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所得税更正処分等取消請求事件
事件番号昭和43(行ウ)3
事件名所得税更正処分等取消請求事件
裁判年月日昭和50年4月25日
法廷名佐賀地方裁判所
判示事項1 青色申告書提出承認取消処分の通知書に取消しの原因となる具体的事実の記載を欠いた瑕疵は,無効原因に当たらないとした事例 2 所得税更正処分に対する行政不服申立手続をすでに経由しており,かつ,右更正処分に対する出訴期間内に再更正処分がされたときは,行政不服申立手続を経ないで当該再更正処分の取消しの訴えを提起するについて国税通則法(昭和45年法律第8号による改正前)87条1項4号後段の正当な理由があるとした事例
裁判日:西暦1975-04-25
情報公開日2017-10-20 00:47:35
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○ 主文
一 被告が原告サンポー食品株式会社(以下、原告会社という。)に対し、昭和四二年三月二〇日付でした昭和三九年二月一日から昭和四〇年一月三一日までの事業年度分法人税更正処分および重加算税賦課決定処分(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)のうち、所得金額五〇九万一、四四四円を超える部分を取り消す。
二 被告が原告会社に対し、昭和四二年三月二〇日付でした昭和三八年三月分、昭和三九年三月分、昭和三九年九月および昭和四〇年三月分、昭和四一年三月分の各源泉徴収所得税納税告知処分および不納付加算税賦加決定処分(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)をいずれも取り消す。
三 被告が原告Aに対し、昭和四二年三月二二日付でした昭和三八年度分、昭和三九年度分、昭和四一年度分の各所得税更正処分(ただし、昭和三八年度分、昭和三九年度分については、裁決により取り消された部分を除く。)のうち、別表(三)の確定申告額らん記載の各金額を越える部分をいずれも取り消す。四 被告が原告Aに対し、昭和四三年五月一五日付でした昭和四〇年度分再更正処分のうち、二二八万一、五〇〇円を超える部分を取り消す。
五 原告会社のその余の請求を棄却する。
六 訴訟費用中、原告会社と被告との間で生じた分はこれを一〇分し、その七を原告会社の、その三を被告の各負担とし、原告Aと被告との間で生じた分は被告の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求めた裁判
一 原告ら
1 被告が原告会社に対し、昭和四二年三月二〇日付でした昭和三六年二月一日から昭和三七年一月三一日までの事業年度(以下、昭和三六事業年度という。)分、昭和三七年二月一日から昭和三八年一月三一日までの事業年度(以下、昭和三七事業年度という。)分、昭和三八年二月一日から昭和三九年一月三一日までの事業年度(以下、昭和三八事業年度という。)分、昭和三九年二月一日から昭和四〇年一月三一日までの事業年度(以下、昭和三九事業年度という。)分、昭和四〇年二月一日から昭和四一年一月三一日までの事業年度(以下、昭和四〇事業年度という。)分の各法人税再更正処分(ただし、昭和三九事業年度分は更正処分)および重加算税賦課決定処分(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)のうち、別表(一)の原告会社の主張額らん記載の各金額を超える部分をいずれも取り消す。
2 被告が原告会社に対し、昭和四二年三月二〇日付でした昭和三八年三月分、昭和三九年三月分、昭和三九年九月および昭和四〇年三月分、昭和四一年三月分の各源泉徴収所得税納税告知処分および不納付加算税賦課決定処分(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)をいずれも取り消す。
3 被告が原告Aに対し、昭和四二年三月二二日付でした昭和三八年度分、昭和三九年度分、昭和四一年度分の各所得税更正処分(ただし、昭和三八年度分、昭和三九年度分については、裁決により取り消された部分を除く。)のうち、別表(三)の確定申告額らん記載の各金額を超える部分をいずれも取り消す。4 被告が原告Aに対し、昭和四三年五月一五日付でした昭和四〇年度分所得税再更正処分のうち、二二八万一、五〇〇円を超える部分を取り消す。5 訴訟費用は被告の負担とする。
二 被告
1 原告らの1ないし3の各請求をいずれも棄却する。
2 原告Aの4の訴えにつき
(一) (一次的に)右訴えを却下する。
(二) (二次的に)右請求を棄却する。
3 訴訟費用は原告らの負担とする。
第二 当事者の主張
一 原告らの請求原因
1 原告会社は、昭和三六ないし昭和四〇各事業年度分の法人所得につき、青色申告をもつて、別表(一)の確定申告額らん記載のとおり法人税の確定申告をしたところ、被告は昭和三九事業年度分を除く右各事業年度分について、別表(一)の更正処分額らん記載のとおり各更正処分をし、ついで昭和四二年三月二〇日付で、昭和三九事業年度分については、同表の更正処分額らん記載のとおりの
更正処分および重加算税賦課決定処分を、その余の右各事業年度分については、同表の再更正処分額らん記載のとおりの各再更正処分および重加算税賦課決定処分をした。
2 原告会社は、右各(再)更正処分を不服として、昭和四二年四月二〇日、被告に対し異議の申立てをしたところ、被告は右申立てを審査請求として取り扱うことを適当と認め、原告会社もこれに同意したので、右異議申立ては同年五月一二日、国税通則法(昭和四五年法律第八号による改正前のもの、以下同じ。)八〇条一項二号により、福岡国税局長に対する審査請求とみなされ、同局長は昭和四三年四月八日、別表(一)の裁決額らん記載のとおり裁決し、前記各処分を一部取り消した。
3 しかし、前記各(再)更正処分のうち、前項の裁決により取り消された部分を除くその余の部分中、別表(一)の原告会社の主張額らん記載の各金額を超える部分は、いずれも次のような違法がある。
(一) 本件各(再)更正処分のうち、昭和三六、三七各事業年度分は、国税通則法七〇条一項一号に規定する法定申告期限である昭和三七年三月三一日および昭和三八年三月三一日から三年を経過した日以後の昭和四二年三月二〇日付でなされているから、同条に違反し違法である。
(二) 原告会社は、被告から法人税の青色申告書提出の承認を受けていたところ、被告は原告会社に対し、昭和四二年三月七日付で昭和三六事業年度以降の青色申告書提出承認取消処分をしたが、右処分の通知書には、単に

法人税法一二七条一項三号に掲げる事実に該当する。

と記載されているだけで、取消しの原因となる具体的事実の記載がなく、法が取消事由の附記を命じた規定の趣旨に違反し、重大かつ明白なかしがあるから、右取消処分は当然無効である。してみると、原告会社は本件各係争事業年度を通じて、青色申告法人であつたことに帰するから、更正処分の通知書には理由を附記しなければならず、かつ推計課税の方法により課税することができないのに、被告は本件(再)更正処分の通知書に理由を附記せず、かつ推計課税の方法により原告会社の所得金額を算出しているから違法である。(三) 原告会社の本件各係争事業年度の所得金額は、別表(一)の原告会社の主張額らん記載のとおりであるから、本件各(再)更正処分は、原告会社の所得金額を過大に認定した違法がある。
4 被告は、原告会社の代表取締役である原告Aが、昭和三七ないし昭和四〇事業年度において、原告会社から別表(二)の告知処分額らん記載の賞与を受けた旨の事実を認定したうえ、原告Aの源泉徴収義務者である原告会社に対し、いずれも昭和四二年三月二〇日付で、別表(二)の告知処分額らん記載のとおり、昭和三八年三月分、昭和三九年三月分、昭和三九年九月および昭和四〇年三月分、昭和四一年三月分の各源泉徴収所得税の納税告知処分および不納付加算税賦課決定処分をした。
5 原告会社は、右各告知処分を不服として、昭和四二年四月二〇日、被告に対し異議の申立てをしたところ、前記2同様、福岡国税局長に対する審査請求とみなされ、同局長は昭和四三年四月八日、別表(二)の裁決額らん記載のとおり裁決し、前記各処分を一部取り消した。
6 しかし、原告Aは原告会社から賞与を受けた事実はないから、本件各告知処分のうち、前項の裁決により取り消された部分を除く部分はいずれも違法である。7 原告Aは、昭和三八ないし昭和四一年度の給与所得につき、別表(三)の確定申告額らん記載のとおり、所得税の確定申告をしたところ、被告はいずれも昭和四二年三月二二日付で、別表(三)の更正処分額らん記載のとおり各更正処分をした。
8 原告Aは、右各更正処分を不服として、昭和四二年四月二〇日、被告に対し異議の申立てをしたところ、前記2同様、福岡国税局長に対する審査請求とみなされ、同局長は昭和四三年四月八日、別表(三)の裁決額らん記載のとおり、昭和三八、三九年度分については、前記各処分を一部取り消す旨の裁決をし、昭和四〇年度分については、原告Aの給与所得を更正処分額を上回る四三二万三、三五九円と認定して、右審査請求を棄却し、昭和四一年度分については、更正処分額を正当と認めて右審査請求を棄却した。そして、被告は昭和四三年五月一五日付で、福岡国税局長の右認定に基づき、原告Aの昭和四〇年度の給与所得を四三二万三、三五九円と再更正処分をした。
9 しかし、右各(再)更正処分(ただし、昭和三八、三九年度分については、前項の裁決により取り消された部分を除く。)のうち、別表(三)の確定申告額
らん記載の各金額を超える部分は、いずれも次のような違法がある。(一) 本件各(再)更正処分のうち、昭和三八年度分は、国税通則法七〇条一項一号に規定する法定申告期限である昭和三九年三月一五日から三年を経過した日以後である昭和四二年三月二二日付でなされているから、同条に違反し違法である。(二) 本件各(再)更正処分は、原告会社の売上脱漏額の一部を原告会社の所得と認定しながら、しかも同額を原告会社より原告Aに対する賞与、すなわち原告Aの所得と認定し、一方において原告会社に対し法人税を課し、さらに重複して原告Aに対し所得税を課しているのは違法である。すなわち、仮に原告会社の売上脱漏額の一部が原告Aに賞与として支払われ、原告Aの所得になるものとすれば、特別の事情のない限り、原告会社は同額の損金を認められるべきであり、したがつて原告会社の所得はそれだけ減少し、またもしこれが原告会社の所得になるものとすれば、原告会社より原告Aに対するいわゆる仮払いであつて、原告Aの所得ではないから、被告が原告会社の売上脱漏額について、原告会社に対し法人税を課した以上、さらに原告Aに対し所得税を課することはできない。
(三) 原告Aの本件各係争年度の所得金額は、別表(三)の確定申告額らん記載のとおりであるから、本件各(再)更正処分は原告Aの所得金額を過大に認定した違法がある。
10 よつて、原告らは被告に対し、本件各処分の取消しを求める。二 被告の本案前の主張
本件訴えのうち、原告Aの昭和四〇年度分所得税再更正処分の取消しを求める訴えは、原告Aから不服申立てがなされておらず、不服申立ての前置を経ていないから、国税通則法八七条一項本文に違反し、不適法として却下されるべきである。三 被告の本案に対する答弁および主張
1 請求原因1、2の事実、3の事実のうち、被告が原告会社に対しその主張のとおり青色申告書提出承認取消処分をしたこと、右処分の通知書に取消しの原因となる具体的事実を記載していないこと、本件各(再)更正処分の通知書に理由を附記していないことおよび4、5、7、8の事実はこれを認めるが、3のその余の事実および主張、6、9の事実および主張はいずれもこれを争う。
2 更正処分の期間遵守について
原告らは、被告の原告会社に対する昭和三六、三七事業年度の本件各再更正処分および原告Aに対する昭和三八年度の本件更正処分は、いずれも国税通則法七〇条一項一号の法定申告期限から三年を経過した日以後になされたものであるから、違法であると主張する。
しかし、原告会社は右各事業年度において、偽りその他不正の行為により所得を隠ぺいし、法人税額の一部を免れていたので、被告は、国税通則法七〇条二項四号に該当するものとして、法定申告期限から五年を経過する日以前の昭和四二年三月二〇日付で本件各再更正処分をしているから、なんら違法はない。
つぎに、原告Aに対する昭和三八年度の本件更正処分は、原告会社の昭和三七事業年度において、原告Aに対する認定賞与の発生が認められ、これにともない原告Aの所得がその分だけ増加したためになされたものであるところ、原告Aの右賞与は、原告会社が不正行為により隠ぺいしていた所得から生じたものであり、かつ原告Aは原告会社の代表取締役として、このことを熟知していたにもかかわらず、これを隠ぺいして原告Aの所得として申告しなかつたものであるから、被告は、国税通則法七〇条二項四号に該当するものとして、法定申告期限から五年を経過する以前の昭和四二年三月二二日付で本件更正処分をしているから、なんら違法はない。3 青色申告書提出承認取消処分の効力について
原告会社は、被告が昭和四二年三月七日付でした昭和三六事業年度以降の青色申告書提出承認取消処分に対して、なんら不服の申立てをなさず、右処分が有効であることを前提として異議の申立てをしているのであるから、もはや右処分の効力を争うことはできない。してみると、原告会社は本件各係争事業年度を通じて白色申告法人であつたから、原告会社が青色申告法人であつたことを前提とする原告会社の主張は失当である。
なお、被告の本件各(再)更正処分は、推計課税の方法によりなされているものではない。すなわち、被告は、本件各係争事業年度につき、原告会社の帳簿書類を調査した結果、原告会社の所得に属する架空名義の簿外資産たる預貯金を発見し、直接これら資料に基づき、原告会社の所得金額を算出しているのであつて、このような方法で所得金額を算出することは、単なる推計課説方式ではなく、法人税法一三〇条一項の

法人の帳簿書類を調査し、その調査により当該課税標準又は欠損金額の計算に誤りがあると認められる場合

にあたる。もつとも、被告主張の後記損益面よりの売上もれの検討によれば、推計課税の方法をとつているのかのごとき主張がなされているが、右主張は、被告の本件各(再)更正処分の正当性を補強するために損益面からの検討をしているにすぎないのであつて、これをもつて、被告が推計課税の方法により、本件各(再)更正処分をしたものとすることはできない。4 法人税と所得税との重複課税について
原告らは、原告会社の売上脱漏額の一部につき、一方において原告会社に対し法人税を課し、さらに重複して原告Aに対し所得税を課することは違法であると主張する。
しかし、原告らの右主張は、賞与が法人税法三五条一項により損金不算入とされていることを忘却した失当な主張である。すなわち、被告は、原告Aに対する認定賞与の発生にともない、原告Aの本件各係争年度の所得税確定申告額に当該各年度分に帰属する認定賞与額を加算して本件各(再)更正処分をなしたものであつて、右認定賞与額が原告会社の所得になることは明らかであり、かつ賞与は法人税法上、損金不算入とされているのであるから、原告Aに支給された賞与が、原告Aの所得となり、これに所得税が課せられたとしても、なんら違法ではない。5 原告会社の法人税に対する(再)更正処分の適法性について
(一) 原告会社の昭和三六ないし昭和四〇事業年度の法人税についての原告会社の異議申立額(原告会社の主張額)と被告の調査額(被告主張額)およびその差額は次のとおりである。
<略>
(二) 右表のうち、差引増加額、すなわち、原告会社の所得金額を修正すべき項目とその金額は次のとおりである。
<略>
(三) 右(二)の各項目の明細は次のとおりである。
(1) 昭和三六事業年度
(ア) 売上計上もれ三二七万七、四三〇円
原告会社の法人税調査において発見された原告Aの妻B名義の郵便貯金および多数の架空名義の銀行預金(以下、架空名義の別口預金という。)について、その入金額を検討した結果、その資金の出所が不明で他に資金源を有せず、原告会社の売上およびリベート収入のなかから簿外預金をしたものと推定される金額は三五六万三、八八〇円であり、その明細は別表(四)のとおりである。そのうち、株式会社福岡銀行基山支店(以下、福銀基山支店という。)の旭製粉製麺名義の定期預金一五万九、六〇〇円が原告会社のリベート収入から、同銀行のC名義の普通預金に昭和三六年三月二七日預け入れた三万六、八五〇円、同年四月六日預け入れた九万円がいずれも原告会社の売上からそれぞれ入金したものであることは異議申立ての際、原告会社においてこれを認め、原告会社の主張額に算入されているので、これを控除した三二七万七、四三〇円が原告会社の売上計上もれの金額である。(イ) 受取利息計上もれ 二〇万五、五五二円
原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息二〇万五、五五二円(福銀基山支店定期預金分一三万九、三三二円、株式会社三和銀行久留米支店《以下、三和久留米支店という。》定期預金分六万三、九七八円、福銀基山支店普通預金分二、二四二円)は原告会社の雑収入に計上すべきところ、原告会社はこれを記帳せず、利息を受け取つた都度、全額簿外預金しているので、右受取利息は原告会社の雑収入の計上もれである。
(ウ) 原材料架空仕入れ一万三、一六〇円
原告会社は架空の原材料費六一万六、一七八円を計上して、原告会社の当座預金より小切手を振り出し、右小切手で代金を支払つたように仮装し、うち六〇万三、〇一八円を福銀基山支店のD、E、F名義(いずれも架空名義)の定期預金に、うち一万三、一六〇円を同銀行のC名義の普通預金にそれぞれ入金している。そのうち、六〇万三、〇一八円が架空仕入れであることは異議申立の際、原告会社においてこれを認め、原告会社の主張額に算入されているので、これを控除した一万三、一六〇円が原告会社の架空仕入れの額である。
(2) 昭和三七事業年度
(ア) 売上計上もれ 一六三万九、九〇〇円
原告会社の架空名義の別口預金の入金額のうち、その資金の出所が不明で他に資金源を有しないため、売上もれによるものと認定した金額は一八九万九、六〇〇円であり、簿外貸付金で他に資金源を有しないため売上もれによるものと認定した金額
は四万円であり、その明細は別表(五)のとおりである。そのうち、福銀基山支店のG名義の定期預金に預け入れた三〇万円のうち、二九万九、七〇〇円が原告会社の売上から入金したものであることは異議申立ての際、原告会社においてこれを認め、原告会社の主張額に算入されているので、これを控除した一六三万九、九〇〇円が原告会社の売上計上もれの金額である。
(イ) 受取利息計上もれ 六八万五、四五五円
原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息六八万五、四五五円(福銀基山支店定期預金分五五万五、九六一円、三和久留米支店定期預金分一二万七、九一四円、福銀基山支店普通預金分一、五八〇円)は、前期同様、原告会社の雑収入の計上もれである。
(ウ) 事業税認定損 四〇万六、二七〇円
被告は、前期の裁決による所得金額五五九万五、九九八円と前期の更正処分による所得金額二二一万〇、三八八円との差額三三八万五、六〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し、一二パーセントの税率を適用して、四〇万六、二七〇円の事業税を認定し、原告会社の営業経費として所得から減算した。
(3) 昭和三八事業年度
(ア) 売上計上もれ 一八四万四、七五五円
原告会社の架空名義の別口預金の入金額のうち、その資金の出所が不明で他に資金源を有しないため、売上もれによるものと認定した金額は二三二万一、〇〇〇円であり、簿外貸付金で他に資金源を有しないため売上もれによるものと金額は二、五二五円であり、土地購入代金で他に資金源を有しないため売上もれによるものと認定した金額は一五万九、二三〇円であり、その明細は別表(六)のとおりである。そのうち、福銀基山支店のH名義の普通預金に昭和三八年二月六日五万円、同月一四日一〇万円、同月一九日六万円、同月二二日五万円、同月二六日二一万七、五〇〇円、同年三月一一日一六万〇、五〇〇円それぞれ預け入れた合計六三万八、〇〇〇円が原告会社の売上から入金したものであることは異議申立ての際、原告会社においてこれを認め、原告会社の主張額に算入されているので、これを控除した一八四万四、七五五円が原告会社の売上計上もれの金額である。
(イ) 受取利息計上もれ 六二万四、五〇八円
原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息五九万一、七三八円(福銀基山支店定期預金分四九万一、五四円、三和久留米支店定期預金分九万九、〇八〇円、福銀基山支店普通預金分一、一三四円)、久井本店に対する貸付金の利息二、七七〇円、Iに対する貸付金の利息三万円、以上合計六二万四、五〇八円は、前期同様、原告会社の雑収入の計上もれである。
(ウ) 事業税認定損 一万一、三一〇円
被告は、前期の裁決による所得金額一八万八、五五八円(前期の更正処分による所得金額は欠損)に対し、六パーセントの税率を適用して、一万一、三一〇円の事業税を認定し、原告会社の営業経費として所得から減算した。
(エ) 青色申告書提出承認取消しにともなう申告調整 五万三、一二六円(a) 価格変動準備金繰入の差額 三万四、〇三二円
被告は、当初の更正処分において、原告会社が預金に計上していた価格変動準備金繰入額一〇〇万円のうち、三万四、〇三二円を繰入限度超過として否認し、所得に加算していたが、その後原告会社が昭和四二年三月七日付で青色申告書提出承認を取り消され、価格変動準備金の損金算入が認められなくなつたため、再更正処分において、前記繰入超過否認三万四、〇三二円を取り消し、あらためて一〇〇万円全額の繰入を否認したところ、原告会社は異議申立の際、当初の更正処分で繰入を否認され所得に加算されていた三万四、〇三二円をそのままにして、さらに一〇〇万円全額を所得に加算したので、右三万四、〇三二円を所得から減算した。(b) 貸倒引当金繰入の差額 一万九、〇九四円
(a) と同じく当初の更正処分において、繰入超過として否認された一万九、〇九四円を原告会社は異議申立の際、所得に加算したままであつたため、前同様、所得から減算した。
(4) 昭和三九事業年度
(ア) 売上計上もれ 一八六万一、八一二円
原告会社の架空名義の別口預金の入金額のうち、その資金の出所が不明で他に資金源を有しないため、売上もれによるものと認定した金額は一八一万〇、八一二円、銀行借入金の返済額のうち、他に資金源を有しないため、売上もれによるものと認定した金額は五万一、〇〇〇円で、その明細は別表(七)のとおりであり、以上合
計一八六万一、八一二円が原告会社の売上計上もれの金額である。(イ) 受取利息計上もれ 六八万〇、八九六円
原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息六三万一、四二一円(福銀基山支店定期預金分五二万六、六〇五円、三和久留米支店定期預金分一〇万二、三八二円、福銀基山支店普通預金分二、四三四円)、Iに対する貸付金の利息三万円、Jに対する貸付金の利息一万九、四七五円、以上合計六八万〇、八九六円は、前期同様、原告会社の雑収入の計上もれである。
(ウ) 事業税認定損 三四万五、四八〇円
被告は、前期の裁決による所得金額四二七万二、八〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し、所得のうち年一五〇万円以下の金額の六パーセント、年一五〇万円を超え年三〇〇万円以下の九パーセント、年三〇〇万円を超える金額の一二パーセントの税率を適用して、三七万七、七三〇円の事業税を認定し、これより前期の更正処分による所得金額五三万七、五〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対する六パーセントの事業税三万二、二五〇円を控除した三四万五、四八〇円を原告会社の営業経費として所得から減算した。
(エ) 青色申告書提出承認取消しにともなう申告調整 三万六、九七二円(a) 価格変動準備金繰入の差額 二万八、〇六二円
原告会社は、前期において営業外経費の計上もれとなつていた三万四、〇三二円を、当期において営業外経費として所得より減算するとともに、繰入限度超過額として五、九七〇円を所得に加算しているので、三万四、〇三二円と五、九七〇円とび差額二万八、〇六二円を所得に加算した。
(b) 貸倒引当金繰入の差額 八、九一〇円
原告会社は、前期において営業外経費の計上もれとなつていた一万九、〇九四円を、当期において営業外経費として所得より減算するとともに、繰入限度超過額として一万〇、一八四円を所得に加算しているので、(a)同様、その差額八、九一〇円を所得に加算した。
(5) 昭和四〇事業年度
(ア) 売上計上もれ 八八万一、二一二円
原告会社の架空名義の別口預金の入金額のうち、その資金の出所が不明で他に資金源を有しないため、売上もれによるものと認定した金額は一一八万一、二一二円で、その明細は別表(八)のとおりである。ところで、原告会社は従業員が労働組合を結成するにあたり、外郭団体の介入を排除するため、Bの郵便貯金より関係費用として三〇万円支出しているので、これを原告会社の営業外経費と認めて控除し、残金八八万一、二一二円が原告会社の売上計上もれの金額である。(イ) 受取利息計上もれ 七〇万四、九五四円
原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息六八万四、九五四円(福銀基山支店定期預金分六八万二、八二八円、同支店普通預金分二、一二六円)、Kに対する貸付金の利息五、〇〇〇円、Lに対する貸付金の利息一万五、〇〇〇円、以上合計七〇万四、九五四円は、前期同様、原告会社の雑収入の計上もれである。(ウ) 事業税認定損 三一万四、六七〇円
被告は、前期の裁決による所得金額五一三万六、四〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し、所得のうち年一五〇万円以下の金額の六パーセント、年一五〇万円を超え年三〇〇万円以下の金額の九パーセント、年三〇〇万円を超える金額の一二パーセントの税率を適用して、四八万一、三六〇円の事業税を認定し、これより前期の確定申告による所得金額二三五万二、二〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し、同様の税率を適用した事業税一六万六、六九〇円を控除した三一万四、六七〇円を原告会社の営業経費として所得から減算した。
(エ) 青色申告書提出承認取消しにともなう申告調整 一〇万七、二五四円(a) 価格変動準備金繰入の差額 五万八、〇六〇円
原告会社は、確定申告で損金に計上した価格変動準備金繰入額一三〇万円のうち、繰入限度超過額六万四、〇三〇円を自己否認して所得に加算したが、青色申告書提出承認の取消しにともない、繰入額一三〇万円全額が損金に算入されないことになつた。ところが、原告会社は、異議申立の際、右六万四、〇三〇円をそのままにして、一三〇万円を所得に加算し、さらに、前期において繰入限度超過として所得に加算した五、九七〇円を当期の所得より減算しているので、六万四、〇三〇円から五、九七〇円を差し引いた五万八、〇六〇円を所得から減算した。(b) 貸倒引当金繰入の差額 三万五、一七四円
原告会社に、確定申告で損金に計上した貸倒引当金繰入額一五〇万円のうち、繰入
限度超過額四万五、三五八円を自己否認して所得に加算したが、青色申告書提出承認の取消しにともない、繰入額一五〇万円全額が損金に算入されないこととなつた。ところが、原告会社は、異議申立の際、右四万五、三五八円をそのままにして、一五〇万円を所得に加算し、さらに、前期において繰入限度超過として所得に加算した一万〇、一八四円を当期の所得より減算しているので、四万五、三五八円から一万〇、一八四円を差し引いた三万五、一七四円を所得から減算した。(c) 退職給与引当金繰入の差額 一万四、〇二〇円
原告会社は、確定申告で損金に計上した退職給与引当金繰入額二五万円のうち、繰入限度超過額一万四、〇二〇円を自己否認して所得に加算したが、青色申告書提出承認の取消しにともない、繰入額二五万円全額が損金に算入されないことになつた。ところが、原告会社は、異議申立の際、右一万四、〇二〇円をそのままにして、二五万円を所得に加算したので、一万四、〇二〇円を所得から減算した。(四) 以上のとおり、原告会社の昭和三六ないし昭和四〇事業年度における被告調査の所得金額は、いずれも裁決により取り消された部分を除く本件各(再)更正処分額を上回るか右処分額と一致するから(前記(一)の表参照)、本件各(再)更正処分はいずれも適法である。
6 原告会社に対する源泉徴収所得税の納税告知処分の適法性について(一) 被告は、原告会社における架空名義の別口預金等により推定した売上もれ、受取利息もれ等の利益もれ金額について、その資産化状況を解明し、資産化状況の不明な金額は、原告会社の代表取締役である原告A個人が取得した臨時的給与、すなわち役員賞与と認定した。そこで、各事業年度における認定賞与について、被告は、原告Aの源泉徴収義務者である原告会社に対して、国税通則法三六条一項二号に基づき、納税告知処分をするとともに、同法六七条に基づき、不納付加算税の賦課決定処分をしたものであつて、認定賞与額、納税告知処分額および不納付加算税額(いずれも裁決による異動後の額)は次のとおりである。<略>
(二) 右表における各事業年度の利益もれ金額、その資産化の内訳および認定賞与額の細目は、次の1とおりである(資産科目の増と負債科目の減は正数で表し、資産科目の減と負債科目の増は負数Δで表す。)。
<略>
7 原告Aの所得税に対する(再)更正処分の適法性について
前記のとおり、原告Aに対する認定賞与の発生にともない、同人に対する給与所得がその分だけ増加したので、被告は、同人の各年度の所得税確定申告による給与所得に当該各年分に帰属する認定賞与額を加算して更正処分を行なつたものであつて、原告Aの確定申告額、認定賞与額および被告の更正処分額(いずれも裁決による異動後の額)は次のとおりである。
<略>
四 本案前の主張に対する原告Aの答弁
原告Aに対する昭和四〇年度の所得税再更正処分については、訴願前置は不要である。すなわち、更正処分に対する審査請求をすでに経由していて、再更正処分に対する審査請求を行なつても結局徒労に帰し、行政庁の裁決内容に差異を来たさないことが明らかであるような場合(本件のように、更正処分による審査請求が棄却され、再更正による増額処分がなされた場合はこれにあたる。)には、納税者として、もはや同様の審査請求による救済を期待することができないことが明らかであるから、このような場合は、国税通則法八七条一項四号後段の裁決を経ないことにつき正当な理由があるときに該当するものというべきである。五 被告の主張に対する原告会社の答弁および反論
原告会社の主張額(異議申立額)が被告主張のとおりであること、原告Aの妻B名義その他被告主張どおりの名義の預金がその主張どおりの金額で存在することは認めるが、右は原告会社の売上を流用するなど被告主張のような性質のものではなく、原告会社に帰属すべき金員ではない。右預金は原告Aおよびその妻Bが原告会社成立前から所有していた金員ならびに原告会社成立後の同人らの給与その他の収入がその資金源である。他に資金源がないから、原告会社の売上もれであるとする被告の主張は、その前提事実に誤りがあり、結局独断にすぎない。仮に、長年月の間に、原告会社、原告A、Bの三者間において、少額の誤りによる帰属の混乱があつたとしても、被告主張のように、判然としないものはすべて原告会社の収入であると認定するのは経験則に反する。右預金が原告会社の売上除外であると認定するためには、被告において、取引の相手方、金額等を示し、いかなる項目がどのよう
に脱漏して右預金に入金されたかを主張立証すべきである。この点の主張立証のない被告の認定は単なる推測にすぎない。税法学上の事実認定に関する

疑わしい場合には課税せず。

の原則からしても、右損金が原告会社の売上除外であるとして課税することが許されないことは明らかである。
六 原告会社の反論に対する被告の再反論
被告が架空名義の別口預金が原告会社に帰属するものと認定した根拠および損益面より検討して被告の右認定が妥当であることは、次に述べるとおりであつて、原告ら主張のように単なる推測によるものではない。
1 架空名義の別口預金が原告会社に帰属するものと認定した根拠(一) 架空名義の使用等
別口預金はB名義の郵便貯金を除き、いずれも架空名義であり、係争事業年度間において、普通預金に使用した架空名義は四口、定期預金に使用した架空名義は七〇口の多きに及んでいる。しかもその発見が容易にできないように、度度巧みに他の架空名義に切り替えられている。一例をとれば、福領基山支店のC名義の普通預金を昭和三六年一〇月一七日解約し、同日、同銀行にH名義の普通預金口座を設け、右C名義の預金残高一、五五〇円および解約利息六五円を預け入れている。また同銀行のM名義の普通預金を昭和三九年六月二九日解約し、預金残高二八万七、五八九円のうち、二六万八、四一〇円を定期預金に振り替え、残額一万九、一七七円をもつて、同日N名義の普通預金口座を開設している。
(二) 別口普通預金の入出金状況
係争五事業年度の別口普通預金の入出金状況は次表のとおりであるが、各年度とも入金に見合う出金が反覆して行なわれ、しかも係争五事業年度を通じて入金額と殆んど差異が認められないことは、商業人の普通預金利用の形態を表しているものであり、別口普通預金は原告会社の営業預金としての性格を有しているものと推断される。
<略>
(三) 別口定期預金の増加状況
各事業年度末の定期預金残高および係争事業年度の期首である昭和三六年二月一日の残高に対する各事業年度末の増加高は次表のとおりであるが、係争五事業年度を通じて約一、〇〇〇万円に及ぶ増加を示し、その資金出所としては、別口普通預金よりの振替、利息の切替、法人当座よりの振替およびB名義の郵便貯金よりの振替が六四五万一、六六八円あるが、残額の三三三万一、〇九〇円については資金出所が明らかでない。
<略>
(四) 原告会社の表預金との交流について
架空の原材料を計上して原告会社の当座預金より小切手を振り出し、別口普通預金および現金と合わせて、別口定期預金を次表のとおり発生させている。預金額は三口とも三〇万円であるが、架空原材料費であることを隠ぺいするため、表預金の出金および会社帳簿上はいずれも端数をつけ、この金額に福銀基山支店C名義の別口普通預金より払い出した金額および現金を合算して、各口を三〇万円としたものである。
<略>
(五) 原告会社が認めた除外利益について
架空名義の別口預金に入金されている金額のうち、一八二万七、一六八円については、原告会社の利益を除外して、別口預金に入金したことを原告会社自身が認めているのであつて、その明細は次のとおりである。
<略>
(六) その他、原告A、Bの収入等の財産状態からして、同人らに右のような多額の別口預金をなしうる能力がないこと、同人らに架空名義を用いる合理的な理由のないことおよび被告が昭和四二年三月七日付で原告会社に対し、法人税法一二七条一項三号の規定(その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部または一部を隠ぺいしまたは仮装して記載し、その他その記載事項全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること)を適用して、昭和三六事業年度以降の青色申告書提出承認の取消処分を行なつたのに対し、原告会社はこれに対してなんら争つていないこと。
2 損益面よりの売上もれの検討
(一) 昭和三六事業年度
原告会社の記帳による期首在庫、期末在庫、仕入数量、売上数量、売上単価、差益
率等から推計すると、当期における焼きそばの売上もれは二七万九、〇四〇円、製麺の売上もれは三一〇万四、〇〇〇円、小麦粉の売上もれは三五万〇、四五九円となり、これにリベート収入もれ一五万九、六〇〇円を加えると、三八九万三、〇九九円となつて、被告が架空名義の別口預金の入金額から検討して売上もれと認定した金額三五六万三、八八〇円にほぼ見合い、損益面から検討しても、被告の右認定額は実額にもつとも近接する金額であることを示すものであり、被告の認定は合理的というべきである。
(二) 昭和三七事業年度
前期同様の推計によると、当期における焼きそばの売上もれは三二万五、五八〇円、小麦粉の売上もれは一四二万七、一五七円、売上もれ合計一七五万二、七三七円となり、被告が別口預金の入金額から売上もれと認定した金額一九三万九、六〇〇円より若干少ないが、この程度の差異は両者の金額がいずれも推計である以上、ほぼ見合うものと考えてもなんら不都合はない。
(三) 昭和三八事業年度
前期同様の推計によると、当期における小麦粉の売上もれは一四一万九、六〇五円となり、これに売上もれの判明している亀の屋食品店に対する小麦粉売上代金六三万八、〇〇〇円を加えると、二〇五万七、六〇五円となり、被告が別口預金の入金額から売上もれと認定した金額二四八万二、七五五円より若干少ないが、前期同様ほぼ見合うものと考えても不都合ではない。仮にそのように考えられないとしても、裁決では売上もれ金額を二〇二万五、二一〇円と推計しているので、右二〇五万七、六〇五円とほぼ見合うのであるから、この点にかかる被告主張額は合理的である。
(四) 昭和三九事業年度
前期同様の推計によると、当期における小麦粉の売上もれは一一七万一、五六一円、ラーメン売上もれは五八万〇、一五五円、売上もれ合計一七五万一、七一六円となり、被告が別口預金の入金額から売上もれと認定した金額一八六万一、八一二円とほぼ見合うから、被告の右認定は妥当である。
(五) 昭和四〇事業年度
前期同様の推計によると、当期における売上もれはラーメンの売上もれ一一七万三、〇四二円であつて、被告が別口預金の入金額から売上もれと認定した金額一一八万一、二一二円とほぼ見合うから、被告の右認定に不合理はない。以上、五期を通じて、損益面から検討して推計した売上もれ金額の総合計と架空名義の別口預金の入金額から検討して推計した売上もれ金額の総合計を比較すると、前者は一、〇六二万八、一九九円、後者は一、〇七二万九、二五九円となり、両者は殆んど同額に近いものとなる。このことは各期の売上もれについての被告主張金額が実額にもつとも近い金額であることを示しているものとみるべきであつて、被告の主張に不合理はない。
第三 証拠(省略)
○ 理由
第一 原告会社の法人税に対する(再)更正処分の取消請求について一 請求原因1、2の事実は当事者間に争いがない。
二 更正処分の期間遵守について
被告の原告会社に対する昭和三六、三七事業年度の本件各再更正処分が、いずれも国税通則法七〇条一項一号所定の法定申告期限である昭和三七年三月三一日および昭和三八年三月三一日から三年を経過した日以後の昭和四二年三月二〇日付でなされていることは被告の認めるところである。
しかしながら、後記認定のとおり、原告会社はその所得の一部を架空名義の別口預金にして不正の行為により所得を隠ぺいし、法人税額の一部を免れていたのであるから、被告は、国税通則法七〇条二項四号により、法定申告期限から五年を経過する日まで、すなわち、昭和三六事業年度分については昭和四二年三月三一日までに、昭和三七事業年度分については昭和四三年三月三一日までに更正処分をすればよいところ、本件各再更正処分はいずれもそれ以前になされているから適法である。
三 青色申告書提出承認取消処分の効力について
被告が、原告会社に対し、昭和四二年三月七日付で昭和三六事業年度以降の青良申告書提出承認取消処分をしたこと、右処分の通知書には単に

法人税法一二七条一項三号に掲げる事実に該当する。

と記載されているだけで、取消しの原因となる具体的事実の記載のないこと、本件各(再)更正処分の通知書にも理由の附記のな
いことはいずれも被告の認めるところである。
ところで、青色申告書提出承認取消処分の通知書に取消しの原因となる具体的事実の記載がなかつたとしても、右取消処分は当然無効ではなく、単に取消しの原因となるにすぎないものと解すべきところ、原告会社が右取消処分に対して法定期間内に異議申立て、審査請求ならびに出訴期間内に不服の訴えを提起していないことは原告会社の明らかに争わないところであるから、原告会社はもはや右取消処分の効力を争うことはできず、したがつて、原告会社が本件各係争事業年度を通じて青色申告法人であつたことを前提として、本件各(再)更正処分の効力を争う原告会社の主張は主張自体失当であるといわなければならない。
四 本件各(再)更正処分の実体上の適否について
1 本件各係争事業年度末において、被告主張にかかる別表(四)ないし(八)の各預金がその主張のとおりの預金残高で存在していたことは当事者間に争いがないところ、被告は、右各預金は原告会社の売上代金およびリベート収入のなかから簿外預金したもの、すなわち売上計上もれにあたると主張するのに対し、原告会社は、原告会社の代表取締役である原告Aおよびその妻Bが原告会社成立前から所有していた金員ならびに原告会社成立後の同人らの給料その他の収入を入金したものであると主張するので、まず、この点について検討する。
成立に争いのない乙条七二、七三号証の各一、二、乙第七四号証の一、ないし三、乙第七五号証の一、二、乙第七六号証の一ないし三、乙第七八号証の一ないし二九、証人Oの証言(第一回)により成立を認める乙第二ないし第四号証、乙第五号証の一ないし四、乙第六ないし第八号証、乙第一〇ないし第一二号証、乙第一三号証の一ないし三、乙第一四ないし第一六号証、乙第一八ないし第二四号証、乙第二五号証の一、二、乙第二六ないし第二九号証、乙第三一ないし第三五号証、乙第三六、玉七号証の各一、二、乙第三八、三九号証、乙第四〇ないし第四三号証、乙第四四号証の一、二、乙第四五ないし第四七号証、証人Pの証言により成立を認める乙第六二号証の一ないし七、乙第六三、六四号証、証人Oの証言(第二回)により成立を認める乙第六六ないし第六九号証、乙第七〇号証の一ないし三、乙第七一号証、証人O(第一、二回)、同Pの各証言、原告本人兼原告会社代表者尋問の結果の一部および弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。(一) 原告会社は、原告Aが大正一〇年ころから個人で営んでいた米麦、麺類の仕入販売業を昭和二四年六月資本金二〇〇万円で法人組織としたものであるが、昭和三五年ころから急速に普及しはじめたインスタント食品の即席ラーメン、即席焼きそばなどを手がけるようになつて、業績が次第に向上し、昭和三八年には資本金を二、〇〇〇万円に増資して今日に至つたもので、その役員は、原告Aが代表取締役、原告Aの長男Qが専務取締役であるほか、原告Aの一族で占め、その株式も原告Aの一族で保有するいわゆる同族会社であること。
(二) 別表(四)ないし(八)の各預金は、B名義の郵便貯金を除いていずれも架空名義であり、架空名義の別口預金は、本件五係争事業年度を通じて、別表(四)ないし(八)の各預金を含めて、普通預金四口、定期預金七〇口(福銀基山支店六二口、三和久留米支店八口)の多数にのぼり、そのうち定期預金の本件各係争事業年度末の期末現在高をみると、福銀基山支店は、昭和三六事業年度末七七一万九、〇五九円、昭和三七事業年度末八九四万円、昭和三八事業年度末一、一五〇万円、昭和三九事業年度末一、三五五万円、昭和四〇事業年度末一、四六八万八、八四三円であり、三和久留米支店分は、昭和三六事業年度末一六三万〇、三七四円、昭和三七事業年度末一七五万八、二八八円、昭和三八事業年度末一八五万七、三六八円、昭和三九事業年度末一三〇万円(昭和四〇事業年度は全額解約)であり、しかも頻繁に切り替えが行なわれ、切り替えの都度名義を変えていること。(三) 右各預金のうち、普通預金の入出金状況をみると、各年度とも相当まとまつた金が頻繁に出し入れされ、しかも入金額と出金額に殆んど差異が認められないという営業型預金の利用状況がうかがわれること。
(四) 原告Aおよびその妻Bの収入源は、原告会社から原告Aに支給される給料がその主体で、昭和三六ないし昭和四〇事業年度において、原告会社から原告Aに支給された給料は、それぞれ九八万円、一二〇万円、一二六万円、一七七万円、二四〇万円であり、しかも原告Aの右給料は、給料支払日に原告会社の未払金勘定に一応預け入れられ、生活費などに必要の都度、右未払金勘定から払い出されていたこと。
(五) 右架空名義の別口預金は、当時インスタント食品が好況業種であつたのに原告会社の法人税の確定申告額がこれを反映していないとの疑いを持たれて、原告
会社が福岡国税局国税部法人税課の特別調査を受けた際発見されたものであるが、原告Aは右調査官から右預金の資金源を追及された際、右預金が原告会社の売上代金等を入金したものであることを認め、さらに後記のとおり、異議申立の際にも、右預金の一部が原告会社の売上代金等を入金したものであることを認めていること。
以上認定の事実を合わせ考えると、右別口預金の入金に見合う資金源が他に存在する疑いが少なく、普通預金の入出金状況が営業預金としての性格を有し、定期預金が原告Aの貯蓄可能と思われる程度をはるかに超えて増加している状況が認められ、加えて右別口預金が発見された際、原告Aにおいて原告会社の売上代金等を入金したものであることを認めていた事実などにかんがみると、右別口預金は、原告会社の簿外の売上代金の入金によるものと推認するのが相当である。以上の認定に反する証人Rの証言、原告本人兼原告代表者尋問の結果は措信しない。2 そこで、次に、各事業年度ごとに、本件各(再)更正処分の当否について検討する。
(一) 昭和三六事業年度の再更正処分について
(1) 売上計上もれ
前記乙第二ないし第四号証、乙第五号証の一ないし四、乙第六、七号証、証人Oの証言(第一回、以下、O第一回証言という。)によると、当期における原告会社の売上代金およびリベート収入による簿外預金の額は、別表(四)のとおり合計三五六万三、八八〇円であることが認められ、そのうち売上もれ一二万六、八五〇円、リベート収入もれ一五万九、六〇〇円、合計二八万六、四五〇円の利益もれについては、異議申立ての際、原告会社においてこれを認め、したがつて、原告会社の主張額に含まれていることが原本の存在および成立に争いのない甲第一号証によつて明らかであるから、これを控除すると、当期における売上計上もれの額は、三二七万七、四三〇円となる。
(2) 受取利息計上もれ
前記乙第二号証、乙第八号証、O第一回証言にとると、原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息は二〇万五、五五二円(福銀基山支店定期預金分一三万九、三三二円、三和久留米支店定期預金分六万三、九七八円、福銀基山支店普通預金分二、二四二円)であつて、原告会社の帳簿書類に計上されていないことが認められるので、右金額は、原告会社の雑収入の計上もれとなる。
(3) 原材料架空仕入れ
前記乙第三号証、乙第五号証の一、O第一回証言によると、原告会社は、昭和三六年二月一七日スープの原料代として二三万九、八六八円を村井商店に、同年四月四日包装材料費として二五万三、七五〇円を川口和三郎に、同月八日包装材料費として一〇万九、四〇〇円を同人にそれぞれ支払つたようにして、原告会社の当座預金から小切手を振り出し、これをそれぞれ福銀基山支店のD、E、F(いずれも架空)名義の定期預金に入金しているほか、同年三月三日加工費として一万三、一六〇円を平田製麺に支払つたようにして、原告会社の当座預金から小切手を振り出し、これを同銀行のC(架空)名義の普通預金に入金していることが認められるところ、以上合計六一万六、一七八円の原材料架空仕入れのうち、六〇万三、〇一八円については、異議申立ての際、原告会社においてこれを認め、したがつて、原告会社の主張額に含まれていることが前記甲第一号証によつて明らかであるから、これを控除すると、当期における原材料架空仕入れの額は一万三、一六〇円となる。(4) 右(1)ないし(3)の合計三四九万六、一四二円を原告会社の自認する当期の所得金額三〇九万九、八五六円に加算すると、六五九万五、九九八円となり、本件再更正処分の額(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)五五九万五、九九八円を超えるから、本件再更正処分は適法である。
(二) 昭和三七事業年度の再更正処分について
(1) 売上計上もれ
前記乙第一〇、一一号証、第一三号証の一ないし三、第一四号証、O第一回証言によると、当期における原告会社の売上代金による簿外預金の額は、別表(五)1のとおり合計一八九万九、六〇〇円であることが認められ、前記乙第一五号証、O第一回証言によると、当期における原告会社の売上代金による簿外貸付金の額は、別表(五)2のとおり四万円であることが認められ、以上合計一九三万九、六〇〇円の売上計上もれのうち、福銀基山支店のG名義の定期預金に預け入れた三〇万円のうち二九万九、七〇〇円については、異議申立ての際、原告会社において売上代金から入金したものであることを認め、したがつて、原告会社の主張額に含まれてい
ることが原本の存在および成立に争いのない甲第二号証によつて明らかであるから、これを控除すると、当期における売上計上もれの額は、一六三万九、九〇〇円となる。
(2) 受取利息計上もれ
前記乙第一〇号証、乙第一二号証、乙第一三号証の一ないし三、乙第一六号証、O第一回証言によると、原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息は、六八万五、四五五円(福銀基山支店定期預金分五五万五、九六一円、三和久留米支店定期預金分一二万七、九一四円、福銀基山支店普通預金分一、五八〇円)であつて、原告会社の帳簿書類に計上されていないことが認められるので、右金額は、原告会社の雑収入の計上もれとなる。
(3) 事業税認定損
法人の所得の計算上、前事業年度分に対する事業税は、当期において損金に算入するものとされているから、前期の裁決による所得金額五五九万五、九〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し、昭和三七年三月法律第五一号による改正前の地方税法七二条の二二の税率、すなわち、五〇万円以下の金額の七パーセント、五〇万円を越え一〇〇万円以下の金額の八パーセント、一〇〇万円を超え二〇〇万円以下の金額の一〇パーセント、二〇〇万円を超える金額の一二パーセントの税率を適用して算出した事業税六〇万六、五〇〇円から、証人Oの証言(第三回、以下、O第三回証言という。)によつて認められる納付ずみの、前期の更正処分による所得金額二二一万〇、三〇〇円(一〇〇〇円未満切捨)に対し、同様の税率を適用して算出した事業税二〇万〇、二三〇円を控除した四〇万六、二七〇円は、損金として、原告会社の所得から減算すべきである。
(4) 右(1)、(2)の合計二三二万五、三五五円から、原告会社の自認する当期における欠損金額一七三万〇、五二七円および右(3)の事業税認定損四〇万六、二七〇円をそれぞれ減算すると、一八万八、五五八円となり、本件再更正処分の額(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)一八万八、五五八円と一致するから、本件再更正処分は適法である。
(三) 昭和三八事業年度分の再更正処分について
(1) 売上計上もれ
前記乙第一八号証、乙第二二号証、乙第二四号証、乙第二五号証の一、二、乙第二六号証、O第一回証言によると、当期における原告会社の売上代金による簿外預金の額は、別表(六)1のとおり合計二三二万一、〇〇〇円であることが認められ、前記乙第二七号証、O第一回証言によると、当期における原告会社の売上代金による簿外貸付金の額は、別表(六)2のとおり二、五二五円であることが認められ、また前記乙第二八号証、O第一回証言によると、原告会社は、当期において、別表(六)3のとおり、原告会社の売上代金のうち一五万九、二三〇円を原告Aの妻Bの土地購入代金に充てていることが認められ、以上合計二四八万二、七五五円の売上計上もれのうち、六三万八、〇〇〇円については、異議申立ての際、原告会社において売上代金から入金したものであることを認め、したがつて、原告会社の主張額に含まれていることが原本の存在および成立に争いのない甲第三号証によつて明らかであるから、これを控除すると、当期における売上計上もれの額は、一八四万四、七五五円となる。
(2) 受取利息計上もれ
前記乙第一八号証、乙第二〇号証、乙第二三、二四号証、乙第二五号証の一、二、乙第二九号証、O第一回証言によると、原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息は五九万一、七三八円(福銀基山支店定期預金分四九万一、五二四円、三和久留米支店定期預金分九万九、〇八〇円、福銀基山支店普通預金分一、一三四円)であり、また前記乙第二〇号証、乙第二七号証、O第一回証言によると、久井本店およびIに対する各簿外貸付金について、当期に、それぞれ二、七七〇円および三万円の利息が生じ、以上合計六二万四、五〇八円の利息はいずれも原告会社の帳簿書類に計上されていないことが認められるので、右金額は、原告会社の雑収入の計上もれとなる。
(3) 事業税認定損
前期の裁決による所得金額一八万八、五〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し(前期の更正処分による所得金額は欠損であるから、納付ずみの事業税はない。)、昭和三九年三月法律第二九号による改正前の地方税法七二条の二二による税率、すなわち、一〇〇万円以下の金額の六パーセントの税率を適用して算出した事業税一万一、三一〇円は、前期同様、損金として、原告会社の所得から減算すべきである。
(4) 青色申告書提出承認取消しにともなう価格変動準備金、貸倒引当金繰入調整
原告会社が昭和三六事業年度以降青色申告書提出承認を取り消されたことは前記のとおりであるから、価格変動準備金、貸倒引当金の損金算入が認められなくなつたところ、成立に争いのない甲第八〇号証の一、二、O第三回証言により成立を認める甲第八三号証の二、五および同証言によると、価格変動準備金の繰入超過額三万四、〇三二円および貸倒引当金の繰入超過額一万九、〇九四円が、被告主張のとおり重複して所得に加算されていることが認められるので、右各金額は、原告会社の所得から減算すべきである。
(5) 右(1)、(2)の合計二四六万九、二六三円を原告会社の自認する当期の所得金額二三二万五、五六二円に加算すると、四七九万四、八二五円となり、右金額から右(3)、(4)の合計六万四、四三六円を減算すると、四七三万〇、三八九円となり、本件再更正処分の額(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)四二七万二、八四四円を越えるから、本件再更正処分は適法である。(四) 昭和三九事業年度の更正処分について
(1) 売上計上もれ
前記乙第三一号証、乙第三四、三五号証、乙第三六、三七号証の各一、二、O第一回証言によると、当期における原告会社の売上代金による簿外預金の額は、別表(七)のとおり合計一八一万〇、八一二円であることが認められ、前記乙第三二号証、O第一回証言によると、別表(七)2のとおり、昭和三九年一〇月一六日、福銀基山支店からの借入金に返済された一〇万円のうち、五万一、〇〇〇円は、原告会社の売上代金から支出されたことが認められ、以上合計一八六万一、八一二円は当期における原告会社の売上計上もれである。
(2) 受取利息計上もれ
前記乙第三一号証、乙第三五号証、乙第三六号証の一、二、乙第三九号証、O第一回証言によると、原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息は、六三万一、四二一円(福銀基山支店定期預金分五二万六、六〇五円、三和久留米支店定期預金分一〇万二、三八二円、福銀基山支店普通預金分二、四三四円)であり、また前記乙第三三号証、乙第三八号証、O第一回証言によると、IおよびJに対する各簿外貸付金について、当期に、それぞれ三万円および一万九、四七五円の利息が生じ、以上合計六八万〇、八九六円の利息はいずれも原告会社の帳簿書類に計上されていないことが認められるので、右金額は、原告会社の雑収入の計上もれとなる。(3) 事業税認定損
前期の裁決による所得金額四二七万二、八〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し、昭和三九年三月法律第二九号による改正前の地方税法七二条の二二による税率、すなわち、一〇〇万円以下の金額の六パーセント、一〇〇万円を超え二〇〇万円以下の金額の九パーセント、二〇〇万円を超える金額の一二パーセントの税率を適用して算出した事業税四二万二、七三〇円から、O第三回証言によつて認められる納付ずみの、前期の更正処分による所得金額五三万七、五〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し、同様の税率を適用して算出した事業税三万二、二五〇円を控除した三九万〇、四八〇円は、前期同様、損金として、原告会社の所得から減算すべきである。(4) 青色申告書提出承認取消しにともなう価格変動準備金、貸倒引当金繰入調整
成立に争いのない甲第八一号証の一、二、O第三回証言により成立を認める甲第八三号証の三、五および同証言によると、原告会社は、前期における価格変動準備金繰入超過額三万四、〇三二円を当期において所得から減算するとともに、当期における価格変動準備金繰入超過額五、九七〇円を所得に加算していること、また前期における貸倒引当金繰入超過額一万九、〇九四円を当期において所得から減算するとともに、当期における貸倒引当金繰入超過額一万〇、一八四円を所得に加算していることが認められるので、被告主張のとおり、右価格変動準備金繰入超過額の差額二万八、〇六二円および右貸倒引当金繰入超過額の差額八、九一〇円はいずれも所得に加算すべきである。
(5) 右(1)、(2)、(4)の合計二五七万九、六八〇円を原告会社の自認する当期の所得金額二九〇万二、二四四円に加算すると、五四八万一、九二四円となり、右金額から右(3)の三九万〇、四八〇円を減算すると、五〇九万一、四四四円となり、本件更正処分の額(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)五一三万六、四四四円に満たないから、本件更正処分は、五〇九万一、四四四円の範囲内においては適法であるが、これを超える部分については違法であり、取消し
を免れない。
(五) 昭和四〇事業年度の再更正処分について
(1) 売上計上もれ
前記乙第四〇号証、乙第四二、四三号証、乙第四四号証の一、二、乙第四五号証、O第一回証言によると、当期における原告会社の売上代金による簿外預金の額は、別表(八)のとおり合計一一八万一、二一二円であること、そのうち三〇万円は原告会社において労働組合に対し、営業外経費として、支出していることが認められるので、右一一八万一、二一二円から右三〇万円を控除した八八万一、二一二円が当期における原告会社の売上計上もれである。
(2) 受取利息計上もれ
前記乙第四〇、四一号証、乙第四四号証一、二、乙第四七号証、O第一回証言によると、原告会社の架空名義の別口預金から当期に生じた利息は、六八万四、九五四円(福銀基山支店定期預金分六八万二、八二八円、同支店普通預金分二、一二六円)であり、また前記乙第四六号証、O第一回証言によると、KおよびLに対する各簿外貸付金について、当期に、それぞれ五、〇〇〇円および一万五、〇〇〇円の利息が生じ、以上合計七〇万四、九五四円の利息はいずれも原告会社の帳簿書類に計上されていないことが認められるので、右金額は、原告会社の雑収入の計上もれとなる。
(3) 事業税認定損
前記認定の前期の所得金額五〇九万一、四〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し、昭和四九年三月法律第一九号による改正前の地方税法七二条の二二の税率、すなわち、一五〇万円以下の金額の六パーセント、一五〇万円を超え三〇〇万円以下の金額の九パーセント、三〇〇万円を超える金額の一二パーセントの税率を適用して算出した事業税四七万五、九六〇円から、O第三回証言によつて認められる納付ずみの、前期の確定申告による所得金額二三五万二、二〇〇円(一〇〇円未満切捨)に対し、同様の税率を適用して算出した事業税一六万六、六九〇円を控除した三〇万九、二七〇円は、前期同様、損金として、原告会社の所得から減算すべきである。(4) 青色申告書提出承認取消しにともなう価格変動準備金、貸倒引当金、退職給与引当金繰入調整
成立に争いのない乙第八二号証、O第三回証言により成立を認める乙第八三号証の四、五および同証言によると、原告会社は、被告主張のとおり、当期における価格変動準備金繰入超過額六万四、〇三〇円を重複して所得に加算するとともに、前期において価格変動準備金繰入超過額として所得に加算した五、九七〇円を当期の所得より減算していること、当期における貸倒引当金繰入超過額四万五、三五八円を重複して所得に加算するとともに、前期において貸倒引当金繰入超過額として所得に加算した一万〇、一八四円を当期の所得より減算していること、当期における退職給与引当金繰入超過額一万四、〇二〇円を重複して所得に加算していることが認められるので、右価格変動準備金繰入超過額の差額五万八、〇六〇円、右貸倒引当金繰入超過額の差額三万五、一七四円および右退職給与引当金繰入超過額一万四、〇二〇円はいずれも所得から減算すべきである。
(5) 右(1)、(2)の合計一五八万六、一六六円を原告会社の自認する当期の所得金額五八八万六、二二一円に加算すると、七四七万二、三八七円となり、右金額から右(3)、(4)の合計四一万六、五二四円を減算すると、七〇五万五、八六三円となり、本件再更正処分の額(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)七〇五万〇、四六三円を超えるから、本件再更正処分は適法である。五 本件各重加算税の賦課決定処分について
昭和三九事業年度を除く本件各事業年度の再更正処分が適法であることは前記のとおりであり、かつ原告会社が所得の一部を隠ぺいして簿外預金を作り出していることは前記認定のとおりであるから、これに付随してなされた右各事業年度の各重加算税賦課決定処分も適法である。
しかし、昭和三九事業年度の更正処分のうち、所得金額五〇九万一、四四四円を超える部分が取消しを免れないものであることは前記のとおりであるから、これに付随してなされた同事業年度の重加算税賦課決定処分も右に対応する部分については取消しを免れないが、その余の部分については適法である。
第二 原告会社に対する源泉徴収所得税の納税告知処分の取消請求について一 請求原因4、5の事実は、当事者間に争いがない。
二 前記乙第一〇号証、乙第一三号証の一ないし三、乙第一四号証、乙第一九号証、乙第二四号証、乙第二五号証の一、二、乙第二六号証、乙第二八号証、乙第三
一号証、乙第三四、三五号証、乙第三六、三七号証の各一、二、乙第四〇、四一号証、乙第四三号証、乙第四四号証の一、二、乙第四五号証、乙第六六ないし第六九号証、乙第七〇号証の一ないし三、乙第七一号証、証人Oの証言(第二回)によると、被告は、原告会社の簿外預金の本件各係争事業年度における期末現在高から期首繰越高を差し引いた分について、資産化されたものを除き、資産化状況の不明なものをすべて原告会社の代表者原告A個人に対する賞与と認定して、原告会社に対し、源泉徴収所得税の本件各納税告知処分および不納付加算税賦課決定処分をしていることが認められる。
しかし、原告会社が原告Aに賞与を支給したものとして、原告会社に対し、源泉徴収所得税を賦課するためには、原告Aに賞与として支給されたことおよびその額が確定されることを要するものというべきところ、本件全証拠によるも、本件各係争年度において、被告が原告Aの賞与として認定した額が、原告Aに賞与として支給されたことを認めるに足りる証拠はない。
してみると、被告が原告会社に対してなした本件各係争年度の源泉徴収所得税納税告知処分および不納付加算税賦課決定処分(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)は、いずれも違法として、取消しを免れない。
第三 原告Aの所得税に対する(再)更正処分の取消請求について一 被告の本案前の主張について
原告Aが昭和四〇年度分所得税の再更正処分の取消しを求める訴えについて、不服申立てを経由していないことは当事者間に争いがない。
そこで、右訴えの適否について検討する。被告が原告Aの昭和四〇年度分所得税の確定申告について、昭和四二年三月二二日付で更正処分をしたこと、原告Aが右更正処分について同年四月二〇日被告に対し異議の申立てをしたところ、右異議申立てが審査請求とみなされ、福岡国税局長が昭和四三年四月八日、原告Aの所得を更正処分額を上回る四三二万三、三五九円と認定して、右審査請求を棄却したこと(成立に争いのない甲第二五号証、甲第二九号証の一、二によると、右裁決書の謄本が原告Aに送達されたのは、同年五月一五日以後であることが明らかである。)、そして被告が同年五月一五日付で、原告Aの所得を福岡国税局長の認定どおり増額する旨の本件再更正処分をしたことは当事者間に争いがなく、本件訴えが同年八月一四日提起されたことは本件記録上明らかである。
ところで、更正処分に対する所定の不服申立手続をすでに経由し、当該更正処分に対する出訴期間内でかつその出訴前に再更正処分がなされた場合、当該再更正処分について、さらに所定の不服申立手続を経由しなければ訴えの提起ができないとすることは、納税者に対し、いたずらに繁雑な手続を強制するものであるから、このような場合は、再更正処分について、国税通則法八七条一項四号後段のその他その決定又は裁決を経ないことにつき正当な理由があるときに該当するものと解するのが相当である。したがつて、原告Aの昭和四〇年度分所得税再更正処分の取消しを求める本件訴えは適法である。
二 本案について
請求原因7、8の事実は当事者間に争いがない。
しかしながら、原告Aの所得税に対する本件各(再)更正処分は、原告Aに対する認定賞与の発生にともない、同人に対する給与所得がその分だけ増加したものとして、同人の本件各係争年度の確定申告額に認定賞与額を加算してなされたものであることは、被告の主張自体から明らかであるところ、前記のとおり、原告Aに被告主張の認定賞与が支給されたことを認めるに足りる証拠はないから、本件各(再)更正処分(ただし、昭和三八年度分、昭和三九年度分については、裁決により取り消された部分を除く。)のうち、原告Aにおいて自認する確定申告額を超える部分は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも違法であつて取消しを免れない。
第四 結論
以上のとおりであるから、原告会社の本訴請求中、昭和三九事業年度分法人税に対する更正処分および重加算賦課決定処分(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)のうち、所得金額五〇九万一、四四四円を超える部分および本件各係争年度の源泉徴収所得税納税告知処分および不納付加算税賦課決定処分(ただし、裁決により取り消された部分を除く。)の各取消しを求める部分は、いずれも正当であるからこれを認容するが、その余の請求は失当であるからこれを棄却し、原告Aの本訴請求はいずれも正当であるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 塩田駿一 坪井俊輔 片桐春一)
別表(省略)

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