判例検索β > 昭和62年(ツ)第10号
建物明渡請求上告事件
事件番号昭和62(ツ)10
事件名建物明渡請求上告事件
裁判年月日昭和63年2月10日
法廷名東京高等裁判所
結果棄却
判例集等巻・号・頁第41巻1号1頁
判示事項建物の賃借人が破産したことを理由とする解約申入と借家法一条の二の適用の有無(消極)
裁判要旨建物の貸借人が破産したことを理由として賃貸借契約の解約を申し入れる場合には、借家法一条の二の適用はない。
裁判日:西暦1988-02-10
情報公開日2017-10-18 03:07:35
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主 文
本件上告を棄却する
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
一 上告代理人吉田元の上告理由第一点及び第二点について
<要旨>借家法の適用のある賃貸借契約の賃借人が破産宣告を受けた場合において、賃貸人が民法六二一条に基づき解約申入をする場合には、借家法一条ノ二は適用されないと解するのが相当である(最高裁判所昭和四五年(オ)第二一〇号・同四五年五月一九日判決、裁判集(民事)九九号一六一頁参照)。所論引用の判例は、借地法の適用のある土地の賃貸借契約に関するものであるところ、建物賃貸借と土地賃貸借との間には、通常、賃借人の投下資本の額及び賃借権の財産的価値の点で相当程度の差があり、かつ、賃貸借の存続期間及び賃借権の譲渡可能性に関する法律上の規制にも顕著な相違があるのであるから、右判例は、事案を異にし、本件に適切でないというべきである。そして、以上の理は、賃貸借の期間の定めがある場合とない場合とで異るものではなく、期間の定めがない建物賃貸借についても、賃借人が破産宣告を受けたときは、民法六二一条により、借家法一条ノ二の適用が排除されると解するのが相当である。以上と同趣旨の法律の解釈に基づき、原審の確定した事実関係について民法六二一条を適用し、解約申入の効果が生じたとした原審の判断には、所論法令の解釈適用の誤り及び判断遺脱の違法はなく、判例違背もない。論旨は、いずれも採用することができない。 二 同第三点について
本件の解約申入の効果が生ずるためには、上告人が破産の宣告を受け、解約申入後原判決説示の期間が経過すれば足りるのであるから、破産制度の運用の実情あるいは上告人及び被上告人の双方に関する所論の事情等について審理しなかつたとしても、原判決に審理不尽の違法があるということはできない。論旨は、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官 横山長 裁判官 加藤英継 裁判官 笹村將文)
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