判例検索β > 平成10年(行コ)第32号
消費税更正処分等取消請求控訴事件(原審 津地方裁判所平成6年(行ウ)第9号)
事件番号平成10(行コ)32
事件名消費税更正処分等取消請求控訴事件(原審 津地方裁判所平成6年(行ウ)第9号)
裁判年月日平成12年3月24日
法廷名名古屋高等裁判所
判示事項消費税法(平成6年法律第109号による改正前)30条7項にいう「帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たるとして,同条1項に基づく課税仕入れに係る消費税額の控除を認めないとしてした消費税の更正が,適法とされた事例
裁判要旨消費税法(平成6年法律第109号による改正前)30条7項にいう「帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たるとして,同条1項に基づく課税仕入れにかかる消費税額の控除を認めないとしてした消費税の更正につき,同条7号,8項1号,9項1号が仕入れ税額の確認手段を帳簿等に限定し,その記載事項を厳格に法定している趣旨が課税庁の正確かつ迅速な申告内容の確認ということにあることからすると,同条7項にいう帳簿又は請求書等の「保存」とは,単に物理的な保存では足りず,また,帳簿等が作成された後のある時点で帳簿等が提示できる状態になっていればよいというものではなく,少なくとも当該帳簿等の内容が記載された取引にかかる課税期間の末日後は継続して,税務調査等のため税務職員等により適法な提示要求がされたときには,直ちに応じることができる状態になっていることをいうと解されるところ,税務調査等のため前記提示要求がされたにもかかわらず,正当な理由なく納税者がこれに応じなかったときは,その時点において帳簿等の保存がなかったことが事実上推定され,反証のない限り,仕入れ税額控除は認められないことになると解すべきであり,前記事実上の推定は,その後の訴訟手続等の時点において帳簿等の保存が確認されたからといって,それだけで直ちに覆されるものではなく,前記税務調査等の時点において帳簿等の保存がされていたことを推認させる事実の具体的な立証がされてはじめて覆されると解するのが相当であるとした上,当該税務調査等の時点において帳簿等が保存されていたことを推認させる事実の具体的な立証があったということはできず,前記の時点において帳簿等の保存がなかったことの事実上の推定が覆されることはないとして,前記消費税の更正を適法とした事例
裁判日:西暦2000-03-24
情報公開日2017-10-19 22:39:58
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主 文
本件控訴を棄却する
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一 当事者の求める裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対して平成五年三月三一日付で行った平成元年五月一日から平成二年四月三〇日までの課税期間の消費税の更正処分のうち納付すべき税額三〇五万五六〇〇円を超える部分を取り消す。
3 被控訴人が控訴人に対して前同日付で行った平成二年五月一日から平成三年四月三〇日までの課税期間の消費税の更正処分のうち納付すべき税額二八四万〇七〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定のうち三万三〇〇〇円を超える部分を取り消す。
4 被控訴人が控訴人に対して前同日付で行った平成三年五月一日から平成四年四月三〇日までの課税期間の消費税の更正処分のうち納付すべき税額二八一万六二〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定のうち三万円を超える部分を取り消す。
5 訴訟費用は、第一、二審を通じ、被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文と同旨
第二 事実関係
次のとおり補正するほか、原判決の事実及び理由欄の第二の記載を引用する。
1 原判決五頁七行目の取消しの前に各一部のを付加する。2 同六頁一行目の五条の次に一項を付加し、八行目の消費税額の次に(以下「仕入税額という。)」を付加し、九行目の課税仕入れの、一一行目の課税仕入れ等のをそれぞれ仕入と訂正する。3 同一四頁四行目の以外のを

を保存していない場合に、他の

と訂正する。
4 同一五頁五行目のに益税が発生するをが売上げによって支払を受けた預り金的性格を有する消費税を不当に利得する結果となると、同行目のていることからを

、当該課税仕入れを行った課税期間において仕入税額控除をすることとされており、売上げに係る税額から仕入税額が控除しきれない場合には還付する制度をとっているため、他の税目の税に比べて

と各訂正し、六行目のインボイス方式の次に(課税仕入れにつき仕入先にインボイス(税額票)を作成させて課税仕入額及び仕入税額を把握する方式)を付加する。5 同一七頁八行目の課税仕入れに係る消費税額を仕入税額と訂正する。6 同一七頁九行目の納税地の次に

(法二二条により、控訴人については控訴人の本店の所在地を指す。)

を付加する7 同一八頁七行目の又はを及びと、一一行目の法を同法と各訂
正し、一九頁六行目のしているがの次に

(所得税法一四八条、同法施行規則六三条)

を付加する。8 同二〇頁一行目の認められるを

ないことが確認できないことから、帳簿等を保存しない場合にあたるとはいえない

と訂正する。9 同二三頁四行目のaの次に(以下「aという。)」を、同行目のbの次に(以下「bという。)」を、一〇行目のcの次に(以下「c税理士又はcという。)」を各付加し、二四頁一行目のdを控訴人の代表取締役であるdと訂正し、二八頁六行目のe統括官の次に以下「eという。)」を付加する。10 同三二頁四行目の消費税の更正を本件各と訂正し、六行目の更正処分及び賦課決定を本件各処分と訂正する。11 同三二頁七行目の帳簿の次に等を、一〇行目の本件の次に各を、三三頁四行目の「められる。」の次に

控訴人提出の請求書及び納品書についても、その合計額は、控訴人が行った本件係争各事業年度の消費税確定申告書における課税仕入額と一致していない。

を、同行目の誤りの次に及び不一致を各付加する。12 同三三頁七行目の更正の前に本件を、三四頁二行目の帳簿、六
行目の帳簿の次にそれぞれ等を各付加し、九行目の帳簿提示を帳簿等の提示と訂正し、三五頁一行目の消費税を削除する。13 同三六頁一行目の過少申告加算税を本件と訂正し、四行目の過少申告加算税のを削除する。14 同三六頁八行目の非累積税たるを

製造、卸売り、小売りの各段階において課税される多段階型である一方、右の各段階における課税の累積を排除する非累積型の付加価値税である

と訂正し、三七頁一行目の意味するの次に

ものであり、法及び令に従った帳簿等の保存という以上の限定が付されるべきものではない

を付加し、七行目の

現行消費税法は、

法の定める消費税は、前記のとおり

と訂正する。15 同三九頁二行目のの保存から要件までをを保存しない場合には仕入税額控除をしないもの」と、三行目の客観的・物理的に保存を法及び令の定めるところに従って客観的に保持・保管と、四行目のそれ以外の何ものでもないをそれ以上の限定が付されるべきものではないと各訂正する。16 同四四頁一〇行目と一一行目との間に次のとおり挿入する。3 控訴人は、課税仕入れにかかる帳簿等として、①総勘定元帳(控訴人のすべての取引が記入されている。)、②仕入先別元帳(控訴人の扱う商品の仕入関係のすべてが記入されている。)、③経費につき、人件費は給与台帳及び源泉徴収簿、電気・ガス・水道・電話・地代家賃等は銀行勘定照合表、入出金は現金出納帳、④請求書、⑤領収証、⑥保守契約書、⑦ノートを保存している。そして、その記載内容は、当事者、日時、金額において符合している。これらの帳簿等は、控訴人の事務所内のスチール棚に収納されており、請求書、領収証等はそれぞれ一か月ごとに綴じ、一年分は事務所内の戸棚にしまい、前年分はダンボール箱に入れて控訴人事務所敷地内の商品倉庫の一画に収納されている。また、控訴人は、税務職員が平成四年八月二七日に控訴人事務所に臨場した際には、これらの帳簿等を事務所二階の役員室に並べ、税務職員の提示要求に対して直ちに提示できる状態で待機していた。したがって、控訴人については、法三〇条七項本文に該当する事実はない。4 控訴人においては、書証で提出してあるとおり、帳簿や請求書類はすべて揃っており、しかも帳簿等はコンピューターによって作成されているのであり、これに加え、帳簿や請求書、領収証の部数、請求書、領収証の作成者の業態、帳簿と請求書、領収証の日付、当事者、金額が符合していること、これらの記載は消費税申告書の記載内容とも符合していること、保存者の業態等諸般の事情を総合すると、経験則上、これらの帳簿等が当初から保存されていたと推認されるべきである。被控訴人も、異議申立段階における調査においては、控訴人が帳簿等を保存している事実を確認し、これを確認した税務職員は、それらの帳簿等が当初調査時において既に保存されていたものと認められる旨を述べていたのであるから、このことからも、右の推認がされるべきことが明らかである。17 同四四頁一一行目の3を5と訂正する。
18 同五〇頁九行目のものをもとと訂正する。
19 同五一頁二行目から三行目にかけてのには原告事務所にはいなかったしを次のとおり訂正する。

は、東京の第一ホテルを午前一一時ころにチェックアウトし、昼ころに同行メンバーとともに東京都内の「たいめい軒

という食堂で昼食をとり、東京駅午後一時発の新幹線で名古屋駅に午後三時に到着し、その後、訴外株式会社ACCの専務取締役fと会い、名古屋市内のすず家という飲食店で同人と食事をしたが、すず家の開店は午後五時であるから、同店で食事をしたのは午後五時以降であり、したがって、午後五時までに津市内の控訴人事務所に戻ることは不可能であった。また、dは」
20 同五一頁五行目の末尾に

また、税務職員は、関与税理士がいる場合には、調査の日程等の打合せにつき、税理士を抜きにして本人と連絡をとらないのが通常であるから、a及びbがd本人に電話をしたということ自体が不自然である。

21 同五二頁一行目の4を6と、五三頁八行目の関わらずをかかわらずと、九行目の3を5と各訂正する。22 同五四頁二行目の

したとしても、

の次に

控訴人に対する税務調査の方法やその後の措置については、次のとおり不適切なものがあり、したがって、このような場合において帳簿等の提示が拒否されたからといって、帳簿等の不保存を推定し、

を付加する。23 同五五頁一行目の「いない。」の次に次のとおり付加する。被控訴人は、十分な教示をしたと主張するが、教示をした者、教示の内容に関する被控訴人の主張や担当者の供述は変転しているうえ、「納税者に対し、法三〇条一項の規定は帳簿または請求書等の保存がある場合に限り適用される旨を再三にわたり教示し、帳簿または請求書等の提示を求めたにもかかわらず、調査担当者に対して帳簿または請求書等の提示がない場合には、同条七項のただし書の適用がある場合を除き、同条一項の規定は適用しないという内容の取扱通達が発遣されたのは平成四年一二月であり、それまでは、税務署においても、税務調査において帳簿等の提示を拒否した場合が帳簿等を保存しない場合にあたるという解釈は通用しておらず、調査担当者には再三にわたる教示の必要性ということはまったく念頭になかったのであるから、控訴人に対して必要な教示がされていないことは明らかである。」24 同五五頁五行目の末尾に次のとおり付加する。
第四に、cとeとの電話による折衝で、cがeに対し、dが身分証明書のコピーを要求しているのならそれを認めたらどうかと発言したとしても、被控訴人としては、その後直ちに本件各処分に移行するのではなく、再度c及びdと面会し、両者に対し、これをもって調査を打ち切れば仕入税額控除否認の更正処分を行う意思であることを表明すべきであり、本件各処分に至る前の段階でも、修正申告をするかどうかの意思確認をすべきであったのに、被控訴人は、これらの手続を経ることなく、突然本件各処分を行ったものである。25 同五五頁八行目と九行目との間に次のとおり挿入する。
(四) 控訴人が本件訴訟で提出した帳簿の記載中には、法三〇条八項一号の記載要件を欠いているものがあるが、国税庁は、法施行の当初、法の弾力的運用をうたい、事業者が消費税の取扱いに不慣れな間は法令どおりの厳格な運用をしなかったという経緯があり、控訴人が提出した帳簿の記載中に前記記載要件を欠いているものについても、その大半については領収証が保存されているから、仕入税額控除は認められるべきである。(五) 控訴人の平成二年四月期から平成四年四月期までの各年度の課税標準額、売上消費税額、課税仕入額、仕入消費税額、納付すべき税額は次のとおりである。また、これに基づくと、平成三年四月期の過少申告加算税は三万三〇〇〇円、平成四年四月期の過少申告加算税は三万円となる。(1) 平成二年四月期課税標準額 五億一五八〇万五〇〇〇円売上消費税額 一五四七万四一五〇円課税仕入額 四億一三九四万八五一二円仕入消費税額 一二四一万八四五五円納付すべき税額 三〇五万五六〇〇円(2) 平成三年四月期課税標準額 四億二二一三万八〇〇〇円売上消費税額 一二六六万四一四〇円課税仕入額 三億二七四四万七三〇九円仕入消費税額 九八二万三四一九円納付すべき税額 二八四万〇七〇〇円(3) 平成四年四月期課税標準額 四億一五八二万二〇〇〇円売上消費税額 一二四七万四六六〇円課税仕入額 三億二一九四万八一〇一円仕入消費税額 九六五万八四四三円納付すべき税額 二八一万六二〇〇円26 同五六頁六行目と七行目との間に次のとおり挿入する。

4 控訴人が書証として提出している帳簿等は、法三〇条八項一号、九項一号の要件を具備しているか。5 控訴人が納付すべき消費税額。

第三 当裁判所の判断
一 次のとおり補正するほか、原判決の事実及び理由欄の第三の記載を引用する。
1 原判決六〇頁二行目のの保存を仕入税額控除の要件としを

を保存していない場合には仕入税額控除をしないこととし、かつ

と、八行目のの保存から要件であるまでをを保存しない場合には仕入税額控除をしないこととしている」と各訂正する。

2 同六一頁六行目の(1)を削除し、七行目の納付金額を納付税額と、六二頁八行目の納税者の益税をそのような預り金的性質を有する消費税を納税者が不当に利得する結果と各訂正する。3 同六三頁四行目のしようの次にとを付加し、七行目から七五頁一行目までを次のとおり訂正する。
(三) このことは、帳簿等の記載事項の法定化ということについても同様にあてはまるものであり、法三〇条八項一号、九項一号が帳簿等の記載事項について厳格な要件を規定しているのも、その帳簿等自体によって、税務署長等が正確かつ迅速に広い範囲の申告内容を確認し、効率的な税務調査を実現することを目的としたものであり、他の証憑類によってこれに代替させることを許さない趣旨のものであると解される。すなわち、帳簿等が、単に事業者にとって仕入税額を管理するためのものであるならば、帳簿等自体の記載要件を厳格に法定する必要はなく、他の証憑類によってその管理ができる場合にはそれを排除する必要はないはずである。しかし、法三〇条八項一号、九項一号は、そのような考え方をとらず、帳簿等自体についてその記載要件を厳格に法定しているのであり、これは、帳簿等の保存を要求した趣旨につき、事業者にとっての仕入税額の管理ということよりも、税務署長等による正確かつ迅速な申告内容の確認と効率的な税務調査の実現を主眼としたものとみるほかないものである。(四) 仕入税額の確認は、課税庁のみならず、裁決庁及び裁判所も行うものであることは当然であるが、右のとおり、法三〇条七項、八項一号、九項一号が仕入税額の確認手段を帳簿等に限定し、その記載事項を厳格に法定している趣旨が課税庁の正確かつ迅速な申告内容の確認ということにあることからすると、法三〇条七項にいう帳簿等の「保存とは、単に物理的な保存では足りず、税務調査等のために税務職員等により適法な提示要求がされたときには、これに直ちに応じることができる状態での保存を意味すると解するのが相当である。すなわち、ここでいう保存とは、帳簿等が作成された後のある時点、例えば取消訴訟の係属中という一時点で帳簿等
が提示できる状態になっていればよいというものではなく、少なくとも当該帳簿等の内容が記載された取引にかかる課税期間の末日後は継続してそのような状態になっていなければ、帳簿等の保存がされていないという要件に該当すると解されるものであって、令五〇条一項が、帳簿等を整理し、帳簿についてはその閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日、請求書についてはその受領した日の属する課税期間の末日の翌日から二月を経過した日から七年間保存しなければならないと規定するのも、この趣旨から理解されるべきものである。
そして、この場合において、税務調査等のために税務職員等により適法な提示要求がされたにもかかわらず、正当な理由なく納税者がこれに応じなかったときは、その時点において帳簿等の保存がなかったことが事実上推定され、反証のない限り、仕入れ税額控除は認められないことになると解すべきである。また、右の事実上の推定は、その後の不服申立手続や訴訟手続において、その不服申立手続又は訴訟手続の時点における帳簿等の保存が確認されたからといって、それだけで直ちに覆されるものではなく、それ以上に、税務調査等の時点において帳簿等が保存されていたことを推認させる事実の具体的な立証がされてはじめて右の推定が覆されると解するのが相当である。
(五) 本来、帳簿等の保存とは、単に存在しているということを意味するものでないことはその字義からも明らかであり、帳簿等の存在する場所や存在する状態を問わないということはできないのであって、税務職員等が帳簿等の記載内容を確認して申告の適否を審査することを前提とした概念であることからすると、税務調査等のために税務職員等により適法な提示要求がされたときにはこれに直ちに応じることができる状態での保存と解することが制度の趣旨にそった解釈であるということができ、これが租税法律主義に反するものでないことは明らかである。また、税務調査等のために税務職員等により適法な提示要求がされたにもかかわらず、正当な理由なく納税者がこれに応じなかったときは、その時点において帳簿等の保存がなかったことが事実上推定されるということは、取消訴訟等における裁判官の自由心証、すなわち事実認定の問題であって、このことも租税法律主義に反するものでないことは明らかである。」
4 同七五頁二行目のただしを(六) なおと、五行目か
ら六行目にかけての

法三〇条七項を適用することは相当でない。提示拒否を理由として法三〇条七項を適用

帳簿等を保存していないと事実上推定することは適当でなく、右の事実上の推定を

と、八行目の行ったを

行い、かつ必要な教示をした

と各訂正する。5 同八六頁六行目の答えたの次に(控訴人は、関与税理士がいる場合に、調査日程の打合せ等を税理士抜きで本人に電話連絡すること自体が不自然であると主張するが、調査日程の打合せの前提としてdが身分証明書のコピーの要求を撤回するかどうかがまず問題であったのであるから、aがdに電話をしたことに不自然な点はない。また、同日の電話でも、右の問題は未解決だったのであるから、一一月二七日にbがdに電話をしたことについても、同様に不自然な点はない。)を付加する。
6 同八七頁九行目のできなかったの次に(なお、eとしては、一一月二六日、二七日のa、bとd及びcとの会話で、身分証明書のコピー問題が解決しておらず、調査日程の話までは進んでいないことが分かっていたのであるから、一一月四日にdがcと相談すると述べていたその相談結果について、d及びcにあらためて意思確認をしなかったことは当然である。)を付加する。7 同九一頁一行目のあるからの次に(cも、一一月二七日までにdから身分証明書のコピー問題が解決したという報告を聞いたことはなく、同日、eからの電話で、dがなおコピーを要求しているとのことであったので、eに対し、身分証明書をコピーさせるよう要求したと証言している。)を、四行目の主張するがの次に

(控訴人本人も同旨の供述をする。)

を各付加する。8 同九二頁一一行目の「のであり、」の次に

右の審査請求書の作成がcの記憶のみに基づいていて、その作成にd本人が関与していないということは考えられないことであるにもかかわらず、

を付加する。9 同九三頁一〇行目から一一行目にかけてのその後名古屋で寄り道してから帰宅を午後五時以降に株式会社ACCの専務取締役fと名古屋市内の「すず家で食事を」と訂正する。
10 同九四頁九行目のたいめいけんをたいめい軒と訂正し、同行目、九五頁二行目の各領収書をそれぞれ領収証と訂正する。
11 同九五頁五行目と六行目との間に次のとおり挿入する。

控訴人は、dが一一月二六日夜に株式会社ACCの専務取締役fと「すず家

で食事をしたと主張し、その裏付けとして、当審において領収証(甲第六四号証の一、二)を提出したが、当日のdの行動については、原審でも大きな争点の一つとなり、控訴人は、原審において、その立証のために甲第三一号証の一ないし八、第四四号証の一ないし四、第四五号証を提出していたのである。ところが、それにもかかわらず、当審においてはじめて甲第六四号証の一、二を提出したことからすると、控訴人は、その弁解にもかかわらず、原審で審理がされていた当時は右の領収証を所持していなかった疑いが否定できないうえ、右の領収証の宛名が上様となっていて、dに交付された領収証かどうかも明らかでないことや、f作成の報告書(甲第六五号証)においても、同人は当日の具体的な記憶を有していないというのであり、これに加え、dは、前記のとおり、原審において、同日の夜は東京にいたと供述していることからしても、dが同日夜に名古屋市内にいたと認めることはできない。」
12 同九七頁四行目と五行目との間に次のとおり挿入する。
控訴人は、教示をした者、教示の内容に関する被控訴人の主張や担当者の供述が変転していて信用性がないと主張するが、dとのやり取りの中での具体的な発言について多少のくい違いがあることは、その発言に関する供述が長期間を経過した後のものであることからするとやむを得ないものであり(そのことは、d自身の供述や供述記載についても同様にあてはまることである。)、少なくとも、aが八月二七日に、身分証明書のコピーをさせないことを理由に帳簿等を提示しないことは調査拒否にあたることを告げたこと(乙第一一号証一〇枚目、a・第一〇回証人調書九枚目表)、aが九月三〇日に、帳簿等を提示しなければ青色申告の承認取消事由になり、消費税の仕入税額控除をできなくなることを告げたこと(乙第一一号証一一枚目、a・第九回証人調書九枚目表)、eが一一月四日に、aの九月三〇日の教示と同内容のことを告げたこと(乙第一三号証五枚目、e・第一一回証人調書四枚目裏以下、なお、この点に関するaの供述(乙第一一号証一三枚目、a・第九回証人調書一一枚目表)が、eのdに対する教示を意味していることは、aの証言(第九回証人調書一六枚目裏)から明らかである。)については、担当者の供述が一貫しており、aやeが、帳簿等の提出をdに促す手段として、右のように述べることは説得の方法として一般的であるとみられることからしても、控訴人のこの点に関する指摘は理由がない。なお、控訴人主張の取扱通達が発遣されたのが平成四年一二月であるからといって、それまで、税務調査における帳簿等の提示拒否が帳簿等を「保存しない場合にあたるという解釈が税務署において通用していなかったと考える根拠はなく、それ以前の時点において、e、aらには右教示の必要性が念頭になかったと言えるものではない。」
13 同九八頁六行目のないからを次のとおり訂正する。
なく、しかも、前記のとおり、dは、eとの間で当初から信頼関係があったはずもないのに、eの身分確認に関しては身分証明書の写真不貼付を問題とせず、bらについてのみこれを問題としたという不合理な供述をしていること、さらには、bらの身分確認ということ自体を本当に問題にするのであれば、電話帳等で津税務署の電話番号を確認し、架電して、bらがその日に控訴人方を調査することになっているかということを確認すれば足りるのであって、身分証明書のコピーにこだわること自体が理由のないことであることからしても、dがbらに対し身分証明書のコピーを要求したことは、それによる身分確認が真の目的ではなかったとみられるのであって14 同九九頁一行目の法三〇条から三行目の末尾までを

当時、控訴人は、帳簿等を、税務調査のために税務職員により適法な提示要求がされたときにはこれに直ちに応じることができる状態で保存していなかったことが事実上推定される。

と訂正する。15 同一〇〇頁三行目から一〇一頁五行目までを次のとおり訂正する。bらは、最初の調査日である八月二七日には、控訴人及びcに対し事前に通知をして控訴人事務所を訪れているのであり、aが一一月二六日にdに対し調査の事前通知をし、同月二七日にはbがd及びcに対して調査の事前通知をしたにもかかわらず、d及びc、身分証明書のコピーをさせるべきだという主張に固執して、一切の税務調査を拒否していたのであるから、九月二一日と三〇日の調査に際して、事前の通知を欠いていたからといって、その瑕疵の故に控訴人による帳簿等の提出の拒否が正当な理由を有することになるものではないと解される。したがって、右の通知を欠いたという瑕疵は、前記の推定に影響を及ぼすものではない。3 控訴人は、本件訴訟において、帳簿等を提出していることから、前記推定が覆されると主張するが、前記のとおり、控訴人の帳簿等提出の拒否の理由が極めて不合理であることに鑑み、右の事実のみでは前記推定を覆すことはできないと解すべきである。そして、本件においては、控訴人の主張するその他の事由を勘案しても、税務調査等の時点において帳簿等が保存されていたことを推認させる事実の具体的な立証があったということはできず、したがって前記推定が覆されることはないというべきである。4 よって、控訴人は、税務調査の時点において帳簿等を保存してなかったものであるから、仕入税額控除を受けることはできず、本件各処分は正当である。二 以上のとおりであるから、本件控訴は理由がないので、これを棄却し、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条、六一条を適用して、主文のとおり判決する。
名古屋高等裁判所民事第二部
裁判長裁判官 大内捷司
裁判官 佐賀義史
裁判官 加藤美枝子

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