等裁判所
結果破棄自判
判例集等巻・号・頁第9巻1号121頁
判示事項軽犯罪法第一条第一五号の官名詐称罪が成立する事例
裁判要旨警察官でないのに警察官だというように申し向けるのは、それが一時の座興程度のものでなく、相手方が知らないのに乗じてなされたものと認められる以上、飲食代金を支払わなかつたり、相手方に迷惑をかけた事実がないとしても、道義的非難に値しないものとはいえず、違法性のないものとすることもできず、軽犯罪法第一条第一五号の官名詐称の罪の成立を妨げない。
裁判日:西暦1956-03-01
情報公開日2017-10-13 01:57:48
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主 文
原判決を破棄する
被告人Aを判示各犯罪事実につき、それぞれ科料九百円に、 被告人Bを判示各犯罪事実につき、それぞれ科料六百円に処する。 右科料を完納することができないときは金三百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。
訴訟費用中原審弁護人池田門太に支給した分は被告人Aの負担とし、その余の分は、被告人Bの負担とする。
理 由
坂本弁護人の論旨第一点及び被告人Bの論旨第一点について。
原判決挙示の証拠を綜合すると、被告人Bが、
(イ) 昭和三十年二月下旬頃松戸市a丁目b番地喫茶店C事C方で同人に対し警視庁でいれずみしているお巡りさんは自分だけだと申し向け、
(ロ) 同年四月一日頃の午後十一時頃松戸市a丁目c番地飲食店DことD方で同人に対し俺は今警視庁捜査課の刑事部長をしていると申し向け、 (ハ) 同日午後十一時三十分頃同市消防署附近路上に於て旅館業EことEに対し、俺は警察の者だと申し向け、
たとの原判示第二の各事実を認定することかできる。
記録をみると、被告人が松戸市d出身で松戸市内には知人も相当数あると考えられるが、前記C、D及びEが被告人を知り、その警察官でない事を前から判つていたとは認められない。被告人がいれずみをしていなくてもいれずみをしているかのように言うこともあり得るし、被告人がC、D、E方で前に酒を飲んだ事かあつたにしても、C等に判示のとおり申し向けた事実がないとは断じ難いところで、却つて原判決引用の証拠により、被告人が、自己の経歴、地位、身分を詳しく知られていないのに乗じて警察官なるが如く申し官名を詐称したもので、単なる座興程度のものといえないこと明らかである。又被告人が同伴のAのことを警察官だとしたのを相手方か被告人自身の事と誤つたものとは認められない。
<要旨>而して被告人が警察官でないのに警察官のように申し向け、それが一時の座興程度のものでなく、相手方が知らないのに乗じて為されたものと認められる以上、飲食代金を支払わなかつたり、相手方に迷惑をかけた事実がないとしても、道義的非難に価しないものとはいえず、被告人の所為が違法性のないものとすることはできない。
それ故原判決には所論の如き誤はなく、論旨は理由がない。
(その他の判決理由は省略する。)
(裁判長判事 近藤隆蔵 判事 山岸薫一 判事 鈴木重光)

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