判例検索β > 平成14年(行ウ)第32号
法人税更正処分取消請求事件
事件番号平成14(行ウ)32
事件名法人税更正処分取消請求事件
裁判年月日平成16年4月2日
法廷名千葉地方裁判所
判示事項1 法人税法施行令5条1項10号所定の請負業の意義 2 税務署長が,特定非営利活動促進法別表1号所定の保険,医療又は福祉の増進を図る活動を行う同法2条2項所定の特定非営利活動法人に対してした法人税の更正が,適法とされた事例
裁判要旨1 法人税法施行令5条1項10号にいう「請負業」は,民法632条所定の請負を反復継続して業として行うものに限定されず,委任あるいは準委任を反復継続して業として行うものをも含む。 2 税務署長が,特定非営利活動促進法別表1号所定の保険,医療又は福祉の増進を図る活動を行う同法2条2項所定の特定非営利活動法人に対してした法人税の更正につき,家事,介助,介護等の提供を希望する同法人の会員に対し,他の会員の協力を得て,前記サービスを提供する同法人の事業は,一定の役務を提供して対価を受けるものであって,法人税法施行令5条1項10号にいう請負業に該当するから,前記事業は法人税法7条,2条13号所定の収益事業に該当するとして,前記更正を適法とした事例
裁判日:西暦2004-04-02
情報公開日2017-10-18 04:37:58
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主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告が平成13年12月11日付けで原告に対してした原告の平成12年4月1日から平成13年3月31日までの事業年度分の法人税の更正のうち,所得金額733万7677円,納付すべき税額161万2200円を超える部分を取り消す。
第2 事案の概要
本件は,法人税法7条所定の内国公益法人であり,平成12年4月1日から平成13年3月31日までの事業年度(以下本件事業年度という。)分の法人税について被告に対し更正の請求をした原告が,その後被告が原告に対してした本件事業年度分の法人税の減額更正につき,同減額更正は,原告の営むふれあい事業が法人税法7条,2条13号所定の収益事業に該当しないにもかかわらず,これに該当するとして同事業から生じた所得に対しても法人税を課したものであるから違法であると主張して,被告に対し,前記減額更正のうち所得金額733万7677円,納付すべき税額161万2200円を超える部分の取消しを求めた事案である。
1 前提事実(末尾に証拠等の記載のない事実は,当事者間に争いがないか,明らかに争わない事実である。)
(1) 原告の前身は,平成7年6月に権利能力なき社団として設立されたさわやか福祉の会 流山ユー・アイ ネットであるが,原告は,平成11年4月に千葉県知事から特定非営利活動促進法10条所定の設立の認証を受けた,同法2条2項所定の特定非営利活動法人であり,法人税法7条所定の内国公益法人に当たる。 原告の定款によれば,原告は,流山市及びその近隣の市民を対象として,高齢者及び障害者等への福祉サービス活動を通じて,ふれあい社会の構築,健康で安心して暮らすことのできる,生きがいのある長寿社会の創設,福祉の増進の寄与を目的とするものとされ,これらの目的を達成するため,特定非営利活動促進法2条別表一所定の保健,医療又は福祉の増進を図る活動を行うものとされている。 また,原告の定款は,原告の会員を以下の3種としており,会員は,総会において別に定める入会金及び会費を納入しなければならないものとされている。 ア 友愛会員(原告の目的に賛同して原告に入会した個人会員) イ 正会員(原告の運営に携わる友愛会員)
ウ 賛助会員(原告の事業を賛助するため入会した個人又は法人,団体の会員)
(甲11,12,20,52,乙3,原告代表者本人,弁論の全趣旨)(2) 原告は,平成11年4月の設立以前から,ふれあい事業(その概要は,後記のとおり。以下本件事業という。)を行っており,また,平成12年2月には,これに加えて流山市からの受託事業を始め,さらに同年4月からは介護保険事業も開始した(なお,原告の行う介護保険事業及び受託事業が法人税法2条13号所定の収益事業に該当することについては,当事者間に争いがない。)。 原告の運営細則は,本件事業の内容等について,要旨,以下のとおり定めている。
ア 友愛会員は,入会金1000円を納入し,所定の手続を経て友愛会員となるものとする。
友愛会員は,年会費3000円を納めるものとする。
イ 友愛会員によるサービスの利用及び提供
友愛会員は,以下のサービスを利用し,又は,他の友愛会員に対する以下のサービスの提供につき協力することができる。
① 家事サービス(炊事,洗濯,掃除,買い物代行,留守番,病院との連絡等)
② 介助,介護(洗髪,爪切り,産前産後の手伝い,その他簡単な介護) ③ その他のサービス(話し相手,朗読,代筆,各種相談,助言,力仕事,散歩の同行,協力者の送迎その他)
④ 通院外出介助
ウ サービス利用の手続

友愛会員は,サービスを利用したいときは,原告の事務局に電話等により,日時,内容を申し出ることとする。
利用者は,仕事が終了したときは,所定の書面に確認の署名,捺印の上,利用時間相当分をふれあい切符(利用券。以下,単にふれあい切符という。)で協力者へ渡すこととする。
エ 友愛会員の協力の手続
友愛会員は,コーディネーターからの連絡によりサービス利用者を訪問し,会員証を提示の上,仕事の内容,時間を確認して仕事を開始する。仕事が完了したら利用者より訪問予定表の所定欄に署名捺印を受け,協力時間に相当するふれあい切符を受領する。
オ ふれあい切符(利用券)の発行
原告の行う一切のサービス活動の謝礼の決済は,全て原告が発行する以下のふれあい切符によって行い,会員同士の現金授受は行わない。
① ふれあい切符は1点を100円とし,1時間を8点とする。 ② ふれあい切符の種類は,8点券,4点券,2点券の3種類とする。 ③ ふれあい切符は1冊8000円とし,友愛会員は予め原告事務局でこれを購入することとする。
④ サービスの必要が消滅した場合,ふれあい切符の残券についてはこれを払い戻す。
カ 謝礼
①ふれあいサービスの利用者の負担は,1時間当たり8点(800円)とする。超過料金は,30分4点(400円)刻みとする。
・ ふれあいサービスの利用者の負担のうち2点(200円)は,利用者が事務運営費として原告に寄付するものとする。
・ ふれあいサービスの利用者の負担のうち協力者の受け取る謝礼は,事務運営費2点(200円)を差し引き,1時間当たり6点(600円)とする。超過時間が生じた場合は,同じく30分当たり3点(300円)刻みとする。 キ 交通費
ふれあいサービスの協力者の交通費は一律2点とする。
ク ふれあい切符の時間預託又は現金との交換
ふれあいサービスの協力者がサービス活動で受領したふれあい切符は,以下のいずれかを選択して交換することができる。
・ 現 金 1時間を6点(600円)として計算する。 ・ 時間預託 1時間を6点(600円)として計算し,友愛会員は,預託した点数分をもって,必要に応じ,原告からふれあいサービスを受けることができる。その場合,ふれあいサービスの謝礼は,預託点数の中から1時間8点(800円)換算で決済する。
(甲6,7の20,53,原告代表者本人,弁論の全趣旨)(3) 原告は,平成13年5月29日,被告に対し,本件事業年度分の法人税につき,所得金額を1184万6001円とし,納付すべき税額を291万1800円とする確定申告をし(なお,同確定申告に係る所得金額には,本件事業による益金も含まれている。),同年7月3日,被告に対し,本件事業は法人税法2条13号所定の収益事業に当たらないことを理由に,本件事業年度分の所得金額を709万1791円,納付すべき税額を155万8000円とする更正の請求をした。(4) 被告は,平成13年12月11日,原告に対し,本件事業年度分の法人税につき,所得金額を1018万6046円,納付すべき税額を241万3800円とする更正(以下本件更正という。)をした(乙2)。
(5) 原告は,平成13年12月28日,被告に対し,本件更正について異議申立てをし,被告は,平成14年4月5日付けで原告の異議申立てを棄却する旨の決定をした。
原告は,同月30日,国税不服審判所長に対し,本件更正について審査請求をし,同審査請求に対する裁決がされる前の平成14年8月8日,本件訴訟を提起した。
2 争点
本件事業は,法人税法7条,2条13号所定の収益事業に該当しないか。具体的には,
(1) 同法施行令5条1項10号所定の請負業に該当しないか。(2) (1)に該当しないとしても,同項17号所定の周旋業に該当しないか。
3 争点に関する当事者の主張
(1) 争点(1)について
(原告)
ア 法人税法施行令5条1項10号所定の請負業の意義
法人税法施行令5条1項10号に定める請負の概念は,民法から借用されたものであり,民法632条所定の請負の概念と同一であるから,①一定の仕事の完成の約束の存在,及び,②対価としての報酬の支払の約束の存在,を要件とするものと解される。
被告は,法人税法施行令5条1項10号所定の請負は,民法632条所定の請負とは異なり,一定の役務を提供することにより対価を得る事業を広く含む,法人税法独自の概念であると主張するが,このような解釈は,租税法律主義の趣旨に反するものであって許されない。
イ 本件事業が請負業に該当しないこと
本件事業により提供されるサービスは,以下に述べるとおり,前記ア①及び②の要件に該当しない。
(ア) 本件事業において提供されるサービスは,以下のとおり,一定の仕事の完成を目的とするものではない。
ⅰ 本件事業において提供されるサービスは,食事の下ごしらえ,調理,掃除,犬の散歩の付き添い,囲碁・将棋の相手,話し相手等極めて多様であって,何をもってそのサービスが完成したといえるかが明白でないものが多い。また,サービスを利用する会員は,原告の事務担当者に一応の利用目的を伝えるが,具体的なサービス内容は,利用者が事務担当者に伝えた利用目的にとらわれず,利用する会員の気持ちや訪問時の状況に応じ,サービスを提供する会員との間の話し合いや成り行きでいかようにも変わる臨機応変のものである。つまり,本件事業により提供されるサービスは,一定時間におおむね提供できる不特定のサービスをしてほしいという趣旨の依頼に応じて,その時間内で可能な範囲で行われる,不特定かつ非定型的な活動であって,特定の仕事を完成させるという性質のものではない。 ⅱ 本件事業は,原告の会員同士が一定の時間をともに過ごし,ふれあうことを広める目的で行う活動であり,会員は心のふれあいを重視しているところから,必ずしもサービス時間に比例したふれあい切符を受領していない。たとえば,1時間の予定で話し相手をするサービスを行ったが,その時間が30分以上長引いた場合でも,超過時間に応じたふれあい切符を受領することはない。このような状況は,一部の会員のみの間で行われていることではなく,活動の常態となっている。このように本件事業によるサービスは,家政婦のそれに類似するものではなく,これと同一視して法令を解釈適用することは,本件事業によるサービスの本質を見誤るものである。
ⅲ 本件事業によるサービスが請負の履行であるならば,その結果,瑕疵担保責任が生じることが類型的に予想されるはずであるが,サービス提供について仕事ノ目的物ニ瑕疵アルトキの瑕疵担保責任(民法634条)を生じた事例は皆無であり,類型としても想定できない。
(イ) 本件事業によるサービスの提供は,以下のとおり報酬の支払を伴わないものである。
ⅰ 報酬か否かは,それがサービス提供に対応して直接支払われるか否かではなく,支払われる金額が当該サービスの労働市場における価値を評価した額か否かによって決まると解されるところ,本件事業によるサービスを利用した会員が,これを提供した会員に贈与する600円相当のふれあい切符は,両者の主観においても,善意のサービス提供に対する謝礼の趣旨で贈与されるものであり,客観的にも,その地域における最低賃金にも満たない額であって,労働の市場価値としては極めて低額であるから,報酬とはいえない。もし,原告が収益を得るために本件事業を行っているのであれば,利用料金は,労働市場における実勢相場に照らし,少なくとも介護保険における家事援助に対する報酬額1530円以上に設定するところである。また,ふれあい切符がサービスに対する報酬でないことは,会員がサービスの予定時間を超えてサービスを続けても,それに応じた追加のふれあい切符を徴収しないことからも裏付けられる。
また,サービスを利用した会員が原告に寄付する1時間当たり200円相当のふれあい切符は,原告及びサービスを利用した会員双方の主観においても,サービスを受けたのを機に,原告のふれあい活動全般に必要な事務経費の一部を負担する趣旨で拠出されるものであり,客観的にも,サービスを提供する会員を紹介し
たことに対する市場価値としては相当低額である。その市場価格は,介護保険に基づく家事援助サービスについての事業者取得分(介護保険から支払われる1530円からヘルパーの報酬を差し引いた額)に照らせば,330円程度と認められる。なお,本件事業と同様のふれあい事業を行っている団体は,全国に数多く存在するが,その中には,サービスを利用した会員がこれを提供した会員に対し,サービスに対応して直接的に支払うふれあい切符又は金員を1時間につき100円又は200円と定めている団体もあり,この100円又は200円を報酬と認定することは,明らかに社会常識に反するものである。
ⅱ サービスを提供した会員は,金銭を受領するのではなく,ふれあい切符の預託(時間預託)を選択して,将来,自己又は家族がサービスを必要とする時,預託したふれあい切符を用いてサービスを受けることができるが,時間預託は,その性質上,法的なサービス請求権を付与するものではなく,

サービスの依頼があった時可能であれば,依頼されたサービスを提供します。

という自然債務を発生させるにすぎず,報酬に価する経済的価値を与えるものとはいえない。また,将来ふれあい切符を用いてサービスを受けることがあったとしても,それは,先のサービスに対する報酬とは認識されず,互酬の精神に基づく新たなサービスと認識されることになる。時間預託におけるふれあい切符は,助け合いの媒介手段にすぎない。
ウ 原告は,本件事業におけるサービス提供契約の当事者ではないこと 原告は,会員間のふれあい活動(サービス提供)を推進するために,会員登録された者との合意に基づき,サービスの利用を希望する会員の依頼に応じて,その意思を確認の上,両者を紹介する等の連絡・調整を行っているものである。サービス提供に係る契約関係は,利用する会員と提供する会員との間で生じるのであって,原告は,サービス提供契約の当事者ではなく,もとより,請負人ではない。原告が,サービス提供を受ける者(注文者)からサービス提供を請け負う契約の当事者でないことは,以下の事実からも裏付けられる。
(ア) サービス提供をする者も受ける者も共に原告の会員であり,外部の者は,原告に対し,サービス提供者の紹介を依頼できないこと。
(イ) 会員はサービスを利用できると共に,提供もできる自由な立場にあり,原告は,サービス提供に応じるために支配できる従業員を雇用しているのではないこと。
(ウ) 会員は,原告から連絡を受けたサービス提供をするか否かにつき,全く自由に決定できること。
(エ) サービスの内容は,会員間で臨機応変に決められるのであり,原告が指揮命令するのではないこと。
(オ) 原告は,サービスを利用した会員が提供した会員に支払う額と原告に支払う額を区分して,予め定め,明示していること。
(カ) サービス提供に関する勤務場所や勤務時間等について,原告は提供する会員に対し,何らの拘束もしていないこと。
(キ) サービスを提供する会員は,その判断でサービス提供の補助者を依頼できること。
(ク) サービス提供に器具が必要な時は,原告ではなく,提供する会員又は利用する会員が自ら準備していること。
エ 法人税法2条13号の収益事業の意義及び本件事業が同号の収益事業に該当しないこと
(ア) 法人税法2条13号の収益事業の意義
法人税法は,構成員に対する利潤の分配が予定されない公益法人等であっても,それが営利法人と同様に営利事業を営んでいる場合には,これを非課税とすると,同種の収益事業を行う営利法人の競争条件を不利にすることになるため,同法4条1項,2条13号及び同法施行令5条1項において,公益法人等の特定の収益事業から生じる所得に対し課税することとしている。このような立法趣旨に照らせば,その想定する収益事業は,非営利法人が収益を法的に分配しないことを除いて,営利法人と同様の収益を上げるための基本構造を持つものに限定されると解され,このような基本構造としては,①収益を上げる目的を有していること,②収益を上げるのに必要な人的,物的設備を有していることが挙げられる。(イ) 原告には本件事業につき収益を上げる目的がないこと
非営利法人が収益を上げる目的は,具体的には,得た収益を役職員等に対し,その正当な報酬額を超えて事実上分配するか,他の団体又は個人に対し寄附,
贈与その他の形で提供する目的ということになるが,原告には,このような目的は一切ない。本件事業では,協力した会員に報酬は一切支払われないのみならず,事業運営従事者である役員に対しても報酬は一切支払われず,事務従事者に対しても1時間当たり200円前後という,千葉県内の最低賃金の3分の1未満の低額の謝礼金が支払われているにすぎない。そして,たまたま生じた剰余金は,すべて本件事業の必要経費に投入される。
(ウ) 原告には収益を上げるのに必要な人的,物的設備がないこと 営利法人との競争の条件を対等にして,収益を上げるためには,人的設備として,事業遂行に必要な役職員を雇用することが必要であるが,本件事業に従事する原告の役員や職員は無報酬若しくはそれに近い形で活動している。本件事業の剰余金は,原告が本件事業によって得たものではなく,役職員のボランティア活動で生じたものであって,法令にいう収益に当たらない。
また,本件事業において全ての協力会員が時間預託を選択し,全てのサービスがこれによって行われた場合,原告にはふれあい切符の点数が累積されていくのみで,現金収入は一切生じない。この点からしても,本件事業は,収益を上げる基本構造を備えていない。従って,本件事業は,営利法人と競合し得る収益事業としての基本構造を欠くものであり,収益事業に当たらない。オ 本件事業と介護保険事業との関係
被告は,本件事業と介護保険事業が一体的・補完的関係にあるから,本件事業も収益事業に該当すると主張する。
しかしながら,介護保険事業は,抽象的には一体性を有し,連続して行われる支援行為の中から,一定の行為を抽出して,これ を収益事業として行うものであるところ,介護保険事業者が提供するサービス以外の多種多様な支援行為については,すべてこれを家族に無償で行ってもらう場合もあれば,一定の行為を特定して収益事業者と契約し,利用者が費用を負担して提供を受ける場合もあり,また,本件事業のように,行為を限定せずに,ボランティアに支援してもらう場合や,地方自治体が全部又は一部の費用を負担して行う介護保険枠外サービスを受ける場合もある。つまり,抽象的には支援行為は,一体的,連続的に提供されうるものであるとしても,いったん介護保険法に基づく居宅サービス提供契約が結ばれれば,当該契約に基づく支援行為は,他の支援行為と切り離され,独立した法的性質のものとなるのであって,介護保険事業として提供されるサービスと,それ以外の支援行為の法的性質が常に同じということはありえず,ましてや前者が収益事業ならば,後者も収益事業となるという関係は,成り立たない。
また,原告の会員のうち,介護保険サービスと本件事業によるサービスとを連続的に提供することを求める会員は,平成12年度末時点でわずか3名と極めて少ない。
さらに,原告においては,本件事業と介護保険との会計処理を,別々の経理担当者が担当し,原始伝票の起案,これに基づく総勘定元帳その他の帳簿,決算関係書類,銀行預金の口座,現金の保管まで全て別々の処理をしており,剰余金についても,本件事業のそれと収益事業のそれとは区別して用い,両者を混同して用いることはしていない。
カ 原告の本件事業年度分の所得金額及び納付すべき法人税額
以上のとおり,本件事業による益金は,法人税の対象とならないから,原告の本件事業年度分の所得金額は,①収益事業収入合計3610万1690円-②収益事業固有の経費合計2259万5685円-③収益事業と非収益事業の共通経費に収益事業割合を乗じた共通経費の按分比例分617万6932円+④県民税利子割額640円+⑤交際費等の損金算入額6042円+⑥法人税額から控除される所得金額1922円=733万7677円となる(①及び②の内訳並びに③の算出根拠は,別紙1記載のとおりである。)。
従って,原告の本件事業年度分の納付すべき法人税額は,前記所得金額733万7677円に,国税通則法118条1項を適用して千円未満の端数を切り捨てた後の金額である733万7000円に対し,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律16条1項により22パーセントを乗じて算定した161万4140円から,控除対象所得税額1922円を控除した残額の161万2218円に,国税通則法119条1項を適用して100円未満の端数を切り捨てた後の金額である161万2200円となる。(被告)
ア 法人税法施行令5条1項10号所定の請負業の意義

法人税法施行令5条1項10号所定の請負業とは,以下のとおり,民法632条所定の請負にとどまらず,一定の役務を提供することにより対価を得る事業を広く含むものと解するのが相当である。
すなわち,昭和25年の法人税法改正により導入された公益法人等に対する法人税課税制度の趣旨,沿革等からすれば,法人税法7条が公益法人等の所得のうち収益事業によるものを課税対象としているのは,公益法人等が営利法人等と同様に営利事業を営んでこれと競合する場合に,この所得について非課税とすると課税の公平が失われるので,これを是正する必要があるためである。また,同法2条13号は,収益事業の定めを政令で定める事業として政令に委任し,同号の委任を受けた法人税法施行令5条1項は,請負業等の33業種を限定列挙の形で掲げているが,これは,昭和25年当時,立法者が,本来的には収益事業を特定せずに課税を免除する場合のみを特定しようと模索したものの,執行上,立法技術上の理由により,収益事業を限定列挙するという方式を選択したという経緯によるものであり,また,収益事業の範囲が社会・経済情勢の変化に照応して変化することに鑑み,それを機動的に拾い上げることができるようにするために,収益事業の定めを政令に委任したものである。したがって,法人税法施行令5条1項の趣旨は,営利企業等と競合関係にあるため,非課税とすれば課税の公平を損なう業種を網羅的に対象とすることにあると解される。このことに加えて,法人税法施行令5条1項10号が請負業の文言に続けて

(事務処理の委託を受ける業を含む。)

と規定して,民法632条の請負に限定せずに,同法643条の委任及び同法656条の準委任をも対象とする趣旨を明らかにしていることからすれば,法人税法施行令5条1項10号の

請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)

とは,請負人がある仕事を完成し,注文者がその仕事の結果に対して報酬を与える契約である民法632条所定の請負だけでなく,一定の役務を提供することにより対価を得る事業を広く含むものと解すべきである。
イ 本件事業が法人税法施行令5条1項10号所定の請負業に該当すること(ア) 本件事業は,原告が,原則として一定額の金員を支払うことにより原告の会員となる友愛会員を対象に,利用者からの依頼に基づき,サービス内容,日時等からみて適切な協力者を抽出し,当該協力者に福祉関連サービスを提供してもらうものであり,原告の定める運営細則により,入会方法,サービスの利用方法及び協力方法,サービスの内容,利用料金の金額及び決済方法等,その業務の全体が客観的に明らかにされる形で定められている。以上によれば,本件事業は,原告が,会員に対し,ふれあい切符という利用券を販売することにより,一定のサービスを受ける権利を与え,利用会員は,その行使を原告に依頼し,協力会員は原告の管理の下で指示事項に従って役務提供を行い,これに対し,時間に応じた現金と等価の利用券(1時間当たり800円相当)が支払われ,1時間当たり600円の協力会員への支払という精算がなされる結果,1時間当たり200円相当のふれあい切符が原告に利益として残るものである。そうすると,本件事業は,一定の役務を提供して対価の支払を受けるものであって,法人税法施行令5条1項10号にいう請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)に該当するというべきである。(イ) 原告は,本件事業の外に,法人税法施行令5条所定の医療保健業に該当する収益事業である介護保険サービス事業も行っているところ,両者の事業内容は,介護保険においては,身体介護,家事援助,複合型,福祉用具貸与,本件事業においては,介助・介護,家事援助,通院外出介助,福祉車両,その他と極めて類似した項目で構成されており,両者は,介護保険制度の対象枠を境に相互に補完しあう関係にある。すなわち,原告の事業活動においては,ほぼ同一の居宅サービス事業を,介護保険の利用者側の限度額やサービス提供者側の能力・意思等により,介護保険とふれあい事業に区分して遂行するにすぎず,両事業の補完的・一体的な実態は明らかであるといえる。そして,原告の介護保険事業としての居宅サービスは,原告が利用者やその家族の同意を得て作成する居宅サービス計画(ケアプラン)に基づいて実施されるものであるから,請負又は準委任契約に基づくものと解されるところ,介護保険事業は,法人税法施行令5条の医療保健業として課税対象とされるが,介護保険事業と補完的・一体的に運営されている本件事業は,必ずしも介護保険の延長上の事業に限定されないという意味において,法人税法施行令5条に列挙された事業のうち,医療保健業より概念の広い請負業に該当するというべきである。
(ウ) 原告は,サービスの提供に対して支払われる金額が市場価格に比して低額であることを理由に,対価性を否定するが,そもそも原告は営利を目的としないこ
とが条件とされている特定非営利活動法人なのであるから,受領する報酬が市場価格に比して低額であることは何ら不自然なことではない。また,原告は,サービス提供に協力した会員が現金の支払ではなく時間預託を選択した場合,時間預託は自然債務を発生させるにすぎず,性質上,法的なサービス請求権を付与するものではないと主張する。しかしながら,時間預託を選択した場合,原告に預託されるのは,現金の支払を選択した場合と同じく,原告に利益として残る2点(200円)を除いた1時間当たり6点(600円)であって,預託した点数分で原告からサービスを受けようとすると1時間当たり8点(800円)とされていることからすれば,対価性を有するものである上,まさに現金と等価の預託ができるという制度といえるのであり,法的なサービス請求権を付与するものと認められる。ウ 原告が本件事業の主体であること
本件事業においては,サービス利用の依頼から提供者の選定・派遣,対価としてのふれあい切符の金額及び支払先,苦情の対応に至るまで,全て,原告の定めた運営細則に従って,原告の管理の下に実行されており,原告は,まさに本件事業の主体であるというべきである。
原告は,サービスを提供する者も受ける者も共に原告の会員であって,外部の者はサービス提供を受けられないことを挙げて,原告が請負契約の当事者ではない旨をるる主張するが,会員のみにサービス提供を行うことは営利事業であってもあり得ることであって,原告なくしてはサービスの利用・提供ができないことは,むしろ原告の事業主体性を示すものであり,また,原告が請負契約の当事者ではないことの理由として掲げる他の事由も,原告が本件事業の主体であることを否定するものではない。
エ 法人税法2条13号の収益事業の意義についての原告の主張に対する反論原告は,法人税法2条13号所定の収益事業とは,営利法人と同様の収益を上げるための基本構造を持つものに限定され,具体的には,①収益を上げる目的を有していること,②収益を上げるのに必要な人的,物的設備を有していることを要するものに限定すべきであると主張する。
しかしながら,原告の主張する営利法人と同様の収益を上げるための基本構造を持っていない公益法人等が,実際には法人税法施行令5条1項各号に列挙された事業を行って収益を上げることも十分想定できるのであって,この場合にこれにより生じた所得を非課税とすれば,結果として営利法人等の競争条件を不利にすることとなり,課税上の不公平を生じることは明らかである。法人税法が収益事業としてこれによる所得を課税対象としている事業は,事業活動が営利法人等と競合するため,公平原則を働かせるべき事業であって,必ずしも,原告主張の営利法人と同様の収益を上げるための基本構造を持つものに限定されるものではない。オ 原告の本件事業年度分の所得金額
以上のとおり,本件事業は,法人税法施行令5条1項10号所定の請負業に当たるから,本件事業による益金をも含めて原告の本件事業年度分の所得金額を算定すると,別紙2のとおり,1018万6046円となる。従って,原告の本件事業年度分の所得金額をこれと同額とする本件更正は,適法である。
(2) 争点(2)について
(原告)
ア 法人税法施行令5条1項17号所定の周旋業の意義
周旋とは,他の者のために商行為以外の行為の媒介,代理,取次ぎ等を行うことをいうが,周旋業とは,対価の授受を要件とすると解すべきである。すなわち,収益事業に対する課税は,収入から経費を差し引いた剰余金に課税するものであり,事業により剰余金が生じない仕組みになっているものまで課税することは予定しておらず,法人税法施行令5条1項17号は対価を徴収する事業を予定しているといえるからである。
イ 本件事業が法人税法施行令5条1項17号所定の周旋業に該当しないこと原告が本件事業により受領する1時間につき200円の金員が,寄附であるか,それとも周旋の対価であるかは,周旋手数料の実勢価格とのバランスという客観面,及び,協力会員の主観的な意図及び目的という主観面の両者を総合的に考慮して決定されるべきものと解されるところ,原告が本件事業により受領する1時間につき200円の金員は,以下のとおり,客観面,主観面のいずれの面からも寄附であると認められ,周旋の対価とは認められない。
(ア) 客観面について
・ 周旋業である職業紹介(職業安定法4条1項)においては,職業紹介業
者は,求人をしている者から,1件につき670円(消費税法9条1項本文の適用される業者(以下免税業者という。)の場合には650円)を限度として求人受付手数料を徴収できるほか,芸能家,家政婦,配ぜん人,調理士,モデル又はマネキン等の職業に係る求職者から求職の申込みを受けた場合にも,1件につき670円(免税業者の場合は650円)を限度として,求職者から受付手数料を徴収することができるものとされている。
一方,本件事業においては,友愛会員として登録され,サービスを提供したりサービスを受けたりするためには,入会金1000円,年会費3000円を原告に納入すべきこととなっているが,同入会金は,前記職業紹介における求人又は求職受付手数料の約1.5倍,年会費は約4.5倍に相当するものである。 ・ また,職業紹介においては,求職者と求人者との間に雇用関係が成立すれば,職業紹介業者は,求人者又は関係雇用主から支払われる賃金額の100分の10.5(免税業者の場合は100分の10.2)に相当する額を限度として徴収することができるものとされており(職業安定法32条の3第1項1号,同法施行規則20条1項及び同施行規則別表),同じく周旋業である宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額も,依頼者の一方から受領する場合には売買に係る代金額等の3ないし5パーセント相当,売買等の当事者双方から報酬を受領する場合でも媒介に係る土地建物の価格の6ないし10パーセントを上限とするものとされている。また,宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の代理をする場合であっても,その報酬額は前記報酬限度額の2倍を限度とするものとされている。
一方,本件事業において,サービス協力会員はサービス利用会員から1時間当たり600円の謝礼を受領し,原告は利用会員から1時間当たり200円を受領しているから,原告の仲介に伴う徴収金員は,協力会員が受領する謝礼金の3分の1に相当し,前記職業紹介における報酬の上限基準及び宅地建物取引業者の報酬の上限基準を遙かに上回るものである。
・ また,原告は,非会員から単発的に入退院等の通院,外出介助のサービス依頼があった場合は,準会員として入会金1000円を徴収した上,会員と同様の取り扱いをしているところ,この場合に原告が徴収する金員も,前記の職業紹介等の周旋業における手数料相場を遙かに超過していることが明らかである。(イ)主観面について
原告の運営細則は,本件事業によるサービスの利用会員の負担1時間当たり8点(800円)のうち,原告が受領する1時間当たり2点(200円)について,利用者が事務運営費として原告に寄附するものとする旨を定めており,原告の会員は,この運営細則に従う意思をもって原告の会員になっているものと認められる。
なお,被告は,本件事業によるサービスを利用した会員が原告に納入すべき金額が運営細則で定められていることを理由に,原告が受領する1時間当たり2点(200円)は寄附に当たらないと反論する。しかしながら,宗教法人が一定の金額を定めて,現金と引き換えにお守り,お札,おみくじ等の物品を交付する場合でも,その物品の売価と仕入原価との関係からみて,その差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく,実質は喜捨と認められる場合には,課税実務においても,これを寄附として扱うことを認めている。また,寄附を募る際に,寄附を行う者に額の決定をめぐる心理的負担をかけないようにするため,寄附の金額を一口いくらと定めることは通常行われていることであって,金額が一定のものと定められているからといって寄附性が否定されるものではない。
ウ 原告の本件事業年度分の所得金額及び納付すべき法人税額
争点(1)についての原告の主張カのとおり。
(被告)
ア 法人税法施行令5条1項17号所定の周旋業の意義
法人税法施行令5条1項17号にいう周旋業とは,他人のために商行為以外の行為の媒介,代理,取次ぎ等を行う事業をいうものと解される。
イ 本件事業が法人税法施行令5条1項17号所定の周旋業に該当すること 仮に,本件事業においてサービス提供を行うのは協力会員であって原告ではないとしても,原告は,本件事業としてサービス提供を行う協力会員と利用会員との媒介,取次ぎを行っているということになるから,本件事業は,他人のために商行為以外の行為の媒介,代理,取次ぎ等を行う事業であると認められ,同項17号にいう周旋業に該当するというべきである。したがって,本件事業は,法人税法2条1
3号,7条にいう収益事業に該当し,本件事業による所得は課税要件を満たすものである。
ウ 原告が本件事業により受領する1時間当たり200円の金員が寄附ではないこと
原告は,本件事業によるサービスを利用した会員から,サービスの提供に協力した会員を介して原告に納入される1時間当たり200円の金員について,寄附であると主張する。
しかしながら,寄附とは,民法上の贈与であり,当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し,相手方が承諾をなすことでその効力を生ずる契約であるから,無償性を有するものでなければならず,したがって,任意に財産的出捐がされた場合であることを要すると解されるところ,原告が本件事業により受領する1時間当たり200円の金員については,原告の運営細則において,サービス利用者の支払額及び支払が定められている。そして,原告の定款によれば,原告の運営に関する重要な事項については総会が議決すべきものとされており,運営細則で定められた内容について任意に変更することはできないものと認められる。現に,本件事業では,原告の運営細則の定めに基づく200円相当の出捐が,サービス利用会員から反復継続的に実行されている。以上のことからすれば,原告がサービス利用者から受領している1時間当たり200円の金員は,任意性がなく,有償性があることが明らかであって,寄附とは認められない。
エ 原告の本件事業年度分の所得金額
以上のとおり,本件事業は,法人税法施行令5条1項17号所定の周旋業に当たるから,本件事業による益金をも含めて原告の本件事業年度分の所得金額を算定すると,別紙3のとおり,1025万6239円となる。本件更正における所得金額はこれを上回るものではないから,本件更正は,適法である。
第3 争点に対する判断
1 本件事業の実態等
前記第2の1の事実及び証拠(甲6,7(枝番を含む。),20,21,24ないし27,38,52ないし54,乙3,20,原告代表者本人)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1) 原告は,平成11年4月の設立時から,原告の前身である権利能力なき社団さわやか福祉の会 流山ユー・アイ ネットが平成7年6月以来行ってきた本件事業を,引き続き行っている。なお,原告は,平成12年初め頃,流山市との間で業務委託単価契約を締結し,同年2月から流山市からの委託による高齢者生活管理支援サービス事業を開始し,同年4月から介護保険事業を開始し,本件事業年度当時,本件事業のほか,いずれも法人税法2条13号所定の収益事業である,介護保険事業,及び,流山市からの委託による高齢者生活管理支援サービス事業,高齢者外出支援サービス事業,NPO設立研修会運営事業(以下,これらをまとめて受託事業という。)を行っていたものである。
(2) 本件事業は,①家事(炊事,洗濯,掃除等),②介助・介護(洗髪,爪切り,その他の簡単な介助),③話し相手,朗読,代筆,各種相談,助言,力仕事(粗大ゴミを出す等),散歩の同行等,④通院外出介助,以上の役務(以下サービスという。)を,その提供を希望する原告の会員に対し,原告が,他の原告の会員の協力を得て,提供することを主たる内容とするものである。本件事業により提供されるサービスの種類,サービスの利用依頼,サービス提供のための協力会員の選定,日時の調整,サービスの提供に対する苦情処理等,本件事業の遂行に必要な手続等,及び,原告の会員に対する責任の内容,サービスの提供に協力した会員の利用会員に対する責任の内容等は,全て原告の運営細則に定められ,実際にも,本件事業は,この運営細則の定めに従って遂行されている。原告の運営細則によれば,本件事業の概要は,以下のとおりとなる。
すなわち,サービスの利用を希望する会員は,原告の事務局に対して利用の申し込みをし,原告の事務局において,サービスの提供に協力する会員の選定,サービス提供の日時の調整等を行った上,原告の事務局が作成発行した訪問予定表に従って,協力会員の協力によるサービスの提供が行われる。
サービスを利用する会員は,原告が発行する1点当たり100円相当のふれあい切符(1冊当たり8000円を予め購入し,サービスの提供を受けた場合には,原則として,1時間当たり8点(800円相当。但し,車椅子による通院外出介助については,外出先が市内の場合には16点(1600円相当)),超過時間については30分当たり4点(400円相当)のふれあい切符を,サービスの提供
に協力した会員に交付し,更に,通院外出介助の場合を除き,協力会員の交通費として,2点(200円相当)のふれあい切符を交付することとされている。なお,サービスを利用する会員とその提供に協力する会員間では,サービスの提供についての利用会員の負担は全てふれあい切符によって行い,会員同士の現金授受は一切行わないものとされており,ふれあい切符は,会員においてサービスの必要が消滅した場合には,原告が,その残券につき払戻しを行うこととされている。また,サービスを利用する会員は,サービスの提供に協力した会員に対し,故意又は重過失に基づく責任以外は求めないこととされ,苦情等も,協力会員に対してではなく原告事務局に連絡することとされている。
サービスの提供に協力した会員は,利用会員から交付を受けたふれあい切符の1時間当たり8点の点数のうち,6点(600円相当)を自らの点数として取得し,残りの2点(200円相当)は原告が取得することとされている。なお,サービスの提供中に生じた事故のうち協力会員の故意又は重過失により生じたものについては協力会員個人の責任とすることとされているが,責任の帰属が不明な事故については,原告の事務局に連絡をし,原告の事務局が誠意をもって対応することとされている。
サービスを提供した会員は,受領したふれあい切符の点数(1時間当たり6点)を,現金に換金するか,又は,時間預託をするかを選択することができ,時間預託を選択した場合には,原告が,これをふれあい基金として積み立てて,当該会員の預託時間(ないし点数)を登録して保管保証する。時間預託をした会員は,預託した点数を利用して,本件事業によるサービスの提供を受けることができ,原告からサービスの提供を受けた場合には,預託点数の中から1時間当たり8点(800円相当)で決済する。また,時間預託をした会員が都合により地区外に転居した場合には,原告が,責任をもって,当該会員に対し,預託時間(点数)を交換利用できる連携団体に紹介して預託時間(点数)を当該団体に移動するか,そのような団体が存しないときは,現金で精算することとされている。
(3) なお,原告の運営細則においては,サービスの提供に協力した会員が受領する1時間当たり6点(600円相当)のふれあい切符は,協力会員に対する謝礼と定められており,原告が受領する1時間当たり2点(200円相当)のふれあい切符は,利用会員の原告に対する事務運営費としての寄附と定められている。(4) 原告が行う介護保険事業の内容は,ケアプランの作成,訪問介護サービスの提供,福祉用具の貸与,グループホーム(痴呆対応型共同生活介護事業),デイサービスに大別されるところ,原告は,平成12年4月の介護保険事業開始当時から,同事業のみに従事するケアマネージャー,サービス提供責任者,ヘルパーを雇用して,同事業を行い,会計についても,経理担当者,伝票,帳簿,決算書類,預金口座を,本件事業及び受託事業のものとは区別して,別途,処理している。 一方,原告の行う受託事業のうち,高齢者生活管理支援サービス事業は,原告が,流山市の委託により,社会適応が困難な在宅のひとり暮らしの高齢者等に対し,買い物,散歩等の付き添い等の外出時の援助,買物・調理,洗濯,家屋内及び家周りの清掃・整理,相談及び助言,以上の家事援助のサービスを提供するものである。原告の事務局は,流山市からサービス提供の依頼を受けると,原告の会員の中から,サービス提供の依頼日時等に合わせて派遣者を選定して派遣して,家事援助サービスを提供し,流山市から1時間につき1530円の報酬を受け,派遣された会員に対しては,労賃として1時間当たり800円を支払っている。 本件事業年度当時,受託事業のみに従事する原告の役員及び被用者はおらず,本件事業と受託事業に従事する役員,原告事務局の担当者は共通しており,いずれの事業においても,現実にサービスの提供を行うのは原告の会員であった。 また,本件事業年度当時は,本件事業と受託事業の会計処理は,同一の経理担当者が,同じ帳簿を使用して行っていた(なお,原告は,平成13年9月以降は,受託事業と本件事業の帳簿等を別にし,同年4月から平成14年3月までの事業年度に係る決算においても,両事業を区別して決算処理している。)。(5) 本件事業に係る原告の主な収入は,会費収入(原告の会員が入会時に納入する入会金,年会費),及び,サービスの提供による収入であり,本件事業に係る経費は,別紙1③ⅲの表の科目欄記載の項目の経費であるが,本件事業年度分に係る経費は,前記(4)のとおり,原告の帳簿上,受託事業の経費と区別して計上されていない。また,原告は,本件事業は非収益事業であるとの解釈に基づき,本件事業によるサービスの提供に協力した会員が受領する1時間当たり6点(600円相当)のふれあい切符相当分については,人件費に計上していない。
2 法人税法施行令5条1項10号所定の請負業の意義
(1)法人税法7条が,公益法人等の所得のうち収益事業から生じた所得を課税対象としている趣旨は,公益法人等が,営利法人等と同様に営利事業を営んでこれと競合する場合に,この所得について非課税とすると課税の公平が失われることから,これを是正することにあると解される。同法2条13号は,同法にいう収益事業を,

販売業,製造業その他の政令で定める事業で,継続して事業場を設けて営まれるものをいう。

と定めて,販売業,製造業以外については,具体的な収益事業の範囲の定めを政令に委任しているが,前記のとおりの公益法人等の収益事業による所得に対する課税の趣旨を勘案すれば,同号が,具体的な収益事業の範囲の定めを政令に委任した趣旨は,公益法人等の事情実態や営利法人等との事業の競合関係が,社会状況や経済情勢の変化に伴って変化することに鑑みて,その変化に対応して機動的かつ適切に収益事業の範囲を定め,課税上の公平の維持を図ることにあると解されるから,同号の委任を受けて,収益事業の範囲を定める法人税法施行令5条1項の解釈をするにあたっては,このような法人税法7条及び2条13号の趣旨をも斟酌して,その文言を合理的に解釈すべきである。
そこで,法人税法施行令5条1項10号をみるに,同号は,法人税法2条13号の収益事業の1つとして,

請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)のうち次に掲げるもの以外のもの

を挙げ,そのイにおいて法令の規定に基づき国又は地方公共団体の事務処理を委託された法人の行なうその委託に係るもので、その委託の対価がその事務処理のために必要な経費をこえないことが法令の規定により明らかなことその他の財務省令で定める要件を備えるものと規定している。このような法人税法施行令5条1項10号の文言からすれば,同号にいう請負業は,民法632条所定の請負を反復継続して業として行うものに限定されず,委任(民法643条)あるいは準委任(同法656条)を反復継続して業として行うものをも含むことが,文理上明らかというべきであり,また,公益法人等が委任あるいは準委任を業として行って収益を上げる場合に,同種の委任あるいは準委任を業として営む営利法人等との間に競合関係が生じることからすれば,このような解釈は,前記のとおりの法人税法7条及び2条13号の趣旨にも適うものである。(2) 原告は,法人税法施行令5条1項10号の請負は,民法632条にいう請負と同義であると主張するが,前記のとおり,法人税法施行令5条1項10号の請負が,民法632条にいう請負と同義ではなく,同法643条の委任及び同法656条の準委任をも含む広義のものであることは,前記(1)のとおり,法人税法施行令5条1項10号の文理上,明らかであって,原告主張の解釈は,採用することができない。
(3) また,原告は,法人税法が公益法人等の収益事業による所得に課税する趣旨は,同種の収益事業を行う営利法人との競争条件の公平を図ることにあることに照らせば,法人税法が課税の対象として想定する収益事業は,営利法人と同様の収益を上げるための基本構造を持つもの,すなわち,収益を上げる目的,及び,収益を上げるのに必要な人的,物的設備を有するものに限定すべきであると主張する。 しかしながら,法人税法2条13号にいう収益事業を,原告主張の要件を具備するものに限定して解釈する根拠となるべき文言は,同法上見当たらず,また,同号の収益事業を原告主張の要件を具備するものに限定するとすれば,その法的性格上,本来,収益を上げる目的を有しないことが通常である公益法人等に対し,その収益事業から生じる所得に限って課税し,同種事業を行う営利法人等との競争上の公平を図ろうとした法人税法の趣旨を失わしめることになりかねないのであって,原告主張の前記解釈は,採用することができない。
3 本件事業の請負業(法人税法施行令5条1項10号)該当性について(1) 本件事業におけるサービス提供の主体について
前記1で認定した事実によれば,本件事業によって原告の会員に提供されるサービスは,炊事や洗濯といった一定の仕事の完成を目的とするものだけでなく,話し相手になる,相談に応じる,助言をする,散歩に同行する等の,一定の仕事の完成を目的としない事務処理まで多岐にわたるものであるが,提供するサービスの種類は,原告の運営細則に例示列挙されており,また,サービスの利用,提供,利用会員の金銭的負担の額及びその履行の具体的な手続,サービスの提供に対する苦情処理等の本件事業の遂行に必要な手続も,全て,原告が主体となって手続を進める形で,原告の運営細則に定められており,現実にも,運営細則の定めどおりに,サービス利用の申し込みは会員から原告の事務局に対して行われ,原告事務局においてサービス提供に協力する会員を選定し,具体的な日時を調整して訪問予
定表を作成発行し,これに基づいて協力会員の協力を得てサービス提供が行われ,利用会員の金銭的負担の決済も原告が会員に販売するふれあい切符のみを通じて行われる等,本件事業におけるサービス提供に伴う手続は全て,原告が主体となって行われていることが認められる。
以上のとおりの原告の運営細則の定め及び本件事業の実態からすれば,本件事業を管理・運営・遂行し,会員にサービスを提供している主体は,原告であって,原告は,協力会員をサービス提供の履行補助者として,自ら会員に対しサービス提供を行っているものと認めるのが相当である。
原告は,サービス提供に係る契約関係は,これを利用する会員と提供する会員との間で生じるものであって,原告はサービス提供契約の当事者ではなく,会員間のふれあい活動(サービス提供)を推進するために,サービスの利用を希望する会員とその提供をする会員との連絡,調整を行っているにすぎないと主張する。しかしながら,前記認定のとおりの原告の運営細則の定め及び本件事業の実態,とりわけ,利用会員の金銭的負担の額は予め原告の運営細則によって定められており,サービスを利用する会員がサービスの提供に協力する会員との合意により,その金額を変更したり,ふれあい切符ではなく現金で直接にこれを会員に支払ったりすることは運営細則上許されていないこと,利用会員にサービス提供等について苦情がある場合には,サービスの提供に協力した会員ではなく原告に対して申し入れるように定められていること,サービスの提供に伴って事故が発生した場合,原告の運営細則においては,協力会員に故意又は重過失があったときは,協力会員個人の責任とする旨が定められているが,重過失に至らない過失があったときの責任については特段の定めがなく,そのような場合にまで一切原告が免責されることを前提としているものとは解されないこと等に照らせば,サービス提供契約の当事者は,サービスの利用会員と協力会員とであり,原告はサービス提供契約の当事者ではない旨の原告の主張は,運営細則の内容及び本件事業の実態にそぐわないものというべきであって,採用することができない。
原告は,原告とサービス提供に協力する会員との関係は,雇用関係ではなく,原告は協力会員に対し勤務場所や勤務時間等その他の拘束をしていないとも主張する。しかしながら,請負契約,委任契約あるいは準委任契約に基づき役務の提供義務を負う者が,その義務の履行に際し,履行補助者として,自らとは雇用関係にないボランティア等を使用し,役務提供の日時,場所等を指示してこれを行わしめることは,これらの契約の性質に反することではない。また,前記認定のとおり,本件事業によるサービスの提供は,原告事務局において作成した訪問予定表に従って行われていること等の本件事業の実態からすれば,サービスの提供に協力する会員は,ボランティアという立場に鑑み,原告からサービス内容の変更等について広範で包括的な権限を与えられているとはいえ,原則として,原告の指示に従い,その管理の下にサービス提供に協力しているものと認められるのであって,協力会員が原告の指示を受けずに,全く独立の立場で,独自にサービス提供を行っているとは認められない。したがって,原告の前記指摘も,サービス提供の主体についての前記判断を左右しないものというべきである。
(2) サービス提供に対する対価の支払の有無について
ア 前記1で認定した事実によれば,原告の運営細則においては,サービスを利用する会員の金銭的負担は,全て,原告が1点当たり100円相当(1冊8000円)で会員に販売するふれあい切符によって決済されることになっており,その負担額も,原則として,サービス提供1時間当たり8点(800円相当。但し車椅子による通院外出介助については,外出先が市内の場合には16点(1600円相当)),超過時間については30分当たり4点(400円相当)と定められていて,サービスを利用する会員が,サービスの提供に協力する会員との間の合意によりその金額を変更し,又は,負担の全額免除を受けたり,前記負担額をふれあい切符ではなく現金で直接,協力会員に支払ったりすることは予定されていないこと,ふれあい切符は,会員にサービスを利用する必要性がなくなったときは原告がこれを払い戻すこととされていること,サービス提供に協力した会員は,利用会員が負担する1時間当たり8点(800円相当)のふれあい切符の点数の中から,1時間当たり6点(600円相当)を取得し,これについて原告から現金で精算を受けるか,又は,時間預託をするかを選択することができるが,時間預託をし,預託点数を利用して本件事業によるサービスの提供を受ける場合には,他の利用会員と同様に,サービス提供1時間当たり8点(800円相当)の負担をすることとされ,また,時間預託をした会員が都合により地区外に転居した場合には,原告が,責任を
もって,当該会員に対し,預託時間(点数)を交換利用できる連携団体に紹介して預託時間(点数)を当該団体に移動するか,そのような団体が存しないときは,現金で精算するものとされていることが認められる。
以上のとおりのふれあい切符の点数と販売価格,その点数の利用方法に加えて,原告の運営細則において,原告のふれあい切符の払戻義務が定められ,また,時間預託をした会員が転居により預託点数を利用できなくなった場合についても原告が預託点数を現金で精算する旨が定められていること等に鑑みれば,ふれあい切符は,1点当たり100円相当の換金性のあるサービス利用券であると認めるのが相当である。
そして,前記認定事実,とりわけ,サービスの提供を受けた会員の負担については,予め原告の運用細則で,その点数(すなわち負担額)が1時間当たり8点(800円相当)と定められており,運営細則が,負担の有無及びその内容をサービス利用会員の自由意思に委ね,サービスの提供を受けた会員が,運営細則で定められた負担を全くしなかったり,その負担点数(負担額)を自らの意思で変更する等の事態を許容しているとは認められないこと,利用会員が,負担点数をサービスの提供に協力する会員との間の合意によって変更したり,ふれあい切符ではなく現金で直接,協力会員に支払ったりすることも運営細則上予定されていないこと等を総合すると,サービスの提供を受けた会員が原告の運営細則の定めに基づいて負担する1時間当たり8点(800円相当)のふれあい切符の点数は,原告が提供したサービスの対価として,原告に支払われるものであると認めるのが相当である。 イ 原告は,前記負担額(1時間当たりふれあい切符8点(800円相当))は,サービス利用会員がサービス提供の協力会員に対する謝礼(1時間当たりふれあい切符6点(600円相当))及び原告に対する事務運営費としての寄附(1時間当たりふれあい切符2点(200円相当)))として贈与するものであって,介護保険における家事援助に対する報酬額が1時間当たり1530円以上とされていることに照らすと,サービスの労働市場価値としては極めて低額であり,報酬とはいえないと主張する。
しかしながら,前記負担額が謝礼ないし寄附という贈与であれば,これを行うかどうか及びどのような内容でこれを行うかは,最終的には,サービス利用会員の自由な意思決定に委ねられるべきものであるところ,前記認定のとおり,原告の運営細則は,謝礼及び寄附という文言を用いてはいるものの,その規定ぶりからすれば,前記負担の有無及び負担内容の決定をサービス利用会員の自由意思に委ねているものとは認め難く,前記負担が贈与である旨の原告の主張は,採用することができない。
また,原告が営利を目的としないことが条件とされている特定非営利活動法人であり,サービス提供に対する対価を市場価格よりも低く設定するのは,その法的性格からしても,自然なことであることをも勘案すると,1時間当たりふれあい切符8点(800円相当)という負担額は,1時間当たり最低1530円という介護保険の家事援助に対する報酬額と比較しても,サービス提供に対する対価性を否定するほどに著しく低廉なものであるとまでは認められない。
さらに,原告は,サービス提供に協力した会員が預託点数の精算につき時間預託を選択した場合,時間預託は自然債務を発生させるにすぎず,法的なサービス請求権を付与するものではないとも主張するが,前記認定のとおり,預託点数を利用してサービスの提供を受ける場合には,他の会員と同様に,1時間当たり8点(800円相当)の計算でサービスの提供を受けることができ,また,転居等により預託点数を利用できなくなった場合には,原告が預託点数を現金で精算すべきことが運営細則で定められていることに照らすと,時間預託により預託される点数は,1点当たり100円相当の現金と等価の価値を持ち,8点で1時間のサービスを受けられるという法的なサービス請求権であると認められるのであって,時間預託は自然債務を発生させるものにすぎない旨の原告の前記主張も,採用することはできない。
なお,原告は,本件事業においては,当初予定していたサービス提供の時間が30分を超えて長引いた場合であっても,サービス提供に協力をした会員は,超過時間に応じたふれあい切符を受領することはなく,このような状況は本件事業の常態となっている旨主張するところ,証拠(甲11)によれば,たしかに会員の中には,当初の予定時間を超えて話し相手をする等のサービス提供に協力した場合でも,超過時間相当のふれあい切符を受領しない場合もあることが認められる。しかしながら,そのような場合には,予定時間内に原告から利用会員に対しサービス
提供がなされたのに加えて,予定時間経過後に協力会員が個人的に利用会員個人に対して無償でサービスを提供したと解すれば足りるのであって,後者の個人間の無償のサービス提供が行われたことによって,これに先だって行われた原告の利用会員に対する有償のサービス提供契約の性質が変容するものではなく,原告の指摘する前記事実は,サービス提供に対する対価性についての前記判断を左右するに足りない。
(3) 本件事業の請負業該当性について
以上の事実によれば,本件事業は,原告が,会員に対し,サービス利用券であるふれあい切符を販売することによって,原告の運営細則で定めるサービスを受ける権利を付与し,その依頼により,サービス提供に協力する会員を履行補助者として,サービスの提供を行い,その対価として,サービス提供の時間に応じたふれあい切符の点数(1時間当たり8点(800円相当))の支払を受け,このうち1時間当たり6点(600円相当)をサービス提供に協力した会員に支払って精算し,その差額である1時間当たり1点(200円相当)の点数を利益として取得するものであると認められるから,一定の役務を提供して対価の支払を受けるものであって,法人税法施行令5条1項10号にいう請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)に該当するというべきである。
4 原告の本件事業年度における所得金額及び納付すべき税額
以上のとおり,本件事業は,法人税法施行令5条1項10号所定の請負業に当たるから,同法2条13号にいう収益事業に当たり,これにより原告に生じた所得は,同法7条により法人税の課税対象となる。
そして,前記第2の1の事実,前記1及び3で認定した事実,証拠(甲2,6,20)並びに弁論の全趣旨によれば,原告の本件事業年度分における収益事業(本件事業,介助保険事業,受託事業)による収入の内訳及び合計額は,別紙2の表の収益欄の収入の部欄記載のとおりであり,原告に対する寄附であると認められる賛助会員からの会費収入,補助金収入その他の非収益事業による収入の内訳及びその合計額は,同表の非収益欄の収入の部欄記載のとおりであること,収益事業及び非収益事業共通の経費と収益事業固有の経費の内訳及びその総額は,それぞれ,同表の共通欄及び収益欄の支出の部欄記載のとおりであること,そして,原告の事業全体に対する収益事業の占める割合を,同別紙イ記載の本件事業年度における収益事業による収入額(但し雑収入及び受取利息を除く。)及び同別紙ロ記載の非収益事業による収入額(但し雑収入及び受取利息額については,原告の本件事業年度の損益計算書記載の金額による。)を基礎として,同別紙記載のとおり算定すると,その割合は,97パーセント(但し10パーセント未満は四捨五入)となること(なお,同別紙の表の総額欄及び収益欄の収入の部記載の金額を前提とすると96パーセントとなる。),これを前記の共通の経費に乗じると,その総額は680万8663円(96パーセントで算定した場合には673万8463円)となること,そして,前記の収益事業による収入合計額である4641万3090円から,収益事業固有の経費合計額2942万6985円を差し引き,さらに共通の経費のうちの収益事業に係る部分680万8663円を差し引くと,1017万7442円(共通の経費のうちの収益事業に係る部分を673万8463円とした場合は1024万7642円)となり,これに原告の申告に係る県民税,交際費等,所得税額を加算すると,原告の本件事業年度における収益事業による所得額は,1018万6046円(共通の経費のうちの収益事業に係る部分を673万8463円とした場合は1025万6246円)となること,同所得金額を前提とすれば,原告が本件事業年度に納付すべき法人税額は,241万3800円となることが認められる。
第4 結論
以上によれば,原告の本件事業年度における所得金額は,本件更正において認定された所得金額である1018万6046円を下回るものとは認められず,同所得金額を前提として原告の本件事業年度における納付すべき法人税額を241万3800円とした本件更正は,適法であって,原告の請求は,理由がない。よって,主文のとおり判決する。
千葉地方裁判所民事第3部
裁判長裁判官 山 口 博

裁判官武田美和子は出張中につき,同向井邦生は転補につき,いずれも署名押印することができない。
裁判長裁判官 山 口 博
(別紙省略)

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