判例検索β > 平成6年(行コ)第2号
処分取消請求控訴事件
事件番号平成6(行コ)2
事件名処分取消請求控訴事件
裁判年月日平成6年12月9日
法廷名仙台高等裁判所
判示事項1 建設業法(平成6年法律第63号による改正前)29条5号にいう「不正の手段」の意義 2 法人である建設業者の代表者以外の役員又は従業員の行為と建設業法(平成6年法律第63号による改正前)29条5号にいう「不正の手段」 3 建設業を営む株式会社が不正の手段により特定建設業の許可の更新を受けたとしてされた当該許可の取消しが,適法とされた事例
裁判要旨1 建設業法(平成6年法律第63号による改正前)の定める建設業の許可制度は,建設業を営むことを原則として禁止し,施工能力,資力,信用の点からの一定の許可基準を設けてこれに適合する者のみに営業を許すものであり,もって建設工事の適正な施工を確保し,発注者の保護を図るとともに,建設業の健全な発達を促進することを目的とする制度であって,同法29条に定める建設業の許可の取消しは,許可制度の実効性を担保するために設けられた許可行政庁の監督処分であると解されるから,同条5号にいう「不正の手段」とは,許可行政庁の判断を誤らせるべく許可申請書やその添付書類に虚偽の記載をしたり,許可の審査に関連する行政庁の照会,検査等に対して虚偽の回答等をしたり,あるいは暴行,脅迫等の不正な行為をしたりすることを指すものと解するのが相当である。 2 建設業者が法人である場合において,当該法人の代表者以外の役員又は従業員により建設業の許可又はその更新の申請手続がされ,それらの行為者が故意に「不正の手段」を用いたときは,たとえ当該代表者において「不正の手段」を用いることの認識がなかった場合であっても,当該行為者の行為について当該代表者に監督上の責任がないと認められるなど,これを当該法人の行為と同視することができないような特段の事情がある場合を除き,当該法人において故意に「不正の手段」を用いたものと同視するのが相当である。 3 建設業を営む株式会社が不正の手段により特定建設業の許可の更新を受けたとしてされた当該許可の取消しにつき,当該許可の更新の手続は,前記株式会社の取締役及び従業員によってされたところ,それらの者は故意に資本の額を過大に偽った商業登記簿謄本を知事に提出したものであり,これについて前記株式会社の代表者に監督上の責任がないと認めるべき特段の事情はないから,同株式会社には建設業法(平成6年法律第63号による改正前)29条5号に該当する事由があるなどとして,前記取消しが適法とされた事例
裁判日:西暦1994-12-09
情報公開日2017-10-19 23:14:51
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○ 主文
本件控訴を棄却する
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
控訴人は、一原判決中、控訴人に関する部分を取り消す。被控訴人が平成四年七月二一日付宮城県(監)達第一号をもってした控訴人に対する特定建設業の許可の取消処分を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。
当事者双方の主張は、次のほかは、原判決の事実摘示のうち第二 当事者の主張中控訴人と被控訴人に関する部分のとおりであり、証拠関係は、記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これらを引用する(ただし、原判決六枚目裏五行目のII五(2)をII五(二)と訂正する。)。
(控訴人)
一 控訴人が、所定の期日までに建設業法の求める資本額を満足させる手続を行わなかったことは、控訴人の使用人であるAのミスであり、会社役員の関知しないところである。本件では、代理もしくは委任関係は、控訴人と控訴人代表者との間の問題であり、Aは履行補助者の関係に立つのみであって、Aの行為は控訴人には何らの影響を及ぼさない。したがって、Aが会社の登記簿謄本を偽造したとしても、その効果はA自身が負うのみで、控訴人に影響を及ぼすものではない。また、代表者の監督責任も、偽造か否かを点検せよとまでは言い得ない。二 建設業法三二条に定める聴聞は、憲法上の要請に基づく国民の権利保護の目的に沿うものであるから、聴問の外形をとったというだけでは不十分である。しかるに、本件では、聴聞を行ったとはいうものの、その内容は誘導尋問の連続であり、これによって、被聴聞者をして、行政が行わんとしている処分の理由、これに対する反論並びに行わんとしている処分の瑕疵を判断せしめる材料とはならず、聴問の目的を達し得ないものといわなければならない。
三 原判決の判断は、徒に形式に走るのみであって、その理由は不備であり、その効力を維持するに不十分なものである。
○ 理由
当裁判所も、控訴人の請求を棄却すべきものと判断するが、その理由は、原判決の理由の記載中、控訴人に関する部分のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決一三枚目表一〇行目のII五(2)をII五(二)と訂正する。)。
控訴人は、当審において、控訴人の登記簿謄本の偽造は、Aが独断で行ったものであり、控訴人代表者ら会社役員は、全く関知しないところであるから、控訴人には責任がない旨及び聴問手続は違法である旨の原審での主張を、繰り返し主張するが、右各主張は理由がないことは、原判決説示のとおりである。よって、本件控訴は理由がないから、主文のとおり判決する。
(裁判官 武田平次郎 栗栖 勲 荒井純哉)

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