判例検索β > 昭和43年(行ウ)第234号
不作為の違法確認等請求事件
事件番号昭和43(行ウ)234
事件名不作為の違法確認等請求事件
裁判年月日昭和48年9月10日
法廷名東京地方裁判所
判示事項1 都市公園法5条2項ないし同法6条1項に基づく許可なしに公園地内に存在している工作物に対して公園管理者が同法11条1項1号に基づいてする除却命令は,右工作物の所有者から同法5条2項に基づく許可申請中にされたとしても特段の事情がない限り,原則として違法となることはないとされた事例 2 不作為の違法確認の訴えの要件としての「法令に基づく申請」の意義 3 行政代執行法3条2項にいう通知は,取消訴訟の対象となる行政処分か
裁判要旨2 不作為の違法確認の訴えの要件としての「法令に基づく申請」とは,所定の方式に従わない点で不適式な申請であっても,法令によって認められた申請権の行使に当たると解することができる場合をいうものと解する。 3 行政代執行法3条2項にいう通知は,抗告訴訟の対象となる行政処分である。
裁判日:西暦1973-09-10
情報公開日2017-10-20 00:56:25
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○ 主文
一 原告が東京都知事に対し昭和三二年一二月二〇日付でした別紙目録(一)記載の土地に関する都市公園法五条二項にもとづく許可申請および被告に対し昭和四〇年一〇月二〇日付でした右と同趣旨の許可申請につき、被告が何らの処分をしないことは違法であることを確認する。
二 被告が原告に対し昭和四三年一一月一二日付でした解体材等の搬出の催告および換価処分実施の通知の取消しを求める訴えはこれを却下する。
三 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の、その余を被告の負担とする。○ 事実
第一 申立て
一 原告
(一) 原告が東京都知事に対し昭和三二年一二月二〇日付、昭和三七年六月二五日付および昭和三八年七月にした別紙目録(一)記載の土地に関する都市公園法五条二項にもとづく許可申請ならびに被告に対し昭和四〇年一〇月二〇日付でした右と同趣旨の許可申請につき、被告が何らの処分をしないことは違法であることを確認する。
(二) 被告が原告に対し昭和四二年九月一四日付でした別紙目録(二)記載の物件に関する除去命令はこれを取り消す。
(三) 被告が原告に対し昭和四三年九月一八日付でした別紙目録(二)記載の物件の除却に関する代執行命令はこれを取り消す。
(四) 被告が原告に対し昭和四三年一一月一二日付でした解体材等の搬出の催告および換価処分実施の通知処分はこれを取り消す。
(五) 訴訟費用は被告の負担とする。
二 被告
(一) 原告の請求を棄却する。
(二) 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 主張
一 原告の請求原因
(一) 原告は、別紙目録(二)記載の物件(以下、本件建物等という。)を所有し、同目録(一)記載の土地(以下、本件土地という。)を占有していたものである。
(二) 本件土地を含む清水谷公園は、もと東京都知事がこれを管理していたが、昭和四〇年四月一日以降は被告がこれを管理するに至つた。
(三) (1)原告は、東京都知事に対し昭和三二年一二月二〇日付、昭和三七年六月二五日付および昭和三八年七月にそれぞれ本件土地につき都市公園法五条二項にもとづく許可申請をし、さらに、被告に対し昭和四〇年一〇月二〇日付で右と同趣旨の許可申請をした(以下、本件各許可申請という。)。
(2) しかるに、東京都知事および被告は、本件各許可申請に対し現在に至るまで何らの応答をしない。
(四) 被告は、昭和四二年九月一四日付をもつて原告に対し、本件建物等の除却を命ずる処分をした(以下、本件除却命令という。)。
原告は昭和四二年一一月一三日本件除却命令につき異議申立をしたが、被告は昭和四三年一月一六付でこれを棄却し、さらに、原告は同年二月一六日審査請求をしたが、建設大臣は同年九月一七日付でこれを棄却する旨の裁決をした。(五) ついで、被告は、昭和四三年二月一四日原告に対し、本件建物等の除却に関する代執行を戒告し、同年九月一九日には同月一八日付の代執行令書を原告に送達して代執行命令を発し(以下、本件代執行命令という。)、同月二四日代執行に着手し、別紙目録(二)の一記載の建物(以下、本件建物という。)を解体した。(六) さらに、被告は、同年一一月一日付で原告に対し、本件建物の解体材および別紙目録(二)の二記載の物件の搬出の催告ならびにその不履行の場合の換価処分の実施を通知した(以下、本件催告・換価実施通知という。)。(七) 本件各許可申請に対する被告の不作為は違法であり、本件除却命令、本件代執行命令および本件催告・換価実施通知はいずれも違法である。(八) よつて、右不作為の違法確認を求めるとともに、右各処分の取消しを求める。
二 請求原因に対する被告の答弁および主張
(一) 請求原因(一)および(二)の各事実は認める。同(三)の(1)の事実
は否認する。同(四)ないし(六)の各事実は認める。
同(七)の主張は争う。
(二) 本件建物等の除却に関する代執行の終了について
被告の代執行責任者であるAおよびBが昭和四三年九月二四日本件土地に臨み代執行に着手しようとしたところ、原告は本件建物等の除却を承諾するが、建物を神奈川県相模原に移築するから取りこわしによる除却ではなく、解体してもらいたい。また、庭石、灯ろう、樹木等は、除却による損傷を避けるため、建物の解体後解体材と一緒に原告自身で神奈川県相模原に搬出するから搬出するまでの間暫時被告において保管してもらいたい。旨を申し出た。被告は、原告の申出を受けて、建物の解体終了後解体材等を原告が搬出するまでの間暫らく保管するとしても、本件建物等の除却に関する代執行の目的は達成されるものと判断し、原告の右申出を承諾した。
かくして、被告は、同日本件建物の解体作業に着手し、建物を復元できるよう注意を払つて作業を進め、同月二七日解体作業を完了した。そして、解体材、庭石、灯ろう、樹木等は損傷を避けるため現場において(しかも、庭石、灯ろう、樹木等は現状のまま)保管することとし、それぞれ保管目録を作成して、被告の保管に移した。してみれば、原、被告の前記協議にもとづき右のとおり被告の保管に移した段階において、本件建物等の除却に関する代執行は終了したというべきである。(三) 本件除却命令の適法性について
本件建物はもと訴外Cの所有であり、同人は公園管理者の許可を受けて昭和二〇年の終戦当時まで本件建物を貸席として利用していたが、終戦後は貸席の経営は行なわず、もつぱら本件建物を住居の用に供してきた。
ところで、昭和三一年一〇月一五日都市公園法が施行され、公園内に存置しうるものは同法二条二項の公園施設または同法七条の占用物件のみとなつた。本件建物は、もつぱら住居の用にのみ供されていて、右公園施設または占用物件のいずれにも該当しないのであるが、同法施行前の昭和三一年三月二九日に与えられた使用許可の期限である昭和三二年三月三一日までは同法附則六項により従来と同様の条件で同法六条一項の許可を受けたものとみなされた。そこで、Cは同日までは本件建物を公園内に存置できたが、同年四月一日以降は同法一〇条一項により本件建物を撤去し、公園を原状に復すべく義務づけられていたのである。
このような本件建物につき、被告は、都市公園法一一条一項一号にもとづきその現所有者である原告に対し、本件除却命令をしたのであつて、それは適法である。(四) 本件代執行命令の適法性について
(1) 公園の持つ効用としては、まず第一に休息、観賞、散歩、遊戯、運動等主として屋外のリクリエーシヨンの用に供することがあげられ、第二に空地を確保することにより防火、避難等災害の防止に資することがあげられる。(2) 都市公園法施行令一条は一特別区の区域内の都市公園の住民一人あたりの敷地面積の標準を六平方メートル以上と規定しているが、千代田区における昭和四三年の住民一人あたりの敷地面積は区立公園のみでは〇・六二平方メートルにすぎず、これに都立公園たる外濠公園と日比谷公園をあわせても一人あたり二・七平方メートルを確保できるにすぎない。
(3) 本件建物は、清水谷公園の一角にあり、原告が本件除却命令を履行しないため、その周囲が整備されず、右(1)に述べた公園の持つ効用がすべて著しく阻害されている。また、公園の一部を未整備のまま放置しておくことは防犯上も好ましくなく、さらに、清水谷公園は、災害対策基本法にもとづき昭和三八年に東京都千代田区地域防災計画による千代田区全域の災害発生時における死体収容場所として指定されているので、一日も早く公園の整備を完了する必要がある。(4) 都市公園は、公園管理者である地方公共団体に無償で貸し付けられているが、都市公園法附則六項に規定する工作物等の敷地であるものについては有償となつている。清水谷公園も原告の占有している場所につき被告は国に使用料を納入しているが、昭和四〇年度は原告の占有していた三〇六・二三坪(一、〇一二・三三平方メートル)に対する使用料として年額一四一、七二九円を納入し、昭和四一年度から原告の占有面積が一四一・二五坪(四六六・九四平方メートル)に減つたので、これに対する使用料として年額六五、四二八円を納入し、その後の使用料の増額にともない昭和四三年度は年額九九、〇二六円、昭和四四年度は年額一一七、六四〇円をそれぞれ納入した。
(5) 右(3)、(4)に述べたような事情にあつたため、代執行により本件建物を除却する必要があつたのである。なお、千代田区議会においては、昭和四二年
三月一三日以来再三にわたり本件建物の撤去に関する強い要望がなされ、昭和四三年度の補正予算案においては清水谷公園改修工事費として二六〇万円が計上されたのである。
(6) 被告は原告に対し昭和四二年三月九日付および同年六月一日付をもつて本件建物を撤去するよう通告したが、原告はこれに応じなかつた。
したがつて、代執行による以外には本件建物の除却を実現することは困難であつた。
(7) 以上のとおりであるから、本件代執行命令は適法である。(五) 本件催告・換価実施通知の趣旨について
本件催告・換価実施通知の趣旨は、原告に対し本件建物の解体材等を搬出するよう催告するとともに、原告が右解体材等を引き取らない場合には、民法四九七条の規定にもとづき裁判所の許可をえてこれらを競売に付し、その売得金を供託する旨を通知したものである。
三 被告の主張に対する原告の答弁および反論
(一) 被告の主張(二)は争う。もつとも、原告が被告主張の日にその主張の者らに本件建物等の除却を承諾するが、取りこわしによる除却ではなく、解体してもらいたい旨申し出たことおよび被告が昭和四三年九月二四日本件建物の解体作業に着手し、同月二七日右作業を完了したことは認める。右申出は、原告が被告の代執行責任に対し本件建物等の除却に関する代執行の不法を訴えその中止を求めたが聞き入れられないので、中止させるための方便としてこれをしたものである。また、原告は、本件各許可申請に対し被告の許可が与えられた後は本件土地に本件建物の一部を保存しようと考えていたものである。ところで、被告は、本件建物を解体し、その解体材を本件土地の一角に集積したままで、その後の代執行手続を中止したものであり、本件除却命令にかかる対象物件が本件土地より除却されないまま存置されているのであつて、代執行は終了していない。したがつて、本件除却命令および本件代執行命令の取消しを求める訴えの利益は現在も存在しているというべきである。
(二) 被告の主張(三)のうち、本件建物がもとCの所有であり、同人が公園管理者の許可を受けて本件建物を貸席として利用してきたことは認めるが、その余は争う。
Cの先々代Dは、明治二四年二月二三日付で東京府知事より本件土地の使用許可を受け、以来昭和三二年三月三一日まで右許可は東京市長あるいは東京都知事により順次更新されてきたのである。
ところで、原告は昭和三一年ごろCから本件土地の使用権および本件建物等を代金一、〇〇〇万円で買い受けた。しかるに、その後Cが本件建物等を訴外Eに対しても売り渡してしまつたため、原告とCおよびEとの間に紛争が生ずるに至つた。そこで、原告は、本件建物の所有権を主張し、昭和三四年にはCを被告とし、さらに、昭和三六年にはEを被告として本件建物の所有権移転登記手続の抹消登記手続等を求める訴えを東京地方裁判所に提起したところ(前者は同裁判所昭和三四年(ワ)第二七〇号、後者は同裁判所昭和三六年(ワ)第一、〇八三号)、右両事件はいずれも同裁判所の調停に付せられ(同裁判所昭和三九年(ノ)第一五七号、第一五八号、以下、本件調停という。)昭和四〇年七月二八日に本件建物等の所有権が原告にあることおよび原告が本件土地の使用権を有することを確認するとともに、原告がEに対し四〇〇万円を支払うことを骨子とする調停が成立した。原告とC、J間の右紛争に対しては、その当初より東京都建設局の係員が関与し、さらに、昭和四〇年四月一日以降被告が清水谷公園の管理者となつてからは千代田建設部の係員もともに関与し、本件建物の所有権者が確定した場合には、その所有権者に対し本件土地の使用を許可し、本件建物等を清水谷公園にふさわしい施設として利用管理させる旨の意向を再三再四原告にも伝達し、また、本件調停の期日には東京都および千代田区の係員が常時出頭して右の意向を調停委員会において述べ、ことに、昭和四〇年六月一四日の調停期日には東京都建設局公園緑地部管理課財産係長主事Fが出頭し、右の意向を記載したメモを調停委員会に提出していたものである。そして、Fの斡旋によつて本件調停が成立するに至り、これには千代田区の係員も立会つたのである。
ところで、原告は、前記のとおり、本件調停の成立前である昭和三二年一二月二〇日、昭和三七年六月二五日および昭和三八年七月に東京都知事に対し、右成立後である昭和四〇年一〇月二〇日には被告に対し、いずれも都市公園法五条二項にもとづく許可申請をしたのであるが、本件調停の成立に至る経緯に照らしても、被告は
右許可申請を許可すべき立場にあつたものである。
しかるに、被告は、右許可申請に対し何ら応答をしないまま本件除却命令を発したが、これは原告が都市公園法五条二項にもとづき正当に行なつた許可申請を事実において踏みにじるものにほかならず、同法上の正当な原告の権利を侵害するものであるから、違法である。
(三) 被告の主張(四)のうち、(4)は認めるが、その余は争う。本件代執行命令は、行政代執行法二条の要件を欠く違法なものである。すなわち、本件建物等の敷地である本件土地は清水谷公園発足の当初から一般公衆の利用する場所とは垣根で確然と区切られており、明治二四年以来公園管理者の使用許可を受けて本件土地上に本件建物等を適法に所有してきた経緯からすれば、いわゆる不法侵入者が公園敷地内に工作物を不法に設置した類のものとはまつたく性質を異にするのである。したがつて、本件建物等の存在が著しく公益に反するなどということはありえないのである。また、本件建物等を強引に取り除いたところで、その跡をいかに利用するかについて東京都や千代田区においていまだ事業計画が決定されていないのである。これを要するに、本件除却命令については行政代執行法二条にいうその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められる場合などという事情はまつたくなく、本件代執行命令は同条の要件を欠く違法なものである。(四) 本件催告・換価実施通知は、その前提となつている本件代執行命令が違法であることにより違法なものとなるのみならず、それ自体何らの法的根拠もなくその必要性もない違法なものである。
四 原告の反論に対する被告の再反論
原告の反論(二)のうち、Cの先々代Dが明治二四年二月二三日付で東京府知事より本件土地の使用許可を受け、以来昭和三二年三月三一日まで右許可が東京市長あるいは東京都知事により順次更新されてきたものであること、原告とCおよびEとの間に本件建物等の所有権をめぐつて紛争が生じたこと、原告がその主張のような訴えを東京地方裁判所へ提起し、その事件が調停に付せられ、昭和四〇年七月二八日に本件建物等の所有権が原告にあることを確認するとともに、原告がEに対し四〇〇万円を支払うことを骨子とする調停が成立したこと、調停期日に東京都や千代田区の係員が出頭し、昭和四〇年六月一四日の調停期日にはメモを調停委員会に提出したことは認めるが、原告が昭和三一年ごろCから本件土地の使用権および本件建物等を代金一、〇〇〇万円で買い受けたことならびにその後Cが本件建物等をEに対しても売り渡してしまつたことは不知、その余は争う。
千代田区の係員が調停期日に出頭したのは、被告が公園管理者として、清水谷公園内に存置せしめることができない本件建物等の所有権の帰属をめぐる紛争の解決を見守るとともに行政上の措置を決定するために必要があつたからであり、東京都の係員が出頭したのは、公園管理事務を被告に完全に引き継ぐまで協力する建前であつたからである。昭和四〇年六月一四日の調停期日に調停委員会に提出したメモには、(1)調停当事者(申立人と相手方)は公園地の現在の占有関係が都市公園法上違法であり、かつ、違法が七年余の長期にわたつていることに対してその責任を自覚し、速やかな解決をはかるための最大の努力をすること、(2)この違法関係を是正するため、まず、三棟の建物の所有権を調停当事者間において確定して争いをなくすこと、(3)原告とEとの間で意思決定をすることができる本件建物以外の二棟の建物等については、昭和四〇年七月一五日までにこれを完全に撤去し、その跡地を原状に回復し、千代田区係員立会のうえ被告に返地すること、(4)訴外株式会社京稲が使用中の本件建物については、できるだけ速やかに撤去を完了して被告に返地すること、(5)右撤去完了まで建物所有権承継者が東京都または被告から国に支払う地代相当額を損害金として東京都または千代田区に納付すること、(6)前記各条件が履行されたとき、建物所有権承継者から都市公園法にもとづく適法な公園施設設置申請があれば、被告はこれを受理し、設置の必要性の有無、施設内容、許可条件等を審査するが、審査にあたつて考慮すべき点は、施設は集会場施設とし、土地は一二〇坪以下、建物は木造延五〇坪以下とし、構造、設備、経営計画は被告の指示によるべきこと、ただし、以上の提示条件は施設設置の許可を約束するものではない旨が記載されているのであつて、原告主張のように、本件建物の所有権者に本件土地の使用を許可する旨の被告の意向を記載したものではないのである。
第三 立証(省略)
○ 理由
一 請求原因(一)、(二)、(四)ないし(六)の各事実は当事者間に争いがな
い。
二 原告が都市公園法五条二項にもとづく許可申請をしたかどうかについて考える。
成立に争いがない甲第二〇号証の一、二および同第二一号証、証人Gの証言および原告本人尋問の結果により成立が認められる甲第一九号証、証人Hの証言により成立が認められる甲第二二号証、証人Iの証言および原告本人尋問の結果により成立が認められる甲第二三号証に証人Gおよび同Iの各証言ならびに原告本人尋問の結果を総合すれば、原告は、昭和三二年一二月二〇日に千代田区役所土木課長に東京都知事あての公園使用願と題する書面を正副二通提出したが、その書面には左記清水谷公園地の一部は昭和三二年一二月三一日までCが御許可をえて使用中のものでありますが、昭和三三年一月一日より私に使用御許可頂きたくお願い申し上げます。(記)東京都千代田区紀尾井町三番地所在 東京都清水谷公園の一部 三〇六坪二合という趣旨のことが記載され図面も添付されていたこと、その後、原告は、昭和三七年六月二五日、東京都知事に対し上申書を提出したが、そこには(清水谷公園地の一部使用願の件)私は昭和三一年七月三日Cより清水谷公園内の土地三〇六坪余の使用権および同所の建物三棟の譲受を契約し、名義変更の準備を始めましたところ、この使用権は御庁においてすでにお取上げが内定し、譲渡人Cに対してはその旨通告ずみであることを拝聴し、驚愕致しました。その後、私側において御庁にお願いして期限後もとくに継続して使用を許可すべき旨のご内示を頂き感激致しました。しかるに、この継続許可のご方針を知つた売主C側はJ(名義上はその妻E)と共謀し、仮装売買によるこの使用権の横領を企図しましたため、その防衛に関連して御庁に対して意外のお手数ご迷惑をおかけ致しましたことを深くおわび申し上げます。爾来、私はあらゆる努力を傾けて権利の回復を図つて参りましたが、今回告訴事件のお取調べを契機として七年ぶりにCがC・J間の売買が仮装行為であつたことを確認し、和解を申し出でて参りましたので、さきにご報告申し上げましたごとく、すでにCと共謀した仮装譲受人J(形式上は同人の妻E)の『Cとの売買は仮装行為であつた』旨の東京地方裁判所昭和三二年(ワ)第九、〇四一号家屋明渡等請求事件における昭和三四年一一月二四日の証言もありますこととて事態の全貌を十分ご検討下され、昭和三二年一二月二〇日私より出願し処分ご保留中の公園使用願につき改めてご許可下さるよう折入つてお願い申し上げます。という趣旨のことが記載され、昭和三二年一二月二〇日提出の公園使用願と題する書面の写やC作成の原告に対し本件土地の使用許可をお願い申し上げる旨の副申書等が添付されていたこと、さらに、原告は、昭和三七年八月二四日、東京都知事に対し追加上申書を提出したが、そこには(清水谷公園地の一部使用願の件)本件に関し、さきに私より提出中の使用願につき、本年六月二五日付をもつて早期ご承認方の上申書を差し出しましたが、その関連事項を左に追加上申致します。一 使用地の用途について 私といたしましてはなるべく長期安定のものを希望いたしますが、御庁のご方針によつては集会所兼料理店(風俗営業にわたらぬもの)等の範囲に限定されましてもやむをえないと存じます。二 使用期間について 永代使用のご許可をお願い申し上げます。三 使用料について 無料を希望いたします。四 将来のご処置について 公園地から除却して縁故払下方についての特別のご詮議を希望いたします。五 以上四点についてお願い申し上げますのは、本件土地の特殊な沿革に立脚しての主張でございます。すなわち、別添昭和四年五月一五日提出東京市会(あるいは市参事会)議案の(参考)の部の記述によつてもご推測いただけると思いますが、本件土地の従前の使用者Cの先々代Dは明治一六年中本件土地付近一帯約八〇〇評(当時北白川宮家御邸内)を宮家から永代御下賜のお墨付をいただき、住居用地として使用中、大久保甲東遭難記念碑建設に際し、宮家のご意思を体して替地減坪のうえ現在の位置を無料使用することに変更したものでありまして、その後若干増減の経緯がありましたが、最近の使用関係に推移したものであります。したがつて、形式は借地のようなものでありながら、その実質は所有地と考えられるわけであります。六 なお、私がCから譲受けた後、使用関係につき陳情いたしました節、当時の御係から将来公園から除外して払下げるように取計う用意ある旨のご内示がありましたが、それらの点も何卒ご参考のうえご検討下さいますよう伏してお願い申し上げます。七 関係地域内に現存する住宅用建物につきましては、すでに御庁より撤去方のご指示がありましたので、私に使用ご承認頂きました場合には私の責任で撤去するようにいたしますが、御庁におかれても右ご指示の趣旨貫徹方につき引続きご援助下さいますようお願い申し上げます。という趣旨のことが記載されていたこと、さらに、原告は、昭和四〇年一〇月二〇日付の千代田区清水谷公園地内使用御願と題する被告あての書面を千代田区役所建設部管理課主事Bへ提出したが、そこには使用地 千代田区<以下略>清水谷公園地内 使用目的 公園便益施設等 面積 三〇六坪二合三勺 右は私が昭和三一年七月三日前使用者Cより左記建物ならびに土地使用権の譲渡契約をなし、譲受けたものです。ところが建物の所有権登記が完了していないその間私は都の公園課の諒解をえてから登記するようとのことで都の諒解をうる努力をしておりましたところ、たまたまJ氏の出現となり、同氏は公園法を熟知しているのでC、K氏らと相はかつて先に登記をなし以来今日まで裁判を行なつて参りました。その第一回東京簡易裁判所の調停に出た私どもに対しまして出席された東京都訟務部のお役人二名の方は調停委員に対して、最終建物の正当な取得者には都はその使用地の継続使用を承認する旨の証言をなさいました。その証言に意を強くして私は今日まで約九年間あらゆる努力と誠意をもつて今回の最終的な綜合調停にたどりつきました。よつて別紙証書相添えて公園地使用継続お願い申し上げます。という趣旨のことが記載されていたことが認められる。
成立に争いがない乙第三号証(ただし、別紙2の部分を除く。)によれば、東京都建設局長Lは昭和四四年三月一四日付で被告に対し、清水谷公園内不法占用物件代執行に伴う不作為の違法確認等の請求事件の資料照会について(回答)と題する書面を出しているが、その中で昭和三二年一二月二〇日および昭和三八年七月に原告から本件土地の使用申請はない旨記載していることが認められるが、これは前記各証拠に照らして信用できず、また、証人Hの証言中には、同人は昭和三五年から昭和三九年七月まで東京都建設局公園緑地部管理課の管理係長の地位にあつたが、同人の引継いだ書類中には原告の昭和三二年一二月二〇日付申請書はなかつたとの部分があるが、これをもつてしても前記認定を左右するに足りない(前記甲第二二号証に証人Hの証言を合わせ考えれば、右のとおり管理係長の地位にあつた同人は、昭和三九年六月ごろ、東京都建設局の首脳部が本件土地の使用をめぐつて会議をもつた際、その資料として清水谷公園係争事件の概要と題する文書を作成したが、そこにMの申請として(1)昭和三二年一二月 本土地を使用させられたい旨(2)昭和三七年八月(ア)永代使用を認められたい、(イ)使用料は無料とされたい、(ウ)縁故払下を希望する旨(3)昭和三八年七月(口頭)Mに使用許可を与えることを約束されたい旨等の申請がなされた旨記載されているとともに、参考として本案の許可は都市公園法上の公園施設の設置許可である、建築面積は六六・五坪、売店、軽飲食店は設けられない、地盤は国有であるから大蔵省の承認を必要とするといつたことが記載されていることが認められる。もつとも、この点につき、証人Hは、右資料においてMの申請という言葉を用いたのは国語力の不足のためであり、土地使用の希望とすべきであつたし、昭和三二年一二月の原告提出の文書は見ていない旨証言し、また、その方式および趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるので真正な公文書と推定すべき乙第一六、一七号証の各一、二によれば、昭和四六年七月二日付と同年一〇月一二日付の二度にわたり、東京都建設局公園緑地部長Nは被告の照会に対し清水谷公園係争事件の概要((甲第二二号証))においてMの申請とあるのは希望的意思表示にすぎないものを申請と表現したものである旨回答していることが認められる。しかしながら、東京都建設局の首脳部が本件土地の使用問題をめぐつて会議を開いた際配付された資料において、管理係長の地位にある職員が((それ相応の知的能力があると思われるのに))単なる希望と申請とを取り違え、しかも本案の許可は都市公園法上の公園施設の設置許可であるなどとわざわざ付記したということはいかにも不自然であり、また、昭和三二年一二月に原告から申請書が提出されたかどうかにつき十分に事実調査をしないままこれが提出されたものとして資料にのせることも通常考えられないところであるから、証人Hの前記証言部分および前記乙第一六、一七号証の各一、二中右証言部分と同旨の部分はたやすく信用できない。)。
次に、証人K、同Aおよび同Bの各証言中には、原告作成の昭和四〇年一〇月二〇日付千代田区清水谷公園地内使用御願と題する書面は被告に提出されていないとの部分があり、また、右各証言とこれにより成立が認められる乙第一、二号証の各一、二を合わせ考えれば、千代田区役所建設部管理課管理係には占用収受簿および公園使用願受付簿とそれぞれ題する帳簿が備えつけられており、被告に対し公園や道路の使用許可申請があればまず占用収受簿に受付日、収受番号、占用目的、占用箇所、占用者住所氏名等が記載され、そのうち公園に関するものを公園使用願受
付簿へ転記していること、しかるに、原告の昭和四〇年一〇月二〇日付書面については右両帳簿に記載がされていないことが認められる。しかしながら、右各証言によれば、右両帳簿はもともと公園や道路の短期間の占用許可申請の受付簿として作成されたものであることが認められ、原告の昭和四〇年一〇月二〇日付書面(それが都市公園法五条二項の申請といえるかどうかは後記のとおりである。)のようなものまで右両帳簿に記載されるものであるかどうかは疑問であるのみならず(この点に関し、当時千代田区役所建設部長をしていたKおよび同建設部管理課の職員であつたBは、都市公園法五条二項の申請がなされれば他に帳簿がなかつたのであるから、右両帳簿に記載されたであろうと証言し、当時同建設部管理課長をしていたAは、右のような申請があつたとすれば右両帳簿とは別の帳簿を作つてそれに記載することになつたであろうと証言している。)、乙第一号証の二と同第二号証の二を対比してみた場合、たとえば同第二号証の二(公園使用願受付簿)には昭和四〇年一〇月二二日の受付で常盤橋公園の使用許可申請(使用月日は一〇月二三日午後二時三〇分から四時三〇分まで、申請者は千代田区<以下略> 日本国連協会東京都本部O、目的は国連デー祝賀パレード(流れ解散)一、二〇〇名)が記載されているのに、同第一号証の二(占用収受簿)にはその記載がないなど右両帳簿の記載の正確性についても疑問があるといわざるをえない。したがつて、右両帳簿に原告の昭和四〇年一〇月二〇日付書面の記載がないからといつて、そのことは同書面が被告に提出されたとの前記認定の妨げとなるものではない。また、右各証言中原告の昭和四〇年一〇月二〇日付書面は被告に提出されていないとの部分は、本項の冒頭に掲げた各証拠に照らし、さらに、後記認定のとおり本件建造物の所有権等をめぐつて長年原告とCおよびEとの間に紛争が続いたが、結局昭和四〇年七月二八日東京地方裁判所において本件建物等が原告の所有に属することを認め、CやEらは本件土地の使用につきなんらの権利も主張しないこと、原告はEに四〇〇万円を支払うことを骨子とする調停が成立したものであり、右調停成立後に原告が被告に対し本件土地の使用許可申請に関する書面を提出することはきわめて自然の成行と思われることに照らし、たやすく信用できないものといわなければならない。他に前記認定を覆えすに足りる証拠はない。
そこで、前記認定の原告による各書面の提出が都市公園法五条二項にもとづく許可申請といえるかどうかについて検討する。
同条項は、公園管理者以外の者が公園施設を設け、または管理しようとするときは、条例で定める事項を記載した申請書を公園管理者に提出してその許可を受けなければならない旨規定している。そして、東京都立公園条例(昭和三一年条例第一〇七号)六条は、都市公園法五条二項の条例で定める許可申請書の記載事項は次のとおりとするとし、公園施設の設置の許可申請書の記載事項として、(1)申請者の住所、氏名および職業(法人にあつては、主たる事務所の所在地、名称、代表者の氏名および営業種目とする。以下同じ。)、(2)公園施設の種類および数量、(3)公園施設の設置目的、(4)公園施設の設置期間、(5)公園施設の設置場所、(6)公園施設の管理組織、(7)公園施設の管理規則および経理計画、(8)公園施設の構造および規模、(9)公園施設の設置工事の期間、(10)公園施設の設置工事費の調達計画、(11)その他知事が指示する事項をあげ、また、公園施設の管理の許可申請書の記載事項として(1)申請者の住所、氏名および職業、(2)公園施設の所在、種類および数量、(3)公園施設の管理目的、(4)公園施設の管理期間、(5)公園施設の管理組織、(6)公園施設の管理規則および経理計画、(7)その他知事が指示する事項をあげている。次に、東京都千代田区都市公園条例(昭和三四年条例第七号)八条は、都市公園法五条二項の条例で定める事項は、次の各号に掲げるものとするとし、公園施設を設けようとするときは、次に掲げる事項として、(イ)設置の目的、(ロ)設置の期間、(ハ)設置の場所、(ニ)公園施設の構造、(ホ)公園施設の管理の方法、(ヘ)工事実施の方法、(ト)工事の着手および完了の時期、(チ)都市公園の復旧方法、(リ)その他区長の指示する事項をあげ、公園施設を管理しようとすると青は、次に掲げる事項として、(イ)管理の目的、(ロ)管理の期間、(ハ)管理する公園施設、(ニ)管理の方法、(ホ)その他区長の指示する事項をあげている。原告提出の各書面の記載内容は前記認定のとおりであるから、これを右各条例に照らしてみるに、昭和三二年一二月二〇日付の公園使用願と題する書面の記載内容が東京都立公園条例六条の要求する記載事項のすべてをみたしているものでないことは明らかであり(なお、昭和三七年六月二五日付上申書および昭和三七年八月二四日付追加上申書は、後記に述べるように、その記載内容や表題等からみて独立の申
請書ではなく、昭和三二年一二月二〇日付の申請に対し早く許可してほしい旨を上申するとともに、右申請を補完するものとみるべきであるが、この上申書や追加上申書を昭和三二年一二月二〇日付の書面と合わせてみても、東京都立公園条例六条の要求する記載事項のすべてが記載されていることにはならない。)、また、昭和四〇年一〇月二〇日付の千代田区清水谷公園地内使用御願と題する書面の記載内容が東京都千代田区都市公園条例八条の要求する記載事項のすべてをみたしているものでないことも明らかである。したがつて、原告提出の昭和三二年一二月二〇日付書面も昭和四〇年一〇月二〇日付書面もともに都市公園法五条二項の申請書としては不備であり、その意味で不適式なものといわざるをえない。
しかしながら、不作為の違法確認の訴えの要件としての法令にもとづく申請とは必ずしも適式な申請に限ると解すべきではなく、不適式な申請であつても、それが法令によつて認められた申請権の行使にあたると解することができる場合には、不作為の違法確認の訴えの要件としての法令にもとづく申請があつたと解するのが相当である。けだし、不適式な申請であつても、それが法令によつて認められた申請権の行使にあたると解することができる以上、行政庁としては、不適式を理由にただちにこれを却下することができるかどうかはともかく、何らかの応答をすべきであり、相当の期間内に何らの応答もしない場合にはこれを抑制する必要があり、これを抑制することも不作為の違法確認の訴えを認めた制度の趣旨に合うからである。そこで、原告による各書面の提出が都市公園法五条二項によつて認められた申請権の行使にあたると解することができるかどうかについて考えるに、昭和三二年一二月二〇日付の公園使用願と題する書面においては、清水谷公園地の一部である本件土地の使用を昭和三三年一月一日より原告に許可してほしい旨の記載があり、昭和三七年六月二五日付の上申書においては、本件建物等の所有権等をめぐり原告とCおよびEどの間に紛争があつたが、原告の主張に沿つて解決しそうになつてきたので、昭和三二年一二月二〇日付の公園使用願を許可してほしい旨の記載があり、昭和三七年八月二四日付の追加上申書においては、使用地の用途につき原告としてはなるべく長期安定のものを希望するが集会所兼料理店(風俗営業にわたらぬもの)等の範囲に限定されてもやむをえない旨の記載がなされているのである。右昭和三七年六月二五日付の上申書および昭和三七年八月二四日付の追加上申書は、その記載内容や表題等からみて都市公園法五条二項によつて認められた申請権を独立に行使したものとは解されないが、昭和三二年一二月二〇日付の公園地使用願と題する書面は、右上申書や追加上申書と相まつて、原告が清水谷公園地の一部である本件土地に公園施設のうちの便益施設(同法二条二項七号)を設けることの許可を求める意思を表明したものと解することができるのであり、したがつて、それは同法五条二項によつて認められた申請権を行使したものと解するのが相当である。また、昭和四〇年一〇月二〇日付の千代田区清水谷公園地内使用御願と題する書面においては、本件土地を公園便益施設等を設ける目的のために原告に使用継続させてほしい旨の意思が表明されており、これも同条項によつて認められた申請権を行使したものと解するのが相当である。
してみれば、原告は、昭和三二年一二月二〇日付で当時の公園管理者であつた東京都知事に対し同条項にもとづく許可申請をし、さらに、昭和四〇年四月一日から公園管理者の地位を引継いだ被告に対し同年一〇月二〇日付で同条項にもとづく許可申請をしたものというべきである。
三 前項で認定した各許可申請に対し、東京都知事あるいは被告が何らの応答もしていないことについては、被告において明らかに争わないのでこれを自白したものとみなす。
そこで、東京都知事あるいは被告の右不作為が違法であるかどうかについて考えるに、後記認定のとおり、原告とCおよびEとの間には長年本件建物等の所有権および本件土地の使用をめぐつて紛争が続き、昭和四〇年七月二八日に至つて東京地方裁判所において調停が成立し、本件建物等の所有者が原告であることが確定し、紛争が解決するに至つたのであるから、同日まで東京都知事あるいは被告が原告の昭和三二年一二月二〇日付許可申請に対し何らの応答もしなかつたことには紛争の解決を見守るという意味において正当な理由があつたと解すべきであるが、同日以降本件口頭弁論終結時まで約七年八月余経過したのに被告が原告の右許可申請に対し何らの応答もしなかつたことおよび昭和四〇年一〇月二〇日付許可申請の時から本件口頭弁論終結時まで約七年五月余経過したのに被告が原告の右許可申請に対し何らの応答もしなかつたことについては正当な理由があつたことを認めるに足りず、都市公園法五条二項にもとづく許可の性質・内容に照らし、右約七年五月余ないし
約七年八月余という期間はいわゆる相当の期間をこえていると解すべきである(なお、不作為の違法確認の訴えにおける違法判断の基準時は最終口頭弁論終結時であると解するのが相当である。なぜなら、処分の不作為が存在するかぎりこの訴えが許されるべきであること、仮にこれを起訴時であると解すれば、起訴時にはまだ相当の期間を経過していなかつたが、口頭弁論終結時には相当の期間を経過していたという場合に、一たん原告の請求を棄却し、改めて訴えを提起しなおせば今度は請求が認容されるということになり、訴訟経済上も不合理であるからである。)。してみれば、原告の昭和三二年一二月二〇日付および昭和四〇年一〇月二〇日付の都市公園法五条二項にもとづく許可申請に対し、被告が何らの処分もしないことは違法である。
なお、原告は昭和三八年七月にも都市公園法五条二項にもとづく許可申請をした旨主張し、前記甲第二二号証によればそのころ原告が口頭で原告に使用許可を与えることを約束されたい旨東京都知事(の係員)に申出たことが認められるが、これは口頭である点において都市公園法五条二項によつて認められた申請権の行使にあたると解することは困難である。
四 本件除却命令や本件代執行命令の適法性の有無について判断するに先き立ち、本件代執行命令にもとづく代執行の終了の有無について検討する。成立に争いがない乙第六号証の一、二、証人Bの証言により成立が認められる同第一五号証(各写真が現場の写真であることについては争いがない。)、証人Aおよび同Bの各証言、原告本人尋問の結果に検証の結果を総合すれば、次の事実が認められる。
被告は、昭和四三年九月二四日千代田区役所建設部管理課長Aおよび同管理係長Bを代執行責任者として本件代執行命令にもとづく代執行に着手したところ、代執行現場へ原告がやつて来てAらに代執行の不法と中止を訴えたが聞き入れられなかつたので、原告は本件建物等が由緒あるものであることを強調し、本件建物を相模原の方に移築したいので引き倒しによる除却ではなく解体工事にしてほしい、解体後に解体材や庭石、樹木等を原告において本件土地から搬出する旨申し出でた(原告がAらに本件建物を解体工事にしてほしいと申し出たことは当事者間に争いがない。)。代執行責任者であるAらは原告の右申出を了承し、同日から同月二七日までの間に本件建物の解体作業を終え(このことは当事者間に争いがない。)、その解体材と建具類とを本件土地内に二か所に分けて集積し、庭石、燈ろう、樹木等は原告において搬出するまで現状のまま保管することとし、何らこれに手を加えなかつた。また、本件建物の土台石についても何ら手を加えず、そのままにしておいた。そして、代執行責任者であるAらは、以上の段階をもつて代執行は終了したものと考え、その手続を終えた。
以上の事実が認められ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。
ところで、代執行が終了したかどうかは、まず、当該代執行にかかる行政上の代替的作為義務が客観的・物理的にみて実現されたといえるかどうかにかかつているというべきである。
これを本件についてみるに、本件の代執行が終了したかどうかは代執行にかかる本件除却命令により命ぜられた本件建物等の除却義務が客観的・物理的にみて実現されたといえるかどうかにかかつているわけであるが、前記認定の事実によれば、本件建物は解体されたが、その土台石、庭石、燈ろう、樹木等には何ら手が加えられなかつたというのであるから、いまだ本件建物等の除却義務は客観的・物理的にみて完全には実現されていないといわなければならない(なお、本件建物の解体材が本件土地内に集積されているわけであるが、建物を解体しても義務者がその解体材を受領しない場合には代執行をした行政庁においてとりあえずこれを保管するよりほかにしかたがないものであるところ、その保管場所の選択については当該行政庁の判断に委ねられていると解すべきであるから、当該行政庁たる被告が本件建物の解体材の保管場所を本件土地内に求めたとしても、それは何ら差し支えなく、したがつて、本件建物の解体材が本件土地内に集積されていて、本件土地から搬出されていないこと自体は、本件建物等の除却義務の未履行を示すものではないと解するのが相当である。)。してみれば、本件建物等の除却に関する代執行はいまだ終了していないといわなければならず、したがつて、本件除却命令および本件代執行命令の各取消しを求める訴えの利益はあるというべきである。
五 そこで、本件除却命令の違法性の有無について考える。
本件建物がもとCの所有であつたこと、同人の先々代Dは明治二四年二月二三日付で東京府知事より本件土地の使用許可を受け、以来右許可は昭和三二年三月三一日
まで公園管理者である東京市長あるいは東京都知事により順次更新されてきたものであることは当事者間に争いがなく、同年四月一日以降本件土地につき都市公園法五条二項あるいは同法六条一項にもとづく許可がなされていないことは弁論の全趣旨によつてこれを認めることができる。
ところで、原告は、都市公園法五条二項にもとづく許可申請をしていたのに被告はこれに応答をしないまま本件除却命令を発したが、これは右許可申請を事実において踏みにじるものであり、同条項にもとづく正当な原告の権利を侵害するものであるから、違法である旨主張する。
原告が昭和三二年一二月二〇日付および昭和四〇年一〇月二〇日付で右条項にもとづく許可申請をしていたが、被告がこれに対し何らの応答もしていないことは前記認定のとおりである。したがつて、本件除却命令は、右各許可申請に対し何らの応答もしないままなされたわけである。
しかしながら、同法五条二項ないし同法六条一項にもとづく許可なしに公園地内に存在している工作物に対し、公園管理者が同法一一条一項一号にもとづき行なう除却命令は、公園管理者が行なうところの監督処分の一種であつて、これを行なうかどうか、また、いつ行なうかということは公園管理者の裁量に委ねられていると解するのが相当である。そして、右工作物の所有者が公園管理者に対し同法五条二項にもとづく許可申請をしている場合でも、まずこの許可申請に対し応答をしたのちに監督処分としての除却命令を行なうべきであるとする法的根拠は存在せず、そのいずれを先に行なうかも原則として公園管理者の裁量に委ねられていると解するのが相当である。さらに、右許可申請に対する公園管理者の不作為が違法と評価される程度になつている場合でも、その違法な不作為中になされた除却命令がそのことの故に違法となることは原則としてないと解するのが相当である。もつとも、右許可申請に対し公園管理者においてこれを許可すべく義務づけられているなど許可すべきことが明白であるような特段の事情があり、公園管理者がこれを許可すれば当該工作物を適法に公園地内に存置せしめうるような関係にある場合に、公園管理者がこれを許可しないで当該工作物に対し除却命令を発した場合には、監督処分権の濫用となりうる場合もあると解するのが相当である。
そこで、本件において右のような特段の事情が認められるかどうかについて検討するに、前出甲第二〇号証の一、二、同第二二号証、乙第三号証(ただし、別紙2の部分を除く。)、成立に争いがない甲第二六ないし第二八号証、同第三二号証の一、二、同第三三号証、同第三五ないし第三七号証、証人Pの証言および原告本人尋問の結果により成立が認められる同第二四号証、証人Qの証言により成立が認められる同第二五号証、同第二九、三〇号証、同第三四号証、証人Rの証言により成立が認められる同第三一号証、証人Sの証言により成立が認められる同第三八号証、証人P、同S、同G、同R、同Q、同I、同A、同B、同Kおよび同Hの各証言ならびに、原告本人尋問の結果を総合すれば、次の事実が認められる。原告は昭和三一年七月三日Cから本件建物等の所有権および本件土地の使用権を買い受ける旨の契約を結んだ。しかし、その後CがEとも同旨の契約を結び、同人が本件建物につき所有権移転請求権仮登記や他の二棟の建物につき所有権移転登記をしたため、右三者間に本件建物等の所有権や本件土地の使用権をめぐつて紛争が生じた(右三者間に本件建物等の所有権をめぐつて紛争が生じたことは当事者間に争いがない。)。そして、Cは、昭和三三年五月一五日原告およびEを相手方として東京簡易裁判所に民事調停を申し立て(昭和三三年(ユ)第一八二号)、昭和三四年一月一六日にはEを被告として東京地方裁判所に建物所有権等登記抹消請求の訴えを提起し(昭和三四年(ワ)第二七〇号)、他方、原告は、昭和三六年二月一五日T、CおよびEを被告として建物所有権移転登記手続等抹消登記手続請求の訴えを提起した(昭和三六年(ワ)第一〇八三号、原告がこのような訴えを提起したことは当事者間に争いがない。)。いろいろな経過を経て、まず、昭和三七年五月二日右昭和三三年(ユ)第一八二号事件において原告とCとの間に調停が成立し、Cは原告との間の昭和三一年七月三日の契約を履行することを確約するに至つた。昭和三九年には右昭和三四年(ワ)第二七〇号事件および昭和三六年(ワ)第一〇八三号事件はともに調停に付せられた(前者は昭和三九年(ノ)第一五八号、後者は昭和三九年(ノ)第一五七号、このことは当事者間に争いがない。)。右調停の期日には東京都建設局公園緑地部管理課財産係長Fが出頭し、また、昭和四〇年四月一日以降被告が公園管理者となつてからは右Fとともに千代田区役所建設部管理課長Aや同課Bも出頭し、公園管理者としての立場から意見を述べ、とくに同年六月一四日の調停期日には右Fより別紙(一)の内容を記載したメモを調停委員会へ提
出した(東京都や千代田区の係員が調停期日に出頭し、昭和四〇年六月一四日の調停期日に調停委員会にメモを提出したことは当事者間に争いがない。)。右メモは東京都および千代田区の各公園管理担当員が十分協議をしたうえ、本件土地の使用に関する公園管理者の意思としてこれを調停委員会へ提出したものである。そして、右Fの斡旋等もあり、結局、同年七月二八日原告とT、CおよびEとの間に別紙(二)のような内容の調停が成立するに至つた(同日調停が成立したことは当事者間に争いがない。)。ここに、本件建物等の所有権や本件土地の使用権をめぐる原告とCおよびE間の紛争は全面的に解決するに至つた。ところで、本件建物は戦前Cの先代D夫妻が貸席として利用していたが、戦後は貸席をやめ、当初右Dの妻子が住居として使用し、その後株式会社京稲へ賃貸し、同会社はその従業員を居住させたり、その営む旅館業に必要な道具類をしまうのに使用していた(本件建物がもと貸席として利用されていたことは当事者間に争いがない。)。以上の事実が認められ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。
右認定の事実にもとづいて考えるに、本件土地の使用に関する公園管理者の意向は調停委員会に提出された前示のメモに明確に表明されているわけであるが、その要旨は、本件建物等の存在は都市公園法上違法であるので、まずこれを撤去して本件土地を被告へ返地すること、その後、被告は建物所有権承継者からの公園施設設置申請を受理し、施設設置の必要性の有無、施設内容、許可条件等許可についての審査をするが、施設設置の必要性が認められた場合の施設の種別は集会所施設とし、修景施設を含めて許可すべき土地の面積は一二〇坪以下、建物の建坪は五〇坪以下で木造とするというものであつた。右メモにおいては、公園管理者に施設設置の許可を約束させるものではないとか、許可審査の段階で許可することが適当でないと判断した場合は許可をしないといつたことが明記されてはいるが、許可すべき場合の施設の構造規模等をかなり具体的に示し、また、本件建物の撤去が著しく遅廷した場合には右構造規模等の項は白紙にする旨記載されており(仮に、公園管理者が公園施設設置許可申請に対しその適否を判断し、適当と判断した場合に許可するということであれば、それは法律上当然の公園管理者の職責であつて、わざわざこれをメモに記載して調停委員会へ提出するほどのこともないし、建物撤去の遅延により白紙にする何物もないはずである。)、右メモが提出されてから四、五〇日後に調停が成立したが、その調停においては本件建物等の所有権が原告にあることを確認するとともに、原告がEに対し四〇〇万円を支払うことが約束されていることなどからみて、公園管理者としては、本件土地の一部に公園施設である集会所施設を設置することを許可することにつきかなり好意的、積極的な姿勢を示していたものと解するのが相当である。もつとも、右に述べたように、右許可するについては、まず本件建物等を撤去し、本件土地を一たん被告へ返還することが前提となつていたものである。そして、原告を含めて調停当事者は、公園管理者たる被告の右意向を了承し、右好意的、積極的姿勢を信頼して調停に応じたものと解するのが相当である。
右のとおり、被告は本件土地の一部を許可することにつきかなり好意的、積極的姿勢を示していたとはいえ、前示のようにひとまず本件建物等を撤去して本件土地を被告へ返還することが前提となつていたものであるから、原告が本件建物等を本件土地に適法に存置させることを可能とする意味において被告が原告からの都市公園法五条二項にもとづく許可申請を許可すべく義務づけられているなど許可すべきことが明白であるような特段の事情はなかつたものといわなければならない。してみれば、被告が本件除却命令を発したことは監督処分権の濫用にはあたらず、同法一一条一項一号にもとづく適法なものというべきである。
六 次に、本件代執行命令の違法性の有無について考えるが、これに先立ち右命令の性質、処分性について検討する。
原告は、代執行令書を送達して代執行命令を発した旨主張する。行政代執行法によれば、行政代執行の通常の手続は、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは代執行をなすべき旨を文書で戒告し(同法三条一項)、義務者が右期限までに義務を履行しないときは、代執行令書をもつて、代執行をなすべき時期、代執行のために派遣する執行責任者の氏名および代執行に要する費用の概算による見積額を義務者に通知し(同法三条二項)、代執行を実行するという順序で進められる。本訴において、原告が代執行命令として主張するところのものは、右のうち代執行令書による代執行の時期等の通知を指すものである。
そこで、代執行令書による通知の処分性について考えるに、右通知は代執行手続の一環をなすものであり、これにより代執行の時期その他の内容とこれに対する受忍
義務が具体的に確定されるものとみることができるので、取消訴訟の対象となる行政処分にあたると解するのが相当である。
そこで、本件代執行命令(すなわち、代執行令書による通知)の違法性の有無について考えるに、原告は行政代執行法二条にいわゆる義務の不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときという要件を欠くので違法である旨主張する。右要件の存否についての判断は一応代執行を行なおうとする行政庁の裁量に委ねられており、代執行にかかる義務を課する法令ないしその義務を課する行政処分の根拠となる法令の趣旨・目的をはなれた恣意的な観点から当該行政庁が代執行の実施を決定した場合に、右要件の存否についての行政庁の判断が違法になると解するのが相当である。
ところで、本件代執行命令の適法性について被告の主張する事実(二、(四))のうち(4)の事実は当事者間に争いがなく、成立に争いがない乙第六号証の一、二、同第九号証の一、三および四の各(イ)、(ロ)、同号証の二の(イ)ないし(ハ)、同第一〇号証の一ないし七、同第一一号証の一、二、同第一二号証の一ないし四に証人Kおよび同Uの各証言を総合すれば、(1)ないし(3)の事実および(5)のなお以下の事実を認めることができ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。
右認定の事実にもとづけば、被告が本件建物等の除却義務の不履行を放置しておくことは著しく公益に反すると判断したことは、都市公園法の趣旨・目的に合致し、都市公園たる清水谷公園の維持管理上適切なものであつたというべきである。したがつて、本件代執行命令(すなわち、代執行令書による通知)は適法である。七 原告は、本件催告・換価実施通知の取消しをも求めているので、その処分性について検討する。
被告は、本伴催告・換価実施通知の趣旨につき、右は原告に対し本件建物の解体材等を搬出するよう催告するとともに、原告が右解体材等を引き取らない場合には、民法四九七条にもとづき裁判所の許可をえてこれを競売に付し、その売得金を供託する旨を通知したものである旨主張し、成立に争いがない甲第四一号証に証人Aの証言および弁論の全趣旨を総合すれば、被告の右主張を認めることができる。右各証拠によれば、被告は本件の代執行がすでに終了したとの前提のもとに本件催告・換価実施通知をしていることが認められるので、代執行が終了したとはいえないこと前記認定のとおりである本件において、民法四九七条にもとづき競売に付することができるかどうかは問題であるが、その点はともかく、いずれにしても本件催告・換価実施通知は、被告が法令にもとづかずに事実上行なつたところの意思の通知とみるべきであつて、これにより何らの法的効果も生ずるものではないから、取消訴訟の対象となる行政処分にはあたらないと解するのが相当である。八 以上のとおりであるから、原告の本訴請求中、原告が東京都知事に対し昭和三二年一二月二〇日付でした本件土地に関する都市公園法五条二項にもとづく許可申請および被告に対し昭和四〇年一〇月二〇日付でした右と同旨の許可申請につき、被告が何らの処分をしないことが違法であることの確認を求める請求は理由があるのでこれを認容し、その余の不作為の違法確認請求は理由がないのでこれを棄却し、本件除却命令および本件代執行命令の各取消請求も理由がないので棄却し、本件催告・換価実施通知の取消しを求める訴えは不適法であるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 高津 環 牧山市治 上田豊三)
(別紙)
<略>
別紙(一)
M・J間調停事件参考人出頭発言内容メモ││公園管理者(都、区)の提示条件一 違法行為に対する責任の自覚
関係当事者は、現在の占用関係が都市公園法上違法の関係にあること、しかも、その状態がすでに七年余の長期間にわたつていることに対して、その責任を自覚し、速やかな解決を図るため最大の努力をなすこと。
二 違法関係是正のための具体的措置
違法関係をなくすために具体的に次の措置を講ずること。
1 建物(三棟)の所有権を確定させ、争いをなくすこと。
2 両者(M・J)の意思でただちに撤去が可能な建物二棟(同区域内所在の工作物等の物件一切を含む。)については、七月一五日までに撤去し、その跡地を原状
に回復して、千代田区係員の立ち合いを受けて同区長に返地すること。3 京稲使用中の建物一棟(同区域所在の工作物等の物件一切を含む。)についても、可及的速やかに撤去を完了し、2の例によつて返地すること。4 不適法物件の撤去完了までの間の土地無断使用に対しては、都または区が大蔵省に対して支払う地代の相当額を建物所有権承継者が損害金として納付すること。三 公園施設設置申請の受理
前記二の措置が完了したときは、公園管理者は建物所有権承継者からの公園施設設置申請を受理し、施設設置の必要性の有無、施設内容、許可条件等許可についての審査をする。
ただし、二の措置は法律上当然の義務を義務者が履行したにすぎないものであるから、これによつて公園管理者に施設設置の許可を約束させるものではない。四 施設の構造規模等
公園管理者において施設設置の必要性が認められた場合における施設の構造規模条件等は次のとおりとする。
1 施設の種別 集会所施設
2 土地 一二〇坪以下(修景施設を含む。)
3 建物 延五〇坪以下(木造)
4 構造設備、経営計画 区の指示による。
五 その他の事項
1 施設の設置にあたつて権利の転売、転貸は認めない。(MかJ)ただし、事前に区長の許可がえられた場合にかぎり例外とする。
2 許可審査の段階で許可することが適当でないと判断した場合は許可をしない。この場合に二の処理その他について関係者間に損害があつても、都または区には一切責任がないものとする。これを確認するため、関係者から予じめ誓約書を提出させるものとする。
3 京稲使用中の建物の撤去が著しく遅延したときは、一定の猶予期間経過後、公園管理者自らが法律手続により撤去するものとする。この場合は四の施設の構造規模等の項は白紙にするものとする。
(内部確認事項)
1 四案とする。
2 京稲との間は間仕切りとする。
3 該区域尖端から五間下げた線を境界とする。
4 建物はできるだけ奥の方に設ける。
別紙(二)
調停条項
一 C、TおよびEは、別紙目録(一)ないし(三)記載の建物が原告の所有に属することを認める。
二 Eは原告に対し、別紙目録(一)記載の建物につき、昭和三二年八月一四日東京法務局麹町出張所受付第一一、三三七号をもつてなされた所有権移転請求権保全の仮登記の抹消登記手続をなすこと。
三 Cは原告に対し、別紙目録(一)記載の建物につき所有権移転登記手続をなすこと。
四 Eは原告に対し、別紙目録(二)および(三)記載の建物につき昭和四〇年七付二八日付売買による所有権移転登記手続をなすこと。
五 Cは、債権者C債務者E間の東京地方裁判所昭和三三年(ヨ)第五、五七二号仮処分申請事件につきなされた仮処分命令の執行取消申請をなし、右仮処分命令の執行として昭和三三年一〇月一三日付をもつてなされた仮処分登記(別紙目録(一)記載の建物については受付番号第一四、〇五六号、(二)および(三)記載の建物については受付番号第一四、〇五七号)の抹消手続をなすこと。六 原告はEに対し、第四項記載の建物売買代金名義をもつて四〇〇万円を次のとおり分割して持参または送金支払うこと。
1 第七項の建物の取毀しに着手すると同時に二〇〇万円
2 別紙目録(一)記載の建物(現在株式会社京稲ほか一名占有中)の占有者が原告に対し右建物を明け渡した時に二〇〇万円
七 原告は別紙目録(二)および(三)記載の建物を自己の費用をもつて遅滞なく取毀すものとし、右取毀しについてC、T、Eはなんら異議はない。なお右各建物付近に存在する燈ろう、庭石、樹木については原告のために権利を放棄すること。八 E、C、Tは本件建物およびその敷地たる公園地の使用につきなんらの権利を
主張しないのはもちろん、今後も公園管理者に対し公園施設の設置許可申請等一切なさないこと。
九 Eは原告が本件公園地の一部につき公園管理者より使用許可を受けえられるよう側面から協力すること。ただし、その使用許可を受ける公園地内の区域、坪数、建物施設の構造等は管理者の指示に従うことを条件とする。
一〇 Cと株式会社京稲ほか一名間に現に東京高等裁判所に係属する別紙目録(一)記載の建物に関する明渡請求事件は原告がその責任において解決するが、CはもとよりEも側面よりこれに協力し、事件の解決促進に努めること。ただし、右明渡に関する諸経費についてはEはなんら経済的に責任を負わないものとする。
一一 本件公園地につき公園管理者に支払うべき使用料損害金は一切原告において負担するものとする。
一二 以上をもつて原告、C、T、Eの相互間における本件建物およびその敷地たる公園地に関する件は一切解決したものとし、以上のほか相互になんらの債権債務はないことを確認する。
一三 原告およびCはその余の請求を放棄する。
一四 訴訟費用および調停費用は各自弁とする。

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