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不作為違法確認等請求事件
事件番号昭和47(行ウ)50
事件名不作為違法確認等請求事件
裁判年月日昭和48年3月1日
法廷名大阪地方裁判所
判示事項1 公立高等学校長のする教育課程の編成が,抗告訴訟の対象となるとされた事例 2 公立高等学校長のする教育課程編成に対する教育委員会の承認が,抗告訴訟の対象とならないとされた事例 3 親権者は,その子女の通学している公立高等学校における教育課程の編成の取消しを求めるにつき,原告適格があるとした事例 4 公立高等学校の生徒に対し,校長の編成した教育課程の類型以外の教科,科目の選択が容認されていないとしても,高等学校指導要領,大阪府立高等学校教育課程基準その他教育関係法令に違反するものではないとした事例
裁判日:西暦1973-03-01
情報公開日2017-10-20 00:59:04
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○ 主文
一 原告の被告大阪府教育委員会に対する訴を却下する。
二 原告の被告大阪府立E高等学校校長に対する請求を棄却する。三 訴訟費用は原告の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求める裁判
(原告)
一 被告大阪府教育委員会が昭和四七年五月三〇日付をもつてなした大阪府立E高等学校全日制課程普通科教育課程の追認処分のうち、第三学年理科系女子生徒に対する教育課程に関する処分は無効であることを確認する。
二 被告大阪府E高等学校校長がなした別紙(二)の昭和四七年度大阪府立E高等学校全日制課程普通科教育課程編成処分のうち、第三学年理科系女子生徒に対する部分を取消す。
三 訴訟費用は被告らの負担とする。
旨の判決
(被告)
一 原告の請求はいずれもこれを棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
旨の判決
第二 当事者の主張
(請求原因)
一 原告の長女Aは昭和四五年四月大阪府立E高等学校全日制課程普通科(以下、E高校と略称する。)に入学し、
現在同高第三学年生徒として在学し、理科系教育課程を選択するものである。原告は、右Aの親権者である。
二 被告大阪府立E高等学校校長(以下、被告校長と略称する。)は、昭和四七年度E高校教育課程を別紙(一)のとおり編成し、被告大阪府教育委員会(以下、被告府教委と略称する。に対して昭和四七年二月二八日付で承認の申請をなしたところ、被告府教委は同年三月三一日付で右教育課程を承認した。そして被告校長はこれとは別に別紙(二)のとおりの教育課程(以下、本件課程という。)を編成して同年四月八日E高校生徒に告知し、同年四月一〇日以降本件課程が実施されていたが、被口校長は、同年五月二六日付で被告府教委に対して、昭和四七年度教育課程を本件課程に変更する旨承認申請をなし被告府教委は同月三〇日右課程の承認(以下、本件承認という。)をなした。
三 以下の事由により本件課程は違法であるから、被告校長のその編成は取消を、被告府教委のその承認は無効をそれぞれ免れないものである。
1 生徒は、個性や能力に応じた教育を受ける権利を有し、教育課程は右のような生徒の教育を受ける権利に直接かかわるものであるから、憲法二六条一項、教育基本法前文、三条一項に則り、教育課程は生徒にその能力に応じて教育を受ける機会を与えるように配慮して定められなければならず、殊に高等学校においては

個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な技能に習熟させること

(学校教育法四二条二号)を達成しうるよう考慮して編成されなければならない。そして大阪府立高等学校の教育課程は、大阪府立高等学校教育課程基準(以下、府基準と略称する。)に基いて編成されなければならないところ(府基準第2、1(1)、同基準によれば教育課程編成上、高等学校学習指導要領(昭和三五年一〇月一五日文部省告示第九四号、以下、指導要領と略称する。)総則葛二節第五款ならびに第六款に示された事項に留意しなければならない旨定められ(府基準第2、4)、右指導要領は生徒の能力、適性、進路等に応じてそれぞれ適切な教育をほどこすために(中略)原則として教育課程の類型を設け、そのいずれかの類型を選択して履修させるようにすること。この際、その類型において履修させることになつている教科・科目以外の教科・科目を履修させたり、生徒が自由にに選択履修することのできる教科・科目を設けるように配慮すること。(第五款2(2))と定めているところ、本件課程は類型の設定が適切でなく、教科・科目の設定に右配慮を欠き、生徒の能力、適性、進路を無視した画一的かつ強制的なものであるから、憲法、および前記各法律に悖るものである。
2 指導要領は

学校において標準単位数をこえて単位数を配当する場合には、第二章に示した事項に習熱させることをたてまえとする。

(第六款1(2))旨規定しているが、本件課程は、原告の子女を含む第三学年理科系女子生徒についてみ
れば、第一、第二学年において既修の単位数を差引いた結果、指導要領の標準単位数に比し、物理B一単位、数学III二単位が多いのにかかわらず、右指導要領の趣旨が何ら考慮されていない瑕疵がある。
3 教科・科目の履修学年については、指導要領にその内容が履修する学年を前提として示されているものについては、原則としてその学年において履修させるものとする(府基準第2、4(2))べきであり、指導要領上化学Bは第二学年および第三学年において履修させることになつているから、既に第一、第二学年において化学Bは五単位履修済みであるけれども、本件課程が第三学年において右科日を課程に組まないのは右法理に悖るものである。
4 全日制課程の普通科において芸術に関しては四単位以上(二科目以上)必修とする(府基準第2、2(2))べきであるのに、本件課程は芸術を二単位しか設けていないのは明らかに違法である。
原告の子女Aは、その入学試験科目に物理B、数学IIIがなく、化学Bを含む大学へ進学する予定のものであるから、違法な本件課程の実施により、自己の適性、能力、進路に応じた学問を習熟することができず、却つて徒らに頭脳、体力の消耗を来し、そのため前記のような教育を受ける権利が侵害され、よつて原告において右権利を保障する親権を侵害されるものである。
(被告の本案前の主張)
一 本件課程の編成は事実行為に属し、行政訴訟の対象とはならない。すなわち、高等学校の教育課程は、高校教育の目的(学校教育法四一条)、その目標(同法四二条)を達成するため、法令(同法四三条、同法施行規則五七条、五七条の二)および指導要領に従い、地域または学校の実態を考慮して学校の各課程並びに各学科の特色を活かした教育を配慮し、生徒の能力、適性、進路等に応じて適切な教育を行い得るように学校において編成実施するものであるから、その編成は権利義務に直接影響を与える法律行為または処分ではなく、教育を行うための準備という事実行為である。
二 本件課程の編成および本件承認の相手方は原告の長女Aであり、また本件のよろな任意入学の高等学校においては、在学する子女の保護者には営造物利用権もないから、原告には訴訟適格がないといわなければならない。
(請求原因に対する認否)
一 請求原因一の事実は認める。
二 同二の事実のうち、被告校長の本件課程の告知の点を除き、その余の事実を認める。
三 同三の事実のうち、指導要領に原告主張のような記載があること、原告の子女を含むE高校第三学年の生徒に対して、第一、第二学年において既に化学B五単位の課程が施されていることは認める。
E高校においては、高等学校三か年を通じて詣導要領および府基準所定の授業科目を実施しており、学校の事惰に応じて学年別に多少の科目の変動または前後組替えがあるにすぎないから、本件課程に何ら瑕疵はない。化学Bの科目については、指導要領は化学Bの標準単位数を四単位として第三学年に配分せられることを一応の原則としているものの、各学校の事情等によつてこれを第一、、第二学年に配分する実例も従来多数存在するのみならず、E高校第三学年生徒に対しては、前記のとおり既に第一、、第二学年において合計単位の授業が施され、現在未習の物理Bおよび生物等の授業を施し、別に化学Bの補習授業を実施して、指導要領所定以上の学習内容および時間数をもつて必要な配慮のもとに効果的指導を企図実行されているものであるから、本件課程には何ら違法性社存在しないといわなければならない。
四 同四の事実のうち原告の長女Aが化学Bを入学試験科目とする大学へ進学する予定であることは認める。
第三 証拠(省略)
○ 理由
一、原告の長女Aが、昭和四五年四月E高校に入学して現在同校第三学年生徒であり、理科系教育課程を選択し、将来科学Bを市入学試験科目とする大学へ進学する予定であり、原告が同女の親権者あること、被告校長が、昭和四七年度E高校教育課程を別紙(一)のとおり編成し、昭和四七年三月三一日付で被告府の承認を受けたが、さらに本件課程(別紙(二))を編成し、同年五月二六日付で被告府教委に対して昭和四七年度教育課程を本件課程に変更する旨承認申請をなし、同月三〇日府教委の承認をえたこと、以上の事実は当事者間に争いがない。

二 まず本件課程の編成および本件承認が抗告訴訟の対象となる行政処分に当るか否かについて判断する。。
教育委員会は教育課程に関する事務を管理執行する権限を有するものである(地方教育行政の組織及び運営に関する法律((以下、教育行政法と略称する。))二三条五号)が、被告府教委は、同法三三条一項に基づき、大阪府立高等学校等の管理運営に関する規則(昭和三二年一〇月五日大阪府教委規則第四号((以下、学校管理規則と略称する)))、同施行細則(昭和三二年一〇月五日大阪府教委訓指第一三五号)(以上、いずれも成立に争いのない乙第四号証)を制定し、同学校管理規則五条一項において、校長は、毎年、別に定める大阪府立高等学校教育課程基準に基き、翌学年の教育課程を編成し、学年末までに教育委員会の承認を受けなければならないと規定している。そして学校管理規則三四条によると、校長は学則を定め、教育委員会の承認を受けなければならないとされているところ、成立に争いのない甲第一三号証の一、二、証人Cの証言、被告校長Dの尋問の結果によれば、被告校長が右規則に従つて定めたE高校の学則八条二項には、生徒は所定の教育課程を履習しなければならない旨規定されていること、被告校長は毎年学年はじめにその年度の教育課程を記載した表をE高校の構内に掲示してこれを生徒に知らせており、本件課程についてもその掲示がなされたことが認められる。
以上の事実に徴すると、本件課程は教育内容を授業時数との関連において組織したE高校の教育の計画であり、被告校長の本件課程の編成は、被告校長が定めたE高校の学則の規定と相い俟つて、同校生徒が昭和四七年度において授業として提供を受け、履修すべき教科・科目、特別教育活動およびその単位(時数)を一方的に確定し、生徒に対しその履修を義務づけるものということができる。そして高等学校の教育課程の編成については、後に記すところにより明かなように、高等学校の教育を一定の水準に維持し、学校が生徒に対して提供する教育内容を適切ならしめるため、これに必要な基準が、法令に基いて定められているのであるから、その編成行為は司法審査の対象となりえないものではない。したがつて公立学校の校長である被告校長の本件課程の編成は、行政庁の処分ということを妨げず、それによつて利益を侵害された者は抗告訴訟を提起しうるものと解するを相当とする。しかし被告府教委の本件承認は、教育委員会と校長という行政庁の間の内部的な行為であつて、直接国民の権利義務を形成し或いはその範囲を確定するものでもないから、抗告訴訟の対象とはならない。したがつて被告府教委に対する本件訴えは不適法である。
三 次に原告適格について検討する。
親権を行う者はその子女の監護および教育をする権利を有し義務を負う(民法八二〇条)。
右にいう親権者の子に対する監護教育権は、子女の身体の保全育成と精神の発達向上をはかる権利であり、これが第三者によつて違法に妨害されたときは、親権者において、その排除を請求することができるし、行政庁の処分によつて侵害されるときは、親権者において、その取消を訴求することができる。そして親権者は子女を自らの手で教育し、或いは就学させて学校で教育を受けさせるが、その学校においてほどこされる教育が法令に違反し子女の精神の発達向上を妨げるものであれば、親権者の右権利は侵害されることになる。したがつて親権者はその子女が学校においてほどこされる教科・科目の授業およびそのもとになる教育課程の編成について法律上の利害関係を有するものというべきであり、原告の長女を含む生徒が受ける授業の計画として編成された本件課程の第三学年理科系女子課程の内容が、生徒に適切な教育をほどこすことを目的として制定された教育関係決令の規定に違反していると原告は主張するのであるから、原告には右課程の編成を求める適格があるといわなければならない。
四 本案について判断する。
高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、高等普通教育および専門教育を施すことを目的とし(学校教育法四一条)、その教育課程は、教育基本法、学校教育法に則つて作成されるべきものであるが、学校教育法四三条、同法施行規則五七条の二によれば、文部大臣の定める指導要領の基準によるべきことが規定せられ、右規定をうけて、被告府教委が教育行政法三三条一項に基き定めた府基準(成立に争いのない乙第五号証)は、大阪府立高等学校の教育課程は府基準に基いて編成され、同基準に示されていない事項については指導要領に示すところによらなければならない(府基準第2、1(1)(2))、そして教育課程の編成に当つては、指導要領総則第二節第五款ならびに第六款に示された事項に留
意しなければならない旨規定する(府基準第2、4)。
1 指導要領(成立に争いのない乙第七号証の一、二)は、普通科の教育課程を編成するにあたつては、生徒の能力、適性、進路等に応じてそれぞれ適切な教育をほどこすため、第一学年の後においては、原則として、教育課程の類型を設け、そのいずれかの類型を選択して履修させるようにすること、この際、その類型において履修させることになつている教科・科目以外の教科・科目を履修させたり、生徒が自由に選択履修することのできる教科・科目をも設けるように配慮することを規定し(指導要領総則第二節第五款2)、また府基準は、教科・科目およびその単位数の設定に際しては、標準単位数の趣旨にもとづき生徒の実態に応じて適切な指導をなしうるよう配慮することを規定する(府基準第2、2(1))。ところで、成立に争いのない甲第二号証、乙第二、第三号証の各一、二、証人B、同Cの各証言、被告校長Dの尋問の結果によれば、E高校においては、昭和四五年度入学の生徒につき、第二学年において数学II、物理A、Bの履修に差を設けてA、B二コースを配分する教育課程の類型を編成し、各人の能力、適性、進路に応じてそれぞれのコースの選択を生徒に委ねたのであり、第三学年においては、生徒をおおよそ女子大学、女子短期大学進学希望者で入学試験に数学を必要としないか必要度の小さい女子生徒(文I)、文科系大学、学部に進学予定の男女生徒(文II)、理科系大学へ進学予定の男女生徒(理科系)、に区分し、国語・古典乙II、社会・日本史、数学・数学III、理科・生物、外国語・英語Bの各教科・科目の履修単位数を右区分すなわち生徒それぞれの進路、適性等に応じて配分し、その類型を各自の選択に委ねることとして、本件課程が編成されたものであることが認められる。かように本件課程は生徒各人の進路、適性等に応じた類型を設けているのである。なるほど、類型以外の教科・科目の選択、あるいは自由選択の教科・科目を容認していないが、各個人の能力、適性、進路を重視し、これに適応した教育課程を定めることには学校教育の性質上、自ずから限界があるのであり、前掲各証拠によると、右教科・科目の選択制度については、希望する生徒の数も少なく、学校の設備、教職員の陣容等からしても、これを設けないことはやむをえないものと認められ、右事実をもつては未だ前記指導要領、府基準に悖るものということはできず、憲法その他原告の挙示するものということもできない。
2 指導要領は学校教育法施行規則別表第三に掲げる各教科・科目の単位数の標準を、例えば数学・数学III五単位、理科・物理A三単位、物理B五単位、化学B四単位、芸術のうち音楽、美術、工芸、書道の各Iについて二単位、各IIについて四単位と定め(指導要領第一章総則第一節第二款)、普通科生徒に対しては、原則として右のうち理科・物理A三単位または物理B五単位、化学A三単位または化学B四単位以上を履修させるものとし、芸術については音楽I、美術I、工芸Iおよび書道Iのうちいずれか一科目につき二単位以上を履飯させる(このほか一科目以上を履修させることが望ましい)としている(同第二即第一款1)。また府基準では芸術に関しては、全日制の課程の普通科においては、四単位以上(二科目以上)必修とするものとされている(府基準第2、4(3))。
また指導要領は、学校において標準単位数をこえて単位数を配当する場合には第二章に示した事項に習熟させることをたてまえとすること、そして第二章において、教科・科目によつては特定の学年において履修させることを前提として内容を示したものがあるが、学校において、学科の必要などの事情により、示された学年以外の学年において指導する場合には、生徒の発達段階および経験に即応して必要な配慮を行なうようにすることを規定し(指導要領第一章総則第二節第六款1(2)、(4))府基準も、教科・科目の履習厚年については、原則として指導要領に示されたものによること(府基準第2、2(3))、全日制の課程の普通科における教科・科目のうち、指導要領にその内容が履修する学年を前提としてなされているものについては、原則として、その学年において履修させるものとする(同4(2))と規定している。そして指導要領によれば、全日制の課程について、数学IIIは五単位を標準とし、第三学年において、理科・物理Bは五単位を標準とし、第二学年および第三学年において、化学Bは四単位を標準とし、第二学年および第三学年において、それぞれ履修させることを前提として各内容が定められている(指導要領第二章各教科・科目第三節第二款第四、同第四節第二款第二、第四、第五)。なお芸術については履修学年の限定は付されていない。
ところで、前掲各証拠によれば、昭和四五年度入学の生徒が第一、第二学年において履修した教育課程および第三学年仁おいて履修すべき本件課程は、数学IIIについてみれば、第三学年において文I類型の者に三単位、文II類型の者に五単
位、理科類型の者に七単位とし、教科理科のうち物理については第二学年で物理A・B三単位(大学入学試験に数学IIIを必要とする者とそうでない者とに応じ、進度を異にする)の授業をほどこし、第三学年においては理科類型の者にのみ物理B三単位を履修させることとし、化学Bは第一学年で二単位、第二学年で三単位履修させ、第三学年においてはほどこさないこととし、芸術については第一学年において二単位としたことが認められる。したがつて、本件課程は、理科系女子生徒につき、第一、第二学年において履修した科目をも通算すると、指導要領の掲げる標準単位数に比し、数学IIIが二単位、物理Bが物理Aの単位を加算すれば一単位それぞれ多く、府基準に比し、芸術が二単位少ないことになる。しかし前掲各証拠によると、右の標準単位数より多い授業時数は指導要領に示された教科内容に習熟させるのに充てることをたてまえとしており(なお指導要領自体前記のとおり標準単位数をこえて単位数を配当することを予定している)、また芸術については、生徒の希望、他の教科・科目の配当との関係或いは学校の設備等の制約から、指導要領の示す最低単位数にとどめたものであることが認められ、右単位の多少は未だ本件課程を違法ならしめるものではない。
また化学Bは、昭和四五年入学の生徒については、本件課程(第三学年)において履修させることになつていないことは前記のとおりである。しかし先に述べたとおり、化学Bは指導要領とその履修年度が異るが、第一学年および第二学年においてすでに標準単位数以上の授業を実施したのであり、前掲各証拠によれば、かようにその単位を第一、第二学年に配当したのは、第二、第三学年に配当するよりも、他の教科・科目との関係において指導上より効果があるとのE高校の校長、教諭の経験等に基く判断によるものであることが認められ、この判断が誤りであるとも思われない。しかも被告校長Dの尋問の結果によると、E高校では昭和四七年五月一日から、生徒の希望をいれて週一時間の化学Bの補習授業が営まれていることが認められる。したがつて本件課程の第三学年に化学Bの単位を配当していない点なんら違法ではない。
五 よつて原告の被告府教委に対する訴を却下し、被告校長に対する請求を却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 石川 恭 飯原一乗 門口正人)
<略>

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